玉井彰の一言 2004年9月 四国の星ホーム前月翌月

[2004/09/30]  社会保障分野の給付費、83兆5千億円

(ニュース)

年金、医療、介護などの社会保障分野に支払われた給付費が2002年度、過去最高の83兆5666億円(前年度比2・7%増)だったことが27日、国立社会保障・人口問題研究所のまとめで分かりました。

国民所得に占める割合は23・03%(同0・89%増)で過去最高でした。

分野別では、年金は前年度比4・2%増の44兆3781億円で、総額に占める割合は53・1%。医療は前年度比1・4%減の26兆2744億円。医療の減は、2002年4月に診療報酬が2・7%引き下げられたことなどが要因です。介護などの福祉は前年度比6・0%増の12兆9140億円でした。

(コメント)

国の一般会計歳出額(約81兆円)を上回る社会保障分野の給付費。大変な金額です。

超高齢社会に突入しつつある現在、社会保障分野の給付は増加への圧力が強まります。

今年は年金制度の問題が大きく取り上げられましたが、医療・介護の分野でも給付と負担の関係がしっかりと議論されなければなりません。

給付の内容をしっかりと把握して、無駄を切りつめることが必要であるとともに、地域コミュニティを再構築し、社会的な助け合いを強めていくことも考えていくべきです。

「地域通貨」を媒介とした地域内での助け合いの輪を広げる試みについても、積極的な評価が必要です。

お金で全てのサービスが買える貨幣経済中心の社会から、助け合いの社会への転換が必要であることを、社会保障給付費の肥大化が逆に示しているように思われます。


[2004/09/29]  魚島村の閉村

西日本で最も人口の少ない自治体、愛媛県・魚島村。

閉村式が28日に催されました。同村は上島地域3町村と合併し、10月1日、上島町となり、108年の歴史に幕を下ろします。魚島村の人口は8月末現在、292人。

離党や山間部の自治は、合併により合理化することが困難です。合併による閉村は、その地域の切り捨て以外のなにものでもありません。

平成の市町村合併に合理性があることを(百歩譲って)認めるとしても、それは平野部の場合であって、空から眺めると自治体の境界がどこにあるのか分からないような場合に限られるのではないでしょうか。

人口292人だと自治ができないと決めつける必要はありません。例えば、議員3人と5人の職員で可能な範囲の自治を担っていくということを考えてもいいのではないでしょうか。

職員は、農業をやりながら年間100万円〜200万円で公務を行う半農半公務員というのはどうでしょうか。

村長は置かず、3人の議員の合議制で自治を行います(議員は無報酬)。国や県も職員を1人ずつ派遣してはどうでしょうか。

こういう形の自治を構想しても、現時点では実現不可能です。地方自治法が画一的な自治しか認めないからです。


[2004/09/28]  ファシズムの尖兵

戦前に生まれた方から、戦前・戦中に学校の先生から軍国主義教育を徹底的に受けていたところ、戦争が終わった途端に同じ先生が平和主義を熱っぽく語り出したという話を聞くことがあります。

(ニュース)

10月2日に創立記念式典などを行う都立高校2校の校長がそれぞれ全教員に対し、「日の丸・君が代」に関して「学習指導要領に基づき、適正に生徒を指導する」よう求める職務命令を出したことが分かりました。

生徒への指導について命令するのは異例のことで、都高校教職員組合は「生徒の内心に立ち入るもので、認められない」と反発しています。

いずれの学校も全教員に、君が代斉唱時に「起立」を求めるとともに、生徒に対しても「適正に指導」するよう命令しています。

横山洋吉・都教育長は6月の都議会で、生徒指導を求める職務命令を出す考えを明らかにしました。都教委によると、今月7日の校長連絡会で各校長に要請したということです。

(コメント)

愛国心は大切です。愛国心が芽生える教育も必要です。

問題は、そのやり方です。教育委員会に命じられて生徒に日の丸・君が代について「指導」しなければならない教師達の心象風景は、戦前・戦中に軍国主義を煽った教師と同じではないでしょうか。

教師が我が国を素晴らしい国だと思い、そのことが極自然に表れるのであれば、生徒達は自ずと先生に共感するでしょう。教育委員会の命令に従う小役人的な教師に、生徒が憧れるものでしょうか。

翻って、戦前の失敗に懲りて「愛国心」をタブー視する発想が、自然な地域や国への愛情に蓋をしてきたことを反省する必要があります。

教師の使命とは、地域や国の発展に貢献する後輩を育てることだと思います。国家の側から見た教育とは、先輩達の知的財産を承継して地域や国を発展させるための人材育成であり、期待される人材の核となる部分は地域や国への愛情です。

生徒の側から見ると、人生を切り開き、自己実現をするために学習することが権利として保障されるべきです。地域や国家への愛情は、強制されるまでもなく先輩である親や教師の言動の中から学んでいくべきものです。

教師は、教育委員会がどう言おうと、労働組合がどう言おうと、私はこう考えると言えるだけの自信をもって後輩達の指導に当たるべきです。勿論、その行き過ぎを是正していく内部の相互批判の仕組みと本人のバランス感覚が必要です。

教育界に身を置く者が愛国心教育を強制されて唯々諾々と従ったり、「愛国心」に過剰反応をしたりする主体性のなさこそが、我が国における教育の弱点ではないでしょうか。

とは言え、内心の領域に土足で侵入するマナーの悪さを自覚できない教育長の無神経さとファシズムの尖兵ともなりかねない精神構造とが、まず最初に責められるべきだと思います。


[2004/09/27]   拉致被害者の家族

小泉首相の関心が常任理事国入りに集中しそうな状況です。北朝鮮との実務者協議の進展が難しい状況。拉致問題を選挙前のパフォーマンスとして利用するだけの小泉内閣の下で、北朝鮮拉致被害者(安否不明者)や特定失踪者の御家族はどのような気持ちで過ごされているのでしょうか。

選挙も当分ないとすると、支持率が急降下しない限り首相の拉致問題への関心が盛り上がらないことになります。

それにしても、家族会の皆さんが経済制裁を叫ぶ心境を思うと切なくなってしまいます。経済制裁は北朝鮮にいる被害者に悪影響を及ぼす可能性があります。それでも制裁しなければ事態の打開がないであろうと考えての強硬論です。

犯罪と主権侵害とが継続している状況で何の手も打てないということは道理に反しています。国家として自国民救済と正当防衛の論理が妥当する局面だと思います。

そう考えると、我が国で新しい歴史教科書をつくる会の運動をやっている方々が、その時代時代でものの考え方が異なるのだから現在の基準で過去を裁くべきではないという主張でもって日中戦争や太平洋戦争に対する我が国の責任を免除している論法が気になってきます。

戦争の被害者が現存するにもかかわらず、戦争を「歴史」の彼方に追いやってしまう無神経さを改めないと、北朝鮮に拉致問題を「歴史」扱いされたときに困ると思うのですが。

メインパソコン復活


[2004/09/26]  ムラに都市の風が吹くか

市町村合併により、周辺の町村が市部に編入あるいは実質的に編入されるケースが数多く出てきます。

残念なことに、小さな自治体は自由な気風に乏しく、政治的な単位が小さい分、政治機構が雁字搦めになっています。議会に進取の気性に富んだ議員がいたとしても、孤立してしまう可能性が強いと思われます。

自治体の垣根が取り払われると、都市的な気風が浸透する可能性が出てきます。ムラ型政治が克服されるとすれば、合併も悪くはありません。

小さな自治体でこそ本物の自治が成立するんだと言いたいんですが、なかなかそうはならない現実があります。食わなければならない。田舎ほどそのことが切実であり、それに応えてきたのが自民党政治でした。

従来の枠組みがなくなることで、自民党の縛りも弱くなってきます。住民の政治的動向が掴みづらくなり、政治意識の流動化が始まります。

世界の中心で自治を叫ぶ・・・とはいかず、自治の崩壊が都市の風を呼ぶことになるのではないかという予測を持ち始めています。


[2004/09/25]  プロ野球に期待する地方主権

プロ野球での球団合併、選手会のストライキから来期の新規参入に至るまでの騒動の中で、常に巨人が中心にいました。

各球団は、巨人との対戦が組めるかどうか、どの程度組めるのかに大きな関心を持ちました。

巨人には、確かに不世出の名選手がいました。しかし、そのイメージを多くの国民が持っているのは、全国放送による映像の結果です。

東京にしかキー局を置かせない中央集権の政策。キー局が圧倒的な量の巨人の映像を提供し続けました。日本中が中央発のコンテンツ一色に染まってしまう構造が巨人人気の本質です。

地方発のコンテンツが確固とした基盤を持ち、一つの流れとして定着するならば、真に地方の時代が来たことの証(あかし)となるでしょう。

仙台で新球団ができ、各地方の球団が競い合って野球全体を活性化させ、ひいては、地方の文化や情報が継続的に全国発信される社会が到来することを期待します。


[2004/09/24] 常任理事国に立候補

小泉総理、国連総会で常任理事国入りの決意表明。

我が国が常任理事国入


[2004/09/24] 常任理事国に立候補

小泉総理、国連総会で常任理事国入りの決意表明。

我が国が常任理事国入りすることがそれほど大切なことなのか、疑問です。世界の平和に貢献することは勿論大切です。

しかし、よって立つ理念が明確でなく、情報発信力のない現状では、常任理事国となったところで、実質的な米国の2議席目でしかないことは明らかです。

まともに考えると、憲法改正との関係も問題となる話です。憲法前文をイラク派兵の根拠とした小泉氏。こんどは、常任理事国という「トロイの木馬」で憲法改正に進むのでしょうか。りすることがそれほど大切なことなのか、疑問です。世界の平和に貢献することは勿論大切です。

しかし、よって立つ理念が明確でなく、情報発信力のない現状では、常任理事国となったところで、実質的な米国の2議席目でしかないことは明らかです。

まともに考えると、憲法改正との関係も問題となる話です。憲法前文をイラク派兵の根拠とした小泉氏。こんどは、常任理事国という「トロイの木馬」で憲法改正に進むのでしょうか。


[2004/09/23]  議会解散を求める住民の皆さんへ

市町村合併に伴い、在任特例を活用して「居座る」議会(議員)に対して、住民が憤激して議会の解散を求めるケースが増えています。

「議員の数が多すぎる」ということが言われます。確かに、テレビで議場が写されると、そうかなと思います。

しかし、議場が狭くなるということを除いて、議員が多くてどこが悪いのでしょうか。住民代表たる議員が真剣に自治体の将来を考え、汗をかいて良い仕事をすれば、自治体にとって有益だと思います。

もちろんと言うか、この議論が絵空事に思えるところに、問題の特質があります。

もし、議員がボランティアだったら、多すぎるという意見は出なかったはずです。

現実には議員歳費が必要なのだから、議員歳費で財政が圧迫されるという議論なのでしょう。また、費用対効果を言われるのでしょう。

本当にそうでしょうか。議会の経費は民主主義(住民自治)を維持するための必要経費ではなかったのですか。議会費が財政に占める比率が大き過ぎますか。民主主義の経費を節約することでどのような効果が期待できるのですか・・・

ロクでもない者、俺たちと変わらない者が議員をやっている。ここを住民が見ているから、「多すぎる」という議論になるのだと思います。

では、誰がそんな者を選んだか?

ここを突き詰めなければ、本物の自治は実現できないのではないでしょうか。

ある自治体で聞いた話をします。会社勤めをしていた兼業農家の方が、会社に議員との兼職を了解してもらった後、居住地の集落の方々に立候補に当たり地区の推薦をいただきたいと申し込みました。

その地区の方々はこう言いました。

「君だったら地区推薦してもいいと思うが、会社は辞めて立候補してもらいたい。」

2カ所から給料を取るのは許せないということのようでした。その方は、立候補を断念しました。集落の人々の中で、嫉妬の感情が支配したのです。(議員に専念してもらいたいという理屈は付くのでしょうが・・)

議員が自分達より良い境遇であったり、異質だったりすることは許せないということでは、有能な議員は出て来にくいでしょう。

議員数を減らしても、選び方を考えないと、悪貨が良貨を駆逐するだけの結果にしかならないと思います。これでは、縮小再生産型の自治しか展望できません。

知恵の値打ち、人材の値打ちを認めない旧態依然の自治がこの国に蔓延(はびこ)っていることを憂います。

大義名分の整った議論が嫉妬感情を秘めて語られるとき、ファシズムの嵐が吹き荒れることがあります。

反論するのが怖くなるような激流が各自治体に流れているようなので、敢えて一言。


[2004/09/22]  大人の天動説

(ニュース)

小学生の4割が「太陽は地球の周りを回っている」と思い、半数以上は月の満ち欠けを理解していないことが、国立天文台教員らのアンケート調査で分かりました。

2001〜04年に、8都道府県の14小・中学校約1700人にアンケート。このうち太陽と地球の関係では、天文を学習し終えた公立小4校の4年〜6年生までの348人が回答。「地球は太陽の周りを回っている」と正解したのは56%。42%は「太陽は地球の周りを回っている」を選びました。

月の満ち欠けが起こる理由を公立小9校720人に聞くと、正解の「地球から見て太陽と月の位置関係がかわるから」を選んだのは47%。「月が地球のかげに入る」とした誤りが多く見られました。

調査に携わった教師や研究者らのグループによると、今の小学校の教科書では内容が厳選され、地球が丸いことや自転・公転していることをあまり教えていないといいます。しかし中学ではそうした知識があることを前提に天文現象が説明されており、「小、中の指導に連続性がない。小学校では、天体や宇宙を大きくとらえられるような授業を取り入れるべきだ」としています。

(コメント)

天動説は、我々が体験する現象だけでは克服不可能です。2世紀にプトレマイオスが体系化した天動説は宇宙の現象をほぼ矛盾なく説明でき、16世紀にコペルニクスが地動説を唱えるまで支持されていました。

とは言え、子供の天動説は、地動説をしっかり教えれば理解してもらえます。

やっかいなのは、我が国における「大人の天動説」です。何のことか。

自民党でなければ政権担当ができないという「迷信」が根強く残っているのが我が国の状況です。大半の大人はほとんどの期間自民党政権下で過ごしてきました。

国民が主役で、複数の政党の中から現在の課題を解決してくれる政党に政権を委ねるという作業がこれまで行われなかったことの結果です。

55年体制の下では社会党に政権担当の準備がなく、自民党政権を前提とした権力チェック機関に徹していたことも、「自民党天動説」を生み出した原因の1つです。

徳川幕府が天の中心にいた江戸時代。ペリーの浦賀来航により幕府が相対化したこと、即ち、天動説から地動説への転換が幕末の動乱から明治維新を生み出した原動力だと思います。

国民が中心にいて、政党がその廻りを公転しているという「政党地動説」についても、子供時代にしっかり教えておきたいものです。

「主権者教育」「主権在民」と言えばいいじゃないかと言われれば、その通り。


[2004/09/21]  2484万人

(ニュース)

「敬老の日」にちなんで総務省がまとめたところによると、15日現在の推計で、全国の65歳以上の高齢者人口が2484万人になりました。

総人口(1億2761万人)に占める高齢者の割合(高齢化率)は19.5%(前年は19.0%)で、人口、比率ともに過去最高を更新しています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、10年後の2014年には高齢化率が25.3%になる見込みです。2030年以降には、30%を超える時代(3人に1人が高齢者)がやって来ます。

(コメント)

高齢化率は確かに重要ですが、これからは後期高齢者(75歳以上)の比率が重要になってきます。

75歳くらいまでは結構元気で、車を乗り回す方も多いようです。しかし、75歳(概ね「敬老会」に招かれる年齢)を越えると、車をそろそろ卒業し、歩いて暮らせる範囲でサービスが受けられる都市の構造が求めれる年代になります。

現在、後期高齢者が1千万人を超えており、いずれ高齢者の過半数を占めることが予想されます。

後期高齢者の比率が数%だった時代が過去のものとなり、10%から20%になることを想定し、後期高齢者が幸せを感じられる社会のあり方を研究しておく必要があります。


[2004/09/20]  プロ野球ストに対する読売の社説

御丁寧に、2日続けての社説で選手会のストライキを批判する読売新聞。

18日は、「ファン裏切る“億万長者”のスト」というタイトルで、選手会が近鉄の存続を望んだこと、新規球団の来期参入を要求したことを「経営事項である」とし、ストの被害が深刻なものになるとの認識を示しつつ、1994年の米大リーグのストライキの例を引いて批判しました。

19日は、「何が選手たちの真の望みなのか」というタイトル。選手会が「来季から(球団を)増やす」「最大限努力する」という文言を合意文書に入れたがったことに対し、経営側が、これでは来季に十二球団の態勢で臨むことが前提となってしまい、「新規参入球団の公正な審査にタガをはめてしまう」と、受け入れなかったことを擁護。

「新規参入を目指す球団の『審査』は、慎重の上にも慎重を期す必要がある。」として、日拓ホームなど過去の失敗例を引き合いに出して批判を展開しています。

(コメント)

選手会の要望は、単なる選手達の要望にとどまらず、ファンを含む「世論」となっている点を読売新聞社はどう見ているのでしょうか。これを「経営事項」として斬り捨てるのは荒っぽ過ぎます。

仮に、新規参入の「審査」が拙速で、新規参入球団が「失敗」したとしても、それでファンがプロ野球を見放すものでしょうか。試行錯誤抜きに安全策にこだわるあまり、野球そのものの可能性を狭める結果になっては身も蓋もないでしょう。

巷間言われているように、巨人の放映権料などが絡む既得権が隠れた最大の論点なのだろうと思います。

オーナー企業とは言え、大新聞社の「社説」によるキャンペーンという仰々しい陣立ての割には、いささか内容空疎な言論と言わざるを得ません。


[2004/09/19]  小沢一郎ウェブサイト

岡田代表VS小沢一郎氏の対立構図がマスコミによって増幅されています。

常に小沢氏が何かを仕掛けて来るというイメージが定着しています。自称「側近」達が、自己をアピールするために小沢氏の「意向」を振りかざすのだとも言われています。

小沢氏の肉声を聞く必要がありそうです。評価は各自がすればいいと思います。

小沢一郎ウェブサイトには、ビデオライブラリーがあり、小沢氏の考え方がよく分かるようになっています。 http://ozawa-ichiro.jp/

最近行われた一新会での講演と質疑応答がビデオに収録されており、パソコンで見る(聞く)ことができます。

「どうやって日本を立て直すか」

「どうすれば自民党に勝てるか」

この2つの講演と質疑応答は必見。

自民党の大立て者が党を飛び出して自民党を野党に追い込んだのが11年前。こういうこともあるんだなぁ、と私が政治に関心を持つ切っ掛けを与えてくれたのが小沢氏です。

政権党で居続けることを目的とする自民党の「寄らば大樹」型の政治家を蹴散らし、21世紀の日本を切り開きたいものです。

引き続き、小沢氏の動向が注視されることになります。


[2004/09/18]  スト突入

(ニュース)

労働組合・日本プロ野球選手会は18、19日のスト突入を決めました。両日の公式戦12試合が中止になります。スト決行に対し、日本プロ野球組織(NPB)側は、損害賠償を請求する構えです。

選手会側は(1)合併の1年延期(2)それが無理な場合、新規参入球団を受け入れ、来季も12球団で運営する(3)合併した場合、近鉄の選手について移籍の自由を認めることなどを要求。

NPB側はこれに対し、合併延期は無理と主張。また新規の参入を来季から受け入れることは時間的に難しいとして、再来年からの受け入れを改めて求めました。

(コメント)

選手会(古田敦也会長)の勇気に敬意を表します。

ファンの意向とプロ野球全体の発展に目を向けることができなかった経営者側に問題ありです。

新規参入に2年掛かること自体が不条理です。余所者を排除しようとする狭い了見で凝り固まっているとしか思えません。

巨人戦にのみ活路を見出そうとするのは、縮小再生産への道を辿ることにしかなりません。

IT関連の会社が名乗りを上げようとしている状況。ファンや社会全体が盛り上がっている今が、プロ野球再生の最大のチャンスです。


[2004/09/17]  中心市街地活性化、大半が落第との評価

(ニュース)

郊外の大型店などの影響で空洞化が進む中心市街地の活性化策の大半で成果が出ていないとして、総務省行政評価局は15日、経済産業省、国土交通省、総務省、農林水産省に、事業の評価や補助金の審査を厳しくするよう勧告しました。

1998年の中心市街地活性化法施行で、各市町村は基本計画を作って取り組んでおり、総務省は、2000年度までに計画を作成した20都道府県計121市町の中心市街地のその後を調査。

その結果、商店数、年間商品販売額、事業所数は90%以上の市町で減り、人口も69%で減少。アンケートでも59%の市町が「活性化していない」と答えるなど、空洞化に歯止めがかかっていないことが分かりました。

(コメント)

この評価は妥当でしょうか。

人口減少は、国全体に先駆けて地方では進行中の事象です。自営業者数が減少するのも、先進国の中では我が国に顕著な事態です。

何よりも、地方都市の中心市街地が衰退しているのは、車社会の進展、大型店の郊外進出、ロードサイド店の展開、公共施設の郊外移転などの構造的な要因が横たわっていることを無視して語ることは困難です。単なるデータの推移を見ただけの「調査」では、事の本質は掴めないと思われます。

国にどういう地域社会をつくろうとするのかのビジョンがなく、後追い的に対症療法的な施策を実施するだけでは、補助事業の効果がないという「結果」しかあり得ません。

木を見て森を見ない中央官庁の見識のなさこそが問題です。そして、霞ヶ関で考えるのではなく、各地方がそのアイデンティティの問題として、財源、権限を持って取り組むべきテーマです。


[2004/09/16]  国会を開かないという審議拒否

参院選から2ヶ月が過ぎました。臨時国会が1週間開かれただけです。(会期は過半数で決しますから、与党のごり押しが通ってしまいます)

年金制度の問題について、有権者の皆さんが「ノー」の意思表示をしたにもかかわらず、国会で年金制度見直しの審議をすることを政府・与党は拒否し続けています。

マスコミは野党が審議拒否をした場合に、これを問題にします。しかし、与党の審議拒否については取り上げません。

与党が提案した議案の審議を野党が拒否することは、言論の府として問題ありというような論調もあります。しかし、そのように論ずる人ほど政府・与党の審議拒否について黙して語りません。

野党の審議拒否がある種の抵抗権であるのに対し、政府・与党の審議拒否はサボタージュであり、説明責任の不履行です。このことを確認しておく必要があります。

政府・与党の審議拒否は、野党提案の棚晒(たなざら)し、国会開会の拒否ないしは会期の短縮という形態を取ります。

改正年金法の施行時期(10月1日)に差しかかっています。また、実質的な贈収賄事件としての日歯連献金疑惑の究明により、政治資金の流れが透明化されることが必要です。

長期間国会を開くことにより、徹底的に審議しなければなりません。


[2004/09/15]  プレーオフ私案

パリーグのプレーオフ制度が今年から行われます。

プレーオフは第1ステージと第2ステージに分けられ、第1ステージはレギュラーシーズン2位と3位のチームが戦い、第2ステージでその勝者と1位のチームとの戦いになります。(以下、同率の球団がある場合を無視した原則形を前提とします)

第1ステージは3試合で、2勝したチームが第2ステージに進出します。第2ステージは5試合で、3勝したチームがリーグ優勝となり、日本シリーズに進出します。

1位と2位とが5ゲーム以上の差がある場合にアドバンテージとして1位チームに1勝が与えられるというように、若干上位チームに有利な規定がおかれます。

しかし、この制度には首を傾げます。レギュラーシーズンの重みがなくなるからです。3位のチームが百数十試合戦って上位に立ったチームに代わって「優勝」の栄冠を手にする実質的な根拠が不明です。レギュラーシーズンにもっと重みを持たせるべきです。

私案を述べてみます。

第1ステージを2試合とし、3位チームが2連勝した場合のみ第2ステージに進出(それ以外のケースでは2位のチームが進出)。第2ステージは3試合とし、下位のチームが3連勝した場合にのみ下位チームをリーグ優勝とします。

レギュラーシーズンの重みを失うことなくプレーオフの制度を導入するとすれば、敗者復活戦的なものとすべきです。

3位チームが5連勝した場合、2位チームが4連勝(第1ステージ引き分けの場合もあり)した場合には、リーグ1位チーム以外のチームがその時点での最強チームであり、リーグ優勝チームとなるだけの正当性があります。反対に、1勝もできない1位チームは、レギュラーシーズンでの実績が過去のものになってしまったことになります(去年の優勝とあまり変わらない)

日本シリーズ直前に上位チームが不振に陥った場合に、下位チームが連勝をするような上昇気流にある場合には、これをリーグ代表とすることにより、白熱した日本シリーズを楽しめることになります。

面白いプロ野球を実現するための提案でした。


[2004/09/14]  人生100年

国内の100歳以上の高齢者は、今月末時点で2万3038人に達し、昨年より2477人(12%)増えて過去最多を更新するとの厚生労働省発表。この5年間で倍以上の増加となっています。

このうち、女性は1万9515人(同2113人増)で、女性が全体の84・7%を占めています。

人生100年のスケールで人生設計を行う必要があります。短い人生を想定していると、それ以上に生きてしまい、「字あまり」となる危険があります。


[2004/09/13-2]  13日、14日東京出張

民主党臨時党大会に出席。岡田代表が再選され、新たな体制で出発することになります。


[2004/09/13]  プロ野球新規参入

(ニュース)

スト延期を決めた10日の協議・交渉委員会で日本プロ野球組織は、プロ野球選手会に対し、新規参入球団の加盟を促進することを約束したました。

しかし、パ・リーグの村田事務局長は11日、「実体のない新規参入は審査されない」との私見を述べ、参入に名乗りを上げているIT関連企業のライブドアのような監督、コーチ、選手、本拠地球場が未定の“非球団”は、資格審査の対象にならない認識を示しました。

野球協約第31条には「新たにこの組織の参加資格を取得しようとする球団は・・・・」とあり、村田事務局長の発言は、この解釈に基づいたものと思われます。

(コメント)

新規参入の障壁とされていた加盟料60億円、参加料30億円がひとまず撤廃され、これを「預かり保証金」に変更したことで、新規参入が容易になったと思われた矢先の否定的発言。

プロ野球組織のギルド的体質が問題とされるべきでしょう。スピーディで面白いスポーツが多くの人を魅了し、試合展開がノロノロした野球から心が離れようとしつつあるとき、なんとも時代錯誤の感覚です。

貧すれば鈍するということでしょうか。目先しか見ず、プロ野球発展のための大きな絵を描けない経営者達が退場してくれないことには、ジリ貧から抜け出すことは困難でしょう。


[2004/09/12]  菅さん、また遍路

菅・前民主党代表のホームページによると、室戸まで行った前回7月の遍路の続きを4日間行っているとのこと。うれしいニュースです。

菅さん、休み休みでいいですから、八十八カ所を全て廻ってください。

「ロード88」という映画も上映されるようです。歩くことにより自分を見つめ直す八十八カ所めぐりの文化が、世界に発信されることを期待します。

「四国の星」を見上げて悟りを開ければ最高。


[2004/09/11]  「馬鹿な首長」?

昨日の一言で、「850億円の巨費を掛ける山鳥坂ダムの予算が自治体の自由になるならば、そのお金でダムを造ろうという馬鹿な首長はいないのではないでしょうか。」と述べました。

これは訂正を必要とするかもしれません。本当に地域振興を願う自治体首長ならば、河川改修プラス地域振興のための投資というお金の使い方をするでしょうが、実際には利権型政治家が中央・地方を問わず出てくる土壌があります。

公共事業において、自民党政治家のリベートが3〜5%というのが「定説」になっています。自民党・加藤紘一氏が失脚したときにこのことが明らかになりました。ダムを1つ造るとその政治家は一生安泰だとも言われます。

地方に財源が確保されるということは、地方政治家に大きな利権が発生することを意味します。それだけに、地方政治における住民の監視機能がより重要になってきます。

監視機能が弱ければ、「ダムを造ろう」という首長が出てくることになります。


[2004/09/10]  財源

山鳥坂ダムか、河川改修か。

肱川の治水にどちらが有効か、意見の分かれるところです。

8日、国土交通省四国地方整備局が発表した検証結果によると、ダムの洪水調整機能が最大限発揮されたということのようです。

野村・鹿野川両ダムで計2040万トンをためたので、ダムがなかった場合には、肱川橋の水位は70センチ上昇することになる、ということです。

どういう計算式なのでしょうか。2040万トンをどの位の時間をかけて流すのかによって水位は左右されます。最初の頃たまった水は、ダムがなくても堤防を越えることはなかったのではという疑問もあります。

鹿野川ダムは、7時間にわたって入った水と出た水の量がほぼ同量でした。この間に流れた水によって堤防が決壊したのですから、2040万トンの水をその上に乗せて考えることが妥当かどうか。

この「発表」で注目したのは、山鳥坂ダムの洪水調整効果です。毎秒300トンとのこと。流域面積の小さい山鳥坂ダムではそんなところでしょう。改修後の鹿野川ダムの洪水調整効果が毎秒1000トンというのと比較すると、わざわざつくるにしては頼りないダムです。

こんな議論をする前に、もし仮に財源が全て肱川流域の自治体にあるとしたらどうかを考えた方が面白いと思います。

850億円の巨費を掛ける山鳥坂ダムの予算が自治体の自由になるならば、そのお金でダムを造ろうという馬鹿な首長はいないのではないでしょうか。

そんな金があったら、安い費用で河川改修を行い、残りのお金で地域振興に有効な投資をするでしょう。

自民党的な補助金行政の矛盾が顕著に表れるのがダム問題です。国がお金を大半出してくれるのだから、大きなお金が落ちるダムを造ろうという無責任が、国の700兆円もの負債を生んだ元凶です。


[2004/09/09]  華氏911

映画「華氏911」を見ました。マイケル・ムーア監督によるドキュメンタリー映画。

ブッシュ政権の正統性への疑問から映画は始まります。

ブッシュ親子、その側近達とビンラディン一族との関係。まずイラク戦争ありきの意図的な姿勢。戦争が一部業界のための公共事業として行われている構図を描いています。

イラクの人々の生々しい被害、そして米兵達が貧困な家庭からスカウトされる実情と戦死者の家族の悲しみ。アメリカの貧困層出身兵士がイラクの人々に銃弾を撃ち込みます。

アメリカの上流階級の繁栄が下層民衆の愛国心と自己犠牲によって保たれているのだということが示されています。

連邦議会の議員の子供でイラクへ赴いたのはたった1人。ムーア監督が議員に自分の子供をイラクへと呼びかけ、議員たちが逃げていくシーンは圧巻でした。

勿論、主観に基づく意図的編集による映像だという評価があるでしょう。そのことを前提として見ても、素晴らしい映画だと思いました。日本ではできない映画です。

イラクでの米側死者が1000人に達したとのニュース。


[2004/09/08]  ダム2連敗

連日「評論」のようなことばかり書いていると、衆院予定候補として何もやっとらんのじゃないかと疑われても困るので、ちょっと活動報告。

9月1日、7日と、台風16号による洪水に見舞われた大洲市を民主党愛媛県連として訪問しました。

鹿野川ダム、国土交通省・河川国道事務所、県土木事務所、大洲市役所で話を聞くとともに、被災地域の御見舞をしました。

愛媛新聞が連日力の入った報道を展開しているので、理解の助けになっています。

現地で見聞きすると、活字の意味が良く理解できます。肱川上流にある2つのダムがどれだけ洪水抑制に役だったのか。ここが1つのポイントです。

平成7年の洪水時のダム操作規則では洪水が防げなかったとして規則を改定。今度は新規則に則ったがために洪水を抑制できませんでした。

2回とも、ダムが洪水抑制に無力でした。今回の場合、早い段階で満水になり、7時間にわたって流入した水をそのまま下流に流す(ある時間帯は出た水の方が多い)結果となっています。

それを前提としても、大きな被害が出た菅田、西大洲地区の堤防が整備されれば、今回の洪水は最小限度の被害ですんだものと考えられます。

両地域の被害が9年前より大きかったことは、当時より1mも高い水位だったにもかかわらず、この間河川整備や洪水対策が進んだ地域は被害が防げたり、被害を少なくできているのとは対照的です。

勿論、河川改修はモグラたたきのようなところがあり、ある地点を整備すると別の地点があふれるということがあります。上流を整備したが為に下流が決壊することがあり得ます。

このことを考慮しても、菅田、西大洲地区の河川整備が急務です。国の肱川河川整備計画は、反対論の根強い山鳥坂(やまとさか)ダムの建設がなければ両地区の河川整備もしないように受け取れる面があります。ダムを担保に取っているという批判もあります。

ダムの是非論はさておき、河川の整備が確実に成果を挙げていることを直視すべきです。

16号による洪水は、ダム建設派に根拠を与えたかのようにも見えますが、「ダム2連敗」の実態を冷静に受け止め、確実に成果の上がる河川改修に力を注ぐべきです。

18号が、16号と同じコースを辿ったため、冷や冷やものの視察。九州付近を縦断する大型台風が愛媛にとって一番危険です。


[2004/09/07]  路面電車

松山市には、路面電車が走っています。復活した坊ちゃん列車も観光客の人気になっています。

一時期、路面電車は車から邪魔者扱いをされ、撤去する自治体が相次ぎました。

しかし、最近では路面電車見直しの機運が盛り上がっています。ヨーロッパでは、LRT(Light Rail Transitの略)と呼ばれる、昔ながらの路面電車のイメージを一新する新しい型の路面電車が都市での移動手段として注目されています。

排気ガスが出ないので都市環境に優しく、低床式で乗り降りがしやすく便利であり、高齢者・幼児の移動手段として適しています。定時性があり、建設費が安く、地下鉄の20分の1の建設費というコスト面での優位性もあります。ヨーロッパでは中心市街地商業活性化のための切り札とされています。

超高齢社会となりつつある今、都市的サービスを狭い範囲で受けられる、歩いて暮らせるまちづくりを進める必要があります。

都心部への車の乗り入れを規制し、道を行くのは歩行者と自転車とLRTのみというトランジットモール化を推進していく必要があります。

このような考え方が大きな流れとなろうとしているとき、岐阜市の市長が7月22日に市議会の各会派と沿線自治体などに路面電車の存続を断念する旨を伝えたとの報道にはガッカリしました。何とかしたいという市民の声は強いようですが、採算が合わないという判断のようです。

発想を逆転させるべきです。公共交通機関が採算の合うような都市の交通政策を追求したいと思います。


[2004/09/06]  「部長の大晩年」

城山三郎著。新潮文庫の新版を購入、読了。

官僚批判をしつつ、ふと、昔読んだ「官僚たちの夏」(同じく城山三郎著)を読み返したくなり、書店で探して見つからず(書斎を探せばあるのかも)、それは注文ということにして、この本を手にしました。

発刊された当初から気になりつつ敬遠していた小説。もっと年取ってから読めばいいやと思っていました。

大企業の部長が55才で定年退職し、それから人生の本番を迎え、趣味人として大成して97才で大往生するまでを描写しています。

勿論、その前段に会社勤めをしながら「仕込み」を行っていたわけで、トータルの人生を心おきなく過ごした俳人・永田耕衣の生き方に強く惹かれました。

「出会いは絶景」「マルマル人間」がキーワード。

「文庫新版」には、評論家・佐高 信氏の解説あり。

「大晩年」という概念を設定して、それに向かって向上するというスタンスは悪くないなと思います。「大晩年」には程遠いので、仕込みを充実させることに集中します。

このホームページに、「5・7・5」のコーナーを設けようかな。

ちなみに、昨年衆院選の選挙公報では、5・7・5(川柳)で主張を述べてみました。俳都・松山が選挙区ですから。


[2004/09/05]  議員の奥さん

議員はボンクラだが、奥さんは立派だからその議員に票を入れているなどという話を聞くことがあります。

奥さんが立派なことが政治に関係ありますか、と問いたいところです。候補者本人に対する審判が選挙です。

しかし、我が国では議員(候補者)の奥さんがかいがいしく亭主を助け、有権者に頭を下げることを美徳とする傾向があります。当人にとっては相当なストレスのはずですけれども。

ある議員の奥さんがわざわざ地域のイベントに来てくれたというようなことが美談として語られ、支持基盤を強化することに繋がって行く政治。

そのような「政治活動」への礼賛が、ひいては政治を「家業」化し、世襲政治を助長することになります。そのあたりを繰り返し巻き返し有権者の皆さんに訴えていきます。

これから地方議員をはじめ、各種の選挙で私が候補者を擁立する場合には、候補の配偶者は選挙に関わらない、政治活動にも関わらないというルールをつくる考えです。

「猫の手も借りたいが、奥さんの手は借りない。」 こんな標語はどうでしょうか。

「男女共同参画社会」を本気で実現しようとするならば、政治家の配偶者の活動領域が別個独立にあることを積極的に認めていくべきです。

政治活動における個人主義を確立したいと思います。


[2004/09/04]  民営化と言うが

8月26日、ヤマト運輸が全国紙、地方紙に全面広告を出しました。

ヤマト運輸は、郵政公社がローソンと提携して「ゆうパック」の取り扱いを始めることになったため、ローソンでの宅配便の集荷をやめることにしました。

血の滲む努力で宅配便市場を育てたのは民間企業である。法人税を払わず、郵便事業を独占するなどの優遇措置を受けている公社が入ってくるのはおかしいと、ヤマト運輸は主張しています。

(コメント)

公社は、将来民間企業となることを目指しているのだから、積極的に営業拡大に取り組まなければならないと考えているのでしょう。

しかし、民間企業の手を縛り、逆に優遇措置を受けている公社が、民間企業が開拓した分野に参入するのは、ヤマト運輸が主張するように不公正です。

国営企業が有利な条件で巨大化し民業を圧迫する構図は、民間企業の活躍する分野を狭めるだけの意義しかありません。

逆に、民間企業が郵便の分野に参入して「いいとこ取り」を行い、過疎地・島嶼部での集配を行わないという形になるとしたら、公社の側が不採算部門を一手に引き受けるという不合理なことになってしまいます。

民業圧迫回避の問題と不採算部門引き受けの問題という連立方程式を解くとすれば、(1)対等な条件で民間企業同士が自由競争を行い、(2)不採算部門を「公」が引き受けるという「解」が出てくるように思います。

「民営化」が問題の全てを解決する魔法の言葉のように考えるのは間違いです(小泉首相はその程度の理解しかしていないと思います)

「公」の担うべき分野と「民」が競争すべき分野との線引きが重要ではないでしょうか。


[2004/09/03]  「俺」

4才の甥っ子がいます。ほんわかした可愛い幼児だったのが、誕生日の頃から、「俺」などと一丁前のことを言い出しました。

幼稚園に通って1年。幼稚園児というのも結構大変な立場のようで、仲間内で揉まれたのでしょう。幼児から少年になろうとするところのようでもあります。

憲法改正をかっこいいと思っている政治家の心理も似たようなものかもしれません。

アメリカ政府の要人の前で、憲法9条を持ち出すことに恥ずかしさを感じているのではないでしょうか。

憲法9条の使い方なんだと思うのですが。これほど外交戦略上の武器になる条文はちょっと考えつきません。

「憲法9条を護ります」から「憲法9条を使います」への転換を求めます。(8月30日の一言参照)


[2004/09/02]  消防団

NHK・クローズアップ現代で、地域防災の下支えとなる消防団の現状が紹介されていました。

地域の有志で組織され、災害救援や防災を担ってきた消防団。この夏各地で起こった水害においても土地勘を活かして大きな役割を果たしました。

その消防団が団員不足に悩んでいます。1950年代に200万人いた団員は半分以下に減少。定数を確保できない市町村も出てきています。

背景には、地域の自営業者が減少し、サラリーマンが多くなってきたこと、若者が厳しい訓練を嫌うことなどがあります。

自営業者の減少は平日の昼間に災害があった場合の活動に支障をきたします。

女性の加入、サークル活動的な要素を取り入れるなど消防団離れを食い止めようという試行錯誤が各地で行われています。

(コメント)

従来、町村の職員が消防団の団員として地域防災に取り組んできた地域では、市町村合併後にどうなるのかの不安の声が聞かれます。

これまでの地域社会が崩れつつあることが、消防団の現状に反映しています。

自営業者・商業者は、24時間市民として地域に貢献してきました。このことが市場経済原理オンリーの考え方で否定されつつあります。


[2004/09/01]  小泉3年、安倍1年

小泉政権は、当初異常な人気の下で出発し、人気の下降局面で「サプライズ」を演出することにより、3年間高い支持率を保持しました。

しかし、参院選直前に賞味期限が切れてしまいました。

自民党政権は森政権時代に命脈が尽きかかっていました。どうにもならなくなった自民党が選んだのが、「変人」小泉純一郎氏でした。小泉政権は自民党の延命装置として一定の役割を果たしました。国民から見れば、失われた3年です。

今後の自民党は、次代を担う本格的なリーダーを持たないまま、「延命装置」の付け替えで乗り切ろうとするでしょう。

その手法を前提として有力視される「延命装置」の1人は、安倍晋三氏でしょう。彼の人気に頼ろうとする動きが自民党内に出てきています。

自民党には気の毒ですが、安倍氏を起用しても賞味期限は短いと思われます。彼の能力・資質に問題があるだけではなく、自民党政権の矛盾が極限に達しているからです。

国民も人気優先型の人事で「サプライズ」しにくくなっています。小泉氏が3年。安倍氏の場合は、よく持って1年。

このことは、安倍氏をかつごうとしている人達も先刻御承知のことと思われます。総理交代後一気呵成に選挙を行って、自民勝利を目論む作戦ということになります。

民主党としては、「最大瞬間風速」に耐えて勝利をつかむ地力が必要になります。

政策における自民党との明確な差別化と国民の信頼感醸成が急務です。300小選挙区で民主党が自民党と日常的にしのぎを削る形で次回の総選挙を迎えます。

天下分け目の戦い。こういう局面で暴れさせていただけるのは、幸せと言うべきでしょう。


玉井彰の一言 2004年9月 四国の星ホーム前月翌月