玉井彰の一言 2008年4月 四国の星ホーム一言目次前月翌月

2008/4/30(水) 問責決議より徹底審議を・・参議院でやり込めろ

民主党が参議院での問責決議案提出を先送りするようです。野党側の「宝刀」が空振りに終わってはどうしようもありません。慎重な配慮が必要です。

民主が首相問責先送り、高齢者医療で攻勢【読売】 
民主党は28日、福田首相に対する問責決議案提出の先送りを決めた。可決すれば審議拒否せざるを得ず、審議拒否への世論の批判を浴びるよりは、国会で後期高齢者医療制度(長寿医療制度)などの問題点を浮き彫りにすることが賢明だと判断したためだ。

「福田内閣は、もう問責を受けたようなものじゃないか」

小沢代表は28日夕の菅代表代行や鳩山幹事長らとの幹部協議で、民主党が勝利した衆院山口2区補選を振り返り、上機嫌で語った。

問責決議案の取り扱いは「今後10年間のガソリン税収を道路特定財源に充てる道路整備費財源特例法改正案を、与党が5月12日以降に再可決するかどうかを見極めた上で判断する」と、あっさり決まった。

今後は、道路特定財源問題、後期高齢者医療制度、年金問題の「3点セット」で政府・与党を追い込む考えだ。特に後期高齢者医療制度を巡っては、衆院山口2区補選での大きな勝因になったと見ており、政府に廃止を求めていく方針だ。

参院でただちに問責決議案を可決した場合、6月15日の会期末まで40日以上の審議拒否を強いられかねないことへの不安が党内に根強かったことも、決議案の提出先送りに作用している。長期の審議拒否は「後期高齢者医療制度への批判で党に追い風が吹いている状況を一変させる危険性がある」というわけだ。幹部協議に先立つ副代表会議でも、前原誠司副代表が「審議拒否しても国民の批判を浴びる。早々に問責を出すことには賛成しかねる」と発言。「問責決議案は1国会1回限りだ。もっとも切れ味のいいところで出すべきだ」などの意見も出て、慎重意見一色となった。

問責決議案が可決されても首相が辞任や衆院解散に踏み切る見通しがないことも、提出をためらわせた。石井一副代表は記者団に、「(首相は衆院解散・総選挙を)やらない。意味のないことをしてもしょうがない」と語った。問責決議案が無視される前例を作れば「伝家の宝刀」の価値がなくなる、との考え方だ。

共産、社民、国民新の各党も早期提出に否定的な声が強かった。28日の野党4党の国会対策委員長会談では、国民新党の糸川正晃国対委員長が「タイミングは今か、慎重に考えた方がいい」と先送りを求めた。社民党の日森文尋国対委員長も「4野党が一致して与党に対峙(たいじ)することが一番大事だ」と述べた。

【コメント】
野党が参議院で多数派を握っているという状況の中では、従来型の抵抗戦術は却って民意を無視したことになります。

野党には自民党の悪政を参議院で徹底的に究明・糾弾することが期待されています。

ガソリンの暫定税率にしても、後期高齢者医療制度の問題にしても、国会で徹底的な議論が必要です。参議院には江田議長がおり、野党優位の委員会もあるのですから、とことんやれる環境にあります。

この状況を活用できなければ、政局あって政策なしという批判が沸き起こってくるでしょう。

首相問責決議は、最後の最後に出す切り札ないしは「引導」という理解をしておくべきだと思います。


2008/4/29(火) 「暫定税率」復活の意味・・権力構造の護持を優先

山口2区の補選に完敗した自公政権が何故暫定税率復活にこだわるのでしょうか。

通常のテーマであれば、「最新の民意」を受けて路線変更しそうなものですが、この「打ち出の小槌」を手放すと現在の権力構造が崩れてしまうという危機感があるからでしょう。

2兆6千億円もの「臨時収入」を道路に使うことで関連業界を潤し、地方において政権政党を支持する政治構造を築き上げてきました。このシステムを失うことは、次期選挙において個々の国会議員の選挙基盤を失うことにつながります。

内閣支持率が危険水域に達しようがどうしようが、この権力構造は維持したいのです。一内閣の存立を上回る価値が政権側にあるということです。

それでは、何故一般財源化するのでしょうか。「道路特定財源」という説明では持たなくなってきたからです。中央集権のシステムが温存されていれば、一般財源化されても国の予算を地方に運ぶという「与党国会議員の存在意義」は確保されます。

なにがなんでもという決意を、国民生活向上のために持ってくれる政権でないことは確かです。国民本位の政治なのか、業界本位の政治なのかが、分かりやすい状態になりました。


2008/4/28(月) ハナミズキ

松山市の街路樹として、ハナミズキが植えられています。松山市はアメリカ・サクラメント市と姉妹都市です。国際的な都市交流を記念するものです。松山市千舟町で撮影。


2008/4/28(月) 「長州陸軍」の敗北・・衆院補選、民主勝利

民主党・平岡秀夫氏当選。11万6千票、2万2千票の差。

【「年金・医療を重視」平岡氏に、共産支持層も上積み】(読売)
読売新聞社が27日に実施した衆院山口2区補選の出口調査によると、選挙の争点として重視したことに「年金・医療」を挙げた有権者は38%に上り、最も多かった。

このうち67%は民主党の平岡秀夫氏に投票し、自民党の山本繁太郎氏への投票は29%にとどまった。後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に対する不満が、平岡氏への支持に結び付いたようだ。

政府・与党がガソリン税の暫定税率を復活させる方針を示していることについて、賛成は31%で反対の62%が上回った。反対と答えた有権者の投票先を見ると、平岡氏が79%に達した。暫定税率復活に対する有権者の理解は進まず、平岡氏の得票を押し上げる結果となった。

投票行動を支持政党別に見ると、自民支持層は72%が山本氏に投票したが、平岡氏への投票も25%となった。公明支持層は8割弱は山本氏と答えたが、2割は平岡氏に流れた。

民主支持層では平岡氏への投票が95%を占めた。

支持政党のない無党派層は平岡氏の73%が山本氏の21%を引き離した。

今回の選挙で公認候補を立てなかった共産党の支持層は9割超が平岡氏に投票した。自民、民主、共産の3党公認候補が争った前回選挙(2005年9月)では、共産支持層は6割弱が共産党候補に投票し、自民、民主両党候補への投票がそれぞれ約2割だった。自民、民主両党候補の一騎打ちとなった今回は、共産支持層も平岡氏の得票を伸ばしたことになる。調査は衆院山口2区の投票所48か所で行い、投票を終えた有権者1607人から回答を得た。

【コメント】
後期高齢者医療制度、ガソリンへの課税の両方が、自公政権にとってダメージになったということです。

次回衆院選についての教訓として、自公政権への批判票が共産党からも多数流れていくことが今回明らかになりました。

自民党は陸軍、民主党は空軍。大雑把な評価として、そういう理解が可能です。公共事業等でお金を国から引っ張ってくる自民党は、選挙で地元組織を引き締めて勝利してきました。組織の力量への評価として、「陸軍」という言い方が妥当します。

長州は歴代総理を輩出し、公共事業が群を抜いて多いところです。この長州陸軍が大差で敗北したことで、幕末の日本史を思い出しました。

長州征伐(征討)。徳川幕府は第二次長州征伐に躓き、倒幕への流れをつくってしまいました。今回は逆パターンで「幕府」が滅ぶ契機になります。


2008/4/27(日) 民主党、10年・・「よくまとまれている」が正解

民主党については、内部の不協和音がニュースになります。下記の読売の記事のような評論が成り立つのかどうか。考えてみます。

【民主、結党10年…もろさ変わらず結束維持が課題】(読売) 
民主党は27日、結党から10年を迎えた。小沢代表の下、昨年7月の参院選で勝利し参院第1党となり、次期衆院選で政権交代をうかがう勢いだ。

だが、結党当初からの課題である寄り合い所帯のもろさは解消されたとは言い難く、結束の維持が課題だ。

小沢氏は26日、東京・代々木公園で開かれた連合系メーデーであいさつし、「国民の生活を立て直すためには、政権を代えて、日本の大掃除をしなければならない。政権交代の大事業をやり遂げよう」と訴えた。

小沢氏は、2003年9月に旧自由党勢を率いて民主党に合流した。悲願の政権獲得のためには、民主党の最大の支持団体である連合との連携強化が不可欠だと考えている。

一方、結党10年の節目に当たり、民主党を創設した鳩山幹事長と菅代表代行の2人はそろって、党内の結束を訴えた。

鳩山氏は25日の記者会見で「小沢代表の下で団結力の備わった政党に成長してきた。地域主権の国家に変えていこうという民主党の考え方の原点に立ち戻って、政権交代の思いを皆で共有していくことが必要だ」と語った。

菅氏も記者会見で「もっと早い時期に政権交代が実現できる気持ちで取り組んできたが、たどり着いていない。わが党にとって最も必要なことは、我慢するところは我慢するという体質だ」と指摘した。

民主党は1998年4月に旧民主、民政、新党友愛、民主改革連合の4党から、衆院93人、参院38人の計131人が参加して結成された。以後、国政選挙のたびに議席を増やしてきたが、05年9月、当時の小泉首相が郵政民営化を争点に据えた衆院選で大敗。06年4月に代表に就任した小沢氏の下で党勢を立て直し、昨年の参院選勝利に結びつけた。

小沢氏の求心力は「選挙に強い」という党内の評価に基づいている。衆院解散・総選挙の機運が遠のけば求心力の維持に腐心しなければならない。党内には、日銀の正副総裁人事で3度の不同意を連発するなど、政府・与党と徹底的に対決する小沢氏の戦術に違和感を覚える声も少なくない。

9月には、代表任期の満了に伴う党代表選が予定されている。若手衆院議員からは「福田首相を衆院解散・総選挙に追い込むという小沢氏の言葉を信じて、どんな国会戦術にも従う。だが、解散に追い込めなかった場合は、代表選で小沢氏に責任を取ってもらう」との声も出ている。

【コメント】
一定以上の大きさの組織では、必ずと言っていいほど、路線をめぐる対立が出てきます。問題は、その処理の仕方です。

「粛正」(殺すということだけではなく、強権的に排除する場合もその一形態です)という手段を取る場合があります。全体主義的手法です。

民主的な組織においては、討論の場で主張を展開しあい、通常は多数決で決着を図ります。その前段階で、報道機関が対立を助長する記事を書いて煽るのが通例です。

民主党の場合、様々な報道や憶測が乱れ飛びんでいますが、全体としてよくやっているし、大多数の国会議員には自制心があると思います。

自民党のように権力という接着剤がなく、しかも、旧社会党的な体質を引きずる方々が残存する中で、よくまとまっているという評価が一番公平なのではないでしょうか。

しかし、そろそろ権力を奪取しなければなりません。


2008/4/26(土) またまた三丁目の夕日

今日も灘町三丁目交差点に立ちました。一日一日、夕日はその位置を変えていきます。観察していると、毎日が同じではないことが実感として分かります。夕日が夕焼け通りの北にスライドしていきます。そして、夏の到来。


2008/4/26(土) 立て!万国の高齢者・・・高齢者心得3箇条

超高齢社会です。高齢者に求められるのは、自立です。甘えは許されません。65歳の人には、我が国に2千数約万人の「先輩」がいます。2千数百万番目の人に甘えられていては国が持ちません・・

というような国家の論理はさておき、高齢者(この言葉もどうかと思いますが、一応使います)としての心構えを確立することで、有意義な人生(後半)を送ることを考えるべきです。

その心構え3箇条。(1)若ぶるな(2)偉ぶるな(3)恥を知れ。

第1の「若ぶるな」というのは、卑屈に若者に迎合し、年より若く見られたいなどという主体性放棄をするなということです。新たな美の基準をつくり出し、尊敬される高齢者像を確立すべきです。

第2の「偉ぶるな」というのは、過去の栄光にこだわったり、企業社会での序列にとらわれるのではなく、新たな価値を主体的に生み出す努力をすべきであること、そして、そのために高齢社会の「新人」としての謙虚さを持つべきであるということです。

第3の「恥を知れ」ということは、規範の基準を外に設けろということではなく、自らに対してという意味で言わせてもらいます。「最高水準の(であった)自分」に対して恥ずかしくない生き様を見せろということです。年齢を重ねるということは、それだけ深くなるということです。最高水準にある(あった)自分から見て、現在の自分がより深い境地になければ、それを恥ずかしく思う気持ちが必要です。

若ぶるな、偉ぶるな、恥を知れ!


2008/4/25(金) 今日の三丁目の夕日

昨日、今日と、夕刻のひととき、灘町三丁目交差点に立ちました。田舎町なのに、ひときわ呑気な男に見えるようです。しかし、夕日にワクワクする気持ちを何時までも持ち続けていたいと思います。


昨日の写真は、下の記事を見ていただくとよく分かります。まだまだ初心者の域を出ていないことを痛感します。


2008/4/25(金) 五色姫ブロンズ像

伊予市の中心市街地活性化施設である手づくり交流市場「町家」に、五色姫ブロンズ像があります。


2008/4/25(金) 牛肉輸入禁止ができない植民地行政・・主権在米

米国産牛肉に「特定危険部位」混入。即、輸入禁止措置がなされるべきです。それができない日本政府。

主権はどこにあるのかが問われます。

【「日米協議に直接の影響なし」沈静化に懸命 米牛肉問題】(朝日)
米国産牛肉に「特定危険部位」が混入していた問題で、政府は輸入禁止措置はとらず、米側への対日輸出条件の徹底申し入れと抜き取り検査の強化にとどめる方針だ。米側が輸入条件の緩和を求めている日米協議についても、「今回の事件で直接影響があるとは思っていない」(町村官房長官)として、沈静化に懸命だ。 

福田首相は24日夜、記者団に対し、「今回の件は遺憾なこと。早速、米国に対し、クレーム(抗議)をした」と語った。日米協議に与える影響については、「科学技術的な面から検討している最中。検討状況をみて判断していく」と述べるにとどめた。 

米国産牛肉を輸入禁止にしない理由について、町村氏は24日の記者会見で、06年1月に特定部位の混入が見つかって半年間の輸入禁止措置をとった時と比べ、「今回は事情が全く異なる」と説明した。「(前回は)米農務省より『日本向け骨付き肉』と誤った署名(表示)がなされていた。単なるミスというよりシステム的な誤りで厳しい措置をとった」というわけだ。 

町村氏は「必要な見直しはやったうえで、今のシステムはいいんだろうという判断をしている」とも述べ、現在の検査システムを変更する必要はないとの認識を示した。 

だが、「危険部位混入」ではないものの、違反事例は06年7月の輸入再開以降これまで7件あり、今回で8件目。当初はラベルのはり間違えなど手作業での単純ミスだったが、今年1月には肉の識別ソフトの設定を間違え、日本の輸入条件である「生後20カ月以下」に反する「21カ月」の肉が混入していたことも発表された。 

8件のうち6件は、今も「生後20カ月以下」を満たしているか確認できていない。今回の事件でも、問題の工場を訪れた関係者は、大型で機械化の進んだ工場でなぜ1箱だけ危険部位が入ったのか考えにくいと指摘する。 

【コメント】
私が子供の頃、金曜日の午後8時から三菱電機の提供で、ディズニーランドの放送とプロレスの放送とが隔週で放映されていました。

プロレスは力道山。悪い「外人レスラー」をやっつけてくれました。その過程で、必ず「外人レスラー」が反則をするのです。反則はテレビを見ている全員に見えているので、国民は怒りに震えました。ところが、レフリーには見えていないのです。

力道山もなかなか怒ってくれません。国民が力道山の何倍も怒り、レフリーの無能さ加減にほとほと呆れ返ってしまった頃、追い詰められた力道山が怒り、空手チョップで「外人レスラー」をやっつけるという展開でした。そのシーンを目撃して快哉を叫び、安眠することができました。

もちろん、シナリオのある格闘劇でした。しかし、当時の国民感情を背に受けた抜群の演出でした。太平洋戦争で敗北して鬱屈していた国民が、力道山の空手チョップに夢を託したのです。

ところで、「違反事例」が繰り返され、牛肉に「特定危険部位」が混入していても、我が政府は「空手チョップ」を繰り出してくれません。

国民が今の何倍も何十倍も怒り狂わないと、このへなちょこ政府はどうにもなりません。植民地の支配人のような有り様です。

「主権はどこにあるんだ」

この問い掛けが必要です。


2008/4/24(木) 灘町三丁目の夕日

伊予市灘町三丁目交差点より、本日夕刻撮影。

灘町通りと夕焼け通りとが交差点するポイントが灘町三丁目交差点です。この交差点から見て、夕焼け通りに日が沈む光景が最高です。4月と8月、2回のチャンスがあります。


2008/4/24(木) 「廃県置藩」と呼ぶべきか・・民主党、300自治体構想

明治維新において廃藩置県を断行。中央集権国家としてキャッチアップを果たした我が国が、遅ればせながら分権国家としてのモデルチェンジを行うべきときが来ました。

小沢一郎氏がかねてより主張しているのが、300の基礎自治体です。

【民主政権構想、今夏にも提言 榊原元財務官ら】(朝日)
元大蔵省財務官の榊原英資早大教授が23日、東京都内で記者会見し、稲盛和夫京セラ名誉会長、福川伸次元通産事務次官、シンクタンク・構想日本の加藤秀樹代表ら約10人で5月に有識者会議を立ち上げ、民主党の「政権構想」を今夏に提言する方針を明らかにした。 

榊原氏によると、政府と与党を一体化し国会議員を各省庁に送り込む「霞が関改革」や、全国を約300の基礎自治体に分割し行財政の権限を移譲する地方分権改革が柱になる。外交、年金、医療、教育の改革方針も示すという。榊原氏は「制度を部分的に変えても既得権益のネットワークは壊せない。思い切った国家改造計画、平成維新案にしたい」と述べた。 

【コメント】
小沢氏の主張する300基礎自治体というのは、「県」や「道・州」抜きの発想です。

「廃県置藩」とでも呼ぶべきものです。そうだとすれば、かなり無理な市町村合併を行う必要があります。平均すれば40万人ですが、人口10万人を掻き集めることがやっとの地域もあるでしょう。そうなると、基礎自治体の大きさ(人口、面積)には大きなバラツキが出てきます。

農業主体の江戸時代とは地方の状況が異なります。過疎地域で広大な面積を有する人口10万人の基礎自治体に、人口300万人の大都市と同様の権限を与えて大丈夫かという議論が必ず起きるでしょう。

これといった産業のない弱い自治体が、「県」や「道・州」というような中間団体ないしは「行政の卸売問屋」抜きでやろうとすると無理が生じます。そうした懸念はあります。そこには何らかの調整が必要になります。しかし、地域に自立の気概があれば、不可能な話ではありません。

私は市町村合併反対論者ですが、「行政の卸売問屋」が「中間搾取団体」と化している現状を見る限り、やってみる価値のある改革だと思います。


2008/4/23(水) 優秀な奴を競わせろ・・学テは地方分権に逆行する

昨年から再開された全国学力テスト。やらないよりやった方がいいという評価もあり得ます。しかし私は、地方分権に逆行するものだと考えます。

【実生活活用型の出題目立つ 全国学力テスト終了】(共同通信)
文部科学省は22日午後、全国の小中学校で一斉に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、問題の内容や出題意図などを発表した。文科省は基礎的知識を問うA問題、知識の活用力を調べるB問題いずれも、昨年と出題の領域や分量に大きな変更はないとしたが、A問題でも学校生活や行事を題材にした問題が目立つなど、実生活での活用を意識した出題傾向が強まった。

児童生徒に生活習慣などを尋ねるアンケートは、質問項目を約25%削減する一方、授業への興味や関心を聞く質問を追加。学校への調査も、昨年のテスト結果を授業や指導に生かしているかどうかを聞く項目を加えた。

文科省によると、テストはインフルエンザによる学級閉鎖などで実施できなかった一部の学校を除き、大きなトラブルもなく終了。5月から採点作業に入るという。

【コメント】
中央主導で画一的な人材を大量生産しても、これからの国際社会では通用しません。今回の学テでは様々な工夫がされているようですが、所詮は「徳川幕府の改革」に過ぎません。

地方が主体的に考え、生徒の能力開発を行うという姿勢ではなく、文科省の指導に従って間違いを起こさないことを考えるだけの学テにどれだけの意味があるでしょうか。地方分権を阻害するだけです。

機関車と客車の関係。これが中央集権下における中央と地方の関係でした。この関係を打破して、地方がそれぞれに機関車(電車)になっていかなければなりません。

真の地方分権(地方主権型社会)を目指すなら、各地に150km/h〜160km/hの「剛速球投手」を育成していかなければなりません。

どうせやるなら、「甲子園大会」を行うべきです。各県で優秀な生徒を100人選抜します。この100人のチームで全国大会制覇を目指します。団体賞と個人賞があってもいいでしょう。

「学力甲子園」で優勝するために、各地で切磋琢磨する方が有意義です。それも、左脳型ではなく、右脳型のチャンピオンに登場してもらえるようなテストにすべきです。「優秀」の内容こそ問われます。

そうなると、音楽、美術、文芸なども見直されなければなりません。文科省ではなく、民間主導の方がいいかもしれません。「アンパイア」は必要ですけれども・・


2008/4/22(火) 小沢一郎と「革命的分権」・・政権交代と地方自治の夜明け

榊原英資の新著「政権交代」に民主党・小沢代表との対談が収録され、その中で自らの政権構想の一端を述べています。

【「革命的分権」「与党が閣僚補佐」小沢氏が政権構想素案】(朝日)
民主党の小沢代表が、25日発売の『政権交代』(文芸春秋)に収録される元大蔵省財務官の榊原英資早大教授との対談で、自らの政権構想の素案を明らかにした。近く榊原氏ら官僚OBや経済人らが政策提言会議をつくり、小沢氏は会議の提言を受けて、政権構想を具体化する考えだ。 

小沢氏がこの時期に政権構想を語ったのは、「年内に解散総選挙がある」(小沢氏)との見通しから、首相就任を視野に政権構想を早く固めておくためだ。9月の党代表選での再選戦略も兼ねており、次期衆院選の民主党のマニフェスト(政権公約)に反映させる考えだ。 

『政権交代』は榊原氏の新著で、日本政治における政権交代の必要性を訴える内容となっている。榊原氏は小沢氏とは大蔵官僚時代から親交があり、ブレーンとされる。03年総選挙では民主党政権獲得時の閣僚名簿に財務相として名を連ねた。 

榊原氏は、稲盛和夫京セラ名誉会長ら経済人、福川伸次元通産事務次官ら官界OB、非営利シンクタンク・構想日本の加藤秀樹代表らと共に「政権構想」を提言する会議を近く設立する予定だ。 

小沢氏は榊原氏との対談のなかで、93年に著した『日本改造計画』で主張した「規制緩和」に言及。「この10年ほど市場の開放を進めてきたが、どんどん外資が入ってきて怖くなって、また閉じる方向に行っている。世界から見て魅力がない。資本も逃げて行っちゃう」と語り、必要性を改めて強調した。 

地方分権については、やはり『日本改造計画』で主張した「全国を300の基礎自治体に分割する構想」を踏まえ、「明治以来続く行政制度について革命的改革をやる。政府は外交、安保などの国家的な課題に専念し、あとは全部地方に任せてカネも権限も渡す」と述べた。 

小沢氏は首相がリーダーシップを発揮するために「与党と内閣の一体化」が必要だと訴えてきたが、対談では、今の政府と与党の関係について「都合が悪い時は『党が反対してる』『政府が勝手に決めた』とごまかしている」と批判。「イギリスでは閣僚を補佐する閣外大臣や副大臣ら100人ぐらいが与党から公職に就く。これは絶対やりたい。与党になったら党に別建てで政調のようなものを設けることはしない」と明言した。 

高齢化対策としては、高齢者の農業従事を推進する考えを示し、「最初から農業継げなんていうから嫁さんも来ない。ほどほどの年になってから農業をやればいい。健康にもいいし、財産も残る」と主張した。 

【コメント】
私が民主党政権を熱望するのは、政権交代によって革命的な地方分権が進展するであろうと予想するからです。

政官業癒着の現政権下で真の地方分権を期待するのは、正に「木によりて魚を求む」ものに他なりません。

明治維新において廃藩置県が断行され、「富国強兵」の旗印の下、中央集権体制により欧米列強に追い付き追い越すという国家目標が掲げられました。その途中、太平洋戦争での挫折を乗り越えて中央集権体制は生き残り、戦後復興を果たしました。

欧米に匹敵する豊かさを実現した1980年代に、我が国はモデルチェンジをすべきでした。それができないまま今日に至っています。

小沢一郎氏の自民党離党から十数年もたつきましたが、今、政権交代への機運が醸成されつつあります。しかし、福田政権の支持率が低迷していても、衆議院選挙はそれほど甘いものではありません。このままでは、自民党も民主党も勝てないという結果が予想されます。

現在注目されている後期高齢者医療制度や年金、ガソリンなどの争点が衆議院選挙まで「カード」たりうるかどうかは不明です。小沢氏の政権構想が具体的に語られることが期待されています。

地方自治の夜明けが、小沢政権実現によりもたらされることを祈念します。


2008/4/21(月) ガソリンから後期高齢者医療制度へ・・山口2区は民主が勝つ

ガソリンの暫定税率が政局の中心でしたが、ここへ来て「後期高齢者医療制度」が大きな関心事となってきています。

【内閣支持25%、不支持60% 本社世論調査】(朝日)
朝日新聞社が19、20の両日実施した全国世論調査(電話)によると、福田内閣の支持率は25%で、3月29、30日の前回調査の31%を大きく下回り、内閣発足以来、最低だった。不支持率は60%(前回53%)。内閣支持率が20%台に落ち込んだのは、07年7月に自民党が参院選で大敗した直後の調査で、安倍内閣の支持率が同内閣で最低の26%となって以来のことだ。

内閣支持率を年代別にみると、70歳以上で前回は支持46%、不支持34%だったのが、今回は支持36%、不支持50%と逆転している。また、50代の支持率は20%にとどまっており、4月から始まった後期高齢者医療制度に直接かかわる人たちや、その子にあたる世代への影響が目立つ。 

内閣不支持の人に理由を聞くと、69%が「政策の面から」を選び、「自民党中心の内閣だから」(17%)、「首相が福田さんだから」(5%)などを引き離している。 

また、後期高齢者医療制度について聞いたところ、この制度が始まったことを「評価しない」が71%にのぼり、「評価する」は18%だった。「評価する」は内閣支持層でも34%にとどまり、「評価しない」の51%を大きく下回った。 

ガソリン税の暫定税率を衆議院での再議決で復活させることについては、賛成が24%、反対が63%。暫定税率の期限が切れてガソリン価格が下がる直前の前回調査では賛成24%、反対61%で、今回もほぼ同じ傾向だった。自民支持層でも賛成47%、反対40%と意見が分かれている。 

政党支持率は自民が前回の31%から大きく下がり26%。民主の22%(前回20%)と接近した。 

【コメント】
山口2区の衆院補選は、各種世論調査で民主党の平岡秀夫氏がリードしている模様です。その背景に、後期高齢者医療制度への批判があります。

「後期高齢者」とは、75歳以上の高齢者を指します。平成18年時点で、65歳以上の高齢者が全国で2640万人います。65歳以上74歳以下の前期高齢者が1432万人(総人口の11.2%)、後期高齢者が1208万人(同9.5%)です。近年、後期高齢者は前期高齢者の伸びを上回る増加数で推移しています。

後期高齢者医療制度は、不採算部門である後期高齢者の部分を切り離し、医療への依存を抑制してもらおうという意図によるものです。

「死ねというのか」という、新聞が飛びつくような批判が出てきており、こういうタイプの批判は燎原の火の如く燃え広がるのがこれまでの通例でしたから、政府にとってかなりの痛手になるものと予想されます。「長寿医療制度」などと言い繕っても、時既に遅しです。

ガソリンで現役世代を敵に回し、さらに、「後期高齢者医療制度」で人口の1割を占める後期高齢者、およびその予備軍(前期高齢者)、併せて人口の2割強を敵に回してしまったということです。

山口2区は民主が勝つでしょう。自民が惨敗するかどうかがポイント。


2008/4/20(日) 山口2区有権者は国民として投票できるか・・「ねじれ」への結論が必要

参議院多数を野党が占めていることから、「ねじれ国会」という言葉が横行しています。これはあくまで、政治の供給者側(報道機関を含めて)から見た風景に過ぎません。

選挙の時期が異なる以上、衆参で国民の意思が異なって表現されることは当然であって、そうなっていなかったこれまでが異常であったという認識をすべきです。

衆参の多数派が異なることを前提として政治家は行動すべきであり、そのための議会のルールづくりも必要になってきます。

しかし、それでも合理的な意思決定ができないという場合は、衆議院解散によって「直近の民意」を探り、参議院も選挙結果を尊重するということにすべきです。

山口2区で衆議院の補欠選挙が行われています。この選挙の意義は重大です。単なるローカルな選挙とすべきではありません。

自民党は争点隠しに躍起になっています。これは国政選挙を愚弄するものです。仮にそのような手法で選挙に勝利しても、それをもって「直近の民意」と主張すべきではありません。

山口2区の有権者は、国民として国政を認識し、「直近の民意」を代表する形で行動することが期待されています。


2008/4/19(土) 主観的要素が大切・・人生100年戦略

我々が人生100年を展望する上で、他山の石としなければならないのが、失礼ながら、現在の高齢者です。

彼らは、そんなに長生きするとは夢にも思っていませんでした。「古希」即ち70歳は、「人生七十古来稀」という杜甫の詩の一節に由来すると言われているように、稀(まれ)な事態だったのです。

想定外の長生きに、心と頭が付いて行かないのです。長生きを想定内の事象ととらえておくかどうかがポイントになります。

現在、100歳はかつての70歳より稀ではなくなりつつあります。「人生80年」という最近の「通説」に合わせておくのでは足りません。80歳以上を想定外の領域にすると、現在の高齢者の轍を踏みます。

人生100年を展望した体づくりと併行して、100年ビクともしない心と頭をつくる必要があります。

客観的要素に対応する主観的要素というだけでは足りないような気がします。刑法で習う概念ですが、「主観的超過要素」(=主観的要素が客観的要素を上回る状態)という概念を応用して、客観的要素(体)を超える主観的要素、即ち、何らかの明確な目的あるいは哲学を持つことが必要だろうと思います。


2008/4/18(金) 道路バカを卒業せよ・・道路から都市整備・福祉へ

道路特定財源維持の署名を昨年全国から集め国土交通省に提出した「道路整備促進期成同盟会全国協議会」(道全協)の主催の集会が17日、東京・日比谷で暫定税率復活を求めて開かれました。

市町村長や地方議会議員ら約3800人(主催者発表)が参加。来賓として自民党道路族重鎮の古賀誠、二階俊博両氏ら国会議員約130人、そして冬柴国交相。 

衆議院山口2区の補選を意識したものですが、正に「道路バカ」大結集。

【道路財源一般化、10知事が前向き・日経調査、過半は態度保留】(日経) 
道路特定財源の見直しをめぐり、政府・与党が決定した2009年度からの一般財源化について、全国の知事のうち10人が賛成、または条件付きで容認していることが日本経済新聞社の調査で分かった。反対など否定的な知事は6人だった。ただ半数以上は評価を保留しており、特定財源の廃止で道路整備が滞ることへの不安などから、態度を決めかねている姿が浮き彫りになった。 

アンケートは8―16日に実施し、知事が交代したばかりの熊本を除く46都道府県から回答を得た。

【コメント】
地方は、「道路」から卒業しなければなりません。「道路」でなければお金が回ってこない貧弱な地方自治をどうすべきか。この問題意識を持って議論していかなければなりません。

今地方では、道路から大幅に遅れて下水道整備が行われようとしています。しかし、歩みは遅々として進みません。

「道路」「道路」の大合唱に掻き消され、本来行うべき都市整備が遅れてしまっています。魅力ある都市づくりを放棄して、手段であるはずの道路だけが先行しています。

日経のアンケートでも、ある程度の知事は道路財源の一般財源化に理解を示しています。不安の根拠は、道路特定財源維持を叫んでいないと予算が回ってこないのではないかということです。

「道全協」というのも、要するに国の演出です。この道路バカ状態からの脱出が、真の地方自治出発の一里塚になります。都市整備、福祉・・  

道路は地方にとって、優先順位下位に位置する課題です。


2008/4/17(木) 無罪判決には大変な勇気が必要・・植草一秀氏の事件について

刑事司法においては「無罪の推定」が大前提であるとされます。しかし、我が国の司法においては、警察・検察が立件した段階から、「有罪の推定」が強く働きます。これを報道機関が助長する形になっています。

裁判所(裁判官)は客観的な第三者として、白紙の状態で公判に臨むものとされます(予断排除の原則)。無罪推定と併せて考えれば、訴追側(検察)は余程説得的な論理と証拠を提示しなければ有罪判決を獲得することができないはずです。

ところが、我が国の刑事司法においては、起訴した事件の99.9%が「有罪」となります。50年前には1%以上の無罪率でした。最近の司法が精密さの度合いを高めた結果なのであれば素晴らしいことだし、これをもって「精密司法」と呼んでもいいだろうと思います。

実態はどうか。司法全体が流れ作業方式で「犯罪者製造工場」と化しているのではないでしょうか。裁判官が無罪判決を出すには大変な勇気が必要になっています。裁判官自身の人生を掛けなければ有罪判決を出すことが出来ない仕組み・・

表面化していない冤罪被害者の上に「精密司法」が成り立っているのではないか。そうした観点から、様々な事件を見直してみる必要があります。

電車内で女子高校生に痴漢行為をしたとして東京都迷惑防止条例違反に問われた植草一秀氏について控訴審判決(弁護側の控訴を棄却)がありました。被告人となった段階でアウト。これが我が国の司法です。


2008/4/16(水) 「道路工事凍結」の「混乱」は、山口2区補選に勝つための政府演出

衆議院山口2区補選が15日に告示。民主党・平岡秀夫氏の当選を祈念します。

この選挙で、民主党には各地で道路工事が凍結されていることが逆風になるのではないかと懸念されています。「民主党の反対でこうなった」というキャンペーンが張られているのだろうと推測します。

これは不当な言いがかりです。

補選に勝つための政府演出の混乱。そう断じてもいいと思います。政府には社会的混乱を最小限度にする責任があります。各自治体が国の予算を前提に予算を組みます。それが分かっている以上、予定されていた歳入が確保されなかった場合、その穴埋めをするのが政府の責任です。

政府には、国民の生活を護るために、二段構え三段構えのシフトを敷いておく義務があります。危機管理と言い換えてもいいでしょう。これが駄目だったらお手上げですというような姿勢は、およそ政治家が取るべき態度ではありません。

自らの危機管理能力のなさを棚に上げて、野党の責任にする。政権担当能力の欠如を自ら証明したようなものです。予算を人質にする卑劣な行為が選挙に有利に働くという不条理を許してはいけません。


2008/4/15(火) 飛び込み勧誘禁止、秋田県条例(素案)・・営業の自由<消費者保護

高齢者を狙ったインチキ商法が目立ちます。営々と築いてきた財産を人生の終盤に失うことの無念さを思うと、何らかの対策が必要です。

【飛び込み勧誘全面禁止、高齢者保護狙い秋田で条例素案】(朝日)
消費者が求めていないのに訪問などで商品を勧める「飛び込み勧誘」を禁じる全国初の条例が秋田県議会で検討されている。悪質商法から高齢者らを守る狙いで、他の自治体にも影響を与えそうだが、関係業界は「営業できなくなる」と強く反発している。

条例は「不招請勧誘禁止条例」。高齢者を狙った投資詐欺事件などの被害が多発していることを受け、自民党を含む超党派の県議らが秋田弁護士会と協力して条例案を詰めている。今後、一般から意見を聴いた上で、年内にも議員提案で成立させ、早ければ09年度からの施行を目指している。 

素案によると、65歳以上の高齢者のほか、未成年者など「判断力不足」とされる消費者には、あらゆる商品・サービスについて、事前の求めがない限り、訪問、電話、ファクス、電子メールでの勧誘を禁止。また、投資信託、株式、変額年金保険などの元本保証のない金融商品については、すべての消費者に対する飛び込み勧誘を一律に禁止する内容になっている。 

「不招請勧誘拒否登録制度」も導入する。金融商品以外の商品・サービスについて、飛び込み勧誘禁止対象の高齢者などではなくても、住所や電話番号を県に登録すれば、登録者に対する飛び込み勧誘が原則禁じられる。登録者は、玄関先などにステッカーを張ることもできる。 

違反した業者には、県が勧誘の禁止や業務の停止などを命じることができ、応じなければ、2年以下の懲役か100万円以下の罰金を科す。 

国の制度では、金融先物取引法(現・金融商品取引法)が05年7月から、投機の性格が極めて強い金融先物取引に限り、飛び込み勧誘を禁じている。訪問販売などのルールを定めた特定商取引法や一部自治体の条例には、勧誘をいったん拒んだ消費者への再勧誘を制限する規定があるが、初回の接触は認めている。 

訪問や電話でのセールスに頼る金融業界や訪問販売業界などは、飛び込み勧誘禁止の動きが広がるのを懸念。「特に問題の大きい商品・サービスに規制対象を絞るべきだ」などと修正を求めている

【コメント】
こうした規制には、憲法で保障された営業の自由(憲法22条1項)との関係が指摘されることになります。

消費者保護に関する従来の規制では、悪質な行為から高齢者などの消費者を守り切れていないことを直視する必要があります。超高齢社会を迎える今、消費者保護のためのより厳しい規制が加えられることが期待されます。消費者保護の価値が営業の自由を上回るという理解をすべきです。


問題は、法律ではなく条令で法律よりも厳しい規制を掛けることができるのかどうかです。

憲法94条は、「地方公共団体は、・・・法律の範囲内で条例を制定することができる。」と規定しています。法律に反してはいけないのです。

しかし、地方自治に重きを置いて解釈すれば、住民の代表(議会)が制定する条例は民主的な立法であり、法律に準じる地位を与えられるべきです。 従って、法律の規制以上の規制が加えられる場合であっても、法律がそれを禁じる趣旨でない場合は許されるべきです。

罰則が科される場合には、(憲法31条、73条6号)との関係も問題になります。しかしこれも、法律の趣旨に反しなければ許容されるべきだと思います。


などと難しいことを書きましたが、地方主権型社会を展望するならば、より大胆な条例を制定してもいいのではないでしょうか。


2008/4/14(月) 入学金を支払わなければ入学式に出られないのは当然・・報道に問題あり

報道関係者の偽善者ぶりは今に始まったことではありません。この事例を考えてみます。

【千葉の県立高校、入学金未納の生徒を入学式に出席させず】(読売) 
千葉県八千代市の県立八千代西高校(生徒339人、大迫太校長)が、8日の入学式で、入学金を持参しなかった新入生の男女生徒2人について、滞納する可能性があるとして式に出席させず、別室で待機させていたことがわかった。

2人は同日中に入学金の全額または一部を納め、式終了後、それぞれ校長室で入学許可を言い渡された。

須藤信夫教頭は「入学金を納めないと、県条例により入学させられず、式に出席させても入学者として名前を読み上げられない。みんなと一緒に入学させたかったが、苦渋の判断だった」としている。

須藤教頭によると、同校は新入生159人の保護者に対し、3月上旬に郵送した文書と同月中旬に開いた入学説明会で、入学式当日に入学料5650円や教材費など計9万円を持参するよう連絡。用意できない場合は分納でも可能と説明した。

生徒2人は別室で待機中などにそれぞれ保護者と相談。結局、男子生徒は昼ごろに9万円全額、女子生徒は夕方に2万円を、それぞれ母親が持ってくるなどして納入したという。

【コメント】
この新聞のタイトルを見ると、何か大変なことが起こったかのような書きぶりですが、無銭飲食が認められないのと同じ理屈ではないでしょうか。

「生徒の思い」から出発すれば、入学式に出させてあげたいと思います。

では、「思い」から出発すれば何でも許されるのでしょうか。それだったら、入学したいという思いを持って入学試験を受けた子供は入学させてあげればいいのではないでしょうか。もちろんそうならないのは、入学を許可する条件として入学試験に合格するというルールが厳然としてあるからです。

今回のお話も、県条例に則ってなされた処置ですから、学校関係者はルールに従ったまでです。

それではルール(県条例)に問題があるのでしょうか。これが不当なものだとは言えないと思います。入学金は支払わないが、「思い」は大切にして欲しい。こんなことを言っていては、社会は成り立ちません。

入試のシーズンに、列車の降り方(or乗り方)を間違えた受験生がいて、車掌や運転士が気を利かせて列車を停めたことが「美談」として紹介されることがあります。これもおかしな話です。ルールが守られなかったことを問題視すべきだというところまで言うつもりもありませんが、ルール無視を美談として扱うことは、社会の秩序を軽視することにつながります。

また、当該受験生にとっても、社会のルールとはこういうものだということを学ぶ絶好の機会を失ったことになります。世の中甘くないぞ、ということを学んだ方が、後々の人生にはプラスではないでしょうか。


2008/4/13(日) 人生100年の構想力・・「仕事」では決着が付かない

私も50代半ばになろうとしています。大学の同級生の中には、エリート街道まっしぐらの人もいますし、「ライン」から外れた者もいます。しかし、それぞれがその職域で頑張っています。

私のように早い段階から地域のど真ん中に居座った者から見ると、彼らの人生に一抹の不安を感じます。

どうしても、職域での責任が重くなり、仕事中心にならざるを得ません。ということは仕事中心の人生観になってしまうということです。

しかし、その仕事中心の人生も、あと10年もすれば終わりです。そのときに何が残るのか。

(職域人間)−(肩書き)=?

ということを意識しておかないと、「0」という解答になってしまう恐れがあります。

職域から解放された後の人生を「余生」と定義付ければ、それほどの問題はないはずなのですが、これが想定以上の長さになった場合、混迷を深めることになります。

むしろ、職域から解放された後が人生本番と考えていた方が無難です。そうした前提に立つならば、職業人生の後に待っている時間をどう構想するかが重要な問題になってきます。

人生100年の構想力を持つべきです。職域で出世したとか、左遷された、リストラされたとか、そうしたことは、人生前半のエピソード。このくらいの達観が必要です。

男の人生(にとりあえず限定させていただきますが)、「仕事」では決着が付かないのです。

(なお、このブログの検索機能を利用し、「人生100年」で検索してみてください。)


さるさる日記:【人生100年・ずーっと輝こうライブ・管理人日記


2008/4/12(土) 東大入学式で安藤忠雄氏が苦言・・・「親離れを」

新入生3200人、父母5300人。東京大学の入学式は、学生より親が多いという中で行われました。祝辞に立った建築家・安藤忠雄氏の言葉。

東大の入学式で「親離れを」(産経)
東大の入学式が11日、東京都千代田区の日本武道館で開かれ、新入生の人数を大幅に上回る父母らで埋まった客席を前に、祝辞に立った建築家で特別栄誉教授の安藤忠雄さん(66)が「親離れをしてほしい」と新入生、父母双方に自立を促す一幕があった。

東大の入学式は毎年家族からの出席希望が多く、この日の会場も新入生約3200人の周囲を、約5300人の父母らが席を埋め尽くした。安藤さんは祝辞の中で「自己を確立しない限り独創心は生まれない」と強調。「自立した個人をつくるため親は子供を切り、子は親から離れてほしい」と訴えた。

【コメント】
母校の何とも恥ずかしい光景。これが現在の大学生を取り巻く今日的状況なのかもしれません。

私の入学時は、学生の自主的なオリエンテーションだったと記憶しています。そのときに父母が参加したかどうか、はっきりと覚えていませんが、私の場合は父母が田舎からやってくるということは全く想定していませんでした。しかし、その数年後には、親が参加する形になっていました。

「自己を確立しない限り独創心は生まれない」

「自立した個人をつくるため親は子供を切り、子は親から離れてほしい」

安藤氏の言葉を真摯に受け止めたいものです。

でも、ひょっとすると、「このオッサンなにを言ってるんだろう」という反応だったかもしれません。

そのくらいのことは、学生も父母も分かっていて欲しいものですが・・

≪独言≫
Yahoo!ブログにしてから、2年経ちます。これまでなんとか毎日更新を続けることができました。ノルマにしているつもりはありませんが、ここまで続けると、可能な限り続けてみたいという気もしています。

書き始めると、10分から20分でできます。しかし、時折テーマ設定ができずに困ることがあります。裏を返せば、テーマ設定が命ということにもなります。

人生100年、地方主権型社会など、このブログの柱となるテーマについては、さらに深めていきたいと考えています。

人生100年・ずーっと輝こうライブ・管理人日記」も、毎日更新を続けています。こちらは、伊予市のこと、私が関わっている「町家」という伊予市中心市街地活性化施設についてのお話を綴っています。人生100年、歌とともに楽しく輝いていたいと思っています。今後、地方自治についての所見も交えていくつもりです。

「四国の星」、「管理人日記」の駄文を読んでくださる皆さんに感謝します。


2008/4/11(金) 地方主権型社会では中央の頭脳が必要・・官僚には朗報

明治の廃藩置県によって、地方分権から中央集権に舵を切った我が国は、「富国強兵」路線で欧米列強に追い付きました。太平洋戦争で挫折した後も、この路線の延長線上で復活・再生しました。

この後が問題。中央集権から地方分権への舵を切り損ないました。これが今日の低迷の原因です。「地方分権」は、自民党に地方統治合理化の意味に曲解されてしまったので、地方主権型社会と言わせてもらいますが、地方主権型社会への転換が時代の要請です。

その地方主権型社会のイメージに、若干の誤解があるようです。官僚は生きていけない社会。そんなイメージで官僚が抵抗するとしたら、馬鹿げています。中央集権時代に中央に吸い上げられた頭脳を取り戻すのが、地方主権型社会の一断面です。

比喩的に言えば、これまでの地方は、130km/時の速球で通用する社会でした。地方主権型社会では、中央から150km/時の剛速球投手を呼ばないと、地域間競争に負けてしまいます。

嫌な言い方ですが、地方は偏差値50点代の人材で通用した社会から、偏差値70点代の人材が必要な社会に変わらなければならないということです。

身も蓋もない話のようですが、地方人にはその覚悟が必要です。地方主権型社会は、実は、官僚経験者にとって悪くない社会なのです。だから、無駄な抵抗をする必要はないのです。

附言しておきますが、偏差値にはそれほどの意味はありません。偏差値50の人が偏差値70の人に劣等感を持つとすれば、手段である偏差値が主(あるじ)である人間を支配するという、主客転倒の事態になっているということです。

偏差値50の人が「自分はこんなもんだ」という自己限定の「ヘッドギアー」(オウム真理教が使ったマインドコントロールの装置)を外したとき、偏差値70と対等に戦える存在になるのだということを強調しておきたいと思います。

地方人も官僚も、そして大手企業のビジネスマンも、自己限定の「ヘッドギアー」を外さなければならない時代の到来が間近です。


2008/4/10(木) 権力の乱用(福田)vs既得権益排除(小沢)・・どちらが正しいか

首相が質問し相手をなじる異例の党首討論でした。野党による権力の乱用だとする福田首相に対し、財務省による既得権益を否定したい小沢氏の主張とが対立。これをどう見るか。

【日銀人事不同意:首相「権力の乱用だ」 党首討論で批判】(毎日)
福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表による今国会初めての党首討論が9日行われた。首相は、前財務省財務官の渡辺博史・一橋大大学院教授を日銀副総裁に充てる人事案が民主党などの反対で不同意となったことを「権力の乱用だ」と批判。小沢氏は「(日銀幹部が)大蔵(財務)省のポストという形になっていることは、もう改めなきゃいけない」と反論した。

首相は日銀人事問題について、小沢氏から質問がないのに「なぜ不同意なのか。かつて官僚であった者がそのポストにつくのは、そんなに悪いことなのか」と自ら切り出した。「人事権は政府にある。よほど変な人事をしないのであれば、それを認めていただくのが国会の(同意)人事制度だ」と強調した。

これに対して小沢氏は「必ず財務省がポストを得る既得権益がある。そういう支配の構造を直さないといけない」と指摘。「権力乱用」批判については「内閣は2院制の中で1院しか多数を持っていない。去年の(参院)選挙でどういう事態が生じたかの認識がなさ過ぎる」と、首相の「ねじれ国会」に対する認識の甘さを逆に批判した。

道路問題では、首相が提案した道路特定財源の09年度からの一般財源化方針について、小沢氏が「政府・与党の正式の決定がないものを協議するわけにはいかない」と述べ、与野党協議の前に自民党総務会など党内手続きを取るよう求めた。

首相は「党の了解も得ている」と強調したが「政府・与党で決めてくれと言うなら、なるべく早くする」と述べ、政府・与党合意の策定に前向きな考えを示した。

一方、首相は、民主党について「誰と話せば信用できるのか教えてほしい」と、小沢氏の党内指導力を疑問視する指摘もした。

【コメント】
どちらにも言い分のある話です。

「人事権は政府にある。よほど変な人事をしないのであれば、それを認めていただくのが国会の(同意)人事制度だ」という福田首相。

これまでの国会の慣行からすれば、首相の言う通りです。

「内閣は2院制の中で1院しか多数を持っていない。去年の(参院)選挙でどういう事態が生じたかの認識がなさ過ぎる」という小沢・民主党代表。

新しい民意を代表する民主党を中心とする野党が、財務省支配を打破するという点で筋を通すというのも、もっともな話です。

ここまでいくと、「最新の民意」を問うしかないのではないでしょうか。解散総選挙が筋。

民主党内に異論があることが報じられています。政権担当能力を示したいと考えるのか、野党としての筋を通すべきだと考えるのか。

これも、あり得る見解の相違です。この問題は、組織論に辿り着きます。正規の手続きを踏んで決まったものなら従う。それだけのことだと思います。


2008/4/9(水) ガソリンへの課税(暫定税率部分)は必要・・個別移動手段の規制

【ところで、ガソリンへの課税について述べさせていただくならば、私は従来通り課税すべきだと考えています。ガソリンに課税することで、個別移動手段を規制する必要があると思います。(この詳細は改めて論じる予定です)。

もちろん、一旦廃止した後に新たな理由を明示して行うべきです。暫定税率の部分がなくなったことは、次へのステップとして歓迎すべきです。】(昨日のブログ)


道路の問題と併せて、個別移動手段である車をどう見るかを考えてみる必要があります。

車に乗れない人、および車を卒業する高齢者にとっての移動手段を確保しなければなりません。公共輸送機関確保の問題です。

公共輸送機関は、車社会到来と共に困難な道を歩まざるを得ませんでした。インフラ整備が道路(高速道路を含む)と新幹線に偏り、在来線等の輸送機関は不当に軽視されました。

結果として、近距離ないしは中距離の移動は、車の方が遙かにコストが掛からない状態になりました。しかも、移動が速く便利です。

この状態は、車に乗れる人にとっては幸せなライフスタイルが実現したということになりますが、車に乗れない人や高齢者の移動手段が確保されにくくなり、不便になることと引き替えに得られた幸せということでもあります。

このバランスを取るには、個別移動手段(車)利用者への課税によって、公共輸送機関を充実させるということが必要となります。車のコストが高くなることは受認していただくということです。環境面を考慮しても、個別移動手段に過剰にエネルギーを消費させない配慮が必要です。

道路密度(道路総延長÷国土面積km/km2) を見ると、日本が3.16(舗装道路で2.49)なのに対し、イギリス1.60(1.60)、フランス1.72(1.72)、イタリア1.60(1.60)、ドイツ0.65(?)、アメリカ0.70(0.45)であり、日本は圧倒的な道路大国です。

もはや、道路は不要。高速道路を全国ネットで整え、これを無料化すれば、国道整備に掛ける費用は節約できます。都市計画をインフラ整備可能な範囲に人口を集中させるように転換していけば、道路はその範囲で整備すれば足りることになります。

道路整備で未達成なのは、各都市の中心市街地の魅力と安全、そして快適性を保障する街路整備(電線地中化を含む)です。この点に掛ける費用はこれから重視していくべきです。

諸外国と比較してガソリン代が高いとは言えないことも考慮すれば、道路に偏った公共投資を抑制し、超高齢社会対応型の公共投資に転換する上で、ガソリン課税は必要であり、このことを国民的に議論することによって、暫定税率部分の恒久課税を実現していくべきであると考えます。


2008/4/8(火) 首長の本音・・道路特定財源

朝日新聞に面白い記事が載っています。引退した市長達への道路特定財源に関する質問とその回答です。

【道路特定財源、「支持」署名した引退市長たちのホンネ】
道路特定財源の一般財源化の是非について、昨年引退した全国の市長に朝日新聞が聞いたところ、回答した35人のうち約半数の17人が一般財源化を支持すると答えた。特定財源維持の署名に全国ほとんどの市町村長がサインしたのとは大きなずれ。自治体のかじ取り役の本音が見えた。 

「首長にとっては一種の踏み絵。あえて署名しないなら相当なプレッシャーを覚悟しなければならない」。昨年4月に引退した中條弘矩(ちゅうじょう・ひろのり)・元香川県東かがわ市長(60)は語った。 

現在、自身の考えは「地方を見捨てないでほしいと思う半面、巨額すぎてむだな使われ方の多い特定財源制度が好ましいとは思えない」。しかし、署名という形で二者択一を迫られたら「現役当時はサインしただろう」という。 

道路行政にかつてない厳しい視線が注がれる中、国土交通省をはじめとする維持派の大きなよりどころとなっているのが、同省と関係の深い「道路整備促進期成同盟会全国協議会」(道全協)が昨年11月に集めた署名だ。 

「道路特定財源はすべて道路整備にあて、08年度以降も暫定税率を延長する」ことを求める内容に、1800人の全市町村長のうち、署名しなかったのはわずか6人。冬柴国交相(71)は「維持すべしと直筆で署名したものが(ファイルで)3冊ある。首長さんは続けてもらいたいとおっしゃっている」などと国会や記者会見で盛んに取り上げた。 

しかし、今回の取材に対しては35人のうち13人が「完全一般財源化」、4人が「一部一般財源化」を支持すると答えた。「道路使用にかかる税そのものの廃止」を訴えた人も1人いた。一般財源化支持の17人については、ガソリン税などの暫定税率についても「廃止」を望む人が10人にのぼり、「暫定税率のまま維持」を唱えたのは1人もいなかった。 
署名時に現職だった人は3人。うち2人は自説通りに署名。もう1人も署名したが、今回は一般財源化を支持するとした。 

一方で、引退前に署名を求められたらどう対応したかを聞くと17人中12人が「意に反して署名したと思う」。 

「地元に迷惑がかかるから」と匿名を条件に取材に応じた西日本の元市長は「中央省庁のやり口ですわ。あんなもんがみんなの本心と思ってもらったら困ります」。同じく匿名の東日本の元市長は「予算を人質に取られている立場で本音は言えない」と語った。かつて道全協の役員を務めたことのある光武顕(みつたけ・あきら)・元長崎県佐世保市長(77)も「首長の立場ではあらがいがたい」と話す。 

「ああいうものには目に見えない圧力がある」=亀田良一・元広島県尾道市長(81)=、「不本意ながら足並みをそろえた人が多いと思う」=上原公子・元東京都国立市長(58)。そんな声も相次いだ。 

道路行政の歴史的な転換点を目前にしたいま、元市長らの中には、公の場で率直な思いを語り改革を後押ししようとする動きもある。 

非営利の政策シンクタンク「構想日本」が3月31日夜に都内で開いたフォーラムには、福嶋浩彦・元千葉県我孫子市長(51)、西寺雅也・元岐阜県多治見市長(64)らが出席。「予算の個所付けや補助金を通じて国が地方をコントロールする仕組みが残ったら、一般財源化しても意味がない」と抜本的な改革の必要性を説き、聴衆と意見交換を繰り広げた。 

福嶋元市長は言う。「特定財源を解体してひもつきでない財源を寄越せ。現役の首長らこそが、勇気を出してそう叫ばなくてはならない」 

      ◇ 

昨年中に任期満了に伴い選挙に出馬せず引退した約45人の元市長のうち、38人に電話で取材し、35人が回答した。 

【コメント】
道路特定財源は中央集権そのものと言ってもいいものです。国交省が全国の自治体に睨みを利かせて道路特定財源維持を叫ばせている舞台裏が浮き彫りになっています。

では、一般財源化すればそれがなくなるのかと言えば、そうでもありません。「構想日本」のフォーラムで述べられているように、「予算の個所付けや補助金を通じて国が地方をコントロールする仕組みが残ったら、一般財源化しても意味がない」のです。

道路を地方の合理的判断で造れるようにするには、ひも付き補助金の全廃にまで踏み込む必要があります。これは、政権交代なしには不可能です。

ところで、ガソリンへの課税について述べさせていただくならば、私は従来通り課税すべきだと考えています。ガソリンに課税することで、個別移動手段を規制する必要があると思います。(この詳細は改めて論じる予定です)。

もちろん、一旦廃止した後に新たな理由を明示して行うべきです。暫定税率の部分がなくなったことは、次へのステップとして歓迎すべきです。


2008/4/7(月) 小沢一郎氏のテレビ出演・・論理明快

昨日NHKの日曜討論を見ました。

小沢一郎・民主党代表が出演。論理明快でした。特に高速道路は必要であり、高速道路網が整備されれば国道などの一般道に経費を費やす必要が乏しくなるとの説明は説得的でした。

英仏よりも道路網が緻密に整備されており(国土の広いアメリカよりも当然緻密に整備されている)、これ以上一般道路を造り続ける必要はないとも語っていました。

民放でも出演されたようです。こうした形の党首出演は、民主党にとって良好な影響をもたらすのではないかと思われます。特に現時点では「小沢」であることが極めて重要です。この党首を如何に使いこなすかが、民主党政権樹立の肝になるでしょう。


2008/4/6(日) 官僚の任期制度が国を救う・・給与は高額に

公務員制度改革の基本法案が閣議決定されました。大山鳴動云々の類だと思われます。

【公務員改革:法案を閣議決定 人事庁が幹部審査】(毎日)
政府は4日午前の閣議で、国家公務員制度改革基本法案を決定した。各府省の事務次官、局長などの幹部人事を審査する内閣人事庁を新設し、出身府省にこだわらずに幹部職員を配属することで「内閣の一体性」を確保する。また、政治家に政策を説明する官僚を「政務専門官」に原則制限するなど「政と官」のあり方を見直す。一連の改革は、法律施行後5年以内をめどに実現すると明記した。

国家公務員1種試験合格者が幹部候補となる現行のキャリア制度は廃止し、「総合職・一般職・専門職」を新設。管理職にふさわしい職員を計画的に育成する「幹部候補育成課程」を整備する。

一方、国家公務員への労働基本権(協約締結権)付与については「国民の理解を得ることが不可欠であることを勘案し検討する」として、結論を先送りした。

政府は法案を今国会に提出するが、民主党は対案を出す構え。天下り規制などを巡って政府・与党と民主党には隔たりがあり、修正協議が今後の焦点になりそうだ。

政府内調整で譲歩を強いられた渡辺喜美行革担当相は4日、閣議後の記者会見で「法案は100点満点の答案ではない」としながらも、「進むべき改革の方向性はしっかりと担保されている」と一定の評価をしてみせた。

【コメント】
官僚支配をどうすれば打破できるか。その視点で見る必要があります。

内閣人事庁、政務専門官、キャリア制度廃止。弊害是正という観点からは、前進というとらえ方が可能です。

しかし、これで官僚支配からの脱却が可能かと言われれば、「ノー」と答えざるを得ません。官僚の人生を丸抱えした制度であることには変わりありません。全人生を捧げるのだから、「アフターケア(天下り等々)もよろしく」とならざるを得ません。

人生不連続。このことを公務員が自覚することなしに、日本の新時代は来ません。公務員の任期制を真剣に考えるべきです。国民としての自己、個人としての自己を意識しながら公務を担う。それが公僕意識につながります。

一生涯公務員の安定感には、良い面と悪い面があります。今は、悪い面が出てきすぎたように思われます。人生の一時期、公務に邁進する。そういう感覚が必要な時代です。再任は可として、節目節目で人生の選択をすべきです。

まず、中央官庁の公務員から。その代わり、給与は高額に。そして、退職金も任期満了時には高額のものを提示します。再任された場合は、退職金を抑えます。

この前提で、彼らはどういう選択をするでしょうか。


2008/4/5(土) 人生100年・・「若い」がプラス評価の時代はあと20年

「若い」と言うと、褒め言葉になっています。言われた方は嬉しくなります。

そうした時代は、あと20年。超高齢社会においては、新たな価値観が芽生えてきます。

「若い」と言われると「未熟者だ」という意味に用いられた時代もありました。江戸時代では重要な役職には、「老中」「年寄」など「老」という字が用いられました。

人生100年。人生の後半の意味を確認すると共に、年を取ることが素晴らしいという感性を身に付けていくべきです。

竹内まりやさんの「人生の扉」という曲は、50歳を超えた自分を見つめ、年を取ることに肯定的メッセージを送っています。

若さとは違う別の魅力を見つけられるかどうか。人生後半はそういう意味でも面白いし、右顧左眄せず、自分の持っている何かを深めていくことで充実感を得られる時期だと思います。


2008/4/4(金) 春の夢・・瀬戸三橋なかりせば

春爛漫。

世の中にたえて桜のなかりせば春のこころはのどけからまし(在原業平)

さて、瀬戸三橋時代。これらの橋は、四国経済にとって有利な条件を与えているのでしょうか。

うつらうつら思うに、三橋を直ちに切り落としたとすれば、四国経済は活況を呈するのではないか。

まず、支店経済の復活。そして、海運業の興隆・・

100年後、三橋はどうなるのでしょうか。まだまだ健在なのか。それとも、100年後の人たちが掛け替えの是非について議論するのでしょうか。

春眠暁を覚えず。明け方見た春の夢として記述。


2008/4/3(木) 道路が地方を駄目にした・・「道路特定財源」の無駄

「道路特定財源」がいかに大切か。そのキャンペーンに血道を上げる政府与党と国交省、そして国の手先と化している自治体首長。

彼らの主張の不自然さは、国交省所管における無駄遣いを挙げるだけでは足りません。「道路特定財源」があったために、道路建設それ自体に重きが置かれ、結果として地方の形が崩れてしまったということを認識する必要があります。

道路建設は、それ自体を追求すると、都市計画やまちづくり全般との整合性が取れなくなってしまいます。道路が出来ると、その沿線に商業施設や住宅が張り付きます。そうなるとインフラ整備が必要になります。

道路だけに財源があるというのでは、インフラ整備が追い付きません。都市は無計画に拡散し、インフラ整備が追い付かないだけでなく、都市の中心部はガラ空きになります。街区の魅力は損なわれ、都市間の移動は道路周辺の施設のために渋滞が慢性化する。そこで「バイパス」という発想になりますが、そこにも様々な施設が出来、やはり渋滞・・

都市の成長を管理し、バランスの取れた地域の発展を目指すならば、「道路建設」を全体計画の中に収まる範囲で行うという発想に転じなければなりません。

これまで造られた道路は、地方住民の脱出路になっただけではないか。この根本的疑問を持たなければなりません。


2008/4/2(水) 不足する総理候補・・橋本・前高知県知事出馬

【橋本・前高知県知事、高知1区から出馬へ】(読売) 
橋本大二郎・前高知県知事(61)が1日、読売新聞の取材に対し、次期衆院選に高知1区から無所属で立候補する意向を示した。


【コメント】
現在の中央政治において、総理候補が不足しています。

民主党においては、代表経験者が総理候補になっても、新鮮さが無いと言われることになります。彼らが出てくるとしたら、あっと驚くような政策提言を引っ提げての再登場という演出が必要です。「その次」という当たりが、まだまだこれから売り出しを図らなければならない段階です・

自民党においても然り。かつては、派閥が総理候補を中心に結束する存在でしたが、今は限りなく法人化しています。そもそも、昨秋の総裁選で、あの福田氏でまとまったこと自体が人材不足を象徴しています。

小選挙区制の下では、党首が誰であるかが極めて大きな要素になります。全国的な知名度のある人物を党首に担いで選挙を戦うのが有利です。

橋本氏が「無所属」で出馬というのは、総理候補としての出馬という意味で理解すべきです。もちろん、政界再編をも睨んで。


2008/4/1(火) ガソリンが安くなる・・再値上げする力量が自民党にあるか

暫定税率の期限切れにより、ガソリンが安くなります。理屈の上では、精油所から出荷時点で税金がかかるので、4月1日に出荷されたものがガソリンスタンドに届いてからということになります。しかし現実は・・

【暫定税率切れ:ガソリン・軽油 赤字覚悟の安売り競争も】(毎日) 
暫定税率の期限切れによる減税幅はガソリンが1リットルあたり25.1円、軽油は同17.1円だ。このうち、ガソリン税は製油所からの出荷時点で課税される「蔵出し税」のため、3月末までにガソリンスタンドや油槽所(流通の中継基地)に届いたガソリンには既に暫定税率がかかっている。従って、その在庫があるうちは店頭価格も下がらないことになる。しかし、各地で1日からの「即日値下げ」を表明するスタンドも多く、赤字覚悟の安売り競争が繰り広げられる地域もありそうだ。

値下げ幅は20〜25円程度が大勢とみられる。「客は1日から下がると思っている」(新潟市のスタンド)と、客離れなどを心配して値下げに踏み切る業者が多い。このほか、仕入れ値との差損を最小限にしようと在庫を減らす動きもあり、1日に客が殺到すれば品切れになるスタンドも予想される。

軽油の場合は、元売りから継続的に供給を受けている販売店直営のスタンドでは1日から暫定税率分が値下がりする。しかし、その店から間接的に軽油を仕入れる比較的小規模なスタンドでは、3月末までの在庫に暫定税率分が上乗せされたままで、対応にバラツキが出そうだ。

一方、自家用車にかかる自動車取得税も5%から3%に引き下げられる。


【コメント】
道路財源が必要だと、いくら政府や自治体が宣伝に努めても、各種世論調査ではガソリンが安くなることを期待する意見が多数です。

いったん値段が下がってから上がるとなると、税金の重みをズシリと感じます。

しばらくは絶対に衆議院を解散しないとの前提で衆議院の再議決で値上げを敢行するということのようですが、この力業が通用するかどうか。

社会的にも大混乱、政治的にも大混乱。収拾の付け方は、衆議院解散か内閣総辞職ということになります。解散=惨敗が予想される状態なら、内閣総辞職です。

1リットル25円の(暫定)税金という意識を国民が持ったことの政治的意味は、極めて大きいと思います。


さるさる日記:【ずーっと輝こうライブ・管理人日記
ずーっと輝こうライブ in 町家】(私が「管理人」です)


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