山村暮鳥
「風は草木にささやいた」



  
 貧者の詩


           ヽ ヽ
みよ、そのぼろを
 
此のうつくしい冬の飾りを
 
それから赤い鼻尖を
 
人間が意志的になると
 
霜はまつ白だ
 
指のちぎれさうな此の何ともいへないいみじさ
 
ふゆを愛せよ
     ヽ ヽ
そのぼろの其処此処から
 
肉体が世界をのぞいてゐる