【脱オタサイト・オタク研究サイトレビュー集・1998〜2005】

ver.1.00(2005.10/24)


  ここでは既に消滅したサイトを中心に、過去の脱オタサイト・オタク研究サイト
 を紹介していこう。本当は原文を見ていただきたいが、internet archiveにすら
 残っていないサイトもあるし、簡単な紹介文だけ読みたい人もいると思って書き
 記す次第である。ここで特に力を入れて紹介する幾つかのサイトは、電子の海
 の藻屑になってしまったが、私のサイトは勿論、ネット上のオタク関連言説や
 脱オタ系サイトに強い影響を残した過去の遺産である。

  それらの歴史的経緯を少しでも知って貰う為に、そして先人達の記憶を少しでも
 保存する為に、このレビューを残すものである。功績も過ちも沢山含まれた、先人
 達の記録の断片をご紹介しよう。

 →個人サイト  →2ch  →ブログ



 【個人サイト】
 【ボランチ】→リンク先
 (1998年頃〜2001年頃、リンク先はinternet archive)

  『東大バトルロワイヤル』等で当時有名だったボランチは、脱オタサイトとしての
 定義を厳密には満たしておらず、理系大学のオタク達の服飾・男女交際に関する
 記述が中心だった。これらのテキストは、脱オタマニュアルとしては不適かもしれ
 ない一方、読みやすく面白い文体で“服飾面や男女交際のニッチ選びで、彼らが
 いかに損をしているのか”を見事に表現してくれていた。現在ならオタク叩きサイトと
 攻撃されてしまうかもしれない部分もあるし、(管理者tanyaka氏自身も自覚的だが)
 近親憎悪や投影の傾向はあるものの、当時はこうしたスタイルであってもまだまだ
 斬新で、現在のようなオタク叩きに敏感な声もまだ少なかったこともあって、脱オタ者
 が自らの服飾上の問題をチェックするうえで有用であった。

  代表的テキスト『東大バトルロワイヤル』は、東大内部における男女の恋愛と
 見た目に関する悲喜劇を面白おかしく(そしてオタク達・非モテ達には挑発的に)
 描いた問題作。しかし私の見る限り、国立大学の多く・地方大学の多く(ことに、
 理系の学部なら尚更)の2000年前後の状況を、ここまでリアルに切り取ったテキスト
 は滅多に無いに違いなく、オタクが読むと様々な心のバリアを展開したくなるような
 生々しい出来映えになっている。現在は迂闊なオタク叩きに対して激しい批判が
 なされる時代になったため、東大バトルロワイヤルのようなテキストがネット上に
 公開される可能性は低くなってしまった。しかし、こうした強烈な挑発は脱オタ者を
 発奮させるには時には良いもので、今読んでも学ぶところは少なくない。

  また、このサイトは該当オブジェクトを面白おかしく記述するだけに留まっていない
 点について断っておこう。『東大バトルロワイヤル』『東大ファッション通信』ともに
 単なる叩きで終わっておらず、文末に示唆に富んだ付け加えがなされている。
 tanyaka氏は、ファッションという“見た目”が整っていない事によってどれだけの
 不利益を受けるのかや、それが他人に対してどのような効果をもたらすのかに
 ついて非常にわかりやすい説明を付け加えていた。勿論それだけでは無いが。

  このサイトはファッションを「コミュニケーション能力」のあくまで一部として捉え、
 見た目がどうあれコミュニケーション能力が無ければどうにもならないという趣旨
 の発言をしている。私の知る限り、侮蔑されるオタクに足りないのはファッション
 だけでなくファッションも含めた総合的なコミュニケーション能力であると指摘した
 のは、ここが最初ではないだろうか。私のサイトが“コミュニケーションスキル
 “コミュニケーションスペック”という言葉に当初から拘っていたのは、実はこの
 サイトの影響による。脱オタしたいと思っていた往時の私が服オタ化に至らずに
 済んだのは、このサイトの影響…かもしれない。



 【秋葉原に陽は落ちて】 →リンク先
 (1999年頃〜2000年頃まで、リンク先はinternet archive)

  1999年〜2000年頃まで存在した、典型的な初期脱オタサイト。いわゆる無印系
 や丸井系の服装を一部具体例も交えて紹介している。これらを身に着けることで
 オタクファッションから卒業しましょうという趣旨のテキストが展開されていた。
 このサイトが選んだ丸井系のファッションというのは、ちょうど同時期の他サイト
 でも選択されていたジャンルであり、入門時には無印良品などを使用→丸井で
 買い物→古着屋なんかに行きたいという流れのものだった。オタクファッションと
 して馬鹿にされやすそうなチョイスについても注意書きが加えられている。

  しかしこちらのテキストで述べた通り、例えばこのサイトで勧められていたような
 「入門時の定型的な服選び」こそが「脱オタ者の制服」「新しいアキバ系の形式」に
 成り下がってしまったわけである。当時の脱オタサイトが一斉に同じタイプの入門
 アイテム・ブランドを紹介した事や、郊外量販店の安価な服が似非モード化した事
 の影響をこのサイトのテキストはモロに被っている。もしも2005年の脱オタさんが
 このサイトの通りに脱オタをやったら、おそらく「あっ!あの人脱オタしてるよ!」
 「なんかわかんないけど、あれってオタクっぽくない?」と指摘されてしまいそうだ。
 (テキスト内の抽象的な含蓄まで捉えきれば、そんなリスクは無くなるだろうが)

  面白いのは、この管理者はオタク趣味愛好家ではないという点だろうか。彼は
 コンテンツコンシューマ/クリエイターとしてのオタクでは無いものの、「オタクと同じ
 ような暗い感じ」「冴えない見た目」と他人にみられていた事を知って所謂脱オタ的
 行動を開始したのである。彼はオタクだったから脱オタをしようとしたというより、
 見た目を含むコミュニケーションスペック/スキルの向上や審美的満足を目指して
 脱オタしたらしいなのだ。「脱オタ」という言葉が意味するところがオタク趣味を
 どうするかとは殆ど関係ないことが、ここでも示唆されている。現在脱オタと呼ば
 れている行為を、他の語彙で表現したほうが良いという意見があるのも尤もだ。
 近い将来、脱オタという言葉は別の表現に置き換えられて死語になるのかも
 しれない。



 【COMME CA DU NERD】 リンク先無し
 (1998年頃?〜2001年頃まで)

  「オタクファッション」を改善させるという文脈だけでこのサイトを語る事は難しい。
 “nerd fassion”“アキバ系”という言葉を残したODN氏のアプローチ・考察は多彩で、
 このサイトは脱オタクファッションに役立つだけでなく、その他にも沢山の視点を
 残してくれた。脱オタクファッションという点では、殆ど嫌々ながら「コムサの服を
 着れば、とりあえずモード系という免罪符が手に入りますよ」と、COMME CA DU
 MODE MENを半ば冷笑的に勧めていたが、今にして思えば管理者一流の“配慮”
 だったのかもしれない。脱オタ系サイトがテンプレートとして呈示した、無難で
 黒基調の小綺麗な服――つまり、COMME CA DU MODEで沢山売っているような
 服だが――は、その後見事に「あの着こなしを見たら脱オタ服と思え」的存在に
 なってしまい、秋葉原に溢れかえる事となったのだから。ODN氏は、おそらくこう
 いう未来予想がある程度は出来ていたような気がする。

  その他、COMME CA DU NERDには直接脱オタには関係ないにしても、nerd
 fassionに関する挑戦的なテキストが幾つも存在していた。幾つか例を挙げると、


 ・オタクの服を売っている国道沿い店舗の変化
  2000年頃には、COMME CA DU NERDはオタク服の供給源とも言うべき国道
 沿い量販店の、販売商品の変化に気づいていた。即ち、前述の古典的nerd
 fassionに合致した服が後退し、似非モード系とでも呼ぶべき丸井スタイルを
 スペックダウンさせた服が流入しはじめた事に彼は気づいていた。いずれは
 古典的nerd fassionが衰退し、似非モード的服装に取って代わられる事を彼は
 予測・懸念していたわけだが、2005年現在、事実その通りとなっている。文化
 としての古典的nerd fassionはその供給源を失いつつあり、いずれ絶滅危惧種
 となっていくかもしれない。
 (シロクマ注:高知県宿毛市で貴重なアイテムを発見!まだまだ田舎は大丈夫!)


 ・Q&A
  オタクや服飾にまつわる読者からの質問に、懇切丁寧に…鮮やかな毒舌を
 もって答えていたコーナー。容赦も遠慮も無い回答だった一方で、問題点を
 的確に抽出し、それに見合った回答をきっちり行うという姿勢が素敵だった。
 “オタクを辞めたからって彼氏彼女ができるかというとそんなことはないので、
 オタクの皆さん、夢を見るのはアニメを見ているときだけにしてください”など、
 形式的脱オタへの過剰な期待に釘を刺したほか、脱オタ者やオタク、やおい女性
 の心的傾向に関する記述も豊富だった。odn氏は、オタク服だけでなく、オタクの
 心的傾向に関しても相当造詣が深いらしく、精神的問題についても切れ味の鋭い
 回答をしていたものである。


 ・nerd fassion(アキバ系ファッション)というスタイルの積極的呈示
  ケミカルウォッシュジーンズなどの古典的nerd fassionを「アキバ系スタイル」として
 積極的にチョイスしていこうという企画。アキバ系の服装を、消極的にではなく積極的
 にチョイスし、自分がオタクであるという事を積極的にプレゼントしていこうという姿勢
 は、ジョークとしては勿論としても、大まじめにやっても面白いんじゃないかと思う。
 odn氏は、冗談か本気かnerd fassionを“一つの服飾文化”という視点で捉えている。
 nerd fassionはカウンターカルチャーとしての台頭を果たせないまま今に至っている
 し、それには幾つもの要因があるのは分かっているが、そこをクリアーして「オタクと
 いうライフスタイルの提示」なんて挑発が出来れば、一オタクとしては愉快な限りで
 ある。というか再読してみてあまりにも面白そうだったので、いずれきっちりテキスト
 としてまとめたいと思う。


  このように、重要かつ予見的なテキストが数多く存在するサイトだったが、
 internet archiveにも残っておらず、紹介することが出来ない。私のHDDには
 殆ど全部保存してあるので、万が一ODN氏が公開に応じてくださったなら公開
 したいものである。



 【ネット私立聖マニア学園】 →リンク先
 (1999年頃〜2002年まで リンク先はinternet archive)

  このサイトは厳密には脱オタサイトではなく、どちらかといえばオタク研究サイト
 と表現するのが妥当に思える。当時は、オタクの生態を小馬鹿にしているタイプの
 オタク観察サイトと脱オタサイトの区別が難しく(今でもかなり難しい)、このサイトも
 ご多分に漏れず、消極的にダラダラとオタクをやっているようなオタク(ヲタク)
 対する強烈な批判と皮肉、そしてnerd fassion(アキバ系ファッション)に対する辛辣な
 こき下ろしがみられる。これらのテキストは著者達の投影が反映されていると推測
 されるし、今日日こんなテキストをblogで展開すれば炎上しまくることだろうが、これ
 ぐらいの辛辣さがむしろ普通だったのである。オタク(nerd)に対する皮肉や辛辣や
 非難の激しさは初期のオタク研究サイトの特徴であり、それを隠そうとする素振りや
 炎上対策というものはみられない。正直、オタクの生態を見せ物にしている部分が
 含まれていたことは否定しにくい。っていうか絶対してるよ。

  こうした当時の情勢を背景にしてか、このサイトはオタク(nerd)の服飾・葛藤・
 ライフスタイルを改善させるのに役立ちそうなアドバイスが非常に乏しい内容と
 なっている。オタクのキモい所やチキンな所への(罵倒を交えた)指摘は豊富だが、
 そうしたnerd styleに代わる代替案を殆ど提示していないのだ。こうしたサイト構成
 でも、当時は脱オタ系サイトと類似のカテゴリに分類される事が出来た。この辺りは
 隔世の感がある。

  不幸な事に、このサイトはgeekへの中立的姿勢とnerdへのアグレッシブな姿勢が
 目立ち、満足しているnerdならばそっとしておいてあげればいいのに、半端物の
 nerdはみんな氏ねと言わんばかりの論調が展開されている。このサイトは「脱オタ
 の名を借りたオタク貶しサイト」という誹りから非常に弁護しづらい存在と言える。
 でもこれが普通だったんですよ、当時は

  なお、脱オタクという名称を用いていないでオタクの生態を観察したサイトと
 しては、秋葉原ファッション通信(internet archive)コヨーテのオタク専門学校
 などが挙がるが、これらは脱オタという単語が登場しないので割愛させて頂いた。



 【脱オタクファッションガイド】 →リンク
 (2002年?〜現在、 開基はもっと前だった筈)

  脱オタクファッションガイドは、現存する脱オタ関連サイトの中で最も長命で、
 最も有名で、最も沢山のアクセス数を誇る。良くも悪くも脱オタ関連の言説で
 しばしば登場するサイトで、賛否両論の書き込みが盛んに2ch等に書き込まれた
 ものである。現在、いちからはじめるファッション入門マニュアルからコンテンツの
 コピーに関する講義が表明されている。今後の動向や対応を見守りたい。


  現在のこのサイトのコンテンツには、比較的批判的な意見を見かける事が多い。
 その大きな要因としては、

 1.あまりに多くの脱オタ者がこのサイトを見て参考にしてしまった事で、アイテム
   や方針が陳腐化してしまった
 2.当初このサイトが展開していた脱オタクファッションの方向性が、ちょうど郊外
   量販店の似非モード化の方向性とダブっていた

 などの不幸な出来事が重なったからだとも言える。ただし、ここまで有名になって
 しまったからには、今後書籍化されてからは同様の失敗を繰り返してはいけない
 わけで、主催者・久世氏の手腕とセンスが問われるだろう。脱オタク恋愛講座の
 ように具体例をはずして来るか、それとも具体例を更新して来るか。はたまた
 ファッション部門は完全に他のファッションサイトに任せて精神面や心得を語るか…。
 今後の展開が注目される。

  なお、このサイトが過去に提示したアイテム群は2005年現在のオタクファッション
 の新しい定番になってしまったものが多いものの、技術論(コーディネイト、購入の
 コツなど)に関しては今なお通用するものが多い。このサイトの言説が脱オタ界隈に
 すっかり広がってしまった影響(と広がりすぎた悪影響)は計り知れないが、現在でも
 通用するコラムがそこここに眠っており、既読の人が再読したとしても新しい発見が
 あるかもしれない。久世氏がかつて提示した具体的なアイテムの多くは既に死んだ。
 だが、具体的でない技術や方法は今も死んでいない。これから脱オタを企む人でも、
 一度ぐらいは目を通してもいいかもしれない。



 【脱オタク恋愛講座】 →リンク先(http://www.geocities.jp/motemotemoteokun/)
 (2003年前後?〜2005年11月閉鎖?)

  このサイトは、精神面や心構えなどを含めた包括的アドバイスを試みた、おそらく
 初の脱オタ系サイトという事になる。主催者moteo氏の年代・志向とある程度一致
 している部分がなければ採用できないという癖の強さはあるものの、もしも年代や
 志向が一致するならば、非常に心強いリファレンス先となるだろう。

  先のテキストで随分と長所ばかりを挙げすぎたような気がするので、ここでは
 弱点をなるべく挙げてみようと思う。

  第一に、moteo氏の年代や志向と一致している部分が少ないオタクには採用が
 困難という点。moteo氏が個人的経験を基にテキストを書いている以上、致し方の
 ない所なのだが、年代や志向が離れすぎているとこのサイトは参照しにくい
 (良くも悪くも)オタクの人達は女性を“底引き網漁”する事に嫌悪を示しがちで、
 “一本釣りでない男女交際は穢らわしいもの”と考える人が多い(彼らが女性と
 交際出来るアビリティを実際に身につけてしまった時、そういう発想が続くかは
 この限りではない!男性オタク達は芯から心が純真だなんてのは、幻想である)
 彼らをどうアトラクトしていくのかも、今後の課題かもしれない。もちろん他のサイト
 にお任せしてしまうのはアリだろう。

  第二に、先の点と関係した所で、倫理技術上の問題がある。moteo氏の脱オタ
 の方法には、(どういう女性を落とすかはともかく)女性を落としまくってがんばって
 とっかえひっかえしなければならないというプロセスが組み込まれている。とっかえ
 ひっかえを意識しなくても、結果としてはそうなるだろう。この行動が成功した時、
 手に入るのは脱オタ成功や自信や矜持だけだろうか?上手く言えないのだが、
 我利我利亡者的に女性に対する勝利を追い求める行動が、何らかの副作用
 もたらすのではないかと私は警戒してしまうのだ。上手く言えない癖にこんな事を
 書くのは、ちょっと不公平なやり方だと自覚している…うーん。

  moteo氏のアドバイスを躊躇無く飲み込める人には、おそらくこの手の副作用は
 発生しないと思う。しかし倫理的問題について引っかかる所のある人は、将来
 心の中のその蟠りを自覚出来くなってしまうか、自覚しても仕方がないと割り切る
 自分になってしまうかもしれない。優勝劣敗の現代男女交際において、この手の
 倫理的副作用は実害を伴いにくいものだとは、言える。だが、然るべき社会的
 ニッチにおいて然るべき女性と交際した際には、倫理技術は自分と女性双方の
 心・信用・社会的心象などを守る“安全装置”として機能する。この事を考慮すると、
 倫理技術に無頓着になってしまうのがまずい立場の人もいる筈で、そうした人達
 にはmoteo氏の方法論は一定のリスクを背負うものとなる可能性がある。

  第三に、抽象性の高さと、それ故の敷居の高さが挙げられる。書いてある事は
 尤もなのだが、脱オタを今まさに志さんとする人達には、これらはなかなか理解
 の難しいところである(まあ、頭で理解するより体で覚えるべきなんだけどね)
 言外のニュアンスを汲み取る能力・経験蓄積からのフィードバックと照合しながら
 問題解決を試みる事が出来る知能・等々がなければ、moteo氏が提供する最も
 濃密なエッセンスは捉えにくい。このため、このサイトに書いてる“大事な事”ほど
 読者に伝わりにくい(または、ごく一部の読者にしか伝わらない)と思えるのだ。
 “どうせ分かんない奴には達成できないよ”という意見もあるかもしれないが、
 一般的には、この敷居の高さは欠点とカテゴライズされるだろう。

  このように、moteo氏の方法論をそのまま採用するには色々や課題・障壁もある
 わけだが、それでも部分的には採用出来るところは沢山あるだろうし、劣等感や
 自己不全感にまつわる葛藤を直接解決するうえで、やはりmoteo氏の語る内容は
 示唆に富んでいる。年代や志向の違う人であっても、一度ぐらいは目を通しておく
 価値があると思われる。


 【オタにつける薬】 →リンク先
 (2005年〜?)

  2005年に新たに誕生した、オタクのコミュニケーション向上の方法について
 記述されたサイト。脱オタなる語彙が実際はコミュニケーションスキル/スペック
 向上の試みである事を踏まえてか否か、このサイトには「脱オタ」という言葉は
 もはや見あたらない。だがそれで構わないのだろうし、今後は“侮蔑されやすい
 オタクのコミュニケーション能力を向上させる”という意図のサイトやblogからは、
 脱オタという語彙は消滅していく可能性が高い(何しろ、オタク趣味の放棄とは
 イコールではないのだから)

  それはさておき、主催者Accel氏は示唆的だが分かり易いテキストを大量生産
 してくれている。分かり易いという事は必ずしも万能ではないが、(例えば私の
 サイトのような)長々とまとまらない文章と比較すると、短い時間で比較的多くの
 理解や納得を提供出来るというメリットがある。スキル向上の細かすぎる方法
 までは流石にカバーしていないものの、具体的なものを含む様々なアドバイスを
 素早く吸収する事が出来る。オタにつける薬は、“吸収率の高い、扱いやすい薬”
 と言えるのではないだろうか。全てのテキストを読んだ限り、少なくとも全否定の
 対象になるようなヤバい文章は見あたらず、多くの文章がわかりやすく説得力の
 高いテキストに仕上がっている。魅了され過ぎて批判能力を失ってしまうという
 “副作用”さえ回避出来れば、このオタにつける薬はなかなか利便性の高いもの
 と言えそうだ。旧来の脱オタサイトのような煽りも少なく、コンプレックスを刺激する
 度合いも比較的少なそうだし。

  このサイトのテキストにあって他の脱オタサイト群にみられない特徴として、
 1.リソース管理に関する言及2.(例えばファッションなどの)コミュニケーション
 スキル/スペックなどが何故要求されるのかへの言及が豊富な点が挙げられる。
 これらの言及はこれまでの脱オタサイト系列でも時にみられたが、このサイトの
 ようにきっちり書いたページはあまり見られなかったように記憶している。

 1.リソース管理に関する言及
  Accel氏は時間・資金・体力・部屋といったリソースの管理について、効率化する
 事を奨めている。リソース管理は、別にコミュニケーションスペックがどうという以前
 に、向上心ある人間が日常生活を積極的に営んでいくうえで当然要請される技術
 だが、その重要性を説いたうえで具体的な注意ポイントを紹介している。管理が
 ずさんな人間はオタクだろうがそうでなかろうが自己研鑽にリソースを割くことが
 難しくなる。コミュニケーションスペック向上の試みはリソースを膨大に食うので、
 盤石の体制でトライする為にまずリソースの最適化を検討するのは合理的と言える。

 2.コミュニケーションスキル/スペックなどが何故必要なのかへの言及
  ファッションの再建だけでなく、コミュニケーション上の様々なアドバイスや指針が
 このサイトには記述されているわけだが、のみならず“ファッションも含めて、どうして
 それらが要請されるのか”のwhyに関する記述が豊富な点が好感が持てる。勿論
 こうしたwhyはボランチなどの初期脱オタサイトにもある程度みられたものだが、この
 サイトにおいてはとりわけ豊富に認められる。様々なスキルや要素群がどうして
 脱オタ(というかコミュニケーションスペック向上)に求められるのかを分かり易く解説
 しているのはとてもありがたい。疑問を感じながら事を進めるよりは、理由を理解
 しながら事を進めたほうが良い結果が得られやすいに決まっている。

  総じて、このサイトに書いてある方法論は脱オタなどという枠組みに留まらない、
 誰もが参考に出来る汎用性の高いものだと私は考える。「より豊かな人生を構築
 する為に役に立ちそうなtips」が盛りだくさんで文章のまとまりも良いなので、オタク
 か否かに関わらず覗いてみる価値があるだろう。

 ★私個人は、『自尊心の回復』『劣等感の解消』等、オタクにみられる精神病理として想定されるものが“オタに
 つける薬”の標的になっている点にも興味を抱いている。適応と劣等感との関連は?オタとの関連は?この
 テーマへの興味は尽きない。


 【Paul GrahamによるWhy Nerds are Unpopular? 日本語版サイト名は失念】
 →日本語リンク先   →internet archiveによる原文
 (2003年?〜現在、もっと昔からあったような?)

  脱オタサイトと分類するのは適切では無いが、あまりにも歴史的影響が大きく、
 脱オタ者が読んでも得るところが多いと判断し、敢えてここで紹介する事にした。
 現在に至る脱オタ方法論の有効性・オタクの精神病理・スクールカースト・非モテ・
 その他沢山の議論にこのテキストは影響を与えているし、現在でも有効だろう。
 あまりに有名なので、テストに出そうだ

  サイトには2003年の作となっているが、記憶が確かならばもっと昔からこの有名な
 テキストは存在していたような気がする。このサイトにおけるnerd(オタクと翻訳されて
 いる)は、オタク趣味愛好家だけを指す言葉ではない。知的水準や勉学の面では
 高水準をキープしているかもしれないが、異性や同性とのコミュニケーション能力、
 すなわちコミュニケーションスキルやスペックに問題があって…否、もっと言えば
 人気が無い事が原因で…スクール内カーストで低位に甘んじざるを得ない男子
 学生達を指す言葉として、nerdという単語がここでは採用されている。

  Graham氏は語る。“11歳の子どもたちを、自分たちで作った仕掛けの中に放り込む
 と、彼らはたいてい『蝿の王』みたいな世界を創り出す”と。子ども達の残酷極まりない
 弱肉強食の世界では、構造的にスクールカースト的な差別・迫害の構造が形成され
 やすく、人気を一つの評価尺度とした差別が形成される、と。私は、氏が描写した
 醜くも弱肉強食的で非“文明的”な人間描写に、強いリアリティを感じずにいられない。
 と同時に、侮蔑に晒されながら生きているオタク達が侮蔑されるまさにその理由、
 劣等感が醸成されていく理由、オタクが胸を張って原宿や銀座を闊歩出来ない理由
 に思いを馳せずにはいられない。オタクが無慈悲な侮蔑に晒される理由と、それに
 伴って思春期に形成される精神病理について、このテキストはインスピレーションを
 与えてくれる筈だ。日本でいうオタクとGraham氏のnerdには、定義の上で若干のズレ
 があるのは否めないが、層はかなり重なっているだろう(また10代の非モテもかなり
 重なっているように見えるが、非モテはメインテーマではないので割愛)。アメリカ
 の公立学校で発生しているスクールカーストの構造と日本におけるそれは、かなり
 似ているのではないだろうか…少なくとも、氏の挙げるイタリアの事例などよりは。

  Graham氏のテキストは、脱オタ者に直接スキルやテクニックを授けてくれるもの
 ではない。だが、屈辱にまみれながら忍従の日々を過ごしている若いオタク達に
 様々な洞察を与えると同時に、人生の様々な局面で“逆転”“脱出”のチャンスがある
 という希望も暗示してくれる。一方的に虐げられるnerdという立場は、少なくとも永続的
 なものではない筈だ――大人の世界で自己実現が出来るならば。そしてこのテキスト
 に描かれている高い知的ポテンシャルを秘めたnerd達なら、服と合コンにしか興味の
 無い連中には無い、才能・知性で将来評価される可能性に賭けることが出来る。
 実力主義のアメリカでは、nerdだろうが何だろうが、仕事などできっちり成果を出せば
 適切に評価されて劣等感を克服できそうな気はする。尤も、その成果を出す為には、
 最低限のコミュニケーションスペックは要求されて然るべきだろう。それすら出来ない
 ならば、こぼれ落ちるしかない。

  ただし、このような議論が2005年現在の日本の社会構造においてどこまで合致
 しているのか疑問は残る。日本において、学歴や仕事における評価が人間関係の
 評価にどこまで直結するだろうか?そりゃあ、東大や京大を卒業して素敵な研究所
 に潜り込み、評価される仕事を提示すれば職場で高く評価されるかもしれない。
 だがそこまで上り詰める人は稀だろうし、そんな人であってさえ、例えば女の子に
 モテるには別のものが要求されるのだ(ビジネスの分野で成功して、金を掴めば勿論
 別だ。だが、日本では研究者はたいした金を掴む事が出来ない)。スクールカースト
 時代と同様の“コミュニケーションスペック”による階層化、否、もっと言えば“人気”
 による階層化は、大人社会の人間関係にも蔓延しているのではないか。そこら辺
 の日米間の相違を考慮した時、高校時代ぐらいまでにスクールカーストで下位に
 位置していた日本のオタク達はどう対処するのが適当だろうか?様々な方法が
 考えられると思う。勿論脱オタという方法論も、主要でダイレクトな対処法の一つ
 としてその中に含まれるだろう、

 PS:英語だけどこんなの発見。Graham氏による質問への回答。“人気”“学校”などに関して
    かなり的確な事を言っているように見える。興味のある人はどうぞ。



 【2ch関連】
 【脱オタのための基本形を考えるスレ@2chファッション板】 →リンク先
 (開基不明〜現在まで、リンク先は別館のテンプレ保存サイトです)

  当然ながら、2ちゃんねるファッション板にも脱オタ関連のスレッドが存在する。
 ファッション板はその性質上、脱オタを試みるグループや所謂「私は脱オタです
 と言わんばかりの服装」にナーバスだが、脱オタ入門用のアドバイスが豊富で、
 先輩が後輩にアドバイスするような雰囲気が確保されているスレッドも無いわけ
 ではない。少ないけれど。

  ここで紹介したスレッドは、ファッションの向上に関するアドバイスが中心で、
 この辺りは古くからの脱オタサイトの情報提供に似ている。2chという媒体を
 用いているからだろう、アイテムの陳腐化という問題をそれほど恐れずに
 アイテムを呈示出来るというのも良い。勿論、既に陳腐化したアイテムが呈示
 されることもあるし、呈示されたアイテムが絶対に陳腐化しないなんて事も無い。
 それでも、その年の状況に即した提案が誰かによって書き込まれる可能性が
 常にあるという点が良いのだ。…他の板より確率低いかもしれないが…。

  2chにありがちな問題は含んでいるものの、2chという媒体だからこその長所
 も持ち合わせているのがスレッドならではと言ったところか。質問に対して返答
 が速やかに行われる(勿論、状況や質問の仕方にもよるが)のもいい。加えて、
 脱オタという行動に関して批判的・嘲笑的な意見が呈示されるのも、(それが
 なかなか的を射ていたりするので)脱オタ者が「おかしな気」を起こさないように
 するには丁度良いブレーキになっているような気がする。しかも周りにはファッ
 ション板の様々な板が乱立しているので、その気になればファッションに関する
 様々な情報をさらに吸収する事も可能である。ただし、周りの板を巡る場合は、
 服オタ特化への警戒を持ちながらどうぞ。それさえ何とかなるなら、ファ板には
 ファ板なりに、情報の坩堝としての利用価値はあると思う。



 【同人男容姿向上計画@同人板(現行は45スレ)】  →リンク先
 (2000年〜現在、リンク先は過去ログ保管庫)

  おっと、こちらのスレッドを紹介するのを忘れていた。2chの脱オタ系スレッド
 としてのもう一方の雄、同人板の同人男容姿向上計画である。まとめサイトに
 書かれている内容は、あくまでファッションやエチケットに該当する範囲のもの
 ばかりで、しかもそれは丸井系のベーシックな使用を目標としたものとなって
 いる。つまり内容的には古典的な脱オタファッションで、ファッションによる
 アドバンテージを獲得するというよりは、ディスアドバンテージを回避する事が
 さしあたりの目標とされている。このため、多くの脱オタ者が実際には期待して
 いる“コミュニケーションスペックの向上”“異性と付き合うノウハウ”に至るような
 ドラマはこのまとめスレには存在しない

  だが、それはこのスレッドの特徴であって、短所と言い切れるものではない。
 長所でもあるのだ。このスレッドで主として問われている問題は、まずは見た目
 にまつわる差別や不利を何とかしようという点に絞られている為、どんなオタク
 でも取っつきやすく、実行しやすい。高すぎる目標のために実行不可能という事
 が無く、書かれている内容からは誰もが知識を汲み取る事が出来る。
 2chの特徴であるレスポンスの早さも良好で、マナーを守ってまともな質問を
 すれば、ある程度きちんとした答えが返ってくる(荒れていなければ、だが)
 所属板がファッション板ではなく同人板なのもこの場合はプラスになっている
 かもしれない――荒んだ服オタによる書き込みや要求水準をはき違えた発言は、
 ファッション板よりは少なくて済みそうに思える。このスレッドに書いてある事は
 あくまでベーシックな、エチケット・周囲に溶け込みそうな服飾の提案で占めら
 れており、いかにもファッション的な“主張”というものを期待してはいけない。
 だがそれ故に、脱オタ者がおっかなびっくり服飾に触りはじめるには丁度良い
 温度を提供していると思う。ファッション板の敷居が高いと思ったら、まずここへ。
 主張がどうのっていう話は、基本に慣れてから興味があればすれば良いのだ。


 (2ch関連参考その1:)
 2chのファッション辞典
  脱オタサイトではないし、通常の初心者ファッションサイトとしては色々問題も
 無いわけではないが、この2chファッション辞典は、脱オタについての言及が
 多く、脱オタが「おかしな気」を起こさないようにするにはなかなか味わい深い
 構成となっている。

 (2ch関連参考その2:)
 脱オタの俺がキレイ目なオサレさんに変わるスレ ←2005年11月までにdat落ち
  一方で、その他の脱オタ系スレッドは栄枯盛衰が激しく、クソスレから良スレまで
 ごちゃまぜの状態が続いている。2005年10月21日現在で2chで「脱オタ」と含まれる
 スレッドを探すとすると、恋愛サロン板に所属するこのスレッドが比較的長生きして
 いるように見える(もっといいスレがあったらどなたか教えてください)。もちろんこの
 スレが今後続くかどうかは分からない(dat落ちして消えてしまいそうな予感…)

 (2ch関連参考その3:)
 脱オタ黙示録カイジ
 一方、dat落ちしながらも、何らかの価値や輝きを残したスレは保存されるのが
 2chなわけで、脱オタ黙示録カイジのように保存されているものもある。




 【blogの世界】

  今回は、グーグル“脱オタ”で引っかかったサイトの上位をピックアップするに
 留める。私はblog界隈に疎いので、脱オタにある程度特化したblogを上手に
 ピックアップ出来ないのだ。また、blogという媒体は日記・問題提起・ブロガー
 同士のディスカッションには向いているが、よほど意識しない限りテーマが拡散
 しやすく、まとまりのある考察を持続的に展開するのが難しい(ように見える)
 このためこれから紹介する幾つかの例も、個々のケースレポートとして眺めるの
 が良いかもしれない。

  ただし断っておくが、これらのblog管理者が、真に脱オタをテーマとしてblogを
 管理しているのかか否かは定かではない。なかには「脱オタ」という語彙と適度
 に戯れている人や、「脱オタ」という語彙を使って別の目的を果たそうとしている
 人も混じっているやもしれない事をお忘れなく。私はあまり詳しく調査していない
 ので、個々のblog管理者の思惑はわからない。ひょっとしてここここの方が
 よほど参考になる可能性は、現時点ではまだ否定しきれていない。要調査。


 【脱オタで検索されるblog群】

 目指せ!電車男!脱オタしてモテ男に!

 脱オタのようなもの

 脱:初心者恋愛攻略

 30代からの脱オタク

  なお、女性のブロガーが脱オタと銘打ったblogを立ち上げているのも興味深い。
 もし女性にも脱オタと呼び得るものがあるなら、一体どんなテキストが適している
 だろう?

 脱オタ女子日記〜2nd〜復活のヨカン

 腐女子脱オタ計画

 これらのblogがこれからどのように成長するのか・閉鎖するのかは未知数である。





 ・以上の紹介を終えて・あとがき

  今回いざレビューをまとめてみてはっきりした事がある。それは、脱オタ関連の
 情報をネットで得ようと思っても、先人の知識・経験が殆ど蓄積されていないという
 事である。第一世代脱オタサイトは殆どが滅亡し、第二世代以降のサイトも、
 脱オタク恋愛講座を除けばまとまったものが出来上がっていない。2chは別と
 しても、経験や議論を蓄積させた脱オタblogで目を惹く所はまだまだ少なく、
 サイトレベルでも新しくて大きな総説をぶちあげているものは見あたらない。
 ファッション系の初心者サイトや、モテる為の方法を書き綴ったサイトなら今日日
 充実しているので、それらを眺めれば各論的な部分、ことに服飾という面について
 十分カバーできるからかもしれない。


  一方で、脱オタサイトというカテゴリでなければやりにくい仕事というのもある筈
 だと私は考える。劣等感、自己不全感、オタク服の問題点、脱オタとオタク趣味
 の掛け持ちをどうするかの問題etc…。availableな非オタク系サイトへのポータル
 機能も含め、オタクならではのポイントを踏まえた情報提供をしていく事が脱オタ系
 サイトに今求められていることではないだろうか?
 (うちのサイトにも求められている事…と自戒しなければ…)

  少々自経験にひきずられていようとも、防衛機制の名残が色々残っていようとも、
 それが後進の脱オタしたいオタク達の教師&反面教師となるならば、それはそれで
 有用な情報提供と言える。仮に批判されようと叩かれようと、その脱オタサイトは
 脱オタの後輩達に道を示すものとなるはずなのだ。単に優れたファッションサイト
 やモテ言及サイトならば幾らでも引っかかる。だが、それらのサイトには無い
 「オタクを対象とした」「オタク特有の心的傾向が背景にある事を前提とした」
 「オタクな自分が記述した」テキスト展開こそ、やはり脱オタ系サイトが占めるべき
 ニッチではないだろうか。恥ずかしがらず、叩かれても慌てず、色々なサイトが
 成長して色々なアーカイブを残していってほしいと思う。大変だとは思うけど。


 【おまけ:脱オタアーカイブ保存のお願い】

  閉鎖する脱オタ系サイト・blogの方、脱オタ関連のログを分けて頂けませんか?
 閉鎖の前にお手紙頂ければ、あなたのサイト・blogの脱オタ関連の記事を譲り
 受け、可能な限り保存します。ご連絡はシロクマ(c6enero@hotmail.com)まで
 お願いします。「内容は全く世に公開して欲しくない」という方でも、その旨を付記
 して頂ければ公開を控えます。あなたの経験や記録を、後世に伝えるアーカイブ
 の一部として、どうか私に分けてやってください。心を込めて、保存いたします。


 →萌えとセクシャリティ関連のページへもどる

 →「脱オタサイトの歴史」に戻る
 →このサイトのトップページまで戻る