No45                 

                             おきて「スカウトは誠実である」


                                                  公益財団法人ボーイスカウト日本連盟
                                  常務理事  佐野友保

 子どもたちが、世の中で最初に信頼する人は母親であるといいます。そして、いつの日か父親の優しさを知り、そして、世間の大人を人生の師として敬い、そして立派な人間として成長するものだと言われます。だから子供から見て大人は嘘をつかない、大人の言うことは正しいと思っています。しかし、この頃の大人は、子どもたちの心を裏切っているようであります。特に最近、マスコミを賑す報道は目に余ることや、聞くに堪えないことがしばしあります。
 いつの頃から日本人の姿が歪んできたのだろうかと思います。社会で最も信頼のシンボルである老舗と称する企業として、明治以来幾多の困難にもお国のためにと、先人たちは世界を駆け巡り、時には商いを度外視し、国家のためにという気構えを持って行ってきたと思います。そのグループ企業の一角で最も消費者が信用と信頼を持って食べたり、購入したものが、偽証であったこと、そしてそれを世間に知られなければ良いという隠ぺいをした会社の首脳陣を見るところ、高学歴のこの人たちには全く社会の倫理が欠如しています。
 私より少し先輩でありますが、戦後の誤った民主主義と自由を鵜呑みにし、自分たちの都合の良い解釈をして、金と物が一番優位こそが会社が発展するという、いたって自分本位の結果が、製品の欠陥がわかっていながらリコールせず、知られないうちに対処すればよいという「正直者は馬鹿を見る」をあざ笑う行いが通るという、その精神が何とも情けないことであります。そのような行為が社会からの信用や信頼を失い、あげくの果ては、何万人もの社員の生活を脅かすことなど、多分一度もわが心の中には思ったことはないのではなかろうか。大変残念で悲しいことであります
 少なくともこの企業は、株式会社日本の中でも一流であり、一流であることは、企業として社会に対する責任が求められます。
 信頼を得ることは誠実に行うことです。そして伝教大師の教えである「忘己利也」というスカウトのちかいの2番目「いつも他の人々を助けます」という心と行動だと、私は去っての隊長から教示されました。今でも白分の指針にしています。大人が自ら範を規することが最も重要なことです。子どもたちは、大人は嘘をつかない大人の行うことは正しいと信じて生きているはずです。だからこそ安心して過ごすことができるのです。スカウト運動はまさに大人と子どもの信頼関係の中で運動が展開されています。子どもにとって人生はいばらの道である。そんな時は、大人である私たちが道に迷うことなく北のコンパスとしての役割が求められます。スカウト活動がより発展する要因の一つに大人の献身的な奉仕の心が最も大切だと思います。
“おきての一番は「スカウトは誠実である」”


                    
                      団行事 第1回伊吹山登山


   No44                 


                              「今、我々が目指すところ」


                                                  公益財団法人ボーイスカウト日本連盟
                                  理事・プログラム委員長  福嶋正己


日本のボーイスカウト運動は、昭和20年の太平洋戦争後大きく変わりました。戦前はイギリス式のスカウティングでしたが、戦後、占領国GHQ民生局の指導を受けて全面的にアメリカのスカウティングが導入されました。
当時の時局からすれば、当然の事と思います。GHQ民生局は殆どがアメリカ人です。
占領軍兵士・将校の中にはボーイスカウト経験者も数多くおり、戦前から戦中、戦後のアメリカ連盟の資料等を範として、戦後の日本のボーイスカウトが再発足しました。
その事により、早期にスカウト運動が再建されました。戦前からの少年団日本連盟創立から昨年で90年を迎えたわけです。
私には、大きな疑問があります。この運動に関わっている人たち、自分も含めて、皆さん口をそろえて、「この運動は大変素晴らしい運動である」と言っています。

 晴らしい運動なのに何故、加盟員が年々、減少するのでしょうか?

 素晴らしい運動ならば加盟員は増えるはずと思いませんか?

日本の経済に目を移すと、戦後の高度経済成長時期と言われた時代、労働集約型産業(工業・農業)でした。
農業や工業など、労働集約型の高い産業が主体の経済では、労働力としてのヒトが富の源泉であり、子どもの数が多いことは、家族のひいては国家の繁栄を意味しました。しかし労働集約型産業が発展途上国へ移っていくと、経済力の源泉も知識や想像力のある人材と変わっていった。今世紀の中ごろには、開発途上国も先進国と同様、長寿化と少子化が進展するでしょう。今の日本の経済は成熟した経済、知的労働型の産業へ移っています。当然のことながら、知的労働型産業に経済が成長するにつれて、少子高齢化が始まる訳です。このような問題は、経済の発展に伴い避けては通れない問題です。
この運動にとって、確かに少子化という問題は障壁となっています。数多くの小学校、中学校が合併をする時代です。また、中途退団ではスポーツ団体、受験のための塾通い、これらは全て外的な要因です。我々の内部(隊・団・その他の組織)に問題はないのでしょうか?
特に、隊における指導者の質はどうでしょうか、隊長は本当に求められる訓練を受け、部門の正しい運用をしているのでしょうか?

団、隊の古い慣習に流されていませんか?

今、我々指導者が求めなければならないのは、スカウトの質、指導者の質、ではないでしょうか。
部門の年齢が低いほど、上記のような影響は少ないでしょう、カブ年齢未満の運動が各国々において検討されていた時期の1988年のメルボルンで開かれた「第31回世界スカウト会議」での使命は下記の通りです。
「この運動は、すべての年齢の若者達の運動であり、特に思春期を迎えた年齢層に適合していて、決して児童の運動を主としたものでは無い」
英文では、下記のように記述されています。
A movement for young people of all ages, which is particularly suited to the adolescent age group and not primarily a childrens movement.
本来、人格を形成する年代は、日本のスカウト運動でいうところの、カブ、ボーイ、ベンチャー年代の約10年の間に形成されると言われています。この3部門に重点を置くことが大切な事と思います。


                    
                       ボーイ、ベンチャー新年初日の出登山

   No43                 


                   安全・安心なスカウト活動に向けて

                                                 公益財団法人ボーイスカウト日本連盟
                                 日本連盟副コミッショナー  増田秀夫



 スポーツ活動や学校教育の場での虐待や暴力などの悲しいニュースを耳にすることが多く、スカウト活動(運動)も対岸の火事として見過ごすことはできません。
 
私のスカウト時代のジャンボリーでの出来事です。集合時間に3人のスカウトが遅れてしまい、その罰として「私は遅刻しました」と書いたプラカードを首から下げ、ジャンボリー会場の大通りに立たされました。その3人は、ジャンボリーから帰るとすぐにスカウト運動を辞めていきました。
 自身指導者となっている今、その時のスカウトの気持ちを考えると、プライドを無視した派遣隊長の行為に、憤りを感じます。去っていったスカウトはもちろん、私にとってもいやな思い出となったジャンボリーです。
 2010年に朝霧高原で開催された第15回日本ジャンボリーにおいて、指導者を対象に“チャイルドプロテクション”に関する学習と課題の履修が試行的に導入されました。チャイルドプロテクションとは、2002年にギリシャのテサロニキで開催された第36回世界スカウト会議において“Keeping Scouts Safe From Harm”(スカウトを危害から守る)の採択に基づくもので、スカウトの活動環境を整えるという内容です。
 第15回日本ジャンボリー以後、日本連盟で検討を加え、2011年3月に日本連盟コミッショナーからの通達として、チャイルドプロテクションの重要性が全指導者に周知されました。同時に、指導者研修では、参加者への意識喚起等の取り組みが明示され、現在も継続しています。ボーイスカウト講習会においても同様に取り入れられており、参加された保護者に感想をお伺いしたところ、『スカウト活動では、いじめ・体罰・無視等について配慮され、指導者が教育をきちんと受けていることで、安心して子供を参加させることができます。』という言葉を頂戴しました。
 また、第23回世界スカウトジャンボリーのプレジャンボリーとなる第16回日本ジャンボリーでは、大会に関わる全ての指導者を対象にチャイルドプロテクションより守備範囲の広い、スカウト同士、スカウトと成人、そして成人同士のいじめ・身体的虐待・精神的虐待・無視・性的虐待・搾取等の予防と対処法を学び実践する、“セーフ・フロム・ハーム”の考え方が導入されます。それに伴い事前に、e−ラーニングによる研修を義務付けることが、第16日本ジャンボリー実行委員会で承認されています。
 危害の予防については、指導者の学習も不可欠ですが、それらが発生したときの対処の方法が重要です。その対応いかんでは、楽しいはずのスカウト活動がスカウトや指導者のトラウマとなり人生をも狂わせてしまいます。
 今後は、日常のスカウト活動にセーフ・フロム・ハームを導入し「安全・安心」なスカウト活動を実践し、スカウト運動が社会に信頼される教育活動として備えなければならないと考えています。
 スカウト運動の単一(不変)性と柔軟性を見極め、時代に流されず、変化に対応できる活動を目指し、情熱をもって心がける必要があります。
指導者の皆様、友(共)にスカウトの道を頑張って進んでまいりましょう。


                   
                       冬の一泊で餅つき


   No42                 

              研修会ありがとうございました
                                                  公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 理事
                                                      日本連盟コミッショナー    膳師 功  
  
平成24 年度救世スカウト指導者研修会ありがとうございました。その時の参加者の方から、もう少し聞きたいという内容をいだだきましたので、回答させていただきます。よろしくお願いします。

Q.全国平均の人数を教えていただきましたが、救世スカウトになるともっと人数が少ないと思います。班制度ができない中で、同じような効果を求めるのは難しいと思いますが、それに匹敵するような、スカウトたちが楽しく活動を続けていくために必要なものとは何でしょうか。
A.私は「観察と推理」と思っています。これは、あらゆる知識の基礎です。
観察力を身につける第1 歩は追跡です。推理は観察したものから意味を引き出す技術です。推理力を身につける第1 歩は計測です。習慣として身につけていけば人格形成をするのに大きな第1 歩を掴んだことになります。
また、スカウトが惹き付けられるものを、提供すること。それが自発活動につながります。その後、指導者が与えたい、知らせたいことを味付けすればよいのです。
でも、大前提として班は、標準で活動をしたいものです。こんな言葉があります「楽しさは、二人で楽しめば2 倍になり、悲しみは、二人で悲しめば半分になる」

Q.野外活動(キャンプ)によって、思いやり、やる気、人間関係能力等の資質能力が高いという結果を文科省のアンケートで出ていましたが、何故、そのように資質能力が高く成長するのでしょうか。また、長期キャンプができないけれども、毎月、短期キャンプを継続していくことでもいいのでしょうか。
A.文科省の調査結果では、なぜ能力が向上するのかについての記載はありませんでした。でも実態は見てのとおりです。野外活動(体験)に自信を持ちましょう。B−Pは、「森は、そのまま研究室となり、クラブとなり、礼拝堂ともなる」と述べています。森での生活の中で、数多くの体験を得ることとなり、向上に繋がるものと思います。私は、毎月でもキャンプは良いし、楽しいし、やればやるほど熟練し、奥も 深くまた精神も向上すると確信しています。

Q.班制度がとれない少人数ですが、異年齢で構成している隊の場合でも、コミュニケーション能力が高まるのでしょうか。もし難しい場合においても、限られた人数の中で、最大限補える場合、指導者の役割とはどのようなことが考えられるでしょうか。
A.ボーイスカウトでは、異年齢でバランス良く構成する班が標準です。コミュニケーションは、集会で会うほどに高まり、先輩から後輩へ、教えを伝承できる、とても良い関係が構築されます。指導者は、班長に運営を委ね( 放任ではなく)、班長を通じてサポートをすることが大事です。

Q.人格教育の中の「徳力」について、信仰心で培うというお話をいただきましたが、実際にオープン団の場合、どのような形でスカウトたちが信仰心を高めていくことができるのでしょうか。その中で指導者の役割についても教えて下さい。
A.徳力とは、簡単に言うと「他人の幸せをはかること」と言えます。
それは、B−P の最後のメッセージをよくかみしめていただければ、答えが出ると思います。
また、B−Pはこのように言っています。「スカウティングは、熱意を持ち本気になって取り組めば、素晴らしいゲームだ。遊んでいるうちに体力、知力、精神力が強くなる。しかし忘れていけない。これは野外のゲームなのだ。
だから機会があればいつも野外に出たまえ。」(精神力は、徳力と認識しています。精神力を強くすることで、真理が理解できると信じています。)

Q.学力と体力と徳力をスカウティングが繋ぐために、指導者は、どのようなことをさせていただければいいのでしょうか。
A.学力については、本を読むこと。体力は、運動するかよく遊ぶこと。徳力は、スカウティングをしっかりと行うことでしょう。
教育に特効薬は、ありません。即効薬もありません。地道なみんなの努力が花を咲かせることになります。創意工夫をして共に頑張りましょう。


                           
                             第1回東海野営大会に参加(10名)

   No41                 

            日本連盟の大きな挑戦 〜先輩が残してくれたもの〜
                                                  公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 理事
                                                        第16 回日本ジャンボリー実行委員長 堀江 建治

 2013 年の第16 回日本ジャンボリ―開催まで余すところ1年と2カ月となりました。昨年8 月のキックオフより、実行委員の諸兄には貴重なお時間と知恵をお借りして準備を重ねることができ感謝しております。恥ずかしながら白状すると、目を覚ますたびに目に見えない力に尻を押されているような重苦しい朝を迎え続けている今日この頃です。
前回15NJ においても、従来のジャンボリーとは運営方法に若干の違いがあり、違和感があったことと思いますが、今16NJ は、23WSJ のプレ大会、そして30 回APR ジャンボリーとして実施され、アジア太平洋地域をはじめ、各国からのスカウトの参加も見込まれており、プログラムや運営組織、そして参加の形態が従来のものとは異なる部分があります。
これは日本連盟の大きな挑戦でもあります。新しいものに積極的に取り組み、新たな楽しみを見つけるのもスカウティングの喜びの一つです。新しいことをやろうとする時、やりもしないうちから結果の評論をしがちですが、私たち、指導者一人ひとりが成功を信じて挑戦し、前に突き進む姿勢が後輩スカウトの背中を押す力となり、将来この運動を支え、伸展させてくれる大きな力になるものと確信しております。
WSJ のプレ、APR の冠と複数の使命を持つ16NJ でありますが、全国のスカウトが結集する国内大会であり、参加スカウトにジャンボリーの素晴らしさを存分に体験して貰うことが第一の使命と考えております。
会場いっぱいに張られたテントの数の多さに驚き、原隊では味わうことのできないスケールの大きなプログラムに興奮し、素晴らしい演出の集会やセレモニーに感動し、長い野営生活を送る中で良き友を作り、自信をつけた頼もしいスカウトたちが、たくさんあらわれてくれることに期待をしています。近年、私たちのスカウティングを取り巻く環境も大きく変わり、それらと上手くコラボレーションして行くことも勿論、必要でありますが。活動が停滞している現在、意識改革も必要で、私たちの先輩が進歩制度という素晴らしい宝物を残してくれました。日本連盟創立90 周年を迎えても、決して色褪せては居りません。指導者一人ひとりがそれに習熟し、自信を持って子どもたちに展開することが出来れば、子どもたちは、スカウト活動の楽しさを満喫できる筈です。基本を身につけずして新しいことに飛びついてもそれは無理です。
ショートカットは誰しも考えることですが、スカウティングには通用しません。希望を持ってこの組織に加盟してくる親と子どもの期待を裏切ることのないよう、頑張りましょう。


                           
                                  富士山登山へチャレンジ




   No40                 

          スカウティングの特徴を活かしたプログラムを
                                                公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 理事
                                                      指導者養成委員長・副コミッショナー 村田 禎章

ボーイスカウト日本連盟指導者養成委員長を拝命し、今後の指導者養成について真剣に考えた2 年間でした。
指導者養成はスカウト運動の発展にとって絶対不可欠なものであり、スカウト諸君に提供されるプログラムに関する施策と両輪をなすものです。
十分とはいえませんが、現場で今、何が問題となっているのか、どのようなことを社会がスカウティングに求めているのかということについてさまざまな方に情報提供のみならず、ご指導やご意見をいただきました。
その中で(あえて誤解を恐れず申し上げるなら)、多くの隊や団で行われているプログラムは本当の意味でのスカウティングではないものが多いと言えるのではないかと感じました。

SCOUT とは多くの方がご存知の通り「斥候」、「偵察員」という意味があります。もともと、英国陸軍騎馬将校であったベーデン-パウエルが「AIDS TOSCOUTING」という斥候術に関する軍事参考書を著し、少年達がその本をもとに「斥候ごっこ」を始めたことが、ベーデン-パウエルが少年向けの「SCOUTINGFOR BOYS」を著すきっかけとなったことは皆さんもご存知のことです。
つまり、スカウティングは単なる野外活動ではなく、斥候術、偵察技術をもとにした子どもたちの遊びのジャンルだと捉えるのが正しい考え方ではないかと思っています。
近年のアウトドアブームで家族キャンプなどをされる家庭も増えていますし、オートキャンプ場の整備も進みAC 電源を備えた施設もあります。また、キャンプ用品もさまざまなものが開発され、失礼ながら野外生活術に長けていない一般家庭でも手軽にキャンプ生活を楽しむことができるようになりました。
さて、私たちの取り組んでいるスカウティングは、いわゆる世間一般でいう「野外活動」や「キャンプ」とは一線を画するものです。前述したとおり、私たちスカウトにとって、キャンプやハイキングは「斥候術」の1つの技術であって、キャンプやハイキングをするためにスカウティングがあるわけではありません。あくまでも「スカウティング」という遊びを通じた青少年の成長を促すためのプログラムでなければならないと思います。
現場の指導者の皆様にはこの点を十分ご理解いただき、一般にとらえられているキャンプやハイキングという単純な概念ではなく、「スカウティング」を展開していただきますようお願いしたいと考えています。


                            
                              ナイトハイキング35km 雪が降り出しました



   No39                 

            “反省”
                                                    公益財団法人ボーイスカウト日本連盟
                                                                副理事長     山本 一郎
三指
 まだ和歌山・高野山が世界遺産に登録されていなかったずいぶん以前のことですが、4年に一度の真言スカウト連絡協議会主催の真言宗キャンポリーが高野山内で開かれた時に、当時は和歌山連盟コミッショナーだった志波栄吉先生から「正式に招待されていないのだけれど真言宗キャンポリーの開会式をぜひ見たいので車へ乗せてくれませんか」と頼まれたので、一応ユニフォーム姿で運転手として霊峰高野山へ向かいました。
山内のひろばで行われる開会式の直前、スカウトたちが整列しているところに1台の車が到着し、まず立派な朱塗りの椅子と金ピカの座布団が降ろされ、その後かなりご高齢の僧侶がそのきらびやかな椅子にお座りになり、開会式が始まりました。私は正直なところ、ボーイスカウトの野外での活動にこれはおよそ不釣り合いで、何故椅子で何故座布団やねんという気持ちを持ちました。ところが、その方が高野山・金剛峯寺の代表としてご挨拶なさったのですが、ボーイスカウトに直接関わっておられる筈がないのに、野外の楽しさ、自然の素晴らしさ、国際交流の大切さ、そして子どもを育てる重要性・必要性を滔々と語られ、見事なお話で私は感動し、感服し、感激し、やはり一つの道を極められた方は凄いのだなと、先ほど抱えていた先入観を心より恥じて居りました。
その時に、司会の方が「それでは次にボーイスカウト和歌山連盟 山本理事長様よりご挨拶を」というアナウンスをされました。正式に招待されていないし、勿論、事前に挨拶の依頼もない上に素晴らしいご挨拶の余韻に浸っているところだったので、頭の中が真っ白になり、どんな挨拶をしたのか、今でも思い出せないほど、パニックになり50 年近く(当時)ボーイスカウト一筋で少しは自負するところもあった自分の未熟さと不甲斐なさに完全に打ち拉がれました。後にお聞きすると、その方は高野山一の名僧といわれた森寛紹様で、私の人生にとって得がたい貴重な経験を与えてくださった真言スカウト連絡協議会に衷心より感謝した次第です。
英国で生まれて100 余年のボーイスカウトのともしびが遠く離れた日本でともされ間もなく90 年を迎えようとしていますが、その間、多くの立派な方々の深いご理解と多大なるご協力をいただいて来たのだなとつくづく感じました。
もし私の拙文から何かを感じていただければ幸いです。いやさか

                         
                             カントリー大作戦(清掃奉仕)2011.09
                        


   No38                 

       22WSJ(第22回世界スカウトジャンボリー)に参加して!

                                                    公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 相談役
                                                                22WSJ 副派遣団長       村瀬 達明


 Hej Jam!(ヘーイ ジャム!)
第22 回世界スカウトジャンボリーは、平成23 年7月28 日(木)開会式〜平成23 年8月6日(土)閉会式、スウエーデン・スコーネ県・クリスチャンスタード郊外リンカビイ地区で行われました。参加数は146 カ国、40,061 人で、過去最大の世界スカウトジャンボリーになりました。日本からは、スカウト、IST、隊指導者及び本部員の966 人、22隊が参加しました。
テーマは「シンプリースカウイテング」で、大会のコンセプトは“出会い”、“自然”、“連帯感”です。
私のこれまでの世界スカウトジャンボリーの参加経験の中では、とても素晴らしいスカウトジャンボリーでした。第1の良さは恵まれた自然環境です。利用した会場はほとんど平地で水はけも良好、その上、キャンプサイト設営に関して、豊富な木材が与えられましたので、これまでになく各隊の工作物が数多く見られ、とてもスカウトらしいキャンプが営まれ、スカウトたちはキャンプ生活を満喫できたのではないでしょうか。
第2の良さはゆったりとした時間の流れを感じたことです。会場で出会うスカウトたちの表情は生き生きとして、豊かで、本当にジャンボリーを楽しんでいる様子を感じました。
大会のコンセプト“出会い”、“自然”、“連帯感”が見事に具現化されていました。
今回のジャンボリーでの日本派遣団の使命は2つ、@東日本大震災に寄せられた各国からの支援に対するお礼を述べることと、A23WSJ 参加について、開催国として大震災による影響はなく、大丈夫・安全だと言うメッセージを伝えることでした。感謝をこめたメッセージカードを手掛かりに、スカウトの一人ひとりが民間大使として、外国のスカウトとの交流を深めることを通して、そうした使命を果たすことも大きな役割でした。また、日本主催のレセプションでは、日本第1隊の石巻のリーダーから、震災についての状況報告と感謝とお礼が述べられ、さらに、日本連盟から23WSJ会場のきらら浜の安全性が強調され、参加歓迎への強い意思表示がされました。加えて、WOSM(世界機構)の委員長より、23WSJ に向けて日本への力強い支援のメッセージが表明されたことも、とても力強い味方になりました。
閉会式は、あいにくの雨になりましたが、世界スカウトジャンボリー旗が、日本へ手渡され、いよいよ23WSJ へ向けてスタートしたことになります。これから、私たちは23WSJ へ向けて、スカウトたちに、早く、正しい情報を伝達して、できるだけ多くのスカウトが参加できるように支援しなければなりません。

                        
                           ボーイスカウト奈良ハイキング


   No37                 


                スカウテイングは何故はじまったか?

                                                   公益財団法人ボーイスカウト日本連盟
                                                       理事・事務局長    吉田 俊仁


 昨年5月の全国大会で奥島孝康新理事長が講演をされました。それ以来、各県連盟で講演、又県連盟コミッショナー会議や全国事務局長会議等でも講演をしていただきました。
講演の基本は、「ベーデンパウエルは何故スカウティングを始めたのか?」という根幹のテーマから班制度、進歩制度、ソング、に至るまでの幅広いもので、今、我々指導者が忘れかけているスカウティング精神を思い起こさせるもので、実に感銘のある講演でした。
 さて、以前渡辺昭総長が「スカウティング・フォア・ボーイズ(以下SFB)成立の背景」を書かれました。その中に、「ベーデンパウエルがSFBを書いた理由」が克明に書かれております。
 それには1905年にBPはエリオット・ミルズが書いた「英帝国衰亡史」を読み、深い感銘を受けたことや、その本の基になったギボンの「ローマ帝国衰亡史」のことが書かれています。そしてミルズは英帝国がローマ衰亡の原因と同じ道を辿れば、英国も同じ様になる・・・とその病状を列挙。それは、

1.国会は単なる討議の場となり、議員は派閥活動と選挙に熱中して、国民の願望を方向づけ導くものでは無くなったこと
2.優雅になり、贅沢になり、享楽を人生の目的と考えるようになったこと
3.国民の体力と健康が衰えたこと
4.国民の知力と宗教心が衰えたこと
5.自分自身と帝国を守る力を失ったこと

等々、全て今の日本にも当てはまる内容であります。
 そして1907年BPは中将に昇進し、次のように述べています
「ローマ帝国滅亡の主な原因は、市民が国を本気で愛さなくなり、贅沢、怠慢になり、党派政治を重んじるようになるなどして、善良な市民でなくなったことにある。・・・私は我が国がもはや救い難いほど下降線とは悲観していない。次の時代を善良な市民になる、正しい道に向かせるために努力をすれば未だ間に合うのである。私がそのために役立つであろうと考えたのは、スカウト教育である。観察・推理・健康・自己犠牲・規律・責任感・騎士道・愛国心が含まれ全ての少年団体が用い得るように工夫してあり、独自にでも行いうるものである」
 我々はこのBPの精神、つまり「良い市民を育てること」を再確認し、今の日本の現状は、正に英帝国衰亡と同じ状況であり、この国を救うにはスカウテイングが必要であることを、我々スカウト一人ひとりが自覚するべきと強く感じます。奥島理事長が最も伝えたいことでもあります。幸いなことに世界救世教の膳師氏は現在日本連盟副コミッショナー・プログラム委員長で、奥島理事長・新藤日本連盟コミッショナーが絶対の信頼をされている方であります。
 世界救世教の皆様のご尽力をいただき(岡田陽一教主様は日本連盟の特別顧問であります)共に歩み、日本を、世界を、良くして行こうではありませんか!


                    
                         東北大震災募金
   

   No36                 


          海外トレーニング奉仕事始め
                                                  
                                                     公益財団法人 ボーイスカウト日本連盟 理事・国際委員長
                                                                               鈴木 令子


1996年の夏、私はモンゴルでの上級訓練の所員となり、トレーナーとして初めての海外活動を始めました。きっかけは当時発行されていた「トレーナーニュース」の片隅の募集記事を見たことでした。行ったことのないモンゴル」「というその言葉一つに憧れて何の考えもなく応募したのです。
初めての奉仕だから「記録担当」かなと気楽に構えていたところ、アジア太平洋地域事務局から「希望するセッション名を連絡してください」というメールと共に、カブ及びボーイ上級コースの7日間の日程表が送られてきました。日本での研修日程と同様のセッションもありましたがないものもあります。同じであっても内容が同じなのか不明でした。
同事務局に、「どのような内容を展開したら良いのかを教えてくれ」と必死で頼み、ようやく参考展開を手に入れましたが、不安で山のように参考書を持参しました。その後「標準日程」というものが国際訓練ハンドブックにあること、日本での日程が日本方式となっていることを初めて知りました。各国連盟はそれを基礎とし、自国の文化に合わせて編成し直すのです。
 ウランバートル空港に到着し、迎えのジープに紛れ込むように乗ると、開催場所の牧草地に到着。放牧の馬の群れが疾走する草原にあるキャビンが宿泊所でしたが、室内の暖炉には薪がありません。実は牛の乾いた「ふん」を燃料とするのが現地の方法であったのに、それに気づいたのはだいぶ経ってからでしたし、結局それも使うこともできませんでした。掘立小屋のなかに穴が三つ開いているだけの男女共用トイレ、黒パンと塩入の紅茶だけの食事、朝、つららができるほどの寒いキャビン、大きな布で区切ってもらった寝室。紙は貴重でノートの紙も昔のざら紙。モンゴル語への通訳を介してのセッション。アロエを薬に使用していることを知った救急法のセッション。国旗の掲揚、降納法も目新しい。点検の方法もまるで違うなか、他の所員は平然とこなしていく様子についていくのが精いっぱいでした。しかし23日も経つと慣れ、熱を出したり体調不良の所員にかわって突如の代行も、それもカブとボーイのコースをこなしていきました。「これで良いのか」と迷いながら必死でしたが、日本(神奈川)でのコースへの奉仕がどれほど役に立ったか、その時ほど先輩に感謝したことはありませんでした。
その後モンゴルへは5回、ブータンにも5回、そのほか香港、台湾、タイ、モルジブや、カンボジアへの奉仕とつながっていきました。この海外での研修奉仕で本当に様々な文化に触れ、直接人々と出会ったことが「国際性=多様性の受容」に繋がっていきました。ボーイスカウトという世界的な組織の恩恵を受けさせていただいたと言っても過言ではありません。このようにボーイスカウトは青少年を育てるだけではなく、そこで奉仕する大人にも成長する場を与えてくれるのです。

 



                               
                                ビーバースカウトハイキング(ささ百合の花が一杯咲いていました)

                    


                 より良いスカウトの育成を目指して

                                                    公益財団法人 ボーイスカウト日本連盟 常務理事
                                                           日本連盟コミッショナー   新藤 信夫

私は、公益財団法人に改組された2010年4月から日本連盟コミッショナーを任命され、皆さんのお仲間の膳師理事・日本連盟副コミッショナーと一緒に教育関連の仕事をさせていただいております。
 今の日本連盟は年々登録人口が減少して頭を抱えております。当然スカウトが減れば登録費収入も少なくなり、日本連盟の財政を圧迫してくることになります。当然連盟としては加盟員拡大を大方針として打ち出し、安定経営を図る努力をしていくことになります。
 私は、コミッショナーの立場からこの大方針を達成支援していくのには、「より良いスカウト育成する」即ち、多くの人々から「さすがボーイスカウトだね」と言われるようなスカウトを沢山育成することだと思っております。


 子供をスカウトに入れた母親の満足度はどうなのか(CS)、何のためにボーイスカウトに入れたのか、その目的は達成させてあげられているのか、スカウト運動の基本は、普段の生活の中で「ちかい、おきての実践を」通して、より良いスカウトを育成することになりますが、端的に母親の思いは、「もっと元気な子にして欲しい」、「健康で丈夫な子に」、「リーダーシップの持てる子に」、「協調性のある子に」、「社会性のある子に」とそれぞれの母親たちの思いを、隊指導者の役割としてかなえてやっているでしょうか!!
 満足度の多い母親の数が増えてくれれば、地域でも、学校でも、社会でも、「さすがボーイスカウト」が目立ってくるはずです。さらに、母親にとって自分の目標が達成されれば必然的に仲間のお母さんに口コミ宣伝勧誘してくれるはずです。隊長さん、更にスカウトたちの資質の向上を目指して頑張っていきましょう!!
 そのためには、そのようなスカウトを育成できる指導者を養成しなければなりません、奥島理事長からもまず指導者養成だよ!!と常々言われております。
 「スカウトに慕われ、保護者に信頼される指導者とは」を養成することは、口で言うほど簡単ではありません。本人のパーソナリティの部分もありますが、日本連盟としての指導者訓練コースの必要な部分は積極的に受講して、その後は個人の自己研修や、県連盟や地区の方々の支援により成長していただきたいと思います。私は、指導者というのは以下の3つをしっかり身につける必要があるといつも思っております。

 1.スカウト技能、知識などの専門的な知識、即ち、スペシャルセンスを
 2.管理者としての管理、統制をするための、マネジメントセンスを
 3.社会人として、指導者としての一般常識を身につける、コモンセンスを

 スカウトの指導者は、スペシャルセンスに力点を置いておりますが、人間的魅力のある指導者は、マネジメントセンスや、コモンセンスをもしっかり身につけている人が多いようです。
 いずれにしても我々リーダーは、「スカウトに慕われ、保護者に信頼される指導者を」目指して今一層の努力をして、スカウト運動の飛躍のために頑張りましょう。



                                     
                                      冬の一泊 スカウツオウン
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           第15 回日本ジャンボリー特集    .場外プログラム     フィッシング

 8月2日〜8 日まで静岡県富士宮市朝霧高原で開催された「第15 回日本ジャンボリー」には、海外から40 カ国、中学生および高校生年代のスカウトおよび一般市民が参加し、約2万人の国際キャンプ大会として実施されました。
今回のジャンボリーでは、5年後に山口県きらら浜で開催される「第23 回世界スカウトジャンボリー」にも照準を合わせた大会として、いつもより期間を延ばした中、8月5日には「スカウト平和の日」を設定し、世界平和を脅かす地球規模の環境問題や地域紛争、人権問題などへの関心を高め、スカウトとしてどのようにそれらの課題にチャレンジするのかを、体験を通して考え、世界のスカウト運動の一員としての自覚を高めました。
 この日にあわせて、各教宗派が取り組んだ「平和のつどい」、また各教宗派が一つになって、平和メッセージを発信した「世界スカウト平和祈念式典」には、世界救世教 教主様にお越しいただき、挨拶をいただきました。



■平和のつどい(世界救世教宗教儀礼) ご挨拶      於:信仰奨励ゾーン
 皆さん、おはようございます。
今回、私は、日本ジャンボリーの会場である、ここ朝霧高原において、今日の「スカウト平和の日」に参加させていただき、このように大勢のスカウトの皆さんにお会いすることが出来ましたこと、大変嬉しく思っています。そして、皆さんが、今回のジャンボリーを、元気で、楽しく、有意義に過ごしていただきたいと心から願っています。
スカウトのモットーは「そなえよつねに」ですが、物事に対して、体も心も、常に準備をし、覚悟をしておくということは、人間にとって大変大切なことです。このモットーを、皆さんがいつも心に刻んで、率先して取り組んでいることは、素晴らしいことだと思います。
 ところで、準備をするのは人間だけではなく、人間より先に、人間以上に準備をして下さっているのは、神様なのではないでしょうか。ですから、この「そなえよつねに」という言葉は、神様が、私たち人間のために、すべてを準備して下さり、今もつねに準備をして下さっているからこそ、私たちもつねに準備をさせていただくことを忘れないための言葉でもあると思います。私たちは、明主様から、唯一の神様が、昔も今も確かに生きておられ、私たちを愛して下さり、今も絶え間ない創造をお続けになっていることを教えていただいています。
神様は、すべてを創造された方ですから、私たちが使わせていただいている言葉も、神様が、必要があって準備して下さったのではないでしょうか。
この言葉というものは、考えてみますと、私たちが何かを思う時の“思い”と共にあります。私は、言葉というものは、人間同士が“思い”を通わせるためだけではなく、先ず、神様が人間と“思い”を通わせるために準備して下さったのだと思います。
その神様のものである言葉の中で、最も大切な言葉の一つは、“ありがとうございます”という感謝の言葉だと思います。
私たちが、自分にとって良かったこと、嬉しいことだけではなく、都合の悪いこと、気に入らないことがあったとしても、“ありがとうございます”と、勇気をもって、心の中だけでも、この感謝の言葉を発することが出来たとしたら、私たちの思いをいつも聞いて下さっている神様は、大変お喜びになり、私たちを励まして下さると思います。なぜならば、私たちを愛して下さっている神様は、私たちをすこやかに成長させるために、すべての物だけではなく、いろいろな体験も準備して下さっているからです。
「そなえよつねに」と言われるように、私たちが、この“ ありがとうございます” という、神様がお喜びになり、明主様がお喜びになる言葉を、いつも心に準備し、すべての物、すべての事に対して感謝して大切に使わせていただくことによって、その言葉が光となり、快い響きとなって、すべての中心であり、原因の世界である天国から、平和な世界や美しい環境を地上に写し出して下さる、と私は信じています。
おわりに、今回のジャンボリーを通して、そして、これから積み上げていくスカウトとしての様々な体験を通して、皆さんの歩む人生の道のりが、心豊かで、大きく開かれたものとなりますように、そして、昇ってくる朝の太陽のよ
うに、皆さんの魂の輝きが、多くの人々にとっての希望の光となりますようお祈りしています。ありがとうございました。



■世界スカウト平和祈念式典(世界救世教 平和メッセージ)   於: 朝霧アリーナ
 私ども世界救世教の教祖・岡田茂吉は、「神は光にして 光のあるところ 平和と幸福と歓喜あり」と述べました。人間の命は、永遠に輝く神の光であります。
私どもがどんなに深い闇の世界にいたとしても、自分の命が神の光であることに気づけば、そこは光の世界であります。
すべてのものの光である唯一の神の創造のみ業が弥栄え、永遠の平和と安らぎがあまねくありますように。
ありがとうございました。



■世界スカウト平和祈念式典(スカウト平和の日について) ご挨拶    於: 朝霧アリーナ
 皆さん、おはようございます。ここ富士山のふもと、朝霧高原でのジャンボリーも、開会以来、今日で4 日目となりました。今日8月5日「スカウト平和の日」は、ジャンボリーの中でも特別な日として設定されています。
世界平和を脅かす地球規模の環境問題や地域紛争、人権問題などへの関心を高め、スカウトとしてどのようにそれらの課題にチャレンジするのかを、体験を通して考え、世界のスカウト運動の一員としての自覚を高めるとしています。今日一日は、本当の平和とは何か、世界の人々が平和に暮らせるために自分たちで何ができるか、今一度考えなおそうという日です。そして実践する最初の日でもあります。
 朝早くから「平和の鐘」が鳴り響きました。その後、サンライズメモリーとして、大自然を前に、自分自身が「生かされている存在」であることを確かめ、感謝の心をもって、スカウツオウンを実施しました。
朝食は、「トウモロコシプロジェクト」と題して、実際に調理して、それをいただきながら、飢餓で苦しむ子どもたちへの想いを平和メッセージに託しました。そして、自分の信じる宗教や興味を持った宗教が実施する「平和のつどい」に参加して、平和への祈りを捧げ、今こうして、スカウト一人ひとりの小さな平和への想いが一つとなり、大きな力となって、「世界スカウト平和祈念式典」を迎えることができました。

 私たちは、ボーイスカウトに入隊する時に、「ちかいの式」で「ちかい」をたてました。この「ちかいの式」は、「自分の言ったことは、かならず実行する」ことを「名誉」とし、それを確認する場でもあります。
この「ちかい」は過去の「ちかい」ではなく、永遠の「ちかい」です。私たちは、神・仏が望まれていることを実行するために「生かされている存在」です。だからこそ、私たちは、ボーイスカウト活動の中で知識や技能を身につけ、他の人々の役に立つことを行うことができるのです。そして、自分自身のからだを強くし、心を健康にし、善いことをしたいと思う心を育てることができるのです。このように、私たちが立てた「ちかい」は、「神・仏へのつとめ」の実践として、「他へのつとめ」「自分へのつとめ」を果たす意味があります。なぜならば、神・仏は、私たちを自他ともに、わけへだてなく愛してくださっているからです。
そうした私たち一人ひとりのまごころの実践が繋がっていけば、地球は平和な世界へと導かれていくと信じています。ですから、私たちは、今日一日、世界中にいるスカウトを兄弟と思いながら、たとえ小さなことであっても、自分にできることは何かを考え、そして今日を新たなるスタートとして、「日日の善行」を重ねていくことが大切であると思います。
おわりに、3 つの「ちかい」を今一度振り返り、「自分の言ったことは、必ず実行する」ことに努め、その「名誉」を自分のものとして誇るのではなく、私たちを生かしてくださっている神・仏のみ手に収めていただきましょう。
ありがとうございました。


                      
                         岐阜第20団見学者と派遣隊員記念写真

                    


                                    初心に帰って

                                                   ボーイスカウト日本連盟理事  プログラム委員長・副コミッショナー 膳師 功

 救世スカウトの指導者の皆さん「こんにちは」
皆さま方には、日ごろから“明主様のみ教えを子供たちに何とか取り次いでいきたい”との想いを秘め、スカウトの教育にご尽力いただいているものと拝察いたします。
本当に、ご苦労様です。また、スカウト育成にご尽力賜っていることに対し、改めてお礼申し上げます。私こと、この“Scouting Report”に度々登場して申し訳ございません。
 さて、今回は、仲間である皆さまに、私の願いとして、私が、日ごろからスカウト関係者に提唱していることについてお話したいと存じます。

私は、球技等のスポーツクラブが技能の素晴らしい名選手を育てようとしていることと対比して、スカウト運動は「心の名選手を育てる運動だ!」と言っています。
すなわち、スカウティングの目的でもある「青少年の優れた人格を育てること」であります。
 そして私は、「心の名選手を育てること」を、このように理解しているのです。それは、「名選手は名手であり明主()に繋がるのではないかと思っているのです」駄洒落ではなく目標として、想いとして、行動として目指すものがあると確信しているのです。

  スカウト運動には、目的、原理、方法があります。この目的、原理、方法(スカウト教育法)に忠実に活動をすればするほど「心の名手」が育ってくるのです。

  要するに基本に忠実に活動をすればするほど活動は、すこぶる面白く順調に開花出来るわけです。このことが重要であり、それが発展の秘訣なのです。

  自分の、成りたて隊長を思い起こすと・・・

 
スカウティングに惚れて、めちゃめちゃ虜になった。がむしゃらに訳もなく突き進んだ。目的は何、原理は何という前に、隊集会のプログラムはどうしたら? 面白くするための工夫は? キャンプの面白さは? 等々、副長等の指導者皆で議論した。
 こんな後の隊集会。子どもたちの目の輝きを見て、「めっちゃ楽しかった」の言葉を聞き、すごく感動した。子供たちの自主も尊重した。進級を他団のスカウトと比較されると恥ずかしいからと、勝手に自宅に来て進級を迫ったりされた。スカウトたちと仲良く、楽しいスカウティングができた。
今思えば、目的・原理・方法などは眼中になかった。でも考えてみれば「スカウティング。フォア・ボーイズ」や「隊長ハンドブック」等を何回も読み、研究し、それを隊集会に各種活動に活かした。知らず知らずの間に、私たちの想いが目的・原理・方法を曲がりなりにも忠実に実行していたように思える。今もそう思っている。

 あえて言えば「この子供たちを何とか名手に育てたい」との気持ちだったのだろう。多くの子どもに、こうした善さを感じたり、伝えたりしたいと、今も思っている。
 多分皆さん方指導者も、そうに違いないと思っている。
 もし、忘れかけた方は、もう一度思い起こし、活動中の方はさらに「初心に帰って」この運動を極めてみようと頑張ってみませんか。愛するスカウトたちのために。世界平和のために。

  蛇足で申し訳ありませんが、私は、今年4月公益財団法人への移行と同時に思ってもみない役職をいただきました。今は、不安でいっぱいです。でもスカウト運動のため、力の限り頑張ってみようと思っていますので、皆さま方のご指導・ご協力・ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。

                                 
                                      火起し訓練中ボーイスカウト


                    


                                               社会に役立つ国際人の育成
                                             
                                           ボーイスカウト日本連盟教育本部委員
   国際委員会委員長 中野 まり


すでにご存知のとおり、2007年7月韓国における世界スカウト会議において、2015年第23回世界スカウトジャンボリーの開催国が日本に決定いたしました。その準備の一環として昨年9月から本年8月の間、世界6地域の地域会議(3年に1回開催)においてプロモーション活動を実施しています。

世界160カ国で実施されているスカウト運動ですが、それぞれの国、地域でいろいろな特色があります。毎回さまざまな経験をさせていただきますが、その中の印象的なできごとをご紹介したいと思います。
1月のアラブ地域会議はスーダンで開催されました。会議期間中の一日、エデュケーショナルツアーで紛争地帯である、ダルフールに行くことになりました。飛行機をチャーターしてのツアーということで、さすがアラブ地域、と思いながら乗りこみました。首都ハルツームから約1時間半のフライトの後に到着した空港は、UNの飛行機、ヘリコプターだけが何機も並ぶ、普通の空港とはちょっと違った雰囲気の空港でした。タラップを降りると沢山のスカウトが鼓隊とともに並んで出迎えてくれました。そこから難民キャンプまで4輪駆動車20台ほどで隊列を組んで砂漠の中の移動です。
難民キャンプに到着すると、真新しいスカウトユニフォームを着たスカウトの集団に出迎えられ、セレモニーが始まりました。まずは、スカウトによるスタンツ。地雷の怖さを紹介する内容で、このスタンツはキャンプの子どもたちへの啓蒙活動に実際につかわれているとのことでした。傍らには土壁で作られた10畳くらいの小屋があり、その中では難民キャンプの女性たちを対象とした自立支援教育がスカウトによって行われていました。また、その小屋の一角には小さな子どものための知育教材や椅子と机等が置いてあり、沢山の子どもたちが利用しているということでした。ダルフールのスカウト代表者のお話では、紛争後、いち早く救援活動を開始したのは、UNでもNGOでもなく、スカウトだったそうです。そしてその活動が他の救援活動と大きく違う点は、社会に役立つ青少年の育成にあることだそうです。つまり、通常の救援活動は衣食住の提供が主ですが、スカウト活動はその先のことを考えて、人々がキャンプの支援に頼らずに自分たちの町に戻った時に、自力で生活することへの援助、生きる力をつけることに重点をおいているとのことでした。

 こんなに素晴らしい活動に感心しましたが、これらにかかる費用は日本連盟が23SJプロモーションの一環として世界スカウト財団に提供した資金の中から支出されており、現地の人たちには世界財団と日本連盟のプロジェクトとして理解されているとのことでした。鼓隊の太鼓も、真新しい制服も、土塀の小屋もすべてこの資金からの物と聞き、小額でも場所によっては随分いろいろなことに役立つのだなと実感すると同時に、急に親近感がわき、日本のスカウトたちにもこのつながりを感じてほしいと思いました。
 さて、日本連盟では、本年度より、ウェルカム・ザ・ワールドプロジェクトを推進しています。これは、スカウト一人ひとりに、世界的な組織の一員であることを認識し、いろいろな国のスカウトと直接交流することにより、相互理解を促進してもらうことを目的としています。手紙やEメールの交換や、大会等での交流、プロジェクトの実施等いろいろな形態で交流できるよう、ガイドラインを作成しています。(日本連盟HPより、WTWで検索)ビーバーやカブでも取り組める国際理解教育、ボーイが取り組む国際交流、ベンチャーが取り組む国際活動、そしてローバーになると国際協力や国際貢献に取り組めるよう段階を追って取り組んでいただきたいと思います。いろんな地域や国の活動を知ることにより、スカウト運動の奥の深さを実感してほしいと思います。そして、社会に役立つ国際人として羽ばたく人材となってほしいと願っています。




                               
                                    チャレンジ章 スキー章取得



                    


                                今求められること

                  ボーイスカウト日本連盟教育本部委員  会員拡大タスクフォース委員長 中橋 邦


ボーイスカウトが誕生した20世紀初頭から、自然環境、社会環境の大きな変化とともに、人々のライフスタイルそのものが大きく変化していることは、言を待ちません。確かに、少年たちが参加するスポーツ団体や、テレビゲームなどが無く、少年たちが熱狂的にボーイスカウトに参加した時代とは違います。しかし、今だからこそボーイスカウトの経験によって得られるものが、非常に貴重なものである。というのもまた、事実であると思います。

 私たちボーイスカウトの指導者がその価値をきちんと認識しているでしょうか。ボーイスカウトの活動は、「段階的自己教育システム」であるとされていますが、それはスカウト教育法が正しく適用されていること、たとえば班制度が形だけではなく正しく運用され、スカウトたちが様々な意思決定に参画していればこそ、だと思います。「スカウトに任せるのは難しい」「面倒がってやらない」等々、様々な状況があることでしょう。「やらせてもうまくいかない」という声もよく聞きます。しかし、スカウト教育法が意図するところをよく考えれば、失敗の中からこそ学ぶものがあり、そこに「成長」があると思います。私たち指導者の役割は、彼らが失敗したとき、怪我などの重大な結果を招くことがないように配慮することと、この方法の価値と意図するところを信じて、根気よく正しい運用を続けることだと言えます。
 正しい運用を続けることというのは、思ったより難しいかもしれません。指導者の皆さんはお忙しい日常を送っていらっしゃることでしょう。またスカウトの皆さんもいろいろと忙しい日々をすごしていることでしょうし、集会への出席がよくないことや、指導者の意図が上手く伝わらないこともあることでしょう。
 しかしどうか指導者の皆さん、この運動の優れた方法を信じて、基本に忠実な隊や団の運営を続けて頂くようお願いします。そのことこそが、この運動の活動品質を担保し、加盟員を拡大するため大前提なのです。
 反面、変えなければならないことは、思い切って変えて行く努力をしたいと思います。日本連盟におけるプロモーションの方法、企業との連携などなど、改善をすべきことは山のようにあります。団の指導者の皆さん、隊の指導者の皆さんの情熱に負けないよう、私も微力ながら一生懸命頑張ります。今後ともご指導・激励をよろしくお願い申し上げます。


                              
                                      カブスカウト山登り 2009.10



                    


                              スカウト活動と安全
                                                       ボーイスカウト日本連盟教育本部委員
                                                                 安全委員長  南 秀生

はじめてお目にかかります。
私の名前は、「みなみ ひでお」と申します。私は、兵庫県の東の東にある伊丹空港がある伊丹市に住んでいます。所属団は、伊丹第11団です。役務は、副団委員長とボーイ隊の副長を担当しています。本来は、役務を兼務しないことが大切ですが、ローバー年代の指導者に隊長を委譲したため後方支援のため副長として残っております。隊長が楽しい活動を実践できるようになれば、若い隊長に任せて団委員として支援したいと考えています。でも、この運動の一番楽しいところは隊活動です。無論、スカウトにとっては「班活動」が一番のようですが・・・・・。いつまでもスカウトと一緒に楽しい活動を続けたいと「還暦を過ぎても」考えています。

 今年度から、財団法人ボーイスカウト日本連盟教育本部の安全委員会委員長を拝命しましたので、安全委員会の取り組んでいる内容のご紹介と、自団の隊活動で感じたことなどをご紹介したいと思います。

 安全委員長を仰せつかってから分かったことですが、全国で年間400件近い怪我や事故が発生していることが分かりました。平成17年度458件、平成18年度372件、平成19年度378件、平成20年度388件の発生でした。骨折や捻挫、脱臼、靱帯損傷、肉離れなど運動器系の外傷が43%で、その他は、打撲、欠損、火傷、切創、刺傷、擦過傷、咬傷、虫刺傷等でした。そのうち約2割が指導者の事故で、半分が骨折でした。

 これを何とか減らしたいとの傷害共済運営委員会の岡谷委員長の思いと教育本部安全委員会とのコラボにより今年度6県連盟で「安全促進フォーラム」を開催することにしました。628日に開催した千葉県連盟会場では47名、712日に開催した大分県連盟会場では62名の参加を得て、開きました。参加者からもっとフォーラムを開いて欲しいと要望も出ています。

 更に、このような安全意識を持ってもらうために、SAFETY OUTDOOR実行委員会主催の「セフティーアウトドアキャンペーン2009」に日本連盟も参加しました。このキャンペーンには、16団体/隊・団・地区・県連盟の参加を得て終了しました。来年度も継続して参加したいと考えています。

 昨日、地域活動の中で「ロープスライダー・川を渡るロープ遊び」を伊丹第11団が担当しました。子どもたちは、日頃できない滑車でのロープ渡りは大変な冒険です。乗る前の恐怖心と渡った後のホットした喜び、もう1回乗りたい。・・との発言しきりでした。
 また、10月には伊丹市主催のスポーツ祭に於いて「モンキーブリッジ」を設営し、地域の子どもたちに「外遊び」を体験して貰っています。子どもたちにとっては、冒険であり「ワクワク・ドキドキ」の体験です。

 ボーイ隊のキャンプも年間1520泊を目標に、班・隊キャンプを開催していますが、その活動の中で今のスカウトの実力より少し難しい冒険をプログラムに入れることで、喜んで参加してくれます。

「楽しい活動」とは、「冒険」と「危険」の隣り合わせのプログラムだと思います。

 野外では怪我や事故の発生危険は大きなものがあります。@日頃の安全教育によるスカウト自身による安全対策、A野外活動安全対策計画書を立案する中での指導者の安全管理、B事故が起こった後の対応組織、が必須であると感じています。安全対策に対する共通認識をしっかり共有して事故や怪我のない楽しい活動を展開したいものです。 

 そして、少し難しく、少し怖く、少し危険なプログラムを入れることで、「ワクワク・ドキドキ」の活動を展開することが出来ます。

 しかし、安全への手を抜かず、スカウトの「冒険心」に火をつけて、活気ある活動を進めて欲しいと願っています。無論、安全第一は譲ることの出来ない必須要件ですが、スカウトに分からないように安全を確保して楽しい活動が展開できるよう配慮するのが大人の大事な支援だと思います。                     弥栄

                       
                            2009.9.26上進式


                    


                             連れ連れに思うこと

                                                 ボーイスカウト日本連盟  教育本部副コミッショナー 膳師 功

 皆さんこんにちは。今年4月、日本連盟教育本部副コミッショナーとしてご奉仕させていただくことになりました。日頃から大阪をはじめ全国の先輩諸氏の方々からご指導やご支援を賜り、大きな力をいただいてまいりました。この力を少しでも多くの子どもたちの人格形成に役立てられるならと考えていますのでよろしくお願い申し上げます。
 さて、日本連盟は、平成21年度の事業計画の基本方針を「広めよう!スカウティングの楽しさを みんなに」として、この運動の本質であるスカウティングの楽しさを多くの方に広め、参加してもらえるようにしています。
 想うに、スカウティングの良さ(優位性)を知っていただき、体験していただき、本質に触れていただくことではないかと考えています。
 当初、B-Pが自らの軍隊経験から得た敵地へのルート開拓術と敵地偵察の方法を兵士たちのマニュアルとして著作「斥候の手引き」が発刊され、それを少年たちは買い求め、その内容に熱中し、実践しようと試みました。
 しかし、その行動は大人や警察官に不審がられ、思うように活動ができず、少年たちは、それを実行するため、自らが大人のリーダーを求め、大人の協力の中で活動を始めました。
 このことを考えるとスカウティングは、大人の手助けはたくさん要らず、少しの手助けだけでよいのです。特に専門的な技能や技術は無くともよいと思われます。(当然、あるほうが良いのですが)
 そして、求められた大人は、子どもを育成する思いやりを持った情熱があればよいと思うのです。指導者の確保が大変だと、よく聞きますが、新しい指導者を得るには、このことを理解していれば得やすいと思うのです。
 さらに、近年、子どもたちは、何をしたいと思っているのか解らないと嘆く大人もいますが。好奇心というエネルギーを振りかければ、たちまち変心すること、請け合いです。
 スカウティングの良さは、子どもが自らやりたいことを実践するため大人が協力する運動なのです。もう1つの良さは、活動を行えば行うほど神の声(意思)が聞こえるようになってくることなのです。
 再確認になりますが、スカウティングの優位性は班制、進歩性を活用し、野外で生活(活動)を行うことは、子どもの人格を育てる最強で最短な方法です。
 リーダーの皆さん、よく考えてください。スカウト教育法の本質を。そして心を誠心にして取り組みましょう。必ず成果を与えていただけます。

 最後にあたり、皆様に、スカウトひとり一人にご加護があり、素晴らしい活動が許されますよう、神様の御守護をお祈りいたします。ありがとうございました。


                  
            2009 岐阜北地区最後のスカウトラリー 2009.05(地区再編で岐阜北地区は岐阜西部地区へ)

                    


            金光教少年団から始まった85年の歩み」

                          ボーイスカウト日本連盟 宗教関係代表者会議   金光教スカウト協議会理事長 河端 秀次

杉原日連理事、GS会長、相談役と共に (右から2人目が河端理事長) 明治42(1909)、その2年前に始まったスカウト運動を広島高等師範学校長の北条時敬が現地調査し、明治44212日、「少年武者修行」 というテーマでスカウト運動に関する講演が、岡山県金光中学で行われました。
 その後、金光教においてボーイスカウトについての調査や情
報収集を行い、今から85年前の大正13(1924)126日、東宮(昭和天皇)御成婚記念事業として金光教本部に「金光教少年団」(金光教ボーイ スカウト)が創設されました。
 時代は昭和に入り、軍部の台頭による総動員体制化の昭和
7年、大阪の少年団に対し国情に適さないとの理由で、軍 部が三指の敬礼を五指に変えるよう迫ったとき、信念をもって三指を貫いたのは、金光教少年団のリーダー今田忠兵衛でした。太平洋戦争によ るスカウト運動の一時中断の後、昭和2492425日、皇居前広場で開催された戦後初の全国ボーイスカウト大会の最後を飾った、
戦後初めての日の丸を揚げた公式パレードでは浅口第1隊トランペット鼓隊(金光教)が先頭で行進しました。
 現在、金光教を母体とする
スカウティングは、85年の歴史と伝統を継承し、全国の教会を基盤にボーイ、ガール合わせて50個団が活動しています。
毎年、スカウト一人
ひとりが「スカウト教育を通じて明確な信仰をもつことを奨励する」との願いに基づき、全国23箇所でボーイ1級以上、ガールのシニア、レ ンジャー部門を対象に「金光教信仰セミナー」(金光教宗教章取得講習会)を開催しています。さらには成人の交流による教会スカウト団の 活性化と発展を願い「金光教スカウト団交流研修会」を開催しています。本運動を通じて明確なる信仰基盤による全国の宗教関係団のご努 力に感謝し、スカウト運動のさらなる発展と、次代を担う青少年の健やかな育成を願うものです。

 金光教スカウト協議会ホームページ  http://www.konkokyo.or.jp/scout/shoukai/kyougikai.htmU

            
                       
                        チャレンジウォーキング  2009.03  ゴール

                    


                      スカウトの背中を押すのは

                                      ボーイスカウト日本連盟 教育本部委員 イベント委員長 峙  信治


 ボーイスカウトには様々な大会があります。地区や県のキャンポリーに始まり、日本ジャンボリー(NJ)・ベンチャースカウト大会(NV)・障害をもったスカウトが中心となって開かれる日本アグーナリー(NA)等々。そして、世界ジャンボリー(WSJ)やその他、世界の地域や国々で開かれる大会など数えれば、キリがありません。その全ての大会に皆さんも参加することが出来るのです。
 私も数多くの大会に参加させてもらいました。そして、様々な体験や多くの人々と出会うことが出来ました。これはスカウト運動に参加しているからこそ出来たことと思っています。
 スカウトの時、地区キャンポリーの班別対抗ラリーで2位だと思っていたらゴールでは13位に落ちていて私(班長)もガックリ、隊長も唖然となったこと。だって、発隊以来の凄い出来事だったのですから。最も70個班ぐらいの参加の中ですから上々の成績ではありますが。でも残念!
 第17回WSJでは、知り合った韓国の指導者といっても長老級ですが、日本のベンチャースカウト大会やジャンボリーの度に来日されており、現在も旧交を温める関係にあります。
 第20回WSJの時ではインドネシアの女子スカウトが隊列を作って会場内で歌をうたいながら行進していました。其の歌を注意して聞いてみると「・・・・・Hiroshima・Nagasaki・・・・・Ogenkidesuka・・・・・」と日本語が入った歌詞で、詳しくは聞き取ることが出来ませんでしたが、興味深いものがありました。また、お恥ずかしい話ですが、熱中症で8時間も点滴を受けたことも、今では懐かしく貴重な体験でした。ここにも、タイ国の医師とのやり取りに凄く笑える話があるのですが、それは別の機会とさせていただき、とにかく素晴らしい貴重な体験が出来ました。
 まだまだ話せばキリがありませんが、私は自団でも体験を伝えることでスカウトが同じように、良い思い出作りが出来るよう勧めています。その結果、スカウトも参加することを目標として、また励みとして、日頃の活動を誠実に参加することで、一歩一歩成長していくのだと思っています。
 多くの体験や友人を得ることは何ものにも変え難い宝です。皆さんも多くの素晴らしい体験をお持ちのことでしょう。是非、彼ら(スカウト)にそのことを伝えて背中を押していただきたいと思います。

                        
                             ボーイスカウト隊夏のキャンプ 2008.8



                    


                       安全管理活動について

                                        ボーイスカウト日本連盟 教育本部委員安全委員長 豐秀 昌彦


「安全」とはどのようなことでしょうか。広辞苑によれば、“安らかで危険のないこと”とあり、平穏無事である理想的な状態を安全と入っています。

 他方、「危険」は、“危害または損失の生ずるおそれおそれがあること”とされ、実際には危害や損失が生じなくても、そのおそれがある状態をも含んでいます。

 スカウト活動における危険には、どのようなものがあるでしょう。キャンプやハイキングといった野外での活動では、転倒や転落、道具の取扱い、動植物や生物によるもの、さらには交通事故など、様々な危険が予想されます。屋内であっても、料理や工作など、刃物や熱を使うプログラムでは、ケガや破損、火災、等の危険も予想されます。集合場所にスカウトが集まり、集会が始まるまでのわずかな時間でさえも、待ちきれないスカウトがはしゃいで衝突や転倒をしたり、準備している道具や用具でケガや事故を起こさないとも限りません。スカウト指導者が活動する場面においては危険が存在しない状況などは、ありえないと言えるのであるのです。

 事故とは、複数の原因により、人や物が傷ついてたり、今、行っていることや、これから行おうとすることが妨害されたり、できなくなったりする危険を生み出す出来事です。そして、この事故により、人や物に損失が発生した状態を災害と言っています。

 スカウト活動の中で、スカウトや指導者に災害が及ばないためには、事故に遭わないように努力することが必要となります。事故は何らかの原因により生ずる出来事ですから、この原因を取り除いた状態を作り、維持して行くことが、結果として、災害の発生を防止することになります。

 しかし、人間の能力には限りがあり、また、天災を未然に防ぐことは不可能ですから、絶対に安全な状態は存在しません。「事故の原因を排除し、是正し、改善された状態を維持することで、災害に遭遇する率を小さくする」ことができるのです。


これが、安全管理活動の基本です


                        
                             上進式  2008.9




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               組織拡充委員会が取り組んでいること


                      ボーイスカウト日本連盟 教育本部委員 組織拡充委員長 西村 伸次


平成19年5月、日本連盟から全国2971人の団委員長宛に直接送付された「ストップ・ザ・BS崩壊!!」の小冊子があります。その小冊子について書いてみたいと思います。

 我が日本連盟は、昭和58年の33万人をピークに加盟員が減少し続け、減少に歯止めがかからないのが実状です。平成18年度末(平成19年3月)には、18万人となり、1個団あたりのスカウト数が40人から60人になってしまいました。平成1718年度の組織拡充委員会は限られた2年間で、組織拡充セミナー、全国大会のテーマ別集会、ジャンボリーでの話し合いコーナー、時には県連盟訪問を通じて、実に全国の41都道府県連盟の組織拡充に携わっていらっしゃる皆さんと真摯な対話を繰り返してまとめ上げたのが、この冊子であります。
 この冊子の中には『加盟員激減歯止め策』や『組織活性化策』がぎっしりと詰まっております。言うならばこの中に書かれていることを実行すれば必ず組織の活性化に繋がり、プログラムが充実し、加盟員が増えるはずであるということが、いっぱい詰まっているわけです。

 私は、平成19年から日本連盟の組織拡充委員会を担当させてもらっているわけですが、この小冊子に書かれていることの内容の普及に努めることが、責務であると考えております。スカウティング誌の4月号にも書きましたが、各団において、この小冊子の実践あるのみなのです。そして、その牽引者が団委員長であることは明確なのです。
 本年3月にも組織拡充セミナーが開催され、全国の皆さんから貴重ないろいろな意見を頂戴することができました。その意見の中にも、団の活性化こそが、本運動の発展に繋がることが明確に言われております。

 平成20年度の基本方針である『より良いスカウティングをより多くの青少年に』と、重点目標である『スカウト運動の基本を大切に加盟員数を拡大する』ですが、これらを達成する原動力は、日本連盟役員でも誰でもなく現場を預かる団委員長と隊長なのです。となると、団担当コミッショナーの充実や団委員長フォーラム(懇談会)、ラウンドテーブルなど、あらゆる場面での支援体制が大切になってきます。平成1920年度の組織拡充委員会は、全国どこへでも出向いて行って、そういった支援に力を惜しまない努力をする方針であります。
 この小冊子をまだお読みでない皆様、日本連盟のホームページからダウンロードできますので、ぜひご一読ください。また内容について説明が必要ならいつでもどこへもの姿勢でサポートする所存でおります。ぜひ組織拡充委員会をご活用ください。



                     
                           チャレンジウォーキング 2008.3



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                     スカウトの皆さんへ


                       ボーイスカウト日本連盟 教育本部委員
 国際委員長 檀上 善夫


  2月18日に、ボーイスカウト会館(東京都三鷹市)に集合し、直前訓練や結団式・壮行会を経て、2月20日に成田空港から日本を出国し、2月21日には、バングラデシュ・ジア国際空港到着しました。翌日の夜には、今回実施する「健康・環境・栄養補給プロジェクト」の地である、モエシュカリ島に向けて出発し、7時間後の翌朝に到着しました。
 到着後、バングラデシュ連盟ローバーやスカウトとの協同で、3月2日までプロジェクトを実施しました。

その後、各地で交流を行い、3月4日の夜、首都ダッカに帰着し、バングラデシュ連盟国際コミッショナー・地域開発担当連盟コミッショナーへの公式報告会、在バングラデシュ日本大使への表敬訪問などを行い、3月7日に出国しました。
 帰路の途中では、タイ王国バンコクで休養の一夜を過ごし、3月8日に成田空港に帰着しました。

 このように、ボーイスカウト日本連盟アジア太平洋提携プロジェクト・バングラデシュ派遣は、今年も無事に、そして成功裏に終了しました。派遣員であったローバーたちは、これからの1年間、評価を通して公式報告書の作成と次回派遣員への改善点や申し送りなどを行い、全国各地で報告会を開催します。

 今回の派遣は11回目となりますが、毎回派遣員が驚くことは、文化の違い、言い換えれば宗教に根ざした文化の違いに、大きく驚かされることです。
 この派遣は、バングラデシュ連盟にとってのスカウティングの振興と農村地域での生活力向上に向けた啓蒙という利点に加え、日本連盟にとっては、明らかに「カルチャー・ショックを、若い世代に与えること」が挙げられます。
 
バングラデシュ人民共和国では、イスラム教が国教で、国民の88%が信者であるとされています。大半は穏やかな宗派で、西部アジアやアラブ地域のようなテロ活動はほとんどありません。

  一日5回のお祈りの時刻が新聞に毎日掲載され(月の位置によって、毎日『分単位』で変わる)、その時刻になるとお祈りを呼びかける大音量の「うなり声」が、町の至る所にあるモスク屋上のスピーカーから響き、本当に「この国の人は、いつ寝るのか?」と思わされます。そして、国民の多くがその時刻の少し前にシャワーで身を清め、そしてサウジアラビア・メッカのカーバ神殿の方角に向かって、額(ひたい)を地面にこすりつけ、お祈りします。

 このような光景を見るにつけ、世界にはまったく違った人生観や常識を持つ人たちが居ることを思い知らされます。そして「日本人の常識を押し付けてはいけない」ということを、強く思わざるを得ません。

 皆さんは、自分の常識を相手に押し付けていませんか?


                             
                                      新年のあいさつ 2008.1


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              スカウトの皆さんへ

                          ボーイスカウト日本連盟
 教育本部副コミッショナー  山田 明良


私たち人間は、動物であり、地球に存在するあらゆる生命の中の一つでしかありません。けれども人間には人間だけに与えられた多くの特徴を持っています。その中の一つは、「どんな人間になりたいか」という、目標を持てることです。

 最近の日本では、この目標を見つけるのが難しくなってきています。またその目標がより現実的ななってきています。日本では、中学生に対するいろんなアンケートによると、「お金持ちになりたい」「楽しく暮らしたい」「楽な生活がしたい」というのが大多数を占めています。日本の国は大変豊かになっていますので、こうした豊かな生活を続けたいのは当然かもしれません。
 けれども私たちボーイスカウトには、はっきりした人生の目標があります。それをベーデンーパウエルが最後のメッセージの中で、次のとおり示していただいているのです。「幸福を得るほんとうの道は、ほかの人に幸福を分け与えることにある。この世の中を、君が受継いだ時より、少しでもよくするように努力し、あとの人に残すことができたなら幸福に死ぬことができるのです。」と。

 スカウト活動を行なう者は、このことを真剣に自分の目標に定めなくなくてはなりません。この目標が定まったなら、あとは行動するのみです。どうするのか?この世を少しでもよいものにするには、まず『健康』でなくてはなりません。そして『知識や技能』が豊富でないと役に立ちません。ほかの人を幸せにするには、『人柄(人格、品性)』がよくないと誰もついてきませんし、何もできません。何よりも、この目標をしっかりと支えていくには『奉仕』の心が大切なのです。


 ボーイスカウトは、この「健康」「知識・技能」「人格」「奉仕」が達成でき方法を活動の基本にして行っているのです。だからより高度な「野外活動」などを「班」のみんなとともにより活発に、より幅広く活動してください。

 けれども、私たちの目標をもっと強固にするためには、いやそれだけではなく人間が人間として生きるほんとうの道は信仰にあるのです。明確な信仰を持つことこそ、目標を見失うことなく生涯を送り、幸福に生き幸福に死ねるのです。


                            
                            カブスカウト   雪玉合戦大会表彰

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                                 スカウトたちへ


                           ボーイスカウト日本連盟
     教育本部 コミッショナー 井上 保


君たちはテントをたてるときどのようにたてていきますか。グランドシートをまず敷いて、テントをたてる位置を決め、テント本体のチャックを締めたり、ひもを結わえたりしてととのえ、棟や柱になるポールを組んで、テントを立ちあげますか。ペグはいつ打って張り綱はいつペグに懸けますか。ロープとテントは擦れていませんか
 団によって、いろいろと「正しいテントの張り方」があるようですし、同じ団の先輩でも違う方法を教えられ、どれが正しいのか、何が何だか分からなくなってしまいます。
 いいですか、テントをたてるときのポイントは二つ、ひとつはそのテントを作った人が、どのようにたてて欲しいと思ったのか、知ることです。説明書があれば良く読むこと、無ければよく観察して推理することです。そして、もう一つはテントを長く使えるよう工夫して、大切に扱うことです。二つともスカウトとして大事なことです。

My ideal camp is one where everybody is cheery and busy, where the Patrols are kept intact  under all circumstances, and where every Patrol Leader and Scout takes a genuine pride in his camp and his gadgets.

 これはベーデンパウエルの著書「隊長の手引き」のなかの文章ですが、
「みんな元気で働いて、班はどんな状況のなかでも大丈夫、班長もスカウトも誰もが、彼らのキャンプとその道具を誇りに思っている、そんなキャンプが理想のキャンプです」と云うような事が書かれています。スカウトはキャンプと道具が誇りだと云っています。

 君たちの夏のキャンプはどうだったでしょうか。
雨が降っても風が吹いても、楽しく元気に、一所懸命、班のみんなと力を合わせた、素晴らしいキャンプだったと思います。
 素晴らしかったかどうか、君たちの帰った後のキャンプ地と、君たちの使った道具を見れば、よく分かります。キャンプ地に残っているものは「感謝のみ」。次のキャンプのため、後輩のスカウトのために、整備され、収納された炊具、工具やテントには、君たちの誇りが感じられます。

 きっと、この夏のキャンプも、君たちの自慢のキャンプのひとつになると思います。


                           
                                  キャンプファイアー




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                  大谷スカウトの歴史


                  日本連盟宗教関係代表者会議構成員
                                大谷スカウト連合協議会委員長
   石神 明

 
大谷スカウトとは、真宗大谷派(東本願寺)に所属し、親鸞聖人の教えを基盤として活動するスカウトです。連合協議会を組織し、かつては100個団をはるかに超えていたのですが、現在は85個団の全国組織であります。
 その歴史は古く、1922(大正11)、少年団日本連盟が結成されました。中には必ずしもスカウト活動ではなく、名称も様々で類似の団体も多く、校外生活指導としての学校少年団体も盛んでした。

 そうした中にあって、早い時期より真宗大谷派の寺院でも、児童教化プログラムとしての少年団・健児団(スカウト教育)活動が行われていました。

1924(大正13)8月、国際スカウト会議(コペンハーゲン)は、「スカウト教育はいかなる宗教の上にも成り立つ」という普遍性を宣言しています。このスカウト教育を真宗の教えを基盤に、その関わりを考えようという取り組みが大谷大学の日曜学校研究会の学生たちによって始められ、1928(昭和3年)大谷大学に健児団研究会ができました。


 当時、児童教化のために全国で2000もの日曜学校が開設されていましたが、教化プログラムに行き詰まりを感じた若い情熱にあふれた学生・有志たちは、各地の寺院でも動きのあったスカウト教育の訓育プログラム・方法に大きな関心を寄せたのでした。

 このようにスカウト活動が始まり、戦前の真宗大谷派内のスカウト団は300を数えていました。
戦後、いち早くボーイスカウト運動の再建に立ち上がり全国各地において、スカウト活動を再開しました。各県連・日本連盟の再結成に尽力された大谷スカウトの諸先輩方も少なくありません。
 そして、1956(昭和31)4月、大谷スカウト連合協議会が結成されました。協議会結成の動きと共に、「すべての加盟員は明確なる信仰をもつことを奨励する」という、スカウティングの本来あるべき姿を指向していた諸先輩方は仏教章の制定を日本連盟に働きかけると共に、他宗派に先駆けて大谷派仏教章授与基準を制定し、「大谷スカウト手帳」を発行しました。

 1962(昭和37)の第3回日本ジャンボリーで初めて仏教日曜礼拝が実施され、この時京都の大谷スカウトから制定初めての仏教章第1号が誕生しました。
 現在は仏教章取得のための手がかりと大谷スカウトとしての自信と自覚を深めるために、「名誉奉仕訓練(4泊5日)」をベンチャースカウト対象で毎年3月に京都本山で開催、「地方名誉奉仕訓練(3泊4日)」をボーイスカウト対象で毎年8月に地方巡回で開催、そしてリーダー研修会(1泊2日)を指導者対象で毎年2月に開催しています。


大谷スカウト連合協議会ホームページ    http://homepage2.nifty.com/tanisco/top.htm



                       
                      ビーバースカウト インディアンになろう



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             新しい波が生まれようとしています

                          14NJ実行委員長・石川県連盟理事長
                                  (ボーイスカウト日本連盟 教育本部委員 イベント委員会委員長)
  西村 稔



 日本ジャンボリーが終わりましたが、開催地石川では外国から参加したスカウトたちとの間で新たな交流が始められようとしています。今回、初めて日本ジャンボリーに150名もの代表団を派遣したロシア連盟、100名に近い参加をいただいたタイ連盟との間で友好提携が進められています。

 ロシア連盟のスカウト運動の歴史は1992年、旧ソビエト体制が崩壊、ロシアがつくられ再興、運動歴15年の新興国といってもいいと思います。これまで海外のジャンボリーには数名程度しか参加しておらず、今回のように150名ものスカウトが参加したのは、もちろん初めてのことでした。
 年末にお礼をかね、ロシア各地を訪問しました。各地で代表スカウト、その家族、先生、友だちなど、大勢が集まり日本ジャンボリーの報告会にあわせ、歓迎会をしてくれました。異口同音に2万人を越えるスカウトが一堂に集まる日本ジャンボリーに、感激を越えて感動したと話していたのが印象的でした。聞けばロシア国内最大のキャンプが500名規模だそうです。それと比べれば2万人は彼らの想像を絶するものであったに違いありません
 ウラジオストク、ナホトカなど日本海側にある都市とモスクワを結ぶのに飛行機だと9時間、シベリア鉄道で一週間という遠距離にあり、日本は飛行機で1時間20分、船で36時間の距離にあることから、シベリア地区にとって、日本は隣国といっていいでしょう。
ロシアのスカウトは大半が小、中、高の一環教育にある学校を中心に活動が行われており、活動のテーマも環境問題に関心が集まっています。産業が優先されるなかで自然破壊、公害問題などで国土が汚染されるのを静観できないと若い指導者たちは話していました。
 歴史が浅いだけに指導者も若く、スカウトたちも情熱に溢れていました。矢継ぎ早に質問を浴びせるなど、かつて加盟員が急増した頃の日本のスカウト運動を彷彿とさせました。
 そのロシアシベリア連盟と日本海を挟んだ石川・福井連盟がこの3月、友好提携の調印を行うことになりました。当面はロシア側より提案のあった日本海の環境問題についてお互いに観察、発表しあいます。
近年、増えつづける沿岸へのゴミ漂着、海水の汚染、魚の生態、海浜の植物、渡り鳥の変化などに関心を持ちながら、かけがえのない地球環境を護ろうと話し合うことになりました。日本海は私たちの海であると同時にロシアの人たちの海でもあります。

日本ジャンボリーの大会テーマ「風の不思議を突っ走れ」、かつて大陸から多くの文化が風にのり波にのって運ばれてきたのです。
時代が変わった今、日本とロシアのスカウトたちの間で「新しい波」が生まれようとしています。


                            
                            手に乗る メジロ  金華山



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                 指導者訓練の充実に向け

                                     ボーイスカウト日本連盟教育本部委員
                                                           トレーニング委員会委員長 戸部惠一


 新しい教育本部体制がスタートして2年が終わろうとしています。指導者訓練に関する方針の策定、事業の展開等を担当することが我々の委員会の任務であり、従来のアダルトリソーシス委員会及びディレクターチームが担っていた内容を引き継いで進めてきました。訓練の企画と実施を担当することで訓練内容の改訂はスムースに進んできたと考えます。しかし、それは従来の指導者訓練内容の改訂であり、現行の指導者訓練システムに課題があることを踏まえた上での作業でした。また、同時に、指導者訓練の再構築ということで、理事会のもとにあるスカウト運動推進委員会との連携により、検討を進めております。平成15年3月に指導者養成訓練体系検討特別委員会より答申された内容をもとに再構築に向けて取り組んでいます。

現行指導者訓練の現状の分析

  @  定型訓練に多くの研修を求めすぎているため総花的になり、修了しても実務に役に立たないという不満が多く聞かれる。

  A  一度の定型訓練を修了すれば役務主任条件が一生保証されるため、就任後に更に必要な知識や技能を得ようとする意識が低くなっている。

  B   定型訓練終了後に、更に必要な知識、技能の取得を自己研修と定型外訓練に委ねているが、その内容も方法も明確に定めていないため、十分に機能していない。

  C   一度の定型訓練の期間が長く、参加が困難となっており、新たに参加する指導者が少なく、指導者の新陳代謝が図りにくくなっている。また、就任条件を満たさないまま役務に就任している指導者が多くなっている。

  D  指導者研修への参加を加盟員以外にも開放していないため、新規指導者が得にくい。

  E  研修参加者の加盟員限定および提供者の内部依存から、新たな研修内容や方法の研究がされずレベルアップが図れない。

  F  団はスカウト運動を推進する母体であるにも関わらず、それに関わる団運営者への研修提供が十分ではない。

  G   コミッショナー就任までの必要な研修の段階が多く、就任条件を満たさないままその任に就いているコミッショナーが多い。

と考えております。このことから必要な研修を必要な時点で習得できるような研修を基本にタスクチームをつくり、鋭意推進しているところでございます。また、さらにこの研修を支援する立場の方々の研修についてもその充実を図りたいと考えています。

 一例としては、コミッショナー研修は、団担当コミッショナー、地区コミッショナー、県コミッショナーがおりますが、それぞれの役務により、研修内容がちがうのではないかと思いますので、就任研修でよいのではないかと考えます。団運営者についても研修の充実・強化を図らなければならないと思います。


 今後、指導者訓練の再構築をすることにより指導者の質の向上と指導者の確保を目指したいと思っていますが、現場の指導者の方々の熱意がなければ成功はしません。どうぞ本委員会に対して建設的なご意見をお願いします。日本連盟が考えたことと思わないで、皆さんと共に課題解決をしなければ子どもたちに迷惑がかかりますので今後も本委員会に対しても温かいエールをお送りください。

                          
                            アドベンチャースカウトトレーニング 岐阜〜蛭ケ野




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昭和和51年に救世スカウトが発足して今年で30年
となり、この記念すべき年に、ボーイスカウトでは、第14回日本ジャンボリーが、石川県珠洲市の「りふれっしゅ村鉢ケ崎」で開催されました。
 日本ジャンボリーは、海外からの参加者を交えて全国の代表スカウトが一堂に集い、4年に一度行われる国内で最も大きな国際キャンプ大会です。
今年の「第14回日本ジャンボリー」は、スカウト運動の100年の歴史を振り返り、原点を見つめ直す大会ともなり、参加したスカウトは、国内外のスカウト仲間との相互交流を通じて、「ひとつの世界、ひとつのちかい」(第21回世界スカウトジャンボリー大会のテーマ)を実践することを目的としました。
 大会3日となる8月5日には、各教宗派による宗教儀礼が実施され、第6回から継続している世界救世教宗教儀礼に教団を代表して川合範典責任役員が来場しました。
今号では、その時にいただきました「激励の言葉」を掲載致します。


     世界救世教宗教儀礼 激励の言葉             世界救世教責任役員 川合 範典

皆さん、おはよう、元気ですか。私は、今、ご紹介をいただきました、世界救世教の川合でございます。
今回で14回を数える日本ジャンボリー、この意義ある大会の宗教儀礼に参加する機会をいただきまして、元気なスカウトの皆さん方にお会いできることで、大変うれしく思っております。ここにいるスカウトの皆さん方は、団を代表して参加しておられるとのことで、そのために毎月の訓練キャンプを積み上げ、体を鍛え、技能を磨いて来られたと伺っております。それだけに、ジャンボリーに参加しての喜びは大きく、大勢の仲間との友情を育みながら、これからの人生の糧となる得がたい学びをしておられると信じております。

 来年は、スカウト運動が始まって100年の大きな節目を迎えるわけでありますが、私たちの救世スカウトは、昭和39年に、沖縄で産声を上げました。
 そして、昭和49年のジャンボリーの参加を契機に、教団は本格的にスカウト活動に踏み出させていただきましたが、それは、宗教心を
大切にするスカウト運動を通して、社会に役立つ青少年の育成に貢献したいと願ったからでございます。
 とはいえ、今日までの道のりは必ずしも平坦で
はなく、ここにいらっしゃる団委員の方々、あるいは隊指導者の方、そして保護者の皆さん方のご苦労も一方ならぬものもあったと、拝察いたしております。
 そうした中にあって、子どもの健やかな成長を願い、スカウト運動に情熱を傾けてご尽力を賜ったことに、心から感謝申し上げ敬意を表するものでございます。皆さん方もご承知のように、昨今の青少年を取り巻く環境には、大変厳しいものがあります。子どもの体力低下、生活習慣病、ひきこもりやニート、あるいは非行問題、心の荒廃というように、さまざまな社会現象となって現れております。まことに今日ほど、青少年の真の心身の健康が願われ、求められる時代はないと思っています。
 世界救世教を立教致しました岡田茂吉師を、私どもは明主様と申し上げておりますが、その明主様は、このような社会の苦悩に対して、「世の病」という表現をされ、教宗派や信仰のあるなしに関わらず、願いを同じくする心ある方々と手を携えて、この解決に着手していかれました。
その意味で、スカウトが担う人材育成への明主様のご期待というものは、まことに大きなものがあろうと存じております。社会に貢献する有為なる人材の輩出に、皆さん方と共に、これからも努力してまいりたいと思います。スカウトの皆さん方には、限りない可能性と前途洋々とした未来が開かれています。

 皆さん方は、ベーデンパウエル卿の教えを大切にして、「大人になった時に、世の中に役立つ人」になることを目標に、「ちかい」と「おきて」を実行されていますが、このことは、皆さん方一人ひとりの無限の可能性を引き出し、大きく育てるものだと信じております。

明主様は、一軒の家庭、一軒の家が天国になり、これが型となって、地域、国家、世界へと拡大していき、そして世界が天国になるということを明らかにしておられます。そして、家庭、家というものは、個人から出来ているのですから、個人である皆さん方一人ひとりは、明主様のご理想である、新しい文明世界の建設の鍵を握っており、来るべき新時代の担い手であるということであります。
 それだけに皆さん方には、明主様がどのようにして人類を苦悩から救おうとなさったのか、どのように理想の世界を描かれて、建設なさろうとしておられるのか、そのことを明主様の教え、明主様のご生涯、明主様のお姿に学んで、理解し実践する努力をお願いしたいと思います。
 そして、ご両親の長年にわたる信仰をしっかりと継承して下さい。同時に、仲間と共に、語り合い、助け合い、互いの友情を深め合いながら、どうか新しい時代を担うリーダーとして、世界に大きく羽ばたいてほしいと心から願っております。
 最後に、宗教儀礼のおわりに浄霊がありますが、実はこの浄霊は、宗教行為の範疇に留まるものではありません。明主様は浄霊を、霊の実在を前提とする「霊科学」の分野に位置づけておられます。私どもはこの認識に立って、民族や文化、あるいは宗教の違いを乗り越えて、あまねく人類に受け入れられるものに、させていただこうという努力を、現在重ねているところであります。

本日、私どもの宗教儀礼の見学に集まっている皆さん方、そしてお越し下さっている救世スカウトの皆さん方のますますのご健勝、ご発展、ご活躍が許されますように、心から明主様にご祈念申し上げ、私のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。


■(豆知識)ジャンボリーにおける宗教儀礼の位置づけ

ボーイスカウトでは、明確なる信仰を持つことを奨励し、野外活動を通して、自然から与えられる神の恩恵や、人々の善意によって、生活が成り立ち、自然や人の心を尊重し、それに従うことを規範として、会に貢献する人材育成を目指しています。
 
その一環として、野外における宗教礼拝を教育活動の一つと位置づけ、ボーイスカウト日本連盟が発行する宗教章を有する教宗派別で実施し、信者・未信者を問わず、誰もが参加できる機会として、宗教に触れるきっかけを設けています。
  また、今回のジャンボリーでは、信仰奨励のためのスカウトハンドブックを参加した全てのスカウトに配布しました。さらに、ジャンボリー活動の中に信仰奨励プログラムを用意し、生活を通して、体験と学びの中で宗教(信仰)に触れる機会を作りました。これらの活動を通して、一定の条件をクリアしたスカウトには「レリジョンアワード」を受賞できるようにしました。

                            
                                      日本ジャンボリー   アリーナから会場




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                     組織拡充に思う

                                     ボーイスカウト日本連盟 教育本部委員組織拡充委員長 渡邊 富昭


日本連盟教育本部にご奉仕させていただいて丸1年が過ぎました。日頃の皆様の活動に感謝申し上げます。
私は四国の片田舎、愛媛の宇和島第3団に所属して約15年が過ぎました。我が団は昭和24年に発団致しましたが過去2回の未継続期間があります。タイトルで「組織拡充に思うこと」と挙げさせていただきましたが、地方の団の「経営(BS的には運営という表現が適切とは思われますが、あえて経営という言葉を使わせていただきます)」に係っている、「目線での捕らえ方」のお話とお許しいただきたいと思います。
 昨今、日本連盟では加盟登録者数の減少に頭を悩ませており、登録制度の見直し等も行っております。先日の石川での全国大会の折にも、テーマ別集会でご参加の皆様から「加盟登録できる会員種別の拡大について」のご意見をいただきました。
 只、このような厳しい状況の中、健全な団運営を目指して、過去3ヵ年にわたって「団の登録者数を継続して維持・拡大した団」の日本連盟組織拡充顕彰ではSランク【スカウト100名以上、指導者(含む団委員)40人】20県連48個団、Aランク【スカウト65名以上、指導者(含む団委員)25人】40県連盟291個団の組織拡充顕彰がありました。(一部、顕彰辞退の県連盟もありました)

 スカウト減少の理由として、「少子化、子どものニーズの多様化、教育環境の変化等」が挙げられます。スカウト減少の分析としては間違ってはいないと思いますが、それだけで片付けて良いのでしょうか?同じ地域に在っても登録40名未満の団があり、班制教育も出来ないとの声も聞こえて来る反面、先に挙げましたSAやAクラスの団も存在致します。
 私の団は継続登録が出なかった時期がある事は先に述べましたが、その理由は、初回は創設時からのカリスマ隊長(団委員長)が事情で急に辞められ、後継者の育成を怠っていたこと、二回目は「各隊長のコミュニケーションが悪くカブ隊からボーイ隊への上進が少なくなり、隊が維持できなくなった」ことでした。その是正を団委員会・団会議で図れなかったのが大きな要因でした。
 さて、3度目の正直です。現在、我が団は「現場主義スカウト満足時代感覚」をスローガンに広がり(組拡)を心がけ、「種を蒔く」=「子どもの居場所・体験入隊」を団委員長中心に皆で行っております。まずはスカウトを欲しいと思う。みんなで(団委員も含めて)やろう、顔を会せる毎にそんな話しを行なっており、団委員長の存在の重要性を感じております。団の充実と発展が、地区、都道府県連盟、ひいては日本連盟の組織拡充に繋がると思っております。

 最後に、発展し続ける組織の要素として「人・物・金(資金)・ノウハウ(情報)」の4つを、団委員長のマネージメント(経営)の基に、団委員、リーダーが車の両輪のごとく活動し、スカウトの満足を得る事が出来れば、中途退団の抑制も出来、組織拡充へとつながるものと確信致します。
           弥栄



                            
                                 ビーバー 春の山登り


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           最近のスカウト活動で思うこと


                         ボーイスカウト日本連盟
教育本部コミッショナー 伊藤 智是

 私は、最近のスカウト活動について多くの方々からお話をお聴きする機会を与えていただいています。その内容は、例えば、年間プログラム活動(行事)をどのように進めていくのか、ということや、どのようにしてスカウトを進級させるかということに、指導者としていかに意を注いでいるかというようなことなのですが、そんなお話を伺っていますと、「私たちは、本当にスカウト運動が求めていることに向かって活動しているのだろうか」と思ってしまうことがあります。

 そこで、指導者の方々が、スカウト運動の柱建てや考え方とは、どのようなものかについて再考する機会となっていただければと思い、私の所見をお話させていただくことと致しました。

 スカウト運動は世界的に受け入れられている運動ですが、この世界的なスカウト運動は「神へのつとめ」「他へのつとめ」「自分へのつとめ」の原理を基礎に置いていますが、このスカウト運動の全ての加盟員は「ちかい」と「おきて」を遵守することとしています。そして、訓育方法は「ちかいとおきて」「行うことによって学ぶ」「小グループの一員となる」「参加者の興味を基盤とした、いろいろな活動からなる累進的な活気あるプログラム」を通じて行う累進的自己教育体系としています。

 これを受けてボーイスカウト日本連盟は、「ちかいとおきての実践を基盤とし」「班制教育」「各種の進歩制度」「野外活動」を各年齢層に適応するようにし、しかも一貫したプログラムに基づいて教育することを基本方針としています。

 それでは、この教育を実際の隊活動でどのように取り扱っていけばよいのでしょうか。

 スカウトの「ちかい」については、スカウトの自主的なものでなければなりません。自主的にさせるために指導者はスカウトが「ちかい」をたてる前に、その意味についてしっかりと話し合っているのでしょうか。話し合い、理解すれば自主的なものとなり、自分の意思で奉仕を自分の義務とするのではないでしょうか。

 スカウトの「おきて」は、良い市民となるための基礎であり行動規範です。隊はこれらを実際に行う場なのです。どんな時に、どのようにして実践を促すのかを指導者会議のテーマに考えてみましょう。

 「班制教育」とは、班というグループを活用してスカウトの成長に寄与していくことなのです。そこには、リーダーシップが培われ、あるいは班の役務を分担して役目を果たすことで班の運営に参加しているという意識のもとで、班への帰属意識を持つことができるのです。班制度は班編成をしていることとは違います。このことについては、是非、地道に根気強く取り組んでいただきたいものです。

 「進歩制度」は、記章取得が目標ではありません。全てのスカウトに進歩しようという意欲を湧きたたせ、自分の能力を自分で発見させることなのです。スカウトは記章の取得で挑戦意欲が生まれていますか。

 「野外活動」は、スカウティングの重要な特色です。野外はスカウトにとっての総合学習教育の場であり、スカウティングの正しい環境は野外―野原、森林、山野―にしか有り得ません。(悪天候等で室内活動を強いられることがあっても、これは次善の策です)安易に室内集会を行っているということはありませんか。

 「プログラム」についての在り方については、B−Pが「少年たちの話に耳を傾け、少年たちに質問をして、どんな活動が楽しいかを知り、それをどの程度まで受け入れるかーつまり、少年たちにとって有益なものになりうるかーを決める」との指針を示しました。本当にスカウトのやりたいことがプログラムとして組み立てられているのでしょうか。

 私たち指導者は、子どもたちがスカウト活動に興味を示し、参加し、実践し、より良い市民として成長していくことに支援をする役割を持っています。一人でも多くの青少年により良いスカウティングを提供することは、スカウトに直接的に接する隊指導者のしっかりとした考え方と情熱と意欲にかかっていると言っても過言はありません。スカウト運動は子どもたちの成長とともに、社会に貢献できる運動であります。

 多くの指導者皆さんの奮起を期待しています。


                              
                                 スケート
  

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                    日本連盟の広報について
                                       ボーイスカウト日本連盟教育本部委員    広報委員長 有野 廣


皆さんこんにちは。初めまして。今年から広報委員長になりました有野です。広報委員会では、機関誌である〔スカウティング誌〕の発行をはじめ、ボーイスカウト運動の普及資料の作成・DVDの制作・カレンダー、フォトコンテスト等、日本蓮盟事務局の広報グループと共に日本連盟全体の広報活動を実施しています。広報活動とは、一般的に言うと外部の人に対して、その活動の理解・信頼・好感を得るためのコミュニケーション活動のことです。つまり、その組織が自身の目指す方向・方針と活動内容を外部の理解・認知を得るために、あらゆる表現方法を駆使して行う継続的な対話関係を実施していくことです。

 その業務は、大別して広報機能と広聴機能に分けることができます。広報機能は、@組織外から組織内にA組織内から組織内にB組織内から組織外に情報を発信する機能を言います。広聴機能は、情報収集活動のことを言い、組織内外の情報をインプットする機能を言います。これら二つの機能を整理して、これからのスカウト運動をどうPRするか、今広報委員会ではいろいろと検討しています。

 昨年から発行いたしました〔クラブスカウト〕は如何ですか。以前はスカウト・スカウティングの二誌を発行していましたが、事情により合本し一誌としましたが、どうしても情報が散漫になり、ターゲットが絞りこめなくなってしまいました。やはり分けるべきだということになり、スカウトたちも読んで面白い・プログラムのヒントになるものとして発行いたしました。これからもどんどん改善していきますので、皆さんの意見をお寄せください。

 また、ある会合でこんな意見もありました。現在副長補をしているリーダーから、我々もこの運動の推進に頑張っていますが、もっと日本連盟はスカウト運動を世間に広めるためPRに力を入れてCM等を流してほしいとの発言がありました。広報ということを考えてみると、我々ボーイスカウトの仲間は活動の中にあるので「あたりまえ」と思っていることも、世間一般では理解されておらず、認知されていないのが現状のような気がします。

 この現状を少しでも解決していくことがまず第一歩だと思います。今、少子化・青少年の社会教育活動の多様化等、さまざまな要因のある中で、加盟員の減少化が進み、以前は個々のスカウト・リーダーと外部とのダイレクトコミュニケーションが図れ、身近なところからの活動の情報発信ができましたが、現在は大変難しくなりました。この様な状況では組織がダイレクトに一般向けに情報発信することが必要不可欠になってきております。

 この運動の更なる発展を目指すには活動内容の充実はもちろんですが、スカウト運動を正しく一般の人たちに知らしめ、理解・認知してもらうことが大変重要なことであると思います。広報活動の二つの機能、広報機能と広聴機能を実践活用して、日本連盟として広報活動をどうするのかを命題に目的達成のため、頑張りたいと思います。

 皆さんもどうか、広報活動の意味するところを汲んでいただき、スカウティング誌の活用のためにも、一人でも多くの人にご購読いただきますよう、心からお願い申し上げます。

                           
                               緑の羽根   募金風景

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                 「私たちのボーイスカウト運動」

                      ボーイスカウト日本連盟
 教育本部副コミッショナー 清水 利英


ボーイスカウト日本連盟では、2007年の世界スカウト運動創始100周年を目指して、平成17年度事業計画において、取り組むべき重点目標のひとつとして「活動の充実と加盟員数の増大を図る」を掲げ、目標達成のために次の3項目を軸として活動を展開するよう提唱しております。そこで、取り組むにあたって、私なりに基本となる考え方を述べさせていただきます。

 まず第1に、「青少年プログラムを総体的に見直し再構築する」であります
 スカウトに対するより良きプログラムの提供は、ボーイスカウト運動にとってなくてはならないことは周知の事実であります。しかし、目の前の隊をどのように運営するかを一生懸命考えるあまり、一人ひとりのスカウトに焦点をあてたブログラムが疎かになっている感があります。そもそもスカウティングは、一人ひとりのスカウトのニーズに基づき、スカウト自らの意志で参加することによって、スカウト個々人の成長に寄与する活動であります。つまるところ、プログラムはスカウトのためにあるべきであります。

 第2に、「意欲と情熱に富んだ隊指導者を養成する」であります。
 ボーイスカウト運動は、参加するスカウトと「情熱」をもった指導者とによって目的が達せられ、指導者にはスカウト「精神」と「知識」の確立が求められます。このため、指導者研修にあたっては、スカウト運動に参加できる「喜び」と「使命感」の醸成が何よりも必要であり、実際の隊での活動(スカウト一人ひとりの成長に視点をおいた)に則した研修システムが必要不可欠であります。

 第3に、「国際的なスカウト活動を国内外で充実する」であります
 世界の多くの国のスカウトは、地域の構成団体などと協力して地域社会が直面する課題に参画し、共に目標を達成するために活動しております。しかし、日本のスカウト活動では地域社会との連携が乏しいため、地域から国へさらには世界へとつながる活動への展開が困難ではないかと思慮されます。このため、地域社会の構成員であるボーイスカウト運動は、日頃から、しかも継続的に、地域がかかえる課題に他の人々と共に参画することが重要であります。
ボーイスカウト運動を将来につなげるには、隊指導者一人ひとりが、日常生活やスカウト活動の中で目標を掲げ、スカウト個々人の人生を視野に入れた魅力あるプログラムを実践し、地域社会に貢献できる運動を展開することを再確認することではないでしょうか。


                         
                           ビーバー  ゆきあそび

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         第14回日本ジャンボリーの開催に向けて

 ボーイスカウト石川県連盟 県連盟コミッショナー 内 田  宏

「ジャンボリー」と聞いて、心が躍らないスカウトはいないと思います。
日本ジャンボリーは、4年に一度、国内はもとより世界各国より多くのスカウトが集うスカウトの祭典です。そして、スカウトが自らの力を試し、自信を持たせてくれる不思議な力を持つと同時に、指導者にとっては、スカウトの成長を実感できる絶好の機会であると思います。

 ご存知の通り、平成18年夏、石川県珠洲市において第14回日本ジャンボリー(14NJ)が開催されます。この平成18年は、世界スカウト委員会によって「スカウティング創立の日」と宣言された「ブラウンシー島の実験キャンプ」の開催から100年目を迎える記念すべき年でもあります。その年に石川県で日本ジャンボリーが開催されることは、当県連盟にとっても誠に光栄なことであり、一方で14NJを支えるホスト県連として大変重い責任を感じています。

この14NJは、「風の不思議を突っ走れ!」と、なんとも意味深い、不思議なテーマで開催されます。
 会場地である珠洲市は、能登半島の先端に位置し、澄んだ海と青い空に代表されるように自然に恵まれ、今年のNHK大河ドラマ「義経」の主人公 源義経にまつわる場所も多く、歴史あるところです。自然や歴史をテーマとした様々なプログラムに挑戦し、楽しいキャンプ生活を満喫していただけることでしょう。「能登はやさしや土までも」と呼ばれる能登の人々を培ってきた豊かな風土と文化に触れ、ゆっくりとひとときを過ごすだけでも、不思議な力を授かることができると思います。

 14NJを機として、世界中のスカウトにとって生涯の思い出の地とするために、石川県、珠洲市をはじめとする多くの関係者の協力を得、私達は精一杯力を尽くして参りたいと思います。
 また、今年8月には、14NJ本番に向けて施設、プログラム、安全対策等を検証するため、「ボーイスカウト環日本海大会」を開催します。この大会には、中部ブロックの各県連盟を始めとした国内のスカウトに加え、韓国や台湾から計2,000名以上のスカウトが集まります。
 3泊4日の短い期間ですが、自然に囲まれた暮らし、その自然を慈しむ心、仲間たちと育む友情、そして人々の人情に接することで、目覚ましく成長していくスカウトの姿に触れたいと思います。
 今年、来年と多くの方々にお会いできること、石川の新しい発見に出会えることを楽しみにしています。ぜひ多くの皆さんのご参加をお待ちしています。

                     
                           自転車ハイキング  長良川河口付近

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            救世スカウト 30周年!

                          全国県連盟コミッショナー会議代表幹事
                         ボーイスカウト大阪連盟コミッショナー 膳師  功
 
救世スカウトとしての名称は、昭和39年アメリカ極東連盟所属のガールスカウトが沖縄で発団され、その当時の栄光紙に「救世スカウト」の名称が使用されているのが最初のようです。翌40年には沖縄のボーイスカウト(現在の那覇11団)が発団し、その後、愛知県、愛媛県で順次発団されるようになってきました。当時の各団は、教団を育成母体として活動を展開し人格開発(子どもの育成)という命題である成果を着実に上げつつありました。その指導者たちの働きかけで教団は、スカウト運動を子弟教育の一つとして取り上げることになりました。その理由は、スカウト運動のもつ目的・原理が明主様のみ教えと共通する点の多いことや子どもの年代に合った教育法(子どもの育成に優位性があること)が認めていただいたと聞いています。

 昭和501123日「青年の日」に総長指導があり、青年たちは地元に帰ってスカウトの全国発団を目指して邁進することにしたのです。それからは地元、ボーイスカウトの役員の方々から指導を仰ぎながら各都道府県で団が誕生してまいりました。昭和52年の3月、瑞雲郷でキャンプファイヤーを囲んでの全国発団祈願参拝を経て、昭和54年3月には全都道府県の発団を達成し、昭和58年度の登録では全国で200を超す団数と約10,300人という仲間が誕生したのです。それには育成側の熱意と指導者のたゆまぬご奉仕の結果であったと思います。しかし以後は諸般の事情があったとは思いますが日本連盟と同じように減少に転じて前年を上回る登録数がなくさびしく思っております。

 向上期には、リーダー養成会を1年間に3期の積上げ方式で開催し、多くの指導者が学びました。私もこの第1期に参加し「スカウトを育成することの願いやB−Pスピリッツ」を鍛えられ多くのことが体得できました。そして仲間と将来の大きな夢を語り合いました。もしかするとこの時に私は指導者魂を揺さぶられ、夜昼転換をしたのかもしれません。
特に、この1期で学んだ仲間がこの運動から去っていること聞くたびに寂しい思いがし、蔭ながら運動に対する支援を心から願っています。
 全国発団祈願から30年、振り返ってみますと厳しい時代、つらい時代もありましたが、一方ではジャンボリー、救世スカウト大会等の楽しい思い出もありました。今思えば苦しい時の与えられた、いろいろな場面は魂を磨く良い機会であったと感謝しています。
 最近は、自分で少しは成長できたのかなあと考えては、まだまだなことが一杯あると反省しています。これからも自分からいろんなことをできるだけやってみたいと思っています。自己予言達成がかなえられるためにも。
 そのためにもこんなことを言っています。「1つは子どもたちの班や隊のキャンプが減った。できるだけたくさん実施しよう」(子どもも好きですし、技能も向上します。何よりも霊性が向上します。)明主様のお歌にあるように『大自然の 美しさこそ主の神の 尊き 無言の教えなりけれ』が実感できると思います。「2つめはセレモニーを厳格に行おう」 緊張した中にスマートな美しさが漂ってきます。 (言葉を少なくしてサインや合図等を活用すればなおスマートです。) 「3つめは基本を忠実に実行しよう」  隊や班を運営するための基本を理解し、実践することです。
 (班長会議・GB訓練・暗号・サイン・ネッカチーフの結び目・その他いろいろあります)


                 
                        もうすぐ 市内電車廃止

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                        「スウェーデンショック」
                          ボーイスカウト日本連盟中央審議会議員
                                               プログラム委員長 逢坂 伸一



1970年頃のスェーデンでの二つの体験は、私の人生に大きなヒントを与えてくれました。

 一つは、スェーデンと日本での学歴の違いとその成果についてです。この頃の日本は、高学歴社会に突入し、大学院レベルの学びを終えた若者たちがエリート商社マンと言われ、海外を飛び回り、コンピューター等の最新技術が詰め込まれた製品の開発や売買に関わっておりました。スェーデンでも精力的に活躍している日本の若者をよく見かけましたが、彼らと技術的な事柄等を中心に取引をしている地元の若者、即ちスウェーデンの若者たちの大部分は、中学卒、あるいは、高校中退で、その後に何らかの学習チャンスをもって活躍しているという話を聞いたのもこの頃のことでした。合わせて、当時のスェーデンでの大学進学率は20%に満たないものであり、高度福祉社会を作り出した原動力が、必ずしも学歴社会によるものではなさそうなことにショックを受けました。
 
もう一つの体験は、ある小学校を訪問した時の話題です。ほとんどの教室での授業が始まっているのに、一人だけグランドで遊んでいる児童が目にとまりました。かわいそうな気がしましたので、「あの子は、誰れも面倒を見てあげないのですか?」と尋ねると、校長先生は怪訝そうな顔をしながら、「エッ、そのうち教室に入るでしょうし、また、違う楽しみを見つけますよ」と、答えてくれました。その後、授業参観をさせていただいた教室に先程の児童が座っており、周りの子供たちと楽しそうにしておりました。後日、私の不安を察して、その子のいるクラスへ案内してくれたことに気づき、とんでもない質問をしたことを恥ずかしく思うと同時に、新たな気づきを身につけることができました。

 教育とは、何も知らない子供たちに先輩である大人が知っていることを一方的に与えてやるということで捉えるのではなく、一人ひとりの子供たちがもともと持っているはずの特性を見い出し、援助しながら伸ばしてやるという視点のあることに気づかされました。
 支援、あるいはアニマトゥール(フランスでの青少年指導にあたる人のことであり、人々を生き生きとさせるという意味)という立場で、青少年指導の在り方を考え直すという意味も含めて、再びボーイスカウト運動に関わらせていただいております。


                       
                            芋ほり 

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                「体操ニッポン復活に学ぶ」


                    ボーイスカウト日本連盟

                         総コミッショナー       鈴木 国夫



 アテネ五輪で日本選手は大活躍をしました。その陰には、国の施策や各スポーツ団体の努力があったようです。特に、体操では28年ぶりに団体総合の金メダルを獲得し「体操ニッポン復活」の活字が踊りました。長い低迷期に入っていたころ、旧ソ連や中国等「体操強国」を見て回り、そこで得たのは「基本の大切さ」「基本をおろそかにして、成長はない」であり、「金の秘策はやはり『基本』」ということであったと言われています。

 私たちは、平成16年度最重点目標に「スカウト運動の原点を見つめ加盟員数を拡大する」を掲げております。スカウト運動の基本となっているスカウト教育法、中でも班制教育、進歩制度などの実践を訴えております。(他にも「行うことによって学ぶ」、「自然の中での活動」等、重要な要素がありますが)
 昨今、スカウトの人数が減って班制教育等、出来ないということを耳にすることがありますが、一種の逃げ口上ではないかと思います。人数が少なくとも運用出来る筈です。隊の発展を考える時、「パトロール・システムが正しく用いられれば、成功すること絶対確実である。成功せざるを得ないのだ」というB-Pの言葉を始め、班制教育そのものについては皆、十分理解している訳ですから、いかに運用・展開するかに係っております。班長、次長の他に、記録・会計・備品・安全等、班員の任務を明確に決めて、その任務に就いているスカウトが自分の任務を通じて活躍出来るよう、工夫することが重要です。また、班名・班標語・班精神・班記号・班呼・班員任務・連絡網等を決めて、出席表・班員進歩記録・年間計画表・対班競技記録・会議記録等と共に、「班ノート」に記載出来るようにする等、具体的に取り組むことだと思います。また、進歩制度についてですが、ポイントはスカウトたちに進歩課目を成し遂げ、進歩記章を取得する達成感、成就感を味わってもらうことです。スカウトが、この感触をつかみ取ることが大事です。
 もちろん、体操とスカウト運動とは異な
りますが、「基本」の大切さを強く思い起こさせてくれたアテネ五輪でした。



                            
                                 川下り ほっと一息


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                 「BPの著作にみるスカウティングの原点」とは


                           ボーイスカウト日本連盟
                              国際担当コミッショナー 小町 國市


 B−P卿の独創的なアイデアと体験に基づいたスカウティングは、1908年の組織化からおよそ一世紀に亘り、波及的に伸展を続けて今日に至っている。
 1884
年に「偵察と斥候術」を処女出版し、85年に「騎兵教範」を著した。1908年に「スカウティング・フォア・ボーイズ」の初版6分冊(約400ページ)を著すまでに、すでに9冊の単行本を世に送っている。その内容は、軍人への教範本5冊と紀行文とスケッチ集が4冊の内容であった。生涯では、34冊の単行本が残されており、1908年以降の25冊のうち、スカウティングに関する著作は19冊である。このうち日本語訳された著作は、「スカウティング・フォア・ボーイズ(SFB)」と「ウルフカブズハンドブック」「隊長の手引き」「ローバーリング・ツー・サクセス」であり、1915年に発行の「スパイトとしての私の冒険」が唯一、軍事的要素の邦訳である。B−P卿は、「スカウティングはゲームである」としている。また著作の中で「SFB」では、よき公民としての成長を主張している。小さな文字の“love”は自分のための愛であり、大文字の“LOVE”は公共への愛、例えば隣人愛等であれと唱えている。
 また、1916年に著した“Young Kmights of the Empire=帝国の若き騎士たち”は、英国の成年達に問いかけた“よき市民”たるための著書で、「SFB」の自学用、いわば補完版と言える、スカウティング・マインドと言えよう。

 スカウティングの原点を訪ねる時、「パトロールシステム」は貴重な運動推進の手法だが、日本の現況では、スカウトの減少で、各隊が十分な班制が滞る今日である。指導者がまずパトロールシステムを熟知することが重要である。組織はムーブメントであり、活動は目的のためのゲームである。スカウティングの原点の見出し方は、指導者一人ひとりに画一的に課せられているのではないのである。成人指導者がスカウトに与えるべきものは、人格であり、品位である。B−P卿の著作から学ぶ原点を探究し、スカウト達に与えることが、本来のスカウティングの基となる。一世紀を経っても、B−P卿の夢みた「平和の騎士像」は色あせることはないであろう。共に更にB−P卿の著作に学ぶことを推奨したいものである。


                           
                  チャレンジウォーキング BVS:15km CS:30km BS:50km VS:70km  RS:100km
 

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                       指導者の重い一言


                      ボーイスカウト日本連盟 アダルトリソーシス
                                            担当コミッショナー 浦田 健司


 10年程前、シニアー隊の隊長をしていました。ボーイ・シニアー・ローバースカウトの経験と、少しばかりの年長者としての人生経験だけを頼りに隊長をしていました。シニアー課程のウッドバッジ研修所は修了し、基本原理や「ちかい・おきて」の実践などの重要性はわかったつもりでいても、具体的な隊活動、スカウトの個人的な支援・指導等にほとんど活かされていない状況でした。
 ある時シニアーの隊集会で、進級にまったく興味のないスカウトを前にして「隊長は年長菊章だったけど、富士スカウトになりたかったな〜」など、私のスカウト時代のことを話しました。スカウトの中にそれを聞いて、少し心動かされた者がいました。
 日本ジャンボリーに参加して帰ってきた一人のスカウトが開口一番「隊長!富士スカウトになりたかぁ〜!どげんしたらなれるとー?(博多の方言で)」一緒にジャンボリーに参加した他の団のシニアースカウトが、とても尊敬できる先輩で富士スカウトだったから、ぜひ自分も富士スカウトになりたいと。そう言われても、私自身が進級について理解が浅く、その取り組みに積極的な指導者ではなかったものですから、何をどのように指導・助言したらよいのか戸惑いました。しかし、自分自身の富士章取得の憧れを思い返し、何としてでもスカウトの希望に添うようにしてあげたいと強く感じました。そこで、地区コミッショナーや、先輩指導者に色んなことを聞き、助言を得て、また勉強不足を感じ実修所に参加しました。その後3年間の隊長経験の中で5名の富士スカウトが育ちました。
 これまでは隊員全員、あるいは2,3人の小グループでの活動で、スカウト一人ひとりを良く見て指導しておらず、隊全体での指導(指導とは呼べないもの)だけしかやってなかったことにも気付きました。スカウトと二人三脚での挑戦は、いわば隊長とスカウトとの1対1の関係のすばらしさ、楽しさ、やりがいを味わいました。そして、初めての富士スカウト誕生の喜びは、今でも鮮明に記憶しています。九州野営大会において九州各県のシニアースカウトから構成された奉仕隊のスカウトが見守る中で授与式を行いました。
 これには後日談があります。福岡の大学に入ったため、他県から私の団にローバースカウトとして移籍してきたスカウトが、この授与式の様子を見て富士スカウトに憧れを持ち富士スカウトになった、という話を聞きました。

 隊長の一言の重大さをとても感じたのは、この富士スカウト誕生のエピソードだけではありません。同じくシニアー隊長の時、隊の年間計画会議の中で、なかなか皆が一丸となって興味のあるニーズが出ませんでした。そこで「隊長のニーズを聞いてもらっていいかな?隊長は海外に行きたい!」と言うと、それが発端となって、B−Pの足跡をたどる英国旅行にいく活動に発展しました。
 皆さんも、これに似た経験をお持ちじゃないでしょうか。隊長の良いアドバイスはスカウト一人ひとりの意識や行動にとても大きな影響を与えることは、十分ご承知でありましょう。私のように思いつきは良くありませんが、一方あまりにも計算づくのアドバイスもスカウトの理解が得られないことが多くあまり良くありません。自分自身の体験や信念も大切ですが、それだけに頼らず、他人の意見を十分に聞き入れた「隊長の一言」が、日頃の活動の中で出てくるのを期待したいと思います
 夜間ハイキング ボーイ隊

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地域に密着した活動を

          ボーイスカウト日本連盟 組織・コミュニケーション担当コミッショナー   篠田 常生

「社会をよくするにはまず教育から。教育が人間を変え、社会を変える」

このところ、暗い話題が続いた日本社会では、教育改革が声高に叫ばれています。今日の日本を支えることを期待されている教育は、いったい何処へ向かっているのでしょうか。学力偏重による教育の歪みから「ゆとりの中での教育」が掲げられ、2002年4月より学校の完全週5日制が導入され、学校、家庭、地域社会が連携しつつ、子どもたちに生活体験や自然体験など、さまざまな活動を体験させ、自ら学び、自ら考える力や、豊かな人間性、健康な体力などの「生きる力」を育もうとしています。

 しかし、その反面、それに併せて実施された新しい「学習指導要領」は、学力低下の指摘で、わずか2年あまりで「学力重視」型に改正される方向です。学校教育現場では、これに対応するために、地域を巻き込んで、様々な取り組みが始まり、教育環境や教育条件が大きく変わろうとしています。

 私が住む地域でも、「新しいタイプの学校運営のあり方に関する実践研究」の指定を受けて、地域・保護者の学校運営への参画が進められています。地域の子どもは地域で育むという機運を基盤としつつ、地域の人々が学校への夢を語り、学校がその夢をひろげていくという取り組みを、教育委員会、地域と学校との緊密な連携のもとで、子どもが自分の力を伸ばしていけるような教育活動が展開されています。

 そのために、地域学校協議会(地域コミュニティー)が設置されましたが、その中に私も公募でボーイスカウト所属としてメンバーに加えていただいております。地域との関係を大事にし、積極的に関わりを持つことがノンフォーマル教育に携わるものの一人として責務だと思っています。組織と組織の関係も大事ですが、個人と個人との人間関係を密にして、地域との融合を図りながら、ノンフォーマル教育の存在価値を広げる事も評価されるのではないかと思います。

 今後、学校間の競争と格差が生じ、子供やその保護者が学校を選択する方向が強まっていく中で、ノンフォーマル教育としてのスカウト教育も、子どもやその保護者から選択されるときが来るでしょう。学校教育のあり方によって、スカウト活動を展開する我々にとっても、決して他人事ではなくなります。学校教育法や社会教育法の一部が改正され、体験学習、特にボランティアなどの社会奉仕活動の推進が始まっている昨今、ノンフォーマル教育での青少年団体として、期待されている我々ボーイスカウトも、今一度、その受け皿として足腰の強い環境づくりを考えていく必要があります。

 わが国のスカウト運動にとって、数年来の懸案であります、加盟員、とりわけ、スカウトの急激な減少問題の歯止めは、身近な地域との関係を密にした中から、信頼を得、理解を得、協力を得ながら、数の問題もさることながら、質も考え合わせて、解決の糸口を求めていき、すばらしいノンフォーマル教育として、スカウト教育が評価されることに期待をし、自信を持って進めていきましょう。


                            

                               冬の一泊   セレモニー風景

                                                               スカウトニュース
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                           スカウトって何?

                             ボーイスカウト日本連盟
                              プログラム担当コミッショナー
                                       上道小太郎



スカウトって何ですか?」と、尋ねられて、簡潔に分かりやすく説明するのはとっても難しいことです。

 私どもスカウト運動の大先達のおひとりである中村知先生は、「スカウト象にさわる」という随想を残されています(「ちーやん夜話集」、昭和45年12月ちーやん夜話集刊行会に所蔵)。この随想は中国の故事「盲人摸象」を引いて、スカウト運動の一部分を見て(触って)それぞれが自分勝手に解釈し、ベーデン・パウエルの示した全体像(象)を正しく理解しないことを諌めておられます。
 ベーデン・パウエルが考案しスカウト運動は、世界各地へと伝播し、時代とともに対象とする年齢層が広がり、成人加盟員がどんどん増え、また子どもたちを取り巻く社会環境が運動発祥当時とは全く異質なものになって、非常に複雑なものになってきました。

 ある人は、スカウト運動を「青少年の健全育成活動」だと言い、ある人は「いや、スカウト運動のターゲットは青年層にある」と言います。またある人は「野外活動こそがスカウト運動の本質だ」と言い、ある人は「学校教育を補完するノンフォーマル教育だ」と説明します。いったいどれが的を得ているのか分からなくなってきます。
 世界スカウト機構(WOSM)は、スカウト運動の単一性を保持するために、世界スカウト機構規約(憲章)を定めていますが、その中にスカウト運動の目的が明記されています。また私ども日本連盟の教育規定にも日本におけるスカウト運動の目的が明示されています。しかし率直に言って、その文章はスカウト運動を知らない人が読んでも「ピンとこない」のです。私どものような非営利組織(NPO:ボーイスカウト日本連盟は財団法人)にとって、組織の使命を簡潔に一般社会に示すことは非常に重要なことです。その使命(目的)の達成に向かって、戦略を打ちたて、戦術を組み立ててこそ運動が推進されます。それが分かりやすければ分かりやすいほど、スカウト運動の理解が広がり、運動が拡大していくことになります。私は、加盟員減少のひとつの要因が、スカウト運動の分かりにくさにあるのではないかと考えています。世界スカウト機構でも、スカウト運動の使命(目的)を再定義し、新たな戦略を打ち立てる努力を続けてきています。ベーデン・パウエルが示したスカウト運動の原則を堅持しつつ、21世紀にスカウト運動をさらに発展させるために避けて通れない道です。日本連盟でも、現在理事会の下に、長期戦略策定委員会が設置され、日本におけるスカウト運動の使命の再定義や、時代に相応しい組織のあり方を検討し、ひとつずつ着実に実行に移そうとしています。改革の要諦は、「シンプル・イズ・ベスト」だと思います。
 こういった動きは、日々、団や隊で行われているスカウト「活動」に一見何ら関係のないように見えますが、世界のあるいは日本のスカウト運動の未来を決定付ける重要なことですので、ぜひ加盟団の皆様にも関心をお持ちいただき、ご理解をいただきたいと思います。
 
もうすぐ、記念すべき2007年がやってきます。ベーデン・パウエルがブラウンシー島で実験キャンウを実施してから100周年の記念の年です。スカウト運動生誕の地イギリスで第20回世界ジャンボリーが開催されます。その年から始まる新たな運動の世紀に向かって、もういちどスカウト運動の使命を確認し、次の世代にこの運動が継承されるよう勤めることが私ども今に生きる指導者の務めであると思います。
               
                        夏の団キャンプ 
                                                 スカウトニュース
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「自然体験の重要性を再認識しましょう」


             NPO法人自然体験活動推進協議会副代表理事
         ボーイスカウト日本連盟前副総コミッショナー
                        牛山 佳久


 救世スカウトニュースbQの創始者B−Pの言葉に「道徳的なことより技術的なことに重きをおいてはならない〜中略〜これらは全て方法であり、最終の目的ではない。最終の目的は性格である」との文章がありました。このことは、正にスカウト運動の原点を表すもので、この運動に参加した青少年の最終の教育達成目標は、「社会に貢献できる人格・性格」を持つことであるからです。
 
スカウト運動は、年少の部門から年長のベンチャー・ローバーの部門まで、長い青少年の成長過程に関与し、成人の支援の元で青少年自ら各種の活動にチャレンジしながらチーム等での活動を含め、究極は青少年の性格の開発にあるといえるのです。その中で、創始者B−Pは、主たる活動の分野を野外と想定しました。このことの意味することは、現在の日本でも画期的なこととして評価されています。
 文部科学省の1万人の青少年アンケート調査で、自然体験をしている青少年としていない青少年では、性格の違いがあり、体験のある青少年の方が穏やかで、人の手伝いや自立心が強いとの結果が出ています。また、自然の中でのキャンプ生活により、不登校や暴力行為、自閉症等の社会に溶け込めない青少年の性格が改善されたとのレポートもボーイスカウト以外の学術的な研究成果として発表されています。よく言われることですが、「自然との共生」とか「持続可能な地球環境の保全」の根底にあるものは、そもそも人類は、地球の母なる自然の中から進化したものであり、その人類の行為が、特に20世紀を中心に地球環境の破壊を著しく行ってしまったことへの強い反省からのことであろうと思います。
 私が副代表理事をしていますCONE(NPO法人自然体験活動推進協議会)の会長であります奥島前早大総長(BS出身者です)は、本年度の総会で「今、自然体験活動の必要性は認識されていても、青少年に正しく自然体験を指導できる大人がいない。保護者も経験不足で自然体験の機会を提供できない。だから自然体験を的確に指導できるリーダーが、たくさん必要になる。100万も200万ものリーダーが必要になる」と発言されていました。
 
スカウト運動の最終目標は性格の開発であり、その主たる活動分野は野外で行っていることの意義を再認識して、自信と誇りを持つと同時に、決してレクリェーション活動ではなく、青少年教育活動としての、スカウト運動の優位性を広く社会に認識してもらうよう努力する必要があると思われます。


                  
                     キャンプ  魚つかみ
                                                        スカウトニュース
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                   「世界水フォーラム」
                       
                       ボーイスカウト日本連盟中央審議会議員

                             ディレクター 前田 健世

私の団の地元、京都国際会館を主会場に、「第3回世界水フォーラム」が3月17日から始まった。私の住んでいる滋賀県の琵琶湖の水が、京都を経て大阪へと流れていく。縁が深く、環境問題にも関心のある私としては興味のある会議である。毎日、種々のメディアを通じてこの「水フォーラム」関連のニュースが流れているので皆さまもご存知のことが多いと思うが、私は、次のようないくつかのことを聞き、おやっと思うと同時に、考えさせられてしまった。
 はじめに、日本は水の輸入大国だということである。こんなに雨も多く、緑豊かな国だと思っていたのに、水を輸入しているとは意外だった。そういえば、最近は外国の水のペットボトルが多いなとも思った。しかし、よく聞いてみると、この「水の輸入量」とは水を使うことによってできた製品から換算する仮想水を指すのだということがわかった。工業製品もさることながら、一番水を必要とするのは農作物である。日本の食糧自給率は40%(カロリーベース)でしかないから、確かに農業製品の輸入は膨大なものであろう。「仮想水」はそのことを明示している。そして、その輸入農産物に対する安全性の問題が、昨今のニュースで話題になっている。
 次に気になったのは、日本の水の安全性
に対する疑問である。外国へ出かけると、水道の水は飲まないように、などの注意があったりするが、日本では水道水を飲むことにさほど危機感をもたない。しかし、日本の水道水からも、トリハロメタンや、配水管の鉛など、有害といわれるさまざまな物質が検出され続けている。また、山水も危ないという。ハイキングで、一生懸命歩いたあとの、休憩時の谷川の水のおいしさは、何物にも代えがたい喜びであったが、酸性雨の影響で、雨水自体も変化しているようだ。加えて、川の上流付近にゴルフ場などがあると、そこで使用される農薬が河川に染み出す。植林をしているところでも、科学肥料や農薬の使用によって同様の危険があるという。
 
野外活動を積極的に取り入れるスカウティングは、河川水の恩恵に浴することが多いが、このような危険には案外気付かない。また、野外活動自体が、山水を汚染し環境を破壊する一面を持つという指摘もある。琵琶湖では、富栄養化の第一原因は生活排水であるといわれている。滋賀県では、リンを含む合成洗剤の使用を1980年に禁止したが、その後無リンの合成洗剤が出てきて、合成洗剤そのものの使用はあまり減っていない。石鹸の方が分解されやすいが、これも環境に影響を与えないわけではない。ここでお奨めしておきたいのが「バイオ洗剤」である。これは微生物の働きで汚れを分解し、排水パイプや河川まで浄化できるというものである。キャンプなどで、このバイオ洗剤を使用すれば、確実に環境汚染を軽減することができるし、同時に環境教育にもつながるのではないかと思う。(京都連盟事務局で販売しています)
 結局、「世界水フォーラム」を通して、スカウティングにおける環境教育の必要性を再認識することになった。


             
                上進式

                                                             スカウトニュース
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                      今、求められるもの 

                                         ボーイスカウト日本連盟中央審議会議員

                               プログラム委員長 谷口 修


 21世紀に入り、グローバル化と多様化が進行するの中で、世の中はますます混沌とした複雑な状況になっています。20世紀がイデオロギーと戦争の世紀であったと言われています。過去の歴史に学び、その愚かしい人間の行為と弊害を克服するためにも、21世紀こそ平和な共存共生の世紀・世界であってほしいと言う思いは、人類共通の切なる願いではないでしょうか。この現実の中で、これからの社会を背負っていくべき青少年を支援し、彼らが未来に希望を抱き、自らの生活に誇りと自信を持ち、仲間と共に行動していくのが私たちの運動、スカウト運動であります。
 世界のスカウト運動は大きく前進をしています。特に旧共産圏および発展途上国からの新規加盟は運動の未来に明るい光を投げかけています。一方わが国を見ると、残念なことに毎年7000から8000人の加盟登録者が減少しております。特に中途退団者が多いのが大きな要因の一つと言われています。さて日本ではスカウト運動に魅力がないのでしょうか。青少年の支援に至ってないのでしょうか。結論を出す前に、ここで少し日本の現状を見ておきましょう。バブル崩壊以降、日本の経済は長い冬の時代をむかえています。リストラや就職難、老いも若きも厳しい環境のもと仕事に生活に追われています。青年層ではフリーターが何の違和感もなく日常語となり、不安定な就労と生活がひとつのスタイルとなりつつあります。つい最近まで言われていたゆとりある労働も、この不況の中でどこかに吹っ飛んだ感じです。学校でもゆとり教育の掛け声で週5日制が始まりました。詰め込み教育から生きる力を育む方向への転換が、早くも学力低下の危惧や土曜日の子供たちへの支援基盤整備の不足等でブレーキがかかろうとしています。
 
親は子育てに悩み、少年少女たちは学業・就学・仲間関係に悩み、青年は就職・人生の将来設計に悩んでいるのが現実ではないでしょうか。この現実の中に私たちがいることを確認しておきたいと思います。
 話を元に戻します。スカウト運動は2007年で100年になります。20世紀初頭、英国の子供たちにスカウティングという楽しいゲームを通して、夢と生きる力を与えたこの運動は100年立った今日でも色あせたものになったとは思いません。100年間も続いていることが、この運動の成果の実証であります。ではなぜ日本では沈滞化しているのか。今なにが求められるのか。そのところを検証してみましょう。まずよく言われるのが、子供が少なくなったから入隊者が少ない。果たしてそうでしょうか。確かに少子化で合計特殊出生率も1.3の数値が出ています。どこの組織も子供たちが減少しています。しかし対象の子供の人口からするとこの運動の組織率は1%にもなっていないのも事実です。子供が100人いれば1人に満たない数しか加盟していないのです。これで少子化が原因と言えるでしょうか。それよりも日本のスカウティングに問題があるのではないでしょうか。
 スカウト教育のねらいは、スカウティングというゲームを通じて、青少年が主体的に係わりを持つ小グループ活動を基盤に、野外を教場とし、行うことによって学んでいく実践活動により、年齢に応じたプログラム活動とそのプロセスを体験し、成人の支援を受けながら責任ある大人への道を歩んでいくことにあります。
この教育のねらいは、運動の根幹であり、今も、なおかつ強く求められていることではないでしょうか。これが社会のニーズでもあるはずです。教育のねらい通りに活動が行われていれば社会のニーズとマッチし地域に受け入れられる運動となるでしょう。
 しかしスカウト加盟員が減ると言うことは地域のニーズにあっていないということではないでしょうか。はっきり言えば、教育のねらいが地域に認識されていないと言うことになります。
最近の隊長へのアンケート調査によれば、各部門の活動の目標が達成されているかとの問に、達成されていると言う回答は部門が高学年になるほど低くなっています。また一般の調査においても、ボーイスカウトと言う名前は知っているが、何をする団体かをはっきり言える人は数少ない状況です。ある人はレクリエーション団体と思い、ある人は野外活動の団体、また奉仕団体と思っています。青少年の教育をする組織、運動体と思っている人が少ないのが現実です。このことは地域の人々の認識だけでなく、当事者の運動内にあっても同じことが言えるかもしれません。青少年の自主的、主体的といいながら、大人の管理のもとに活動を押し付けてしまう。奉仕活動もゲームも手段であるはずが、いつしか目的となっている。面白いはずのスカウティングがマンネリのプログラムであったり、事務的な作業で終わったりしていないでしょうか。
 
青少年のアンケート調査で、野外活動に興味を持っている子はたくさんいます。キャンプやハイキングが好きな子の率は高い数値になっています。ある新聞の記事で、熱中できる、燃焼できる活動がしたい、達成感のある活動がしたいと言う思いを持った子供たちがたくさんいます。しかし現実はこれらの子供たちとミスマッチしているのです。子育てに悩んでいる保護者の方は大勢おられます。過保護にならないように自立した子供に育てたい。勉強はもちろん大切であるが、思いやりのあるしっかりした子供に育ってほしい。世の親の本当の気持ちです。では保護者の顔がこちらに向いているでしょうか。
 
今何をすべきか。私たちのこの運動の原理をしっかりと理解できるリーダーが必要です。その上に立って、少年・青年たちと共に行動できる、支援できるリーダーが必要です。自信と誇りを持って保護者にこの運動を語れるリーダーが必要です。地域の人々と協働する中で、私たちの思いを発信できるリーダーが必要です。

最後に「スカウティングは子供にとっては楽しいゲームであるが、大人にとっては仕事である」と言う創始者の言葉を改めてかみしめたいと思います。


                    

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                            考えてみましょう「指導者の役割」


                      ボーイスカウト日本連盟中央審議会議員

                            アダルトリソーシス委員長

                                    村田禎章



 私達スカウティングの世界では、「役割」という言葉がよく使われます。私達指導者の役割は何でしょうか。
じっくり考えてみると一言で表すことができないほどたくさんあるように思われます。順位をつけようにも、複雑多岐にわたり、それも難しいことです。

 先日、財団法人ボーイスカウト日本連盟の主催で、青少年シンポジウム「どうすれば自らを創れるか」がNHK大阪ホールで開催されました。その中で伏見工業高校ラグビー部総監督の山口良治氏がおっしゃったことに強い感銘を受けるとともに、われわれ指導者は充分な注意が必要だと感じました。
 どんなに苦しくても育つ本人ががんばらなければ、われわれ指導する人間が、また親が変わってトレーニングしても本人には何にもならないのだ」という意味のお話でした。
振り返って、われわれスカウティングに携わる指導者はいかがでしょうか。ごく一部の指導者だけかもしれませんが、スカウトが本来やらなければならないことを、代わりにやってしまってはいないでしょうか。班集会の計画、隊集会の計画やそれらの準備・・・。時には隊キャンプの個人装備までトラックで現地に搬送される隊もあるようです。
 スカウト達は私たち大人ほど社会性も
広くありません。することなすこと稚拙かもしれません。しかし、少年期から小さな失敗を体験すること、小さな成功体験をすることは、彼らの将来にとって、大変重要なことだと思うのです。私はスカウティングこそ、その機会を数多く少年達に体験させることができる教育システムだと信じています。
 スカウトたちに任せておくと失敗することが明らかなこともあります。危機管理が不十分だったり、準備があまりにも不足したまま実施に移ろうとすることもあるでしょう。
指導者はそこのところをどのように見極め、どのように支援するか。難しいところですが、このことが、われわれに求められているのです。場合によっては失敗することがわかっていても実施させ、その失敗から学ばせる勇気をもつことも必要なのではないでしょうか。成長過程に小さな失敗と小さな成功を繰り返し体験していない青少年は大人になって大きな失敗(人生の挫折につながるような)をする可能性が高いといわれています。
 ちかいとおきて、小グループによる活動、青少年の興味を基盤とした累進的自己教育体系、戸外の状況による活動など、私達のスカウティングは多くのすばらしい教育システムを持っています。
このすばらしい教育システムを生かすも殺すも指導者の姿勢1つだと思います。少子化や青少年活動離れによる加盟員減少が進んでいますが、われわれが選んだこの道を自信を持って歩んでいきたいと思います。
 
スカウトのためのスカウトによるスカウティングが実践できるよう見守ることこそ、最重要な「役割」ではないでしょうか。

            


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                         隊長に求められるもの

                      ボーイスカウト日本連盟 副ディレクター
                                     膳師 功



ボーイスカウト運動って何?とよく聞かれますが、子どもを立派な社会人、国際人に育てるための教育運動だと明言しています。

 子どもを立派な大人に育てようと思わぬ人はいないと思われます。しかし思うだけでは良くなりません。思うなら夢を持ち、良くするための行動、何らかの関与が求められているのです。子どもを育てない団体、社会、国はすべて年が経つにつれて滅びてしまいます。スカウト教育は、スカウトひとり一人に対して、野外を教場にして、自発的に楽しく、本人の知らない間に教育しようというシステムなのです。
 
ここに携わるリーダーは、やりがいもあり、感動もあり、楽しさもあり、与えられる魂への報酬も大きいのです。しかし自分自身が面白く、いい時だけ活動して、いやになったらやめる無責任リーダーがいます。人間の赤ちゃんをみてください。親が放置し、誰も育てなかったらおそらく死んでしまいます。スカウトも同じです。一旦リーダー(親)になったらそのスカウトが独り立ちするまで育てる責任があるのです。
 リーダーになれば、赤ちゃんを育てる新米パパ・ママと同じように、スカウトを育てるため情熱を注ぎましょう。どんどん頑張ってみて、自分で得たものを、社会に(スカウトに)お返しするということなのです。その時の気分で決してやめない。そんなリーダーになりましょう。しかし一人では弱いものです。そのためには、あと2人のリーダー(パートナー)をつくりましょう。もし自分が悩むと、あとの2人がサポートしてくれる。他の1人が悩むと、自分ともう1人がサポートする三位一体の万全の体制が執れるのです。

 また、問題が生じた時、スカウトを変えようと思って一生懸命頑張ってもダメです。他人を自分の意志で変えることは出来ません。唯一意思を変えることのできる自分を変える努力をします。そうすれば他人も不思議に変わってくるように思えます。さらには「人は会えば会うほど好きになる。」ことから始め、スカウトと太いパイプラインを築きましょう。そしていい人間関係を形成します。

 
次に、野外へ行きましょう。スカウトと行けば行くほど神のいろいろな声が聞こえます。神の声を聞きにスカウトたちとさあ出かけましょう

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