玉井彰の一言 2004年5月 四国の星ホーム前月翌月

[2004/05/31]  国旗国家法

(ニュース)

福岡県久留米市教育委員会が、小中学校で今春に行われた卒業式と入学式の際に、君が代を歌う声の大きさを調べていたことが分かりました。

調査は市立の全小中学校計40校が対象。日の丸掲揚の有無を調べるとともに、各校長や出席した市教委職員に聞き取り調査をし、声量を大・中・小の3段階に分類しました。

「小」と判断された学校には口頭で指導もしています。国旗・国歌に関する教育を徹底するよう求めた請願が市議会に出されたことを受け調査を実施したということです。

(コメント)

国旗国歌法は、

「国旗は、日章旗とする」
「国家は、君が代とする」

という2条で構成されています。義務規定、罰則規定は置かれていません。

野中広務著 「野中広務全回顧録 老兵は死なず」には、小渕政権で官房長官だった野中氏が、国旗国歌法制定に努力した経緯が書かれています。

教育現場で管理職が苦悩し、自殺者まで出た(広島世羅高校校長の自殺)問題に対し、法律で基準を示すことにより現場の混乱を回避するために国旗国歌法が制定されました。

野中氏は、「実際の教育の現場で、さまざまな形で実質上の罰則、義務に近い運用がなされることのないようにお願いをしたい。」と述べています。

東京都教育委員会が都立高校の卒業・入学式で「君が代」斉唱時に起立しない生徒がいた学級の担任ら57人について、生徒への指導が不足していたとして厳重注意などの指導をしたというニュースもありました。

久留米市教委の行為は、実質的な思想調査です。都教委の場合、石原都知事の意向を抜きには考えられない暴走ぶりです。

教育委員会が実質的に独立性がなく、むしろ尖兵として国家主義的教育を先導していることに対して、警鐘を鳴らしたいと思います。


[2004/05/30]  小泉政治とは

昨今の小泉総理の国会答弁を聞くと、これはおよそ国民に対して厳粛な責任を負うべき政治家の答弁と言うべきものではなく、政治漫談の領域に属するものだと思います。

国民の内閣支持率の高さも、政治家としての信頼によるものではなく、芸能タレントとしての人気なのでしょう。

横山ノック、青島幸男、小泉純一郎。

一国の政治が芸能タレント的人気に左右されるところに、我が国・民主政治の危うさを感じます。

かつて、「タレント議員」というのが話題になった時期がありました。しかし、それは単なる一議員の問題でした。それが後に、横山、青島という資質なきタレントが大自治体の首長になるという珍事となりました。

現在に至り、聞きかじりのフレーズで政治を語り、思い付きで外交を行うという日本一の無責任男が内閣を組織して3年も経つという、情けない事態となっています。

そう言えば青島さん、また選挙に出るそうな。柳の下で何度でもという、凄い人物ではあります。


[2004/05/29]  邦人フリージャーナリスト襲撃される

フリージャーナリスト、橋田信介さん、小川功太郎さんがイラク・バグダッド近郊で襲撃され、死亡した可能性が高いと報じられています。

様々な方々が危険覚悟でイラクに赴いています。こういう方々がいてくれるお陰で、我々の知る権利が充足されています。官製報道だけでは真実を見失います。

「自己責任論」のような皮相な議論が出てこないことを祈ります。


[2004/05/28]  ああ言えば、こういいずみ

かつて、サラリーマン経験なしと答弁していた小泉首相が、初当選前後の4年半、不動産会社に勤務していたことが分かりました。首相は、秘書や国会議員との兼務であるから、普通のサラーリーマンではないと弁明。

勤務実態がないのではと指摘され、「次の選挙で当選することが仕事だ」と社長に言われたと反論。

厚生年金に加入する資格があったのかどうか疑問です。

些末な話のようですが、最高責任者が年金履歴について嘘をつきながら、年金制度についての改正を提案することの妥当性を検証する必要があります。

しかも、自身に関する疑惑報道が出てきたときに、訪朝することにより国民の関心を北朝鮮に向けようとすることは、外交カードを私的利益のために利用することになり、背任的行為になります。

しかも、時期尚早の訪朝により、必要以上の譲歩を強いられ、国益を大きく損なっています。

二浪が一浪になってみたり、選挙に勝つことが仕事であるサラリーマンだったりする不思議な人物の発する言葉の軽さに辟易(へきえき)します。

小泉首相の年金納付記録は、31日に各党理事に開示されることになりました。その後で、なお自民党が全議員の年金履歴を公表することを拒否するとなると、残る議員の中で誰の秘密を守ろうとしているのかが問題になります。

選挙に大きな影響を与える幹部ということになります。


[2004/05/27]  拉致議連の動揺

(ニュース)

日朝首脳会談の結果について一時批判を強めていた超党派の拉致議連が、一転して小泉純一郎首相の訪朝成果を評価するようになりました。

議連会長の平沼赳夫・前経済産業大臣は当初、「5人だけの帰国という悲惨な結果になった。」と首相を糾弾しましたが、各種世論調査で再訪朝を評価する意見が多数だったため、25日の総会では「議連として前向きにとらえるべきだ。」などの批判が相次ぎました。

このため、平沼氏は「議連の分裂は北朝鮮の思うつぼだ。一致団結しよう。5人の帰国は素直に評価したい。今回の訪朝は拉致問題に風穴を開けた。」と発言。軌道修正を余儀なくされました。

(コメント)

小泉訪朝直後のマスコミ論調は批判的なものが多く、拉致被害者の家族会も厳しく首相を批判したため、大方の国民も同様の判断をするであろうと思われました。

しかし、世論調査の結果は、意外にも首相の訪朝を評価する人の割合が多く、首相の支持率も上昇しました。

5人の家族が帰って来るという、目に見える「成果」があったことが大きかったのでしょう。

しかし、「小泉首相の訪朝を評価します」「評価しません」「分かりません」の「三択」で聞かれると、普通の方は「評価する」と答えるのではないでしょうか。

この「回答」を延長すると、評価する以上「小泉首相を支持しません」とは答えにくいと思います。ある種の誘導になっているように思います。

有権者にいい顔をしたいために拉致議連に入っている国会議員は世論調査の結果に動揺してしまいました。

リーダーとしての自覚のある者は、こういうときこそ世論をリードする気概を持つべきだと思うのですが・・

10人の安否不明者、400人の特定失踪者を忘れてはいけません。蓮池さん、地村さんの御家族の報道、曽我さんの悲劇の報道に酔いしれることなく、拉致事件の完全解決を願いたいものです。

北朝鮮で救出を待っている被害者の存在を、ワイドショー感覚で忘れないでください。


[2004/05/26]  家族会への批判

北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)が訪朝後の小泉首相と面会した際の発言に批判が出ているようです。

小泉総理と面会した家族会メンバーが訪朝結果を批判した22日夜から、メール・500件、電話・100件が救う会にあったというニュース。

4分の3は「首相に感謝の言葉がない。」「拉致被害者の家族の帰国を喜ばないのか。」などと批判する声だそうです。

当然のことながら、テレビ映像は編集されており、批判的な部分が強調されています。編集された部分を真に受けての反発なのでしょう。

「自己責任論」のときもそうでしたが、一部の国民にお上至上主義のようなものが蔓延(まんえん)しているような気がします。「総理大臣様が北朝鮮にわざわざ行って下さったのに、なんということを言うのか・・」

ここまで思っているのかどうかは分かりませんけれども、体制翼賛会的発想のような気がして不愉快です。

総理大臣は国民の僕(しもべ)です。公僕である権力者を批判できるのが民主主義であり、批判に耐える行動をとることが主権者たる国民から権力を委ねられた者の義務です。

社会人としてバランスの取れた態度が必要であることは当然のこととして、ことさら他人の領域に立ち入って、その人の立ち居振る舞いに干渉したがる方々の心情には首を傾げざるを得ません。

結果として、「世間」の目を意識しながら生きていかねばならないような狭苦しい空気を醸し出そうとする方々のお節介には苦言を呈したいと思います。


[2004/05/25]  拉致被害者家族会の切り捨て

今回の小泉訪朝に対して、北朝鮮拉致被害者家族会の方々が猛烈に反発しています。

小泉氏が注目しているのは、目に見える範囲の拉致被害者の家族だけです。残り3人(ジェンキンス氏と2人の娘さん)の問題が解決すれば、あとはウヤムヤになる可能性が出て来ました。

横田めぐみさんら行方不明の拉致被害者と400人にのぼる特定失踪者についての捜索は、このまま行くと困難になってきます(今回の小泉訪朝の結果、誘拐犯と一緒に被害者を捜すという、間の抜けた話になってしまいました)

「日朝国交回復は歴史的な重大事であり、10 人ほどの命のためにこれを妨げることはできない。」と、外務省の幹部がかつて語ったと言われます。小泉内閣は、このような外務省の路線にころがされています。

行方不明者について新たな展開がない限り、支持率向上に結びつきそうになく、しかも困難が予想される、行方不明の拉致被害者と特定失踪者の救出に小泉氏が熱心に取り組むとも思えません。

新聞社のアンケートに対して、60〜70%の方々が小泉訪朝を評価しており、内閣支持率も上昇しています。

このような国民の反応が、結果として拉致被害者家族会を切り捨てる方向に作用するということを是非御理解いただきたいと思います。


[2004/05/24-2]  記憶違い・・未納

4月30日の「一言」で、「私は25歳以降、国民年金または厚生年金に入っています。学生時代の25歳までは支払っていません。できれば、25歳までの分を国民の義務として支払いたいと思っています。この分の恩恵を受けたいとは思いません。」と述べました。

忙しくて自分が出向いて確認する暇がないので、念のためにと思い、社会保険労務士さんに委任して調べてもらいました。それによると、昭和54年4月1日から昭和55年9月30日まで「未納」ということです。

年金手帳に「昭和54年4月1日資格取得」とあったので、誤解していました。資格を取得した(義務となった)のがその期日でした。

大学卒業後、司法試験を目指し、「高等遊民」の状態だったので学生気分でした。親に指摘され、手続きを取りました。そのとき、お金を用意して、過去の分を全て支払いたいと言ったところ、「過去2年分しか受け取れないことになっています。」と言われ、残念だった記憶があります。

その後、記憶が薄らぎ、「昭和54年4月1日」まで遡って支払ったのだとばかり思い込んでいました。記憶というのはあてにならないものです。

本日分かりましたので、即、掲載します。

なお、年金未納問題は、話が拡散しすぎて、訳が分からなくなっています。一応整理すると、以下のようになるのだと思います。

(1)選挙で選ばれた公職者、取り分け、年金について審議する国会議員において、昭和61年に義務化されて以降の未納(国会議員当選後)についての政治責任。

(2)現行年金制度を前提とした改正案に賛成している(衆議院では可決)与党の議員についての未納の責任。

(3)現行年金制度を前提とした改正案を提案している政府閣僚の未納の責任。

(2)、(3)については、現行制度を是認する限り、責任は重く、過去全てについての廉潔性(潔癖さ)が求められる。

議案が撤回されれば、(2)、(3)の責任も(1)と同じ責任となる(国議員でない閣僚については、私人としての責任)

私の場合は、市議会で年金のことを審議していたこともあるので、責任はあると思います(と言っても、市議会議員になる前のことですが)

ところで、年金手帳を見て通算25年経ったなぁと喜んでいたのに、まだ1年数ヶ月必要だと分かってがっかり。


[2004/05/24]  拉致は主権侵害という認識

小泉訪朝について、肯定的な見解もあるようです。

5人の子女を連れて帰ったというところに焦点を当てると、一歩前進という評価になるのでしょう。

しかし、国民を不法に拉致されるということは主権の侵害であり、正当防衛として侵害行為(侵害行為の継続)に対抗しうるのだということが忘れられていることは極めて残念です。

「子供さんが帰ってよかったよかった」などというお人好しの発想をやめ、「あたりまえ」であるという感覚にならなければ、横田めぐみさんら拉致被害者や400人とも言われる特定失踪者の問題に迫ることはできません。

主権の侵害が継続しているという冷厳な事実を多くの人に直視していただきたいと思います。もちろん、拉致は個人の側から見て最大の人権侵害でもあります

一部野党は小泉訪朝の成果を肯定的に見ています。それは、彼等がいまだに北朝鮮に対して良好なイメージを持っていることの表れです。

犯罪組織が国家としての法人格を有しているというのが北朝鮮の実態であり、これは宗教法人の法人格を隠れ蓑として犯罪を行っていたオウム真理教の場合と同じ構造であることを見ておく必要があります。


[2004/05/23]  犯罪は採算が合う

小泉訪朝の結果、拉致被害者の家族5人が帰国しました。

しかし、曽我さんの家族は帰らず、死亡とされた方々や特定失踪者の方々の消息も全く分かりませんでした。

日本側は、持てるカードを全て使いました。米支援あり、医薬品支援あり、経済制裁なし。北朝鮮側の約束は口約束の域を出ません。お粗末な結末です。

北朝鮮の基幹産業は犯罪であり、外交上の駆け引きで生き残りを策しているだけの国家です。

誘拐という犯罪が外交上有効なカードとなり、相手方に充分すぎる譲歩を引き出すことができました。

北朝鮮には、まだまだ「カード」があります。国家が行う犯罪は採算が合うということを北朝鮮は実感したことでしょう。

「小泉という男は食い付きのいい奴だ。釣り糸を垂らしただけで飛び付いてきた。」 

金正日の笑い声が聞こえてくるようです。「ワンペア」でポーカーに勝ったような気分でしょう。


[2004/05/22]  自分達の人権擁護団体・自民党

自民党は、自分達の人権には驚くほど敏感です。公人として当然開示すべき年金履歴を、プライバシーの問題だとして拒否します。

そもそも政治家となる動機が「世のため人のため」だとするならば、守るべき第一のものは他人の人権であり、自分の人権ではないはずです。少なくとも、他人の人権が守られることにより自分の人権も守られるのだと考えるはずです。しかるに、自民党的発想ではこの順序が違います。

これまで、多くの人が国民年金の追納期間が2年であるというのは短すぎるという批判をしてきたはずでが、制度の変更はなかなか進みませんでした(私も、このホームページで、未納問題が生ずる前から指摘してきました)

ところが、自分達の未納問題が生ずるやいなや、追納期間を延長しようという案が浮上してきました。しかも、未納であることを開示しなくても追納できるようにして、未納問題に蓋をしようという姑息な考え方です。

御都合主義も極まれりです。

こんな政党に国と国民の運命を託すということは不名誉であると感じるのがまともな感覚ではないでしょうか。


[2004/05/21] 自民・公明の未納議員は自らを救済するな!

これまで繰り返し述べてきましたが、未納国会議員は未納部分を全て支払うべきであり、しかもその部分について制度の恩恵を受けるべきではありません。国民の範たるべき者が義務を怠ったのですから、懲罰的な支払いとすべきです。

自民・公明両党は、国民年金保険料の未納対策として、全国民に共通の基礎年金が導入された昭和61年4月までさかのぼって保険料を追納できる法案を今国会に提出、成立を目指すことで合意しました。
 

それによると、対象は国民保険に加入する20歳以上、60歳未満の国民で、昭和61年4月以降に未加入・未納があった場合、法施行日から3年間の時限措置として全額追納することを認めるというものです。特例法案として国会に提出します。
 

追納された年金保険料は平成17年4月から満額、給付に反映され、老後に受け取る年金額が増えます。追納の保険料額は、事後納付した時点の保険料(現行・月13300円)とする方向です。
 

また、現行法では2年間だけ認めている追納期間を平成16年10月から5年間に延長する恒久措置を盛り込んだ国民年金法改正案も今国会に提出します。その場合2年の時効を超える追納の場合は一定の加算率を適用します。

しかし、どうせなら、昭和61年以前に遡って救済すべきです。

この法律で国民を救済するのは良いとして、国会議員を救済すべきではありません。国会議員には制度の恩典を受けない形で支払わせなければけじめとはなりません。

以下、民主党・江田五月氏のホームページ5月19日の活動日誌を引用します。(この人のホームページも凄い)

「・・・与党が、年金未納者の追納を認める法案を検討しています。国民すべてに適用されるもので、それも必要ですが、国会議員に限って言えば、騒動になって逆に得をする火事場泥棒になってしまいます私たちが検討をしているのは、国会議員の強制加入期間の未納を公表し、追納させ、これを年金期間に算入しないというもので、得のない方法です。そうでないと「けじめ」にはなりません。・・」


[2004/05/20]  小泉純「1浪」

こんな風な見出しが、ある新聞にありました。

小泉総理は、予備校生だった1962年1月〜3月は(2浪中に20歳になりますが、予備校生は「学生」ではないので)加入義務があるのに未加入であると週刊誌に書かれ、その事実を認めていました。

ところが、実は1浪で慶応大学に入学しており、1962年当時は国民年金に加入義務がない大学生だったことが分かったという説明になりました。

しかし・・・

小泉氏が2浪で慶応に入学したというのは週刊誌等で以前から流布されている話です(だからこそ、誰も20歳の時は大学生だったのではないかとの問いを発しなかったのでしょう)。それらの記事は当然、小泉氏あるいは秘書たちが読んでいるはずであり、どうしてその間違いに気が付かなかったのか疑問です。

私は1浪しましたが、その1年間は気が遠くなるほど長かったという記憶があります。人生で一番活発な頃を中途半端な状態で過ごすことは苦痛です。何十年経っても忘れられないものだと思います。

勿論、細かな記憶はなくなるでしょう。しかし、自分が1浪だったか2浪だったかを忘れるということがあるものでしょうか。

一応の勉強をして、「正門」から入ったのであれば、間違うはずはないのですが・・

秘書も2浪だと思っていたのでしょうから、摩訶不思議な話ではあります。


[2004/05/19]  岡田克也氏に期待

自民党は、かなり厳しい状況になっていると思います。

年金未納問題で全議員の情報を開示できないのは何故か?

既に、小泉首相のことが明るみで出ており、閣僚経験者についてもかなり情報が出てきているにもかかわらず、あと何を隠そうとしているのでしょうか。

国民が憤激するくらい圧倒的多数の議員が「未納」であるということも考えられます。あるいは、「消去法」で考えられる「未納告白」していない党の幹部に問題があって、これが明らかになると選挙が戦えないということもあり得ます。

未納問題を詭弁でそらせつつ、リスクの高い北朝鮮カードで参議院議員選挙を乗り切るということなのでしょうが、これからどんな展開になるのか誰にも分かりません。

民主党は、新代表に岡田克也氏を選出し態勢を整えました。

岡田・新代表は、年金改革関連法案を廃案に追い込む方針を示すとともに、小泉首相らの国民年金未納・未加入問題で「『3党合意』(両院の厚生労働委員会に小委員会を設置し、年金の一元化を含む社会保障制度全般の一体的見直しを行い、2007年3月をめどに結論を得ることなどを内容とする自民・公明。民主3党の合意)の前提となる信頼関係はかなり壊れている」と、3党合意を見直す考えを表明して、対決姿勢を鮮明にしました。

自民党内には、3党合意を破棄することは公党間の信義に反するとの批判もあります。しかし、年金問題を議論する上で国会議員が襟(えり)を正しておかなければならない未納・未加入問題について、小泉首相のように詭弁と開き直りで切り抜けようとする態度では、公党間の信頼の基礎が完全に崩れていると言わざるを得ません。

しかも、年金関連法案と3党合意とは全く別の問題ですから、年金関連法案廃止を目標とすることは3党合意の問題に直結するものではありません。

年金関連法案が廃案にならないのなら、年金問題を参議院議員選挙での最重要争点として国民に信を問うべきであり、岡田代表が対決姿勢を取ることに期待したいと思います。


[2004/05/18]  小沢氏、代表戦出馬辞退

1日外に出ていると、家に帰ってからあっと驚くニュースに出会う今日この頃です。

小沢一郎氏が、国民年金加入が義務づけられていなかった期間の「未加入」を理由に、民主党代表選出馬を辞退しました。

とりあえず、このことの意義を考えてみます。

(1)政治家としてのけじめの付け方を、身をもって示した。

(2)「未加入期間」がある小泉首相に強いプレッシャーをかける(厳密には「未納期間」「厚生年金加入についての疑惑」もあり)。

(3)自民党への全議員年金履歴公表に向けての圧力にする。

(4)政府案の矛盾を浮き彫りにして、廃案への世論を大きくする。

さらに考えると、小沢氏にその意図があるかどうかは別として、民主党サイドから新たな攻め口が出てきます。

(1)政治家の秘書についてどうなのかを問う(全議員に向けて)。秘書が厚生年金に入っているケースは企業が給与を肩代わりしていること(ヤミ献金)になります。

(2)国民年金加入義務づけ以前(1986年以前)についても公表を迫る。

(3)小泉首相・平壌訪問での成果についての評価基準を厳しくする。

民主党の代表がどうなるのかも問題ですが、一寸先は闇の激動政局が本格化する事態が予想されます。

そもそも、小沢氏の出番は今ではなかったと思います。


[2004/05/17] 小沢一郎氏について、中塚一宏氏HPより

民主党・中塚一宏衆議院議員のホームページは、「メッセージが毎日更新されています。このところ忙しかったようで、数日分が一挙更新されました。虚像が飛び交い、誤解されやすい小沢一郎氏のことが書かれていますので、御紹介します。

(中塚氏の11日〜15日の「メッセージ」を要約)

・・私は世論、党内情勢の把握につとめ、連日小沢一郎氏に報告しました。普段読まない新聞にも全部目を通しました。小沢氏が判断を過たないようにするためです。

私は終始一貫して代表就任には慎重論を唱えていました。・・この政界再編の10年余の歩みを見ると、小沢氏に対する評価は決して芳しいものではありません。

特にマスコミの報道は小沢氏の実像を全く言っていいほど伝えていません。・・・

小沢氏ほど、毀誉褒貶つきまとう政治家は現在いません。多くの人は小沢氏の周辺から人がどんどんと離れてゆくことをもって、剛腕、わがままという評価を下します。

しかし小沢氏から離れていった人は、野党から与党へと変節した人が殆どです。権力のもつ魔力は一度経験したものにとっては何ものにも抗しがたいものらしい。選挙にしても与党で戦えば多くの団体の支持が見込めると考え、氏のもとを離れていった人が殆どです。

私から見た小沢氏とは、とにかく「真面目」の一言に尽きます。・・・・また加えて「欲がない」という面もある。人は誰しも、他人から良く思われたいと考えます。ところが小沢氏にはそれがない。正に人が自分から離れようとするときに、お愛想もなければ、引き留めることもしない。これが誤解を受ける一番の原因でしょう。

・・・小沢氏ほど人間の持っている可能性、民主主義のもっている可能性を信じている政治家もいません。小沢氏の理想は時に荒唐無稽と思えるほどに崇高です。その信念こそが自民党という権力の中で、しかも将来を嘱望されていた存在であったにもかかわらず、離党しあえて野党という立場で、政策を武器に政権交代を迫ろうとする原動力なのだと思います。

・・・人間関係と政治を厳しく峻別する人でもあります。みんな仲良くということは、素晴らしいけれども、これだけの厳しい時代に、特に政治の世界において、議員同士の人間関係だけが優先され、政策が議論できない、構造改革が進まないということは、論外です。・・

・・・・我が国は、気候温暖で農作物に恵まれ、また島国であるという地理的な条件からも、その歴史の大部分を平和なうちに過ごすことができました。平時にはリーダーシップは必要ない。・・・ところが、危機が顕在化すると、リーダーシップが不可欠となります。

・・・我が国はとかくリーダーシップを認めにくい社会ですが、今こそ「嫌われ者」「異端者」としての指導者が求められる激動期です。そういった指導者が民主政治下において現れるためには、なによりも民主政治の担い手、主人公である国民一人一人の自立が必要となります。この観点からも、小沢氏は自立ということを、常に熱く語ります。

・・・小沢氏自身も代表就任に否定的でした。理由は「自分で本当に挙党態勢が確立できるのか、参議院選挙・総選挙を戦う態勢ができるのか」ということ。それにつきます。

またこの一週間で私の危惧どおり、聞くに堪えない誹謗中傷が飛び交いました。「側近」と言われる人たちの、思惑ばかりが先行して小沢氏の真意を伝えない、あるいは曲げて伝えている言動によって大変な混乱が起こりました。

例えば小沢氏は任期が4ヶ月ではイヤだなどと、一言も言ったことはありません。ところがこれが小沢氏の真意であるかのごとく流布され、また小沢氏がゴネているかの印象を党内に与えたのはとても残念でした。・・・

小沢氏は私に「代表就任など望んだことは一度も無い。私の願いは選挙を通じて政権交代を実現することこれ一点につきる。政権交代が実現したら君たち若い世代にバトンを渡す」としみじみ語ってくれました。

党内には小沢待望論がひしひしと盛り上がります。私は思いました。「小沢一郎氏には、これ以上の余計な苦労をしてほしくない。でもこれだけ沢山の政治家、国民が小沢一郎氏の政治手腕に期待しているのに、断り続けることができるだろうか。いま実現しないで、またの機会はあるのだろうか」と自問し始めるようになります。

14日の朝、小沢氏に私の気持ちを伝えました。「小沢一郎先生とともにこの10年余りを過ごさせてもらいました。新生党、新進党、自由党、民主党と大変なご苦労をされたことも側で見ております。しかし『政治は国家・国民のためにある』とお教えを頂いて、常に私はそれを心がけています。何が何でも代表になってくれとは言いません。でも小沢先生がご自身の政治信条・政治哲学を存分に振るえると判断されたなら、民主党の代表なんていうちっぽけな話ではなくて、是非総理大臣として思う存分の政治をしてください。私は細腕ですが、全力で責任を持って支えます」と。

・・・マスコミ報道の不正確さには本当にあきれます。多くの国民の皆さんは新聞やテレビを通じてしか知る機会はないことと思いますが、殆ど事実を伝えていないことを申し上げたいと思います。

・・・規約を改正して代表の任期を延長しようとしたなどというのも、事実無根です。・・・

(コメント)

小沢一郎という政治家を最も近いところで見つめている政治家の言葉です。

「自民党をぶっ壊す。」・・小泉純一郎氏の言葉です。しかし、彼は自民党の庇護の下で生きていたい政治家です。小沢一郎氏こそ、正真正銘、自民党をぶっ壊そうとしている政治家です。

私も、今回小沢氏が党首になる必要なしとの意見でした。中塚氏の悩みに共感するところがあります。


[2004/05/16]  総理大臣の嘘

小泉純一郎氏は、即刻辞任すべきです。それも、議員辞職をすべきです(自動的に総理大臣ではなくなります)

小泉氏は5月10日、衆議院議員に当選する前の国民年金保険料の納付に関し、「(未納は)ありません。」と記者団に明言しています。少なくとも、自らは未納問題の枠外に立っているという印象を与え続けてきました。それが覆ったのですから、その責任を取るべきです。

「未加入」であり「未納」ではないというのは詭弁です。そういう認識で未納がないと述べていたのなら、発言時にそれなりの解説が必要でした。

政治家、それも内閣総理大臣が嘘をついたことの責任は極めて重いものです。政治において言葉は命です。そこをうやむやにすべきではありません。

この大問題を吹き飛ばすために拉致被害者の問題を利用しようとするのは、極めて不誠実な態度です。

全ての問題を政局(政治における権力闘争の場面)がらみでしか考えられない極めていびつな政治家、それが小泉純一郎という政治家です。

彼が国会議員になった後も不動産会社の社員(サラリーマン)であり、勤務実態がないのに厚生年金に加入していたことなど、彼の過去のことが取りざたされる可能性があります。単なる「未納告白」では済まないことを自覚していたからこそ、過去のことを隠し続けてきたのだと思われます。

平壌訪問のパフォーマンスで未納問題、過去の問題をかき消せるのでしょうか。目先を変えれば政治家の本質に関わる問題から目がそれてしまうほど我が国の報道機関が軽薄なのかどうか。今後の政局から目が離せません。


[2004/05/15]  「未加入」

小泉総理の国民年金「未加入」問題が発覚。自民党が全議員の年金履歴を公表できない理由は、小泉総理(だけかな?)にありました。1986年に国民年金加入が義務化される前の話であり、「未納」ではなく、「未加入」という説明です。(予備校生時代の3ヶ月は強制加入でしたが、未加入。いや、未納?)

週刊誌で暴露記事が出ることが分かり、追いつめられての発表です。飯島秘書官は記者会見で、義務化された1986年以降は全て納付しているとしながら、そのことについて社会保険庁への問い合わせをしていないと回答しました。

ということは、86年以降についても、本当はどうだか分からないということです。

小泉氏は、これまで自分は無関係であるかのように振る舞っていました。今回の「未加入」問題は、従来の小泉氏の発言と矛盾しており、福田官房長官が嘘をついたのと同様の話になります。政治責任は重大です。

このままでは、受け身に回らざるを得ない。そこで、小泉氏は「勝負手」を打ってきました。平壌訪問。筋悪のルートに乗っかっての外交パフォーマンスが成功するかどうか。


[2004/05/14]  公表できない自民党

各党が国民年金未納・未加入の国会議員を公表している中で、自民党は個々の議員に判断を任せ、党としては公表しない方針をとっています。

小泉首相は13日夜、自民党として国民年金保険料の納付状況を公表しないと安倍晋三幹事長との間で確認したことについて、「個人個人が発表すればいいということだ。各個人が(国民に)理解を得られるよう(公表を)判断すべきだ。」と説明。

党として公表しない理由に関しては、「分かりませんけどね、各個人に任せればいいんじゃないか。幹事長が議員の意見を聞いて判断すればいいと指示している。」と述べています。

「分かりませんけどね」とは、無責任も極まれりです。年金問題の所管である森英介、谷畑孝両厚生労働副大臣の未納が判明している段階でなお公表を控えるということは、これ以上にまずいことが出てくると考えるのが自然です。

自民党が隠そうとしているのは何か。これが問題です。

ところで、幹部の未納が明らかになった公明党本部には、12日夕刻から13日朝にかけて、「どう責任をとるのか」など数百本の抗議電話が殺到していると報じられています。「それはイカンザキ」ということのようです。

幹部の一人は「神崎氏が辞めれば閣僚も辞めざるをえない。辞任ドミノの防波堤になる」と強調しています。都合のよい責任回避の論理ではあります。


[2004/05/13]  本日の未納者

パンパカパーン、パンパンパン、パンパカパーン・・・本日のハイライト・・・本日新たに発覚した未納者は次の方々です・・

と紹介すればいいのでしょうか。外出先で話をしていると、「公明党の神崎さんも未納だったんですね。」などと言われ、「本当ですか?」と返事しなければならなくなるくらい、次々と未納者が明らかになってきます。

「冬柴幹事長、北側政調会長ら幹部もだってね。」と続くと嫌になってきます。厚生族の橋本元総理、丹羽元厚生大臣、そして厚生省OBの熊代昭彦議員・・・

年金改革を叫んできた公明党や自民党のエキスパートが知らなかったような複雑な制度が通用するものかどうか。

公明党は「100年安心」と言うけれど、言ってる人達の信頼度が「?」なのだから、不安になります。

この際、一から議論をやり直すべきだと思います。


[2004/05/12]  若者は政治に無関心なのか

若者は政治に無関心であるということが多くの方に信じられています。私もそのことに疑問を投げかける指摘を受けるまで、そう思っていました。各年代毎の投票率を見れば、若者の投票率が著しく低くなっているからです。

考えてみれば、「組織票」としてカウントされている方々が本当に政治に関心があるのかは疑問です。上から言われるままに投票するということは、主体性の放棄でもあります。

外的な強制がなければ、政治に関心を持って主体的に投票所に足を運ぶ人の比率は、年代毎にそれほど違いがないのかもしれません。

年を取るにつれ、しがらみが多くなります。客観的な判断で投票するというよりも、人間関係で投票してしまうというのが多くの人の投票行動ではないでしょうか。

政治家(候補者)サイドから見れば、しがらみづくりこそが最も有効な政治活動(選挙運動)ということになります。

しかし、しがらみの絆が近年弱まっています。無党派と言われる層は、しがらみから解放された方々であって、彼等の動向が政治に与える影響は年々強まるでしょう。

そこで、彼等に言いたいのは、「観客席」から評論をしても、この国や自分達の地域を変えることは不可能だということです。

代表辞任劇でのごたごたを見て、民主党がバカの集まりだとシニカルに見ることは自由ですけれども、そう判断したからといって、この国を一歩たりとも良くする方向への力にはなりません。

観客席で評論する人と、組織の駒となっている人を比較して、前者が上等な人種と言いきれるのか、はなはだ疑問です。

実践なき論評の空しさを指摘しておきます。


[2004/05/11]  菅氏の挫折

菅民主党代表辞任。

週末にテレビをはしごした菅代表でしたが、劣勢を挽回できませんでした。むしろ、傷口を広げたとの評価があります。世間の関心事と菅氏の説明したいこととが大きくずれていました。

私は、ひきこもらずに出て行って前のめりに倒れた菅代表の姿勢を評価したいと思います。

サンデープロジェクトでの田原総一朗氏との対談を見ました。田原氏には菅氏の釈明を聞く姿勢は全くなく、発言を遮って「辞任」の2文字を言わそうと懸命でした。

田原氏が菅氏の釈明を遮り続けるのを見て、私は菅氏が能弁でありすぎることの弱点を突かれたのかなあと思いました。

私ならどうするだろう・・

「田原さん、そのままお続け下さい。」と聞き役に回れば良かったのでしょうか。こちらは沈黙の砦に立てこもる。相手が発言を促すと、「田原さん、もっと言いたいことがあるんじゃないですか。お説を伺いたい。」と聞き役に徹する・・

ふと、故・大平正芳首相を思い出しました。大平さんだったらどうだったでしょうか。

「あーーーぁ、うーーーぅ」「アーーーァ、ウーーーゥ」「・・・・」

大平氏がしゃべり始めた後に聞き手が遮ろうものなら、次ぎに大平氏が意味・内容のある言葉を発するまでには、番組が終わってしまう危険があります。鈍重(どんじゅう)で攻めにくい人物でした。

菅氏の捲土重来(けんどちょうらい)を期待します。

漢の高祖・劉邦(りゅうほう)と覇(は)を争った楚(そ)の英雄・項羽(こうう)は、戦いに敗れ揚子江のほとり・烏江亭(うこうてい)まで逃げ延びます。舟で郷土・江東(こうとう)へ逃亡することをすすめられましたが、項羽はそれを断り自害(自殺)しました。 

唐の詩人、杜牧(とぼく)は、項羽が故郷に帰って、再び兵を集めて劉邦との戦いを続けていたらどうなっていたかは分からなかったということを詩にして項羽の死を惜しみました。

烏江亭に題す
勝敗は兵家も事期せず
(はじ)を包み恥を忍ぶは是男児
江東の師弟、才俊(さいしゅん)多し
捲土重来、未だ知るべからず

<戦の勝敗は兵法家でも予測不能である。恥を忍びに忍ぶのもの、それこそが男児である。(項羽の故郷)江東には優れた人材が多かった。砂煙を巻き起こして再起を図っていれば、事態はどうなっていたか分からない。>  


[2004/05/10]  平成の合併・・対立、合併バブル

サンデープロジェクト(テレビ朝日系)で、平成の合併についての特集がありました。

合併先を巡り、町を二分する壮絶な戦いが繰り広げられる福岡県,・広川町。久留米市との合併をめざすグループと旧八女郡での合併をめざすグループ間の議会内の対立と、久留米派の住民が議員候補を擁立して戦った町議会議員選挙の模様が生々しく伝えられました。

まず合併ありきで、合併の目的を見失った地域内の悲しい対立です。

10市町村での巨大合併をめざす鳥取市の例も取り上げられました。片山鳥取県知事は、鳥取市の動きを「帝国主義的蚕食」と批判しています。

鳥取市は、500億円余りの合併特例債を活用して1500億円余りの巨大公共事業計画を行う予定です。周辺自治体は財政難に陥っており、合併やむなしの状態。

交付税削減によるジリ貧か、合併特例債による刹那的公共事業か。アメとムチにより合併に追い込む国のやり方に対し、片山知事の言葉が印象的でした。

「財政難を理由に合併を推進し、合併するのにさらに借金をしなさいという。(国はこのような)品の悪いことはやめられたらいい。」

「合併推進のためにアメとムチをちらつかせる総務省のやり方は、自分達のことは自分達で決めるという自治の原点を見失っている。」


[2004/05/09]  75日

「人の噂も75日」と言います。

世間のうわさは長く続かず、しばらくすれば忘れられるものであるという意味です。

見方を変えると、一定期間はまともな議論が通用しない状態になることがあるが、時間の経過の中で評価が固まり、一時の極論や風説の類も整理整頓されていくということでしょう。一時の熱狂や偏見もあぶくのように消えてしまうものです。

国民年金未納問題についての評価も、一定の時間を経ることにより落ち着いたものになると思われます。

ところで、参議院議員選挙まで、残すところ63日。菅代表の未納問題を冷静に評価してもらうにはちょっと期間が短い気もします。

民主党幹部の「次の一手」が注目されます。「予想通り」の手が良いのか。「妙手」が見つかるのか。マスコミに突っ込まれて慌てるのが一番いけないと思います。

手の多い局面。守勢から攻勢に転じることも可能です。


[2004/05/08]  未納理由の分類

閣僚、国会議員の相当数が未納であると思われます。続々と未納が発覚しています。

未納理由について整理してみる必要がありそうです。

(1)不勉強(制度の誤解であれ、手続きのミスであれ)
(2)国民年金の軽視ないしは損得計算によるもの
(3)人任せ型

(1)が多いと思います。(2)は公人としての規範意識に何らかの問題あり。(3)の場合も多いのでしょうが、「秘書が・・」という言い訳を許さないという意味で、(1)に分類すべきでしょう。

(2)の場合は糾弾されるべきですが、国民年金が義務であるということよりメリット・デメリットで考える風潮が最近まであり、義務であるとの認識が希薄だったということでしょう。昨日述べた社会保険庁のホームページもメリット・デメリット論で書かれており、義務であることが分かりにくいものになっています。そういう風に考えると、ほとんどのケースは(1)の不勉強に含まれるのではないでしょうか。

制度としても、2年過ぎると受け取らないのですから、絶対視されるべき国民の義務として認識しがたい要素があったと思います。

なんども書きますが、公人としてのけじめの付け方は、未納部分を支払うことに尽きます。それも、制度の恩恵を受けないことが前提です(年金支払いの対象とならないという意味)。しかも、法定利息を付けるべきでしょう。


[2004/05/07]  「国民年金って何?」

ぞろぞろと国会議員の名が出て来ます。国民年金未納問題がどこまで尾を引くのか分かりません。

私は、全ての閣僚、国会議員の議員になる前からの年金加入履歴を公表すべきだと思います。出すととんでもないことになる恐れはありますが、この際膿を出し切るべきです。その上で制度の議論を徹底的に行えばいいのです。

ところで、社会保険庁のホームページで国民年金の説明がどの様になされているのか見てみました。

「国民年金って何?」というタイトルの独立した形のホームページがつくられています。そこでの説明は各世代別になされており、それぞれの世代にとってどのようなメリットがあるかが書かれています。

メリットが強調され、義務であることが書かれていないので不思議に思い、しばらく探してみました。やっと見つけました。各年代別に様々なメリットが書かれ、ページの下に矢印があり、「このメリットを受けるためには保険料を納めることが前提になります。」という当たり前のことが大きく書かれ、その下に小さく、「国民年金への加入と保険料納付は法律で義務づけられています。」とあります。

このホームページを見た多くの人は、メリットについては分かるかもしれませんが、義務だということは見落とす可能性があります。メリット中心に説明すると、「メリットがそれほどない」と感じた国民は払わないという結論を出すかもしれません。

義務だということを特筆大書すべきです。一部の国会議員は、義務だということを最近知ったのではないでしょうか。


[2004/05/06]  戦争を知らない中高年

「戦争を知らない子供達」 作詞 北山 修  作曲 杉田 二郎

戦争が終わって 僕等は生まれた
戦争を知らずに 僕等は育った
おとなになって 歩き始める
平和の歌を くちずさみながら
僕等の名前を 覚えてほしい
戦争を知らない 子供たちさ

若すぎるからと 許されないなら
髪の毛が長いと 許されないなら
今の私に 残っているのは
涙をこらえて 歌うことだけさ
僕等の名前を 覚えてほしい
戦争を知らない 子供たちさ

青空が好きで 花びらが好きで
いつでも笑顔の すてきな人なら
誰でも一緒に 歩いてゆこうよ
きれいな夕日が 輝く小道を
僕等の名前を 覚えてほしい
戦争を知らない 子供たちさ
戦争を知らない 子供たちさ

<コメント>

昭和45年の歌です。嫌いな歌でした。軟弱だと思っていました。当時、私は高校2年生。

僕たちは戦争を知りません。平和な時代がこれからも続くように、僕たちを守って下さい・・

こんなメッセージを発してどうするんだ、という感想でした。

これを歌ってた人達も50代。イラク人質事件の被害者、18才の今井君の記者会見を見て、当時の若者群像が脳裏に甦(よみがえ)ってきました。

同時にこの歌を思い出しました。当時の自分が肩肘張っていたような気もしています。

岡本公三らによる日本赤軍のテルアビブ空港乱射事件が起きるのが昭和47年。今井君や高遠さんが平和への願いを込めてイラクへ赴いたことと比較すると興味深いものがあります。


[2004/05/05]  安倍幹事長訪米

<ニュース>

安倍晋三自民党幹事長が訪米。パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官、ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)ら米政府の主要メンバーが会談に応じるなど、ブッシュ政権の手厚いもてなしを受けました。

ファイス国防次官は29日の安倍氏との会談で、自衛隊派遣について「日本人人質事件でも、スペインが撤退を表明した際にも、日本政府はぶれなかった」と評価しています。米国はスペイン軍撤退による各国の動揺に神経質になっており、安倍氏に対する厚遇には、「日米同盟」の結束の固さを国際的にアピールし、他国の動揺を防ぐ狙いが見えます。

安倍氏は保守系のシンクタンクで行った講演で、「集団的自衛権を行使できないという日本政府の解釈は限界に来ている」と明言しています。

講演を聞いたポール・ジアラ元国防総省日本部長は、「非常に明確なメッセージを発する人。彼のような人が将来、首相として日本の憲法改正に尽力することを期待している」と手放しでほめました。

<コメント>

小泉首相よりも軽薄で操縦しやすい人物をアメリカは発見しました。安倍氏の特技は、北朝鮮への対応に見られる対外的な強硬論だけです。

世襲議員が苦労なく出世の階段を上り、単純明快な強硬論を主張することで右傾化した世論に受け入れられる構図です。

戦前のある政治家を思い出しました。

近衛文麿。亡国の宰相。


[2004/05/04]  年金を報酬制に

週刊ポストで、小沢一郎氏と養老孟司氏との対談が掲載されていました。その中で、養老氏が年金を報酬として支払うようにすべきだと述べていることに注目しました。

高齢者に社会に役立つような何かをしてもらって、それに対して報酬を支払うという形にすべきだということです。

<コメント>

捨て備置(ぶち)としての年金ではなく、活動に対する報酬。

現役世代では、通例、労働するに際して、利潤追求ないしは費用対効果ということが問題になります。高齢者には、利潤や効率ではなく公益を第一義として労力を提供していただく。そのことにより、短期的な利潤のみを追求する皮相な社会ではなく、長期的に追究すべき理念や公益が常に意識できる奥行きのある社会を実現できます。

あなた達は必要な存在である。あなた達の活動に対して報酬を支払うということになれば、高齢者にとって生き甲斐のある社会になるのではないでしょうか。真に自由な高齢者像を具現できると思います。

将来高齢期を迎える私としては、高齢期の積極的意義を構想したいと思います。マイナスイメージの高齢者像からプラスイメージの高齢者像への転換を提案します。

昨日の「一言」で、議員のボランティア義務について述べました。議員に行政の監視者としての意義だけではなく、365日・24時間型市民としての意義を付加することにより、現役世代と高齢者との橋渡し的な役割を付与することが社会の質を向上させることにつながると思います。

もう少し敷衍(ふえん)すれば、公務員とはそういうものなのでしょう。

肉体的、精神的に社会貢献ができなくなった場合には、尊厳をもって生きるということに対して社会が感謝と敬意を持つことの証として年金を支払うことにすべきです。対象者の年齢は関係ありません。


[2004/05/03]  議員ボランティア条例

昨日の続き。

無為徒食というのは言い過ぎなのかもしれません。しかし、一般的な論調として、議員は無駄なものの代名詞のように扱われています。

要するに、民主主義にかかる経費が軽んじられているわけです。民主主義の軽視ではあります。ただし、そう言うだけでは問題の解決になりません。

議員が様々な分野でボランティアをすることを義務づける条例をつくればいいと思います(義務といっても強制力はありません)

これからの地方は、住民パワーに依存することが多くなります。高齢社会において、時間的なゆとりを持つ層が増えてきます。議員も市民の1人として、地域の事務に汗を流すべきです。行政の監視者を気取るだけでは済まない時代であるとの認識を持つべきでしょう。

議員が地域づくりの尖兵として先頭を切ることを宣言し、住民にアピールすることにより、これからの社会をリードする気概を示せば、住民の見る目は変わってくると思います。

「一年を二十日で暮らすいい男」から、365日・24時間型の市民として地域に貢献するのが議員であると再定義することができれば、議員の値打ちは確実に上がるでしょう。

もっとも、多くの議員からは、嫌味としか受け取ってもらえないでしょうが・・  


[2004/05/02]  無為徒食の輩

各地の市町村合併において、議会あるいは議員のあり方について、住民からの批判が頻繁に見受けられます。リコールや住民投票に発展する場合もあります。

在任特例(合併後一定期間、議員の任期を延長する)により議員の数が多くなる場合、小さな自治体の議員が大きな自治体の議員と同じ待遇になる場合に、住民が激怒するのがその例です。

この背景には、住民の議員に対する嫉妬心もあります。地方における議員選出のあり方は、能力主義とは程遠く、地縁・血縁、友人・知人の輪がものを言います。有権者から見て、自分達と能力に差がない連中、代表となる実質的根拠を持たない連中が、自分達より良い思いをし過ぎることに腹が立つということなのでしょう。

田舎の方に行けば行くほど、首長や議員の選挙は、飲食や金品が絡む、非合法的な富の移転(富の分配)による地域内福祉となります。

議員が「予定」より良い思いをし過ぎるということは、「地域内福祉」ないしは「富の分配」が「不公平」だったことになります。

議員というものは、所詮、なんら役に立たない無為徒食の輩(やから)である。有権者の議員を見る目はそんなところです。中央集権国家における地方自治など、誰がやっても同じ。可愛げのある奴、気前の良い奴にやらせておけばいい。それが有権者の本音だと思います。

無為徒食の輩であると思われている議員を地域のためにどの様に活用すべきなのか、あるいは、議員が無為徒食者と言われないためには如何にあるべきか。明日の「一言」で、この身も蓋もない議論をさらに展開したいと思います。

(注:地方議員で私のホームページを読んでいる方々は、議員としての自覚を持ち、真剣に地域の将来を案じ、悩んでおられます。私がここで想定しているのは、彼等以外の使命感なきぶら下がり議員です。)


[2004/05/01]  転職社会における年金制度

ブルータス・・・というか、菅代表に続き、鳩山由紀夫氏など、民主党からも「未納」の話が出て来ました。

野党の失策は与党の10倍のダメージがあります。自民党の政治家が高い志を持っているなどと思う迂闊(うかつ)な人はあまりいないと思います。スキャンダルが発覚するかどうかだけの問題だと考えるのが、世の中を多少なりとも知っている人の感覚でしょう。

自民党政治家のスキャンダルは、「やっぱり」で済んでしまいます。せいぜい、マスコミ的にどれだけ追いつめられるかが主たる関心事となります。

これに対して、野党の場合はそうはいきません。自民党に取って代わる清新なイメージが期待されている分、国民に強い失望感をもたらします。なんだか、清純派アイドルのスキャンダルのようではあります(平素はそれほどキャーキャー言ってもらえないのに・・)

私が「観客席」から「プレー」を見ていたときは、もっと成熟した政治感覚を国民が持つべきだと思っていました。しかし、「ブルペン」で投球練習している今の立場では控えるべきなのでしょう(と言いながら、書いてしましましましたが)

ところで政府・与党は、一連の未納問題の解決策として、(1)国会議員の歳費からの保険料天引き、、(2)閣僚就任などに伴う年金制度の移行がある場合、社会保険庁が速やかに通知する、(3)勘違いによる未納の場合、一定条件のもとで事後納付できる期間を現行の2年から延長すること、を検討しているようです。

根本的な問題を議論することなく、辻褄を合わせるだけの解決策です。転職が当たり前の時代になりました。「人生色々」であることを前提とした年金制度をどのように構想するか、「未納問題」の教訓を活かし、徹底的に議論すべきです。

民主党が向こうずねを打って痛がっているどさくさの中で、つぎはぎだらけの年金制度改革関連法案を通してしまおうとする政府・与党の悪巧みを、国民の「眼力」で阻止していただきたいと思います。


玉井彰の一言 2004年5月 四国の星ホーム前月翌月