玉井彰の一言 2005年2月 四国の星ホーム前月翌月

[2005/02/28]  比例復活の制度

衆議院小選挙区制度の下で「比例復活当選」を認める現行制度については、強い批判があります。

白黒はっきり付けろ。落選した者がゾンビの如く復活して当選とはけしからん。

ごもっとも。しかし、新人の登竜門と考えれば、これは意義ある制度になると思います。完全小選挙区制においては、現職は圧倒的な強みを持ちます。これに立ち向かう相手方は、現職の壁を思うと有力新人でも意気阻喪して、立候補の決意すらできないことになり、結果として無風区を生みます。有権者としては、実質的に選択肢を奪われることになります。

新人が現職の8割程度の得票で復活当選できるのであれば、これはやってみようということになります。1選挙区から2人の衆議院議員が出てしのぎを削り、有権者が次の選挙までにどちらの国会議員が優れているかを審査できると考えれば面白い話です。

現職に比例復活を認めると、だらけたことになります。現職が相手方の8割で「当選」するのは問題です。この様な場合は、有権者から国会議員として「ノー」を突きつけられたと理解すべきです。

現職に対抗する新人の場合のみ。新人同士でも駄目。元職も駄目。こうすれば、制度趣旨が明確に表現されることになり、衆議院が活性化されます。国会議員の淘汰も進みます。

(妥協点として、現職も1回は復活当選可能などという案もありうるでしょう。しかし、上記の趣旨は全うされません。でも、現行制度よりは前進。ここらが「政治」かも。)


[2005/02/27]  空軍・民主対陸軍・自民

私は、民主党対自民党の戦いを空軍対陸軍という風に説明しています。民主党に欠けているのが陸軍=地上部隊です。

街宣車や辻立ち、ビラなどを中心として一定の支持率獲得を狙う民主党の政治活動(選挙運動)に対し、自民党は個人後援会を中心とする積み上げ方式で勝負してきます。

前者が風頼みになりがちなのに対して、後者は手堅く票を読むことができます。 

民主党にも陸軍が必要であることは言うまでもありません。空軍による「民主党効果」が期待できる近時の状況を考えると、自民党の半分の陸軍があれば民主党が勝つでしょう。

(平和な喩えをしろよとお叱りを受けるかもしれませんが、戦いであるという現実から目をそむけるわけにはいきません。)


[2005/02/26]  守旧思想としての「護憲」

護憲と言えば、土井たか子・前社民党党首を思い浮かべる方が多いと思います。

憲法を護るという意味での「護憲」については、「異議なし」と申し上げます。そして、国民から負託を受けている国会や内閣においては、護憲ということを取り分け重く受け止めていただく必要があります。

しかし、主権者である国民は、憲法制定権力を有する存在であることを忘れてはいけません。憲法制定権力という「伝家の宝刀」を常に研ぎ澄ましておくことが必要です。

主権者たる国民が、より良い憲法規範を制定することを否定すべきではありません。これを否定して、国民を憲法の枠内に押し込めて「護憲」論を言うならば、それは国民を護られるべき存在としか見ていないという意味において、守旧的な思考に堕していると思われます。

憲法制定権力を行使してこそ、国民は真に主権者たり得るのです。「伝家の宝刀」が錆びないよう、常に改憲を意識しておくべきだと思います。

我々国民が基本となるルールを創る。そして、自分達が決めたルールはきちんと護る。主権者が主権者として振る舞うことをためらってはいけません。

間違ったルールをつくってしまったら、また変えればいい。そういうアクティブな民主主義でありたいと思います。

土井たか子氏の業績は偉大であると思いますが、「か弱き国民」のままではなく、力強い主権者としての国民に成長していくべきだという認識に欠けるところがありはしないかという疑問を提示しておきます。


[2005/02/25]  民事制裁

(朝日新聞のニュースより)

石原慎太郎・東京都知事が雑誌のインタビューなどで女性に差別的な発言をしたことで名誉を傷つけられたとして、首都圏の女性131人が都知事を相手に慰謝料計約1400万円の支払いなどを求めた訴訟の判決が24日、東京地裁であった。河村吉晃裁判長は都知事の発言を「個人の尊重を定めた憲法の理念と相いれない」と批判する一方、「原告個々人の名誉が傷つけられたとは言えない」として請求を退けた。

判決によると、石原都知事は「週刊女性」01年11月6日号のインタビューで「これは僕がいってるんじゃなくて、松井孝典(東大大学院教授)がいってるんだけど、文明がもたらしたもっともあしき有害なものはババアなんだそうだ。女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪ですって」などと述べた。

河村裁判長は「松井教授の説には、都知事の説明とは異なり、おばあさんに対する否定的な言及はみられない」と指摘。発言について「教授の話を紹介するような形をとっているが、個人の見解の表明」としたうえで、「女性の存在価値を生殖能力の面のみに着目して評価した」「多くの女性が不愉快になったことは容易に推測される」と述べた。

慰謝料については「原告個々人に対する発言ではなく、原告らの社会的評価が低下するわけでもない。金銭をもって償う必要がある精神的苦痛が生じたと認めることはできない」として請求を退けた。 

(コメント)
こういった馬鹿者の発言を慰謝料請求権で処理する構成には無理があります。

端的に、民事制裁の制度を創設すべきだと思います。原告に金銭を支払うのではなく、国庫に一定金額を支払わせるのです。金額は、社会的相当性(社会生活の中で歴史的に成立した社会倫理秩序)を逸脱したことに対する評価とします。

石原氏の発言は、女性一般に対する侮蔑であり、これに対する憤りを持つ女性は多いと思われます。


[2005/02/24]  勇気ある告発者を支える取り組み

(愛媛新聞のニュースより)

県警の捜査費不正支出問題で実名告発した地域課巡査部長の仙波敏郎さん(56)と、北海道警の裏金問題を告発した元道警幹部の原田宏二さん(67)=札幌市=が22日、松山市で初めて面談。互いの実名告発を評価し、今後の取り組みで連携することを約束した。 

仙波さんは「原田さんの告発をきっかけに道警は約9億6千万円を返還した。素晴らしい結果を残した」と評価。「愛媛も県警に謝罪させて金を返還させることが最低限の目標だ」と決意を述べた。 

原田さんは「今後は自らの体験を生かして仙波さんの役に立ちたい」と支援を約束。「仙波さんを支援する社会ができるかどうかが試されている」と強調した。 

同日夜、「仙波さんを支える会」(東玲治代表)主催の集会も同市内であり、仙波さんも同席し、原田さんと道警の裏金問題を追及する市川守弘弁護士(札幌市)が講演した。

(コメント)
この問題を継続して追求していかなければなりません。実名告発を現職警察官が行うことの大変さを強調しておきたいと思います。

元北海道警の原田さんは退職後の決断でした。仙波さんの場合、裏金づくりに関与していなかったことが、現職での告発に踏み切れた理由でしょう。

裏金づくりへの関与を拒否することも、尋常な決意ではできないことです。組織が腐敗している中で、自分だけが良識を維持していくには、孤独に耐える勇気が必要です。

世論の力で仙波さんを守らなければなりません。社会の良識を守る最前線の戦いになります。


[2005/02/23]  合併のレベル

(朝日新聞のニュースより)

千葉県の成東、山武、松尾3町と蓮沼村が合併後の新市の名称を「太平洋市」と決めたところ、「一自治体がつける名称ではない」などの抗議が相次ぎ、4首長は21日、名称を見直すことで合意した。23日に開かれる臨時の法定協議会に見直しを諮る。

4町村は来年3月27日に合併し、人口約6万人、面積約145平方キロの市になる予定。「太平洋市」の名は1月31日に決まった。最後まで候補に残った「上総」または「かずさ」を決選投票の末に17対11で破った。

九十九里浜に面しているのは成東町と蓮沼村だけだが、「大きな希望」や「海原のように開かれた市」をイメージさせるという理由だった。

しかし、歴史的、伝統的な地名を大切に保存しようと活動している全国地名保存連盟(東京)が「北海道から沖縄までが太平洋に面している。新市が面しているのは8キロだけだ」などと見直しを申し入れた。さらに4町村の役場にはメールや電話などで計数百件の反対意見が寄せられた。

(コメント)
南アルプス市、南セントレア市、北アルプス市等々。馬鹿馬鹿しい地名をよくもまあ考えるものだと思います。

平成の合併が、如何に考え無しに進められているかを、地名が如実に表しています。地方自治のレベルがこんなモンだったのか。愕然とします。

そういえば、愛媛に「四国中央市」あり。しかし、言い慣れてきたことが恐ろしい。


[2005/02/22]  無断録音

NHK対朝日新聞(と安倍晋三氏)との対立劇。鍵を握るのが、朝日新聞が取材の過程で取っているとの憶測がある「録音テープ」です。

月刊現代3月号記事、元朝日新聞記者・辰濃哲郎氏の「事実か倫理か NHKvs朝日新聞ーー取材をめぐる『不毛な論議』」では、無断録音テープを取ったことを理由に退社処分となった辰濃氏が、録音テープがなければ「証言」を後からひっくり返されたときに記者を守る命綱がなくなることを強調しています。

そして、今回のNIHKと安倍氏等に対する報道が「誤報」であると開き直られているのは、「無断録音」で反論すれば、朝日新聞がかつて取った立場である「無断録音は取材倫理に反する」との立場と矛盾するからだ指摘しています。

無断録音が取材倫理に反するとの命題を肯定するとしても、「誤報」であるとの非難に対抗するためには、ギリギリの局面では、現にある「テープ」は提出して報道の真実性への疑問を否定する姿勢が必要です。

その調和点は、裁判における防御的な主張(反証)として「録音テープ」を提出する場合であると思います。

NHKも安倍氏も、「誤報」と叫ぶなら、訴訟を起こすべきです。そして、朝日新聞は「最終兵器」としての「無断録音テープ」を出すべきです。

参照:森田実のホームページ:2005.2.21
2005年 森田実政治日誌[46]NHK・朝日紛争にみる日本のマスメディアの荒廃
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/


[2005/02/21]  今治の拠点

今治市・越智郡の愛媛県議会議員補欠選挙で、民主党公認候補・豊島美知氏が当選。

90%開票時点で2位。1位の人は自民系の受け皿となって票を伸ばしたものと思われます。

今日から、2年後に控える熾烈な本選挙のためのスタートを切ることになります。今治にできた拠点を充実したものにする必要があります。


[2005/02/20]  死刑支持率

(読売新聞ニュースより)

死刑制度を容認する人が過去最高の81・4%に達したことが、内閣府が19日発表した「基本的法制度に関する世論調査」の結果で明らかになった。

犯罪被害者の権利が「尊重されていない」と感じている人は70・6%で、1999年の前回調査より7・5ポイント増えた。凶悪犯罪の頻発などが影響したと見られる。

調査は昨年12月、20歳以上の男女3000人を対象に実施された。回答率は68・3%だった。

死刑について「場合によってはやむを得ない」と答えた人は、前回調査の79・3%から2・1ポイント増え、初めて8割を超えた。

容認の理由(複数回答)は、「凶悪犯罪は命をもって償うべきだ」が54・7%で最多。「廃止すれば凶悪犯罪が増える」が53・3%、「廃止すれば被害者や家族の気持ちがおさまらない」が50・7%で続いた。

「どんな場合でも死刑は廃止すべきだ」との回答は前回調査比2・8ポイント減の6・0%。廃止を求める理由(同)は、「罪の償いをさせた方がよい」が最多の50・4%で、以下は、「裁判に誤りがあったときに取り返しがつかない」が39・0%、「国家であっても人を殺すことは許されない」が35・0%の順だった。

(コメント)
私は、死刑存置論者です。

死刑が凶悪犯罪抑止の決め手になるかどうかは疑問です。死刑に相当するような罪は激情型であり、計算されてのものではないことが多いと思われるからです。

しかし、被害者(側)の感情を考えると、犯罪者に「けじめ」を付けていただかないと、法律というものの意味が希薄化することになります。

刑罰権を国家が独占するにあたり、被害者側が復讐する権利を取り上げたのですから、国家は犯罪者が行った罪の限度で被害者の報復感情を満足させるだけの刑罰を与える義務があると考えるべきです。

ただし、犯罪報道のあり方がセンセーショナルになりすぎることへの警鐘は鳴らしておきたいと思います。犯罪報道が過激となり、人民裁判的になると、冤罪の危険も増してきます。報復感情を増幅するような報道をすることも可能だという認識は持っておく必要があります。

「死刑支持率」向上が、近年の報道の影響ではないかという疑問なきにしもあらずです。


[2005/02/19]  小選挙区と政党助成金

小選挙区プラス政党助成金制度がどういう意味を持つのかが分かっている政治評論家や報道関係者がどれだけいるでしょうか。

自民党の活力を喪失させたところに、その意義があります。中選挙区制の下では、自民党の公認を得ようが得まいが、「勝てば官軍」で、事後的に公認を得ることができ、無所属出馬という登竜門がありました(無所属といっても、派閥が面倒を見ていたわけですが)。

こういうシステムが崩壊し、自民党公認しか実質的な登竜門がないということで、保守系の政界進出のルートが目詰まりを起こし、自民党の活力がなくなってきました。党内に競争相手がなくなり、自民党現職の日常活動が減ってきたことで、野党(民主党)の候補が現職を打ち負かすことが可能になってきました。

しかも、政党助成金ができたことで、民主党が金が無い人物でも政界に進出できるルートを確立してしまいました。この制度がなかった中選挙区制の下では、保守系の候補は実質的に○億円の資本金が必要でした(派閥の世話で出てくる場合でも、「借り」はあったはずです)。

昔、小選挙区制度は自民党の永久政権につながると言われたものです。しかし、そうではないことが明らかになりつつあります。

この制度。小沢一郎氏が仕組んだんだと、ある人が言っておられました。同感。


[2005/02/18]  前歴者の出所情報

(読売新聞のニュースより)

政府は16日、愛知県安城市の乳幼児殺傷事件など、前歴者や仮出所者による凶悪犯罪が相次いでいることを受け、再犯防止策などを検討する関係省庁会議を内閣府で開いた。

法務、警察両省庁による前歴者の出所情報の共有について、現在検討している性犯罪以外の犯罪への拡大を協議することを決めた。ただ、どのような犯罪について情報を提供するかといった基準作りは難しく、今後の議論の焦点になりそうだ。

会議では、前歴者の出所情報について、「仮出所者を含めた情報の把握は再犯防止などに有効」とする警察庁に対し、法務省も「警察庁の要請があれば提供を検討する」との考えを示した。両省庁は今後、〈1〉情報提供の拡大範囲〈2〉再犯率などデータの検証――などについて協議することで一致した。

情報提供の範囲拡大に関しては、課題が多い。安城市の事件で逮捕された仮出所中の男の服役は、軽微な窃盗罪によるものだった。再犯防止目的とはいえ、線引きは簡単ではない。対象者が転居した際の住所把握なども検討テーマになると見られる。

(コメント)
犯罪者には、更正し社会復帰する権利があると考えるべきです。過去の罪に対しては応分の不利益(刑罰)を受けているのですから、それ以上の苦痛を受けるいわれはありません。

犯罪者とひとくくりで考えるのはいささか乱暴です。同種の犯罪が繰り返された場合、被害が深刻になるという場合(性犯罪がその例とされるでしょう)に限定すべきです。しかも、初犯者については、更生の権利に重きを置くべきです。

事件があれば最初に取り調べを受けるというのでは、更生は困難です。しかも、犯罪捜査を(犯罪→犯人)という客観的な捜査のやり方から、(犯人→犯罪)という予断を持っての自白追求型の捜査に変質させる契機ともなりかねません。冤罪の温床となる恐れを指摘せざるを得ません。

そもそも、犯罪者が更生するためのプログラムが充実しているのかどうか、そのことがまず議論されるべきです。苦痛を与え、規律正しさだけを要求する現在の行刑から、受刑者が主体的に社会復帰を目指す、更生支援システムへの変更が必要です。


[2005/02/17]  無報酬

(朝日新聞のニュースから)

合併で議会がなくなった旧町村で、議員に代わる「無報酬の議員」を選ぶ選挙の投開票が13日、新潟県上越市である。「報酬がないからこそ自由にモノが言える」とラーメン店主が応募したり、5人の女性が「おカネをかけない」と宣言して静かな選挙をリードしたり。明治以来の「お上頼み」の政治風土が、合併を機に変動する兆しが見えてきた。

今年の元日に14市町村が合併した上越市は、合併後も一定期間は旧市町村の議員がそのままとどまることができる「在任特例」を使わなかった。このため、例えば議員定数が18だった旧柿崎町の自治区は、新しい市議会では3になった。

激減した議員に代わるのが、新制度「地域協議会」の委員だ。合併した旧町村に設置が認められた。住民の意向を市に伝えたり、自治区の運営に意見したりするのが役割。柿崎区では18の定数に20人が応募し、選挙になった。

農家の女性らで作るみそ造り加工組合の代表(57)は、知り合いに立ち話をするくらいが選挙運動だ。一緒に応募した女性5人で選挙前に「おカネも人も使わない」と話し合った

地域協議会の選挙は、同時進行の市議選と違って、ポスター、はがき、選挙カーなどの公費の手当ては一切ない。別の自治区で応募したラーメン店の女性店主(56)は言う。「無報酬だからこそ、政治経験のないおばさんでも出られた。ふだんのお茶のみ話を素直に伝えたい」

上越市に吸収(編入)合併された13地区の地域協議会委員の定数は、旧町村の議会とほぼ同じ12から18。計192の定数に189人が応募した。5地区で選挙になり、ほかの5地区で定数と同数、定数割れになったところも3地区あり、市長が不足分を指名することになった。

5人の女性が応募した柿崎区では、ほかには元町議6人、元助役、町内会長、消防団長ら旧町議会のような顔ぶれが多数派だ。全体でも女性は189人のうち19人にとどまる。年齢も60代が最大の97人で、30代以下は1人もいなかった。

地域協議会にどれだけの権限があるのかはっきりせず、手探りの面もある。市の条例には「市長や市の機関に意見を述べることができる」とあるだけだ。

立候補した元役場職員は「もとの議会のようにしゃんしゃんだったら期待外れになる。自分たちでどこまでできるか」と意欲を見せる。

(コメント)
地方自治体がこれをやればいいのです。地方自治法や公職選挙法はかんじがらめで、地域の人が自分達でものごとを決めるという自治の本旨を実現することがなかなかできない仕組みになっています。

もっと自由に自分達で自治の決まりをつくれるようにしていくべきです。

どの分野でもそうですが、入試・入社試験や資格試験が緩やかだったころに立派な人物がでてくるのに、「難関」になり「受験者」がプロ化すると、何故こんな奴が・・という人物が入り込んでくるようになります。入り込むことに全ての精力を注ぎ込むので、入ったあとに何をやるかが分からなくなるのです。

地方議員の場合、田舎ほどお金が動くといいます。選挙が地域経済活性化のイベントなのでしょう。しかし、これでは自治の食いつぶしになります。

一般の自治体でも、定数の一部を「無報酬議員」にすると、議会が活性化すると思います。

無報酬の議員が頑張っているのに、報酬をもらって寝ていられませんから。


[2005/02/16]  政治生命

「政治生命」という言葉が使われることがあります。政治家として生きていく実質的な資格とでも定義すればいいのでしょうか。「政治家○○は、▲▲での失敗により、政治生命を失った」というような文脈で用いられます。

私の場合、元々政治家志望ではないので、政治生命など最初からないと割り切っています。しかも、政治家としての起承転結があるなどと考えること自体が厚かましい話です。

出世双六の一進一退をああでもないこうでもないと思案すること自体を、馬鹿馬鹿しく思います。

もし私なりに「政治生命」という言葉を定義するならば、政治家としての信念や志を言うのであって、それを失ったときには政治家でいること自体が国家・社会にとって有害なものだということになります。反対から言えば、信念と志があれば、客観的な条件はどうであろうと、政治家たり得るのです。

しかしこの世界、もはや理想の欠片(かけら)もなくなっているのに、悪びれもせず政治家をやっている、魑魅魍魎(ちみもうりょう)ともいうべき輩(やから)が跋扈(ばっこ)しています。

政界の大掃除をやってしまえば、一日も早く政治家を辞め、仲間と酒を酌み交わし、日々楽しく暮らします。後は、誰がやっても何とかなるでしょうから。家族も、赤飯を炊いて祝ってくれるでしょう。


[2005/02/15]  失う票

合併に伴う地方議員選挙が各地で行われています。

地方議員選挙は、1票1票の積み重ねで票が出てきます。その為、候補者の脳裏には顔の見える票が常について廻ります。

これをするとあの人が怒るだろう。こういう発言をするとこの人が逃げていくだろう・・

そうすると、議員で居続けるためには、何もできないことになります。

失う票が計算できるのに対し、獲得できるかもしれない票は読めません。しかし、議員になって何事かをなしえたという満足感を得るには、票を失っても得られる何かを大切にしていくことが必要だと思います。

「雲をつかむ」勇気があるかどうか。「落選する覚悟」の問題でもあります。


[2005/02/14]  ガッカリ候補・再録

<2003年8月27日の「一言」>

ガッカリ候補

衆議院議員選挙が近づき、各党の候補者が発表されています。

発表があった瞬間に「勝負あり」の選挙区があります。無名であっても、国会議員にすればかなりやれるかもしれないと思える候補なら勝ち目がなくても文句は言いません。しかし、「批判票の受け皿」と顔に書いてあるような候補では気持ちが萎えてしまいます。

国民のための候補ではなく、党のための候補ではないかと思われるような人物を出してくるのは有権者に失礼ではないでしょうか。「アリバイ作り」のための候補しか出せなかったということでしょうか。比例区で得票するために選挙区を空白に出来ないということでしょうか。

確かに、選挙に出るというのは大変なことです。負けを覚悟で出なければならない場合、職業を犠牲にし生活を犠牲にして出てくれる人は余りいないと思います。外野席から軽々しい論評をすべきものではないと思います。

しかし、野党が弱いことが明白な選挙区の場合、野党から複数出るということは、その選挙区の有権者から見れば政権選択の可能性を実質的に奪われたも同然です。せめて、野党の候補を一本化し二者択一の選挙にしてもらわなければ意味がありません。弱体選挙区対策を野党各党にお願いしたいと思います。多少は面白くしてくれないと困ります。

政治をサービス産業として見た場合、サービス供給者の立場からではなく、「消費者」(有権者)の立場に立って考えていただきたいものです。

ガッカリ候補反対! 恵まれない選挙区に愛の手を!

(コメント)
こんな余計なことを書いたばかりに、衆院選立候補の依頼を断れなくなりました。

民主党の候補が出ないことにイライラして書いた文章です。候補者と自分とを別世界においての発言ですから、勝手なもんです。

この「一言」さえ書いてなければ、断っていたはずです。観客席から気楽に書いたことが自分に跳ね返ってきたということです。自縄自縛と言うのでしょうか。

「供給者」サイドに身を置いてみて、供給者の論理が分かったぶんだけ、身の処し方が難しくなりました。

「消費者」をガッカリさせることの方が多くなりそうで、余程身を引き締めないといけないなあと思います。


[2005/02/13]  「愛国心」は誰が教えるのか

「愛国心」教育などと簡単に言う人がいますが、では、誰がそれを教えるのでしょうか。

「現場の教師だろう」とおっしゃるのでしょうか。しかし、現在の教師に「愛国心」を教えることができるのかどうか。

私は無理だと思っています。形式的にはできるでしょう。しかし、それは建前的教育であって有害無益です。実質的には、嘘の上手な人が重宝がられるような欺瞞的構造を生み出すだけです。

しかも、正直に「愛国心」が心に届くような素直な子供が、現実社会の欺瞞を見て、心理的葛藤から社会的に適応不能の状態に陥る危険もあります。

表で「愛国心」、裏で利害打算の徒が、操縦しやすい国民を量産するために企図する試みは、結果として多くのまともな人材を失う結果しか生まないと思います。

「愛国心」を教えることができる人材は希有です。小沢一郎氏が言うように(昨日の「一言」)、自主自立の精神から入っていくやり方しか現実にはないのです。


[2005/02/12]  小沢一郎・剛腕コラム

(夕刊フジの連載、剛腕コラム、2月4日号より)

「『自立した日本人』つくる教育を」「愛国心や規律、上からの強制ではダメ」

教育基本法改正案をめぐって自民、公明両党が対立し、通常国会への法案提出が見送られることになったという。自民党が「愛国心」の明記を主張したのに対し、国家主義復活を懸念した公明党が猛反発したのが原因らしい。

実は先月末、僕が主宰する「小沢一郎政治塾」の冬季集中講義が行われたが、同講義のメーンテーマも「人づくり」だった。

僕は以前から、政策の第1に教育問題を考え、旧自由党時代に国会提出した「日本一新11基本法案」でも、最初に「人づくり基本法案」を据えて、その意図についてこう明記した。

《新しい日本の確立に向け、自主自立の精神と創造性に富み、自ら自分の人生を切り開き、かつ、わが国及び国際社会に自ら役立とうとする人間を育成するために、あらゆる機会に、あらゆる場所において人づくりに取り組む決意をしなければならない》

同法案には「愛国心」という言葉は入っていないそういうものは国民一人ひとりの心の中に自然に芽生え、持っているべきものであり、時の政府や為政者が上から強引に押し付けるものではない。自分で考え、判断し、行動できる自立した人間は、家族愛や郷土愛の延長上として愛国心を受け入れるはずだ。

押し付けた愛国心や規律がいかに脆いかは、先の大戦を振り返れば分かる

戦前、日本軍はその軍隊教育の厳しさから「世界に誇る軍紀を持つ」といわれたが、戦後、連合国側の資料を分析すると、日本兵はいったん捕虜になると聞かれていないことまでペラペラとしゃべっていたという。

敗戦後、日本軍は上官も部下も関係ない烏合の衆となった。高いモラルを誇った軍隊でさえ、そんなザマだった。つまり上から形式を強制するやり方では、愛国心も規律も根付かないのだ。

一方、英国軍は違った。

これは、映画「戦場にかける橋」の有名なシーンだが、タイとビルマ(現ミャンマー)の国境近くにあった日本軍の捕虜収容所では、連合軍捕虜を使って、国境に流れるクワイ河に橋を架ける準備が進められていた。

だが、英軍大佐は捕虜の扱いを定めたジュネーブ協定に反するとして、日本軍の捕虜収容所長と対立。地下の独房に何日も閉じ込められた。英軍大佐が独房から出てきたとき、英国軍捕虜たちは彼を拍手で迎えたという。

英国人には、軍隊の組織も階級も自分たちが納得して作ったという自負があり、自分たちが作ったものは守らねばならないという意識があったのだ。「上から」ではなく「自分たちが」なのだ。これこそ、自立した人間の姿勢といえる。

教育が何たるかを理解していない、自民、公明両党とは次元が違う。われわれが目指すのは、本当に自立した日本人の集合体である日本国家である。

(コメント)
小沢一郎氏については俗説の方が幅を利かせており、この政治家の真価が多くの国民に理解されるのは、まだ先のことではないかと思います。

彼は、総理大臣云々であれこれ考えるレベルの政治家とは次元が違うのではないでしょうか。

「愛国心」についてのこの論評は出色ですので、御紹介します。

小沢一郎氏のホームページでメルマガ登録をすると、「剛腕コラム」が届きます。


[2005/02/11]  三井環氏の場合

(概要)

捜査情報漏えいの見返りに暴力団関係者から接待を受けたなどとして、収賄などの罪に問われた元大阪高検公安部長・三井環被告に対し、大阪地裁は1日、懲役1年8月の実刑判決を言い渡しました。
 
三井被告は「逮捕、起訴は検察庁の調査活動費(調活費)流用問題の告発を防ぐための口封じ」と公訴棄却や全面無罪を主張。

宮崎裁判長は判決で「被告の告発は、具体的で客観的状況に沿う部分もあり、社会の耳目を集めると考えられ、口封じとの主張は無理からぬところがある(流用問題は)社会的に重大な問題で糾明が必要」だと指摘しました。

しかし、「検察官と暴力団関係者との交際は、到底、放置できる事態ではなく、検察官は訴追の裁量を逸脱したとは言えない」と公訴棄却の申し立てを退けました。

三井被告は99年7月から大阪高検公安部長で、2002年5月に懲戒免職。在職中から調活費問題を告発しようとしており、公判でも「裏金として、検察幹部らの飲食代などに使われていた」と訴えていました。

(コメント)
三井環氏は、検察庁の裏金について現職検事として実名告発しようとし、告発しようとした正にその日に、別件の微罪で逮捕されました。

三井氏に対する起訴事実についての判断は置くとして、三井氏を逮捕しなければならない緊急性は乏しかったと思います。「口封じ」という批判に一理あることは、裁判所も認めている通りです。

検察庁は焦ったのでしょう。微罪での逮捕という裏技を使わざるを得なかったということが、裏金問題が表面化することを極度に恐れたことを物語っています。

裏金というのは、どの組織でもあると言われています。警察や検察でも裏金があるということそれ自体は特に驚くことでもありません。

問題は、組織防衛しか眼中になくなってしまうということです。犯罪を摘発して弾劾する組織だけに、無謬性(むびゅうせい)が要求されると思い込んでいるのでしょう。

警察・検察のエリート達が、過ちを起こしたときの身の処し方こそが大切であるという大局的な正義感を持てないことにがっかりします。

(1)飲酒運転をして(2)事故を起こして、(3)逃げてしまった、という事件で、(1)をしないのが正しいのですが、(2)の事実が発生した以上、(3)をしないことこそが大局的な正義感だと思います。

この三井氏も愛媛県出身とのこと。愛媛県警・仙波敏郎巡査部長の実名告発と併せて、愛媛県人がキーマンとなっています。

なお、三井氏はホームページを持っています。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/uragane/


[2005/02/10]  今治市・越智郡の県議補選

新今治市は、トリプル選挙となっています。

市長選挙、市議選挙、県議の補選。前2者は13日告示ですが、県議補選は11日告示。民主党は、女性候補、豊島みち氏(今治市議3期)を公認候補として県議補選を戦います。

民主党は、街宣車4台を今治に集結させ、政治宣伝を展開中。「民主党効果」が実証されれば、他の選挙にも良い影響があります。

県議補選に合わせて、民主党県連の定期大会が11日、今治国際ホテルで開催されます。「今治攻め」を成功させなければなりません。

ところで、日朝のサッカー。日本が勝って喜んでいる方が多いと思います。しかし、どうも率直には喜べません。

あの選手達、収容所ということはないだろうか。ちょっと心配です。


[2005/02/09]  民主党調査団、来県

(メインパソコン、不完全復帰。もう一度ドック入り予定ですが、それまでの間、更新を続けます。)

愛媛県警不正経理疑惑。実名告発に踏み切った仙波敏郎巡査部長への報復人事が行われています。他方、仙波氏を支援する組織ができており、この問題は広がりを見せています。

民主党も来週、本部から調査団が来県し、仙波氏から事情を聴く予定です。

この問題と、三井誠・元大阪高検部長の問題について、これから時折取り上げていきます。

犯罪を取り締まる組織が犯罪者集団と化している現状を憂います。これを政治家が取り上げると、選挙違反の捜査でしっぺ返しを受けると言われています。

しかし、勇気を持って取りあげなければ、政治を志した値打ちはありません。


[2005/02/05]  基礎自治体

(パソコン、ドック入り前にアップロードしておきます)

日刊ゲンダイに掲載されている田中康夫長野県知事の【奇っ怪ニッポン】より (2004年12月23日 掲載) を全面引用

<越県合併「大きい事は良い事だ」の時代錯誤>

この原稿が紙面化される昼過ぎには、議員提案で上程された山口村の「越県合併」関連議案を巡って、長野県議会では“白熱”した議論が交わされている筈(はず)です。

が、それは平成の大合併を主導する総務省なる、旧内務省の流れを汲む中央集権的省庁の見解を“お墨付き”とした上での議員提案です。

地方分権時代に相応(ふさわ)しき地方自治の確立を、と唱和する議員諸姉諸兄は、「小さな自治体は経営が難しいから、一つの考え方として越県合併を進めるべき」と官邸ロビーの立ち話で宣(のたまわ)った麻生太郎総務大臣の“地方自治哲学”を、信じて疑わないのでしょう。

が、雪深き秋山郷を擁する栄村を始めとして長野県には、人口も財政も“脆弱(ぜいじゃく)”な、けれども自律的な村政を引き続き目指す小規模な町村が幾つも存在するのです。そうした努力を続ける彼らは、愚か者だとでも言うのでしょうか?

大宮市、浦和市、与野市の3市が合併して誕生した「さいたま市」は、成る程、変わりました。住民サーヴィスを充実させるには人海戦術しかない、と市役所の職員数を更に増加させたのです。収入が恵まれていなくては住民に笑顔で接するのも難しい、と考えたのか、3市の中で最も高い給与に、職員も議員も増額となりました。

他方、乳幼児の医療・保育や老人の訪問介護等は、3市の中で最も低い水準に合わせられ、小規模自治体だったればこそ福祉が充実していた与野市の住民は、サーヴィス低下を嘆いているのです。これが平成の大合併の実態です。

人口2千人の山口村が人口5万人を超える中津川市に吸収合併されたなら、住民自治は崩壊してしまう、と僕は考えます。フランスでは人口5千人以下の自治体が全体の9割を、あの夜郎自大なアメリカとて8割を占める現実を、我々は冷静に見直すべきです。「越県合併は道州制へと繋(つな)がる道だ」とも麻生氏は述べています。軽井沢が関東州へ、白馬は北陸州へ、といった具合に信州・長野県が分割されていく第一歩だ、と聡明なる県議諸姉諸兄は想像しているのでしょうか。

経営会議の下に企業哲学を共有し、その上で分社化や事業部制を敷き、執行役員が的確な判断、迅速な行動、明確な責任を取るのが当たり前となった民間と比較するに、未だ大きい事は良い事だ、と胸を張る日本の行政とは、何たる時代錯誤でありましょうか。想像力無き政治ならぬ政事の下、日本社会は着実に溶解していくのです。何たる愚かさでありましょう。

(コメント)
賛成。従来、私が市町村合併に反対してきたのは、住民自治が合併により後退(ないしは消滅)させられるからです。

地方自治の本旨とは、住民自治と団体自治の保障であるとされますが、住民自治と団体自治との関係についての認識をしっかり持っている人は少数です。

私は、「自治」とは、突き詰めれば、住民意思の決定システムであると考えます。そして、住民自治を具現するために団体があると考えます。団体自治は住民自治実現の手段なのです。

あらかじめ地方分権の受け皿として「基礎自治体」を定義するのは本末転倒の議論です。産業政策実現のための自治の最適単位、福祉における自治の最適単位、住民意思の決定の最適単位等々、問題別に最適単位を考えばいいのです。

基礎自治体とは、存在感をもった一個人として関わり合いの持てる範囲で地域に関する事項について意思決定を行うものであって、地域が健全に存続し発展するための施策を遂行する「地域づくり機関」だと、私は考えます。


[2005/02/04-2]  アップロード一時休止

パソコンの不具合を直すためにドック入り。「一言」のアップロードを一時休止します。

来週初めに修理完了予定。

昼間時間があれば、総支部にて別のパソコンで、「伝言板」に書き込む予定です。


[2005/02/04]  受信料不払い

(ニュース1)

NHKの橋本元一会長と永井多恵子副会長は3日開かれた就任後初めての定例記者会見で、一連の不祥事を理由にした視聴者の受信料支払い拒否・保留が1月末現在で、約39万7000件に上ることを明らかにしました。
 

従軍慰安婦特集番組の改編問題について橋本会長は「一般論として、個々の番組について放送前に政治家に話すことは当然のことだとは思えず、好ましくない」と、これまでのNHK見解とは異なる認識を示しました。
 

また、受信料不払いの増加については「大変厳しいと痛感している。何とか視聴者のご理解を得ることが必要。個別の説明で支払いの再開をお願いするなど、できるだけ影響を少なくしたい」と語りました。

(ニュース2)

全国の病院に貸しテレビを納入している業者でつくる業界団体「テレビシステム運営協会」が、NHKの不祥事などを理由に、2月以降の受信料支払いをストップすることを明らかにしました。

これによる年間不払い総額は約40億円に上るとしています。不祥事の影響で、2005年度の受信料収入は04年度に比べ72億円の減収となる見通しでしたが、減収額はさらに膨らみそうです。
 
協会によると、精神病院などを除いた全国の病院に納入されているテレビ約100万台のほとんどを協会加盟業者が納入。病室ごとに受信契約をする仕組みで、NHKと業者側が約30万件の受信契約を交わしています。

(コメント)
NHK会長が、放送内容について事前に政治家に話すことは好ましくないと認めたことは評価します。

それなら、今回問題になっている安倍晋三氏への「御説明」についても、視聴者に対し正面から謝罪すべきです。

放送人として、表現の自由、放送内容の自由、言論の自由についての責任感を自覚した発言なのか、受信料不払いによる減収に対する営業的な「対策」なのかが不明です。

放送内容を、何故「圧迫を感じず」に、「事前に」、「呼びつけられていない」のに、「政権党の政治家の下に赴き」、政治家に「御説明」をしたのか。事前に政権党の政治家に「御説明」することへの問題意識はなかったのか。このあたりがつまびらかにされなければなりません。

会長は、視聴者が「御理解」していないと考えているのでしょうか。個々の不払いに正当な理由があるのかどうかは分かりません。空前の不払い増加は昨年発覚した不祥事によるものが大半でしょうが、NHKに表現の自由を護る気概が見られないことが、今後の不払いの動きに影響するのかどうか、見守りたいところです。


[2005/02/03]  人口コンプレックス

平成の市町村合併が「進んで」います。

合併へと自治体を駆り立てる動機の一つは、人口コンプレックスです。人口規模が大きい自治体を立派な自治体だと思う錯覚が多くの自治体と多くの住民を支配しています。

インターネットで調べていたら、1920年の国勢調査による都市の人口が出ていたので紹介します。

  1. 東 京 2,173,201
  2. 大 阪 1,252,983
  3. 神 戸 608,644
  4. 京 都 591,323
  5. 名古屋 429,997
  6. 横 浜 422,938
  7. 長 崎 176,534
  8. 広 島 160,510
  9. 函 館 144,749
  10. 呉 130,362
  11. 金 沢 129,265
  12. 仙 台 118,984
  13. 小 樽 108,113
  14. 鹿児島 103,180
  15. 札 幌 102,580
  16. 八 幡 100,235
  17. 福 岡 95,381
  18. 岡 山 94,585
  19. 新 潟 92,130
  20. 横須賀 89,879
  21. 佐世保 87,022
  22. 堺 84,999
  23. 和歌山 83,500
  24. 静 岡 74,093
  25. 下 関 72,300
  26. 門 司 72,111
  27. 熊 本 70,388
  28. 徳 島 68,457
  29. 豊 橋 65,163
  30. 浜 松 64,749
  31. 大牟田 64,317
  32. 宇都宮 63,771
  33. 岐 阜 62,713
  34. 前 橋 62,325
  35. 富 山 61,812
  36. 旭 川 61,319
  37. 福 井 56,639
  38. 甲 府 56,207
  39. 室 蘭 56,082
  40. 那 覇 53,882
  41. 松 山 51,250
  42. 松 本 49,999
  43. 若松(福岡) 49,336
  44. 高 知 49,329
  45. 青 森 48,941
  46. 山 形 48,399
  47. 津 47,741
  48. 高 松 46,550
  49. 姫 路 45,750
  50. 久留米 43,629
  51. 大 分 43,150
  52. 米 沢 43,007
  53. 盛 岡 42,403
  54. 長 岡 41,627
  55. 奈 良 40,301
  56. 釧 路 39,392
  57. 水 戸 39,363
  58. 宇治山田 39,270
  59. 八王子 38,955
  60. 岡 崎 38,527
  61. 尼 崎 38,461
  62. 若松(福島) 37,549
  63. 松 江 37,5271
  64. 長 野 37,308
  65. 高 崎 36,792
  66. 高 岡 36,648
  67. 秋 田 36,281
  68. 福 島 35,762
  69. 四日市 35,165
  70. 小 倉 33,954
  71. 佐 賀 33,528
  72. 明 石 33,107
  73. 弘 前 32,767
  74. 大 津 31,453
  75. 今 治 30,296
  76. 福 山 29,768
  77. 鳥 取 29,274
  78. 高 田 28,388
  79. 大 垣 28,334
  80. 尾 道 26,466
  81. 上 田 26,271
  82. 丸 亀 24,480
  83. 首 里 22,838

大都市や有名都市の人口が少ないことに驚きます。当時でも、これらの都市の多くは賑わっていたはずです。

この後、大都市や地方の中心都市に人口が集中したことにより、都市の人口が増加しました。

もう一つ。合併です。都市の面積の増加による都市の拡大が起こったのです。

都市の人口の絶対数が小さくても、人口が狭い範囲に集約していれば、都市として充分な機能と魅力とを有することになります。昔の都市の人口を参考にしていただきたいと思います。

合併により漠然とした広い自治体をつくるより、中心核のしっかりした「都市」ないし「街区」をつくるべきです。

人口コンプレックスを克服することが、良い「まちづくり」の出発点です。


[2005/02/02]  民主党の予算案

(ニュース)

民主党『次の内閣』は1日、「平成17年度 民主党予算案」を発表しました。

(1)「こども=子育て」を重視する観点から、総額3.6兆円の「子ども手当て」を創設

(2)公教育の現場を重視し、30人学級を推進

(3)「地方活性化」のため、地方に5.5兆円の税源を移譲、12.5兆円の一括交付金を創設・交付

(4)子どもたちに過大な負担=借金を押しつけないよう、国債発行額を徹底的に絞り込む「財政健全化」

の4つを最重点項目として挙げています。

一方で、政府案に含まれる数多くの無駄や不要・不急事業への歳出を徹底的に排除。大胆な見直しの結果、約16兆円に及ぶ歳出を削減する内容となっています。この結果、例えば子ども関係予算額は、政府案の1.1兆円に比べて、4.2倍の4.5兆円となるなど、国民が真に求め、未来への責任として直ちに行わなければならない分野に、思い切った投資を行っています。

仙谷政調会長は記者会見で、こうした民主党予算案について、「民主党が政権を獲っているという前提に立った場合の予算案だ」とした上で、「全体的な予算として表現すべき政策を、この予算案としてつくった」とし、「子ども=子育て」「教育」「地方の活性化」「財政健全化」を最重点項目とした内容を詳細に説明しました。

(コメント)
子供への投資、地方重視、税制の健全化を柱とした予算案。

民主党政権への期待が高まる反面、大丈夫なのかという不安心理も有権者にあると思います。「予算案」をはじめ、提言をどんどんしていくことにより信頼感を勝ち取る必要があります。

自民党の政権担当能力というのは、もともとありませんでした。政権党であり続けたために、官僚機構をシンクタンクとして利用できただけでした。野党になったら、何も提案できなくなるでしょう。

これからの政党は、政策が命です。議員が政策立案できる環境づくりを行うとともに、政党のシンクタンク設立も真剣に検討すべきです。政策立案への投資こそが我が国の将来のために必要です。

私のような浪人者でも、シンクタンク(人材と資料)を自由に使えれば、相当なことが提案できると思います。しこしこ本を買うだけでは、政策立案は困難です。


[2005/02/01]  帰りなん、いざ

(ニュース)

国立社会保障・人口問題研究所は1月31日、人口移動調査の結果を発表しました。それによると、出生した都道府県から転出を経験した人のうち、その後出生地へ戻っている人々の割合(Uターン率)が、男女とも中高年で増えていることが分かりました。

同研究所は「このペースが続けば、今後、地方人口の減少の緩和が見込まれる」としています。

Uターン率は、男性が31・8%(前回比4・6ポイント増)、女性が27・4%(同2・5ポイント増)。男女とも40歳から64歳の世代で、前回調査を上回っています。特に団塊の世代と呼ばれる、当時50歳から54歳の世代の男性では、40・3%で前回(28・5%)より11・8ポイントも上回りました。

同研究所は、「不況の長期化で、都会に見切りをつけて帰郷する人が増えたのではないか」としています。

(*ただ、この調査は2001年7月に実施しており、調査結果の発表は大幅に遅れていることに注意しておくべきです。同研究所は、「2000年の国勢調査の結果との精査が必要だったことと、市町村合併が相次ぎ、市町村からの人口推計の問い合わせへの対応に忙殺された」と釈明している。前回の調査は1996年7月に実施し、97年11月に発表しています。)

(コメント)
今後Uターン率が増してくるとするならば、地方にとって朗報です。地方としては、予想される人口減少を都市部住民のUターン(Iターン、Jターン)で補っていくことを戦略的に追求していくべきです。

定年後の都市部住民が年金収入を背負って来てくれることを考えると、地方経済のプラスになります。高齢となってからの医療費負担を考慮しなければなりませんが、差し引きプラスでしょう。

都市部住民獲得のためには、風通しのよい地域社会づくりが不可欠です。都会で住む感覚に近い個人主義的な雰囲気と、地方ならではの温かい雰囲気との調和が求められます。

政治風土の改革も必要でしょう。ムラ型政治を卒業し都市型の政治を追求していくことが、「田舎」の生き残り策になるということです。


玉井彰の一言 2005年2月 四国の星ホーム前月翌月