萩原朔太郎
『月に吠える』より

  
  


 
林あり、
 
沼あり、
 
蒼天あり、
 
ひとの手にはおもみを感じ
 
しづかに純金の龜ねむる、
 
この光る、
 
寂しき自然のいたみにたへ、
       こころ
ひとの心靈にまさぐりしづむ、
 
龜は蒼天のふかみにしづむ。