石川啄木

呼子と口笛

  
  書斎の午後

一九一一・六・一五・TOKYO


 
われはこの国の女を好まず。

          はくらい
読みさしの舶来の本の
 
手ざはりあらき紙の上に、
          こぼ
あやまちて零したる葡萄酒の
 
なかなかに浸みてゆかぬかなしみ。

 
われはこの国の女を好まず。



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