玉井彰の一言 2004年2月 四国の星ホーム前月翌月

[2004/02/29]  政権党対第四権

(ニュース)

自民党は27日の役員連絡会で、テレビ朝日番組への党幹部の出演自粛を29日に解除することを決めました。先の衆院選などに関する報道をめぐり同社が役員らを処分したことに伴う措置です。29日は安倍晋三幹事長が討論番組に出演します。記者会見した安倍氏は、「偏向的、不公正な報道が今後行われれば、再度の出演自粛もあり得る」と強調しました。 

(参考)

自民党側が問題とした放送のひとつは、昨年11月4日のニュースステーションで、民主党が政権を取った場合の閣僚名簿発表を伝えた部分です。自民党は11月7日、「バランスを欠いた放送で納得できない」と抗議しました。

ニュースステーションが民主党の菅直人代表ら5人の「閣僚」を約30分間出演させインタビューするなど、選挙期間中にもかかわらず一党のみのPRとなる極めて不公平、不均等な放送をした、というのが自民党の主張です。

テレビ朝日広報部は、「放送の翌日には各党のマニフェストを丁寧に紹介するなどしてバランスを取った。選挙期間中の放送を見てもらえば、特定の政党に偏向していないことは分かるはず」と話していました。

たけしのTVタックルでの映像(藤井孝男氏がヤジをとばしているような映像)も問題となりました。

(コメント)

1984年、愛媛県が高校新設に際し地元自治体から負担金を求めてはならないという地方財政法に違反して松山市に負担を要請したと日刊新愛媛が報道したことに対し、当時の愛媛県知事・白石春樹氏が、事実を歪曲して報道したとして同紙に対して報道資料の提供中止、一切の取材活動に応じないことを決め、実行するという圧力を加えたことがありました(その後、日刊新愛媛は廃刊)。権力にメディアが潰された事例とも言えます。

第四権とも評されるメディアが偏向報道をすると、誤った世論が形成される危険があります。このことへの警鐘を鳴らすことは必要です。

しかし、自民党が取った対抗措置は、政権党としての自制心を著しく欠く行為ではないかと思います。

27日の「一言」でも述べましたが、報道機関の「官報」化が進行している中で、権力による報道内容の規制が露骨に行われることには危険を感じます。

本来、権力は批判されるべきものであり、批判に耐えつつ政策を実現していくべきものです。報道機関は権力を監視することがその任務です。

このことが日常的に行われておらず、政権側の情報が垂れ流されています。他方、野党(野党の政策)についての報道量は著しく少ないのが現実です。

選挙期間中になってやっと、与野党公平に扱われることになっています。自民党はその選挙期間中のことを取り上げたわけですが、小泉政権の場合、通常の期間中での露出度が極端に多いことを棚に上げてのメディア規制は、余りに独善的であると思います。政党なら、言論によりメディア批判をすべきです。

報道機関も、信念を持った報道に徹していただきたいものです。


[2004/02/28]  「日本人を呪縛(じゅばく)した八人の政治家」

民主党参議院議員・平野貞夫氏は、小沢一郎氏の懐刀(ふところがたな)であり、知る人ぞ知る、政界随一の知恵者です。

今年の参議院議員選挙に出馬されないのは残念ですが、より大所高所からの活躍が期待されます。

著書「小沢一郎との20年」(プレジデント社)は平成8年出版。55年体制崩壊前後の政治の舞台裏が描かれています。世間的には誤解を受けやすい小沢一郎氏の人となりがよく分かります。

27日、愛媛4区、はまぐち金也氏のリスタートの会が八幡浜市で行われ、来賓として出席された平野氏に初めてお会いしました。

お会いする前に、昨年末に発行された著書「日本人を呪縛した八人の政治家」(講談社)を読みました。

「・・・めまぐるしく組合せが変わった『平成連立政権』のなかで、政治改革の流れを堰(せ)き止めてきたのはだれか。じつは、世間で言われる『抵抗勢力』とはまったく異なる政治家の名前を挙げなければならない。それは、小泉純一郎、山崎拓、加藤紘一、森喜朗、青木幹雄、野中広務、村山富市、武村正義の八人である。・・」 

私は、村山、武村、小泉の3氏をA級戦犯と見ていました。自民党の裏切りの歴史、そしてYKKの役割を考えると、この「人選」には納得します。

平野氏のこれからの著作に期待します。


[2004/02/27]  官報

桂敬一・立正大学教授(ジャーナリズム論)のコラム「『サマワ取材』に権力とメディアの癒着あり」(3/5、週刊ポスト、40頁)を読みました。

(要旨)

古賀潤一郎議員の学歴疑惑に対する連日のバッシング報道について。「卒業」と新聞のアンケートで答えたことに対し、本来なら新聞社はそれを検証してから掲載すべきであった。その時点で虚偽が分かっていれば、これほどの騒動になったか疑問である。そうみると、今回の報道のあり方はある種のマッチポンプである。

小泉首相、安倍幹事長といった政府・与党首脳の学歴疑惑がテレビ・新聞で報じられないことと比較すれば、「弱い者いじめ」の感は否めない。

なぜ今、新聞・テレビに政権批判ができないのかといえば、政府からサマワに派遣された自衛隊の情報が取れないからである。

報道各社は派遣部隊に関するニュースが欲しいが、官邸はそれを知った上で、政府に都合の良い報道をした社に対して「スペシャルサービス」をしている。

(アメリカのメディアと比較して論じた上で)、日本のマスコミは、自らを体制側のエリートと錯覚しているのか、ともすれば国民の視点に立たないことが多い。このままでは、政府による報道管制が強化されるばかりだろう。

(コメント)

日本国憲法の命脈が絶たれようとしている正にその秋(とき)、日本のメディアは自壊作用を起こしています。自民党筋からの情報に頼った古賀議員バッシングには足並みを揃えるが、政権批判に繋がる小泉・安倍疑惑には及び腰。

自衛隊情報を取りたいが故の政権への擦り寄り姿勢は、強く批判されるべきでしょう。またも、大本営発表型の報道になってしまうのでしょうか。

不思議なのは、中川秀直・前官房長官が写真週刊誌「フォーカス」発行元の新潮社を訴えた名誉棄損訴訟で、内閣官房が広島地裁の照会に応じ、前長官在任中の2000年7〜8月、内閣官房報償費(機密費)として計2億2000万円を中川氏に支出したとの文書を提出したという事項についての報道姿勢です。

田中康夫・信州知事は、政治部記者が官邸機密費で飲み食いさせてもらっているので書けないのだと述べています。

そうかも。近時のメディアが「官報」となりつつあることに強い懸念を抱きます。


[2004/02/26]  ゴーン社長とポルシェ

先日、日産のゴーン社長がドライブ中に事故を起こしたというニュースがあり、乗っていた車がポルシェだったことに首を傾げていました。

週刊朝日を読んで納得。ゴーン氏は週末になると公道で車の試乗をしているそうで、これまで約100台を試乗。その内、日産以外の車が6割です。

勿論、日産にはテストコースもあるのですが、ユーザーが実際に運転する感覚を実感するには公道での試乗がベストであるとの判断で、社長自ら毎週末テストをするのだそうです。

自分の体験を踏まえた上で、それを咀嚼して技術陣に感想を述べていることが技術陣からの信頼に繋がっているとのこと。

なるほど。


[2004/02/25]  200億円

青色発光ダイオードを発明した中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授が、かつて勤めていた日亜化学工業に発明の「相当の対価」を求めた訴訟に対する判決で、東京地裁は対価を604億円とみなし、請求通りに200億円の支払いを命じました。

24日も、人工甘味料の製法を開発した味の素の元社員・の訴訟に対し、東京地裁は1億9000万円の支払いを命じています。

私は高校2年頃まで、自分は理科系に進むものだと思っていました。京都大学理学部志望でした。しかし、ある時ふと考えると、世の中では東大法学部卒が不当に威張っており、理科系に進んでもしがない研究者にすぎず、法学部卒に使われるだけではないか、との疑問が湧いてきました。

理系の勉強が馬鹿馬鹿しくなり、いつの間にか文系志望になっていました。

上記の判決を高校時代に知ったならば、理科系に進んだかもしれません。

200億円もらえるなら目の色を変えて勉強する若者も出てくるでしょう。知恵によってしかこの国は成り立ちません。公正で気前の良い判決に大賛成です。


[2004/02/24]  お金がなくても・・

政党助成金のお陰で、お金がない人でも国会議員になれる時代がやってきました。

23日、24日と東京で民主党の新人研修。徳島の仙谷代議士の指導の下で、初当選の議員と今回落選した予定候補との研修会がありました。

当選者の体験談は大変貴重でした。他の予定候補の頑張りも大したものだと感動しました。

政党助成金がなければ、彼等の内何人かは政治の世界は無理だったと思います。

自民党の腐れ二世が政治を家業とする時代は終わりつつあるのだなあという実感を持ちました。


[2004/02/23]  地方自治における規制緩和

予算が組めないという悲鳴が各自治体から聞こえてきます。

2月8日の一言でも述べたように、地方交付税が今年度比6.5%減の16兆8900億円となり、補助金も1兆円削減されます。ところが、税源移譲などの財源措置は6500億円程度にとどまっています。

しかも、交付税削減に伴って発行してきた赤字地方債(臨時財政対策債)が来年度は28.6%と大幅に削減され、地方自治体が自由に使える一般財源として国から受け取る総額は、今年度と比べて2兆8600億円(12.0%)も減少します。

三位一体改革に対して「詐欺行為」「地方切り捨て」と批判した知事もいるように、昨年末から今年に入る段階でやっと全貌が見えてきて、各自治体が驚愕しました。

歳入面で予見可能性がないのでは、自治について将来展望を持てません。簡単な方程式で歳入の予見ができるようにしなければ、地方の自立は夢物語です。

地方が真に自立するためには、歳入の予見可能性と共に、補助金を撤廃することにより、補助金目当ての無駄な事業への支出をなくし、さらに各種の地方自治への規制を撤廃することが必要です(地方自治法は地方自治規制法!)。

地方自治における規制緩和ができれば、簡素で効率的な自治が可能になります。

その場合、国家公務員は開店休業になり、リストラされることになります。国家公務員が仕事をするふりをするために地方が犠牲になっているという構図を理解する必要があります。


[2004/02/22]  黄色いハンカチ

山田洋次監督の映画、「幸福の黄色いハンカチ」を学生時代に見ました。

刑期を終えた主人公(高倉健)は、刑務所に入った後主人公自身が離婚を申し出ていた妻(倍賞千枝子)に、「おれを待っていてくれたなら、庭に黄色いハンカチを結んでくれ」と手紙を出します。途中知り合った若者たち(武田鉄矢、桃井かおり)とともに家に帰ると、自宅の庭に何枚もの黄色いハンカチがなびいていました。感動の物語です。

この映画をヒントに、イラクに赴く自衛隊員の安全を願う「黄色いハンカチ運動」が全国に広がっています。

運動は自衛隊OBの提案で始まり、50センチ四方のテトロン製の生地を旭川の商工会議所が希望者に1枚100円で配っています。旭川駐屯地など旭川市内各所に黄色いハンカチが掲げられ、各地から申し込みがあります。

これについての報道によると、山田監督は、「映画のハンカチは夫婦愛の証し。戦争に行く兵士の無事を願うこととは本質的に違う」と強い違和感を示しました。

新聞社の質問に山田監督は文書で、「自衛隊員を派兵する町で、黄色いハンカチが見送りに使われるのはとても気になる。イラク派兵が憲法違反ではないかという重要な論点が消えてしまうのが不安だ」と回答しています。

情緒的判断で論理的思考が実質的に封殺される傾向には注意が必要です。

自衛隊員の無事を祈願したい気持ちはよく分かります。そのことだけが前面に出ると、自衛隊派兵の是非論が吹き飛んでしまう可能性があります。

もし仮に、自衛隊員に不幸があれば、「彼等の犠牲を無駄にしない」「テロに屈するな」の論理が支配し、深みにはまることになる展開もあり得ます。

戦前の日中戦争から太平洋戦争に至る経緯が想起されます。


[2004/02/21]  「弱い者いじめだ」

(ニュース)

社民党の福島党首は18日の記者会見で、国会議員数が少ないため党首討論に参加できなかったことについて、「弱い者いじめだ。昨年の衆院選比例区で300万票以上獲得したのに、その国民の声を代弁できないのは民主主義の観点から問題だ」と述べています。 

党首討論の参加要件は、社民党の参院議員もオブザーバーとして加わった2000年2月の衆参両院の国家基本政策委員会合同幹事会で、「衆参両院いずれかで10人以上の会派代表が参加できる」と申し合わせています。

社民党の国会議員は現在、衆議院6人、参議院5人で、この要件を満たしていません。福島氏は「各政党に見直しを働きかけたい」と語りました。

(コメント)

事前に決めたルールが適用されただけの話であり、コメントする価値がない馬鹿げた意見です。勿論、ルール決定時から社民党が一貫して反対していたのなら話は異なりますが、そういうことでもなさそうです。

ただ、ここに社民党特有の問題が凝縮されているように感じました。

私たちは正しい人達である。300万票は正しい民意である。正しい人達に託された正しい意見が反映されないのは非民主的である。

こんな心情なのでしょう。 

300万票以上獲得したから党首討論を認めるべきだというのは、300万票以上獲得が党首討論できる政党の要件だということなのでしょうか(誰が決めたの?)。

今回社民党の主張を受け入れれば、次回200万票だった場合にも、やはり同じような主張をするでしょう。

この論法が許されるなら、選挙で次点の候補者にかなりの票数があった場合、「これだけの支持がある以上、当選と扱うべきである」などということにもなりかねません。

「弱い者いじめ」という言葉は、自分より弱い立場にある者を肉体的・精神的に苦しめることを意味します。今回の場合、大政党がルールを無視して小政党を苦しめたのではなく、ルールを適用した結果小政党が苦しんだだけなのです。

ルールの決定、ルールの適用、結果の受け入れ、ということが理解できないのでは、ルールを決めることが仕事である国会での活動も危なっかしいと言わざるを得ません。

むかし草野球で、三振しても、もう一回打たせてと泣く駄々っ子がいたもんです・・・


[2004/02/20]  景気の実感

先日、テレビで「探偵ナイトスクープ」を見ていると、音痴のおばあちゃんがカラオケをやると100点満点が出るのに、家族(依頼者は音大卒)が歌うと点数が低いのは何故か、という依頼で探偵が出張していました。

おばあちゃんのやり方を真似て、マイクに口を付けてお経を読むように歌うと、全員100点になりました。

内閣府が18日発表した2003年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は年率7%成長と、13年半ぶりの高い成長となりました。

数字だけなら「日本経済は絶好調」と言って過言ではありませんが、実感とはほど遠いものがあります。

「実質成長率よりも、企業や家計の実感により近い名目成長率を重視すべきだ」と指摘する経済の専門家もいます。

本来、名目成長率は「見かけ」で、物価上昇分を差し引いた実質成長率が「実感」に近いはずです。しかし、それはインフレを前提にした話であり、デフレ下では実質成長率の方が上げ底されることになります。10〜12月の成長率も7%でなく、名目の2.6%が実感により近いということのようです。

しかし、地方の実感は、2.6%どころか「ドン冷え」です。私の守備範囲(タクシー)だけを見ると、危険ゾーンではないかという感じです。

一部の産業は好調のようです。しかし、音痴のカラオケ採点装置で点数が表示されたような気がするのはナンデダロウ。


[2004/02/19]  公明党をどう見るか

公明党に対しては、創価学会による実質的な政治支配への懸念が指摘され、公明党の政権参加は政教分離原則に違反しているとの意見もあります。

「公明党と創価学会とは別個の法人格であり、創価学会は公明党の支持団体であるに過ぎないので、公明党が政権党であっても創価学会が権力を行使することにはなりません。したがって、公明党が政権与党であっても政教分離の原則に反しません。」

という解釈で本当にいいのでしょうか(従来、私は疑問を持ちつつ、このように解釈していました)。

実質を見ると、心配なところがあります。他の宗教団体が政党を支持する場合とは極端に異なるところがあります。

創価学会が公明党に対して有する影響力が異常に大きいことに危惧を感じます。そのことの一例が、先頃公明党の神崎代表が突然イラクのサマワを訪問して現地が安全であることを不自然に強調したことに表れています。

創価学会の方々の懸念に対して、党首がそれを無視することが不可能であったという事情が垣間見えます。通常の支持団体との関係とは異質のものがあります。

創価学会が公明党を実質的に支配する関係が、創価学会と自民党との関係にまで拡大する可能性も懸念されます。

民主党・菅代表が18日の党首討論で、公明党に選挙支援を受けた自民党議員が政策で公明党の顔色を気にしていると指摘し、「自民党は自立した党ではなく、自民公明融合新党になっている」と批判したのは、常識的な市民の危惧感を代弁したものだと思います。

昨日問題にした外国人の政治献金禁止の趣旨が外国人(外国)による政治支配への危惧にあるとすると、宗教団体の過度の影響が政治に与える影響についても考慮する必要があると思われます。


[2004/02/18]  外国人からの献金

古賀潤一郎氏にまたまたスキャンダル。

外国人から献金を受けていたというものです。外国人からの献金が禁止されているというのは知りませんでした。しかし、言われてみれば趣旨はよく分かります。

献金を受けることにより、外国人(外国)が実質的に我が国の政治を支配することは妥当ではありません。

このニュースを聞いて、2つのことを考えました。

1つは、古賀氏が献金を受けた相手方が在日韓国人だということです(具体的にどういう事情の方か分かりませんので、古賀氏の場合に以下の議論が妥当するかどうかは分かりません)。在日韓国人には参政権が与えられていません。しかし、この点は考慮の余地があります。

我が国で生まれ育った外国人、しかも歴史的な経緯をたどったとき、非自発的理由で日本で居住せざるを得なかった在日韓国人(朝鮮人)およびその子孫については、参政権を認めるべきだと思います。

参政権を認める場合は当然として、参政権を認めない場合にも、在日韓国人の政治献金は認められるべきです。

彼等には、自らが参政権を行使できなくても、自分が支持する政治家を支援する自由(政治活動の自由)を認めるべきであり、その一環として、政治献金をする自由を認めるべきです。金額の制限さえあれば、実質的な支配の危険はないと思われます。

2つめに考えたことは、企業や団体からの献金です。企業や団体が資金提供をすることが外国人が献金する場合より政治を歪める度合いが小さいとは断言できません。実質的な賄賂ではないかと思われる場合もあります。

企業・団体の献金についても、政治を実質的に支配する危険はあり、金額的な制約を課すべきではないでしょうか。

(1)実質的な支配の可能性(金額)、(2)政策的な要請の有無((1)と(2)との関連如何によっては実質的な賄賂となりうる)、(3)透明度、ということが政治献金一般の問題として考えられるべきでしょう。


[2004/02/17]  ホームレスへのアパート借り上げ

(ニュース)

ホームレスの解消策として、東京都と23区は、民間アパートや都営住宅を借り上げ、低額で賃貸する方針を固めました。入居期間中に就労先を仲介するなどして社会復帰を後押しします。

東京都福祉局によると、昨年8月時点で、全国のホームレスは約2万5000人で、このうち約5500人が23区内に集中しています。

この5500人は、都と23区が設置した4か所の「自立支援センター」に入居している人、生活保護を受けながら民間の宿泊所で暮らす人、公園などに段ボールやシートの家(ブルーテント)で居住している人の3種類に大別されます。

低額住宅への入居を想定しているのはテント暮らしの人で、23区で約2400人いると見られています。都と23区は新年度から2年間で、アパート計2000室を確保します。

家賃は3000円程度を想定し、同じアパートの住民とトラブルが起きないように、入居者100人につき1人の生活指導員を配置。指導員はホームレスの実情をよく知っているNPOに委託し、定期的な巡回で生活をバックアップします。

入居期間は原則2年、個別事情に応じて更新も可能。

(コメント)

ホームレスへの転落は、定まった住居を奪われるところから始まります。これまで暮らしていた住居を追われるとアパートに入居することが著しく困難になります。保証人を求められても無理な場合が多いと思われます。

住居がなければ職探しは困難です、「住所不定」で雇ってくれるところはほとんどありません。社会復帰の第一歩は、居所の確保です。

12日の一言で紹介した「不況!!東京路上サバイバル」に登場するホームレスは、近年の不況が原因となっているケースが多く、生活基盤が整えば社会復帰は可能だと思われます。

しかし、最低の暮らしを知ってしまうことが、従来そうならないように踏ん張っていた緊張感を喪失してしまうことにも繋がるようで、「復帰」は言うほど簡単ではないのかもしれません。


[2004/02/16]  議会をUターン者に解放できないか

過疎に悩む地方自治体が数多くあります。Uターン者を受け入れようにも職場が少なく、打つ手がありません。

発想を転換して、自治体の議員をUターン者に解放することを考えてはどうでしょうか。やる気と能力のある青・壮年層に呼びかけ、都市部から帰ってもらいます。適任の応募者があれば現在の議員が引退して席を譲ります。住民の合意を得て、選挙は無投票とすることにします。

現在の町村部の議員報酬では少ないので、生活ができるような報酬に引き上げます。その分、定数は削減しなければならないでしょう。

議員は常勤とし、地域経営全般(場合によっては職員の仕事も)に関わってもらいます。議員に地域経営を委ねるのです。場合によっては首長も「公募」してはどうでしょうか。

身も蓋もない話のようですが、現在の地方の陣容では地域経営が困難であることを率直に認め、経営合理化に努めるべきです。過疎地では、事態は深刻です。このくらいやらなければ地域経営は無理な段階に入りました。

合併しても辞めたがらない議員だらけの現状では夢物語と言われるかもしれません。しかし、暇な農家のオジサンが戸別訪問をして票を取るというスタイルの政治ではどうにもならないことは、住民の皆さんの方がよく御存知のはずです。

議会を「地域経営委員会」と捉え、議会経費を有効活用するのです。どこかやってくれるところはないでしょうか。合併しないで生き残る気概のある自治体がやってくれれば朗報になります。


[2004/02/15]  除雪ボランティア

過疎と高齢化が進んだ豪雪地域で除雪を手伝うボランティア活動があります。新潟県の雪対策室は1998年から除雪ボランティアを募集しています。

新潟県名立町の不動地区は、標高1430メートルの不動山のふもとに広がる約100世帯が暮らす集落で、毎年3メートル近くの雪が積もります。高齢化が進んでいるため雪掘りもままなりません。

不動地区で14日、県内の6人と、千葉、山梨、東京の3人の、計9人が参加し、名立町内のボランティア20人と共同で雪掘りを行いました。

ボランティアの方々は貴重な体験ができ、地域の高齢者は助かります。

情報のネットワークを整備していけば、様々な領域で体験・経験とサービス提供との交換が可能になると思われます。

行政コストの削減になり、かつ、ボランティアの体験が人生の財産になってくるような組合せを考えていけば、社会全体として新たな可能性が開けるのではないでしょうか。

媒介として地域通貨を利用することも考えていくべきです。


[2004/02/14]  地域の防災・防犯

過疎に悩む小さな自治体は、これからさらに人口減少と超高齢化の波が押し寄せてきます。地域社会を維持する生命線である防災・防犯をどうするのかが大きな課題となります。

伊予市・双海町・中山町の合併においても、双海・中山両町の悩みは深刻です。現在でも役場の職員がいなければ地域の防災は難しいようです。

総合支所方式を採用する1市2町の合併には、行政の合理化の要請に反するとの批判があります。しかし、地域の防災という観点から見ても、役場職員の存在が必要です。

また、近年の治安悪化は、従来はのどかだった地域においても見過ごすことができない問題になってきました。

警察官の増員が予定されていますが、過疎地では人員削減される可能性が強く、防犯ということも地域行政の課題となってくるでしょう。


[2004/02/13]  共産党、候補者立てず

熊本県知事選挙で日本共産党は、再選を目指す潮谷義子知事が川辺川ダム問題で住民討論集会を開催するなど、「県民中心主義」の姿勢を取っていることを評価し、公認候補を立てないことにしました。昨年の鳥取知事選挙でも、共産党は候補者を立てないことに決めました。

共産党が現実路線を取れば、自民党政権にとっては脅威になります。1月26日の日経新聞コラム・風向計で、「日本共産党は自民党の延命装置だ」と永田町でささやかれていることが紹介されていました。

共産党が全選挙区で候補者を立ててくれるお陰で、野党候補が自民党を上回ることが困難になり、自民党政権を永続的なものにしているという評価です。

衆議院議員選挙で共産党が、300選挙区で平均1万5000票取ります。共産党が候補者を立てず、共産党票が全て民主党に流れたとすると、自民党と民主党は伯仲状態になります。

共産党としては、理念と政策で一致できなければ選挙協力はできないという立場であろうと思います。しかし、共産党の「正論」が、結果として自民党を支えているという、「合成の簿謬(ごびゅう)」については、真剣に考えていただきたいものだと思います。

一時期、支持基盤で競合する公明党は、共産党と総得票で競り合っていました。しかし、昨年の衆議院議員選挙では、両者に大差が付いてしまいました。

政権側にいる公明党が、共産票を奪ってしまったのです。公明党のような割り切りができないところが共産党の弱さなのではないでしょうか。

共産党が、国政では圧力団体と化し、民主党候補を選別して応援するとなると、これは民主党にとっても大変なことになります。


[2004/02/12]  ホームレス

「不況!!東京路上サバイバル」増田明利著(恒友出版)を読みました。

28人のホームレスを取材して、それぞれの人生模様を描いています。皆まっとうな人達です。

バブル崩壊、不況、リストラ、倒産・・・

原因は様々です。ついこの間まで普通に生活していた人達が、あっという間に転落してしまっています。転落した後、這い上がる方法がありません。

2002年に「ホームレス自立支援法」が成立しています。実効ある対策が期待されます(同法に反対論があることは承知しています。もう少し勉強します)。

ごく普通の人にも待ち受けている人生の落とし穴であることを理解することが、ホームレス問題の出発点だと思います。


[2004/02/11]  外務省(害無能省)

信州(長野)の田中康夫知事が、外務省のことを「がいむのうしょう」、総務省のことを「そうむのうしょう」と呼んでいます。

外務省については、ほとほとあきれてしまいます。

月刊現代3月号、天木直人・前レバノン大使の特別手記によると、昨年、著書「さらば外務省!」がベストセラーになった天木氏がレバノンを再訪して要人や旧友に会い、中東の情勢を取材しようとしたところ、外務省から、要人等に対して天木には会わないようにとの圧力があったということです(会ってくれる勇気ある要人もいました)。

日本大使館の職員は、当然というか、外務省からの「お達し」で天木氏を避けようとします。主体的な外交戦略を持つことも出来ない外務省が、「裏切り者」を排除するための陰湿な策謀には熱心です。

中東情勢を真摯に分析することなく、対米従属(日米同盟)の論理だけでイラク派兵を決める日本政府の属国的外交方針の下では、外交についての戦略は必要とされていないのかもしれません。

害ある無能な官庁の存在意義とは何なのでしょうか?


[2004/02/10]  人口増加の幻想

単独での生き残りを選択する松前町のこれからについての特集記事を読みました。松前町は人口増加傾向にあるとの議会関係者の発言に注目しました。

合併協議の中で事務局が将来人口の予測について資料を出していたにもかかわらず、この議会関係者に限らず人口減少の予測を認めたくないようです。

松前町はここ1〜2年で人口のピークを迎え、その後緩やかな人口減少に転じます。伊予市と人口規模で同規模の松前町ですが、人口減少のスピードは伊予市を上回ります(この原因は別途考察したいテーマです)。

これまで人口が増加してきた地域ほど、人口減少ということへの想像力が働かないようです。見回すと、まだまだ家屋が増えています。市街化調整区域の規制をはずせという意見も強く主張されています。

これまでの延長線上に未来があると信じたい気持ちは良く分かります。しかし、冷静に現在の子供の数(過去との比較)と流入者の動向とを観察すれば、おおよその見当は付くはずです。

移民受け入れがない限り、人口減少は必至の情勢です。人口減少を前提とした地域戦略が求められます。


[2004/02/09]  新幹線神話の崩壊

空港、道路と並ぶ国家的な公共事業である整備新幹線は、地域活性化の切り札と思われています。果たして、新幹線が来れば地域が活性化するのでしょうか?

8日のサンデープロジェクト(テレビ朝日系)では、新幹線により寂れた地域の例を取り上げていました。

新幹線開通により在来線が切り捨てられます。新幹線の建設と在来線の切り捨てとがセットになっているのです。在来線を三セク方式で生き残らせるとしても、極めて厳しい現実があります(沿線に人がいないのですから)。在来線より料金が大幅アップすることを知らない住民も多いようです。

鹿児島県・阿久根市は、在来線の特急が駅に停まっていました。しかし、新幹線のルートからはずれ、在来線は切り捨てられ、第3セクター肥薩おれんじ鉄道(熊本県・八代市〜鹿児島県・川内市、117km)が残りました(新幹線が開通する今年3月開業)。10年間は何とか支援があるようですけれども、その後の経営は厳しいでしょう。

踏んだり蹴ったりになる阿久根市は新幹線建設に慎重だったようですが、周辺自治体の圧力に屈して同調した結果、「はずれクジ」をつかまされた形です。

新幹線の駅ができれば活性化するというものでもないようです。平成14年12月に東北新幹線が八戸まで延伸しました。新幹線の駅ができた二戸市は、多額の資金を投下して周辺の整備を行いましたが、現状は厳しいようです。

地域活性化のグランドデザインなしの新幹線誘致は、公共工事が去った後、地域の衰退を加速させることにもなりかねません。


[2004/02/08]  予算が組めない

財源不足で各自治体の2004年度の予算が組みづらくなっています。

国から配分される地方交付税や、財源補てんのために国が発行を許可する地方債はともに大幅に減る見通しです。自前の税収を合わせても、現時点で予定している支出を賄いきれない恐れがあります。

来年度は小泉内閣が進める「三位一体改革」の初年度にあたり、地方交付税が今年度比6.5%減で、補助金も1兆円削減されます。一方で税源移譲などの財源措置は6500億円程度にとどまっています。

加えて、6日閣議決定された地方財政計画では、交付税削減に伴って発行してきた赤字地方債(臨時財政対策債)も、来年度は28.6%と大幅に削減されました。これにより、地方自治体が自由に使える一般財源として国から受け取る総額は、今年度と比べて2兆8623億円(12.0%)も減少することになります。

赤字予算を回避するには、支出を削ったうえで、税徴収率の強化や貯金である基金の取り崩し、地方債増発などの収入確保策が必要になります。 

先日、沖縄県の平良(ひらら)市が赤字の予算案を発表して国への抗議の意思を表しました。これに対し総務省の香山事務次官は5日の記者会見で、「法律上、予算は単年度主義であり、自治体は赤字予算を組んではいけない。収入見積もりに合わせて歳出を切るべきだ」と批判し、沖縄県を通じて是正を指導する考えを示しました。

小泉内閣の地方切り捨て路線が本格化してきました。7月の参議院議員選挙では、地方の方々が中央に対し「御無理御尤(もっと)も」という卑屈な態度でこれからもやって行くのかどうかが問われます。


[2004/02/07]  自らへの規範の当てはめ(安倍問題)

安倍・自民党幹事長の学歴疑惑については、新聞各紙やテレビでも報道され始めました。

安倍氏の事務所は(1)78年1月から12月まで南カリフォルニア大学で政治学を履修した。(2)79年の春学期(1〜4月)も履修登録し、通学もしたが、就職で帰国するため同年3月に登録を取り下げた。(3)2年目の履修記録は残っていないと説明し、週刊誌報道を大筋で認めました。

安倍氏本人は6日の会見で「(民主党の批判は)意味が分からなくて戸惑っている」と述べています。

安倍氏は、古賀潤一郎議員の問題で判断の基準(規範)を示しました。

(1)経歴は有権者が投票する際に重要な事柄である。
(2)経歴を詐称したのであれば、大きな問題であり、公選法  違反に当たる可能性もある。
(3)(経歴詐称の)道義的、政治的な責任は極めて重い。事  実なら辞職に値する。

この規範は、古賀氏には当てはめるが、安倍氏自身には当てはめないのでしょうか。他人に厳しく対処する者は、自分にはより厳しい規範を持つべきではないでしょうか。

安倍氏の「留学」は、実態として「遊学」というべきものではないでしょうか。「駅前留学NOVA」と大差ない経験を、選挙でのハク付けに利用したものであり、古賀氏が「卒業」と記載して格好をつけたのと本質的な差違がないように思えます。

「南カリフォルニア大学政治学科留学」と言いたいのであれば、最低限、政治学について学んだという証拠(一定の単位)が示されなければならないでしょう。

安倍氏が北朝鮮問題で筋を通したことについては、評価することにやぶさかではありません。しかし、これも考えてみれば、他人に厳しく自分に甘い性格が偶々北朝鮮問題については上手く作用しただけかもしれません。

安倍氏は、対談をまとめた共著「この国を守る決意」を今年出版しています。この本でも「南カリフォルニア大学に2年間留学」と記載しています。

書店に並んでいる「著書」はリコール(回収)されるのでしょうか。


[2004/02/06]  「学歴ロンダリング」(4日の続き)

こんな言葉は知りませんでした。5日の朝日新聞の記事、「学歴は頼りになるか」で、コラムニスト・小田島隆さんの言葉。

「古賀議員は、政治家の子弟の間ではやった『学歴ロンダリング(洗浄)』をやろうとして失敗したんでしょう。」

マネーロンダリング(不正取引等で得た資金を、銀行口座を転々とさせるなどして資金の出所を誤魔化すこと。資金洗浄)なら知っていましたが。

インターネットで検索するとそこそこ「検索結果」が出てくるところを見ると、一部で使われている言葉なのでしょう。意味は、学歴に自信がない人が外国に留学したり、有名大学の大学院に入学するなどして、学歴を「きれいにする」ことだそうです。「経歴ロンダリング」という言葉も検索に掛かりました。

安倍幹事長に関する学歴問題について朝日新聞の報道によれば、南カリフォルニア大学で政治学を学んだことは確認されたものの、在籍は2学期間(1年)であり、南カリフォルニア大学に2年間留学したとする安倍氏側記載の半分の期間ということになります。政治学の単位取得の有無については、本人の許可がなければ大学側は答えられないとのこと。

このことを私が大きく問題にするのは、安倍氏が1月20日の記者会見で、「経歴は有権者が投票する際に重要な事柄だ。経歴を詐称したのであれば、大きな問題であり、公選法違反に当たる可能性もある」とし、さらに「進退は本人が判断すべきだが、道義的、政治的な責任は極めて重い。事実なら辞職に値する。」と述べ、厳しい基準で経歴問題を見ているからです。

安倍氏の問題がこのまま「セーフ」だとするならば、学歴ロンダリングに成功した安倍氏と失敗した古賀氏との違いの本質が何なのかよく分からなくなってしまいます。古賀氏の対応が稚拙だったということだけなのでしょうか。

安倍氏の「留学」は、語学研修に毛が生えただけのもののようです。大学を卒業した者がさらに学業を極めたいという学問的情熱による留学とは程遠い感があります。

「留学した」という経歴が将来選挙に役立つだろうとの計算によるものだとすると、「有権者が投票する際に重要な事柄」と十二分に知った上での経歴紹介であり、事実との食い違いは、「単なる間違い」ではすみません。

本質的にはどうでもいい学歴問題ですが、政治家の出発点における虚偽をどう考えるのかということからすれば、ゆるがせにはできないと思います。

当選すると、それ以降は「国会議員」という経歴が過去の経歴を抹消しても余りあるものになってしまいます。初当選後に発覚したからアウトで、数回当選後なら「些細なミス」でセーフというのでは著しく均衡を欠く話です。


[2004/02/05]  出征

<2月4日、朝日新聞の4コマ漫画、「ののちゃん」>

お母さん:イラクは戦地なんやろか?

お父さん:戦後の混乱のようにも見えるけどな。

テレビで見送り式を見ながら、

おばあちゃん:イラクで戦争してるんかどうか、わたしには分からんけど、あれはアンタ、どこから見ても出征やで。

(コメント)

どんな理屈をつけても、自衛隊員は出征兵士としての悲壮な覚悟で出て行ったのです。

自衛隊を海外に出すのは、国会でキチンとした議論をつくした後にすべきでした。彼等の活動が憲法に則ったものであり、名誉ある出発であるようにすることが政府の責任です。

国政に携わる者の仕事とは、煎じ詰めれば、外交と防衛です。それ以外の仕事で忙しく、外交・防衛について考える暇がないというのならば、外交・防衛以外の仕事は全て地方に委ねるべきです。

宿題をやらずに、いつも泥縄の対応というのでは、月給泥棒です。古賀潤一郎氏が経歴詐称の責任を取って歳費を受け取らないと言ったことを、「寄付行為に当たるからできないことを知らないのか」と鬼の首を取ったように言って、バカにする人が多いようです。しかし、最も大切な仕事をしない政府・与党の方々が平然と給料を受け取ることの方がおかしいと思います。

イラク復興には議論が間に合わないことを諸外国に説明する義務が、総理大臣にありました。今回は、自衛隊派兵以外の貢献をすることにより国際社会に対する責任を果たすべきです。

それでも日本は良くやったと世界から言われるパフォーマンスを示すことこそが外交能力であり、政治家の手腕です。

政治家の無能の証明としての自衛隊派兵では、彼等自衛官が可哀想です。小泉氏の自己保身の犠牲になるのでは浮かばれません。


[2004/02/04]  目くそ鼻くそを笑う

自民党の安倍晋三幹事長は、1月27日の記者会見で、学歴詐称問題で進退を問われている民主党の古賀潤一郎衆院議員が議員辞職しない考えを表明したことについて、「古賀氏には道義的な責任があり、その候補を公認した責任が政党にはある。党として本人を処分すべきだ」と述べています。

今度は2月13日号の週刊ポストで、安倍幹事長の留学経歴疑惑が報じられています。

かつて安倍事務所が後援会向けに作成したプロフィールには、「南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学」とあります(ホームページでは、「南カリフォルニア大学政治学科留学」)。

週刊ポストによると、安倍氏は南カリフォルニア大学に入る前に1年間語学学校で語学の勉強をしており、その後1年余り南カリフォルニア大学で学んでいます。ところが、「専攻」はなく、取得したコース(講座)は6つ。うち3つは外国人のための英語。政治学の単位はゼロ。取得単位は24で、卒業できる数字ではありません。

これも経歴詐称だと思います。大学名を出した場合、「中退」と書かない限り、一般の方は卒業したと思うでしょう。しかも、普通の人なら1単位も取れてないのに「政治学科留学」とは恥ずかしくて書けないはずです。

ちなみに、安倍氏の祖父・岸信介元総理(故人)は、東京帝国大学法学部で、民法を習う学生で知らない人はいない大学者・我妻栄先生と1番2番を争った伝説的秀才です。

こんなことを書いている私に関しても、あいつは○○大学を卒業していないとの怪文書が昨日伊予市内にまかれました。妻に怪文書を見せたところ、「本当に大学を卒業したの?」と冗談半分で言われ、卒業証書を妻にはじめて見せました。

古賀潤一郎氏の経歴問題がマスコミに出た直後、仕舞っていた卒業証書を探し出していたのでした。

ところで、あと何人こんな奴がいるのでしょうか?某有名大学卒の政治家の中に裏口入学した者が多いとも言われています。「入学詐称」、「卒業詐称」など、詐称の形態別に調べないと不公平になるのかもしれません。


[2004/02/03]  比例代表への重複立候補

衆議院議員選挙で、小選挙区の候補者が比例代表ブロックに重複立候補することがあります。民主党はほとんどの候補者が重複立候補しています(私もそうでした)。自民党も大半の候補が重複立候補です。

この制度のために、小選挙区で黒白(こくびゃく)を争うという形になりにくい面があります。政権を担当する政党を選ぶということからすれば、完全小選挙区制が望ましいと思います。現実的議論としては、比例枠を縮小すべきです。

落選したはずの候補者が復活するということの不自然さをなくすためには、重複立候補を新人の場合にだけ適用するということも考えられます。新人の登竜門として比例枠を活用するのです。

これが厳しすぎるのであれば、新人と3期目までの現職に限定することが考えられます。若手が次期の当選のみに集中して、肝腎の国政に集中できなくなることを防ぐためです。ベテランは小選挙区で負ければ浪人するか引退すべきです。

法律で決めなくても、政党がこのようなやり方を採用すれば、その政党の姿勢に対して有権者の支持が得られるのではないでしょうか。


[2004/02/02]  南伊予村

伊予市は昭和30年、郡中町(私の地元)、北山崎村、南山崎村、南伊予村の1町3村が合併して出来た市です。

1月31日、南伊予地区(旧南伊予村)で、有志から合併協議会離脱の理由を説明して欲しいと地元の市議に要請があり、説明会が開催されました。

どういう雰囲気なのか興味が湧いたので、傍聴してきました。松前町と接する地域であり、松前町との関係を気にする方が多いようでした。

全市1区の選挙であるにもかかわらず、地元在住の議員を「地元選出」と考える傾向があるようで、地元市議は地元のために尽くすのが当然であるとの前提で議論されていました。

住民の側から見ると、地元の小字あるいは集落があり、もう一つ大きな単位として大字があり、さらにもう一つ大きな単位である小学校区=南伊予地区があるのですが、南伊予地区の方々にとっては、同地区が政治的意味での地域の単位なのでしょう。

まだ昭和の合併がこなれる前に平成の合併がやってきたという印象でした。

全市的視点というより、地域を中心においた議論がなされているにもかかわらず、大きいことはいいことだという合併の論理が同時に語られているのが不思議でした。

行政は大きい方がより良いサービスを受けられる。しかし、地元意識を持てるのは、より狭い範囲ということなのでしょう。政治的な単位が奪われて50年近く経つのに、元の政治的単位で物事を考えていることをどう評価すべきなのか、考えてしまいました。


[2004/02/01]  派兵是非論の前に

イラク派兵について、賛成する人が増えているようです。既成事実ができてくると、それを追認する方向に「慣性の法則」が働くのでしょうか。

イラク戦争に大義があろうがなかろうが、イラク復興に人的貢献をすることが必要である。人的貢献の内容は自衛隊派遣である。それにより日米関係が維持でき、北朝鮮の脅威に対抗するためにアメリカの力を借りることが可能となる、という論理が国民心理を揺さぶっています。

この論理は、世俗的説得力を持っています。しかし、考えるべき幾つかの事柄が省かれています。

大義の問題は極めて重要です。この点をおろそかにすることは、日本が明確な基準で行動する国ではないということを世界に示すことになります。国際的な信頼を失い、日本に対する警戒感を醸成する不利益があります。

イラク復興に人的貢献が必要かどうかも議論しておくべきです。お金で解決することは不可能なのでしょうか。湾岸戦争で人的貢献をしなかったので被害国のクエートにに感謝されなかったことが持ち出されることがあります。しかし、感謝しないクエートに対しそのまま黙っていたのだとすると、それもおかしな話です。国際社会に対して資金援助の必要性・有効性をアピールできない外交能力のなさを克服すべきです。

平和憲法を掲げる日本の立場を説得力を持ってきちんと説明できれば、信頼に繋がります。また、独自の存在感を示すことも可能です。

以上の諸点がクリアできないときに、人的貢献の必要性が肯定されます。そして、この場合でもNGOへの支援という方法もあります。

また、ノーと言った場合に日米関係はどの程度破壊されるのかということもキチンと分析しておく必要があります。現在の日米経済の依存関係の中でアメリカが日本を見捨てることが可能かどうか。

北朝鮮暴発のリスクの測定もキチンと行われるべきです。リスクに対応するコストにどの程度まで堪えられるのかの分析も必要です。コストを無限大にすることは不合理です。

憲法違反となる自衛隊派兵を行うことによる憲法秩序の破壊がもたらす不利益をどう判断するのかも問われます。

当然、どの段階で撤兵するのかも、様々なケース毎に考え、シミュレーションしておくべきです。

様々な考察が可能な局面です。そんなに急いで何処へ行くのか。戦前の日本が何故か焦り、急いだことへの反省をしっかりとすべきです。


玉井彰の一言 2004年2月 四国の星ホーム前月翌月