えらーい人達
二人目      レオポルト・ウラッハ ( WLACH, Leopold )
                (1902〜1956 オーストリア)
1902年にウィーンで生まれ、56年にウィーンで没したまさに生粋のウィーン子のクラ吹きである。1928年21歳でウィーン国立アカデミーを首席で卒業後、26歳でウィーン 国立歌劇場管弦楽団入団しVPO(ウィーン・フィル)のメンバーとしても活躍。現在VPOで活躍中のクラ奏者(プリンツ、シュミードル等)は彼の弟子であるが、かなり厳しい先生だったらしい。

ウラッハのプレイは、高校生時分に雑誌の評論を読んで買って聴いて以来魅了されてやまないものであります。その魅力はなんといっても暖かく渋みのある音色であろうと思います。美しく、華麗な音色の奏者は現代では群雄割拠の様相のようですが、ウラッハのクラのようなタイプの音色を持つ人はいませんし、又これからも現れ難い事と思います。それはまさに噛めば噛むほどに味の出る演奏でしてそれこそ何度聴いても飽きることがありません。心持ち余裕のあるテンポで一つ一つの音のニュアンスを大切に扱う演奏は本当の意味で心のこもった音楽であります。ヘッドフォンで聴くとよくわかるのですがキーの音がカチャカチャとよく聞こえます。彼が使っていた楽器は一般的なベーム式のクラリネットとは違う昔風のエーラー式のシステムだったらしいそうです。
モーツァルト:クラリネット協奏曲&ファゴット協奏曲
これはもう言わずも知れた歴史的名盤です。最晩年のモーツァルトの音楽の持つ諦念のニュアンスがこれほどに感じられる演奏はいまだにこれしか知りません。
クラリネット吹きのみならず未だウラッハを知らない人には是が非でも聴いてもらいたい名演です。カップリングのエールベルガー(この人も同時代のウィーンフィルの名ファゴット吹き)も見事なソロを聴かせてくれています。
  クラリネット:レオポルド・ウラッハ
  ファゴット:カール・エールベルガー
  指揮:アルトゥール・ロジンスキー&ウィーン国立歌劇場管弦楽団
  1954年 ウィーン・コンツェルトハウス・モーツァルトザール
  WESTMINSTER MVCWー19009(MONO)
モーツァルト&ブラームス:クラリネット五重奏曲
 クラリネット:レオポルド・ウラッハ  ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
 1951/1952年 ウィーン・コンツェルトハウス・モーツァルトザール
 WESTMINSTER MVCWー19020(MONO)
モーツァルト:クラリネット五重奏曲
ブラームス:クラリネット・ソナタ集他
 クラリネット:レオポルド・ウラッハ  ピアノ:イエルク・デムス
 1953年 ウィーン・コンツェルトハウス・モーツァルトザール
 WESTMINSTER MVCWー19021(MONO)
ブラームス:クラリネットソナタ第1番・第2番
上記2枚も忘れがたい演奏が聴ける名盤です。これほどにはかない味わいのブラームスはそう聴けるもの
ではありません。ほの暗いクラリネットの音色がこれら名作を決してオーヴァーアクションは無い、細やかなそれでいて自然なニュアンスで描いていきます。何度聴いても聴き飽きない名演中の名演です。紹介しているディスクはいずれも廉価盤ですので出来れば3つとも揃えてもらいたいものです。

  

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