玉井彰の一言 2008年3月 四国の星ホーム一言目次前月翌月

2008/3/31(月) 「せんたく」が提起する「地方政府」と中央集権

「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」(せんたく)の初会合。中央集権の見直しや自治体改革を進めることで、国と対等な地方政府を確立することを目指します。

【地方政府確立へ世論喚起を せんたくの首長会議初会合】(共同通信) 
地方分権改革を推進する政策集団「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」(せんたく)は30日、自治体の首長らでつくる「地方政府創造会議」(座長・山田啓二京都府知事)の初会合を都内で開き、中央集権体制の見直しや自治体改革を進め、国と対等な「地方政府」の確立に向け国民世論の喚起を目指す、との活動方針を決めた。

今後、与野党の国会議員でつくる「せんたく議員連合」とも連携しながら随時、政策アピールなどを取りまとめる方針。

この日の会合には、知事や市町村長など約50人が出席。4月以降の議論のテーマとして(1)住民の行政参加の推進や地方議会の改革(2)国の出先機関や外郭団体の見直し(3)地域に応じた環境対策−などを決めた。

【コメント】
この動きが大きなうねりになれば、日本は地方主権型の国家として生まれ変わることが可能です。

こうした動きには、必ず「偵察部隊」が入り込み、動向を探ります。また、より大きな広がりを、という名目で妥協案が出てきます。

その段階で、「名」と「実」との乖離が始まり、「名ばかりの改革」になってしまうことになります。

同じ名前で正反対の方向へ持っていく。これが自民党や霞ヶ関の手法です。

「地方分権」という言葉が使いづらいのは、自民党や霞ヶ関は地方に仕事をやらせて首根っこは国が押さえる方式を考えているからです。地方は仕事が増えただけということになります。

「せんたく」の動向を見守りたいと思います。「小骨」を抜き、さらに「骨格」まで抜いてしまおうとする策動が始まるだろうと推測します。

地方主権か、地方統治の合理化か。前者でなければ日本は官僚とともに沈みます。


さるさる日記:【ずーっと輝こうライブ・管理人日記
ずーっと輝こうライブ in 町家】(私が「管理人」です)


2008/3/30(日) 100年戦える脳をつくれ・・人生100年時代の人生戦略

人生100年時代。

このことを念頭に置いた人生戦略が必要になってきます。かつては、人生60年あるいは70年というとらえ方でした。それが最近は、人生80年と言われています。

ところが、現実の方が進みつつあります。人生100年を想定しておかないと、80歳以上の人生の指標がなくなってしまいます。

しかも、体は何とかなっても、ただ毎日生きているだけ、生活しているだけの人生になってしまいます。人生終盤がそれでいいのかどうか。

人間にとって大切なものは、自分の人生をどのように構想するかです。その構想力がなければ、定年(+α)までの職業生活+老後の生活、結婚・子育て+老後の生活、というパターンが一段落したとき、人生と呼べるものが残らなくなってしまいます。

それを防ぐためには、100年の構想が必要であるし、100年持つ脳を持たなくてはなりません。

最近流行の脳トレも結構ですが、反射神経を鍛えるよりも、構想力を持つ努力をする方がより有意義だと思います。

100歳代の人生を構想する。90歳代の人生を構想する。80歳代の人生を構想する。

日曜日には、沈思黙考。10分程度実践してみたいものです。


2008/3/29(土) 大阪市議会におけるチェックオフ制度廃止の条例改正

労働組合費を給与から天引きするチェックオフ制度。自民党においては、この制度を廃止して労組の力を弱めようとする動きが以前からあります。

【大阪市、組合費の給与天引き廃止】(朝日)
大阪市職員の労働組合費を給与から天引きするチェックオフ制度について、大阪市議会は28日、制度を廃止する条例改正案を野党の自民、公明両党の賛成多数で可決した。条例改正案は自民党の提案で、市によると条例改正による制度廃止は全国的に珍しいという。 

地方自治法の規定では、市長は異議がある場合は条例改正案の再議を求めることができ、可決には出席議員の3分の2以上の賛成が必要だ。平松市長は議会閉会後の29日未明、報道陣に対し、再議については「いろいろと相談して対応を決めたい」と語った。 

チェックオフ制度は、労働者が任意で設立した団体の活動費を使用者との合意などで給与から天引きする方法で、労働基準法などで認められている。地方公務員法では、職員給与は全額支給が原則だが、別の規定があれば一部の控除が可能だ。 

市の職員給与に関する条例では、控除できる項目の一つに「職員団体が構成員たる職員から徴収する団体本来の運営に要する経常的な職員団体費」があり、職員の同意をとって実施している。市財政局によると、06年度の天引き額は計21億2800万円だった。 

28日の本会議で自民の新田孝議員は「大阪市ではヤミ専従や職員厚遇問題などが発覚した。労使癒着の象徴である職員団体への便宜供与を見直すことは市民の求めることだ」と提案理由を説明。改正案は現行条例の組合費のチェックオフの項目を削除し、09年4月から禁止するとしている。 

平松市長は昨年11月の市長選で民主党や市労働組合連合会(市労連)などの支援を受けて当選している。そのため民主党関係者は「厚遇問題はこじつけ。次の総選挙もにらんだ露骨な労組つぶしだ」と批判。市労連も条例改正は「憲法で認められた団結権の侵害」と反発している。 

【コメント】
労働基準法第24条1項は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」と規定しています。


チェックオフ制度は、現在の労働組合において、生命線ともいえる意義を有しています。これを廃止して労働組合費を支払われた給与から集めていこうとすると、経費が掛かる上に支払わない者が続出し、労働組合の存続の問題にまで発展する可能性があります。少なくとも、労組の力は弱まります。

連合が支援する民主党の力をそぐために、以前から自民党内で労働基準法改正を視野に入れた動きがありました。

労働者の団結権を保障し、労働組合の活動によって労使間の力のバランスを確保するという観点からすれば、チェックオフ制度は労働組合を保護するために必要な制度であるということになります。自民党の策動を許してはいけません。

ただし、労組がチェックオフ制度の上に胡座をかいているということであってはいけないと思います。ともすれば、労組が個々の組合員の上に君臨しているという印象を受ける場合があります。労組幹部が国における官僚のような、硬直的かつ威圧的な存在になっているとしたら、これも問題です。

労働組合運動の原点に立ち返り、個々の労組員の立場から労組のあり方を見直す必要があるのではないでしょうか。


2008/3/28(金) 「愛国心」と「君が代」・・「自己チュー」よりはまし

学習指導要領改定案の総則に「国と郷土を愛する日本人を育成する」という文言が新たに盛り込まれます。

音楽においては、「君が代を歌えるよう指導する」ということになります。

もちろん、「案」の段階ですが、これをどう評価するか。

【学習指導要領:総則に「国と郷土を愛する」 異例の修正】(毎日)
文部科学省は28日、2月に公表した小中学校の新学習指導要領改定案の総則に「国と郷土を愛する日本人を育成する」という文言を新たに盛り込み告示する。改定案公表後に総則という基本的な考え方を修正するのは極めて異例。文科省は「パブリックコメント(公募意見)などを踏まえ修正した。改正教育基本法の趣旨をより明確にする意見を取り入れた」と説明している。

文科省によると、改定案公表翌日の2月16日から1カ月間、電子メールや郵便で意見を受け付け、5679件が寄せられた。「国を愛する心について総則に明記すべきだ」などの声があり、国会での議論、与党部会とのやり取りなども加味して修正したという。

音楽で「君が代を指導する」が「君が代を歌えるよう指導する」になるなど軽微なケースも含めると、修正は181カ所(同様修正の重複除く)あった。

改正教育基本法(06年12月成立)には「愛国心」表記が新たに盛り込まれた。新学習指導要領改定案では、愛国心について総則にはなかったが、国語や社会、道徳の部分で触れていた。文科省は「道徳の内容は教育活動全体を通じて行うと定めており、考え方は(総則に示しても)同じ」と説明している。

新学習指導要領は、学力低下の批判などを受け、主要教科と体育の授業時間を約1割増やしたほか、学習項目など内容も理数を中心に約40年ぶりに増やした。

【コメント】
「愛国心」や「君が代」に過剰な警戒心を持つことは、大局を見誤ることにつながります。

現在の国民の心象風景からすると、自己を超越するものに対する責任感を醸成しておかないと、自己利益中心に行動するパターンから脱却できず、国家衰退への道をひた走ることになってしまう危惧があります。

戦前回帰だ。そうした懸念を表明する人もいるでしょう。

しかし、現実を直視すれば、戦前型軍国主義が跳梁跋扈する危険はありません。アメリカ追随型の戦争はあり得ますが、これは自己中心型の生き方の延長線上にあるのではないでしょうか。

自己中心型人生観ないしは社会観と対極にあるのが、国家主義・全体主義であるとして、その方向へ一歩踏み出すことになったとしても、戦前回帰には全くなり得ないというリアリズムを持つべきだろうと思います。

今ある危険は、「自己チュー」で国家が沈む危険です。そのぞれの国民が自己を超える国家や郷土・地域に若干でも目を向ける方向にシフトすることが必要です。

「それ以上」ということが叫ばれた段階で、民主主義による復元力が期待される場面が出て来ます。

「君が代」について言えば、教育界に異常な反発を持つ方々がいます。しかし、この歌を歌って好戦的になれる人はほとんどいません。歌詞にもかかわらず、こんな眠たい歌を歌ってどうするか、というくらい平和な歌です。諸外国の国歌と比べていただきたい。そのあたりも、リアルに見ておく必要があります。

問題は、愛国心無き我が国の幹部達。官僚に愛国心なし。天下り先で異常な高給を貪る彼らにこそ、愛国心教育が必要ではないでしょうか。


2008/3/27(木) ポストが能力を上回る場合・・その弊害

人事異動の季節です。民間では1月、2月に異動ということがありますが、公務員の世界は3月末に人事異動発令、4月1日就任というのが通例です。

男は人事を気にします。同期の彼奴はこうなった云々。

世の中には遊泳術に長けていて、能力以上のポストに就く人物もいます。羨望の的となります。しかし、その人物にとってそれが幸せかどうかということは、人生100年のスパンで考えたとき、様々な見方が可能です。

地位に相応しい能力を身に付けるために必死で頑張り、「地位が人をつくる」という結果になることもあります。逆に、地位を守ることのみに汲々とし、組織全体にとっては有害な存在になる場合もあります。

組織にとって有害なだけではなく、その人の人生にとって無用な重しになる場合もあります。プライド先行型。ある組織のあるポジションにいたことだけがその人のプライドであり、自己を証明する唯一の手段になってしまっている場合、これは人生後半ないしは終盤を不幸にする原因になります。

周囲に無用な圧迫感や気遣いを発生させる原因になっている煩わしいジイさん。「○○では・・」を連発する「産業廃棄物」的老醜をさらすことの不幸を考えておく必要があります。

それに比べれば、能力以下のポストを与えられる方が幸せです。ただし、何時でも能力相応のポストで自己実現出来るだけの実力は蓄えておくべきです。

「四股」だけはキッチリ踏んでおこう!

春期雑感。


2008/3/26(水) 「1千万円出資できるか」が賛否の基準・・新東京銀行追加出資問題

焼け石に水。この追加出資に賛成するというのは、無責任を絵に描いたものです。これに賛成する都議は、「所詮他人の金」という意識しかないのでしょう。「自分の金」で勝負する気があるかどうかが基準のはずですが。

【新銀行東京、ぶれる石原知事発言 説明尽くせと批判も】(朝日)
経営難の新銀行東京に都が追加出資する議案が可決される公算が大きくなっているが、石原慎太郎知事が説明責任を果たしていないとの批判も強まっている。追加出資自体、自身が昨年末まで否定していたのを覆して提案。「議会で明らかにする」とした再建策も、詳細を聞かれると「専門的な質問が多すぎる」とはぐらかし、発言のぶれや軽さが目立つ。朝日新聞社の世論調査では、都民の83%が知事の説明が「不十分だ」と答えている。 

「『融資先が6カ月もてばいいからどんどん貸せと旧経営陣が指示していた』という発言に根拠はあるのか」 

11日の都議会予算特別委員会。知事が繰り返していた発言に共産都議が疑義を唱えると一瞬、顔をこわばらせた。前日、新銀行が「旧経営陣による同様の発言は確認できなかった」と認めたが、知事は「報告書に書いてある。信じないのか」と突っぱねた。ただ公表された報告書には記載がない。 

新銀行をめぐる知事の発言は揺らいできた。昨年12月の都議会で「考えていない」と発言した追加出資は、今年2月20日の都議会で「他に方法がない」と一転した。 

新銀行の報告書が経営責任を指摘した仁司泰正・元代表執行役の任命責任について「経団連の重鎮の推挽(すいばん)を受けた。それを信じるほかない」としていたが、14日の記者会見でトヨタの奥田碩・前日本経団連会長が否定したと追及されると「推挽を受けたというのはちょっと乱暴な言い方だったかも」と訂正した。 

追加出資の根拠や再建策については、記者会見のたびに「予算委員会を傍聴して」とかわしていた。その委員会では「目前に迫る(銀行の)墜落を考えると、これしか施策が無い」などと話すだけで答弁の大半は担当局長任せ。その後の記者会見で「民主党の質問は専門性があったが本質的な状況認識につながらなかった。議論をする余地はない所まで来ている」と逃げ腰だった。 

ある都幹部は「発言のぶれをみると、知事は銀行の実態を把握しているのか疑問を感じてしまう」。別の幹部は「暴走している知事をだれも止められない」と話す。 

【コメント】
再建は無理。多くの人の意見です。400億円の追加出資で経営改善が見込まれないとすれば、手仕舞いすることになりますが、これにも資金が必要になるでしょう。それとも、破産でしょうか。

知事の暴走に付き合うだけの決議。賛成都議は、真に責任を分担する気があるのでしょうか。

東京都と都知事に説明責任があるのは当然として、多くの人が危ぶむ追加出資に賛成する都議にも、その裏付けを自ら示す責任があるのではないでしょうか。

賛成都議は自腹で1千万円追加出資する(知事は最低、10億円出さないとウソです)。これだったら、分かります。安全な出資なら「被害」はないはずです。

どうせ人の金だから都知事の道楽に付き合おう。こういう考えだとすれば、正に「税金泥棒」。


2008/3/25(火) 「道州制」・・総務相懇談会・中間報告=幕府の改革案

増田総務大臣の私的懇談会「道州制ビジョン懇談会」が、2018年までに道州制に完全移行する内容の中間報告を総務大臣に提出しました。

【道州制完全移行、2018年までに…総務相懇談会が中間報告】(読売) 
増田総務相の私的懇談会「道州制ビジョン懇談会」(座長・江口克彦PHP総合研究所社長)は24日、中間報告を取りまとめ、総務相に提出した。

国と道州、基礎自治体の役割分担を明確に規定した上で、2011年までに「道州制基本法」(仮称)を制定し、18年までに道州制に完全移行するよう提言した。

焦点だった道州の区割りと税財政制度については、専門委員会を設置して検討するとし、09年度中にまとめる最終報告に結論を先送りした。

中間報告では、「中央集権体制が日本を衰退させている」と分析、各地域が繁栄の拠点として活力を回復できる新しい体制整備が必要だとした。中央政府の権限を限定し、地域で生活や地域振興を独自決定できるよう「地域主権型道州制」への転換により、道州間の「善政競争」が促進され、日本全体に活気がよみがえるとしている。

具体的には、国の役割は外交や大規模災害対策など16項目を基本とし、道州は広域の公共事業や市町村間の財政格差の調整などを行う。福祉、教育、都市計画など身近な行政サービスは基礎自治体が実施。国と道州間の行財政の調整は「国・道州連絡協議会」(仮称)が担うとした。道州の組織面では「広範な自主立法権を持つ1院制議会」を設置、首長、議員は直接選挙で選ぶ。課税自主権を与え、道州債の発行も可能とする。道州制移行は全国一律が望ましいとし、基本法制定後、首相を長とする「道州制諮問会議」(仮称)を設置するとした。

【コメント】
これは「徳川幕府」による斬新な改革案です。

「案」がいくら立派でも、自民党政権下では「成立」段階で官僚に骨を抜かれ、結果として地方統治の合理化策としての道州制になってしまいます。

民主党がこの内容をさらに充実させたマニフェストを提示して政権交代に臨む展開になって欲しいと思います。

国と地方でどちらがヘゲモニー(主導権)を持つか。ここがポイントです。自民党政権下では、ここが限りなくぼやかされるのです。

増田総務大臣のような方が「幕閣」にいること自体は悪くないのですが、「不良品」販売の広告塔になってしまっては、有害な存在になります。


2008/3/24(月) 福田政権は総辞職に向かう・・政局は「疲弊」している

「何一つ決められない」のは、「ねじれ国会」ではなく、福田政権です。総辞職に向かってのカウントダウンが始まっています。

【内閣支持率31%に急落・日経世論調査】(日経) 
日本経済新聞社が21―23日に実施した世論調査で、福田内閣の支持率は31%と2月の前回調査から9ポイント低下した。不支持率は54%と6ポイント上昇し、内閣発足以来初めて5割を超え、昨年7月の参院選前後の安倍内閣の水準に並んだ。日銀の福井俊彦前総裁の後任人事や、道路特定財源の暫定税率問題などを巡る混乱などが要因とみられる。 
日銀総裁の空席について「政府・与党」に責任があるとしたのは41%で「野党」の27%を大きく上回った。参院で政府が提示した財務、大蔵次官経験者を相次いで否決した民主党の対応については「評価しない」が55%。「評価する」は30%にとどまった。

【福田内閣半年、実績「評価せず」64%…読売世論調査】(読売)
読売新聞社が15、16日に実施した全国世論調査(面接方式)によると、26日に発足半年を迎える福田内閣や福田首相の実績を「評価する」という人は、「大いに」と「多少は」を合わせて34%だった。

「評価しない」は「あまり」「全く」の合計で64%に上った。内閣支持率は3月が3か月続落の33・9%と、発足直後の59・1%(昨年10月、面接方式)から大きく落ち込んでおり、この間の実績にも厳しい評価が下された。

首相や内閣の実績や対応で評価できるものを複数回答で挙げてもらったところ「薬害C型肝炎被害者の一律救済」(50%)、「年金記録漏れ問題への対応」(18%)、「インド洋での海上自衛隊の給油活動再開」「地球温暖化問題での新構想の提唱」(各12%)の順となった。「評価できるものはない」は27%だった。

首相がどういう政治を目指そうとしているか「よくわかる」と答えた人は9%、「よくわからない」との答えが89%に達した。首相の仕事ぶりを堅実だと思う人は43%で、「そうは思わない」の48%が上回った。

福田内閣が今後どのくらい続いてほしいと思うかを聞いたところ、「できるだけ早くやめる」が25%で最も多かった。

【コメント】
何をやりたいのかがよく分からない政権。何も決められない政権。これでは、どうにもなりません。ひたすら時が流れるのを待ち続ける。そうした持久戦型の対応が可能かどうかの問題になってきています。

民主党にとっての「朗報」ではないことに気付くべきです。

追い込めば総辞職。次期政権で目先を変えての総選挙。それで勝てるかどうかを考えなければなりません。

この間の対応で、確かに福田内閣は評価を下げましたが、民主党の評価が上がったわけではありません。次期総選挙は、どちらも勝てないという状況に陥る可能性が大です。

「せんたく議連」に参画してアリバイづくりに励む議員が出る原因のひとつは、現在の政局が混迷、というより「疲弊」しているところにあります。


2008/3/23(日) 日銀総裁不在は政府の責任・・民主党の不同意を考える

鳩山由紀夫・民主党幹事長のメルマガがあります。私も登録しているので、送られてきたものを読んでいます。

日銀総裁問題について鳩山氏が述べているので、転載します。

  衆議院議員 民主党幹事長 鳩山由紀夫メールマガジン
   2008年第11号(通算第339号)   2008/3/21

 みなさん、こんにちは。

 なんでこんなことになるのでしょうか。福井日銀総裁の任期はこの19日で切れました。未だに後任が決まらぬまま、白川副総裁が暫くの間、総裁代行を勤めることになりました。総裁が空席となると市場が一気に大混乱するとの情報が流されていましたが、武藤氏を参議院で不同意にした日に株価は上がり、衆議院で同意した日には下がり、また田波氏を参議院で不同意にした日に株価は上がっています。これらは他の要素が加わってのことですが、いずれにしても、日銀総裁の空席が株価に大きな影響を与えると言うことはありません。しかしながら、一刻も早く、総裁を決める必要がありますから、政府は「財務省に押し付けられた人事」でなく、国民のための人事案を示していただきたいと強く願います。

 政府与党ばかりでなく、メディアや財界のみなさんまでも、日銀総裁が空席になる責任を民主党に押し付けようとしていますが、冷静にお考え下さい。そもそも19日に期限が来ることが分かっていながら、両院の同意人事をぎりぎりまで提示して来なかったのは政府です。しかも、ぎりぎりになって、日銀総裁の席は財務省の究極の天下り先だとばかりに、立て続けに大蔵(財務)次官経験者を提示してきたのです。これには、私たちも唖然としました。なぜなら、総裁空席は望ましくないから、余程のことがない限り、新たな提示案を呑もうと考えてきた私たちに、財務省が宣戦布告して私たちが絶対に呑めない候補を提示してきたと思えたからです。

 私たちは財務省経験者だからノーと申し上げる積りはありません。しかし、日銀総裁として適格か否かではなく、財務省の中の順位付けで出されてきては、国益を損ないかねないと申し上げたいのです。以前にも申し上げたように、大蔵
(財務)のトップを極める方々は内政中心で、国際金融には詳しくないのです。
例えば、先週のサンプロで田原総一朗さんから、こういう人はどうですかと訊ねられた黒田氏、渡辺氏などは財務省出身者ですが、財務官を経験され国際金融の世界では定評のある方々ですので、宜しいのではないかとTVの中で私見を申し上げたのです。

 更に、田波氏に関しては、日本が未曾有の金融危機に瀕したときの大蔵事務次官で、拓銀、山一證券、そして長銀の破綻の責任も免れません。しかしながら、バブルやその後の処理の失政について、財務省の立場から仕方がなかったことと、反省の念がありません。結果として、超低金利政策によって多くの国民のみなさんの金利所得を奪い去ってしまったことに対しても、武藤氏と同じく、止むを得なかったとしています。国民の命を守るより財務省の立場を尊重するようでは、とても日銀の独立性を守ることは出来ないでしょう。

 ここで聞き捨てならないのは、福田総理が、民主党の重鎮が武藤氏で党をまとめるからと約束したから、武藤氏でいけると思ったと、武藤氏が不同意になった責任をそのような言い方で民主党に転嫁しようとしていることです。政府による武藤氏提示の直前の状況は、誰の目にも、民主党は武藤氏では難しいと映っていたはずです。もし、その情報が官邸に入っていなかったとすれば、官邸が如何に情報過疎で機能していないかと言うことになります。また、福田総理が、民主党の考えが分からないと述べる一方で、町村官房長官は私に、「民主党から先に名前を出されると、総理は(その人を)選べない」と話しました。この期に及んで面子を気にするような党利党略は止めようではありませんか。

 この数日間、日銀総裁の椅子が空席になるロスより、間違った総裁を選んで、5年間国益を損なうことのほうがはるかにマイナスです。古い従来型の日本から、世界に認められる日本に脱皮するチャンスでもあります。21世紀に相応しい、国際社会に通用する日銀総裁を国民に分かりやすく選ぼうではありませんか。現在を日本を生まれ変わらせる産みの苦しみと考えれば、この苦しみは決して無駄ではないでしょう。

【コメント】
政府の統治能力欠如の証明が日銀総裁不在です。「締め切り」間際に慌て始め、締め切りを守れなかった責任を野党に押しつける。情けない限りです。

財務省が日銀を植民地にすることを許してはいけません。政府は財務省のいいなり。全く主体性がありません。

表層的な現象のみを追い、組織体としての日銀を見ず、総裁不在をコックピットに誰もいなくなるかのように描いて煽る議論が横行しています。「請負言論」ではないかと疑われます。

民主党も財務省出身者は絶対駄目と言っているのではないのですから、政府の人事における選択の幅はかなり広いはずです。日銀総裁不在は、人事の決断力無き政府の責任です。

週刊誌では、福田政権「脳死状態」などという、穏やかでない記事が出るようになってきました。この政権、洞爺湖サミットまで持つのでしょうか。


2008/3/22(土) 地方分権と官僚の抵抗・・人事しかない

地方分権改革推進委員会の丹羽宇一郎氏のインタビュー記事が朝日新聞に載っています。官僚の抵抗は凄まじいようです。

【地方分権「従わぬ官僚はクビ」 丹羽改革推進協委員長】(朝日)
福田首相は21日の閣僚懇談会で、全閣僚に地方分権に取り組むよう指示した。政府の地方分権改革推進委員会での中央省庁と自治体の事務の仕分けや、国の出先機関の業務の地方への移管などに、各省が「ゼロ回答」を続けているためだ。同委員会の丹羽宇一郎委員長(伊藤忠商事会長)に、改革の進め方を聞いた。 

 ――相変わらず、霞が関は「ゼロ回答」ばかりです。 

「官僚には『変えない』という慣性の法則がある。変えろと言われると反発し、ぎりぎりまで答えない。現時点でのゼロ回答は想定の範囲内だ」 

 ――先日の委員会で、委員長は各省に「まじめにやれ」と怒りましたね。 

「地方に仕事を渡さない理由は、へりくつばかり。公園の木も、県の管理と国の管理では育ち方が違うと言う。いま各省は地方に『文句を言うなら補助金、交付金を減らすぞ』と言える。主従関係にあり、甘い権益を持っているから分権にウンと言わない。各省は好き放題やってチェックもされない。まるで独占企業体だ。このままでは国も地方も財政が硬直化して滅びる。だから分権を起爆剤に日本を再生する。最終的には道州制の方向に進むが、まずは分権することが大事だ」 

 ――でも、どうやって各省の抵抗を抑え込むのです。 

「官僚が従わないのなら、大臣の出番だ。『100%は無理でも、6、7割は受け入れたらどうだ』。こう言える良識が大臣にはあるだろう。それでも従わない官僚は、左遷かクビにすればいい。そうやって2年以内に分権一括法をつくり、分権の方向性を示す。定着にはさらに5年はかかるから、官僚に骨抜きにされないよう、監視委員会を設け、しつこく監視していく」 

 ――しかし、小泉元首相が「地方の意見を真摯(しんし)に受け止めて」と言っても、肝心の大臣が知らんぷりでしたよ。 

「小泉さんのトップダウンと違い、われわれは法律に基づく委員会だ。全国を歩いて『民の声』を聞いている。その勧告は重い。それに、われわれの議論はすべて公開し、ネットで中継している。官僚の言い分が国民のためかどうか、国民自身に判断してほしい。国民が見ているから、いずれ首相は潮目を見て、必ず政治決断をする」 

 ――いつごろですか。 

「5月末か6月の1次勧告に、事業仕分けの重点項目を盛り込む。それと一緒に、国の出先機関の方向性も6月の骨太方針に盛り込まれることを期待している。そのためにも、首相の決断はまずは5月後半あたりだろうか」 

 ――政府の出先機関に関する知事会案も出ていますが、その勧告も注目されます。 

「年末の2次勧告で出す。出先の仕事を自治体に任せれば、人と金が動く。そうなれば、地方は自立、自助、自己責任を求められる。いまの道路特定財源問題でも、地方が国の金を頼る構図になっているのがおかしいのだ」 

 ――自治体に自立を求めるなら、自治体に税源を渡す必要があります。 

「当然だ。税源配分は現状の国6対地方4から、少なくとも5対5にする。地方政府にできないことだけ、中央政府がやるようになれば、4対6も大いにあり得る」 

【コメント】
自民党政権で真の分権をやろうとしても無理。官僚との依存関係がとことん進んでいるからです。丹羽氏らが進めようとする方向の何分の一かで止まるでしょう。

中途半端な改革だと、下手をすると中央官庁の焼け太りになってしまうこともあり得ます。

政権交代後に真の分権を行うしかありません。しかし、民主党政権で地方分権を実現しようとしても、かなりの抵抗が予想されます。これをどうするか。

政権奪取後、速やかに改革人事を断行するしかありません。本省課長級以上を全員更迭。このくらいの荒療治でなければ、改革断行は難しいでしょう。

戦前を想起していただくと分かります。陸海軍の大臣や次官達は、組織を掌握できていませんでした。かなりのレベルの軍幹部でも「組織を抑えられない」ということを言い、流れのままに突き進んでいきました。

この相似形で現官僚機構を捉える必要があります。GHQ支配下で大々的な「パージ」(公職追放)が行われました。これに相当するくらいの人事断行が必要です。この国は実質的な敗戦国だという認識が必要です。

その過程で、「裏切り者」をつくる必要があります。本省課長級を個別に審査し、改革人事でトップあるいはそれに近い役割を担える人物を選定しておきます。選定した人物を政権交代後次官級に据えて改革を断行するのです。民主党が野党である間にやっておくべき課題です。


2008/3/21(金) 三浦和義氏の場合と植草一秀氏の場合

三浦和義氏も植草一秀氏も、元・現刑事被告人です。三浦氏の場合は無罪が確定。しかし、サイパンで逮捕され、再び刑事被告人となる可能性があります。植草氏の場合は一審有罪で控訴中です。

どちらも、多くの国民が「有罪」の心証を持っています。どちらも、別件で有罪判決があり、「そうしたことをやりかねない」という印象を持たれています。

私は、両者の事件には決定的な違いがあると思っています。

三浦氏の場合には、背景に政治性や思想性は全くありません。

(1)妻に対する別件の殺人未遂事件で有罪になっていること

(2)多額の保険金を妻に掛けていること

(3)心ある男なら、妻の実家に保険金を差し上げて、守りきれなかったことを謝罪するはずですが、そういった事情がないこと

これらの点で、彼に共感すべきものが全くありません。もちろん、事実についての判断(審理するしないを含めて)は司法に委ねるべきであり、決めつけるべきではありません。


植草氏の場合。

彼が小泉政権および竹中平蔵氏(金融・財政政策の所管大臣)に対する痛烈な批判者であったことから、ブログやホームページでは彼の擁護者がおり、政治的な背景についても詮索されています。

彼の事件についての状況には、疑わしい部分もありますが、より疑わしいのは、官報的なマスコミの態度です。大本営発表を垂れ流す戦前的な体質から一歩も前進できていないことは、誠に残念です。

沖縄返還に際して日米間の密約があったことが毎日新聞記者によって明らかになったことがありました。しかしそれは、外務省の秘密漏洩の問題にすり替えられ、挙げ句の果ては外務省職員と記者との不倫問題に矮小化されてしまいました。

下半身ネタは、人を潰したり、深刻な話題を打ち消す手段としては最も有効です。

それが分かっていれば、被害者側や証人に関して取材することが当然行われなければなりません。先日大学生が交際女性と共謀して痴漢のでっち上げをした事件がありました。そういうことが可能な類型の事件だけに、よりきめ細かな取材が必要だと思います。

被害女性の取材こそ慎重でなければなりませんが、逮捕者や証人に関する取材があっても不思議ではありません。

そもそも、植草氏が有罪かどうかということと、現在も彼が繰り広げている言論とは、一応区別して判断する必要があります。言論人・経済評論家としての彼を社会から抹殺すべきではありません。


両氏の事件について、「私は真実を知っている」とか「それ以外はあり得ない」というような「神の視点」でものを言う方々には閉口します。

そうしたご意見があっても、申し訳ありませんが、相手にしないか、抹消させていただくかしか方法がありません。


2008/3/20(木) 「一般財源化」で納得するか・・政府の方針転換

福田首相が従来の道路特定財源の特別会計方式を改め、全額一般財源化を検討するよう指示したということです。

特別会計か一般財源(一般会計)か。暫定税率のままでいいのか。このあたりが論点です。

【道路特定財源、首相「全額一般財源化も」…修正で指針5項目】(読売)
福田首相は19日夜、ガソリン税の暫定税率を維持する租税特別措置法改正案など税制関連法案の修正に関し、道路特定財源全額の一般財源化を検討する考えを表明した。

首相は、これまで全額一般財源化に慎重な姿勢を示していたが、税制関連法案の年度内採決に向けて、民主党との協議を行うためには譲歩はやむを得ないと判断したものと見られる。民主党は、暫定税率の廃止と、2008年度からの全額一般財源化を主張しており、修正協議が進展するかどうかは不透明だ。

首相は19日夜、首相官邸で記者団に「道路特定財源は全額一般財源化も視野に入れて検討していく」と述べた。

また、暫定税率の廃止については、「税制抜本改革の中で考えればいい」との考えを示した。これに先立ち、首相は同日、首相官邸で自民党の谷垣、公明党の斉藤両政調会長と会談し、谷垣氏らに税制関連法案の修正について5項目の指針を示し、これに沿って修正案の作成や民主党などとの協議を行うよう指示した。

「道路特定財源の考え方」と題した指針は、〈1〉税制関連法案の年度内成立〈2〉税制の抜本改革を行う際に道路特定財源の一般財源化に向けた見直し〈3〉道路整備中期計画の期間を含めた見直し――などで、これらの内容を与党内で調整した上、野党と協議するよう求めた。

首相は一般財源化の具体的な時期について言及していない。政府・与党は経済や地方財政への影響を避けるため、08年度は現行の枠組みを維持する方針で、早ければ09年度税制改正で取り組むと見られる。

谷垣、斉藤両氏は指針を基に与党としての考え方をまとめ、21日にも野党側に提示し、修正協議を呼びかける。一般財源化の見直し時期などは、協議の中で詰める方針だ。与党は、法案の修正合意に向けて、衆参両院議長にあっせんを求めることも検討している。

道路特定財源は、揮発油税や自動車重量税などがあり、政府は、08年度の税収を総額5兆4043億円(地方分を含む)と見込んでいる。

【コメント】
特別会計ではあまりにも杜撰なことが行われるので、国会の監視が必要である。だから、一般財源化すべしということになっています。

「暫定」税率というのはおかしいから廃止と思いきや、恒久化が前提となる議論です。「ガソリン1リットルにつき25円の暫定税率」が国民の頭にこびり付いてしまっています。このことは、政治的に重要な意味を持ちます。

福田政権が一般財源化に踏み出したことは、一件柔軟なようにも見えますが、これまでやってきたキャンペーンとの齟齬が顕著になります。

とりわけ地方では、各自治体が広報紙で「道路特定財源が必要不可欠である」ことをキャンペーンしてきました(やらされてきました)。そうしたことを忘れて切り替えが可能なのか。

よほど国民が納得する予算配分にしないと、却って政府の迷走ぶりだけが印象づけられることもなります。


2008/3/19(水) プロがいいか、アマチュアがいいか・・矢祭町議会の試み

議員報酬が日当制になる福島県矢祭町で、町議会議員選挙が行われます。定数10人に対して11人が出馬。

【報酬1日3万円、福島・矢祭町「日当制町議」に11人出馬】(読売) 
議員報酬の日当制を導入する福島県矢祭町の町議選(定数10)が18日告示され、23日の投開票へ11人が選挙戦に入った。新議員は31日の任期から「日当1期生」となる。

地方自治体の財政が厳しさを増す中、議員活動のボランティア化という点からも注目される。

日当制は、「合併しない宣言」で知られる同町が行財政改革を進める中で浮上。条例案は昨年12月に議員提案で可決された。

月額20万8000円の議員報酬を1日3万円にする。額は、課長職6人の平均収入を平均実働日数で割った約4万4000円に対し、議会が半日ほどで終わることも考慮し、その7割とした。

支給対象は定例会、臨時会、委員会などや、消防団の出初め式、成人式、敬老会など町主催の行事のほか、議長が認めたもの。年間30日程度とみられ、議員1人当たり年間約90万円となる。期末手当も廃止され、年間約2500万円の経費削減となる見込みだ。

告示前の今月5日には、立候補予定者が「予定者一同」の名前で、陣中見舞いや当選祝いの「お断り」広告を地域紙に掲載し、議会改革もアピール。現職7人、元議員1人、新人3人が出馬した。

前鳥取県知事の片山善博・慶大教授は「日当制は議会の多様性につながる取り組みとして評価できる。経済的魅力が減ることで、職業政治家としての議員の代わりに、若者や女性、サラリーマンなどが出やすくなる可能性もある」とする。

【コメント】
地方議員の給与が少なくなれば、有権者の様々な要請から自由になれます。経済的な魅力がなければ、あくせくと次の選挙のことを考える必要がありません。

片山氏の言われるように、若者、女性、サラリーマンなどが進出し、誰に気兼ねすることもなく堂々と意見が言える地方議会になるでしょう。

現在の地方議員は、プロと呼ぶには稚拙であり、アマチュアとしての純粋さもない、中途半端な存在です。

本当は、議会には行政の嘘を見抜くプロの目が欲しいのです。しかし、現実には易々と騙されているのですから、ひとつの試みとしてやってみてもいいでしょう。

アマチュア的な議員では手に負えない部分が見えてくるかもしれません。その場合には、制度的に補完する必要が出てくると思います。


2008/3/18(火) 政府の無責任・・日銀総裁人事

各種世論調査で、内閣支持率はジリ貧状態です。不支持率も上昇を続けています。

驚くほどの無策。日銀総裁の適格者が我が国に2、3人しかいないのなら分かりますが、そのようなことはあり得ません。他の候補を早急に提案すべきです。

【政府、日銀総裁人事の再提案できず…民主との調整が難航】(読売) 
政府は17日、日本銀行執行部の新たな人事案の提示を見送った。同日午前に福井俊彦総裁を続投させる案を民主党に非公式に打診したが拒否され、正式提示に至らなかった。

政府は18日に別の人事案を示したい考えだが、民主党との事前調整は難航しており、現執行部の任期が切れる19日までに決着するかどうかを懸念する声も出ている。

自民党の大島理森国会対策委員長は17日朝、民主党の山岡賢次国対委員長に電話し、福井総裁や武藤敏郎副総裁を続投させる案を示したが、山岡氏は拒否した。政府・与党はさらに調整し、自民党の伊吹幹事長が同日夕、民主党の鳩山幹事長に電話で、「武藤氏が副総裁の場合、総裁は財界人になりそうだ」と告げた。しかし、民主党の協力を得られるめどが立たず、この日の提示は見送ることにした。

福田首相は同日夕、首相官邸で記者団に、「政府だけで決められない。国会で(12日に)否決されたわけだから、慎重にやるしかない。民主党がどう考えているか、よくわからないこともある」と提示見送りの理由を説明した。さらに、「(総裁の)空白は作りたくない。一刻も早い方がいい」と述べ、18日に人事案を示す意向を表明した。

民主党の小沢代表は党本部で鳩山氏らと協議し、「知恵がない。もっといい人は他にもいる。出してこないことにはどうしようもない」と政府の対応を批判した。鳩山氏はその後、記者団に、「柔軟に対応しようとしているのに、(政府は)古い考え方に固執するのか。19日までに決定するのは難しくなった」と述べた。

人事案は、衆参両院の議院運営委員長と自民、民主両党の議運委筆頭理事による「議院運営委員会両院合同代表者会議」に提示される。その後、衆参の議運委が開かれ、公開で正副総裁候補から所信を聴取したうえで非公開で質疑を行う。

与野党では「同意手続きに2日はかかるので、空席を避けるには18日の提示がぎりぎりだ」という見方が強い。日銀法は、総裁が欠員になれば副総裁が、ともに空席の場合は理事が代理を務めると規定している。

【コメント】
財務省の顔色を見ている。そうとした言いようのない、政府の態度です。人事を行う決断力がないのでは、国の運営など到底おぼつかない話です。

この迷走状態は政府の失点であり、それは内閣支持率に表れているのですが、困ったことに、民主党の支持率も低下気味なのです。

「反対」ということに対する国民のマイナスイメージが強いためです。

次の政権党としては、国民に分かりやすいメッセージを出し続ける努力が必要だと思います。

「民主党の話を聞いていると、自民党がボンクラであることがよく分かった。」

そう言ってもらえるメッセージの出し方を工夫しておかないと、膠着状態になると、内閣と連動して民主党の支持率が低下するという面白くない状態から脱却できません。

状況説明に関する、政治的な翻訳能力を磨く必要もあります。


2008/3/17(月) 非行少年の論理を打ち砕け・・福岡の校内暴力報道を見て

先日、校長と教頭が心労で休職状態にある福岡の中学校のニュースがテレビ報道されました。非行少年達をカメラがぼかし映像で捉えていました。その言い分に強い違和感を持ちました。

【<校内暴力>福岡・田川の中学生2人を逮捕】(毎日、3月14日) 
福岡県田川郡内の中学校で男子生徒8人が授業妨害を繰り返し、校長と教頭が休職・自宅療養となってる問題があり、県警田川署は14日、グループの3年生(15)と2年生(14)を暴力行為等処罰法違反容疑で逮捕した。2年生は校長室の湯飲みを割り、3年生は校長用ロッカーをけって損壊した疑い。2年生は容疑を認めているが、3年生は「(扉が)開いていたロッカーを足で閉めただけ」と否認しているという。

調べでは、2人は今月6日午後0時20分ごろ、職員室に「(自分たちがいた)美術準備室の荷物をどこへやったか」と言いながら入った。男性教諭が保護者へ連絡しようと校長室に移ると2人も後を追い、2年生は持っていた長さ約50センチの鉄パイプを振り回した。2人は「部屋を片付けたのは誰か」と言い、湯飲み2個を床に投げてロッカー1台(被害計2万1400円相当)を正面からけって壊した疑い。

校長室には当時「グループが中庭で大声を出してバレーボールで野球をしている」との連絡を受け、学校を訪れた所管自治体の教委職員と校長の計4人がいたが、室外に避難した。またこの日、保健室の窓ガラス1枚が割られる事件もあり、午後1時15分ごろ駆けつけた田川署員が、校長室の被害も確認した。学校側は同日被害届を出した。

【コメント】
「人を見かけで判断するのかよ・・」

このような発言をカメラの前で非行少年達が繰り返していました。誰が見てもバリバリの非行少年の風体。

この論理で教師達を圧倒してきたのでしょう。

優等生の教師達は、「人は見た目で判断してはいけません」という道徳に拘束され、非行少年達の手前勝手な論理に対抗する術がなかったのではないでしょうか。

「人は見た目で判断されるんだ」

そのように答えるべきでしょう。非行少年の論理を打ち砕かなければなりません。人から信用される身だしなみは、社会の基本。このことをきちんと教えなければ、教育以前の状態で止まってしまいます。

様々な道徳的言辞は、常識が前提にあります。常識以前の状態にある生徒達の論理に屈服するのでは、もはや教育ではありません。

暴力に屈服していたのかもしれません。それなら、ある段階で警察力に頼るべきです。ことなかれ主義に汚染された教育現場では、真面目な生徒が犠牲になるだけです。

公立中学校の教師が、教育以前の非行との戦いに勝つ気概を持たなければなりません。


2008/3/16(日) 衆議院愛媛1区・・政権交代を象徴する選挙区として演出を

衆議院愛媛1区で、前官房長官・塩崎恭久氏(自民)に対抗して民主党から立候補するのは、松山市長・中村時広氏であると思われています。

しかし、中村氏は現職市長であり、3選後1年経っていないので、軽々しく出馬表明できない立場です。

とは言え、愛媛1区は政権交代を象徴する選挙区としての演出が可能であり、その演出が成功すれば政権交代に向けて大きな弾みがつきます。

私が民主党愛媛1区の総支部長だった頃から、そうした演出をすれば面白いと思っていました。しかし、総支部長は候補者として当選を目指す立場であるという建前に党が縛られているので、私のプロデューサー的発想は封印するしかありませんでした。

政治というのは、「役者」として振る舞う人材(候補者)も必要ですが、政治をプロデュースする人材も必要です。そのあたりを弾力的に考えて民主党が戦略を練れば、今の自民党には簡単に勝てると思います。


2008/3/15(土) 地域と家族の見直しが必要・・・単独世帯、高齢世帯の増加

これまでは、夫婦と子供で世帯を構成するのが標準でした。ところが、単独世帯がトップになってしまいました。高齢世帯も増加。

【世帯数で「単独」が初めて最多に…1471万世帯】(読売) 
国立社会保障・人口問題研究所は14日、「日本の世帯数の将来推計」を公表した。

それによると、世帯の形態は、2006年に「単独世帯」が1471万世帯で初めてトップとなり、それまで最も多かった「夫婦と子どもからなる世帯」は1455万世帯だった。

この差は今後さらに拡大し、30年には単独世帯が1824万世帯、夫婦と子ども世帯は1070万世帯になる見通しだ。

また、30年の時点で、世帯主が75歳以上の世帯は1110万世帯と、05年の554万世帯から25年間で倍増する。75歳以上の高齢者の単独世帯は30年に429万世帯(05年は197万世帯)となる。世帯主が65歳以上の世帯も05年の1355万世帯から、30年には1903万世帯と1・4倍程度に増加する。

このほか、日本の一般世帯総数は05年が4906万世帯で、15年に5060万世帯とピークを迎えた後は減少に転じ、30年には4880万世帯まで減る。

世帯の「単独化」と「高齢化」について、同研究所では、「少子高齢化や団塊の世代の高齢化などの影響が大きい」と分析している。

【コメント】
夫婦と子供の家族を社会の最小単位と考えることが難しくなってきました。単独世帯が主流となり、高齢世帯も増加します。

75歳以上の後期高齢者が世帯主となる場合が2030年で1110万世帯、全世帯の23%ということになると、後期高齢者世帯を基準とした社会のあり方を模索しておく必要があります。

家族単位から地域単位での発想が求められます。分解ないしは崩壊しつつある地域社会を再構築しなければ、社会全体でのコストは極めて高く付くことになります。

家族の再定義まで必要になってくるかもしれません。数名の高齢者がひとつの家族ないしは疑似家族として共同生活する。そうしたことが前提となる社会のあり方まで研究しておかなければなりません。


2008/3/14(金) 自民党瓦解の兆し・・支援組織が民主党に「保険」

これまで自民党オンリーだった組織が民主党に「保険」を掛け始めたとなると、政権の「黄昏れ」を感じてしまいます。

【自民党組織:埼玉の建設業界、民主党に間接的に献金】 
埼玉県の自民党組織が献金や党費で集めた資金を、民主党県連や同党国会議員らに提供していることが分かった。建設業界が運営する組織で、別の政治団体を経由させて、民主党側に直接資金提供した形にならないようにしている。「野党との付き合いも必要」と組織の担当者は説明するが、自民党埼玉県連は「事実なら誠に遺憾」と困惑している。

埼玉県建設業協会幹部が運営する「自民党埼玉県建設支部」は04〜06年、党費や団体献金で得た資金から、協会が運営する政治団体「埼玉県建設政治連盟」に計1000万円を寄付。政治連盟はこうした自民党支部からの寄付から民主党県連に計60万円、同県連代表代行の山根隆治参院議員(埼玉県選挙区)に計16万円を献金した。

自民党支部と政治連盟は、所在地も会計担当者も同一。95年以降、政治連盟は自民党支部からの寄付以外に収入はない。自民党支部で集めた党費を建設連盟から支出することで、形式上は自民党支部から民主党県連に献金したことは分からないようになっている。

 会計担当者は自民党からの寄付金を民主党への献金に充てたことを認め「野党との最低限の付き合いもある」と説明。民主党側への献金が分かりにくくなっていることについては「自民党支部と政治連盟はまったく別の組織」とするだけで、明確な説明はしていない。

 一方自民党埼玉県連の深井明幹事長は「党として確認していないが、事実なら誠に残念。今後、党派を超えた政治活動については、自民党支部とは一線を画してもらうよう要請する」と話している。【杉本修作】

 ▽政治アナリスト、伊藤惇夫さんの話 建設業界が保険をかけ始めたのではないか。埼玉は民主党が強い地域。支部が集めた党費や献金も建設業界が組織的に集めているので罪悪感がないのではないか。自民党に背かないために、政治連盟を使って献金をしていたことは十分考えられる。ただ、党員には純粋な自民党支持者も恐らくおり、背信的な行為に映るだろう。

【コメント】
今の福田首相、先の安倍首相。この両人を眺めていると、従来の自民党支持者は不安になるでしょう。片や、おとぼけ答弁のジリ貧政治。片や、なんだか分からない「美しい国」のお仲間政治。

数十年の「信頼」も揺らぎつつあります。相手方が足腰定まらないのですから、ここは一気に「寄り切り」と行きたいところです。

ところが、「内部政局」が大好きな有力者が多い民主党は、大きくまとまるということが苦手です。まとまると「全体主義」に見えちゃうのかもしれません。

ここは一番、「小沢カード」を擦り切れるまで使い切ることだと思います。小沢氏は長く総理をやるつもりはないでしょうから、政権を取ったらこっちのものという感覚で行くべきです。

魚は捕ってから料理する。捕らないうちから皮算用したり、包丁の研ぎ方を議論する必要はありません。。


2008/3/13(木) 石原都知事は辞任すべし・・東京都が融資拡大を指示

出資比率84%の大株主の「要請」とは、実質的には命令です。東京都が融資拡大を要請したということは、石原都知事が融資拡大を要請したということです。

【新銀行東京の融資拡大、都も要請 06年取締役会で】(朝日)
無理な融資拡大に走ったため経営難に陥ったとされる新銀行東京をめぐり、1000億円を出資している東京都が、06年12月の取締役会で「融資残高が目標に届いていない」と、改めて融資拡大を要請していたことが12日、分かった。銀行側が作成した調査報告書では「06年に経営の転換を図るべきだった」として旧経営陣を批判しているが、都の責任を問う声もあがっている。 

都側の資料によると、06年12月の新銀行の取締役会で、都は文書で「融資・保証残高は2819億円で、年間目標額4300億円の達成のためにはなお一段の努力が必要」と申し入れていた。 

新銀行が経営悪化の原因を調べ、10日に公表した報告書では「(開業初年度の)05年度は、その時点の経営選択として、融資残高拡大の姿勢を必ずしも非難しない」としつつ、「1年を経過し、異常なデフォルト(債務不履行)発生を認識した時点で経営転換を図るべきで、06年度の融資での損害は経営判断の責任」と指摘した。 

また、10日に記者会見した新銀行の津島隆一・現代表執行役は「06年7月に取締役会は経営悪化を把握した」と述べている。取締役には都OBもいるが、都側はその後も融資拡大を求めていた形となる。 

当時の都の姿勢について、都産業労働局は「融資先が返せなくてもいいからとにかく貸せという意味ではなかった」と説明。一方で、石原慎太郎知事は「旧経営陣が融資拡大路線に固執した」などと繰り返し強調してきた。都議会野党は「都がやったことは目標達成に向けハッパをかけたようなものだ。責任を押しつけた旧経営陣と変わらない」と批判する。 

【コメント】
石原都知事はこれ以上の言い逃れをすべきではありません。「罪状」は明白。あとは責任の取り方のみ。

客観的に見れば無理だと分かる目標を掲げてばく進する。帝国陸海軍が太平洋戦争でよくやりました。昭和19年、ビルマからインドにかけて遂行されたインパール作戦を想起します。

この惨憺たる敗北を目の当たりにして、責任転嫁しか頭にない石原氏。これまでの彼の言動が全て価値のないものになったということを、本人は気付いていないのでしょうか。

石原独裁都政の末路を象徴する哀れな光景です。


2008/3/12(水) 鉄人28号だ、ブラックオックスだ・・人生百年の楽しみ

人生百年。これから中高年向きに楽しさ追求型商品が開発されるでしょう。

【鉄人28号の敵役「ブラックオックス」商品化 大阪】(朝日)
横山光輝さん原作の漫画「鉄人28号」に登場する敵役の破壊ロボット「ブラックオックス」が、高さ約44センチのヒューマノイド(人間型)ロボットとして商品化されることになった=写真。団塊世代を主なターゲットに、年内にも発売される。

大阪市此花区のロボット開発ベンチャー「ヴイストン」が11日、発表した。同社は05年に「鉄人28号」の二足歩行ロボットも商品化し、約300体を完売している。 

ブラックオックスは、鉄人28号(高さ約38センチ)より一回り大きく、運動性能の高さが特徴。従来より強力なモーター20個を備えている。無線コントローラーで操作し、上半身を使って大きくパンチをくり出すほか、起き上がりの動作もできる。目はオレンジ色に光り、体は光沢のある黒色で重厚な迫力を出した。 

「鉄人28号とブラックオックスはセットでこそ価値がある。ぜひ商品化したかった」と担当者。価格は鉄人28号(40万円前後)を基準に今後、検討する。問い合わせは同社(06・6467・6601)。 

【コメント】
子供の頃、月刊「少年」が発行されるのを楽しみにしていました。

読者にはアトム派と鉄人派がいたように思います。私は鉄人28号が大好きで、本当にワクワクしながら読んだものです。

そこに登場するブラックオックスにはしびれました。鉄人より強いのです。両者の格闘は見応えがありました。

あれから数十年。いつまでもそのときの手応えを感じながら生きていたいと思います。

政治にもワクワク感が欲しいですね。


2008/3/11(火) 麻生氏の提言・・「道州制」

次期総理を目指し、麻生氏が大胆な提言を続けています。

【麻生氏「道州制導入を」 月刊誌に提言】(朝日)
自民党の麻生太郎前幹事長は10日発売の月刊誌「Voice」(PHP研究所)で、道州制の導入を訴える論文を発表した。法人税の地方税化や、消費税の地方分の増額も提言。2月の「中央公論」で基礎年金の全額税方式を主張したのに続き、独自の政策を打ち出した。 

麻生氏は、中央省庁を中心にしたこれまでの政府のあり方について「大成功を収めたが耐用年数は切れた。次に求められるのは地域ごとの特色だ」と指摘。外交や安全保障、司法などの分野を除いて「内政面の仕事を大胆に道州に移す必要がある」と訴えた。 

税制のあり方では法人税の地方税化などを取り挙げて、「中央より地方の方がはるかに現実を理解している。彼らに仕組みを考えさせればいい」としている。 

【コメント】
このところの麻生氏の提言は、野党のお株を奪ってしまえという、歴代自民党政権の手法にならったものです。

「提言」の詳細は分かりませんが、一見するだけでは民主党との違いが分からない内容になっているのだろうと推測します。しかし、自民党政治家の「提言」は、お仲間である官僚機構に骨を抜かれ、出来上がったときには全く別物になってしまうのが通例です。

年金制度の全額税法式もそうですが、民主党がうかうかしているとキャンペーンで負け、有権者が「不良品」をつかまされる恐れがあります。

民主党が政策で勝負する強い決意を持ち、実現性があるという信頼性を確保しておかないと、自民党の「変化球」にやられます。


2008/3/10(月) 進言が届かない組織・・新東京銀行

新東京銀行失敗の責任をどう取るのか。石原都知事の身の処し方が注目されます。朝日新聞の記事を前提とすれば、結論は決まりと思えるのですが。

【新銀行東京、開業3年で役員17人辞任 「進言」届かず】(朝日)
東京都が1000億円を出資し、経営難に陥っている新銀行東京で、05年の開業から3年間で役員17人が辞任していたことがわかった。初期に辞めた役員は放漫経営の見直しを訴えたが聞き入れられず、任期途中の辞任や不再任になった、と複数の元幹部が証言した。辞任した役員は金融に詳しい人も多く、改善されなかったずさんな融資が経営悪化を招く形となった。 

新銀行東京は10日、経営悪化の原因を調べた報告書を石原慎太郎知事に提出する。11日の都議会予算特別委員会で概要が明らかにされる。 

同行は05年4月の開業時、代表執行役(取締役兼務)のほか、執行役5人と取締役6人の役員12人体制だった。役員1人が06年3月に任期途中で辞任し、同6月には4人、同12月には1人と辞任が相次いだ。 

開業時の代表執行役は07年6月に退任。開業3年となった現在、開業時から残る役員は2人だけだ。開業以降に13人が新たに役員となったが7人が辞任し、開業3年で役員計17人が辞任している。 

開業時に役員だった1人は、朝日新聞の取材に「ずさんな融資について取締役会で進言したが、聞き入れられず、見切りをつけた」と話す。開業当初、融資から数カ月で倒産する企業が散見され、対策を求めたが聞き入れられなかったという。「無駄な経費を取締役会で追及した別の役員も相手にされず、最後は辞任した」と証言する。 

06年に辞任した役員6人のうち、4人が大手銀行など金融出身者で、1人は監査法人出身者だった。別の元幹部は「放漫経営を厳しく追及する役員ほど煙たがられ、再任されずに辞めていった」と明かした。 

同行関係者によると、役員だけでなく「行員が3カ月に20〜30人のペースで辞めた時期もある」という。 

同行は、業務を監督する取締役と業務を執行する執行役を明確に分けて経営の健全性を高める「委員会設置会社」の形をとっていた。だが、役員の頻繁な辞任で、その機能が十分には働かなかった。 

【コメント】
東京都が出資比率84%を占めます。その大・大株主が会社に意見が言えないなどということがあり得るでしょうか。

上記記事のような状況があってなにもしなかったのか、不思議です。あまりにもひどすぎます。

会社の責任は経営陣が取ればいい、などという一般論で片付けることは到底困難です。税金を投入した責任者としての監視義務を著しく怠っています。

知事辞任が当然と言える事案です。知事に居座とすれば、見苦しいとしか言いようがありません。


2008/3/9(日) 中央集権の無駄・・道路とマッサージチェア

テレビのコメンテーターが、役人はマッサージチェアが好きなんだなあ、というコメントを発していました。道路特定財源の使い方に関して、様々な無駄が指摘され続けています。

財政破綻が懸念されている我が国で、お金を使わざるを得ない仕組みがあるということです。道路以外の無駄遣いが指摘されていますが、道路建設における無駄も多いのです。

道路における最小コストの追求が、道路特定財源があることで見過ごされ続けました。真の分権を確立し、地域ごとの最小コストを割り出し、費用対効果を考えるべきです。

中央主権システムそれ自体の無駄を象徴するものが道路特定財源です。我々は中央主権のコストを支払わされているのだということを認識すべきです。


2008/3/8(土) 地方分権と暫定税率問題

市町村合併が各地で行われ、基礎自治体の区画が大きくなりました。次は県の合併(「道州制」という名目で)が企画されています。

市町村合併と県の合併とは、地方リストラであり、中央集権が強化される結果になる。

これが私の基本的立場です。合併が正当化されるとすれば、それは地方主権型の合併でなければなりません。

地方自治強化策の一環として合併が推進されるという建前であっても、実体を見抜かなければなりません。自民党流の考え方は、あくまで地方統治の合理化です。

自民党の発想が端的に現れているのが、ガソリンの暫定税率問題です。国土交通省がこの利権を握り地方に君臨しています。中央集権そのものの構図です。この構造を変えなければ、真の地方分権には至らないということをどれだけの政治家(地方の首長も含む)が理解しているでしょうか。

東国原知事(その他の知事も)。あなたは結果として、国土交通省の走狗となってはいませんか。中央集権の追随者となってはいませんか。


2008/3/7(金) 「死刑」と「無期懲役」の改正・・刑法の根本的欠陥

死刑存廃についての議論は、やりはじめると際限がありません。「落としどころ」として考えられるのが、「死刑判決」ができる要件を絞ることと、終身刑の創設です。

【「死刑は裁判員の全員一致で」議員連盟が法改正案提出へ】(読売)
超党派の国会議員による「死刑廃止を推進する議員連盟」(亀井静香会長)は4日、役員会を開き、2009年から導入される裁判員制度で、死刑については裁判官と裁判員の全員一致を条件とする裁判員法改正案などの今国会提出を目指すことで合意した。

裁判員制度では、市民から選ばれた6人の裁判員と裁判官3人が多数決で量刑を決める。

議連では、死刑判決を減らす狙いから、死刑に限り、量刑判断を全員一致とし、全員一致とならずに死刑が妥当とする判断が過半数を占めた場合は、死刑と無期刑の中間的な刑である終身刑とする裁判員法改正案づくりを急ぐこととした。

仮釈放のない終身刑を創設するための刑法改正案も、今国会への提出を目指す。

【コメント】
死刑は必要だと思います。「死刑」があることで、凶悪犯に対して社会が毅然たる態度を示していることが明確になります。

難しい言葉を敢えて使えば、法が実在することを示すべき場合があるということです。

しかし、実際の適用は慎重でなければなりません。誤判の可能性も考えなければなりません。裁判官の1人でも「死刑」に疑義を呈するような場合は、死刑判決を差し控えるのが妥当です。「死刑」というのは、「最終兵器」という位置付けで臨むべきです。

死刑を慎重にというのであれば、現行法の「無期懲役」が実際上有期刑として運用されていることを是正しなければバランスを失します。「死刑」と「無期」に大きな「段差」があることが、現行法の根本的な欠陥です。

真の終身刑が必要です。外国の例を参考にすれば、「懲役300年」という判決があってもいいと思います。


2008/3/6(木) 民主党が旧態依然に見えてしかたがない・・審議拒否問題

民主党は明日の政権党として、もっと堂々と出来ないものか。そう思う昨今です。

自民党には政権担当能力がないと有権者は感じてきています。「それでは民主党」と言いたいのに、その民主党が審議拒否という古い手法しか思いつかないのかという不満ないしは疑問が生まれてきて当然です。

「約束が反故にされた」「与党側の背信行為だ」「議会制民主主義が死んだ」等々。これまで聞き飽きるほど聞きました。この国では、議会制民主主義は何十回、何百回も「死んで」います。それでも議員は議会で頑張るしかないのです。

しかも、自民党とはそういう政党なのだということは誰もが知っていることです。今回始めて知ったかのようにいうのは明らかにおかしい。

参議院が与党多数なら、審議をすれば与党ペースでことが運ぶのですから、その流れを止めなければなりません。そのための審議拒否なら理屈に合います。しかし、野党多数なのですから、参議院で徹底的に政府・与党を追求することが可能です。それにもかかわらず審議拒否では、「頭悪いんじゃないの」というしかありません。

民主党の賢い人が、「審議拒否の準則」を作成し、「手のないときには審議拒否」というような安易な手法に流れないような仕掛けをつくっておいていただきたいものです。

「与党も駄目だが野党も駄目だ」となると、結果は与党有利が過去の例です。


2008/3/5(水) 女性管理職の時代・・りそな銀行で女性管理職増員

これからは、能力のない男性管理職は淘汰されるでしょう。有能な女性に重要な役割を担っていただきたいものです。

【管理職の2割を女性に りそな4行で1200人】(共同通信) 
りそなホールディングスは4日、傘下のりそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行、りそな信託銀行の女性管理職を、2011年度末までに現在の約700人から1200人規模に増やす方針を明らかにした。

管理職に占める女性の比率は、11%から20%程度に引き上げる。大手銀行では異例の高さとなる。同グループは実力のある女性を部長や支店長に積極的に起用することで、営業現場を改革し、企業の活力を高めることを目指す。

りそなグループ4行の正社員のうち女性は約6000人と全体の40%余りを占める。パート社員は約1万3000人で、9割以上を女性が占めている。

女性管理職のうち、本店などの次長、支店長といった幹部クラスの女性は約60人。これを170人に増やす。グループリーダーや出張所長などへの起用も拡大する。

【コメント】
ある名門商業高校では、男女の合格基準を同じにすると女子校になってしまう恐れがあるという話を聞いたことがあります。そうなると、名門野球部も存続が困難になります。それが理由かどうかは別として、男女の合格最低点が違うようです。

勉強ということで判断する限り、女子の方が上回っています。ところが、男女の役割分担というこれまでの通念が邪魔をしてきました。

また、「女の子」には選択肢が多く、「可愛く生きる」方法もあります。就職しても、日本では若い女性がちやほやされるため、真の能力開発ができなかったという面があります。

結婚退職という、女性の願いなのか男性社会の論理なのか分からない慣行が、女性の社会進出の足枷になってきた面も否定できません。

これからは、女性の能力開発を積極的に押し進め、管理職に登用する企業が躍進する可能性があります。

地方においても同様。いや、都市部以上に田舎では女性の登用が必要です。地方には有能な女子が残るケースが多いので、女性の能力開発の余地がかなりあると見込まれます。

場所ふさぎのオッサンはどいてくれ。そういう時代になってくることを予見し、男性諸君は頑張らなければなりません。


2008/3/4(火) 羽生が出てきた(将棋名人戦)・・政治も「読み」だ

何時、「羽生名人」が復活するのかと心待ちにしてましたが、今回はやってくれるかもしれません。

【将棋:羽生王将、森内名人に挑戦へ 第66期名人戦】(毎日)
第66期名人戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)A級順位戦の最終9回戦の5局が3日、東京・将棋会館で一斉に行われ、羽生善治王将(37)が谷川浩司九段(45)を降し、8勝1敗の成績で森内俊之名人(37)への挑戦権を獲得した。羽生の名人挑戦は3期ぶり。5連覇を目指す森内との七番勝負第1局は4月8、9日、東京都文京区の椿山荘で行われる。

◇“宿命のライバル”が再び対決

“宿命のライバル”が再び将棋界最高峰の舞台で対決することになった。3日、東京・将棋会館で行われた第66期名人戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)A級順位戦の最終9回戦。羽生善治王将(37)は永世名人(十七世)資格者の谷川浩司九段(45)を短手数で降し、8勝1敗の好成績で森内俊之名人(37)への挑戦権をつかみとった。

羽生は94〜96年、名人戦3連覇。03年には森内から名人位を奪取した。だが、勝てば通算5期で永世名人の資格を得られた04年、森内に名人位を奪い返された。

一方、森内は05年に羽生の挑戦を退け、06、07年も防衛して4連覇を達成。羽生より先に永世名人(十八世)の資格者となった。

森内と羽生の名人戦での対決は96、03〜05年に次いで5回目(過去は2勝2敗)。羽生が勝てば、森内に続いて永世名人(十九世)の資格を獲得する。

【コメント】
森内名人が羽生氏より先に「永世名人」になるとは思っていませんでした。今回羽生氏が勝てば、羽生氏も永世名人。

現在の将棋界はコンピュータ同士の戦いという感があります。お互いが猛烈な研究をしているようです。その中で、個性的な一手で勝利を手にするのですから、並大抵ではありません。

最近将棋をやっておらず、たまにコンピューターソフトと戦うと負けてしまうのですが、今回の名人戦をじっくり鑑賞して、もう一度趣味にしようかなと思います。

政治の世界では、一手先しか読めない人が多いようです。最低、「三手の読み」は実践して欲しいところです。

民主党政権樹立後に官僚の抵抗があり得ます。政権交代後に起こりうる官僚側の情報操作にどう対抗するのかということも、課題になってきます。特に、改革断行となった段階が要注意。

大阪の橋下知事の改革がどうなるのかも見ておく必要があります。テレビが注目している間は黙っている勢力が、盛り返してくるときが来るでしょう。そのときの対策や如何に。公務員叩きだけやっている分には、まだ安泰でしょうが・・


2008/3/3(月) 「18歳成人」は駄目か・・反対多数だが

女性の反対が66%。「精神的に未熟」。18歳成人は駄目なのでしょうか。

なんだか、政権交代をためらう国民心理に通ずるものがありそうです。

【<毎日世論調査>「18歳成人」6割が反対 精神的に未熟だ】(毎日)
毎日新聞が1、2の両日に実施した電話による全国世論調査で、成人年齢を18歳に引き下げることの是非について尋ねたところ、「反対」との回答が60%を占め、「賛成」の36%を大きく上回った。男女別では女性の66%が「反対」、男性は52%にとどまり、女性に「反対」の回答が目立った。鳩山邦夫法相は先月13日、民法を改正し「成人」年齢を引き下げるかどうかについて法制審議会に諮問したが、国民の間では慎重論が根強いことをうかがわせた。

反対の理由は「精神的に未熟だから」が69%と圧倒的に多く、「18歳から飲酒・喫煙が認められるのが心配だから」(16%)▽「親の許可なく消費契約を結べるのが心配だから」(14%)を大きく離した。また年代別にみると、男性の30〜50代は「反対」と「賛成」がほぼ拮抗(きっこう)していたが、女性はどの年代も「反対」が6割を上回った。18歳前後の子どもを持つ主な世代にあたる40代女性は「反対」が7割を超え、各年代でトップの73%だった。

一方、賛成の理由を見ると、「若い人に自覚を促し、責任を持たせることができるから」が62%で最も多く、「十分に責任をとれる年齢だから」(29%)、「18歳成人が、欧米各国の主流だから」(9%)を上回った。 

【コメント】
18歳を迎える年度の初め、4月1日(あるいは4月2日)にその学年(高校3年)全員を「成人」とすべきだと考えます。

子供の頃から、4月にはその年度に生まれた子は一斉に入学し、進学してきたのですから、「成人」においても同様に扱うべきです。その方が、学校教育もやりやすいはずです。

我が国で民主主義が成熟しない一因は、社会の勉強を一番やっている高校生時代に主権者として振る舞う実践がないからです。高校生に選挙権を与えれば、見違えるほど大人になるでしょう。

むしろ未熟なのは、今の大人です。先進国でありながら、政権交代を逡巡する決断力なき有権者を多数抱えることを不名誉に思うべきです。自民党に政権担当能力が無くなって久しいのですから。


2008/3/2(日) 「ねじれ国会」とは供給者側の発想

「ねじれ国会」で法案が通らない。国民生活に影響がある。

だから。

ということで、政界再編だ、大連立だ、という声が出てきます。

これは、政治家の都合によるものだという認識が必要です。言い換えれば、政治の供給者側の発想。これを言い立てるマスコミも、供給者側の発想に立っています。

政治の消費者=国民の立場からすれば、現在の政治状況の方が国民の意思が政治に反映し易いはずです。この状況を活かす前提で、政治家が努力する必要があります。

政治家にとっても国民にとっても、未体験ゾーンに立っているということは言えるでしょうが、そういう状況に適応してこそプロであると思います。最終決着は選挙で、という前提の下、様々な試みがなされるべきときです。

小沢氏がチャレンジした「大連立」に反対ではありません。しかし、期間とテーマを区切り、野党政治家が「閣僚」として政権担当能力を磨く場として活用し、選挙前に連立を解消して、国民が小選挙区制で政権選択を行うということでなければなりません。


2008/3/1(土) 子供を預けて働ける社会・・労働力不足と少子化

今後、労働力の不足が大きな社会問題になる可能性があります。女性に働いてもらうことで解決することが考えられます。

女性が働くことで家計が安定し、少子化に歯止めが掛かることも期待されます。

【子どもを預けて働ける社会を…厚労相・少子化相が作戦発表】(読売)
 
舛添厚生労働相、上川少子化相は27日、厚労省で記者会見し、10年後をめどに希望する全員が子どもを預けて働ける社会の実現を目標に掲げる「新待機児童ゼロ作戦」を発表した。

厚労相は「就労と子どもの健全育成との両立を、出産前から就学後まで切れ目なく支援する」と述べた。

福田首相はこれに先立ち、両閣僚を首相官邸に呼び、「3年くらいは集中的に取り組んでほしい」と指示した。これを受け、新作戦では「今後3年間を集中重点期間とし、取り組みを進める」と定めた。政府は、作戦に盛り込んだ施策を2008年度から順次、実行に移し、2017年の目標達成を目指す。

厚労省の調査などで「子どもを預けられるなら働きたい」という親が多かったことを踏まえ、新作戦はこうした「潜在的な待機児童」にも目を向けた数値目標を設定した。

【コメント】
厚労省が存在感を示すことが目的であったり、予算獲得の方便だったりするのでは困ります。

縦割り行政から脱却して、子供と働く女性の側から行政を再構成する発想がなければ、厚労省の縄張りが広がるだけになる可能性があります。

地方においては、女性が活躍する場を増やすことが地域振興につながります。

地位があって働きのない「場所塞ぎ」の男が地方に多すぎるように思われます。女性の能力を開花させることに成功した地域が繁栄する。そのくらいの意識で取り組まなければならない課題です。


さるさる日記:【ずーっと輝こうライブ・管理人日記
ずーっと輝こうライブ in 町家】(私が「管理人」です)


玉井彰の一言 2008年3月 四国の星ホーム一言目次前月翌月