山村暮鳥
「雲」


 
 山逕にて


 
善い季節になつたので
ばら
蕀などまでがもう
 
みち一ぱいに匍ひだしてゐた
 
けふ、山みちで
 
自分はそのばらに
 
からみつかれて
 
脛をしたたかひつかかれた