八木重吉
「秋の瞳」

     つぼ
   壺のような日


 
 壺のような日 こんな日
 
 宇宙の こころは
  きざ
 彫みたい!といふ 衝動にもだへたであらう
 
 こんな 日
                         ぬし
 「かすかに ほそい声」の主は
 
 光を 暗を そして また
 
 きざみぬしみづからに似た こころを
 
 しづかに つよく きざんだにちがひあるまい、
 
 けふは また なんといふ
 
 壺のような 日なんだらう



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