山村暮鳥
「風は草木にささやいた」



  
 


 
雨戸をがらり引きあけると
 
どつとそこへ躍りこんだのは日光だ
 
お! まぶしい
あたま
頭蓋をがんと一つくらしつけられでもしたやうに
 
それでわたしの目はくらみ
 
わたしはそこに直立した
 
おお
 
けれど私のきつぱりした朝の目覚めを
 
どんなに外でまつてゐたのか
 
此の激烈な日光は!
 
やがておづおづと痛い目をほそく漸くみひらいて
 
わたしはみた
 
わたしはみた
 
そこに
 
すばらしい大きな日を
 
からりとはれた
 
すべてがちからにみちみちた
 
あたらしい一日のはじめを