竹久夢二「夢のふるさと」


 
  残れるもの


 
 あの松原がわすられよか
 
 紫色の帯しめて
 
 松にもたれてまつてゐた
       こ
 あの娘のことがわすられよか。
 

 
 その松原はいまもある
            こ
 そしてその娘もこの俺も
 
 生きて日本にゐるものを。