竹久夢二「夢のふるさと」


 
  朝のおとづれ


 
 いとやはらかくほのかなる
 
 風とおもひて眼ざめしか
 
 やさしくもゆるまなざしを
 
 朝のひかりとおもひしか
 
 「あまりにわかきうまいねを
 
 さましもかねつためらひぬ」
 
 かくもいひつゝさしよする
 
 紅き花とも唇の
 
 もえて炎とならうもの。