玉井彰の一言 2004年3月 四国の星ホーム前月翌月

[2004/03/31]  君が代で教員大量処分

(ニュース)

今月行われた都立高校と盲・ろう・養護学校の卒業式で、君が代斉唱の際に校長の職務命令に従わず起立しなかったとして、東京都教育委員会は教職員を処分する方針を固めました。

起立しなかった教職員は約180人に上り、150人以上が処分対象になるとみられます。「日の丸・君が代」をめぐっては異例の大量処分です。

都教委は昨年10月、都立学校の式典で「国旗は壇上正面に掲揚。国歌斉唱の際は起立する」などと従来よりも厳格な指針を定め、教職員が従わない場合は処分対象になることを各学校に通達し、一部の教職員らが反発していました。

(コメント)

ルールは守られるべきです。ルールを守らない教員が処分されるのは仕方ありません。

以上。

とはいかないのではないでしょうか。

石原東京都知事が現憲法を認めず、破棄せよと主張していることとの整合性を検討する必要があります。

イラク派兵により憲法9条が蹂躙されていることとの整合性も検討されるべきです。

この国は、法(憲法)が支配せず、国旗と国歌が支配する国になったのでしょうか。

ルールは守られるべきです。まず、最高法規たる憲法が尊重され、守られるべきです。その上で、法律が守られるべきです。

占領下の憲法など・・という反論を聞いてもらいたいのなら、現行の国旗と国歌の由来に疑問を呈する方々の意見を真摯に聞く姿勢があって然るべきでしょう。

都教委が都知事から独立した立場で教員を処分するのだと信じる人は少ないと思います。都知事は、自らの「信念」を語る前に国旗と国歌を嫌う教員達の意見を聞くべきです。

信念対信念の対立を権力者が力で踏みつけて解決しようとする殺伐たる話です。


[2004/03/30]  テロと戦う覚悟

小泉総理曰く、国民にはテロと戦う覚悟がある。だからこそ小泉内閣を支持してくれている。

衆議院選挙で自民党が勝ったということは、国民がイラク派兵を支持したということになります。政治的な意味としてはそういうことです。

それでは、国民はテロと戦う覚悟があって小泉政権を支持したのでしょうか。それは違うと思います。

北朝鮮の脅威が喧伝され、アメリカに見捨てられたら我が国の安全保障の仕組みが崩壊するとの恐怖心からの現政権支持というのが実態に一番近いでしょう。

恐怖心からのイラク派兵支持という国民心理からテロと戦う覚悟に到達するには、二段階以上の心理的飛躍が必要です。

この間隙(かんげき)を埋めるためには、巧みな世論操作が必要です。完全な表現の自由が保障されている限り、この間隙を埋めることは至難の業(わざ)です。

表現の自由というのは、要するに権力批判の自由であって、権力をチェックできる情報提供の自由と権力を批判する精神とをその構成要素とします。

今、その意味での表現の自由が風前の灯火(ともしび)となっています。権力礼賛の自由を謳歌し、官報となりつつあるジャーナリズムの中にあって、周辺部で権力批判の精神が残存する週刊誌への事前抑制が行われることが意味するものを吟味する必要があります。


[2004/03/29]  事故の予兆

三菱自動車のタイヤ脱落死亡事故、六本木ヒルズの回転扉の死亡事故は、共に製品に構造的な欠陥があったものと見られます。

どちらの場合も、死亡事故に至る前に大きな事故が起こるかもしれないと思われるような前兆ないしは予兆があったようです。

タイヤの脱落は死亡事故以前に幾つも報告されており、回転扉の事故も頻発しています。

想定外の事故だったという言い訳が通用しにくい事故であり、「事件」です。

組織内に、小さな事故の中に本質的な問題を見出し、根本的な対策を講じるべきであるという意見が全くなかったとは思えません。そういう意見が封じ込められるような企業風土があったのではないでしょうか。

行け行けドンドン型の発想が支配しているときこそ、細部にこだわり、慎重に物事を考える必要があると思います。

日中戦争において、慎重論は時代の空気にかき消されました。イラク派兵問題においても、慎重な態度が軽視されないようにすべきだと思います。


[2004/03/28]  本日、五色姫復活祭

平成元年から始まった伊予市の春祭り、女性の祭典・五色姫復活祭も第15回となりました。3月の第4日曜日(午前10時〜午後3時)に開催されます。

今年は、一般代表の五色姫と小学生の五色姫がそれぞれ舟で街を行進します。女性御輿かきくらべ、女性のど自慢も開催されます。のど自慢には、今治のアイドルユニット・バリッ娘(こ)がゲスト出演してくれる予定。

晴れの予想です。一日晴れると、日差しがきついので、顔が真っ赤っかに腫れます。そうなると、イベントは成功です。

イベントというのは、当日やることは極わずかで、その前後が大変です。毎月第3土曜日の寿楽市を含め、イベントに費やす時間は相当なものがあります。

「政治活動は何時やってるんだ」と、民主党からクレームが付きそうです。


[2004/03/27]  都市を嫌う権利

(ニュース)

信州・田中知事が住民票を長野市から(通勤困難な)泰阜(やすおか)村に移した問題で、長野市は26日、住民基本台帳法に基づき、住所認定の知事決定を求める申出書を県に提出しました。

知事は同法に基づき、60日以内に住所を決定します。知事の住所を知事自身が決めるという異例の事態となりました。

住民基本台帳法によると、市町村は知事の決定に不服の場合、30日以内に行政訴訟を起こすことができます。長野市は知事が泰阜村を住所として決定した場合、行政訴訟を起こす方針です。

(コメント)

長野市から見て、実質的本拠地である同市が田中知事に行政サービスを提供しているにもかかわらず、知事が他の自治体の住民として登録されているというのは耐え難いことなのかもしれません。

当然ながら、多額納税者である田中知事から住民税が取れない不利益もあります。

しかし、たまたまある自治体の区域に住んでいるからその自治体の住民(としての権利を有し義務を負うもの)だと決めつける必然性があるのでしょうか。

客観的状態としてはその自治体に帰属していても、主観的にはその自治体に帰属する意思がない状態というのは是認されないのでしょうか。

「住民自治」というところから考えると、住民としての意識を積極的に否定している人を自治体の構成員であると認定すべきかどうか疑問です。

仮に、田中知事が泰阜村の住民であって、知事に当選したため、泰阜村から県庁に通えないのでやむを得ず長野市に居を構えたのだとしたら、長野市はこれほど強硬に主張することはなかったのではないでしょうか(泰阜村住民は知事になれないのか!)。

もう少し話を広げると、大きな都市にしか職を得られない人は数多くいます。その人達にとっては、故郷から通える範囲に職がないことの不条理があります。故郷への帰属意識に忠実に生きる権利というものを認めてもいいのではないでしょうか。

逆に言えば、「都市を嫌う権利」というものを認めてもいいのではないでしょうか。職を得るためにやむを得ず居住している場所と、住民として自治を担いたい場所とを峻別し、後者を選ぶ権利を与えられるべきではないでしょうか。このことは、特に首都・東京で職を得ている人達にとっての権利として言いたいところです。

ところで長野市は、田中知事に住民としての意識を持ってもらえなかった「不徳」を恥ずべきなのかもしれません。


[2004/03/26]  無年金障害者

(ニュース)

学生時代に事故や病気で重い障害を負った元大学生4人が、当時任意加入だった国民年金の保険料を支払っていなかったことを理由に障害基礎年金を不支給とされた処分の取り消しと、一人当たり2000万円の賠償を国側に求めた訴訟の判決が24日、東京地裁でありました。

東京地裁は「障害を負った学生が保険給付を受けられるよう立法的手当てをしないまま放置したことは法の下の平等を定めた憲法に違反する」と述べ、「違憲状態を放置したのは違法」であるとして、救済措置を取らず放置した「立法不作為」を指摘し、国に計1500万円の賠償を命じました。

1989年に国民年金法が改正されて強制加入の対象になるまで、学生は任意加入でした。このため、学生の加入率は1〜2%に過ぎず、学生時代に国民年金に加入しないまま、成人になってから重い障害を負った場合は、障害基礎年金の支給を受けられませんでした。

判決は、障害基礎年金制度が創設された85年の同法改正に着目しています。当時は大学進学率が高まっており、障害を負った時期が20歳の前か後かで支給の可否が分かれる学生の人数も急拡大していた事情を踏まえずに、「国が何らの措置も講じなかったことは憲法違反だ」と結論づけました。

(コメント)

学生であっても20歳以下なら、事故や病気で障害を負った場合、障害基礎年金を受け取ることができます。

同じ大学生だありながら、19歳までは受け取れて、20歳を1日でも過ぎたら受け取れないというのは、いかにも不条理です。

障害基礎年金を受給すると老齢基礎年金の保険料は免除されますが、無年金であるがゆえに、老齢基礎年金の保険料を支払わなければなりません。これも不条理です。

制度の谷間で不幸な状態を強いられている4000人にのぼる学生無年金障害者を代表して行われた今回の訴訟でした。

制度を硬直的に運用するだけで、結果の不条理に目をつむる。それで仕事をしたことになるのでしょうか。制度に関与する人々(立法や行政の責任者)に結果の妥当性についての問題意識を持てる余裕と正義感とが欠如している現在の政治のあり方への一石です。


[2004/03/25]  家康寡(か)に付く

中学校で漢文を習いました。「家康寡(か)に付く」というタイトルだったと記憶しています。徳川家康に関する文章が出てきました。

家康は子供の頃、喧嘩(けんか)をするのに、常に数の少ない方で戦っていたという話です。本当の話かどうかは別として、将来天下を取る家康は、自分の力を付けるために敢えて優勢な側では戦わなかったという逸話です。

愛媛の民主党は、参議院選挙区での候補を決められないでいます。候補者が決意できない事情として、家庭の事情もあります。また、劣勢の中で戦う決意ができない場合もあります。

選挙という戦(いくさ)に負けても命を取られるわけではありません。恵まれた時代に生まれたものです。

勇気ある有能な候補者の出現を期待します。私は、下働きをしたいと思っています。

劣勢の中での戦いこそ面白い。自民党の世襲議員には到底分からない浪漫があります。


[2004/03/24]  未納国民年金の支払い

(ニュース)

小泉首相は23日の参院予算委で、国民年金の未納分の支払いが原則過去2年までしか遡(さかのぼ)れない問題について、「法律的処置が必要なら再検討すべきだ」と述べ、法改正を含め、遡る期間の拡大を検討する考えを表明しました。

民主党の浅尾慶一郎議員が「時効制度を改め保険料徴収を強化すべきだ」とただしたのに答えたものです。

(コメント)

過去の「一言」でも述べたことがありますが、国民年金の未納者が支払おうと思っても、過去2年分しか支払うことができません。

社会保険庁がコマーシャルに起用した女優の江角マキコさんが、国民年金保険料を長期間払っていなかったことが問題になりました。江角さんは今月に入り、遡って支払うことができる最長限度の2年分の保険料を一括で納めたということです。

江角さんの場合、払おうと思えば過去に渡り全て支払うことも可能でしょう。それが制度的にできないというのもおかしなものです。

年金額計算上の都合、(障害)年金を受ける必要ができたときに、損得計算をして、さかのぼって支払う場合がでてくる、等の理由はあるのでしょう。

不合理と思える部分については、それに対応する方法があり得るし、さかのぼって支払う部分については高めの金利を設定すればいいと思います。

払えない時期もあったが、今は払えるという人もいるはずです。

制度が崩壊し掛かっている今、未納者の比率を下げる工夫を最優先すべきだと思います。


[2004/03/23]  議員の首長兼務

(ニュース)

全国知事会(会長・梶原拓岐阜県知事)の第7次自治制度研究会は22日、地方自治の新しいシステムについての報告書をまとめました。

首長については多様な形態を認め、議員が知事や市町村長を兼務できる間接公選型システムの導入などを提言しています。
 

報告書は、首長は、地域の事情に応じて選ばれるようにするべきだとして、直接公選制を改めることを提唱しています。

議員の中から首長を選ぶ「委員会制」のほか、議会が行政の運営を専門にする人を採用する「支配人制」を取り入れることも求めています。
 

憲法93条が首長について、地方自治体の住民が直接選挙で選ぶことと規定していることから、知事会は、憲法上の関連規定の見直しについても考え方をまとめていく予定です。

(コメント)

地方自治のあり方は、地方の住民が決めるべきものです。地方自治法が地方自治の分野に過剰な規制をしていることは改められなければなりません。

憲法93条に規定される首長の直接公選制についても見直されるべきだと思います。首長の選任方法も地域の実情に応じて住民が決めるべきであり、一律にこうあるべきものだと決めつけるべきものではありません。

地方自治体の首長というのは、大統領というよりマネージャーに近いものかもしれません。経営能力のあるマネージャーを雇い、マネージャーが住民の代表者たる議会に経営についての説明責任を負うという構成をとることも地域の実情如何では有効な自治のあり方だと思います。

最近の全国知事会は頑張っています。


[2004/03/22]  ミュンヘン・サッポロ・ミルウォーキー

ビール戦争が激化しそうです。

その中で、サッポロビールのドラフトワンに注目しています。低迷をしていたサッポロビールが、エンドウ豆を原料とした新たな飲料を開発し、発泡酒よりも安い価格で発売しました。

麦芽も麦も使わない製法というところに興味を持ちます。

「ミュンヘン・サッポロ・ミルウォーキー」「男は黙ってサッポロビール」。サッポロビールの一世を風靡したキャッチコピーが多くの人の脳裏に刻み込まれています。

テレビでビール会社の商戦にスポットをあてた特集を見ました。アサヒビールのスーパードライがキリンビール断トツのビール業界の図式を変えたことは記憶に新しいところです。

アサヒに続く一発逆転劇が起こるのかどうか、見守りたいと思います。

スッキリした味わいだそうですが、現在禁酒中(民主党政権誕生まで)の身ですので、これを飲むのは政権交代後ということになります。


[2004/03/21]  公設秘書と親族

(ニュース)

自民、民主両党は19日、幹事長・国対委員長会談を開き、公設秘書制度の見直しについて、法律で採用を禁止する親族の範囲は配偶者にとどめ、それ以外の親族の採用禁止の扱いは各党が党内規で対応することで合意しました。

親族の採用禁止の範囲については、民主党が3親等以内を提案したのに対し、自民党は配偶者と直系尊属(両親、祖父母、養父母、養祖父母)を主張しました。

(コメント)

子女を公設秘書にする。ここは自民党にとって譲れないところなのでしょう。

自民党の議員(候補)が選挙にかける実質的な費用は、民主党などの及ぶところではありません。地盤の培養にはかなりの費用と手間暇をかけます。

その努力と費用とを考えたとき、この「資産」を一代で終わりにしたくないという感情が芽生えたとしても不思議ではありません。

子女がとびきり優秀ならば特別な配慮は必要ないでしょう。しかし、親から見て頼りない場合が多いのでしょう。公設秘書にして政治家見習いをやらせたいということになります。

世襲のニーズがある限り、子女を公設秘書にすることを禁じることを自民党に求めても無駄です。もっとも、自民党のことですから、抜け道が見つかれば世論に配慮して妥協することはあり得るでしょう。

ところで、先日死去した自民党税調のドン・山中貞則氏は、「政治家は一代限り」を信条としていたそうです。薩摩隼人というべきでしょうか。


[2004/0.3/20]  コラム(1月10日)の訂正

1月10日のコラム(「愛媛新聞の報道姿勢」)について、ある方より、愛媛新聞の関連会社名が具体的に出されていることの適否、および、電算業者の選定について、プロポーザル方式による採点の後、合併協議会の決定に至る前に協議会から伊予市が離脱したことから、「業者が選定された」という完了した形の表示がなされていることの適否について御指摘をいただきました。

この点を考慮した結果、御指摘を妥当と考え、表記を訂正することにしました。A社にとっては関わりのない話とも言えるので、御迷惑をお掛けした部分もあると考えます。

その点、謹んでお詫び申し上げます。なお、コラム全体の趣旨に変更はありません。


[2004/03/19]  北方ジャーナル事件

田中真紀子前外相の長女に関する週刊文春の記事に対する差し止め命令の当否を判断するにあたっては、昭和61年の大法廷判決(北方ジャーナル事件)の基準が参考になります。

北海道知事選挙出馬予定者に対する月刊誌・北方ジャーナルの私生活に渡る誹謗中傷の記事に対する事前差し止めの仮処分に対する出版者側からの損害賠償訴訟。

憲法が禁じる事前抑制禁止の例外として裁判所の仮処分により出版の事前差し止めが認められるのは、

(1)表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的でないことが明白であって、

(2)かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞がある時は、

当該表現行為はその価値が被害者の名誉に劣後する事が明らかであるうえ、有効的適切な救済方法としての差止めの必要性も肯定されるから、かかる実体的要件を具備するときに限って、例外的に事前差止めが許されるものというべきである・・・

北方ジャーナル事件の被害者は公人であり、田中真紀子氏の長女は公人の娘ではあっても私人です。その意味では、田中氏の長女のプライバシーが守られるべき度合いは大きいと言えます。

しかし、被害が重大で著しく回復困難な損害を被るかどうかということに関しては、知事候補が受けるダメージは回復困難だと言えそうです。

文春の記事に「表現の自由」を語る資格があるかどうかはいささか疑問ですが、「くだらない表現」の自由が「外堀」として守られなければ、民主制の死命を制する本命の表現の自由も風前のともしびになってくると思われます。

悩ましい事例ですけれども、今回の田中氏の長女の問題は事後的手段でプライバシーを法的に保護すべき場合だと思います。

ただし、現在の報道が小泉政権に迎合的でありすぎることに無反省でありながら、「表現の自由」をことさら強調されても素直に同調しがたい気分です。


[2004/03/18]  携帯の記憶喪失

栃木での研修中、携帯をトイレに落とし、記憶がなくなりました。バックアップを取っていませんので、一から携帯番号の確認をさせていただきます。そういう事情ですので、よろしく。


[2004/03/18]  合併と選挙区

市町村合併により選挙区を異にする自治体と合併した場合、衆議院の選挙区が変わるのではないかと考えられる方もいらっしゃるでしょう。しかし、そうはならないようです。

愛媛で言えば、北条市や中島町は松山市に編入されますが、愛媛1区になるのではなく、従来通り愛媛2区のままです。

衆議院の小選挙区は、1票の価値を可能な限り平等化するため、人口を基準にやや強引に選挙区の区割りをしています。そのことから考えても、松山市のような有権者の多い選挙区が合併により肥大化することはないであろうという予測は出来ると思います。

衆議員の小選挙区は、公職選挙法の別表1で具体的に定められています。13条3項は、「別表1に掲げる行政区画その他の区域に変更があっても、小選挙区選出議員の選挙区は、なお従前の区域による」と規定しており、合併後も小選挙区は変わりません。

一体感の乏しい地域が1つの選挙区となっている場合があります(例えば、愛媛2区)。住民感情を重視した一体感のある選挙区の方が有権者の関心は高まります。しかし、1票の価値の平等を実現することも重要です。

過疎地域の人口減少が顕著になってくると、1票の価値の偏りを是正するため、さらに不自然な区割りになっていくことが予想されます。

「地域の代表ではなく、国の代表」という意識を有権者の皆さんに持っていただく必要があります。

候補者も自らは選挙区を選べず、選挙の直前に抽選で決められるという制度も考えられて良いのではないでしょうか(例:四国から出馬する候補者は四国の選挙区の中で抽選する)。

個々の候補者(現職を含む)の事前運動は無意味になり、政党の日常活動が問われることになります。

賛成する議員は少ないでしょう。


[2004/03/17]  高橋尚子の「落選」

「泣いて馬謖を斬る」ということになります。

今回の女子マラソンのアテネ五輪代表の選出方法は、私情を交えない、正当なものだと思います。

しかし、選ばれた選手にはかなりのプレッシャーが掛かるでしょう。

そもそも、選考の「基準」に誤りがあったと思います。実績で選ぶ部分と選考会で選ぶ部分とを併存させるべきでした。

馬謖は諸葛亮・孔明が将来を託そうとした有能な部下でしたが、宿敵・魏との戦いで軍律に背いて軍を敗北に導いたため、孔明は軍律に照らし泣く泣く馬謖を処刑しました。

法(ルール)は守られなければなりません。しかし、孔明亡き後の蜀の人材難を考えると、馬謖のような有能な人材を殺してしまったことが大局的に良かったのかどうか、考えさせられる故事です。


[2004/03/16]  研修を終え帰宅

栃木県・那須で缶詰になり、民主党の1期目の議員と次期公認内定者のための研修を受けました。

好感の持てそうな方々ばかりでした。比例復活組が小選挙区で勝ちきり、今回落選組が頑張ればかなり展望が開けそうな気がします。

先輩諸氏の経験を踏まえた選挙の方法論には、傾聴すべきものがありました。

公認内定組で切磋琢磨する環境が整いつつあります。

それにしても、うかつな失敗。水洗トイレの便器に携帯を落とし使えなくなりました。明日取り替えに行きますが、データが消えていたらどうしよう。


[2004/03/15〜16]  民主党の研修

栃木県にて1泊2日研修。


[2004/03/15]  神経中枢

私は、地方主権型の地方自治が必要であると繰り返し述べてきました。

その眼目は、地方に中枢神経を張り巡らせるということです。現在の地方には決定できる事柄が少なく、裏付けとなる財源もない状態です。

現在のこの国は、首都・東京に巨大な神経中枢があり、地方は単なる手足として従属した状態になっています。

このことにより、地方で富を生み出すことが極めて困難になっています。ことに、知恵が価値の源泉となる知価社会の到来により、巨大神経中枢を持つ東京に富が偏ってくることになります。

東京で価値を創造してもらい、地方はその分配を適正に行うことにより豊かさを享受するというこれまでの生き方が今後も続けられるのかといえば、それは政治的に困難であると言わざるを得ません。

また、東京一極集中の弊害もあります。中央集権国家の限界がここ十数年の我が国経済の停滞に象徴されています。中央集権と官僚支配を打ち破り、地方から富を創出することが国全体を発展させるためにも必要となっています。

そのためには、地方に神経中枢を移植し、知価社会対応型の地方をつくることを真剣に考えなければなりません。

地方が自らの才覚で生き残っていくには、権限、財源に加えて人材が必要です。人材供給源の1つは官僚機構です。

官僚機構を解体して人材を解放するとともに、地方が「政府」としての機能を備えていくことが戦略的に追求されるべきです。


[2004/03/14]  フリーター 417万人の衝撃

2001年のフリーター人口が417万人だということが発表され、衝撃を与えています。

NHKの番組でこのことが特集されていました。「若者」といえる年齢なら、まあそんな生き方もあるのかなとも思います。

しかし、フリーターから足を洗うことは大変困難です。番組では、30代のフリーターの苦悩を映し出していました。

年齢が進むほど、正規の就職は困難になり、職業人としての技能を鍛えられることなく、年を取っていくことになります。

フリーターと正社員との垣根がなくなりつつあることも指摘されています。フリーターと能力を比較され、正社員の給与が引き下げられるのです。

フリーター間に序列・階層を設けることにより、フリーター同士を競わせることも行われているようです。
 
一生をフリーターとして生きる人が激増すると、高齢者になったときの年金問題が深刻なものになります。彼等に最低限度の保障が与えられる年金制度が必要です。

年金に消費税を充てることが不可避だと思います。


[2004/03/13]  若くして政治に志すこと

ここのところ、民主党の候補は若い人が多くなっています。自民党も負けじと若返りを図っているようです。

私は若い頃、政治家になるという発想がなかったので、20代、30代で国会議員を目指すという人の感覚が今ひとつ分からないでいます。

40年も50年も国会議員をやってどうするのだろう、というのが率直な感想です。もっと色んなことをやったらどうだろうかと思います。(自民党で20代〜30代前半から始めた人は、「総理候補」にはなっているようですので、「早い方がいい」というのも全く分からないという訳ではありません。)

国政一筋というのも妙なものです。若い頃から政治に携わるとしても、様々なポジションをこなしてみたらどうでしょうか。

国→市区町村→都道府県など、様々な組合せが可能です。国政が一番上で、地方は下座。そんな固い頭ではこれからの政治を革新することはできません。

総理経験者が市長になる、ということもあっていいでしょう。

柔軟な頭で政治を考えたいと思います。10年あれば何事かを成し遂げてみせるというくらいの気概でいたいものです。

時代の流れは速い。


[2004/03/12]  「獄窓記」(続)

3月9日の続き。

「獄窓記」(山本譲司著)読了。何よりも、読み物として面白い作品です。

国会議員から受刑者へ。想像を絶する挫折感があると思われます。その中で自分を見失わず、冷静に運命を受け入れ、前向きに生きていこうとする姿勢に共感を覚えます。

刑務所の人間模様が生き生きと描かれており、受刑者から見た刑務所内外の世界が分かるような気がします。

秘書給与詐取事件は残念でしたが、山本氏には政治家としての大切な資質が備わっているように感じました。

この経験を生かして、もう一度政治にチャレンジして欲しいというのが率直な感想です。


[2004/03/11]  秘書給与詐取の犯罪性

名義借りによる秘書給与詐取は詐欺罪であるということになっています。国から秘書の給与を騙し取ったということなのですが、本当に「被害」があったのでしょうか。

もちろん、名義借りをしなければ支出しなくて済んだ国のお金を支出することになったのですから、被害ありということになります。

しかし、議員1人あたり政策秘書を含む3人までの秘書給与は支出が予定されているのだから、秘書給与として予定されている範囲を超えて国からお金を出させたものではありません。被害を与えたという認識は当然弱くなります。

予算として予定されているのだから、名目はともかく、議員側がもらうべき金であると考えたとしても、その考え方が著しく犯罪的な発想だとは断定しがたいと思います。

それでも、きっちりと詐欺罪の構成要件に該当しているところにもの悲しさを感じます。

同様のことが警察の裏金問題にもうかがえます。支出の名目の問題であり、その背景に実際上の必要性があるという点で同じような構造にも見えます。

同じようなことをやらかしている警察・検察と一部国会議員とが詐欺罪を検挙する側とされる側に分かれて対峙している姿が滑稽(こっけい)でもあります。

これらとは対照的に、「巨悪」というものは、大きすぎて犯罪の網の目に掛からない仕組みになっています。与党の要職にある政治家にお願いして菓子箱に「小判」を敷き、「越後屋、そのほうも・・・」「お殿様こそ・・」などと言い合っていても、「お縄」にはなりません。

贈収賄罪の要件としての「職務権限」がないと解されるのです。法律というものは、ちゃちなこそ泥しか捕まえられない構造になっています。なぜなら、泥棒が泥棒を捕まえるルール(法律)を作っているからです。

「マクロ的視点」から秘書給与詐取問題を見ると、「重箱の隅」という気がしないでもありません。


[2004/03/10]  違法と合法の間

公職選挙法は、それに違反するのかどうかが分かりづらく、警察に検挙されたから悪かったんだなと分かる場合が多いようです。

私も、公職選挙法に違反する行為が何なのかはっきりとしないことが多く、困っています。

ある方から言われました。要するに政治活動・選挙運動は全て違法であり、警察がある人物を捕まえようとすれば、証拠さえ押さえれば全て捕まえられるのだと。要は、睨(にら)まれたら終わり。

これもおかしな話です。こういうことがまかり通るという現状を追認しながら活動を行ってきた政治家達の合法・違法の感覚は、必然的に歪んでしまいます。

全てを違法としておいて、司法当局が捕まえたい者を捕まえるというのでは、順法(遵法)精神の芽生えようがありません。

議員秘書給与疑惑についても、かつての国会議員の感覚では、捕まらないように上手くやるかどうかの問題だったのでしょう。佐藤観樹氏の場合、自分は元国家公安委員長だから捕まらないという意識だったと想像されます。

交通違反、取り分けスピード違反の場合など、制限速度を皆がほとんど守らないような低い速度に抑えておいて、自然にスピードが出てしまうところで取り締まりを行い、引っかかった人から反則金を取るというやり方です。

要領の悪い人=犯罪者ということではなく、誰が考えても悪いと分かる行為だけを犯罪とする方向に変えていくべきです。そうでなければ自由な社会とは言い難いと思います。


[2004/03/09]  「獄窓記」

元衆議院議員・山本譲司氏の著書、「獄窓記」(ポプラ社)が評判になっています。手元に置き、少しずつ読んでいます。

民主党の若手ホープだった山本氏が、秘書給与詐取疑惑で検挙され実刑を受け、出所した後に書かれたものです。

政治家は、その志を遂げるためには是非とも選挙で当選する必要があります。当選すると、当選し続けなければ仕事が中途半端になってしまいます。

志→当選→連続当選、というサイクルを絶対視すると、盤石の地盤を持っている人以外は、際限のない政治活動(選挙運動)を強いられます。

私設秘書を1人でも多く雇う方が有利です。十二分な政治活動を行おうとすると、お金は幾らあっても足りません。山本氏は苦し紛れに、越えてはならない一線を越えてしまいました。

読了後にもう一度取り上げます。山本氏の著書をじっくり読んでみたいと思います。本を買ってパラパラめくっている段階で佐藤観樹氏の事件が発覚しました。

佐藤観樹氏の事件への感想。季節はずれのゴキブリを見たという印象です。


[2004/03/08]  さらに、小泉・安倍疑惑

小泉・安倍両氏の学歴詐称疑惑について、さらに一言。

政治家の家に生まれ、世襲という下駄を履いた上に、さらに「学歴ロンダリング」というシークレットブーツを履いて政界に登場した彼等には、叩き上げの「初代」にはないスマートさがある反面、自分で築き上げてきたものがないだけに、政治における現実的利害調整の機能を軽視し、「国家」に寄りかかった超越的な議論をする傾向が見られます。

これは、彼等の自信のなさの裏返しだと思います。自民党の世襲議員一般に見られる傾向として、戦争というものの惨憺(さんたん)たる面より、国家(の武力)による正義の実現という抽象的な命題に惹(ひ)かれる傾向があるように思います。特に、安倍氏の北朝鮮への「正義感」ぶりが顕著です。

田中角栄という叩き上げの政治家は小学校卒でしたが、政治家になって凄まじい勉強をしたと言われています。これには官僚も脱帽したそうです。彼は、学歴がないという強いコンプレックスをバネに尋常一様ではない努力で這い上がってきました。

また、田中やそれに繋がる「抵抗勢力」の政治家は、自らの戦争体験から平和への思い入れが強く、「弱者」への配慮も人一倍強いという傾向があります。そういう一面と、利権型のダーティーな部分とが同一人格に併存しているという複雑な政治家たちです。

自民党は、土建屋のオヤジのような方々から、颯爽(さっそう)たる貴族のような世襲議員集団へと変貌しつつあります。私は、そこに危険な兆候を感じています。

オヤジたちの狡(ずる)さと暖かさと妙な平和主義とがない交ぜになった懐の深い保守主義から、行け行けドンドン型のバカ息子政治への移行過程にある現在の政治状況を警戒しつつ見守る必要があります。

彼等、「武田勝頼」型の政治家が国を滅ぼすのではないかとの懸念を消せません。

「『下駄』を履くのは許す。しかし、あとは自力でやれよ。」というのが私の率直な気持ちです。自力で乗り越えた部分がないと、政治家としてあまりにも平板だと思います。

ブッシュもそうですが、「苦労」を徹底して避けてきた連中の勇ましい言葉の軽薄さに反吐(へど)が出る、と言えば分かりやすいでしょうか。

学歴ロンダリングの安倍氏が、野党の新米の学歴詐称に対して「辞職に値する」と言ったことについては、自らの言葉に対する重い責任が発生していると思います。

(3月4日、2月27日、2月7日、2月6日、2月4日の「一言」参照)


[2004/03/07]  源泉徴収

国民が主人公であるという意識を持つために必要なことの1つが、源泉徴収制度を廃止することです。

サラリーマンの多くは、自分の給料を手取額で考えています。給与総額から社会保険料を引き、所得税・地方税を引いた残りが手取り収入です(実際には組合費等の控除項目があります)。

自分の給料からどれだけの税金が引かれ、どれだけの社会保険料負担が必要かを知るところから主権者意識が芽生えます。

サラリーマンが所得を自己申告し税金を支払う。社会保険料を支払う。そのことを通して、自分が負担している税金と保険料とを把握し、その使い道について関心を持てば、政治のあり方についてその人なりの意見を持つようになるでしょう。

なお、会社から見たサラリーマンの給与は、社会保険料の会社負担分も含みます。これが大変なんです。ほんと。


[2004/03/06]  主婦駅員

(ニュース)

九州新幹線の部分開業(13日)に伴いJRから経営分離され、同時開業する並行在来線「肥薩おれんじ鉄道」(八代―川内間、二十七駅)は、沿線自治体の出資による第三セクターであり、徹底した合理化を行うため、駅員業務は外部委託します。

熊本県八代市の八代駅と日奈久温泉駅は、地元のまちづくり団体が担当します。メンバーの大半は主婦です。

両駅の委託を受けるのは「ネット八代」。「昔のにぎわいを取り戻したい」と地域住民が一昨年結成した「八代駅前DE賑(にぎ)わい隊」を母体とし、これまでまちづくり勉強会や物産展などを開いてきました。現在は特定非営利活動法人(NPO法人)化を目指しています。

昨年秋に八代市が業務委託を打診。これに応え、「肥薩おれんじ鉄道の開業は、駅と周辺の活性化のチャンス。女性パワーで親しまれる駅にしたい」と女性七人を駅員に選びました。

業務は切符の販売や改札、駅構内の清掃が主で、八代、日奈久温泉両駅にローテーションで常駐配置されます。給料は時給方式で、「ハンバーガー店並みの時給になりそう」だと関係者は話しています。(西日本新聞を要約)

(コメント)

これからの自治体経営について参考になる話です。地方自治体の業務のほとんどはアウトソーシング可能です。

純然たる公務員は企画部門だけという事態も想定すべきです。

地方が戦略的に生きていくためには、考え得るあらゆる手段を採用すべきだと思います。

ただし、中央集権的発想を前提とした「地方の無駄を削る」ということであってはなりません。それでは中央集権加速の論理になってしまいます。

国の無駄こそ徹底的に切りつめられなければなりません。


[2004/03/05]  国家公務員のビラ配り

警視庁公安部は3日、昨年の衆院選で日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」号外などを配布した社会保険庁職員を国家公務員法違反(政治活動の禁止)容疑で逮捕し、自宅や共産党千代田地区委員会など計6カ所を家宅捜索しました。

国家公務員法は、選挙権行使を除く国家公務員の政治活動を禁じています。昭和42年に北海道猿払村の郵政省職員が当時の社会党候補のポスター掲示を集配人に依頼したとして起訴された「猿払事件」では、1審、2審が「国家公務員法の適用は、憲法が保障する表現の自由に反する」として無罪と判断しましたが、最高裁で逆転有罪の判決が出ています。

今回逮捕された公務員は休日にビラ配りをしただけであり、公務員であっても私人として活動したに過ぎず、ビラ配りをしたことが「行政の政治的中立性とそれに対する国民の信頼を裏切った」と言えるかどうか疑問です。

公務員であることと、国民の1人であることとの調和点をどこに求めるかが問題になります。

私は、公務員も主権者たる国民であることから考えて、職務に関連しての行為については中立性が要求されるけれども、私人としての行為については個人の自由が尊重されるべきだと思います。

そんなことより、「公安」とはどういうことか。部署が違うのでは?

すでに一連の捜査を終えた衆院選について、選挙の取り締まり担当部局ではない公安部が今になってビラ配布を理由に逮捕するのは異常です。

こんな捜査に無駄な労力を使うヒマがあるのなら、国民の安全を守るための警察活動にもっと力を入れてもらいたいものです。


[2004/03/04]  嘘(うそ)

折れたタバコの吸い殻で、あなたの嘘が分かるのよ・・

往年の大ヒット曲を思い出してしまいました(古いね)。与野党を問わず、秘書給与疑惑、学歴詐称疑惑のオンパレード。

取り分け重視したいのは、小泉首相と安倍幹事長の学歴詐称疑惑です。メディアが大きく扱っていないので、大した問題ではないと思っている方が多いようです(だからこそ、繰り返し問題にします)。

政治家の家に生まれたボンクラ息子が、政界にデビューするに当たって「シークレットブーツ(背を高く見せるために、踵《かかと》に細工をした靴)」を履(は)いた、というのが事の本質です。

「世襲」という下駄を履いた上でなお、シークレットブーツを履かざるを得なかった小泉・安倍両氏とはどういう人物なのか。

実際の身長とは異なり、当選を重ねるうちに「身長」が伸びるのが政治家のキャリア(経歴)というものです。彼等には重い肩書きが付いてしまったのですから、現時点でシークレットブーツが必要ないことは当然です。そうだからこそ、余計にしっかり検証されなければなりません。

「学歴ロンダリング(洗浄)」(2月6日の「一言」参照)による地位獲得が小泉・安倍両氏の政治的出発点であるということが、その後の彼等の政治家としてのありようにどのような影響を与え、そしてそのような政治家が要職に付くことが国家にとって何を意味するのかということについての検討が必要ではないでしょうか。単なる学歴偏重という問題ではないと思います。

小泉・安倍両氏の演説や答弁を聞くと、床屋政談の延長線上でしか語っていないことに愕然とします。分析力に優れた優秀な政治家が質問しても、彼等に掛かるとチンプンカンプンな話にされてしまい、結果、「攻めあぐねている」という評論をされてしまいます。これでは政治のレベルを著しく落としてしまいます(これを庶民的というのなら、お追従(ついしょう)と言うべきでしょう)。

「今更学歴を蒸し返しても意味がない」という政治部関係の記者の判断があるのかもしれません。しかし、この間の政治報道を見る限り、政権側に遠慮して報道を自粛したというのが正解ではないでしょうか。

コラムニスト・小田嶋隆氏の意見が参考になります(週刊ポスト)。

人がどこで嘘をつくのかは、逆に何を一番重要視しているかの物差しになる。学歴を詐称する人間は極めつきの学歴主義者ということになる。」

「タバコの折れ具合」をしっかり見極めるべきだと思います。


[2004/03/03]  パート公務員

(ニュース)

政府は2月26日、地方経済活性化のため国が地方の取り組みを支援する「地域再生推進プログラム」を与党に提示しました。

地方公務員のパート採用制度創設や地域通貨の導入支援など、地方自治体などが政府に提案した673件の地域再生構想の中から担当省庁が「実施可能」と判断した141件の支援措置を盛り込みました。

地域再生本部(本部長・小泉首相)でプログラムを決定し、地域再生推進関連9法案を今国会に提出します。

支援措置は全国で実施する118件と、対象地域を限定する23件とがあります。自治体側はプログラムで認められた措置の範囲内で地域再生計画を作成して5月に申請し、政府が6月にも認定します。

「パート地方公務員」は全国で実施する支援措置の一つで、民間のパート労働者と同様、正規の職員とは別に勤務時間と任期を限定した公務員を地方自治体が採用できるようにするものです。

公立学校の図書館司書や役所の窓口業務などでの採用を想定しています。正規職員の雇用抑制による歳出削減効果も見込まれます。

(コメント)

公務員がフルタイム雇用されなければならない必然性はありません。その意味では、パート公務員制度の採用は当然のことだと思います。

これが単なる「目玉」となってしまうことを恐れます。もっと全般的な自治の規制緩和(さらに規制撤廃)が必要です。

「あれは駄目、これも駄目」でこれまで地方自治体はやってきました。これでは本物の自治は無理です。規制の一部解除がニュースになること自体が残念なことです。

国に決めてもらう必要など、そもそもないのです。


[2004/03/02]  社民党のリストラ

(ニュース)

昨年11月の衆議院議員選挙大敗により、今年の政党交付金が約12億円と前年比で約5億円も減らされた社民党は、財政危機に陥ったため、人員削減(リストラ)をはじめました。

2月27日から全職員43人を対象に希望退職の募集を開始。全職員の約3分の1にあたる15人削減を目標に掲げています。これにより約1億円の経費減額につながる見込みです。

これに対し、党職員側は「『雇用を守る』という党の労働政策と矛盾している」「仲間を仲間と思わないやり方はおかしい」と反発しています。又市幹事長は「断腸の思いだが、人件費を切り詰めざるを得ない」と理解を求めています。

(コメント)

一般論として、売上(政党交付金)が激減したのですから、リストラは不可避だと思います。

しかし、社民党の政策との整合性が取れているかどうかの検証は必要でしょう。

また、彼等が「同志」であり、単なる「労使」の関係ではないとすれば、最初に考えるべきは「皆が等しく耐えていく」ということだと思います。給与の一律3分の1カットという方法も考えられます。

そのことを考えたが無理だったというのなら、仕方がありませんが。


[2004/03/01]  オイ!警察、検察

先の衆議院議員選挙で選挙違反とされた事例に「買収」があります。買収というから投票を依頼し対価として金員を支払ったのかと思えば、選挙に動員したアルバイトに報酬を支払ったというものです。

政治活動は信条を同じくするボランティアによってなされるべきであり、運動員に報酬を支払うのは「買収」に該当する。届け出のあった運転手、車上での運動員等の場合は例外としてこれを認める、という論理です。

政治活動のお手伝いをボランティアでやってくれる人がどれだけいるでしょうか。警察・検察の方々は、極めて美しい世の中を前提として選挙違反を取り締まっています。政治活動を手伝って駄賃をもらおうなどというのは汚らわしいということなのでしょう。

ところが・・

警察の裏金問題が注目されています。捜査協力者に支払われる捜査報償費の一部で裏金を作り、餞別(せんべつ)や慶弔費、組織内飲食に利用していたことが明らかになっています。元大阪高等検察庁公安部長の三井環氏の証言から、検察でも行われていることが想像されます。

組織を円滑に運営するためには「潤滑油」が必要なのでしょう。その「ニーズ」はよく分かります。

しかし、国民の皆さんはボランティアで政治活動をしてください。我々は公金で裏金をつくって飲み食いしています、というのでは辻褄(つじつま)が合いません。


玉井彰の一言 2004年3月 四国の星ホーム前月翌月