玉井彰の一言 2003年12月 四国の星ホーム前月翌月

[2003/12/31]  無責任政治の継続

小泉政権を越年させることになってしまいました。官僚支配の強化と地方切り捨てだけが進行しそうです。

高度成長時代の成功体験の記憶が、国民の自民党政治との決別を妨げています。

来年こそ、自民党がこの国の衰退加速要因であることを、多くの皆さんに分かっていただきたいと思います。

政権維持のため、総理大臣の自己保身のために、自衛隊をイラクへ派遣することになりました。無責任政治の継続が選挙で認められてしまったことは、誠に残念です。

戦争ごっこが好きそうな防衛庁長官の下で、自衛隊員の命が危険にさらされることになります。


[2003/12/30]  選挙違反

このところ、衆議院議員選挙当選者が選挙違反で検挙されたり、有力な運動員が検挙され連座制が適用される可能性がある、などというニュースが次々と報道されています。

公職選挙法は、分かりづらく、こういうケースはどうなんだろうと人に聞いても分からず、選挙管理委員会に問い合わせてもハッキリしないことがあります。戸別訪問禁止等、細部の規制は憲法違反であり、公職選挙法は悪法の1つだと思います。

しかし、民意をねじ曲げるような行為、例えば買収行為などは厳格に取り締まるべきであり、捜査機関の努力には敬意を表します。

「買収」と言うから相当悪いことをしたのかと思うと、登録していなかった運動員に給料を支払っただけだったりすることもあります。

私の場合、選挙の費用は全て民主党からのものでしたから、そもそも自分の金ではない(他人様のお金)という気持ちがあり、「お金にはさわりませんよ」と言って、何も関知せずに街宣のみをやっていました。

選挙をめぐる人間模様についても、事務の責任者がガードしてくれていたので、子供がトンボを追いかけていたのと余り変わらない感じでした。

捕まった人は、自分でお金を渡したということで、「プロ」が見ると馬鹿馬鹿しい話なのかも知れません。

制限速度50キロを80キロだから捕まるので、200キロで走れば捕まらないというのが政治の世界かも知れません。このような現実を変えていかなければならないと思います。

民主党にも古い体質の方がいるようです。「第二自民党」にならないよう、浄化機能を発揮すべきだと思います。


[2003/12/29]  新たな事実

28日午後6時から、伊予市・中村公民館で合併協議会離脱についての説明会があり、私も「傍聴」しました。

感情的な反発を示す方も2、3人いましたが(市長選のしこりでしょう)、概ね冷静に聞いておられたようでした。伊予市の説明も説得力があったように思います。

ただし、「総合支所方式」は、私が協議会を傍聴した限り、双海・中山両町は数年間の過渡的なものとして提案していましたので、1市2町の合併の際、総合支所方式が恒久的な制度と誤解されないような説明は必要だと思いました。

私は、総合支所方式から地域振興局(課)を置く形に漸次移行して両地区の衰退防止策を練るべきだと考えています。

なお、新たな事実として合併対策特別委員長が述べられたことに注目しました。松前町の議員は、来年2月に松前町が協議会から離脱する意向を仄めかしていたそうです。これでは話し合いの余地はなかったのだなあ、と感じました。


[2003/12/28]  手続き論

伊予市の合併協離脱について批判的な立場の1つは、手続きを問題にしています。

手続きは大切です。憲法31条は適正手続き(デュープロセス)について定めており、刑事手続きだけでなく、人権侵害を伴う行政手続きにも準用されると解されています(離脱の問題とは直接関係ありませんが)。

合併協離脱についての手続きとして、まず協議会で議論すべきだったのか、はたまた、住民に説明すべきだったのか、両方に説明してから議会で決めるべきだったのか、そこらあたりは色々主張があるのでしょう。

今回の場合、議会の特別委員会での議決がありました(本会議で承認)。それを受けての市長提案が議会で全会一致で議決されました。市長提案の段階で協議会あるいは住民への相談があるべきなのかどうか。特別委員会(それを受けての議会承認)で決まる前が良かったのか。様々なバリエーションが考えられます。

しかし、代表民主制を認める限り、住民より前に議会に諮るべきです。自治体の意思を協議会に発表する場合には、やはり理事者は議会に諮るべきです。その意思が条件付きのものとしてなされるべきだった(協議会で相手方の改善が見られなければ離脱する等)としても議会に諮る必要はあるでしょう。

私は、今回の離脱劇は伊予市が住民の利益を守るために已むことを得ず選択した緊急避難であると考えます。諸般の事情から考えて、「今」以外には離脱の「チャンス」はなかったと思います。

住民への事後報告は、その判断が適切であったかどうかを住民が審査する機会になります。最終的には選挙で民意が問われることになります。

なお、手続き論を主張する方々に一言。特に、若い方々に。「ワシに話がなかった」と言ってごねるオッサンにはならないでいただきたい。


[2003/12/27]  最後の合併協議会

26日の合併協議会は傍聴者があふれていました。

松前町から厳しい批判がありました。伊予市が説明責任を果たすためには、合併協議会から承諾を得て、従来秘密にしていた事項を明らかにする必要があります。

伊予市の事務担当者から、お許しを得たら話したい旨の答弁がありましたが、双海町、中山町の委員からそこまでする必要なしとの意見があり、踏み込んだ説明を行うことが出来ませんでした。 

伊予市が説明責任を果たすために情報開示をさせて欲しいと突っ張れば、もっと違う展開になったと思います。

伊予市はその方法を選ばず、サンドバッグになりました。歯がゆい展開でした。しかし、仮に伊予市がトコトン説明したとして、松前町の恰好も付かなくなります。

離婚会見で全てを語るのか、大人の態度を取るのかの違いにも似ています。ただし、離婚の場合と違うのは説明責任があるということです。

協議会の承認がない状態である以上、説明は抽象的なものになる可能性があります。伊予市民は、ある程度事情を察してくれるのだろうとは思います。離脱でほっとした人の方が多いかも知れませんが。

それにしても松前町は、単独路線を取るにしても松山との合併を模索するにしても、厳しい行政運営を強いられそうです。


[2003/12/26]  松前町の水道

松前町民は、合併しなければ水道料金は他の地区より安いままだと考えています。

ところが、そうでもなさそうです。上水道の第6次拡張事業が始まると47億円の投資が必要で、値上げ必至です。伊予市の料金を上回る可能性もあります。

伊予市は、第6次拡張事業により、当面の施設整備を終えました。膜処理施設が完成すれば、浄水場の安全対策も整います。水道料金は昨年値上げがありましたので、しばらくは現行水準と思われます。伊予市はインフラ整備が松前町より進んでいるのです。

松前町は公共料金が安いというのが、松前町内での合併反対論の根っこにあります。しかし、松前町はこれから大変な時期に差しかかってくるものと見られます。

以上、23日伊予市・上野地区での説明資料より。


[2003/12/25]  松前町の意図

伊予地区合併協議会から伊予市が離脱を決めたことについては、市内4地区で説明会が行われます。その第1回目が23日実施されました。地方紙によると、かなりの批判が出たようです。

合併推進にことのほか熱心だった伊予市長が痛恨の思いで1市3町の合併を断念せざるを得なかった理由を考えると、私が議員を辞める10月初旬とは事態の深刻さが格段に増してきたことが推測できます。

全てをつまびらかにすることを松前町が許してくれれば、市民への説明は説得力を増すでしょう。現時点での説明では隔靴掻痒(かっかそうよう)の感があります。松前町には、情報の完全公開の決断をしていただきたいと思います。伊予市も、「悪口になる」という気兼ねより、説明責任の方を優先していただきたい。

私が分からないのは、松前町が決裂を予測して(決裂に誘導するために)ハードルを高くしていったのか、それとも、伊予市を屈服させることができると判断していたのか、ということです。

私は、これまで後者だと思っていたのですが、前者だと言う方もいます。前者の可能性を否定できないように思います。


[2003/12/24]  「愛媛産には、愛がある」

愛媛の農林水産物統一キャッチフレーズは、「愛媛産には、愛がある」です。良いキャッチフレーズだと思います。

愛媛は、「合併先進地」として名をはせています。従順な自治体が多く、統治しやすい県ではあります。弱小自治体は戦々恐々として合併を推進してきました。県の顔色を見る。これが愛媛の合併の全てと言っていいかも知れません。

しかし、ここに来て綻(ほころ)びが目立ってきました。1つ崩れると2つが崩れる。2つ崩れると3つ目が。雪崩現象が起きる可能性もあります。赤信号みんなで渡れば・・ということにならないか、県は神経を尖らせていることでしょう。

ここで愛媛県に考えていただきたい。ある程度の成果は既に上がったのですから、これからは県下各自治体がどうすれば地域の活力を維持し、あるいは向上させることが出来るのかを、膝を交えて話し合う場を県が意識的に持つべきだと思います。

予想される人口減少と真摯に向き合い、地域のあり方を一緒に模索する。その中で合併も1つの選択肢として位置付け(まず合併ありきではなく)、地域シンクタンクとして県が知恵を出す。そういう場面ではないでしょうか。合併の先にどういう愛媛を描こうとするのか。このことについても、県がビジョンを示すべきだと思います。

権力むき出しの県から、知恵者、コーディネーターとして慕われる県への脱皮が望まれます。

「愛媛の合併には、愛がある」といきたいものです。


[2003/12/23]  伊予市と松前町との違い

合併協議を行うまで知らなかったことが余りにも多かったと思います。しかも、重要な情報が最近になって明らかになりました。

伊予市は下水道の工事が始まって10年になります。松前町は始まったばかりです。伊予市は、庁舎が古いことは我慢して市民生活向上のためにインフラ整備を進めました。松前町は、インフラ整備より庁舎等の箱ものを優先しました。

行政がなすべき事の優先順位の判断に伊予市と松前町との不一致の原因の一端が垣間見えます。

下水道の受益者負担金についての制度の違いについて、最近まで知らなかったことは我ながら不覚でした。伊予市では、受益者負担金に上限はありません(1平方メートルあたり350円ですから、千坪=3300平方メートルだと115万円)。しかし、松前町では一筆あたり15万円が上限になっています。

*(伊予市と松前町のホームページで確認して下さい)

もし、伊予市の基準に松前町が合わせるとなると、松前町では大きな混乱があるでしょう。町民が納得しないと思います。

知らなかったことの最大のものは、1市3町で松前町の財政状態が一番悪いということでした。多くの人が中山町の財政状態を疑い、反対に松前町は裕福な自治体だと思っていました。(中山町の皆さんごめんなさい)

伊予市、双海町、中山町で合併する方が財政的に有利であることが、伊予市議会で反対が出なかった理由の1つです。


[2003/12/22]  住民不在なのか

伊予市の合併協議会離脱について、「住民不在」との議論があります。また、情報開示の問題も指摘されています。

当事者的立場にいた者としてこの点について述べてみます。

合併の協議は、外交交渉に似た面があります。大切な情報が逐一市民に筒抜けになるとすれば、相手方との信頼関係にひびが入ることにもなります。交渉事である以上、相手方との信頼関係がなければ何事も前に進みません。

今後の市民への説明についても、結果として相手方への悪口になるようなことは言えないと思います。特に、中村 佑・伊予市長の人柄からすると、自分が泥を被っても言わないということがあり得ます。

私は既に議員を辞めていますので、多少自由な立場から言わせてもらいます。1つ譲歩すると2つ譲歩せざるを得ない。2つ譲歩すると3つ譲歩せざると得ない。そんな泥沼になりかかっていました。泥沼から抜け出すには、今しかありませんでした。

制度とその運用が異なる自治体間の摺り合わせは極めて困難です。このまま伊予市が譲歩したとして、伊予市民の将来の負担を考えると、誰が当時の責任者だったんだという話がいずれ出て来ただろうと思います。

ここ2、3ヶ月、極めて深刻な状況であることの認識が市役所内に広がって来ました。多分、伊予市の職員で離脱に反対する人はいないと思います。議員でも、為にする議論をしたい人以外はその認識を共有できると思います。

19日の議会本会議では、議員全員で構成する合併対策特別委員会の決議として離脱することが報告され、議会がこれを了承。それを受けて市長から離脱の提案があり、議会が全員一致で賛成しました。

もし、議員の中から私は反対だという人がいるとすれば、議員としての責任を議会で果たさずに陰口を言っていると思って下さい。本会議で反対意見を述べる自由があったのですから。

政争の具にしたい人が一部いるようなので、敢えて述べさせてもらいます。


[2003/12/21]  (18.35÷2)%

政府・与党は、現役当時の50%以上という年金水準を確保するため、厚生年金の保険料率を来年10月から毎年0.354%ずつ引き上げ、2017年度以降に年収の18.35%(現行13.58%、労使折半)に固定する改革案を決定しました。

企業サイドから見させてもらいます。現在、企業負担(13.58÷2)%、即ち、6.79%の負担が、(18.35÷2)%、即ち、9.175%となります。約2.4%の負担増です。

「大したことないじゃないか」と言われるかも知れません。しかし、零細企業では死活問題になります。しかも、簡易課税制度適用の上限が2億円から5千万円に引き下げられます。

売上1億円、仕入額2千万円、人件費6千万円の企業を想定します。見なし仕入れ率を50%とします。人件費が143万円アップ、消費税納金額が150万円アップ(現在250万円の納金ですむものが400万円の納金になります)、合計293万円アップとなります。

簡易課税については来年以降、厚生年金については真綿で首を絞めるように徐々に、零細企業の経営を圧迫してきます。

コスト削減が出来ればいいのですが、人件費削減に走る企業、厚生年金から脱退する企業が相次ぐものと見られます。

零細企業の労働者にしわ寄せが来る可能性が高いと思います。それとも、零細企業の倒産か。


[2003/12/20]  性格の不一致

伊予市、松前町、双海町、中山町、1市3町の合併協議の様子を傍聴してきた者として、伊予市の合併協議会離脱の決断には敬意を表します。

伊予市と松前町との間には、合併協議の見通しについての判断と合併についての考え方に違いがありました。

伊予市は、庁舎の位置で大きな譲歩をしたのだから(「市」が庁舎を譲ったのです)、その他の事項では各自治体が譲り合いの気持ちで円満な合併協議が出来るとの思いがありました。双海、中山両町が将来急激な人口減少に見舞われることが確実であることから、地域の衰退を招かない合併のあり方を模索することが必要であるとの考えもありました。

松前町は、町内での反対論を押さえるには松前町中心の合併であることを強調する必要があると考え、戦略的に他の自治体の譲歩を引き出すことを目標とし、またそれが可能であると判断していました。しかも、合併の目標は行財政改革であるから、無駄を省くことを追求すべきであるとの考えもありました。

お人好しの長男と立ち回りの上手な次男との駆け引きというところでしょうか。結果として、大人しい長男がいきなりキレたという印象を周りに与えたと思います(耐えがたきを耐えてきたんですが)。

伊予市離脱の最も大きな原因は、伊予市(双海町、中山町)と松前町との気質の違いだろうと思います。伊予市、双海町、中山町の職員はほっとしているでしょう。もし合併した場合には、職員さんが気の毒だなあとの思いはありました。

一言で言えば、「性格の不一致」です。


[2003/12/19]  合併推進の方法

市町村合併を是とする立場で考えた場合、合併特例債というやり方は極めて拙劣です。ノルマ主義的な役人の発案かも知れませんが、10年先、20年先を考えると合併した自治体が特例債という借金で財政破綻する可能性が高く、刹那的なやり方だと思います。

私なら、まず、制度を改め、公務員を雇用保険に加入させるようにします。その上で公務員に希望退職を募ることをを可能とする制度をつくります。そして退職金割増部分について国が補助します。

次に、合併による地域ビジョン策定を奨励します。地域ビジョン審議会をつくり、各地の地域ビジョンのコンテストを行います。魅力的な地域ビジョンが作成された場合には、応分の立ち上がり資金を提供します(現金で)。特例債のような借金奨励策は採りません。

リストラ、プラス、地域ビジョン。これが必要です。水ぶくれ合併を奨励する合併特例法では地方自治体にモラルハザードが蔓延するだけになります。

以上の「案」は中央集権的発想であり、私の考え方に反するものであることは当然です。頭の体操として示してみました。

それにしても、「飴(あめ)と鞭(むち)」という古典的手法しか取れない総務省にはあきれてしまいます。


[2003/12/18]  伊予市の離脱

伊予市、松前町、双海町、中山町、1市3町の伊予地区合併協議会から伊予市が離脱するとのローカルニュースが流れました。19日の伊予市議会本会議で合併からの離脱が決議されるものと見られます。

双海町、中山町も同調し、伊予市と1市2町で合併協議を行うことになりそうです。

松前町が合併協議において集権型の「本庁方式」にこだわり、伊予市などの主張する分権型の「総合支所方式」との溝が埋まらなかったこと、松前町の財政状態が予想外に悪かったことなどが原因と考えられます。気質的にも一致が難しかったと思われます。

松前町の側から眺めると、松山市との合併を望む住民が多く、また、合併反対派もいることから、伊予地区での合併を推進しようとする方々としては、「戦利品」を多く獲得しないと町内をまとめきれなかったのでしょう。一種の「瀬戸際外交」を取らざるを得なかったのだろうと思います。

各地で合併協議の綻(ほころ)びが出て来ています。そもそも、必然性のない合併を「国策」で押しつけてきたのですから無理があります。

無理が通れば道理が引っ込みます。道理を通せば無理が明らかになります。


[2003/12/17]  国際社会と世間

今回のイラク派兵では、「国際社会」という言葉がキーワードとして多用されています。

「世間」という言葉と何処が違うのだろうか首を傾げてしまいます。要は、他人(他国)の視線が気になるということなのでしょう。

独善に陥っても困りますが、世界第2位の経済大国なのだから、こういうことをすると日本がどう言うだろうかと、日本の視線が気になるような存在感があってもおかしくはないはずです。

テストを受ける受験生のように、「出題者」の意図ばかりを詮索する受け身の外交から、問題提起型の「攻めの外交」に転換すべきでではないでしょうか。

総理大臣に哲学も理念もないのだから無理か・・・


[2003/12/16]  週3日勤務

日本IBMが、給料が半分に減る代わりに勤務日数を週3日に減らせる「短時間勤務制度」を、社員約2万人のほぼ全員を対象に、来年1月から導入すると報じられています。

育児や介護などを円滑に行えるよう支援します。1年ごとの更新です。育児の場合は子供が中学に入学するまで利用可能で、出産から10年以上、短時間勤務をすることもできます。男性が育児目的で利用することも可能です。申請理由は原則自由で、育児のほか介護や資格取得など幅広い目的に使えます。

この制度が広く普及することが期待されます。公務員にもこのような制度を創設すべきだと思います。若年者の失業は深刻です。勤労者サイドに短時間労働のニーズがあるのなら、若者に働く場を与えること(ワークシェアリング)との調和を図ることが可能になります。

今の時代、収入は10万円でいいから自分の好きなことをやってみたい、家族を大切にしたい、資格に挑戦したい、勉強をやりなおしてみたい等々の希望を持つ人は多いでしょう。

多様な生き方が可能な社会にしたいものです。


[2003/12/15]  フセイン拘束の報に接し

イラクのフセイン元大統領が拘束されたとのニュースが流れました。イラク情勢にどの様な影響があるのでしょうか。

指揮官が拘束されたというのなら、戦争終結を意味する話になります。しかし、現在進行形のテロに指揮命令系統がなく、しかも、テロがフセイン政権を支持するグループによるものとは限らないとすると、フセイン氏の身柄確保がテロを終結させることに繋がるのかどうか不明です。

裁判を行うのか、どの様な裁判を行うのか、関心が持たれます。

拘束されたフセイン氏を奪還することが新たな「目標」となることはないのでしょうか。

イラク人による統治が進むとして、新たなフセインが出てこない保証はありません。

将棋の場合、「王将」を詰めればゲームセットとなりますが・・

(14日午後10時記述)


[2003/12/14]  社民党はどうなるのか

社民党は党大会を開き、新幹事長、政審会長の新役員人事を決め、福島瑞穂党首、又市幹事長の新体制が決まりました。しかし、独自路線を貫くのか民主党との連携を重視するのかの路線対立を抱え、前途多難です。

社民党は個別テーマに情熱を傾ける、「ブティック型」政治家が多く、自分のテリトリーでは100点満点かあるいは90点以上でなければ納得しないタイプが多いようです。

政権を取ろうとすると70点主義にならなければなりません。場合によっては60点以下でも我慢する懐の深さが要求されます。「デパート型」政治家になる必要があります。

政権を取るより自分の信念に忠実でいたい、というのも1つの生き方なのですが、自民党政治がこの国の衰退加速要因であり、自民党を政権から引きずり降ろすことが最大の政治課題だと考えると、結果的に自民党延命に力を貸すだけの存在になってしまうことには問題があります。

今回の総選挙は社民党に諦めてもらうための選挙だと思っていたんですが・・・


[2003/12/13]  情報発信力

我が国の安全保障を考えるにあたり、艦船、飛行機、戦車、火器等々のハード面だけを考えても仕方がないことはよくお分かりだと思います。

日常的な外交戦略はもとより、非常時における戦略・戦術・兵站確保策等々のソフト面も重要です。むしろ、ハード面よりも重視すべきでしょう。

ソフトの一部を構成しますが、情報発信力が取り分け重要であると思います。我が国がどの様な国家であり、どの様な理念と政策を有するかを絶えず発信し続けることが必要です。

我が国が掲げる平和憲法の理念を説き続ける努力を怠るべきではありません。唯一の被爆国日本。軍事偏重から軍部独走を招き自滅した国日本。近隣諸国に多大な被害をもたらした侵略国日本。この歴史に鑑み不戦の誓いをした国日本。

日本が世界に発信できる事柄は多数あります。我が国の政治家が確固たる哲学と政治理念を持ち、我が国固有の歴史とその反省に立つ平和憲法の理念を世界に発信し続けていたとするならば、今回のイラク戦争に関連した日本への期待は、自衛隊派兵ではなく別の形での貢献に向けられていたでしょう。

自衛隊派兵を半ば強要されたということは、日本の政治家が軽く見られていることの証(あかし)でもあります。中途半端な友好関係を演出する前に、世界平和を構築する戦略を練り、日本国憲法の掲げる平和と不戦の哲学を発信すべきだと思います。

いくらお金を注ぎ込んでも、いくら自衛隊が頑張っても、それほど日本が重視されることはないでしょう。理念と哲学を持つ国にならなければ真の尊敬と信頼は得られないと思います。

国のリーダーたる政治家の哲学と理念。これが安全保障における要かも知れません。


[2003/12/12]  「平和憲法」という武器

私は改憲論者ですが、現憲法を誇りに思っています。平和の理念を高々と掲げることにより、国際社会をリードすることが可能であると考えています。

その為には、日本独自の世界戦略を持つ必要があります。アメリカ追随で良しとする自民党政権が自衛隊という軍隊を持つことは、国益を損なう危険性の方が大きいと思います。

こちらが強くても、相手がより強ければ安全は保障できません。相手が弱ければこちらも構える必要はありません。安全保障とは相対的なものです。

戦前の日本は、国力を考えず自国の安全を守るために絶対的な基準を立てました。不必要に大きな軍事力を持ち、結果として諸外国から徹底的にマークされ、しかも軍事力を自己統制できず自滅しました。

満州蒙古が生命線であると考える必要が何故あったのでしょうか。世界戦略に大きな誤りがありました。平和憲法という武器を持ち、世界の軍事水準の絶対値を下げることを目標とすれば、ローコストの安全保障の仕組みが出来ます。

ただし、最低限度の軍事力は必要です。日本に攻め込むことは得策ではないと思わせるだけの武力は必要です。国際社会に対して説得力を持つ平和外交を行う上で、「戦力不保持」(憲法9条)という虚構を掲げることは空想的平和主義との誹りを免れないと思います。平和を語る前提に「嘘」があってはいけないと思います。


[2003/12/11]  安全保障問題における「バカの壁」

イラク問題での小泉政権のエスカレートぶりに危機感を募らせる方が多いと思います。私もその一人です。憲法前文まで振りかざし(9条抜きで)自衛隊派兵を正当化するに及んでは、正常な思考過程を辿っているのかどうか不安にもなってきます。

日米関係、および世界に果たすべき日本の役割をどう見るのかは、もっと冷静な分析が必要です。日米安全保障条約=日米同盟と考え、同盟国だから云々という議論が演繹され、果てはイラク派兵というところまで行き着いています。

本当にその議論でいいのでしょうか。我が国が世界に類例を見ない平和憲法を掲げていることのメリットを最大限生かす国家戦略を描くことは不可能なのでしょうか?

我が国は不戦の誓いを立て、平和憲法の理念を世界に向かって発信する。そして、それをサポートするのがパートナーであるアメリカであり、日米安全保障条約である。世界第2位の経済大国が軍事力を行使しないことを誓う。アメリカとは異なるコンセプトを持った外交戦略を描くことで世界の安定に寄与することが可能であり、むしろ、アメリカは日本の平和憲法の理念を尊重することにより最小のコストで世界の秩序を維持することが可能になる。だから、アメリカは日本に軍事的期待をするべきではない・・・

という論法も十分ある得るのです。

要するに、日本が自らの立場を自信を持って語れるかどうかという政治力・外交能力の問題です。

安全保障=軍事力という脳の活動を阻害するフィルター、即ち、安全保障問題における「バカの壁」を突破する必要があります。


[2003/12/10]  哀れな会見

小泉氏の会見は、見ていて哀れでした。属国のトップとはこんなものなのか・・・  言葉が空しく響きます。

親分・アメリカの言うことを聞かなかったらどうなるのかという不安からの出兵。

理念・哲学のない政治家の限界を露呈した会見でした。


[2003/12/09]  ブッシュ、小泉のための派兵

イラク派兵は、ブッシュ政権と小泉政権を維持するためのものです。国益ではなく「政権益」のための派兵であることを明確に意識すべきです。

10年前小泉氏は、カンボジアへのPKOに対し反対の立場を表明しました。それが首相になると全域が戦闘地域と思われるイラクに、イラク特措法をも無視する形で派兵を決定する。この変節をどう理解すればいいのでしょうか?

権力の亡者になった。これ以外の説明はあるのでしょうか。


[2003/12/08]  「ラスト・サムライ」

ハリウッド映画、「ラスト・サムライ」は面白い。

明治維新頃の日本をデフォルメ(変形して表現)し、武士道精神を持つ最後の人々をアメリカの元軍人の目を通して描いています。

武士道的精神の美しさが際立ちます。西南戦争を連想させる明治政府と武士達の戦い。「カツモト」を演じる渡辺謙の存在感は見事です。

日本が世界に誇るものはたくさんあります。精神のあり方を含む文化を発信できる国になって来つつあります。

それにしても、小泉政権の外交姿勢は武士道精神にもとるものだと思います。進むにせよ退くにせよ、潔さが必要です(勿論退くべきですが)。

政権の維持に汲々としている有り様は見苦しいの一語に尽きます。


[2003/12/07]  ベンチャー企業としての民主党

民主党に参加してみての感想。まだまだ発展途上ですが、将来大きく羽ばたく予感があります。ベンチャー企業だと考えれば面白いと思います。

愛媛は盤石の自民党王国であり(しかも公明票が加算される)、民主党から出馬することに誰もが尻込みしてしまいます。

都市部では民主党の看板さえあれば楽々当選できる所もあります。その代わり出たい人で行列が出来ることにもなります。

愛媛において次の衆議院選挙で民主党が議席を得られると考える人はほとんどいないと思います。政治を知っている人ほどそう考えるでしょう。

逆転の発想ですが、だからこそ面白みがあります。これほど面白いプロジェクトはちょっと見つからないのではないでしょうか。愛媛は民主党にとってのフロンティアです。

「不可能」に挑むためにあらゆる知恵を出す。自民党という「幕府」を倒す。これほど面白いゲームをやれるのは幸せと言うべきでしょう。


[2003/12/06]  禁酒宣言

酒席の多い時期です。お酒はそれほど強くはないのですが、好きです。が、既に2ヶ月半禁酒を続けています。

民主党政権が出来るまで禁酒を続けます。民主党政権が出来たとき勝利の祝杯を挙げます。

「永久に飲めないな」と言われる方もいます。しかし、自民党政権の余命はそれ程長くないと思っています。

それにしても、お酒の宣伝を見るのが辛い・・・


[2003/12/05]  「テロに屈しない」でいいか?

小泉政権は外交官へのテロを受けて、「テロに屈しない」との論理で自衛隊派兵を行うようです。

元々の判断に誤りがあるのを「テロ云々・・」で誤魔化そうとの魂胆が見え隠れしています。

大義なきイラク戦争への評価が問われています。大量破壊兵器保有疑惑が発端でした。大量破壊兵器が見つからない以上、単なる疑惑による先制攻撃だったことになります。

「誤想防衛」(正当防衛に当たる事実がないのにあると思って反撃すること)あるいは「誤想過剰防衛」を追認する為に「テロ云々・・」の論理を掲げることの不誠実を見逃してはならないと思います。


[2003/12/04]  私が共産党委員長なら・・

今回の総選挙での日本共産党の敗北は、ある意味で社民党より深刻でした。1998年の参議院議員選挙で共産党は15議席を取りました(選挙区7、比例区8)。しかし、2001年の参議院議員選挙では5議席(選挙区1、比例区4)。

2001年は「小泉旋風」という言い訳が可能でした。しかし、今回の総選挙では9議席(2000年は20議席)と惨敗し、国政選挙2連敗となりました。

「2大政党」という流れが定着するとすれば、衰退への道しか残されていないと思われます。しかも、市町村合併は共産党の地方議員の減少に繋がり、「足腰」が弱体化します。

このままでは、共産党はこの国の政治が破綻した場合に躍進するというシナリオしか描けません。「種火」政党になってしまいます。他の政党がつまずいたときの受け皿的機能しか果たしていないのです。

私が共産党委員長なら、「反自民」に全てを賭け、党名変更と綱領の大胆な改訂を行い、民主(社民)との連立により政権奪取戦略をとります。公明党が与党で果たしている役割を野党で果たすのです。公明党とも「和解」します。

「仕掛け」は、自民党打倒後にやればいいのです。真面目な政党だから、そんなことは考えないかナ・・


[2003/12/03]  「さらば外務省!」

前駐レバノン特命全権大使・天木直人氏著、「さらば外務省!」−私は小泉首相と売国官僚を許さない−(講談社)を読みました。

大使として本国に意見具申をしたことで外務省を首になった外務官僚天木氏。彼の描く外務省の姿は悲惨です。こんな官庁が外交をやっているのかと思うと寒気がします。

外務官僚の堕落ぶり、小泉政権の無責任さ、定見のなさ・・・この国に外交というものがあるのかという根本的な疑問が湧いてきます。

外務官僚の世界があまりにも精神的に貧弱であること。それがこの国の官僚制度を象徴するものだけに、官僚支配を終わらせない限り、真の外交もなければ真の政治もないのでしょう。

天木氏は、一般的には十二分にエリートですが、外務省内部からは落ちこぼれエリートのひがみという見方もあり得るでしょう。しかし、「出世」以外の価値を内面に持てない外務官僚には、きちんとした反論はできないでしょう。天木氏の主張は堂々たる正論だと思います。

イラクで犠牲になった外務省職員の志を外務省は活かすことが出来るのでしょうか。腐りきった官僚機構の中で、命懸けで職務を遂行する人々もいるのです。


[2003/12/02]  このホームページがなければ・・

衆議院議員選挙出馬を決意したのが10月1日でしたから、2ヶ月が経ちました。

周囲を説得する自信もなかったし、国会議員になりたいとも思わなかったので、断る理由を探していたというのが本当のところでした。

しかし、自分が問題だと思ったのがこのホームページのことです。民主党県連から要請があってからホームページを読み直してみたところ、ここで断るようだとこれまでの主張と首尾一貫しなくなると判断しました。

ホームページ閉鎖か、出馬決意か。二者択一の判断の中で、出馬を選びました。

「この程度の公約を破ってもどうということはない」と言う首相と同一次元の人間にはなりたくない。その思いがありました。

失ったものは多かったのですが、得たものも多かった2ヶ月でした。


[2003/12/01]  イラク派兵と外交官へのテロ

イラクで外交官がテロの被害にあったことから、イラク派兵がより重要な問題となってきました。

国益と日米関係を中長期的に考えるならば、大義を欠くイラク派兵は中止すべきです。

イラク派兵を中止するならば、小泉内閣は総辞職すべきでしょう。日米の信頼関係を破壊することになるからです。一度約束した派兵を中止する以上、内閣は政治責任を取るべきです。米国政府への謝罪が必要であり、また国民との関係でも約束違反の責任を取るべきだからです。

この問題は、2年前の「靖国神社8月15日参拝」の問題と類似します。一国の総理が繰り返し「8月15日参拝」を約束した以上、これを変更する場合は内閣総辞職が必要でした。

不用意な決断により問題を大きくし、しかも結果責任を取れないのだとすれば、総理としての資質を欠くと言われても仕方がありません。

逆に、中止が出来ないのでこのまま派兵するというのでは丁半博打に打って出るのと変わりがありません。

イラク全土が危険地帯であることを前提とするしかありません。敢えて派兵するというのなら、従来からの論理(安全な所で活動する)を撤回して、危険地帯に自衛隊を派遣することを正当化する立論が必要です。

このまま行くと、

(1)アメリカを裏切る形で派兵を中止して内閣の延命を図る
(2)自衛隊を派兵して何事も起こらないことに賭ける
(3)自衛隊を派兵して事が起こった場合に居直る

のどれかになります。(1)の場合の政治責任、(3)の場合の国民的な動揺。これをどうするのでしょうか。

(3)の場合の延長線上で、自衛隊の海外派兵へのアレルギーを押さえ込むところまでやり切るつもりなのか。それなら一貫性ありと言うことになりますが、これは危険な道に繋がります。


玉井彰の一言 2003年12月 四国の星ホーム前月翌月