玉井彰の一言 2004年4月 四国の星ホーム前月翌月

[2004/04/30]  閣僚、国会議員未納問題のけじめ

坂口力厚生労働相は28日の衆院厚生労働委員会で、納めなかった国民年金保険料をさかのぼって支払える追納期間を現行の2年から5年程度へ延長する考えを表明しました。

2年間の追納の時効を迎えたために徴収できなかった保険料が過去17年の合計で8兆円強に達していることが、厚労相の発言につながっています。

しかし、これでは現在問題になっている閣僚、国会議員の未納問題の解決にはなりません。年金制度の改革案を提出している内閣の一員が義務を果たしていなかったことは、制度への信頼を根本的に損なうものです。国会議員の未納も、国民の代表として年金問題を議論する前提を欠くと言わざるを得ません。

制度を一から見直さないと国民の不信感を払拭できません。加えて、「時効?」にかかった部分についてもキチンと支払ってけじめをつけなければ国民の納得を得られません。

公職者については、国民年金掛け金支払い義務の時効を廃止し、全額を支払わせるべきです。しかし、掛け金支払いの恩恵を受けさせるのも妥当ではありません。

緊急立法により、支払いを希望する現職閣僚、国会議員について(および、未納を潔しとしない国民)は全ての未納部分の支払いをさせるとともに、支払いに伴う恩恵に浴さない緊急立法を行うべきです(支払いを希望しない閣僚・国会議員は淘汰されるでしょう)。

その前提として、全閣僚・国会議員についての年金履歴を公表すべきです。色々と困ったことが明るみに出るでしょうが、膿は出し切るべきです。プライバシーを主張するのは、公人と個人の区別を知らない議論です。

ちなみに、私は25歳以降、国民年金または厚生年金に入っています。学生時代の25歳までは支払っていません。できれば、25歳までの分を国民の義務として支払いたいと思っています。この分の恩恵を受けたいとは思いません。

支払いたい者、支払うべき者の支払いを拒否するような鈍くさい制度を維持する理由はないと思います。

厚労相の役人が、ザルで水をすくうような現行制度を改革しようとしないのは無責任の極みです。所詮他人の金だから「バケツ」に穴が空いていても気にならないし、自分達も「つまみ食い」することに良心の呵責(かしゃく)を感じないのでしょう。


[2004/04/29-2]  祝・手づくり交流市場「町家」開業

伊予市中心市街地活性化のための事業の1つ、街の交流拠点、手づくり交流市場「町家(まちや)」が開業します。

街の顔となる施設であり、市民の交流スペースです。インキュベーション機能(新規事業者の立ち上がり支援)を有する施設であり、地域の産物を販売する施設でもあります。


[2004/04/29-1]  そして・・・誰も知らなかった・・

国民年金未納問題は、閣僚7人と菅・民主党代表の名前が挙がる結果となりました。

「赤信号、皆で渡れば・・・」ではありませんが、何となく一人ひとりに対するインパクトが乏しくなってしまいました。江角マキコさんのときは何だったんだと言いたくなります。

未納7閣僚と菅代表の場合について検討すると、それぞれ知っていて払わない場合でないことは明かであり、周囲の関係者の判断ミスが原因と考えられます。未納問題の原因の1つが浮き彫りにされた形です。

菅代表の場合など、厚生省のトップだったときの話ですから、厚生省の取り巻きがトップの身辺に遺漏がないかどうかをチェックすることができたはずです。

プロのはずの厚生省(現・厚生労働省)でさえ見過ごしてしまうほど訳の分からない制度を国民に押しつけているんだということが白日の下にさらされました。

制度の弱点を知っており、しかも国民年金未納問題の原因について真剣に考えている役人が1人でも厚労省にいれば、こんな体たらくにはならなかったはずです。「想定外の事態だった」という役人答弁が通用するのでしょうか。

政府・議会関係者の誰もが知らない、誰にも分からない制度を国会で議論しているのだという間抜けな事態を深刻に受け止めたいと思います。


[2004/04/28]  自然債務

債務者が自ら進んで債務を弁済(支払い)すれば有効な弁済となるが、債権者の側からは履行を訴求する(裁判所に訴える)ことができない債務を自然債務といいます。消滅時効にかかった債務がそうです。

麻生、中川、石破の国民年金「未納3兄弟」は、過去2年間しか保険料を支払えません。中川氏の場合、未納額が240万円にもなるようです。全額支払ってもらいたいものです。かと言って、「寄付」するのは公職選挙法違反になります。

この分野の専門知識がないので自信はありませんが、国が請求できない保険料を自然債務であると解釈して、国の受け取りを認めることはできないのでしょうか。

解釈上無理だというのなら、立法で解決すべきです。債務者が任意に履行した場合の話ですから、法律の遡及を認め、「未納3閣僚」にも支払う「自由」を与えるべきだと思います。

ただし、一般の未納者のことまで考えると、2年を超える過去の部分についても支払いを認め、一定の効果(割は良くないが、ある程度の見返りがある)を付与すべきです。

「公職選挙法違反」ということにも疑問を持ちます。学歴詐称の古賀潤一郎氏が歳費を返上すると叫んだときにも感じたことですが、すべての寄付を公職選挙法違反というのもおかしなものです。

議会の懲罰的決議があることを前提に支払わせればいいと思います。不名誉な場合の寄付が選挙に有利なはずがないのですから。

未納「3兄弟」に懲罰決議を!


[2004/04/27]  様々な無党派

25日の衆院補選の結果についての岡田・民主党幹事長の談話で、「埼玉8区は予想以上に投票率が低迷したことが主たる原因」であるとの分析が示されています。

投票率が低くなると旧来の自民党支持層に加えて、公明党の組織票の重みが増してきます。民主党サイドの「勝手読み」では、投票率が高くなると、無党派層が民主党に投票してくれるのではないかとの期待があります。

しかし、投票率が高くなっても無党派層が民主党に投票するとは限らないと私は思っています。

無党派層の中には、(1)かなり政治意識が高く、必ず選挙に行く方々と、(2)選挙の争点に関心がある場合には選挙に行くが、そうでない場合には行かないという人もいます。あるいは、(3)自分の1票に価値がありそうであれば投票する(ドラマティックな選挙を期待)が、そうでなければ評論家に徹するという人もいると思われます。

組織や団体に拘束されない都市型有権者とはそういう、つかみどころのないものです。(2)(3)の方々に重い腰を上げていただく選挙戦略が練られるべきでしょう。また、(1)の方々の「眼力」に耐えられる政治活動がなされているかどうかの検証も必要です。

党本部ではかなりの分析をやっているはずですが、「投票率が低かった」と言うだけでは、共産党が「反共攻撃に負けた」と総括するのとあまり変わらない話になります。

「自由な」有権者は確実に増えています。彼等は、「補選」の結果を注視し、今後の政局を観察しながら、「次回」の投票行動を決めるでしょう。

「年金国会」での自民党の態度、民主党の手際が試されています。「無党派」抜きでの選挙は考えられなくなってきました。


[2004/04/26]  0勝3敗

25日の衆院議員補欠選挙は、自民党の全勝でした。

景気が上向きであるとの報道がある中で、民主党のイメージ低下(学歴詐称問題、秘書給与詐取)があり、しかも、イラク人質問題を契機に内閣支持率が上向きになったことを考えると、「そうなのかな」という感想です。

しかし、7月の参議院議員選挙までには、まだまだ紆余曲折がありそうです。参議院議員選挙では、年金問題について有権者の皆さんの審判をいただきたいと思います。

報道には表れないこの国の深刻な事態を有権者の皆さんに伝えきれるのかどうか。参議院議員選挙と次期総選挙までの民主党の「宿題」です。


[2004/04/25]  下下の話題

民主党・菅代表が、国民年民未納の閣僚、麻生太郎、中川昭一、石破茂の3氏を「未納3兄弟」と呼んでいます。

小泉首相は「うっかりしてたんでしょ」とコメントしていますが、これはこの問題の深刻さを全く理解しない人の無責任な見解です。少なくとも、現行制度を前提に掛け金値上げの提案をしている政府の要職にある者が、「うっかり」で許される問題ではありません。

麻生太郎氏は、衆院補選の自民党候補応援演説などの日程を急きょ取りやめ。埼玉県所沢市内の自民党候補の選挙事務所には24日朝から「麻生氏を呼ぶべきではない」という支持者の声が寄せられていました。

中川昭一氏は、富山市で開かれた自民党県連パーティーで挨拶しようとしたところ、会場から「お前にしゃべる権利はない」「恥を知れ」などとヤジを浴びせられました。

麻生、中川、石破の「3兄弟」に共通する特徴は、「世襲」ということです。そして、選挙に強く「失業」を意識せずにすむことです。

一般庶民や、選挙で冷や冷やしている国会議員なら、老後を意識して、自分はどのくらい年金を掛けてきたかなと考える瞬間があるはずです。しかし、彼等3人にはそんな心配はなく、年金問題などというのは「下下の話題」でしかありません。

そういう人達に自分達の老後における最大の関心事である年金問題を議論して欲しくないというのが、庶民の偽らざる気持ちではないでしょうか。

しかも、彼等は江角マキコさんのような「女優」ではなく、その道の「プロ」のはずです。もしや、政治に無関心なので「うっかり」していたのか・・・ あり得なくはない・・

彼等の「功績」を挙げるとすれば、現在の国民年金制度には「うっかり」したり、無関心であることにより、「未納」を必然的に生み出す欠陥があること、および、年金制度の「一元化」が必要であることを自ら証明してくれたことです。

閣僚未納問題が「3」兄弟で済むのかどうか、しばらく見守りたいところです。


[2004/04/24]  「公務多忙のため」

4月14日の「一言」で述べた国民年民未納の閣僚が実在しました。麻生太郎、中川昭一、石破茂の3氏です。他の閣僚は会見でいずれも滞納・未加入はないと答えましたが、加入期間を詳細に明らかにしたのは坂口厚労相だけであり、これ以外にいるかどうかは不明。

女優の江角マキコさんが国民年金未納だったことが発覚したとき、かなりの反響がありました。江角さんは、CM降板、出演料返還ということになりました。

江角さんの件について、当時のニュースをたどると、安倍・自民党幹事長は、「国民年金に対する信頼感が少し棄損された気もする」と遺憾の意を表明。福田官房長官は、「いやあ、面白い話というか、深刻な話。ちょっと間が抜けたような感じもする」、「あえてそういう人を選んだのかなあと。どうなのか、私自身測りかねる」と苦笑しながらの感想。

国民年金の空洞化が問題になっており、政府が提案する年金制度の改革案では早晩制度が崩壊するのではないかとの懸念も広がっています。

閣僚レベルでも、最低16.7%の空洞化率。これで国会に「改正案」を提案するのは自己矛盾も甚だしいと思います。少なくとも、発覚した3閣僚については、江角さん同様、閣僚降板、歳費返納が必要ではないでしょうか。

週刊ポストが閣僚に国民年金保険料納付状況を質問したところ、多くの閣僚が「公務多忙」を理由に回答しませんでした。

再度の質問に対しての回答でも、麻生太郎氏「公務多忙のため回答できない」、亀井義之氏、「個人のプライバシーに関わることは答えない」、中川昭一氏「プライベートなことなので、回答は差し控える」、石原伸晃氏「政策的な問題に絡むため、無回答」、福田康夫氏「個別の取材には応じられない」、竹中平蔵氏「公務多忙のため答えられない」・・・・石破茂氏は「払っている」と回答しています。

週刊誌を見下しての不誠実な回答なのかどうか分かりませんが、「公務が多忙」だからこそ、国会議員には税金で公設秘書を付けているのであり、閣僚の場合はさらにスタッフが充実しているはずです。国民生活の根本となる制度の審議がなされている中で、閣僚が自分自身の義務を果たしているかどうかということは厳格に説明責任が果たされるべき事項です。

安倍幹事長風にコメントすれば、「(国民年金だけでなく)小泉内閣に対する信頼感が少し棄損された気もする」。

福田官房長官風にコメントすれば、「あえてそういう閣僚を小泉首相が選んだのかなあと。どうなのか、私自身測りかねる」。


[2004/04/23]  世間の目

我が国では、世間の目を意識して自己規制する傾向が顕著に見られます。犯罪者の家族の場合、ともすると世間の目に耐えきれず、引っ越しを余儀なくされることがあります。

私は従来、世間の目というのはそれを意識する本人の心の中にあるのであって、個人主義が徹底すればなくなる性質のものだと思っていました。

今回のイラク人質事件で驚いたのは、「世間」が実態をもって被害者の前に立ちはだかったことです。

インターネットに被害者の住所が掲示され、大量に中傷の手紙が届いたそうです。先にインターネットでの書き込みのことを取り上げましたが、執拗な攻撃が続くものです。

自己規制型社会の陰湿さが助長されることに危険なものを感じます。全体主義的な相互監視の仕組みがインフォーマル(非公式)に出来つつあるようで、暗澹たる思いです。


[2004/04/22]  安倍晋三型・ピリピリ保守

安倍晋三・自民党幹事長の記者会見をテレビで見ていると、常にピリピリした感じが伝わってきます。厳しい論調が多いようですが、伝わってくる周波数に余裕のなさが感じられます。

幹事長の重責に実力がついていかないということもあるでしょうが、思想的な包容力がないということもあるように思います。

元来の自民党は、陽性で自堕落でおおらかな政党だったように思います。「清濁併せのむ」といった、いい加減な処世術を本旨とし、現実的で中庸を好むスタンスでした。

今回のイラク人質事件を通して思うのは、現政権幹部の、特に世襲議員の偏狭さです。彼等の親父さんは、辛く悲しい戦争体験もしながら、他方で汚職(まがいのこと)や、「英霊達」には顔向けできない諸々のこともしながら、靖国神社で拝礼をしていました。大いなる矛盾を抱えての政治でした。

戦争のことを思い出すと涙ぐんでしまうような親父達の時代が終わり、倅達は、親父の引いた路線を順調に歩みました。しかも、颯爽(さっそう)と。親父達の薄汚さはなくなりましたが、「情」も失いました。

彼等が中心となる政権の怖さは、自らはリスクを負わずに出世しながら、嫌いな国民には「自己責任」を説くアンバランスにも表れています。

寛容の精神なき、ピリピリ保守の時代がやってきました。政権交代なき中選挙区型保守政治家と政権交代の悪夢にうなされる小選挙区型保守政治家の違いなのでしょうか。右肩上がりの時代と右肩下がりの時代の違いなのでしょうか。

政権末期を示す一断面のようにも思えます。


[2004/04/21]  地域内三国志

市町村合併により、各地で新しくできた自治体の首長選挙が行われています。旧自治体の首長の対決になったり、県議が首長を狙ったりで、形態は様々ですが、多くの場合、旧自治体同士の地域間対立の様相を呈しています。

このことを指して、私は「地域内三国志」と呼ばせてもらっています。誰が「天下」を統一するのか、どの地域が「勝つ」のか、そのことが地域最大の関心事になります。

地域内三国志の時代が続けば続くほど、自治体が内向き志向になり、「人事」に関心が向くことになります。その間、本当に大切な地域づくりがおろそかになります。

このことを予想していたので、私は市町村合併に反対しました。地方が地域づくり・まちづくりに全精力を注がなければならない正にその秋(とき)、三国志の時代がやってくることになりました。

今回の半強制的市町村合併には、中央が大づかみに地方を統治できるという支配者側のメリットと、経費を節減できるという地域経営上のメリットしかありません。

いち早く三国志の時代を卒業し、自治体の一体性を確保して地域づくりに一丸となって取り組む態勢をつくらなければ、地方の衰退を防ぐことはできません。

新自治体の首長が、「我田引水」をどれだけ慎み、全体利益を考慮しながら対外的に発信できる地域づくり・まちづくりを目指せるかどうかがポイントになります。

住民の皆さんには、選挙後の「論功行賞」に明け暮れるボンクラ首長を選ばないようお願いします。


[2004/04/20]  自己責任論

イラクで拘束された残り2人も解放され、めでたしめでたしではありますが、高遠さん、今井さん、郡山さん、3人に向けられた「自己責任論」が気になります。

この国も心の狭い国になったものだと嘆きたくなります。危険な地域(と断定するとイラク派兵の正当性が問題になりますが・・)にわざわざ行くのだから、その責任は自分が取れ。政府が助けてくれるなどと安易に思うな。費用負担もすべきだ・・・

かくなればかくなるものと知りながら、やむにやまれぬ大和魂

吉田松陰の歌です。1853年、浦賀沖にやって来たペリーが武力でわが国に開国を迫りました。翌春、幕府はこれに屈伏する形で、日米和親条約を結びます。吉田松陰はこれを見て憂いました。

松陰は、日本の国力増大の必要性を痛感。外国の軍事技術や海外事情を知らずして国策を立てることは難しいと判断し、国禁である海外渡航を企てます。しかし、密航の企ては失敗し投獄されます。

3邦人を松陰と同列に扱うつもりは毛頭ありません。しかし、松陰のように国禁を犯してまで自己の志に忠実に生きた幕末の群像があったればこそ、我が国が植民地になることなく近代化に成功したのだと思います。

現在の日本に、「自己責任」論者のような体制順応型の者しかおらず、1人の民間人もイラクに渡航せず、自衛隊だけが現地にいるような国であったとするならば、この国の衰退は火を見るよりも明らかだと思います。

ボランティアやNGOはもとより、知る権利に奉仕するジャーナリスト達(自称であれ何であれ)が危険を承知でイラクにいることの大局的意義を重視したいと思います。

いささか国家主義的な見地ではありますが、1人の冒険家もいないような軟弱国家に将来の発展があるとは到底思えません。

なお、医療費や帰国のための旅費(一般の方が支払う額)の自己負担は、「自己責任」などと肩を怒らさなくても、当然の対価として支払ってもらえばいいと思います。


[2004/04/19]  菜の花プロジェクト、雑感

大きな広がりが可能な取り組みです。環境問題、資源リサイクル、休耕地の活用、地産地消、食料自給率改善、景観形成、農村部の地域振興等々のテーマが絡み合ってきます。

菜種油でディーゼルエンジンを動かすということに対しては、我が国とドイツなどの諸外国とで考え方が違うようです。石原都知事のようにディーゼルエンジンを敵視する考え方を見直す必要があるかもしれません。

静岡県立磐田農業高校、滋賀県立八幡工業高校、岡山県立興陽高校、同・水島工業高校の生徒諸君のリレートークで、菜の花プロジェクトへの取り組みが紹介されました。

地域の中で、高校が積極的な役割を果たしていきたいとの意気込みに感心しました。座学では得られない実習・実験による体験の意義を認識させていただきました。

菜の花プロジェクトに立ちはだかる菜種油精製のコストの問題について今後の課題にしたいと思います。

ちなみに、菜種油はかつて日本中で造られていたものですが、いまは外国(カナダなど)からの輸入に頼っています。


[2004/04/17〜18]  菜の花プロジェクト

静岡県大東町で菜の花学会(楽会)見学。

転作田に菜の花を植え、なたねを収穫し、なたね油にします。なたね油は料理や学校給食に使い、搾油時に出た油かすは肥料や飼料として使用。廃食油は回収し、石けんや軽油代替燃料にリサイクルする・・という循環サイクル。

さらに、養蜂との連携、菜の花の観光利用など、地域内のより広く深い資源循環サイクルへの展望が期待されるプロジェクトのようです。

17日早朝出発。車で。


[2004/04/17]  鉄人28号

私たちの年代では、鉄人28号が面白かったと思う人と鉄腕アトムが面白かった人とに分かれます(男子の場合)。

私は鉄人派でした。ブラックオックス、ギルバートなどとの戦いにワクワクしました。私の机には鉄人の模型があります。

月刊漫画雑誌「少年」が出るのを首を長くして待っていた頃を懐かしく思い出します。付録も楽しみでした。

鉄人28号の生みの親、漫画家・横山光輝氏死去。ご冥福をお祈りします。


[2004/04/16]  拉致被害者それぞれ

先週イラクで拉致された3邦人解放のニュースが飛び込んできました。しかし、それより先に2人の邦人フリージャーナリストが拉致された可能性があるとのニュースもありました。

イラクにおける拉致問題に注目が集まっている中で、北朝鮮による拉致被害者の報道も見逃せません。

帰国後1年半になる蓮池さん夫妻、曽我ひとみさんの会見がありました。「親と子がなぜ一つになって暮らせないのか。外交カードのようなことに利用されるのは我慢できない」と、蓮池さんの談話。進展のない状況にいら立つ心情が吐露されています。

個人の平穏な幸せが踏みにじられた北朝鮮拉致事件。国際社会の荒波の中に徒手空拳で乗り込んだ個人の身に起こった事件。

平穏な幸せが侵害されない自由と目的意識をもった活動の自由。静的自由と動的自由の侵害が問題となる、それぞれの事件です。


[2004/04/15] 福岡地裁・違憲判決への現職裁判官の批判

小泉首相の靖国神社参拝を「違憲」と述べた福岡地裁の判決(4月12日「一言」参照)に対し、横浜地裁の現職裁判官が、15日発売の週刊新潮で、「主文に影響を及ぼさない憲法問題を理由欄にあえて書くのは『蛇足』というほかはない」と、痛烈な批判を浴びせています。一般誌で現職裁判官が裁判批判をするのは異例です。  

「結論に至った理由は、参拝が違憲かどうかということと全く関係がない」「元来、裁判所はこの点について判断する権限を持たず、それをあえてするのは裁判所の越権」などとした上で、「マスコミ向けのスタンドプレーをし、当事者の一方に肩入れしすぎる裁判官が多い」と指摘しています。

さらに、〈1〉勝訴した側(この場合、小泉首相)が上訴できず実質的敗訴者となり、「濡れ衣」を晴らせなくなる〈2〉司法が政治化し、中立性が喪失される――などの「弊害」が生じると懸念を表明。「裁判所は裁判の独立を守るためにも政治的な動きに巻き込まれてはならない。蛇足は厳に慎まなければならない」と結んでいます。

(コメント)

司法消極主義(裁判所は国民に選ばれていない非民主的機関であり、また違憲審査権は個別の事件を解決するために付随的に認められたものであるから、基本的には政治部門の判断を尊重すべきであり、憲法判断をしなくても結論が見いだせる場合には憲法判断をすべきではないとの考え方)に立脚した見解であり、優等生的な裁判官の考えを示したものです。

確かに、原告の請求を棄却するのに、わざわざ小泉総理の行為を憲法違反だと言う必要はないとも言えます。

しかし、憲法が最高法規であり、裁判所が「憲法の番人」であるということを重視する司法積極主義的な考えからは、違憲状態に目をつむることは妥当ではないということになります。

専門家の多くは、横浜地裁の裁判官の意見を支持するでしょう。しかし、これまで日本の裁判所は違憲判決に慎重というより臆病であって、ここでは憲法を判断すべきだと思われる場面でも「消極主義」を貫いてきました。

司法消極主義が裁判官としての出世のための方便に過ぎず、結果として、裁判所は「見ざる・聞かざる・言わざる」機関になりさがってきました。

横浜地裁の裁判官の優等生的無責任主義に対し、私は強い違和感を覚えます。


[2004/04/14]  国民年金に入らない閣僚・議員

国会議員は、1986年以降国民年金に強制加入となっています(企業などの職員を兼務している場合は厚生年金に加入が可能)。ところが、入っていない人が相当数いるのでは、ということが問題になっています。

民主党が全閣僚・副大臣・政務官の公的年金加入歴を公開するよう求めています。

今週号の週刊ポストでは、小泉首相が国民年金に加入しているのか疑問である旨の記事が掲載されています。同記事によると、小泉首相を含む全閣僚に緊急調査したところ、小泉氏は無回答であり、多数の閣僚が「公務多忙のため回答できない」との「回答」を寄せています。

自分が国民年金に加入しているかどうか分からずに年金問題を議論しているのでしょうか。これも凄い話です。週刊ポストでは、就職経験のない2世議員が怪しいと書いています。

先日、女優・江角マキコさんの国民年金未納問題が大きく報じられましたが、閣僚や議員が未加入では話になりません。

ところで、民主党は返り血を浴びないだろうなぁ。いや、返り血を浴びても追求すべきです。


[2004/04/13]  視察研修は宝の山

議員の視察研修というと、無駄なもの、あるいは遊びの最たるものと思われており、私も視察研修というと家族にたいし肩身の狭い思いをしました。

しかし、私の視野を広げてくれたのは視察研修でした。他の自治体を研修する場合、一般の方がその自治体を訪れても、観光以外の要素について学ぶことは困難です。

議会の視察となると、その自治体の担当責任者が丁寧に説明してくれます。質問事項さえ適切に用意していれば、これほど勉強になる機会はありません。

私の場合、議員生活を通じて視察地・視察目的について希望をかなえていただき、大変為になりました。予習・研修・復習をきっちりやるならば、視察研修は宝の山だと思います。

もちろん、慰安旅行の一種だと考えている人もいます。


[2004/04/12]  福岡地裁での違憲判決

時期を失してしまいましたが、先日の小泉首相靖国参拝違憲判決について。

小泉首相の就任後初めての靖国神社参拝が政教分離を定めた憲法に反するかどうかについて争われた訴訟の判決で、福岡地裁は7日、「参拝は公的なもので、憲法で禁止された宗教的活動にあたる」と述べ、違憲と判断しました。

判決はまず、(1)公用車を使用している(2)秘書官を随行している(3)「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳した(4)名札をつけて献花を行った(5)参拝後に「内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝した」と述べた、という一連の事実から、首相の職務の執行と位置づけました。

これは常識的な判断だと思います。(こっそり、タクシーでもひろって行けよ。スタンドプレーするんじゃない!金は自分で出せよ、ケチ!とでも翻訳しときましょうか。)

続いて、従来の政教分離訴訟で判断基準とされてきた「目的効果基準」に基づいて、参拝の行われた場所、その行為に対する一般人の宗教的評価、行為者の意図・目的、一般人に与える効果・影響を検討しています。

そして、参拝を「宗教とかかわり合いを持つことは否定できない」とし、「自民党や内閣からも強い反対意見があり、国民の間でも消極的意見が少なくなかった。一般人の意識では、参拝を単に戦没者の追悼行事と評価しているとはいえない」と指摘。さらに「戦没者追悼場所としては必ずしも適切でない靖国神社を4回も参拝したことに照らせば、憲法上の問題があることを承知しつつ、あえて政治的意図に基づいて参拝を行った」と批判しました。

そして、「参拝が神道の教義を広める宗教施設である靖国神社を援助、助長する効果をもたらした」ことも考えあわせ、「社会通念に従って客観的に判断すると、憲法で禁止される宗教的活動にあたる」と結論づけました。

要は、小泉さん、分かってやってるんだろ、ということです。小泉氏の靖国参拝は、憲法秩序に対するあからさまな挑戦です。憲法の番人たる裁判官が受けて立ったという意味では素晴らしい判決です。

こういう気概のある裁判官が少ないことが我が国司法の悲劇です。

逃げ回る裁判官だけじゃないよ!そういう意味合いが行間に含まれています。


[2004/04/11の2]  解放後

イラクの邦人3人が解放されるとの報道がありました。有為の青年達の命が助かることに安堵を覚えます。

心配なのは、解放後です。NGOやボランティア、フリーの報道関係者が活動できなくなるのではないでしょうか。このことを契機に、彼等はイラクにいる限り「アウトロー」であると宣告をされることが考えられます。

自衛隊よりもはるかにイラク国民および日本のためになっている彼等がアウトロー宣告をされて活動を制約され、逆に、大義なき自衛隊が文字通り「自分の身を衛る為にのみ存在する部隊」としてイラクにアリバイづくりのために張り付くことになります。

自衛隊が犯人の要求で撤退するという不名誉は避けられました。この機会をとらえて自衛隊が引き上げ、NGOやボランティアに任せることを考えるべきです。

日本国民はおおむね好かれているのですから。といって、危険でないとは言えませんが。


[2004/04/11]  高遠さんのHP、掲示板閉鎖

(ニュース)

イラクで人質になった高遠菜穂子さんのホームページに事件報道後、アクセスが殺到。本人が海外からの連絡に使っていた掲示板には、心配の声よりも批判や中傷が圧倒的に多かったといいます。このため掲示板は1時間足らずで閉鎖されました。

HPは、高遠さんが実家のある北海道千歳市でフリーペーパーを発行した99年ごろ、地元の友人が立ち上げました。高遠さんがボランティアで海外を訪れるようになると、掲示板を知人との連絡に使っていたということです。 

HPへのアクセスは事件報道から丸一日たった9日午後9時までに十数万件あり、掲示板には報道後45分で約90件の書き込みがありました。 

大半は、批判や中傷。「こんな時期に民間人がイラクに行ったらいかんよ」「自業自得。リスクは承知の上で行ったんでしょ」という具合。同じ内容が繰り返し書き込まれている例も多かったようです。

(コメント)

高遠さん達は、避難勧告が出ていたイラクに危険を承知で乗り込んだのですから、我が国が助けてくれるとは思っていないでしょうし、助けることは現実に困難でもあります。

拘束された3人がイラクに赴いたことに批判的な方がいることもよく分かります。しかし、不幸の最中にある人に向かってわざわざ身を乗り出して批判することもなかろうと思います。

家族が助けてくれと訴えるのは心情として理解できます。しかし、これもノイズ(気に障る騒音)としてしか感じることができない人がいるようです。

3人に甘さがあったかどうかはさておき、やはりここは無事を祈るべきではないでしょうか。

戦前、日本共産党の活動家が特高警察に捕まり、転向したり仲間を裏切ったりして、仲間同士が修復しがたい対立を抱える場合があったようです。

宮本顕治氏のように、非転向・獄中12年という不屈の精神力を持った人物もいました。しかし、多くの人達は傷つき悩みながら転向という道を選びました。

「筋を通せないのは信念が足りなかったんだ」「判断力が欠けていたんだ」等々、いくらでも批判することは可能でしょう。

しかし、加虐的であったり自虐的であったりしすぎるのもどうかと思います。自分や他人をもっと肯定的に評価してはどうでしょうか。

危険なイラクで自分のやりたいことをやろうとした彼等3人は、大したモンだと私は思っています。こういう若者もいるんだと率直に感動しました。


[2004/04/10]  自己の危険において

今回イラクで拘束された3人の邦人は、イラクが危険であることを百も承知で現地に赴いたのであり、最悪の結果が待っていたとしても誰にも文句が言えない立場でした。「自己の危険において」(結果についての責任は自分が負う)イラクでの活動を決断したとも言えます。

ここが1977年のダッカ事件との違いです。ダッカ事件の被害者は、偶然事件に巻き込まれたのであり、積極的に危険地帯に乗り込んだのではありませんでした。

しかし、今回の邦人達は強い使命感と高い志を持って活動しようとしたのであり、同胞として誇りに思える方々です。ボランティア活動について言えば、本来政府がイラクのために活動を支援してもよいものです。彼等を見殺しにしてはいけません。

そうは言っても、卑劣な犯人の要求に屈するべきではありません。同様の犯罪が続発することにつながるからです。

「しかし」と、もう一度反転せざるを得ません。そもそも、政府が自衛隊を派兵したのはイラクの人々のための「人道支援」が目的です。そうだとすれば、邦人の危険が目前のものである現在、「人道支援」が邦人の命より重いと言いきれるのかどうか疑問も出てきます。

日本政府の掲げる「正義」が中身のないものであることが問題だと思います。所詮は、ブッシュ政権の恫喝に屈した派兵ではないでしょうか。昨日述べたように、「大義」に疑問があるのです。

(ブッシュの恫喝)>(誘拐犯の恫喝)or
(ブッシュの恫喝)<(誘拐犯の恫喝)という話にも見えます。

どっちに転んでも卑屈。そんな感じがします。


[2004/04/09]  ダッカ事件

1977年、パリ発羽田行きの日本航空旅客機が日本赤軍にハイジャックされ、バングラデシュのダッカ空港に着陸した後、犯人グループが人質の身代金を要求するとともに、日本で服役・拘留中のメンバーの釈放を求めました。要求が拒否された場合、回答がない場合は人質を順次殺害すると警告。

福田赳夫首相が「人命は地球より重い」として、身代金の支払いおよび、超法規的措置としてメンバーの引き渡しを決断しました。

4月8日、イラクで日本人3人が拘束され、犯人側から、自衛隊が3日以内に撤退しなければ3人を殺害すると警告しているとの報道がありました。

ボランティアやNGOの人を人質に取る犯行。八つ当たりというか、何でもありというか、実に卑劣です。3人の安否が気になります。

ダッカ事件の時とは時代が変わりました。小泉首相、安倍自民党幹事長の人柄からすると、あっさり「人命より国益」という結論が出そうな気がします(「テロに屈するな」と言うんでしょうが)。皮肉なことに、官房長官は福田赳夫氏の息子。

自衛隊派兵に大義があるならば、簡単に撤退すべきものではないと思います。しかし、派兵に大義がなく、小泉政権存続のために派兵したのですから、この場合は政府が派兵決断の誤りを認め、人命に重きを置くべきだというのが私の結論です。「政権益」だけに固執すべきではないと思います。

問われているのは大義です。 (4月8日午後11時記述)


[2004/04/08]  議員年金の廃止

思い付きの発言としか言いようがありませんが、小泉首相の議員年金を今国会中に廃止すべきだという発言が波紋を呼んでいます。

小泉氏自身が国会議員であるとは言え、行政府のトップが国会の問題に嘴(くちばし)を挟む行為です。

問題提起と前向きにとらえるとしても、国会議員の地位についての理解と政治のあり方全般についての見識が示されなければ、選挙向けのアドバルーンと取られてもしかたがないと思います。

国会議員になる人物が議員を辞めても生活に困らないという前提がなければ、退職金がない状態での議員年金の廃止を進めることには問題があります。

生涯議員であるというような特殊な人、世襲で苦労なく長期の議員生活を送った人、政治家稼業(家業?)で十二分に蓄財ができた人などは辞めても安泰の人生が約束されているのでしょう。

しかし、政治の世界に必要な人材とは、様々な世界を体験した上で、その経験や見識を国のために役立てたいと考えるような人物であって欲しいし、しかも、そういう人物が初期の志を維持するには長期に国会議員の地位に留まることは望ましくないと思います(権腐十年)。

一定以上の待遇がなければ、厳しい政治の世界に良い人材を供給することは困難です。多くの人は、政治の世界に進もうとすると、家族の強い抵抗に遭(あ)います。

各地で活躍中の民主党の議員や予定候補の多くは金がありません。よくもこれまでの地位を捨ててリスクを取ったものだと感心します。彼等のような人物が出てくることは自民党にとって脅威ではあるでしょう。

退職金なしの議員年金廃止は、庶民から人材が出てくることを阻止することになります。議員を辞めると退職後の生活が苦しいということになると、必要以上に長期の議員生活を送らなければならないことにもなります。

小泉氏の発言は、一般の方の嫉妬心を背景にした選挙向けのパフォーマンスに過ぎません。あるいは、俺は年金をもらわなくても大丈夫だよというだけの話です。

世襲議員とは気楽なモンだ。


[2004/04/07]  郵便局と町役場が合体 

(ニュース)

高知県東洋町の2カ所の役場支所が、それぞれ近くの特定郵便局内に移転しました。

全国初の試みです。1カ所で郵便局と役場のサービスが受けられ、住民の利便性が増すほか、役場の経費削減にもつながります。
 

移転先の郵便局には、役場職員1人が常駐します。窓口を設け、従来の支所と同様、税金納付や老人医療費の申請、町立施設の申し込みなどの行政事務を担当します。郵便局員も法律で代行が認められている印鑑登録証明書などの交付事務を扱います。
 

これまで両支所には職員が2人ずついましたが、1人になることで人件費削減につながります。支所の管理費もいらなくなり、年間約300万円の経費削減が見込めるということです。

(コメント)

過疎地域の郵便局には様々な役割が期待されています。役場との合体も1つのあり方でしょうし、地域のコンビニとしての役割も期待される場合があるでしょう。

地域における様々なサービスの提供が、従来の垣根を超えて行われることは、少ない経費でサービスが提供されることになり、望ましい方向だと思います。

しかし、効率のみが追求され、自治というものが住民の意思を決定するシステムであるということが等閑視されることになってしまう危険もあります。

住民が統治の客体としてのみ存在することになってしまうことが、民主主義の衰退に繋がることを指摘しておきます。


[2004/04/06]  太田市のホテル満杯

昨年伊予市議会で視察した群馬県太田市のホテルが満杯だという記事を読みました(4月5日の日経新聞)

大型ショッピングセンター開設、自動車産業が堅調という事情もあるようですが、取り分け清水聖義市長の施策がユニークであることが大きいようです。

構造改革特区構想第1号に認定された英語特区への関心が高く、昨年度の視察が200件にものぼったそうです。太田市を中心に視察日程を組むところが多いと言います。

近隣にさしたる観光地のない工業都市・大田の14件のホテル(970人収容)の客室稼働率は80%を超えます。客室稼働率が80%を超えると常時満室の印象を与えるそうです。

しかし、年間200件もの視察があるにもかかわらず、丁寧に扱っていただきました。

第3セクターが運営する地ビールレストラン「ヨラッセ」にもう一度行ってみたいと思います。

[昨年の一言、5月26日31日、6月1日6日などに太田市のことを書いています(アーカイブに保存)。]


[2004/04/05]  支持は自民、票は民主

昨年11月の総選挙で自民、民主の二大政党化が進んだ背景に、与野党伯仲を願う有権者の意識があったことが、朝日新聞と東京大学蒲島郁夫研究室との共同の有権者モニター調査で明らかになった・・・との記事が朝日新聞に掲載されました。

記事によると、9月時点で支持政党なしと答えた無党派層が、総選挙時には23%が自民支持になり、16%が民主支持に廻ったのを上回りました。しかし、比例区の投票では民主36%、自民24%となり、民主党を勝たそうとする方向への投票行動を行っています。

有権者の投票行動は、何となく分かる気がします。無党派に限らず、選挙区と比例区とを使い分けたり、選挙前の世論調査で与党が勝ちそうだから民主党に入れてバランスを取ろうとしたりするものなのでしょう。

自民党は公明党の支援がなければ多くの候補が当選ラインに達しないとも言われています。しかし、仮に自民党が公明党を切った場合、自民党に戻る票もかなりあるのではないでしょうか。

自公連立は、多くの保守系有権者が民主党を支持してくれる切っ掛けになるという効果もあります。保守系の有権者が政権交代を決断してくれることが、この国の政治の流れを変えることにつながります。

保守系=自民党の図式を崩してくれたという意味では、自公連立は評価できる面があります。


[2004/04/04]  敷島の

敷島の大和心を人問はば 朝日に匂ふ山桜花

本居宣長が歌った桜の花が、あるいは武士道とも結びつけられ、日本人の精神世界を象徴するものとして尊ばれてきました。

桜の散り際の潔さには、利害打算を超えた透明感のある人の生き方に似た美しさがあります。

しかし、支配階級である武士の生き様としての大和心が、ともすると被支配者である国民の心構えのようにミスリードされてきました。

花よりダンゴの自民党が、国民には我慢を説き、テロに屈するなと檄(げき)を飛ばす様は、醜悪の一語に尽きます。

花の宴たけなわの今日この頃、桜の花の如く潔く散っていった英霊達に、この国が真に世界から精神のあり方の潔さで尊敬される国家となるよう努力することを誓いたいと思います。


[2004/04/03]  与党の審議拒否

テレビ・新聞などの報道を見ると、野党が審議拒否をして国会が空転しているというようなニュースが出てきます。

言論の府である国会であるから、野党は審議拒否をすべきではなく、堂々と論陣を張るべきであると批判されたりします。

しかし、実際には与党の審議拒否の方が多いのです。これは報道されません。

国会の議題は与党が認めたものだけが取り上げられ、与党に都合の悪いことは却下されます。何を議題にするかということが多数決で決まるので、与党に都合の良いものだけが「審議」され、与党にとって都合の悪い野党側の議題は却下されたり棚晒(たなざら)しになったりするのです。

議論を尽くした上での多数決というのではなく、多数決で議論そのものをしないことにしている例が多いのです。

このことに論及することなく、野党の審議拒否はけしからんという論調をする報道機関の見識のなさは批判されるべきだと思います。

野党の国会議員のホームページで、このことをはじめて知りました。


[2004/04/02]  「地方再生交付金」

政府、自民党は、2005年度から地方自治体を対象とした「地方再生交付金」を創設する方針を固めました。

教育や医療、農業の各分野で地方自治体から企画を募り、有望な案には重点配分します。初年度は数千億円規模となる見通しです。本格的な税源移譲が実現するまでの暫定措置だということです。

やはり、そういうことだったか。

小泉内閣は、(1)補助金の削減(2)国から地方への税源移譲(3)地方交付税の見直し、をワンセットで進め、自治体の財政基盤や自立性の強化を目指す「三位一体改革」を「小泉改革」の1つの柱としています。

しかし、税源移譲が進まないままの補助金・地方交付税削減が地方自治体を直撃し、地方財政を破たん寸前に追い込んでいます。

地方の不満が沸騰しており、参議院議員選挙が戦いづらいことから、選挙対策として地方再生交付金の構想が浮上したものと言えます。

自民党幹部は「競争させて予算をつける。ばらまきではない」と強調しています。

なるほど。競争させるとは、企画の善し悪しではなく、選挙の論功行賞の意味でしょう。

要するに、地方自治体を参議院議員選挙での運動に駆り立てるための「施策」だと考えられます。


[2004/04/01]  信州の幹部職員採用

長野県(信州)は、全国からの公募で、10人を部長など幹部ポストに4年の任期付きで採用すると発表しました。

ベルギーのチョコレートメーカー、ゴディバの日本法人のシニアマーケティングマネジャーをはじめ、イベントプロデューサー、元女優、歯科医等々、多彩な経歴の持ち主がいます。

これからの地方自治体は人材の多様化が必要です。生え抜きだけでは無理があります。様々な角度から地方政治を見直す必要があるからです。中央に従うだけの地方では、これからの発展は期待できません。

それにしても、田中知事が議会に提案した知事部局などの組織を大幅に改編する条例案を否決した長野県議会の遅れ具合が目立ちます。

条例案は、知事部局などのすべての「課」を「チーム」に変更し、「係」も廃止する計画で、意思決定を速めるのが狙い。組織名は田中知事が提唱する「信州」とする予定でした。

県議会議員選挙のあり方が、守旧派を温存する仕組みになっていることが、議会が変われない原因です。県議会議員選挙で1人区などの少人数選挙区は廃止すべきです。5人区を基本とすべきです(以前にも述べましたが)


玉井彰の一言 2004年4月 四国の星ホーム前月翌月