玉井彰の一言 2003年6月 四国の星ホーム前月翌月

[2003/06/30]  高速道路無料化と公共交通

民主党の菅代表が、次の衆議院議員選に向けて作成中の「マニフェスト」(政策公約集)に高速道路料金の無料化を盛り込む考えを示したことを、先日取り上げました。

政権交代後3年以内に高速道路の料金を無料化する。日本道路公団などの多額の累積債務の処理については、大型トラックなど営業車が年間10万円、普通車が年1万円を負担することで解消できる、との内容です。

日本経済の活性化、特に地方経済にとっての活性化が期待されるわけですが、ひとつ懸念があります。

他の公共交通とのバランスです。高速道路の無料化は、例えば、鉄道とバスとの関係を考えると、鉄道にとって著しく不利になります。このバランスを回復するには、車に課される負担金を高速道路にのみ充てるのではなく、鉄道の料金を下げる方向にも充てる必要があります(車の負担金に頼らないとすれば、別途公的に助成する)。

鉄道、船、飛行機などの公共交通機関が低廉に利用できるとすれば、車の抑制につながり、環境問題にも資するという筋道があります。このこととのバランスまで考える必要があると思います。


[2003/06/29]  公務員の新規採用

近年の行財政改革の影響で、多くの自治体では新規の採用を抑制しています。

しかし、若年層を公務から閉め出すことになり、しかも、ある年齢層の者の人生設計に大きな影響を与えることになり、不公平だと思います。

私は、公務員の採用を抑制するとしても、公務補助者としてボラバイト的採用を行い、一定年数が経てば、論文等のテーマを与えるとともに、その間の勤務態度を勘案して正規採用するルートを残しておくべきだと思います。

多少は厳しい話にはなりますが、公務員になりたいという志を持った者の進路を閉ざさない工夫が必要です。勿論、年齢制限を緩やかにすることによっても達成できる面があります。しかし、現在の若年者の高失業率を見ると、適切なワークシェアリングが現時点で行われるべきだと思います。

発展途上国でのボランティアやNPOでの社会貢献を公務員採用に反映することも必要でしょう。


[2003/06/28]  説明責任と二次的被害

日本共産党幹部・参議院議員のセクハラ辞職についての説明が不十分であり、説明責任が果たされていないとの批判があります。これに対して、共産党は詳細な描写が被害者の二次的被害を生むとの反論をしています。

共産党の立場も十分理解できます。しかし、どの程度のセクハラが議員辞職に相当するのかという基準が不明です。言語によるものなのか、行動によるものなのか、どの程度の行動に及んだのかが全く不明であり、判断基準が分かりません。

やはり、有権者に対して基準を明示して判断を示すべきだと思います。

「武士が切腹したのだからそれ以上追求するな」と言うのなら、それはそれで理解します。そのことにより党に不利益があっても甘受するというのもひとつの立場だと思います(武士的発想というのも共産党とは異質な感じがしますが・・)。

公党の説明責任と被害者のプライバシーとの妥協点として、被害者が特定されない形で、行動類型を示して判断を示すべきだと思います。別に、ポルノ小説を読みたいわけではないのですから。


[2003/06/27]  お葬式(ある合併)

先日、テレビで新居浜市と別子山村の合併記念式典の模様が放映されていました。人口12万5千人の新居浜市と人口300人足らずの別子山村との(吸収)合併です。

これは、お葬式だと思いました。別子山銅山で栄えた歴史を持つ村。別子山村は、その経営を断念しました。新居浜からは相当の時間を要するでしょう。車で40分はかかると思われます。

合併して10年くらいは、新居浜市も特別の配慮をすることになることでしょう。その後は、合併ということ自体が風化する運命になります。村の存在は、忘却の彼方となります。

国が小さな自治体を邪魔者扱いし、近隣の「市」に押しつけよとする構図が見えます。

「合併記念式典」という名のお葬式が、これから各地で催されることになります。小さな山村の「店じまい」には、もの悲しいものがあります。


[2003/06/26]  共産党幹部の辞任

セクハラで、共産党幹部・参議院議員の筆坂秀世氏が突然辞任したことが、大きく報じられています。

厳しく不正を追及する日本共産党のイメージ低下、および、これまで不正断罪の急先鋒だった筆坂氏が政治生命を失うことについては、当然ではあるけれども、割り切れない思いもします。

女性問題、汚職問題等に「おおらか」な政治家は、スキャンダルがあっても「軽傷」で済みます。しかし、「正義の味方」がつまずくと「即死」するというのは、どんなものなのでしょうか。

「雉も鳴かずば撃たれまい」とは言います。政治家の多くは、3手先、5手先を呼んで批判・追求の類を遠慮する風潮があります。保守系では、それをもって一種の「道徳」と考える向きもあります。

しかし、それでは傷の嘗め合いに過ぎません。勇気ある言動には、反作用があります。詰まらない「先読み」が横行することの方が社会全体の損失だと思います。

筆坂氏の発言はテレビでも見たことがあり、印象に残っています。これまでの活躍については賞賛しておきます。


[2003/06/25]  まちづくり会社株主総会

本日夕刻、伊予市TMO第3セクター株式会社まちづくり郡中の株主総会が開かれます。その後で、来賓を多数お迎えして、伊予市中心市街地活性化交流会が催されます。

代表取締役として臨みます。第3セクターには様々な批判、懸念があります。しかし、通常の手段では衰退を防ぐことの出来ない地方小都市の中心市街地活性化には、行政の力が不可欠です。

行政が、市民的コンセンサスを重視して腰を引いている都市もあります。個々の市民の合理的な行動を総合すると市民的利益を損なう不合理な結果をもたらすことが明白な場合には、行政が決断して引っ張っていかなければならないと思います。

バブルに踊った「3セク」と混同すべきではありません。


[2003/06/24]  日本経団連会長?(片山知事VS東芝会長)

地方分権改革推進会議の西室泰三議長(東芝会長)が地方敵視の会議運営をしたことに対して、片山善博鳥取県知事が批判した問題について、2003.6.23.「日経ビジネス」に面白い記事が載っていました。

「『経団連人事』絡み不信増大」との見出し・・・西室氏がなぜ、多くの批判を受けてまで財務省の意向を気にするのか。会議のある関係者は語る。「将来、日本経済団体連合会の会長を狙うなら、西室氏にとって今が辛抱のしどころ。会長職に就くには、財務省との関係を悪化させるのは得策ではない」・・との記事。

記事は続きます・・・日本経団連の会長になるには、例外はあるが、財務あるいは税務にまつわる審議会の要職にあることが条件とも言われる。実際、経団連会長だった今井敬氏は、財政審の前身である審議会の会長を務め、経団連会長となり、後に財政審会長となった。会長代理という要職にある西室氏は、その要職をまっとうすることが日本経団連会長への布石となる。また東芝は石坂泰三、土光敏夫という2人の経団連会長を輩出した財界の主流企業でもある。・・・

日本経団連会長か!・・まあ、そんなところでしょうか。

西室氏の反論が載っています。「(日本経団連会長を)仮にやりたいなら、地方分権会議の議長なんて引き受けていない。意見が大きく二分されていることは当初から想定されていたこと。その議長をやれば、いろんな批判を受けるのは目に見えていたから」。

それなら、批判があり得るのに、何故不自然かつ強引な議事運営をやるのか。

「日本経団連会長」プラス「叙勲」なのか?「東芝の石坂泰三、土光敏夫」・・・誰が考えても西室氏より格上の存在。

動機がない、とは言い難いと思います。


[2003/06/23]  「3年以内に高速道無料化」

民主党の菅代表が、米子市内で講演し、次の衆議院議員選に向けて作成中の「マニフェスト」(政策公約集)に高速道路料金の無料化を盛り込む考えを表明した、との報道がありました。

「政権交代したら3年以内に高速道路の料金を無料化したい。日本経済、地方にとってもプラスになる」と主張しています。日本道路公団などの多額の累積債務の処理については、大型トラックなど営業車が年間10万円、普通車が年1万円を負担することで解消できるとしています。

大前研一氏の主張(車のナンバーへの課税)を取り入れたものと見られます。賛成します。移動が心理的に自由になることで、経済への波及効果もかなり出てくると思われます。

ただし、自民党にそのまま丸飲みされる可能性があります。自民党「守旧派」的発想にはマッチする面があるのではないでしょうか。「何でもあり」政党・自民党が「うわばみ」であることをお忘れなく。


[2003/06/22]  フリーター

若者が、定職に就かず、フリーターとしての人生を歩んでいることに対し、様々な評価がなされています。

専門的な技能を磨かずに年齢を重ねることへの危惧を表明する方もいます。自分の夢を追い続けることへの積極評価もあります。大企業への就職が出来ないためのの避難措置と見る向きもあります。モラトリアム(猶予期間)という説明も可能でしょう。それぞれ、真実を捉えていると思います。

私は、若者に職業人としての門戸が閉ざされている面が気になります。自治体でも、新規採用は極端に抑制されています。中高年者を切り捨てることが出来ないからです。

正規の採用でなくても、若者の将来につながる雇用のあり方を追求すべきだと思います。例えば、補助教員としての雇用拡大もあっていいと思います。補助公務員ということもあり得る発想です。

NPOを設立して公務を補助する仕組みを創ります。NPOが若者を補助教員、補助公務員として採用して派遣します。所得は安くして、ワークシェアーが出来る仕組みにします。

将来につながり、技術を磨ける環境が出来れば、若者にとっても悪くはないと思います。


[2003/06/21]  土曜夜市最終日

6月の第1、第2、第3土曜日の「ふれあい土曜夜市」。本日が最終日。

先週は小雨でした。にもかかわらず、予想外の人出。雨が降りそうなので、てるてる坊主を作った子供もいるという話に、夜市関係者感激。

タウンモビリティ(電動カート貸出事業)推進のための募金活動が私の役割。

昼は、毎月第3土曜日恒例の「寿楽市」。イベントの1日です。


[2003/06/20]  自営業者の減少

日本は、先進諸国の中で例外的に自営業者が減少している国であると言われています。

自営業者の代表であったはずの商業者は、自営業者としての人生に誇りを持てず、子供をサラリーマンにしようとしました。

国民の多くも、サラリーマン的ライフスタイルに憧れました。女性も、サラリーマンとの結婚を望みました。

リストラの時代になり、サラリーマンとして一生を大過なく過ごせる人がそれ程多くないことが認識されてきています。

然るに、自営業者は減っています。食うに困らない社会の到来が、社会から活力を奪っているのでしょうか。

私は、自営業者としての生き方モデルを提案し、「牛のシッポ」としてのサラリーマン的ライフスタイルを克服することを、「まちづくり」の1つの目標にしたいと考えています。


[2003/06/19]  訪日旅客500万人

10日の閣議で了承された2002年度観光白書によると、昨年1年間の外国人旅行者数は前年比9・8%増の524万人と、初めて500万人を突破しました。しかし、日本人の海外旅行者数(1652万人)の3分の1にとどまっています。

政府は、2010年までに訪日外国人旅行者を倍増の1000万人とする方針のようです。

外国の観光客が1000万人を超えると、国内観光地の雰囲気も変わってくるでしょう。まずは大観光地に来るでしょうが、その流れは、いずれ地方都市にも波及するでしょう。

観光は、21世紀の基幹産業になる可能性があります。一見さん狙いの安易な発想ではなく、繰り返し訪れたくなる国を目指す必要があります。我が国の個性を認識し、アイデンティティを確立すること、国民が我が国について語れるようになることが期待されます。地方都市でも、その都市らしさを追求する必要があります。

旅行者に対するアンケート結果を見ると、宿泊施設について、21・9%が「料金」、19・4%が「言葉」に不便を感じたと答えています(複数回答)。交通機関(新幹線、地下鉄、タクシー)では、料金の高さや言葉が通じないなどの面で不満が多く、観光施設では英語以外の言語の案内が不十分など、1割以上が不便を感じていました。

1000万人の目標を掲げるには時期尚早かも知れません。しかし、世界中から憧れを持って見られる国づくりを行うことは21世紀前半の重要課題だと思います。


[2003/06/18]  矢祭町長の年収

平成13年10月、町議会が「合併しない宣言」を採択し、合併に頼らない自力の財政運営を目指している福島県・矢祭町のニュース。

矢祭町の根本良一町長は、17日開会した定例議会に、町長ら三役と教育長の年収を一般職員で最高額の総務課長と同額とする条例改正案を提出しました。

歳出削減策の一環で、可決されれば、特別職4人の年収は約860万円となり、計470万円程度の削減となるということです。

根本良一町長は、「何割削減というよりも分かりやすい。役場で一番の激務は総務課長で、私たちはどう考えても彼以上には働いていない」と提案理由を説明しています。

一貫した態度だと思います。小さな自治体は小さな自治体なりの発想で自治を守ればいいのです。

行政体を大企業化し、自治体と住民とのフェイスツーフェイスの関係をなくす方向で合併が進行しています。そこには、取って付けた「理念」しかありません。

叩き上げの自治を実践して下さい。 根本町長。


[2003/06/17]  財界人の心象風景(片山知事VS東芝会長)

「一流企業」の経営者は、それなりに尊敬される立場の人物です。ビジネスマンとして実力があり社会人としての見識もある、と世間では思われています。

この点に疑問符が付いたという意味で、今回の東芝会長・西室泰三氏は象徴的人物だと言えます。

第二次大戦後58年になります。ということは、名門企業の60歳代、70歳代の経営者は、概ね右肩上がりの時代を生きてきた訳で、「社内政治」に長けていれば出世できた例が多いのではないでしょうか。本当の実力が試されたことはなかったのでは、との疑問が出て来ます。

社内政治の達人がトップに上り詰めた場合、残るのは名誉心を満足させる「「財界活動」と「勲章」です。国家の将来を憂うる気概よりは財界仲間への気配りや見栄の方が上回ることが想像できます。彼等こそ「平和ボケ」世代なのです。

日本経団連の奥田碩会長は、片山知事の不買発言に対し、「民間から政府の審議会の委員長になる人がいなくなる」と発言しています。財界仲間の心象風景を知る人物の援護射撃なのでしょう。

なんだか、「財界人」の人物の程度が透けて見えてしまった感じがして、嫌な気分です。


[2003/06/16]  叙勲(片山知事VS東芝会長)

(伝言板で清水幸助さんからリクエストを頂きましたので、もう少し)

年を取ることについて、私は否定的な価値判断を持っていません。むしろ、肯定的イメージを持ちつつあります。ただ、若い時代に性欲でブレが出るのと対照的に、年を取ると名誉欲でブレが出る可能性があることは注意を要する点であろうと思います。

「年寄りを名誉で釣ると一発だ。」 官僚はこのことをよく知っているのでしょう。各種委員会の委員になる「民間人」に直接「餌」を見せるような無礼なことはしないでしょう。しかし、「阿吽の呼吸」というものがあります。「魚心あれば水心」という言葉もあります。

証明不能の命題ですが、一般的に民間の委員と官僚との間に「名誉」というキーワードでの合意があると、相当のブレが出てくる可能性があります。

我が国の叙勲制度は良くできています。「人をたらし込む秀逸なソフト」としての叙勲制度に注意を払ってみたいものです。

中野文庫ホームページhttp://plaza2.mbn.or.jp/~duplex/

で叙勲制度の説明が出ています。

勲一等旭日大綬章受章者の名簿が下記ぺージにあります(大勲位も見て下さい)。名簿を見ると、本命の人物、どうかなと思える人物・・・色々です。

http://plaza2.mbn.or.jp/~duplex/giten/kyokujitsu3_2.htm

民間人では、このランクが最高のようです。名門企業のトップの住む世界(世間)では、勲一等狙いの人物、勲二等狙いの人物等々、様々な人間模様があるのでしょう。

(勲三等はどのようなランクか、勲四等、勲五等、勲六等はどうかと見てみると、地方の人間模様の一端が見えてきます。)

年寄りの気持ちが読める官僚は出世します。1.5流の人物に1流の名誉を与えれば、大抵は転びます。転ぶタイプ、転ばないタイプの人物鑑定ができることも官僚としての大切な資質と言うべきでしょう。


[2003/06/15]  愛媛新聞・社説(片山知事VS東芝)

もうやめようと思っていたのですが、6月14日付愛媛新聞・社説「片山知事発言 変則ながらも地方の怒り代弁」を読んだので、もう一言。

社説は、知事発言を「八つ当たりそのもので、度が過ぎている。推進会議で西室氏が何を言おうが、東芝とは何の関係もない。」としながらも、

「推進会議は『国の財政再建か』『地方分権の推進か』をめぐってせめぎあった。内部意見がまとまらないなか、西室泰三議長(東芝会長)が土壇場になって審議にフタをした。強引に 『税源移譲先送り』の結論を導き出してしまった。」と述べ、

「その舞台裏では、国の財政再建を優先する財務省が終始論議を誘導し、最終結論の原案も役人が下書きしていたことが明らかになっている。」ことを指摘、

「より深刻な問題として浮上しているのは、国の諮問機関が形がい化、有名無実化していることではないか。」「国のありようの根幹を決めるはずの分権推進会議が、官僚の意にそっくり染まっている。『お仕着せ機関』となっている現実が見える。」として、諮問機関のあり方を批判し、

「官僚の振り付け通り結論を導いた西室氏の議事運営は、やはり問題だ。黒衣としてふるまっていた財務省役人はもっと罪深いものがある。」と、西室氏、および財務省役人の責任に言及、

「中央官僚が統制する非効率なシステムでは日本丸は沈没してしまう。分権抜きでは閉塞(へいそく)状況の打破もおぼつかない。だが、ここにいたっても中央官僚はしたたかに抵抗を続けている。」「片山知事の発言はイレギュラーではあったが、地方首長から理解を寄せる声が多く寄せられた。中央官僚たちはその共鳴音に耳を傾けるべきだろう。」と締めくくっています。

このあたりが正論なのかも知れません。財務省丸抱え的な発想しか出来ない人物なのか、積極的に役人に取り入ったのか知りませんが、西室氏の見識のなさは特筆すべきものだと思います。

勲章が目の前にちらついているような人物を「民間」の委員にして、役人が自分の思うつぼに持って行くという構図が透けて見えます。勲章と引き替えに魂を売る人物。それが名門企業の代表者。この国の救いがたい惨状を象徴するものです。

何回も「一言」を重ねてきたのは、この問題が、財務省、および西室氏による犯罪的行為だと思うからです。片山知事もそう感じたのではないでしょうか。

「恥を知れ」という言葉を、西室氏、及び関係する財務官僚におくります。


[2003/06/14]  鳥取県対東芝

地方分権改革推進会議の西室泰三議長(東芝会長)が地方敵視の会議運営をしたことに対して、片山善博鳥取県知事が東芝製品不買も辞さない発言をした一件は、収束に向かうとの記事が出ています(石原都知事が余分なコメントを発表していますが)。

しかし、私はもう一言、力ませてもらいます。

鳥取県知事が権力者であり、東芝会長は民間人であって、権力者対1個人、1企業の図式でものを考える人が多いことへの不満をもう一度述べます。

鳥取県の予算規模は4〜5000億円です。東芝の売上規模は単体で3兆円規模、連結では5兆円規模です。

子供が大人に啖呵を切ったという感じです。西室会長は、「田舎大名が何を言うか」と笑ったことでしょう。

「越後屋、その方も悪よノウ。はっはっはっ・・」と笑う財務官僚の姿が瞼に浮かぶのは、時代劇の見すぎなのでしょうか。


[2003/06/13]  75歳以上が1千万人を超える

10日の閣議で決定した2003年版高齢社会白書によると、65歳以上の高齢者人口は2363万人(昨年10月1日現在)で、総人口に占める割合は前年の18・0%から18・5%に上昇しています。

このうち、75歳以上の「後期高齢者」の人口は1004万人となり、初めて1000万人を超えました(後期高齢者比率7.9%)。

白書は、2020年には後期高齢者の人口が、65歳から74歳までの「前期高齢者」の人口を上回ると指摘しています。総人口が2006年にピークを迎えた後、減少に転じるため、高齢化が急速に進み、高齢者の中でも年齢の高い人の割合が一層大きくなるのです。

近頃、「高齢者」と言っても結構若く活力ある方が多いように思います。前期高齢者の比率が高い間は、高齢社会ということがそれ程深刻ではありません。

しかし、後期高齢者の比率が高くなってくると(将来、20%を超える事態が想定されています)、社会の様相が根本的に変わってきます。

車社会から脱却し、歩いて暮らせる範囲で日常の用が足せる地域社会の設計が必要になります。

安易な合併論は、後期高齢者比率の上昇による深刻な事態を軽視しています。


[2003/06/12]  片山知事応援メール増加

(昨日からの続き)

鳥取県の片山善博知事の発言に対し、鳥取県庁に寄せられた電子メールや電話は11日午後4時までに、前日より473件増えて、計625件になったということです。

県民室によると、知事発言に肯定的なメールや電話が前日の25件から185件に増加し、約16%だった肯定派が約30%になりました。

片山知事は「ホテル税を批判した時も最初は否定する意見が多かった。分権会議が本当に地方分権を推進するための場になってもらえば、一番いい」と語っています。

大企業の役員が当然のように政府委員となり、彼等が「言論の自由」の名の下に、政官財のトライアングルを強化するために暗躍しているのだとすれば、単純に「権力者対1個人の言論の自由」の図式で論じることは出来ないのではないでしょうか。

政府機関と東芝とのつながりについての情報が手に入りません。東芝と政府との取引の詳細が分からない状態で、東芝を「被害者」と断定できるのでしょうか。別に、東芝を「政商」と言っているのではありません。

しかし、東芝クラスの企業だと、政府との貸し借りがあることもあり得るわけで、東芝会長あるいは東芝を「弱者」「1個人」「1企業」の範疇で論ずることには著しく抵抗があります。

鳥取県知事への応援メールをお願いします。


[2003/06/11]  片山知事発言への批判

昨日の「一言」で紹介した鳥取県の片山善博知事の発言について、鳥取県庁に抗議する電子メールなどが殺到したと報じられています。

県民室によると10日午後4時現在、計152件の電子メールや電話が寄せられたとのことです。多くが知事発言に対する抗議や批判で、肯定する内容は25件だけだったと言います。(数字そのものはそれ程の意味がないかも知れません。操作可能だからです。)

批判メールには「知事としての見識、公共的な責任を担う人としての資質を疑う」としたものや、「東芝グループの一社員」と名乗り発言の撤回と謝罪を求めたものもあるそうです。

「筋違い」「言論の自由への侵害」との批判は予想していました。確かに、知事は権力者です。しかし、私は勇気ある発言だと思います。物議を醸そうと、「言うべきは言う」という気迫ある態度を示すことで、地方の無念さを表したものだと思います。

小規模自治体を「処刑」しようとする「西尾私案」を提出した西尾勝氏。地方への悪意むき出しの答申を出した西室泰三氏。

これらの中央官僚におもねる人物を糾弾する権利が地方にはあります。現代の「赤シャツ」「野太鼓」に罵声を浴びせた「坊ちゃん知事」(失礼)にエールを送りたいと思います。

企業としての「東芝」には気の毒な面もあります。しかし、お宅の代表はひどすぎる!! 「地方の敵だ!!」と言わせてもらいます。

鳥取県知事に、これから「賛成」のメールを送ります。


[2003/06/10]  東芝製品不買

鳥取県の片山善博知事は、首相の諮問機関・地方分権改革推進会議の西室泰三議長が会長を務める東芝の製品について、「県との取引は今後、考えていかねばならない」と述べ、東芝製品の「不買運動」も辞さない考えを示唆しました。

同推進会議は、先日、地方財政の「三位一体」改革に関する意見書を小泉首相に提出しましたが、この中で、国から地方への税源移譲を将来の増税時に先送りする基調を変えませんでした。

9日の県議会全員協議会でこの意見書について県議から感想を聞かれた片山知事は、「(税源移譲先送りは)地方団体の財源を根こそぎ奪おうとしており、民主的でない。陰謀のようなもので憤りを感じる。議長が会長を務める企業の体質も推して知るべしだろう」と答えました。 

知事が怒るのも、もっともです。西室議長の考え方には、地方不信というか、地方への悪意のようなものがあると言われても仕方がない面があります。

中央が地方を指導するのだ、啓蒙するのだ、という発想は、地方自治法にも溢れています。「地方に受け皿が出来たら、云々・・」という論法で市町村合併を進めているのですが、これも地方不信を前提にしたものです。

地方に考えさせなかったのは誰か?メディアの情報発信を東京でしかさせないのに地方発の文化が育つのか?権限も、財源も、人材も与えずに、国の仕事を押しつけて、「自立せよ」とはどういうことか?・・・

これらの疑問への回答なしに「分権」を語ることの不誠実さを指摘したいと思います。

私も、東芝不買運動をしたい気持ちです。


[2003/06/09]  イタリア憲法第9条2項

日本国憲法第9条2項は、陸海空軍の不保持、交戦権否認を内容とする有名な条文です。憲法改正に関して問題とされます。

イタリア憲法の第9条2項も面白い条文です。

「共和国は、国の風景並びに歴史的及び芸術的財物を保護する。」

歴史の国イタリアらしい条文と言って終わりにはしたくありません。特に、「風景」が憲法的価値を持つものであることが明示されていることに注目します。

私たち日本人は、高度成長の中で大切なものを失ってきました。その一つが歴史的な景観です。「スクラップアンドビルド」のかけ声の下に、大切な資産を次々と破壊しました。

統一感のない都市景観は、都市の品格を貶めます。これから21世紀のまちづくりを行うに当たり、「景観」の価値を重視していくべきであると考えます。「その都市らしさ」を大切にしたいと思います。


[2003/06/08]  ふれあい土曜夜市はじまる

7日土曜日は、恒例の「ふれあい土曜夜市」でした。伊予市の人々が夏の訪れを実感するイベントです。毎年、6月の第1、第2、第3土曜日に開催されます。

私は、TMOの代表者として、タウンモビリティ(電動カート貸出事業)推進のための募金活動をしました。子供達が多数募金に協力してくれました。

伊予市の商店街は厳しい状態です。しかし、子供達が楽しみにしているイベントを守っていこうと頑張っています。

ビアガーデンが盛況です。フリーマーケットも人だかりがしていました。


[2003/06/07]  ば〜ちゃる伝言板

伊予市のホームページに「ば〜ちゃる伝言板」のコーナーがあり、市民がメッセージを伝える場として活用しています。

このところ、合併問題での議論が多いようです。私が仮名で意見を書いているのではないかとの問い合わせがありましたので、私の立場を確認しておきます。

私には市議会議員として公に発言する場が与えられています。しかも、自分のホームページを持って意見発表を毎日しているのですから、「ば〜ちゃる伝言板」で発言する必要もないし、また、それは適切でもないと考えています。議員が伊予市の伝言板を利用することは、無用の混乱を招くことになりかねません。

一般の方がメッセージ(政治的なもの以外のメッセージもあるのですから)を伝える自由な空間として尊重したいと思います。伊予市も、伝言板には返事をしない方針のようです(「意見箱」等での問い合わせには返事を出しています)。

ば〜ちゃる伝言板の書き込みに対して私の意見があれば、合併反対HPの「伊予市の合併問題」コーナーで行うことにします(まだ、このコーナーは活用してませんが・・)。

なお、私を名指しで意見が書かれ、どうしてもお答えせざるを得ないと判断される場合には、ば〜ちゃる伝言板に玉井彰の実名でお答えをします。


[2003/06/06]  第3セクターの地ビール

太田市視察の一環として、太田市が出資した第3セクターで造った地ビールを、やはり第3セクターが運営する地ビールレストラン「ヨラッセ」で飲みました。

ヨラッセはヨーロッパ風のレストランで、太田市の中心市街地にあります。1次会に利用した人達は、近隣では有名な太田の飲食街に流れます。

清水聖義市長曰く、「地ビールは山の中(の観光地)では駄目だ。町中でやるのがいい。」 私も同感です。観光客狙いではなく、市民に愛される地ビール(レストラン)が良いと思います。観光客もどうぞというくらいで良いのでしょう。黒字だそうです。

清水市長には、土日開庁の見学をしていて偶然お会いしました。2時間以上お相手をしていただき恐縮しました。気軽に応対していただき、また、自らフットワーク軽く色々と御案内していただきました。

その御礼の意味も込めて、太田市の地ビール「呑龍夢麦酒」を宣伝させていただきます。ヴァイツエンタイプが私の好みです。宅配で家に送り、帰ってからも飲みました。

太田市に行かれる方には、是非ヨラッセをお薦めします。広いレストランですよ。ヨラッセのホームページを御紹介します。

http://www.msk.gr.jp/yorascu/index.html


[2003/06/05]  自治体の名称、公募という手法

市町村合併により新たに出来る自治体の名称を公募するケースが多々見られます。施設の名称などではお馴染みの手法ですが、自治体の名称となると違和感を感じる人が多いのではないでしょうか。

認知度を高めたいという気持ちは分かります。しかし、合併協議会の委員に選ばれた方々には、自らの責任で決断していただきたいと思います。責任回避の手法として公募に頼るのは情けない気がします。

A、B、C、Dの自治体が合併するとして、A自治体が有名である場合、外部の人間からすると、迷わず「A」とすれば良いではないか、と思います。しかし、B、C、D自治体の方から見ると、今まで他の地域だと思っていた「A」の地名にされてしまうのはプライドが許さないし違和感があるでしょう。

しかし、合併を決断するのなら、内向きの合併ではなく、外部に発信できる合併を目指すべきです。「他地区に占領された」と屈辱を感じるのなら、合併せず、自主独立を貫くことを考える方が良いと思います。

愛媛県内を例に取ると、「西条」、「八幡浜」などは、これを変えたら笑われるよとアドバイスしたくなります。「公募」と聞いた時点で「合併協議会に人物がいないんだなあ」と思ってしまいます。


[2003/06/04]  私の誤解なのか?住基ネット問題

市民課長さんと住基ネットの損害賠償問題について話し合いました。

県にも相談していただいた結果として、論理的には私の考える通り自治体の責任が問題になってくるが、現実問題としては、自治体から県へ、県から県へ、県から市町村への各段階にファイヤーウオールがあり、しかも、相手方の自治体でのチェックもあるので、個々はともかく、大量の情報が抜き取られるということはあり得ないのではないか、ということでした。

幾つかのファイヤーウオールが突破された場合は、各段階での責任が問題になり、1自治体のみの責任ということにはならないのでしょう。

「杞憂」ということで、問題を留保することにしました。しかし、ファイヤーウオールを突破することも現実にあり得るわけですから、誤解とまでは言えないと思います。一応、巨大小惑星が地球に衝突する事態と同じ(確率)だと考えることにしてみます。

私としては、自治体が天文学的な損害を負担することがなければいいのですから。


[2003/06/03]  田分け

先祖代々受け継がれてきた土地を守りきれなかった人への叱責の言葉として、「田分け」という言葉がありました。田を分割することは農村社会の崩壊を招く行為であり、「田分け」は「戯け(たわけ)」=馬鹿者を意味するのでした。

現在、農業は産業として位置付けるべきかどうか難しい存在になりつつあります。農業への補助が農業の生産性向上に寄与しているのかどうかと問えば、否という回答になると思います。

大局的に見れば、農業は国土保全事業としての色彩を帯びたものとして理解すべきであろうと思います。私は、「定年帰農者」をはじめとする「農」を愛する人々に広く農地を解放し、国土保全の一翼を担っていただくようにしていくべきだと思います。

定年後に都会からI・J・Uターンして農業を始める人には、研修を行い、1反程度(これでも広すぎるかも知れません)を貸し付けます。都市部の方の「帰農」は、彼等の退職金と年金収入により地方に活力をもたらします。貸付金額(売却金額)如何によっては、農家の年金収入(あるいは退職金)としての意味合いを持たせることも可能です。近隣地区の方に休日菜園として貸し出すことも考えて良いでしょう。

積極的に「田分け」を行い、国民の多数で国土保全事業としての「農」に携わってもらうことを戦略的に追求すべきではないでしょうか。

もちろん、他方で株式会社の参入による「田寄せ」も行い、採算の取れる大規模農業を展開することも必要でしょう。「集落営農」も含め、あらゆる角度から「農」の継承を行うべきだと思います。


[2003/06/02]  りそな型合併

実質国有化されたりそな銀行は、合併に際して「弱者連合」と言われていました。

現在行われようとしている市町村合併の多くは、弱者連合であり、合併による体力強化は期待できません。貧乏人が3人寄れば金持ちになるというのは、経験則に反します。

大きくまとまってパッタリ倒れる。市町村合併後に予想される事態です。それぞれの自治体が不良資産を持ち寄って新たな自治体をつくると、後で深刻な現実が浮かび上がってくるでしょう。合併時の粉飾ということも想定すべきでしょう。

合併は、強者が弱者を飲み込む場合にはうまくいく可能性があります。ただし、強化されるのは行政体であって、地域ではありません。周辺地域は切り捨てられる可能性があります。

太田市では、公民館の行政機能を強化して、周辺地区への目配りを怠らないような方針を掲げています。太田市のような強力な自治体が周辺地区への配慮をするという場合は、それなりの期待が持てます。

しかし、周辺部の過疎化が著しい場合は、人員を張り付かせ、マンパワーを活用しなければ地域の衰退を食い止めることが出来ません。「弱者連合」では周辺部の衰退を食い止めるだけの余力は出て来ません。


[2003/06/01]  知恵がものを言う時代

太田市・志木市の視察で多くのものを得ました。ごく一部のみ紹介しましたが、総括的に述べれば、個別自治体の取り組み如何によって地域間に大きな差異が生じる余地が出て来たことを感じます。

中央集権国家では、自治体の創意工夫の余地が乏しく、創意工夫をしても他の地域より豊かになることが約束されません。ものを考えない自治体が護送船団的に守られて来ました。

構造改革特区というのは、規制を前提とした一部規制解除に過ぎませんし、中央集権の体制が終わらない限り、この国の未来はないと思います。

しかし、地域間の競争ということで言えば、企画力のある自治体は他を一歩リードできるし、そのノウハウの蓄積は自治体の重要な資産になってくるでしょう。地方から国が変わるという可能性もあり得る展開になってきました。

地方において、知恵がものを言う時代が始まりつつあります。


玉井彰の一言 2003年6月 四国の星ホーム前月翌月