玉井彰の一言 2003年11月 四国の星ホーム前月翌月

[2003/11/30]  大名選挙

地方での衆議院議員選挙では、衆議院議員(前職)と自治体首長・議員との支配服従の関係が如実に表れます。

選挙運動の先導役を首長が務めます。地域住民は首長の面子(めんつ)を考えて、自民党前職に投票する必要があると感じます。大名が領地領民を見るような感覚で、自民党候補は選挙区を廻ります。

候補者に見識があれば、自治体の首長に表敬訪問をすることはあっても、選挙運動への関与については依頼を自粛するのでしょうが、自民党候補にそのような見識がある訳もなく、「上意下達」的発想で事実上の選挙協力命令が出されます。

このような翼賛選挙を止めさせるためにも、自民党支配を断ち切るべきです。


[2003/11/29]  自民党代議士を讃える広告

28日の愛媛新聞に総選挙で当選した自民党代議士を讃える全面広告がありました。

広告を出してもらう代議士に見識がないことはさて置き、広告の大半がその選挙区内の自治体による広告であったことに驚きました。

広告を出していない自治体はその代議士の「地盤」であり、圧倒的な票が出ていました。そうだとすると、「成績」の良くなかった自治体の「謝罪広告」ではないのか、という穿(うが)った見方もあり得るところです。

それにしても、「保身王国」愛媛の面目躍如というところでしょうか。

しかし、広告費は税金じゃないのか???

これ、いいんかい?


[2003/11/28]  国会議員の分際で・・

私は市議会議員をやっていましたが、市議会議員が国会議員や県議会議員に劣等感を持っており、逆に町村議員に優越感を持っていることを不思議に思っていました。

一般の感覚として分からないではありませんけれども、何故国会議員が市議会議員より偉いのだろうかと疑問を持つべきだと思います。そうでなければ、地方議員としての真の責務を果たせないと思います。

私は、地方政治を内野守備、国政を外野守備だと考えています。守備位置が異なり仕事の内容が違うのです。そして、それぞれが補完関係にあります。

ところが、我が国では「お上意識」が抜けきれないこともあって、無意識に「国」が偉いという発想になることに加え、中央集権のシステムが地方を下位に置く発想を半ば強制しました。

国が上位という発想を克服しない限り真の地方自治を確立することは困難です。国会議員が地方自治に口出しすることがあればこう言うべきです。

「国会議員の分際で余計な口出しをするな」

「では、君は何故国会議員を志願したんだ?」と問われれば、「内野守備を侵害する外野手を排除すること、および、真に外野守備を追求するためだ」と答えます。


[2003/11/27]  車を走らせる場合と走らせない場合

高速道路の無料化は、国民の行動半径を拡大し、中央から地方への人の流れをつくります。職場は都市部にあっても生活の場は田舎にするという選択もあります。

料金所が無くなれば、インターの数を増やすことが可能になり、高速道路へのアクセスが容易になります。「途中下車」が自由に出来ることにより、従来なら車が立ち寄らなかった地域へも車の流れが出来ます。

無料の高速ネットワークが張り巡らせれることにより、国土の有効利用が可能になります。

しかし、車社会一辺倒では高齢社会への対応は不可能です。車社会から取り残される方々への配慮が必要です。歩いて暮らせるまちづくりの推進が必要になります。

環境面への配慮も必要です。公共交通機関と個別移動手段との使い分けをどのように行うのかの社会的な合意が必要です。

渋滞するから道路を広げるという発想だけでいいのかどうか。車での移動が必要な場面と公共交通機関での移動が必要な場面の使い分けを考えることが必要です。歩いて移動できる絵になる公共空間があることの豊かさについても自覚したいものです。


[2003/11/26]  自民党国会議員というリスク

自民党、民主党による二大政党への流れが出来つつある今、自民党国会議員であることのリスクに気付く方々がいると思います。

ここに50歳の議員がいるとします。「あと20年議員でいたい」と考えた場合、あと20年自民党が政権を維持し続けることが出来るのかという問題に「イエス」という回答が出来るかどうかが問題になります。

自民党の国会議員は、「自民党だと国会に出やすい」ということが自民党員でいる唯一の理由であることが多いと思われます。

政権党であることが唯一の接着剤である政党、自民党が政権を失った場合、3年以内に党が崩壊する可能性があります。(民主党のマニフェストに3年以内、4年以内の実施と書いてあるのは、自民党の崩壊にかかる年数を見込んでのことなのでしょう)

次の選挙に野党・自民党から出馬して勝つことが可能か、という問題に「イエス」と回答できるならば、その議員は自民党に居続けるでしょう。

「ノー」という答えが出る場合には、「脱出」の時期を模索する必要があります。10年前、自民党が野党になった時には脱出した人、脱出しかかった人がいました。

小選挙区で野党から出ることは大きなハンデを背負った状態での戦いを強いられることを意味します。このことは、これまで政権側で戦ってきた候補者にはよく分かる話だと思います。

政権を取った民主党から自分より若くて優秀な候補者が出てくる前に自分が民主党に移籍しなければならないと考える議員が出てくることには合理性があります。

もちろん、議員が移籍したいと言ってきた場合に民主党が受け入れるかどうかはの問題は残ります。しかし、私はこの点はおおらかに受け入れるべきであろうと思います。時代の変わり目の混乱を可能な限り少なくすべきだと考えるからです。

このような時代の変わり目を造り出すことが出来るかどうか、野党・民主党が日常活動をどの程度やるのかにかかっています。

戊辰戦争か関ヶ原の戦いかという感覚で今回の総選挙に臨みましたが、結果は引き分けでした。次回の総選挙は、自民党が潰れるか民主党が潰れるかの戦いになりそうです。

民主党議員(候補)というリスクもある訳です。


[2003/11/25]  中央集権は利権である

この国の衰退加速要因(発展阻害要因)は、中央集権、官僚支配、自民党政治であることを繰り返し述べています。

この内、中央集権の仕組みは後進国が先進国に追いつくまでは有効な仕組みです。しかし、世界第2の経済大国と呼ばれるようになって以降の我が国では、国の発展を阻害する要因になってきました。

現在も中央集権の仕組みが温存されている理由は、既得権益者の利権確保のためです。即ち、官僚と与党政治家が地方で決めるべきことをわざわざ中央で決めることにより、地方を支配し、企業・業界団体を支配します。

そのことにより、官僚は天下り先を確保し、与党政治家は選挙での票の取り纏めを容易にし、また、政治献金(=賄賂)を得ることができます。

地方主権型社会への抵抗が最終段階に来ています。「地方分権」という言葉でごまかしがきくのもあと数年ではないでしょうか。


[2003/11/24]  鳥取県の「革命」

23日のサンデープロジェクト(テレビ朝日系)で、鳥取県・片山善博知事の行っている「鳥取革命」の特集がありました。

公共事業についての改革は注目すべきものがあります。財政課の職員が公共事業予定地を実際に見て無駄と思われるものについて事業の縮小・中止を行う「一件審査」が実施されます。

議会とのガチンコが実践されたことにより、従来議会の根回しを職分としていた財政課の職員が議会対策から解放され、無駄な事業を事前に牽制する役割を持つようになりました。

議員の職員への働きかけを文書化することにより議員の不当な要求を排除し、予算編成過程を透明化。公務員の給与についても全面公開して見直しました。

行政の不手際による災害について行政の無謬性(むびゅうせい)へのこだわりを捨て、過去の過ちを認める。ダム中止にあたり、ダム予定地で建て替えが出来ずに老朽化した住宅について建て替え費用に税金を投入する決断。県道を造る部局と農道を造る部局の統合(当然、国の官庁から苦情がありましたが、これにもひるまない)。

国との対決を恐れない姿勢が目立ちます。職員が真に公務員としての使命感で仕事が出来る体制が整いつつあります。


[2003/11/23]  国道を「県」道に

補助金の1兆円削減ということがニュースになっています。各官庁にとっては大変なことでしょうが、大局的に見れば微調整の域を出ていません(民主党案は18兆円の補助金を削減して一括交付金とする)。

どういう国家を目指すのかのビジョンを欠いた施策では、結果として官僚機構に数字合わせの骨抜き作業を許すことになります。

私は、地方のことは地方で決めるという地方主権型国家を目指すことを前提に、大半の事業を地方が行い、それに伴う税源と権限の移譲を行うことにすべきだと思います。

1つの提案として、現在の国道を全て地方道(とりあえず「県」道)にすべきだと思います。各省にまたがる道路関係の予算(財源を含む)も全て地方に移譲します(例えば農免道路)。

国の所管を離れ地方が道路を造る権限と財源を全て獲得することが、この国のあり方を変えることに繋がります。道路をどの様に設計して建設するかで各地方間に競争が起きます。

合理的な道路設計、道路建設で斬新な発想が出てくると思います。ピンハネ政治に勤(いそ)しむ地方では道路はボロボロになり、怒った住民により地方政治の改革が進みます。地方政治での「説明責任」も重要になってきます。

無駄を省いていけば、ここで多額の剰余金が発生します。地方への権限移譲を全ての公共事業に展開していくようにすれば多くの無駄が省けます。

国道が県道になるに伴い、高速道路を「国道」にし、一般道化します(道路公団は廃止)。ここで問題になるのが高速道路維持・建設の財源です。道路建設の権限を地方に委ねるにあたり、総額の予算を削減してその分を高速道路無料化に対応できるようにします。

以上私見。

さらに私見を述べれば、片側3車線以上ない自動車専用道路を「高速道路」と呼ぶべきではないと思います。3車線以上あれば「有料」による差別化もあり得る話ですが、片側2車線(田舎では1車線!)の道路で税金とは別に負担金を取る発想が不当です。片側2車線の自動車専用道路はナショナルミニマムとして全国にネットワーク化すべきです。

日本は何で儲けているのでしょうか。自動車産業です。狭い国土をネットワーク化できていないでいて自動車産業で儲けようという感覚を是正すべきです。


[2003/11/22]  屯田兵(とんでんへい)

愛媛県を筆頭に、自民党しか国会の議席を持っていない悲惨な自民党王国が幾つかあります。自分の県ではありますが、何とも無様な話だと思います。

この愛媛を変えたいとの思いから出馬しました。結果は自民党の岩盤の厚さを確認したにとどまりました。

この愛媛の中で、特に4区に注目しています。ここは、自民党の故郷というか、自民党の岩盤そのものという感じがします。

こういうところには民主党が「屯田兵」を置き、岩盤を切り崩す作業を行うべきだと思います。「苦節10年」の気概が求められます。

浜口金也という民主党候補が今回の総選挙で立ち上がり、自民党の岩盤に切り込みました。屯田兵としての活躍を期待します。

(注):屯田兵とは、明治初期、北海道の開拓、警備と失業士族の救済の目的で、政府により奨励され家族的移住を行なった農業を行う兵士のことです。


[2003/11/21]  準決勝

私は、非自民の勢力は全て結集すべきであると考えています。公明党、共産党においても然り。

自民党政治を一度終了させる。そして3年間自民党を復活させない。細川内閣の失敗を繰り返すことなく政権運営を行えば、自民党は解体します。

その後で、政界の再編を行います。供給者サイドの政党と消費者・生活者サイドの政党に分かれることになるのかも知れません。

政界再編を決勝戦であるとして、決勝戦で敵になりそうだから準決勝でも組まないという発想は幼稚だと思います。準決勝を真剣に戦わなければ決勝戦に残れません。

この国の衰退加速要因(発展阻害要因)は中央集権、官僚支配、自民党政治です。

現実の政治では、公明、共産両党との共闘は難しいでしょう。しかし、自民党政治を終了させることがこの国を救う唯一の手段であると考えるならば、排除の論理を取る必要はないと思います。


[2003/11/20]  正しい主張

選挙とは難しいもので、正しい主張をしたから勝てるものではありません。しがらみをたくさん作り、主義主張とは別の次元で勝つ方法があります。地方選挙はそういう傾向があります。

国政選挙はしがらみだけでは勝てません。主張の正当性と候補者への信頼(知名度を含む)が問題になります。

それでは、主張の正当性とは何でしょうか。有権者が最も関心を持つテーマについて明快に答えることだと思います。あるいは、有権者が関心を持つ提案をすることだと思います。

有権者との相関関係の中に「正当性」があります。このことを無視して「普遍の真理」を説いても駄目なのでしょう。社民党は状況判断を誤り、誰も否定できない「護憲の旗」を掲げて惨敗しました。

ちなみに、今回の選挙は、「政権選択の選挙」という枠組みが認知された時点で社民党と共産党の敗北が決まっていました。共産党はこのことに気付いていたようです。しかし、気付いたのが選挙直前だったらしく、「時間がなかった」と総括しています。


[2003/11/19]  合併からの離脱

愛媛県北宇和郡松野町が、同郡広見町、日吉村とつくる法定の「きほく合併協議会」からの離脱を表明したことが地方のニュースとして話題になっています。

「感情論が先走っている」などと評する記事もあります。しかし、原則として合併すべきであるとの前提を置いて議論しているのであれば、そのことの方が問題ではないでしょうか。

それぞれの自治体が充分話し合い、一体感が出来、共通する目標を持ち得たときに合併するのであって、合併とは例外的な事象であることを共通認識として持つべきではないでしょうか。

一体感と共通の目標とを持ち得ないときには、原則に立ち返り独自の道を歩む。それで良いと思います。

平成の合併は、国家主導であり、中央集権を加速するだけのものです。おとなしく合併しても地域を失うのであれば、戦って「名誉の戦死」も選択肢に入れて良いと思いますが、如何でしょうか。


[2003/11/18]  男女共同参画社会づくり

市議を辞めたので、愛媛平成市議の会への参加資格を喪失しました。しかし、事務局を務めていた関係上引き継ぎと御挨拶は必要と考え、新居浜市で開催された研修会(17日、18日)の初日に参加させて頂きました。

開会前に挨拶して帰る予定でしたが、皆さんのお勧めに甘えて1日過ごさせて頂きました。

研修会のテーマは、「男女共同参画社会づくりを目指して」でした。松山東雲短期大学、桐木陽子助教授の講演が第1部。第2部は各市代表者の報告。

条例づくり、女性の登用、セクハラ、DV(家庭内暴力)等、様々なテーマを内包する問題です。女性の力を100%発揮して頂くことがこれからの社会では必要不可欠の課題です。

これと対極の問題として考えるべきは、男が頑張らないこと、あるいは、ポジション取りに汲々とした狭い生き方から解放されて家庭や地域に戻ることだと思います。

2次会まで参加し、新居浜市の佐々木龍市長ともお話しさせて頂きました。佐々木市長が、女性の力が発揮しやすい地域づくりを行うことが少子高齢社会での地域発展の原動力になるとの視点を持たれていることに共感しました。

自分の力を発揮できなくて悩んでいる女性は多いはずです。この地域では女性が活き活きして輝いているという評価が定着すれば、そこで働いてみたいという人も増え、地域イメージ向上にも繋がります。


[2003/11/17]  小沢一郎氏の発言(サンプロ)

16日のテレビ朝日、サンデープロジェクトでの小沢一郎氏の発言は参考になりました。

まず、負けをはっきり認めた上で、マニフェストで明快に結論を述べるべきであったことを反省点にしていました。

無論、結論の出しがたいテーマが数多くあります。しかし、そこで曖昧さを残さないことが有権者の信頼に繋がります。政権獲得を狙う野党としては大胆かつ明快な主張が必要です。

民主党の候補が日常活動をしていない点への指摘は痛烈でした。自民党の政治家は選挙に落ちたらタダ以下の人物であることを自覚しており、それだけに選挙に懸ける執念には凄まじいものがあります。

民主党の候補がこれに勝つには、なりふり構わぬ努力が必要だということでしょう。


[2003/11/16]  自民党の靴の泥

私が、選挙の出陣式で述べたこと。

第1に、働く者の味方であること。

第2に、中小零細業者の味方であること。

第3に、地方の味方であること。

以上を宣言しました。

そして、出馬の動機の1つとして、これまでのように自民党の靴の泥を嘗めて飴を1個か2個もらう生き様に納得がいかないことを挙げました。

愛媛の皆さんは、何時まで自民党の靴の泥を嘗めるのか。

そろそろ、別の生き方があることを御理解頂きたいと思います。反発される方もいらっしゃるでしょう。しかし、愛媛はこれから急速な人口減少に見舞われます。衰退の運命とどう闘うのかが問われます。

愛媛の将来を真に憂う人達の決起を呼びかけたいと思います。


[2003/11/15]  何故高速道路は無料に出来ないか

「ただより高いものはない」などという俗論が幅をきかせ、民主党が提唱した地方高速道路の3年以内無料化案が完全には浸透しませんでした。

アメリカ、イギリス、ドイツで無料である高速道路が何故日本では有料なのでしょうか。年間9兆円の道路関係予算があり、この内2兆円を使えば高速道路の借金を返すことができ、高速道路の無料化をすることが可能です。

残り7兆円でもドイツの道路関係予算の3倍近い金額。これだけあれば高速道路と一般道路を含めた道路ネットワークを維持し建設することが可能です。

これが出来ない訳。政官業癒着の構造により他国と比べて割高な道路代金になっていることが挙げられます。そして、それぞれの省庁が道路予算を持ち、不必要な道路を造りたがることにより余分な費用が掛かること、即ち、総合調整機能を欠き、優先順位が決められない官僚機構も犯人です。

解決策は、政権交代により自民党政治の膿を出し切ること、そして総合調整機能を欠く官僚機構を政治がコントロールして合理的国家意思形成を行うことです。


[2003/11/14]  「護憲」は業界用語

社民党・土井党首辞任のニュースへの感想。

土井党首は確かに一時代を画した政治家でした。しかし、「護憲」「平和憲法を守る」という土井・社民党党首の言葉は、もはや国民を突き動かす力とはなり得ないと思います。

具体的にどうすれば憲法の理念が守れるのかの道筋を明らかにする作業が怠られていたと思います。「護憲」がただの念仏になり、ある意味では「業界用語」になってしまったのではないでしょうか。

私自身の反省も含めて言わせてもらうと、政治家が語る言葉の多くが政治関係者だけが分かる業界用語と化し、有権者の心に届かなかったことが総選挙の投票率低下の一因かも知れません。

この国では、主権者教育が出来ていません。しかし、そのことを言いつのってもしかたがありません。有権者に届く言葉が政治家に求められています。特に野党の政治家に。自民党の政治家は「御利益(ごりやく)」を提供しているのですから、野党は国民を動かす言葉を提供すべきだと思います。

最後に辛辣な意見を言わせてもらいます。「護憲」が看板の政党が、何故最大の人権侵害である北朝鮮拉致問題について語れないのか。この一点で国民に見放されたと言っても過言ではないと思います。


[2003/11/13]  候補者への期待と政党への期待

自民党が勢力を維持したのが今回の総選挙でした。公明票の上げ底によるものとは言え、絶対多数を与党が獲得したことは勝利と言うことになるだろうと思います。

しかし、小泉氏の人気で選挙に勝つという目論見ははずれました。自民党としては、「次」を探す契機になった選挙です。

今回の選挙は、有権者が「人物」で選ぶ選挙から政党で選ぶ選挙へ移行する過渡期の選挙だろうと思います。

「人物」の中身が、候補の人格・識見というところにあるのか、しがらみなのかが問題です。「しがらみ」が、権力への恐れと期待とを含むだけに問題はややこしくなります。

このしがらみの部分を政党への期待が上回れるように、政党の日常活動が行われる必要がありそうです。

民主党は勝ち切れませんでしたが、国においても愛媛においても大きな橋頭堡を築きました。愛媛の自民党独占を打ち破ることが、この県の発展のためには是非とも必要です。


[2003/11/12]  四国の自民党

選挙に関する情報番組で、中国、四国の自民党の強さが指摘されていました。

四国の人間としてお恥ずかしい限りです。自民党にあらずんば人にあらずという雰囲気があります。四国というと徳島、高知の人に怒られそうです。

愛媛です。この県の人が頑迷なのか臆病なのか自民党の支配から逃れられない状況にあります。ここを何とかして次世代に引き継ぎたいものだと思っています。

しかし、比例での票数を見ると、松山市では自民党と民主党は五分五分です。選挙区はしがらみがあるから候補者で選び、比例は民主党に期待するということなのでしょう。

愛媛を何とかしたい。私でなくても誰かこれを打ち破ってくれそうな候補が現れれば喜んで協力します。


[2003/11/11]  イラク派兵

私は、自衛隊は国防のため必要だと思っています。そして、自衛隊に志願された自衛官の方々には敬意を払っております。

しかし、今回の自衛隊のイラク派兵には反対します。彼等の貴重な命を、アメリカの手下として行動するためだけに軽々しく扱う小泉政権の方針には反対します。彼等には、命懸けで働く場所が他にあるはずです。

日本は、日米関係を重視しながらも、長期的視点に立ち世界の諸国から信頼される外交を展開すべきです。世界国家の萌芽である国連を中心とした外交を行うことが、真に尊敬される平和国家日本になるために取るべき道だと思います。

アメリカの親友だと思うのなら、イラク戦争の前に心底からの忠告を発するべきでした。


[2003/11/10]  流星光底長蛇を逸す

公平に見て、勝ったのは公明党だけ。自民党は勢いを付けることが出来なかったし、民主党は政権を取れませんでした。

私は、この国の衰退を防ぐために立ち上がったのですが、衰退を食い止めることは出来ませんでした。

愛媛はまだ闇が支配しています。しかし、夜明け前の状況ではあります。全国レベルでは曙が見えてきました。衰退への流れは防げませんでしたが、衰退が加速されることへの強力なブレーキ装置は出来ました。

今回の選挙で悔やまれるのは、民主党が候補者擁立も推薦も出来ない選挙区が幾つか残ったことです(愛媛はその点では恥をかきませんでした)。それと、社民党に諦めてもらうための選挙になってしまったことです。

この国の衰退加速要因(発展阻害要因)は、中央集権、官僚支配、自民党政治です。社民党の皆さんには、このことを御理解頂き、自民党政治を終わらせるために大同団結への道を歩んで頂きたいと思います。

民主党は力を溜め、次回に決戦を行うことになりました。愛媛の民主はこれがスタート。

頼山陽の有名な詩を思い出しました。上杉謙信と武田信玄との川中島の戦い。

不識庵機山を撃つの図に題す  頼山陽 作

べんせいしゅくしゅく  わた
鞭聲粛々夜河を過る
         せんぺい たいが   
暁に見る千兵の大牙を擁するを
                   みが
遺恨なり十年一剣を磨き
りゅうせいこうていちょうだ いっ
流星光底長蛇を逸す

「不識庵」は上杉謙信、「機山」は武田信玄の法号。両雄の川中島での戦いは1553年から1561年の5回に及んでいます。頼山陽は謙信の胸中に同情する形で詩をつくりました。

上杉軍はひっそりと鞭音も立てないように、夜の内に千曲川を渡って川中島の敵陣に攻め寄せました。武田軍は明け方霧の中に上杉方の大軍が大将の旗を中心に迫ってくるのを見つけます。謙信、十年の間剣を研ぎ磨いて、その機会を待ちましたが、うち下ろす刀光一閃の下に、強敵信玄をとり逃がしました。長蛇とは信玄を指します。

残念無念。


玉井彰の一言 2003年11月 四国の星ホーム前月翌月