玉井彰の一言 2004年7月 四国の星ホーム前月翌月

[2004/07/31]  檄を飛ばす

30日の新聞で、語句の意味について誤解が広がっているということが取り上げられていました。

姑息=一時しのぎ  ×卑怯という意味ではない。
憮然=失望してぼんやりする様子  ×腹を立てている様子ではない。
等々。

(げき)を飛ばす=自分の主張や考えを広く人々に知らせて同意を求めること

誤解していました。刺激的な語調で勢いを付けるというくらいに思ってました。

日本語は奥が深い。もう少し勉強する必要がありそうです。


[2004/07/30]  引責昇格

引責辞任という言葉は知っていましたが、「引責昇格」という新語が新聞の見出しに踊るようになりました。

参院自民党の青木幹事長は、自民51議席が勝敗ラインであることを繰り返し強調していたにもかかわらず、選挙が終わると、それまで述べていた言葉が忘却の彼方に行ってしまいました。

青木氏は参院議員会長に「昇格」。敗北を認めず、責任の所在も不明確。これに対する異論もほとんど出てこない状況。

自民党内部の問題ですから、取り上げる必要はない話です。しかし、自民党の衰退を象徴する出来事として興味を持ちます。

人生いろいろ。責任の取り方もいろいろ。「大臣病」はワンパターン。


[2004/07/29]  交付税総額が4年連続減少

(ニュース)

27日の閣議で、2004年度の地方交付税の自治体への配分額をまとめた普通交付税大綱が報告されました。総額は前年度比6・5%減の15兆8729億円で、4年連続の減少となりました。

交付税の不足分を穴埋めする臨時財政対策債(赤字地方債)の発行枠が、28・7%減の4兆1906億円と大幅に削減されています。赤字地方債を加えた実質の交付税総額は12・0%減の21兆766億円で、過去最大の落ち込み幅。

自治体全体の予算の大枠を決める地方財政計画で、インフラ整備などの投資的経費を8・4%削減したことが総額減少の主な理由です。

(コメント)

国がやっていけないのだから、地方も切りつめろということなのでしょうか。地方交付税が減少し続けています。

確かに、無駄な出費は慎むべきでしょう。しかし、自由が制限された中での交付税削減は、地方切り捨て以外の何物でもありません。

予算総額が削減されたとしても、補助金行政と決別し、地方が全くの自由裁量で自治を行うことができるのならば、それなりにやり方があります。

政府がやっている「地方分権」と「三位一体改革」とは、手足を縛った「自由形」の水泳の勧めに他なりません(溺(おぼ)れるだろう!)。

中央集権と官僚支配を止めようとしないのですから、国家財政の破たんを地方の犠牲によって切り抜けようとするものにすぎません。

市町村合併もその一環です。


[2004/07/28]  民主党政権と地方政治(続き)

民主党政権下では、地方の「民度」如何がその地方の将来を決定します。

きちんとした代表者を選べなければ、その地方の将来は悲惨なものになります。地方において真剣勝負の民主主義の時代が到来します。

自民党政権下では、地方自治体を放っておくとろくなことをしないから、中央がコントロールする必要があると考えられてきました。(地方自治法とは、地方自治規制法なのです)

自分の頭でものを考えることが禁止されてきたのが地方自治体です。「地方分権」と言っても、地方に仕事をさせてあげようというものにすぎず、決定権は中央が留保してきました。

要するに、護送船団方式の地方自治だったということです。

これが本物の地方分権(地方主権型社会)になります。地方が自分の頭で物事を考えることができるかどうかがポイントです。

「客車」から「機関車」へ変貌できるかどうか。


[2004/07/27]  民主党政権と地方政治

自民党政権下では、国政が上位で地方政治が下位であるということが当然の前提となっている傾向があります。

中央集権と官僚支配を前提とする自民党政治では、中央で重要事項が決まるのですから、大きな仕事をしたいと考える人物は国政を目指すことになります。

しかし、民主党政権下では地方のことは地方で決めることになります。

そうだとすると、地方でも重要事項を決定できますから、地方政治の重要性が飛躍的に高まります。

同時に、地方政治が腐敗した場合に、地方に与える影響は極めて大きいものになります。(続く)


[2004/07/26]  特定失踪者

北朝鮮の拉致被害者ではないかと疑われる「特定失踪者」が400人とも言われています。

先日、愛媛新聞の投稿欄に伊予市の特定失踪者のお母さんの文章が掲載されていました。

曽我さん一家の帰国で、政府は日朝国交正常化に向かって進んで行き、拉致された安否不明者や特定失踪者の問題が棚上げされてしまう恐れがでてきました。

安否不明者については、北朝鮮が拉致を認めている以上、政府が繰り返し安否情報の提供を求めれば、何らかの進展も期待できます。

しかし、特定失踪者については、北朝鮮が拉致を認めていないのですから、日本側が特に強く主張しなければ進展しないと思われます。

5月22日の訪朝時に小泉首相は特定失踪者の問題に言及しませんでした。このことにお母さんは落胆されています。

政治的思惑で幕引きを図るのではなく、安否不明者・特定失踪者についての日本側調査団受け入れを北朝鮮に強く求めるべきだと思います。

主権侵害であり、人権侵害であり、しかも誘拐という犯罪であるということを決して忘れてはならないと思います。

日本が過去に朝鮮半島から朝鮮の方々を強制的に連行したことと「相殺」されるかのような言説があります。

しかし、北朝鮮の犯罪は現在も継続中であり、「時効」にかかっていないのだということを見過ごしてはなりません。


[2004/07/25]  34427

警察庁発表の昨年の自殺者数が34427人。過去最悪。昨年より2284人増。

借金などの「経済・生活問題」が動機とみられる自殺が過去最悪の8897人を記録しています。

景気回復が叫ばれていますが、少なくとも昨年については、経済的な苦痛の厳しさが表れています。

6月18日の「一言」で、自殺者数約32000人と記述しているので、どうしたことかと思いましたが、統計の取り方の違いによるもののようです。

警察は変死者を認知すると、犯罪がないか捜査しなければならず、検視や死体検分を実施し、死因や動機を調べた結果、自殺と認定します。

厚生労働省の人口動態統計は死亡届で統計を取っています。警察庁のまとめには死亡届を出した後に自殺と判明したケースや、日本国内で自殺した外国人も含まれるため、双方の自殺者数に差が出てくるのだそうです。


[2004/07/24]  菅氏の遍路道

(徳島県相生町議会議員・清水幸助さんのHPを御紹介します。「気まぐれ日記」7月20日より)

・・・夕方、参議院選挙の反省会が仁木博文候補(民主党・衆議院徳島3区予定候補、《玉井注》)主宰で開かれ、阿南市まで参加してきました。勿論家業の関係でアルコールを飲みませんでしたが、皆さんそれなりに熱く政治を語っていろいろと勉強になることばかりです。 

仁木さんと友人が四国遍路中の菅さんに随行しようと訪問したらしいのですが、個人的なことであり、少し迷惑がっておられたとのことですが、最終的に今日一日随行したとのことでした。

話によりますと、今日で5日目なのですが、現在勝浦郡20番札所鶴林寺までとの事で随分と遅い遍路旅のようです。というのもたった一人の遍路旅なのですが、道中いろんなところに菅さんを待つ集団が待機し、サインと記念撮影を願うとのことだそうです。

四国では巡礼者に接待として温かく迎える風習があり、御茶・ジュース・菓子等で接待巡礼者を接待してくれるのです。さすがに菅さんは一人一人に優しく接せられているようで、傍からの目には、菅さんから後光が差しているような輝きであったとのことで、50人〜60人単位でサインを書き続くとなれば、巡礼に遅れが生じるのも仕方ないことなのでしょう。

そしておどろくことに、周囲の目が温かさで菅さんを励ましている方たちばかりだということです。四国88ヶ所巡りにご利益があるとすれば、すでに菅さんに授かった大切な激励と暖かいまなざしだったのかもしれません。

また、今日の巡礼に毎日ジャーナル(?)の記者さんが張り付いたとのことでした。そしてこの分では、明日が鶴林寺と21番札所・太龍寺、そしてその次の日が22番札所・平等寺と23番札所薬王寺になるのかもしれません。

毎日、5時旅立の過激なスケジュール、しかし元気な早足だとのことです。友人は今日一日で足の親指に大きな水ぶくれを創って、へんてこな歩き方になっています。さすが日本を動かす人にはそれなりの体力がついているということなのでしょうか・・・。

そんな菅さんの心中を察すると、僕自身是非時間を作って会いたいと思っていた気持を捨てなければならなくなりました。

頭髪を剃ってまでの巡礼は、想像を絶する胸中だと思うのは僕だけでしょうか・・・。やれるものならやってみな・・・・各議員さん!。

(コメント)

清水さん、「気まぐれ日記」拝借します。

菅さんが遍路になって歩くと、どうしても目立つし、関心の的になってしまうようです。

それにしても、88カ所の宣伝としては大変ありがたい話です。

一定期間日常を離れて自分自身を見直すことは、人生100年時代において是非とも人生の一部に組み込んでみたいものです。

「無」になりきることは難しいでしょうが、世の中や人生を別の角度から見直してみることは有意義だと思います。

「歩く」というだけでも何らかの効果がありそうですけれども、多くの方に「四国」を歩いてみていただきたいものです。


[2004/07/23]  岡田代表の発言

(ニュース)

民主党の岡田代表は、日本外国特派員協会で記者会見し、「基本的に自民党の時代は終わった。次の総選挙と3年後の参院選に勝って確実に政権交代するのが我々の責任だ」と述べ、参院選勝利を受けて政権獲得への決意を改めて表明しました。

岡田氏は、自民党の現状について、「予算、補助金をてこに利害関係者や業界の支持を得る手法透明性の低い政治資金に基づく党運営広く人材を登用しない世襲といったやり方が、小泉首相になっても変わらなかった」と指摘。27日からの自らの訪米についても、「二大政党の時代が来たという中での訪問。ますます信頼を得るように努力したい」と述べました。

公明党との連立について、岡田氏は「衆院は240議席取ればいい。今は180弱あるので、あと60取ればいい。公明党は関係ない」と述べ、民主党単独で過半数の議席を獲得して政権交代をめざす考えを強調しています。

(コメント)

自民党の現状についての分析は、正にその通り。小泉政権は、自民党の体質を変える努力をすることなく、「改革勢力対抵抗勢力」の芝居を盛り上げることにより国民受けを狙ったパフォーマンス政治であり、自民党の延命自体が政権の目的だったことが明らかになって来ています。

自民党が公明党に頼ることにより、党としてのアイデンティティを失ってでも政権の延命をしようとするところまで堕ちてしまったことを冷静に見る必要があります。岡田代表の発言は、公明党との連立の弊害を認識してのものだと思います。

公明党がこれから自民党との距離を取り始めることも想定されますが、自民党の度を越した公明党依存は、もって他山の石とすべきものです。


[2004/07/22]  大幅改造

(ニュース)

自民党の安倍晋三幹事長は、9月の内閣改造と党役員人事について「それぞれフレッシュな人材が活躍する場が与えられなければならない。大幅な改造をして多くの人たちにチャンスを与えてもらいたい」と述べ、大幅改造で挙党態勢を確立すると同時に、若手を積極的に起用すべきだとの考えを表明しました。 

安倍氏は「わが党には有為な人材がたくさんいる」と強調。小泉首相は参院選後の記者会見で、9月の大幅改造を示唆しています。

(コメント)

小泉首相の責任論が自民党内で出てこないのは、「人事」が原因だといわれています。

それにしても、ニンジンをぶら下げると食い付いてくる、分かりやすい政治家がそろっているのが自民党です。

「人事圧力」が自民党内で沸点に達しています。「大臣」の肩書きは極めて有利です。そして、大臣というだけで立派な人物だと思ってしまう浅い見方が支配しているのが現実です。

大臣が担うべき「責任」に目が向かないのも、自民党の特色です。

小泉氏が掲げた「一内閣一閣僚」のスローガンもやはり、思い付きだったことが明白になりました。


[2004/07/21]  静かな革命

7月9日の「一言」で、静かな革命が進行中であると述べました。私は、選挙の最終段階で地滑りが起きる可能性があると思っていました。

それは外れました。意外に自民党が巻き返しました。それなりに反撃策が功を奏したというべきです。

ただし、中長期的に見ると、これが自民党の命取りになるでしょう。

まず、公明党への過度の依存が自民党組織を衰退させることになります。

加えて、自民党の支持者の気持ちが離れています。離れつつある支持者を、最終段階で強引にまとめて票にしました。これで縁切りだというお別れ票が出たということです。

小泉政権は、「自民党をぶっ壊す」という名台詞に多くの保守層が希望をつないだことがその推進力となっていました。これが完全に裏切られ、自民党の延命装置としての小泉政権の本質が明らかになってきました。

不満のマグマが溜まっており、何時爆発してもおかしくない状態にあります。しかし、この国の人達は、かつてデモが活発だった時代とは違い、過激な表現をしなくなりつつあります。

多くの方々が、自民党から気持ちが離れ、静かに政権交代への気持ちを固めつつあります。敏感な自民党議員は既に気が付いているでしょう。この流れを食い止めることは困難です。

民主党が間違わない限り、次回の衆議院議員選挙では民主党が勝ちます。

私の任務は、政権交代時に愛媛が後れを取らないことです。愛媛の4選挙区全てで勝つ。そして、愛媛が政権交代の最高殊勲選手となる。このプロジェクトを推進します。

あるとき、自民党支持者は気付くでしょう。自民党支持といっても、所詮は家業でやっている○○家の事業にお付き合いすることにすぎないのではないかと。政権交代とは、彼等○○家の一大事にすぎないのだといういうことを。


[2004/07/20]  社民党との関係

(ニュース)

民主党は、参院選の結果を踏まえ、次期衆院選で自民党に競り勝つには野党内の候補者調整が不可欠と判断し、社民党に対して当選可能性が薄い小選挙区での独自候補擁立を見送るよう強く要請する方針です。

岡田克也代表は年内に300小選挙区の候補者調整を済ますとしており「政権交代という共通の大目標の実現に協力してほしい」(幹部)と理解を求める考えです。 

しかし、社民党は参院選を「党再建の足掛かりができた」と総括し、二大政党に対抗する「第三極」路線を確認。衆院選でも比例代表の得票を伸ばすため、できるだけ多くの小選挙区候補を立てたい意向とみられ、民主党の要請への反発は確実で、両党の折衝は難航が予想されます。

(コメント)

民主党が衆院選での社民党の候補擁立自粛を一方的に求めるというニュアンスだとすれば、これは他党に対して非礼であると思います。

社民党(社会党)がこれまで国政で果たしてきた役割を充分評価した上で、慎重に協力関係を築いていく必要があります。

「護憲」ということについて、意見の摺り合わせをキチンと行うべきですが、この点で社民党は一徹です。

二晩でも三晩でも夜を徹して話し合うくらいの根気がなければなりません。

私は社民党に、「静的護憲」から「動的護憲」へと視野を広げていただきたいと思っています。

憲法とは、民主的な憲法であっても、過去の民意を表現するものにすぎません。現在の民意を大切にし、国家をより厳格に規律することができる法規範にしていく努力をすることこそが、護憲の名に値するものではないでしょうか。

憲法改正=反憲法的態度ということではなく、憲法をより実効あらしめる為の改正という視点を共有することが大切だと思います。


[2004/ 07/19]  自民党の矛盾

今回の参議院議員選挙で、自民党の旧来の支持者が自民党離れしてきたことが明確になっています。

御利益政党である自民党が御利益を与えられなくなったことが影響しています。ことに、小泉政権による地方切り捨ての影響が深刻です。

中国特需とリストラによる景気回復の影響が地方に波及していないことから、地方での自民党支持は形骸化しています。

地方に公共事業をばらまくことで支持を得ようとすると、これに対する批判も厳しくなります。

地方経済を活性化させるには、引き続き公共事業が必要です。しかし、これを巨大プロジェクトにつながる補助金行政で行うことは、大きな無駄を生むだけではなく、大手ゼネコン(大都市)にお金が回収され、地方にお金が回らなくなります。

補助金を地方の財源とし、地方に決定権を与えて、地域を便利にする小さな公共事業により、地域にお金が回る仕組みをつくる必要があります。

中央集権・官僚支配を前提とする自民党が、自己否定することが出来ない限り、地方での支持を失い、ひいては政権を失うことになります。


[2004/07/18]  衆議院小選挙区

民主党は次期衆院選での政権交代に向け、9月末までに300小選挙区のうち250以上の選挙区で候補者を立てる方針を決め、新たな公認内定者の上積み作業に入ったとの報道がありました。
 
既に決まっている候補(予定者)は、現職議員176人と昨年の衆院選での落選者46人の222人。私も落選組予定候補の1人。

(コメント)

250以上とありますが、是非とも他党との共闘ができているところ以外の全ての選挙区で内定者を決めていただきたいと思います。

これまで、少なくとも愛媛では、野党の候補は選挙直前にボウフラのようにわいて、選挙とともに消えていくような印象でした。

立候補予定者が常時活動を続けていくということは、これまで自民党が強大であった愛媛のような地域では新たな時代の始まりを意味します。

自民党しかないという意識がある地域では、日常的な政治活動は自民党の独壇場です。

それが、政権交代を目指す政党が立候補予定者を決めて日常活動を行うことにより、従来にはなかった緊張感が出て来ます。

参議院議員選挙で愛媛選挙区の斉藤候補が善戦してくれたお陰で、様々な方から声をかけてもらうようになりました。

これまでにはなかった戦略で、面白い日常活動を展開する予定です。


[2004/07/17]  民主党は「反射政党」か?

中曽根康弘元首相は、テレビ番組の収録で、民主党の獲得議席が自民党を上回った参院選結果に触れ、「有権者は民主党が良いから票を取ったのではない。自民党のほかに入れるところがないから反射で取った。民主党は『反射政党』だ」との見方を披露しました。
 

小泉純一郎首相に対しては、「『人生いろいろ』などの軽率な発言が国民の反感を呼んだ。反省しなければ駄目だ」と指摘しています。

(コメント)

評論家・中曽根康弘氏の切り口には傾聴すべきものがあります。

「反射政党」との指摘には、正しい側面があります。批判票の受け皿として機能する政党としての民主党にとりあえず票を入れた有権者も多いと思います。

この方々を「支持者」だとカウントすると、あとで痛い目を見ます。

風が吹いたということを計算に入れる必要があります。

ただし、中曽根氏が指摘しなかった側面もあります。民主党には、政権を取るのではないかとの期待感もあります。

従来の批判票は、自民党に「お灸をすえる」ために共産党に入れるけれども、基本的には自民党支持だという方が大半だったと思います。

しかし、今回の民主党躍進は、自民党に代わる政権政党としての民主党への期待感が加わったものです。

しかも、共産党に投票する場合に比して死に票になりにくい民主党への投票は、有権者から見てコストパフォーマンスが高いということが言えます(憎き自民党候補を落選させやすい)

今回は、それほどの風が吹いたわけではありません。しかし、「大型帆船」となった民主党は、そよ風を大きな推進力に変換することが可能になりました。

小型政党(小型帆船)はそよ風では躍進しないけれども、大型政党(大型帆船)はそよ風で躍進することになります。

そして、昨年の衆院選、今回の参院選で民主党に入れた有権者の多くは、民主党に避難したのではなく、自民党支持をやめたのです。


[2004/07/16]  「自民党は負けなかった」論

参院選で自民党は負けていないという議論もあるようです。改選議席をわずかに下回っただけであり、与党としては半数近くあり、参院全体では安定多数であることが根拠となります。

しかし、改選議席は6年前に自民党が大敗して橋本総理が辞任したときの議席(+α)であり、これを基準とすること自体がおかしい話です。

今回の民意は、小泉政権のあり方への国民の批判が明確に表れています。

自民党の本音は、40議席を切るかもしれなかった逆風をうまく乗り切ったというところにあるのでしょう。小泉総理は、「逆風の中よく頑張った」という言い方をしています。

最終盤での粘り腰はたしかに凄いものがありました。しかし、これは他国に借りをつくり、他党に借りをつくり手に入れたものであって、政党としてのアイデンティティを失い、国益を大きく損なう行為によって得たものです。

見苦しいという一語に尽きるものでした。


[2004/07/15]  公明党的な生き残り

二大政党制への流れが定着したということが、今回の参議院議員選挙の結果に表れています。

共産・社民の敗北。民主党が批判票の受け皿となり、死に票を嫌う有権者が両党から離れているようです。

特に、共産党の敗北は深刻です。改選議席、15議席から4議席へ。これまで、自民党の悪政への批判は共産党に票が集まる形で表明されていました。6年前の参議院議員選挙は正にそういう形で共産党が躍進しました。

それが、民主党に票が流れる形となりました。共産党としては、それを阻止するために、民主党批判を強めました。しかし、却って共産党の主張が有権者にストレートに届きにくくなているように感じます。

有権者の中には、自民・民主・共産の選挙区選挙で、共産党が自民党を野党に追い込む邪魔をしていると感じている方も多いようです。

比例区での生き残りに懸け、選挙区は民主党候補の中で好ましい人物を推薦するというやり方の方が、共産党のイメージアップにつながるように思います。

しかし、これをやられると民主党の方が困るかも。


[2004/07/14]  29都道府県

今回の参院選、民主党が全国で比例第1党となりました。47都道府県のうち、29都道府県で民主党が第1党となっています。 

自民党王国と言われている愛媛の民主党が比例第1党であり、「29都道府県」の仲間入りをしています。これは嬉しい話です。ちなみに、四国で民主党が比例1位なのは愛媛だけです。

こんなことで満足すべきではありません。しかし、愛媛の皆さんの民主党への期待感を感じます。

3年後には、風まかせの選挙ではなく、堂々と自力で自民党を圧倒できるようにしたいと思います。


[2004/07/13]   野党になれない政党

政治家というのは、与党の一員となり、政策を実現する機会を得るのも面白いけれども、野党の一員として権力をチェックするのもやりがいのあるものです。

野党は、政権の準備をし勉強することができます。政権党の誤りを正すことにより、権力の怖さ、魔力を自覚して、政権を取った場合の自らのあり方を模索することができます。

ところが自民党は、野党になってリフレッシュすることができません。野党になって2年経つと解体するでしょう。少なくとも、多くの人がそう思っています。

負けるべきときはスッキリ負けて野に下ることができない政党は不幸です。政権党でなければやっていけない自民党という政党は、本物の政党ではありません。


[2004/07/12]  恥も外聞もなし

愛媛は敗北。民主・斉藤候補、273,784票。自民・山本候補、322,152票。その差、48,368票。惜敗率、85%。

しかし、(1)松山市で勝つ(2)25万票の目標は達成しました。しかも、比例では愛媛県で第1位となりました。

「市部」で斉藤・208,948票、山本氏・218,628票。「郡部」で斉藤・64,836票、山本氏・103,524票。

私が考えた勝利のパターンでは、郡部は予想の範囲内。しかし、市部で物足りない結果が出ました。

問題は、松山市。ここで3万票の差がなければ勝てないと思っていました(ちょっと欲張りか?)。結果は、88,589票−77,483票で、11,106票の差。

(松山市で、約9,500票の白票。県内で、約31,000票の白票。この意味も考える必要があります。)

ともあれ、愛媛の民主党大健闘。衆議院の愛媛1区、愛媛3区で民主が勝ちました。斉藤候補はよくやった。17日間マイクを握りっぱなしで戦いました。山本氏がソフトムードでなければ、こっちが勝ったかも。

山本氏は、私の中学校の同窓生。批判し続けましたが、与えられた任期、頑張っていただきたいと思います。

自民党は、恥も外聞もなく、政権崩壊を免れようとありとあらゆる手を繰り出してきました。市町村長の弱みにつけ込んだ自民党のやり方が、最後にある程度の票となって表れました。

全国を展望すると、最終段階での公明党の協力により、5〜10議席「救出」することができ、小泉政権崩壊が回避されました。この借りは大きいでしょう。

「入信せんかね」と言われたら、自民党幹部は拒否できるのでしょうか。


[2004/07/11]  愛媛での目標

愛媛の自民党が参議院選挙で本気(自公)で戦うと40万票以上出ます。

しかし、自民党はそういう戦いをしませんでした。候補者としては、借りをつくって当選したのでは政治家として大成しないと考えたのでしょう。創価学会に依頼をしませんでした。(これは正しい考え方だと思います)

そうすると、35万票前後という選挙になります。しかも、ゆったりとした横綱相撲を取りました。

私が目安となる基本的な数字として見たのは、自民35万票、民主20万票でした。

サラリーマンが昨年夏の賞与から社会保険料を余分に引かれるようになったこと(そして夏の賞与直後の選挙)、消費税の益税がかなり解消されることから自営業者が白けてくること、消費税の内税方式で流通業界で面白くない気持ちが渦巻いていること、健康保険の医療費自己負担が増したこと(少し過去のことですが、じわじわ不満がでてきます)、自殺者数が6年連続3万人以上の高水準であること、リストラされた方々を含め格差が拡大しつつあること、建設業界などで自民党の現世御利益がなくなってきたこと、等々・・・

これらの諸点から、地下のマグマがかなり溜まっているので、小泉政権が「賞味期限切れ」になる局面がでてくれば、全国レベルで自民党の敗北となりうると考えました。

これを前提として、(1)松山市で勝つこと、(2)25万票以上をとること、そして(3)あわよくば勝つこと、を目標として(私は)戦って来ました。(勿論、ラクダが針の穴を通るような話ですが)

小泉氏の性格、安倍幹事長の性格を考えると、苦しくなると馬鹿な手を打ってくることが予見できました。

正直、曽我ひとみさんの家族再会・政治ショーの影響は読み切れません。ただ、20万円のスイートルームを見せられた庶民が、本音として喜んで涙を流すだけなのかどうか・・・(曽我さんの家族再会は良かったですかというアンケートを取れば、大半の方は良かったと答えるでしょう)

結果がどうなるか楽しみです。愛媛での投票率55%(66万票)というのが、1つのポイントとなります。(7月10日午後10時40分記)


[2004/07/10]  北朝鮮と創価学会

小泉政権の支持母体は、いまや北朝鮮と創価学会?

曽我ひとみさんの家族再会を政治ショーとして選挙に利用。これには北朝鮮の協力が不可欠です。創価学会には頭を下げて協力依頼。

これすべて、取引材料が必要な話です。なりふり構わない自民党ですが、本来の支持者が離れているとの報道もあります。

小泉政権は、自公連立プラス北朝鮮の閣外協力政権ということになるのでしょうか。


[2004/07/09]  嫌いになった男からの指輪

選挙間際に様々な手。しかし、これが形勢逆転の妙手となるかどうかといえば、疑問です。

もう飽きた。人物が軽すぎる・・

賞味期限切れの総理が何を言っても、何を演じても、だからどうなのという感じがし始めた。

という状態に限りなく近づいています。

ギリギリの状態に入ってきました。若干自民巻き返しで終わるか、底が割れて自民党が惨敗するか、国民の心理も流動化しています。

私には、静かな革命が進行中だという感じがします。


[2004/07/08]  愛国心は?

国が愛国心を子供に植え付けようとしている正にその時、内閣総理大臣が国の利益より自分の政権益(党益)のみを追求し、国益を放棄する行動をとっています。

本来、人道問題であるはずの曽我ひとみさん一家の再会を選挙目的に使い、その為に北朝鮮に何らかの譲歩をしているとしたら、国を売る行為と言われてもしかたがありません。

金正日政権としては、小泉政権に存続してもらわないと困るから、参議院議員選挙の前にジェンキンスさん親子の出国を認めたのだとする解説もあります。

しかし、外交テクニック抜群の北朝鮮が対価なしで応ずると考える方が不自然です。

愛国心を強調する者に限って、自分自身はその対象から除外します。一般庶民が国を愛すべきであるということです。法律や道徳(愛国心を含む)は一般庶民統治のためにあるのであって、権力にある者が拘束されるものではない。

こういう発想に立つ者が、異常に愛国心を強調してきました。

強制されることなく自然に湧き上がってくる心情としての愛国心を醸成することは必要です。それは、権力者が自らを律し、国を愛する行動を取り続けることから出発すべきです。

親(権力者)の背中を見せることから学んでもらうことが肝要だと思います。


[2004/07/07]  「参院選前」の経費

曽我ひとみさんの家族がジャカルタで再会するために、小泉政権はかなり無理をしたと思われます。

その為に支払う経費が如何ほどのものか、気になります。政府関係者や曽我さんたち家族に必要な経費だけでなく、時期を早めるために無理をしたことから発生する費用があるだろうと推測されます。

裏取引(?)に必要な「経費」はなかったのでしょうか。北朝鮮に外交上の「借り」ができたのではないでしょうか。

国益を損なうような日程設定があったのだとすると問題です。小泉政権の軽薄な政治、思い付きの政治を象徴する今回の「政治ショー」。

見識ある総理大臣なら、仮に北朝鮮から「参院選前」の提案があったとしても、それほどの違いがない「参院選後」を選択したでしょう。


「地方分権」 

自民党も民主党も「地方分権」という言葉を使います。しかし、その意味するところは異なります。

自民党の言う「地方分権」とは、煎じ詰めれば、仕事を地方にやらせるということにすぎず、首根っこは国(霞ヶ関)が握っています。

民主党の言う「地方分権」は、地方のことは地方で決めるということです。決定権(そして財源)が地方にあることが重要です。

国の補助金20兆円のうち18兆円を地方の財源とするという民主党の提案(マニフェストに記載)は、補助金行政から地方が脱却することにより自ら工夫をすることが可能になる反面、霞ヶ関の官僚の仕事の大半を奪うことになります。

例えば道路を整備する場合、従来の補助金行政だと一定の道路幅(18mだとします)を確保すれば補助金を得られ、自治体は割安に道路を造ることができます。実際には6mで充分だとしても、自前でやるより自己負担が安くなるのであれば、補助金でやる方がミクロ的視点では合理的です。

しかし、必要以上の事業を行うことにより財政は圧迫されます。現場の自治体が財源を持ち、必要性を判断して行うのであれば、必要最小限の事業を行うことになるでしょう。他人の懐をあてにする事業は、必然的に無駄を生みます。マクロ的には無駄の累積が財政を圧迫します。国の700兆円にのぼる借金を考えれば、そのような無駄を許容する余地は既になくなっています。

霞ヶ関が、国中の道路幅について適切な判断を行うことは不可能です。旧ソ連のクレムリンが国中の需要を予測し生産量を決定していたことに類似する中央集権的手法を象徴するものが補助金行政です。

中央集権・官僚支配を前提とする自民党には、民主党のような思い切った政策を出すことは不可能です。地方自治体が霞ヶ関にお願いし、それを自民党国会議員が取り次ぐ。官僚支配が維持され、自民党国会議員が利権(選挙で協力させることを含む)を得るという仕組みを破壊することが、真の地方分権につながります。

中央集権も官僚支配も利権の固まりであり、地方に決定権(財源)が付与されるということは革命に類似するものです。政権交代なしに実現できることではありません。

付言すれば、平成の市町村合併は、国の財政破たんの責任を霞ヶ関がとらず、市町村リストラにより、もの言わぬ市町村に責任転嫁したものです。このあと、「道州制」ということを持ちだして実質的な「県」の合併を行い、中間団体たる県にも責任を転嫁することが目論まれています。本来なら、霞ヶ関のリストラからスタートすべきものでしたが、官僚達の生き残り策として「合併」が強制されたということを、地方は忘れてはなりません。 


[2004/07/06]  切り札?

曽我ひとみさんと家族が9日、ジャカルタで再会するということです。

参議院議員選挙2日前に政治ショーを行うことで、劣勢を伝えられる自民党にとっての切り札とする意図がありありと見えます。

テレビ露出時間に比例して支持率があがるという図式が通用するのでしょうか。「サプライズ」の効果が短縮しつつある中で、2日間なら効果が持続すると考えているのでしょう。

これほど露骨なテレビの政治利用は記憶にありません。

小泉氏が、拉致問題を政治的に利用できるカードとしてしか認識していないことが分かります。

「人生色々」発言などで、誠実さを欠いた小泉政治の本質に有権者が気付きつつある状況下で、「丁」と出るか「半」と出るか。

小手先の技が決まるような政治情勢ではなくなっていると思います。


[2004/07/05]  粗悪品

田中真紀子氏が4日、横浜市で参院選の民主党候補2人の応援に立ち、駅前を埋めた買い物客らに「ストップ・ザ・小泉」を訴えたというニュース。

3年前の春、自民党総裁選で小泉首相の応援演説をした同じ場所で田中氏は、「3年前、私は一生懸命、小泉純一郎候補のために演説した。3年たったら、とんでもない粗悪品で欠陥商品。謝罪し、回収させて頂きます。スクラップにしないと日本はとんでもない方に行ってしまう」などと強調し、自衛隊の多国籍軍参加や年金改革問題で首相の対応を厳しく批判しました。

(コメント)

3年前の小泉氏支持の熱狂は、対抗しようとしてもどうにもならないものがありました。

それが今、小泉氏が自民党の足を引っ張っているようなところがあります。

多くの国民が、小泉氏がものごとを深く考える人物ではないことに気付きました。ただの人を見る目で小泉氏を見始めるようになったことが、今回の参議院議員選挙で自民が苦戦している1つの理由でしょう。


[2004/07/04]  自民党不利と言うが・・

週刊新潮の記事によると、自民党惨敗という予想が自民党に流れ、戦慄(せんりつ)が走っているということです。

自民・41議席の可能性もある・・

どうもこれ、内部引き締めという意味をもったリークという気もします。

自民有利という予想が1週間前に報じられ、無党派層が野党の助っ人になるという展開を何度か経験した自民党の高等戦術なのか・・

ただ、そう考えると問題になることがあります。民主党の場合、嫌われ度が小さいということです。これに対し、自民党は嫌われ度が相対的に大きく、負けそうならもっと負かせてやれという行動に出る無党派もいるだろうということです。

自民党は、その意図は兎も角、惨敗の予想をテコに自陣の引き締めにかかるでしょう。

「軍師」が自民党にいるのかどうか。ここが問題です。

客観的な情勢判断としては、民主に風が吹きつつあるものの、なお、がっぷり四つの形勢というところでしょうか。


[2004/07/03]  植草一秀氏の場合

経済評論家で早稲田大学大学院の教授だった植草一秀氏が、女子高生のスカートの中を見ようとしたとして逮捕され、大きなニュースになりました。そして、起訴。

植草氏は否認していますが、検察は彼の性癖を暴露して裁判を有利に展開する作戦です。

このニュース、最初から不思議に思っていました。植草氏は、小泉政権批判を鋭く展開していました。その批判はかなり説得力がありました。現政権からすると邪魔者です。

しかも、逮捕された経緯が不自然です。かなり長時間の尾行だったようです。

政権批判をする主要人物に尾行を付け、軽微な犯罪でも見つけて断罪する。こんなこともありうる話です。

思うに、植草氏の過去の犯罪歴を調べ上げ、素行を聞き込み、彼がその種の犯罪を行う可能性があり得ると見て尾行をしていたということも考えられます。

逆に、無実ということも考えられます。女子高生の後ろにいた段階で「李下に冠」状態だったわけで、「オイ、何をしている!」と怒鳴られたら、大概の者は驚いて、為すすべがないだろうと思います。

犯罪に対応する刑罰より、社会的制裁の方がはるかに厳しい(社会的死刑=抹殺)ということも考えさせられる問題です。


[2004/07/02]  オセロ的状態

自民党苦戦という情報もあります。

選挙運動をやっている者の実感としては、手応えを感じてきました。

しかし、「曽我ひとみさん」というカードもあります。政治ショーが通用するのかどうか、微妙な状況です。展開が全く読めません。

民主党としては、愚直に押していくだけです。

自民党としては、政権党として「打つ手」があるだけに迷うところでしょう。相撲に例えると、相手の押しをかわそうと「引き技」を使って失敗するということ(政権側の失策)もありうるし、引き技が決まることもありうるというところでしょう。

オセロ的状態です。


[2004/07/01]  霞ヶ関帝国解体

官僚支配からの脱却。このことができるかどうかがこれからの日本の大問題です。失敗すれば、「日本のクレムリン」との心中になります。

官僚支配と中央集権とは表裏一体です。そして、自民党政治はそれを前提として長らく政治支配を行ってきたのであり、彼等が官僚支配・中央集権から脱却するシナリオは、自民党の自己否定になります。

民主党の提案する補助金18兆円を地方の財源化するという政権政策は、霞ヶ関帝国(官僚支配・中央集権)解体に繋がるものです。

地方自治体が霞ヶ関へお百度参りする必要なくなりますし、取り次ぎの政治家(自民党国会議員)も必要なくなります。

これが実現すれば、国会議員の大名選挙はできなくなります。


玉井彰の一言 2004年7月 四国の星ホーム前月翌月