玉井彰の一言 2005年3月 四国の星ホーム前月翌月

[2005/03/31]  ある投書

(プレス民主121号<4月1日号>に掲載された、投書の抜粋)

民主党の議員が小泉首相に対して「能天気」と発言したところを見ました。

国民感情として、良くそれはわかりますが、いわゆる言葉の攻撃は、百害あって一利なしと思います。どうも代表質問になると、言葉の攻撃で終わってしまいます。民主党の伝統なのでしょうか?このやり方は止めてください。

理論で相手の矛盾を突くとかして、論破すべきです。・・・

これから自民党にとって代わるべき政党として、戦略をもっと練って、でたらめ政策を切って捨て、国民が留飲を下げられるようお願いします。・・・

(コメント)

確かに、発言者の感情の表出としての意味しかない場合があります。論理的ではない小泉総理に感情で対立したのでは、「売り言葉に買い言葉」的なやりとりに終始し、ドロー(引き分け)に持ち込まれてしまいます。

「質問1」「回答1」「質問2」「回答2」とやって、回答1と回答2の論理矛盾を突いていくことができれば、これこそ「プロの技」として評価されるでしょう。

論理という武器を磨き、国民的な評価に耐える政治家像を追求していくべきであろうと思います。


[2005/03/30]  出生・死亡予想以下、高齢化予想以上

(ニュース)

2004年に日本で生まれた赤ちゃんは、政府が取りまとめた速報値ベースの統計で日本在住の外国人も含め、112万1千人だったことが分かりました。2003年に比べ1万4千人少なく、4年連続で戦後最少記録を更新しました。出生数は政府の見通しより3万人超少なくなっています。

合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む平均子ども数)は、2003年に1.29と戦後最低になりましたが、2004年はさらに低下した可能性があります。

厚生労働省の外郭団体、国立社会保障・人口問題研究所が2002年1月に公表した「日本の将来推計人口」の中位推計では、2004年の出生数を115万4千人と見込んでいました。しかし、実際には3万3千人下回りました。

一方、総務省が先月発表した2004年10月1日現在の総人口は1億2768万7千人で、中位推計を5万人強上回りました。出生数が中位推計を下回ったのに人口が同推計より多かったのは、死亡者数が103万4千人(前年比1万3千人増)と、同推計より少なかったことが影響しました。

出生数、死亡数とも政府予想より少ない状況が続いていることから、少子高齢化の進行が政府の予測値より速くなっており、昨年施行されたばかりの新年金制度や医療・介護といった社会保障制度に大きな影響を及ぼしそうです。

(コメント)

出生はともかく、死亡者が予想より少ないということはめでたいことです。世間では人生80年と言っていますが、私は人生100年という計画でいた方がいいと思っています。

私の祖父母は、50歳で引退して60歳ころ死ぬだろうという人生設計だったのでしょう。予想外の長生き(祖父・76歳、祖母・81歳)に当人達は戸惑っていたような気がします。

超高齢社会の到来は避けられません。問題は後半の人生の質です。超高齢社会を楽しく生きるためのノウハウを先人達に蓄積していただき、我々後輩が参考にさせていただきたいものです。

<注>中位推計:国立社会保障・人口問題研究所は、年齢別の平均死亡率や出生率などに基づいて日本の将来人口についての3種の推計値を5年ごとに算出します。その中で真ん中の数値を中位推計と言います。高位、低位推計もありますが、年金、医療、介護といった社会保障制度の策定など、一般に政府や地方自治体が政策決定の際の基礎資料に用いるのは中位推計です。生命保険会社など民間企業なども利用しています。


[2005/03/29]  2地域居住

(ニュース)

国土交通省が人口30万人以上の都市住民1万人余りにアンケートをしたところ、1年のうち通算で1か月以上農村や山村で暮らす「2地域居住」をしている人は全体の2.5%であることが分かりました。全国では100万人に上るものと見られます。

将来について、「2地域居住をしてみたい」と答えた人は、年代別では50代が55.8%と最も多くなっており、国土交通省は、団塊の世代が定年退職を迎える数年後には、2地域居住への志向はさらに高まると予測しています。

国土交通省は「一過性の観光客とは異なり、こうしたライフスタイルを取る人が増えてゆけば、過疎に悩む地域の活性化にもつながる」として、農村や山村にある空き家の提供や、3連休を増やす柔軟な休暇制度の導入など、2地域居住を支援する具体的な方策を検討することにしています。

(コメント)

田舎の両親が高齢化し、都市部の子女が週末に両親と暮らすというパターンも多くなると予想されます。「ライフスタイル」ということだけではおさまらない高齢社会の一断面と見る余地があります。

とは言え、2地域居住が拡大することは、地域活性化にとって朗報ではあります。「住民」の要件についても再考する必要があります。住民税の負担をどうするのかを考えるべきです。第1居住地と第2居住地とで住民税を分け合う発想が求められます。

人の移動にも着目すべきです。民主党が主張する高速道路の無料化は、2地域居住に貢献する政策でもあります。


[2005/03/28]  政治家のホームページ

立候補予定者を含めた政治家のホームページを見て気付くことの第一点は、ほとんどの方が自分の顔を「表紙」に載せているということです。

これは至極当然のことで、政治家たる者、自分の顔を売らなければ有権者に自分を売り込むことができず、選挙を勝ち抜くことができないからです。

売名行為という言葉がありますが、こういうのは「売顔行為」というのでしょうか。

私の場合、天の邪鬼なので、わざと表紙に顔を出していません。「真理探究」ということを第一義として、「四国の星」というタイトルにこだわっています。

党本部が見たら、ふざけた野郎だなと思うでしょうが、もうしばらく表紙に顔をださないスタイルで行くつもりです。(顔が売れると気楽に街を歩けんじゃないか、などと言ったらひんしゅくを買うでしょうから、そうは言いません。)

「活動報告」はない。ひたすら意見ばかり書いているホームページ。民主党の候補(予定者)としては、劣等生の部類に属するであろうと自認しております。

誰も考え付かないことを考える。そういう自分をつくっていくことを目標としています。他の人と差別化できない政治家が1人増えても、どうということはないと思うものですから。

それにしても、ホームページのリニューアルが遅れています。謹んでお詫び申し上げます。


[2005/03/27]  五色姫復活祭

3月27日、第17回女性の祭典・五色姫復活祭(10時〜15時)。毎年3月の第4日曜日開催。

愛媛に春を呼ぶ伊予市の春祭り。平家の5人の美しい姫達が世をはかなんで海に身を投げ、赤・黄・緑・白・黒の五色の石になったという伝説(五色姫伝説。これが名勝・五色浜の由来)を基に、姫達の復活を祝う祭典です。

女性が主役のイベント。五色姫パレード、女性御輿かきくらべ、女性のど自慢、伊予市まちめぐり(伝統的な町家探索)など、様々なイベントが五色浜から商店街にかけて繰り広げられます。

このイベントに参加するようになって13年になりました。準備に95%の比重があります。雨天になるとイベント内容が変わってしまいます。五色姫が船に乗って街に繰り出す企画が面白いのですが、残念ながら姫達に歩いてもらわなければならなくなるかもしれません。

天気が心配です。昼からの降水確率80%。朧月夜の前夜。


[2005/03/26]  市町村合併と「民主化」

市町村合併は、自民党の「兵隊」がなくなることを意味します。自民党の自殺行為です。これは、国政選挙での自治体首長や議員の役割を考えればよく分かります。

加えて、開票の仕方が従来と変わることにより、自民党の締め付け効果がなくなります。これまで、各自治体は自治体ごとの開票結果により自民党の「先生」との関係が悪くなりはしないか、ハラハラドキドキしていました。それが、大きな自治体で一括して開票される結果、「有権者」として高みの見物ができるようになります。

地方における投票パターンが緩やかな都市型に移行することになる結果、政治風土が開放的になり、価値観の多様化も進んできます。

私は市町村合併に反対してきましたが、政治風土の変革という点ではプラスの面を認めざるを得ません。本来なら、従来の自治の枠組みの中で「民主化」をしていかなければならなかったはずなのに、自堕落な自治が横行し、「国策合併」に対抗するだけのねばりを欠く結果となってしまいました。

自治の破綻が市町村合併を促進することにつながり、結果として「民主化」という「果実」を生み出すことになります。無謀な太平洋戦争に突入したことで古い仕組みが破壊され、戦後の繁栄につながったのと似ています。


[2005/03/25]  十六字憲法

敵進我退(敵が進めば、我はしりぞく)
敵駐我攪(敵がとまれば、我はみだす)
敵疲我打(敵が疲れれば、我はうつ)
敵退我追(敵がしりぞけば、我は追う)

毛沢東は短い単語で文字の読めない農民たちにゲリラ戦術の極意を教えました。毛沢東が農民に示した有名な「十六字憲法」です。

「敵が進攻する姿勢を見せているときには退却せよ、敵が止まるときにはこれを攪乱せよ、敵が疲れたときは打って出よ、そして、敵が退却し始めたら追え」という意味。

このように、簡単明瞭な指示を出して、目的が達成できれば素晴らしいと思います。

政権交代に向けて、簡単かつ明瞭な政策を提示したいものです。別に、国民のレベルが低いわけではありませんが。


[2005/03/24]  疑わしきは警察官の利益に

(昨日の続き)

植草一秀氏有罪。罰金判決。

裁判官が警察官の話を信じるのか、被告人の抗弁に耳を傾けるのかが問われる裁判でした。

「現行犯」と聞くと、犯罪事実は明白と思われる方が多いでしょう。しかし、逮捕者=目撃者(本件の場合は警察官)の証言が信用できることが前提になります。

この事件、最初に聞いたときから逮捕に至る経緯が不自然であり、ストーリーがつくられているという印象を持ちました。そして、警察官が、ある人物が客観的に見て「李下に冠」状態にあるときに、「オイ、何をやってるんだ!」とやれば、誰でも犯罪者に仕立て上げられることになってしまうであろうとの危惧(きぐ)を感じました。

逮捕直後に自白を誘導する手口。冒頭陳述により予断と偏見で固めてしまった手法。どうも警察・検察が高尚であるとは思いがたい展開でした。

裁判官としては、被告人の「言い訳」に耳を貸すより、警察官の「証言」と「現行犯」としての逮捕手続きを重視する方が安全であったと思います。

疑わしさが残ったとして、「疑わしきは被告人の利益に」ではなく、「疑わしきは警察官の利益に」という、官が官をかばう図式に見えてしまいます。

念のために付言します。「真実」を問題にしているのではなく、このような手法が横行すると、「犯罪者」が容易に「生産」されてしまう危険があることを指摘しておきたいのです。


[2005/03/23]  植草一秀氏に関する週刊金曜日の記事

昨年、7月3日、8月31日の「一言」でも取り上げた経済評論家・植草一秀氏に関する事件を再び取り上げます。週刊金曜日no.549(3月18日号)で、植草氏のインタビューが掲載されています。

昨年4月、神奈川県警鉄道警察隊が横浜駅から尾行して、品川駅の昇りエスカレーターの途中で植草氏が手鏡でスカートの中を覗こうとしたとして、東京都迷惑防止条例違反で逮捕・勾留し、起訴した事件がありました。

1名の警察官の目撃証言が証拠。しかも、その証言内容が二転三転していると、傍聴した記者が書いています。

植草氏によれば、逮捕ではなく職務質問中の所持品検査で手鏡がでてきたもので、それを見て警察官が驚いていたということです。そうだとすると、「手鏡で云々」というのは想像ということになります。

植草氏はインタビューの中で、利益誘導に乗り、一旦「自白」した経緯について述べています。人間心理の弱点を上手く突いた誘導が行われています。

この事件で当初から不自然に思うのは、検察側の冒頭陳述が裁判官(そして社会)に対して予断と偏見を植え付けることを主目的としているのではないかと思われるほど、被告人の性癖や前科を暴露してきたことです。

立証の柱が、1人の警察官の証言しかないという弱さを自覚してのものだったのでしょうか。あるいは、「被告人」を社会的に葬り去ることを主目的としたようにも受け取れました。

警察・検察は、「犯罪者」を「製造」することができます。被告人の人権を擁護できるのは、弁護士と裁判官です。裁判官が砦となれるのかどうか。

3月23日、地裁判決。

(この文章は、日付の前夜に書いているので、判決後にまた論評したいと思います。)


[2005/03/22]  内野手

政治に関する議論をしていて時折感じる違和感。国会議員が上位で、その下に県議会議員がいて、さらにその下に市町村議員がいるという認識を前提として議論がなされることです。

これは、中央集権体制を前提とした発想です。国家が「機関車」であり、地方は機関車に引っ張られる「客車」であるという考え方が無意識の領域に刷り込まれているのでしょう。

地方主権型社会では、国民(住民)に一番近い市町村議員が最上位にあると考えて何の不思議もありません。市町村議員が最上位。県議会議員がその下座。国会議員は最下位。

ここまで言うつもりもありませんが、少なくとも、市町村議員は住民に近いところで地域の問題を守備範囲とする「内野手」、国会議員は外野へのフライや安打を処理して大量失点を防ぐ「外野手」であるというくらいのことは言ってもいいであろうと思います。

県議会議員? これがどうにもならないくらい中途半端な存在なのです。「中二階」と言ったらクレームが来るでしょうか。


[2005/03/21]  見て見ぬふり

(ニュース)

不良行為をしている少年を見かけた時、「見て見ぬふりをする」と答えた人が5割を超えることが、内閣府が3月19日公表した世論調査で明らかになりました。

「見知らぬ少年が喫煙しているのを発見したり、深夜に少年のグループが公園などに集まっているのを見つけた場合、どうしますか」との質問に「注意したいが、見て見ぬふりをする」との回答は54.0%に上り、01年11月の前回調査の49.8%より4ポイント以上増えています。「警察官に連絡する」が14.2%、「注意する」は11.5%でした。

見て見ぬふりをする理由については「少年に暴力を振るわれるおそれがあるから」が78.8%を占めました。

(コメント)

見て見ぬふりをするのが、処世術として妥当だと思います。

中学生・高校生にもなると、普通の大人では手に負えない存在になります。面識がないと、相手のことが分からず、どう対処して良いのかが難しいので、勢い乱暴な話になってしまいます。下手をすると注意した大人が犬死にしてしまうことも考えられます。

面識があって、平素ものを言っている相手だと、コミュニケーションが取りやすく、注意・指導が有効です。少年も素直に応じることが期待できます。

要するに、大人と少年とのコミュニケーションの問題です。地域コミュニティの輪を広げていくかどうかの問題でもあります。

大人が職業社会に閉じこもり、不良少年が不良少年だけの閉塞社会に生きていることの一断面が、「見て見ぬふり」という現象に表れています。

大人(特に男性)が地域社会で主人公となり、少年達と積極的に関わっていく努力をすることにより、お互いが顔の見える関係となり、それが非行抑止の防波堤となります。

「昔は怖いおじさんがいた」が今は・・という嘆きは、一定の努力を社会全体が行うことによって解消することができます。

変質者が横行し、「変なおじさんに話しかけられても無視しなさい」と教えられる昨今。うっかり子供に声も掛けられない状況ができあがっています。

私たちは、地域コミュニティを再生して、存在感のある「おじさん」になっていく努力をしなければなりません。ある日突然、単純明快な「昔のおじさん」に変身することはできないのです。

立て!万国のおじさんたち。連帯せよ!


[2005/03/20]  公務員の採用は40歳からでいい

これからの公務員採用は、40歳からでいいのではないでしょうか。社会的な体験を経て、公僕として働いてみたいと思う人がなれば、緊張感のある仕事ができると思います。60代で公務員になっても面白いでしょう。

これまで、公務員が一生の仕事ということが大前提となっていたこと自体を疑うべきです。国家や自治体、コミュニティーの事務を受任しているのが公務員であり、様々な経験をした後に職業として選ぶ方が、その職責を自覚しやすいし、全力投球もしやすいはずです。

40歳まではどうすればいいのでしょうか。様々な人生がありうるでしょう。世界を放浪していてもいいでしょう。海外で国際貢献をするという経験も貴重です。もちろん、一般企業で働く場合が多いでしょうし、起業したり、自営業をやるケースも想定されます。

若い人材を必要とする場合(例えば技術職)は、アウトソーシングすれば人材の調達が可能です。

公務員を人生後半の職業として位置付ければ、多様な人生を送ることが担保されます。人生二毛作三毛作を推進していくべきです。最初の職業選択で失敗しても、リターンマッチがある社会の方が、自由度が高いと思います。


[2005/03/19]  「地区」の地域づくり

16日の日経新聞で、倉敷市玉島地区のおかみさん会のことが紹介されていました。おかみさん会が独自の商品開発や起業支援を行い、地域づくりに取り組んでいます。

旧玉島市。昭和42年の合併で倉敷市西部の一地域となりました。現在でも倉敷市とは別の街区を形成しています。

人口は6万4千人。堂々たる「市」の人口ですが、「地区」であるが故に知名度が低下し、地域のイメージがつかみづらくなっています。

「玉島は北前船の昔から海産物や農産物などの集積地として繁盛してきた歴史がある。それなのに広域合併で倉敷市に入って以来、知名度がかなり低下してきた。白桃やアナゴ、シャコなど産物は多いのに、岡山市の人ですら知らないのではないか。町を全国発信して知名度を上げたいと、四十代の女性ばかりで2002年11月に旗揚げした・・・」と代表者は語ります。

「地区」でなにかやろうとすると、「市」は政府のような存在になるのではないでしょうか。平成の合併で「地区」となられる自治体の方々に警告しておきます。後から地域づくりをやろうとすると、10倍のエネルギーが必要です。

松山市三津浜地区にも地域づくり組織があります。かつて、伊予市のまちづくりグループとと交流会をしたことがありました。そのとき、松山市から「独立したい」という声も聞こえました。

温泉郡三津浜町。昭和15年、松山市と合併(編入)。


[2005/03/18]  あの事件を連想

(ニュース)

4人が死傷した東武伊勢崎線竹ノ塚駅の踏切事故で、業務上過失致死傷容疑で逮捕された同駅踏切保安係の容疑者が警視庁の調べに対し、「渋滞を緩和するために、普段から自分の判断でロックを解除して遮断機を上げていた。ほかの係員もやっていた」と供述していることが分かりました。

列車の通過本数が多く「開かずの踏切」になっているのを、少しでも解消するためだったということです。警視庁はこうした実態を東武鉄道本社の関係部署が黙認していた可能性もあるとみて調べています。

2003年の国土交通省調査によると、現場踏切はピーク時の1時間に59分間遮断機が下がった状態になる、都内でも有数の「開かずの踏切」でした。通行人から「遮断機が下りている時間が長すぎる」などという苦情が本社や駅に寄せられることもありました。

こうした状況の下、容疑者は自らの判断で通行人が渡れる時間を計算し、遮断機のロックを解除して操作していたとみられます。こうした内規を逸脱した運用は自分だけでなく、他の係員にも浸透していたと、容疑者は説明しているようです。

同社や同駅によると、遮断機のロックの解除には当務駅長の指示が必要で、保安係が勝手に操作することは禁じられていました。同社は「人命の危険がある場合は保安係の判断で遮断機を上げることはあり得る」とし、それ以外の場合に遮断機を上げることは「考えられない」としています。

(コメント)

1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の転換試験棟でウラン溶液製造中、核分裂の連鎖が続く臨界状態が発生、中性子線が放出される事故がありました。作業員2人が相次ぎ死亡。住民ら663人も被ばくし、国内原子力史上最悪の事故となりました。 

JCOでは事故当時、市販のステンレス製バケツにウランの粉末と硝酸水を入れ、スプーンのようなものでかき混ぜていました。バケツで沈殿槽に大量の溶液を一度に投入したとき、臨界状態が発生しました。

本来のマニュアルとは違うやり方が現場の慣行となっているケースです。現場の慣行となっているのは、それなりの合理性があるからでしょう。

しかし、現場慣行に盲点があり、それが惨事の引き金になるということは、事後的にしか分かりません。現在ある、各種の「慣行」の合理性を疑って掛かる必要があります。

私たちも日頃、車という「凶器」を使っていますが、何時しか教習所で習ったことを忘れ、「現場慣行」に従うようになってしまっています。

要反省。

政治の世界にも「現場慣行」が多くあり、発覚してから「しまった」ということが多いようです。


[2005/03/17]  宇和島市の映画館

四国西南部の中心都市、人口6万人の宇和島市(合併後は9万人余)。

宇和島市に映画館がなくなってしまったというニュースがありました。いわゆる「商圏」が数十キロに及ぶこの都市に映画館がなくなったということの意味は重大です。

都市とは何かという問題にも関係します。都市とは、人が出会い、集い、交流する場であり、様々な商品やサービスが提供される場です。

サービスの重要な要素に、エンターテインメント(娯楽、演芸)があります。この分野に魅力がなければ、若者の流出が起こります。

都市におけるエンターテインメントの重要な構成要素としての映画館の喪失は、その都市の中心性の喪失にもつながります。宇和島市が四国西南部(高知県にも及ぶ)の中心都市であるだけに、大きな損失です。

今後、郊外型の映画館ができるのかもしれませんから、即断はできませんが、できることなら、中心市街地に公設民営(でいいから)の映画館が復活して欲しいものです。

ちなみに、宇和島市の人口は激減しており、国立社会保障・人口問題研究所ホームページのデータベースを活用して現在と同一出生率で推移した場合に将来の宇和島市の人口がどうなるか調べたところ、50年後は3分の1、100年後(2100年まで推計可)は10分の1になるという予測でした。


[2005/03/16]  NHKの自立

(ニュース)

NHKの中山壮介理事は15日、NHKの2005年度予算案を審議する衆院総務委員会で、3月末に受信料の支払い拒否・保留が2月末の56万件から増えて、70万件に達する可能性があることを明らかにしました。

NHKは1月下旬時点では、3月末の不払い・保留を45万〜50万件と見込み、05年度の受信料収入を前年度比72億円減の6478億円としていたが、70万件分が未回収のままだと、さらに40億円減る見通しとなります。

(コメント)

任意の支払いで成り立つ受信料制度は限界です。東欧の社会主義国が崩壊したように、雪崩を打って制度崩壊に突き進む可能性もあります。

麻生総務大臣がいうような「罰則」は論外として、従来のあり方とは別の路線を考えるべき段階に達しました。

技術的には、受信料を支払えば視聴できるシステムは可能でしょうし、受信料+コマーシャルという手もあり得ます。

NHKが映像メディアとして持つ巨大な可能性に目を向けるべきです。予算審議でペコペコする必要などありません。自立の道を模索して欲しいものです。

NHKのファンとして、政治家に「御説明」したりするような情けない状態を是非とも脱していただきたいと思います。


[2005/03/15]  35道府県で人口減少

(ニュース)

総務省は14日、2004年10月1日現在の都道府県別と年齢別の推計人口を発表しました。35道府県で人口減少。死亡数が出生数を上回ったのは過去最高の24道県。65歳以上の老年人口(高齢者人口)の割合はすべての都道府県で上昇し、首都圏や関西圏など大都市部での増加率の伸びが目立っています。

年齢別人口でも、90歳以上が101万6000人と初めて100万人を突破しました。

総人口は1億2768万7000人。前年と比べた増加率は戦後最低の0.05%。都道府県別では秋田の0.72%減を最高に青森0.64%減、島根0.62%減と続き、増えたのは沖縄0.74%増、東京0.55%増、神奈川0.53%増など12都県にとどまっています。

老年人口の割合は島根の26.8%が最高で、30道県で20%超となるなど全都道府県で上昇。逆に、14歳以下の年少人口の割合は45道府県で低下し、老年人口より年少人口が多かったのは沖縄だけでした。

(コメント)

大半の道府県で人口減少の流れとなっています。このホームページでは、市町村合併問題、人口減少問題、高齢化問題について、しつこく追いかけています。

これからも人口が増えると思っている方が多いようです。目に見える現象として、まだまだ家が建っていますが、これは核家族化による世帯数の増加によるものです。

線引き廃止を求める声が各地で上がっています。しかし、人口減少が本格化すれば、世帯数の伸びも止まります。

人口が減少する以上、都市の拡大は抑えなければなりません。都市の無秩序な拡大は、社会基盤整備が後追いになることにより、非効率を生みます。財政の問題を考えても無理が出てきます。

今こそ、都市の戦線縮小を考えるべきときです。


[2005/03/14]  受刑者と農業体験

(ニュース)

政府は12日、受刑者の更生のための農作業体験を拡充していく方針を固めました。特に服役態度が良好な受刑者については、一般の農家に派遣して労務提供をします。過疎地域の農家を支援する狙いもあります。

2005年度から農業技術指導者の派遣など、法務省と農水省との協力をスタートさせ、刑務所周辺の農家との調整がつき次第、受刑者を派遣します。現在、鹿児島刑務所で実施に向けた周辺住民らとの調整作業が進んでいます。

刑務所での農作業は全国延べ15か所で行われています。今後、他の刑務所にも広げていく予定。現在は構内の園芸作業や、構外の専用施設での農耕作業、牧畜作業などを実施しています。

受刑者処遇への農作業の活用は、植物や生物を育成することにより情操教育に役立つとされています。農耕機械の運転技能や農業技術を習得することにより、出所後の職探しにもつながることが期待されます。

(コメント)

受刑者処遇の最終段階での話だろうと思います。人に危害を加えたり迷惑を掛ける可能性が小さいと判定された犯罪者には、最初から農作業体験をさせるべきです。

「ムショ帰り」のレッテルには厳しいものがあります。また、刑務所は犯罪手口を学習する「学校」としての側面もあります。

(逮捕→勾留→)起訴→判決に至る過程で、多くの犯罪者(初犯者)は後悔しています。更生可能性が高いのにわざわざ刑務所に入れることは不合理だと思います。


[2005/03/13]  198兆円

(朝日新聞のニュースより)

政府は11日の閣議で、05年版の「地方財政の状況(地方財政白書)」を決定した。地方自治体の03年度決算では、地方債の残高に交付税特別会計の借入金などを加えた地方の「借金」の総額は、年度末で198兆2802億円。前年度より5兆2000億円余り増え、過去最高水準を更新した。歳出入の規模は4年連続で縮小した。

地方の借金総額は、景気対策のための地方債の増発や、減税による減収を補うためなどに92年度末から急増。03年度は91年度の約2.8倍に膨らんだ。04年度決算はまだ出ていないが、予算からみると200兆円を超える見通しだ。

歳出総額は92兆5818億円で、前年度比2.4%減。公共事業費などの投資的経費が同12.4%、人件費が同1.8%減ったが、借金の返済に充てられる公債費は同0.9%増えた。

地方税や普通交付税など使い道が限定されず毎年入ってくる財源のうち、人件費や公債費など必ず支出しなければならない経費の割合を示す「経常収支比率」は89%(同1.3ポイント減)。過去最高を記録した前年から3年ぶりに減少に転じたものの、80%が目安とされる適正水準にはなお遠い状況だ。

(コメント)

地方の借金の多くは、景気対策の国策によるものです。地方自らの判断でつくった借金ではないのが悲しいところです。

10億円の箱物が1億円でできるからもうけものだというような感覚。後のランニングコストは思い至らず。このような地方自治を卒業しなければなりません。

全部地方に任す。地獄に堕ちる自由もあるよ、ということでやれば、地方の自立につながります。


[2005/03/12]  貸し付けろ(2)

豊かな社会の「小皇帝」にはお金が掛かります。取り分け、教育費の負担は大変です。

私は、子供自身に国(自治体)が貸し付けを行うべきだと思います。現物給付(教育クーポン券)も考慮に値します。

子供時代から借金を背負うことになります。それを自分自身の働きで返していくのです。返還は基本的な部分(高校まで)は任意とします。

「愛国心」などと無限定な概念を押しつけるより、社会に対して○○○○万円の借金があると考える方が具体的であり、腑に落ちやすいはずです。税金を払うことへの責任感も醸成できます。

「出世払い」だ。頑張れ子供達。と、いきたいところです。


[2005/03/11]  貸し付けろ

年金制度一元化の議論が進み、最低保障年金の額が具体的な問題になると、生活保護費との関係が気になります。生活保護費の方が年金より多くなることがあり得ます。

年金は正面玄関からの権利、生活保護は裏口からの権利だと思います。しかし、そういう風に言っても納得しない人がいます。

生活保護費は貸し付けにすべきです。いずれ生活が楽になったら返すことにするのです。催促はなし。

当然の権利として年金を受け取るのと、国(自治体)から借金をするのとは明らかに違いますから、不公平感は緩和されます。

生活のための已むを得ざる借金だ。いずれ返さなければならないという方が、緊張感が出てくるでしょう。


[2005/03/10]  陸軍記念日

100年前の3月10日は、日露戦争で奉天会戦があった日。後に陸軍記念日となる日です。

60年前の3月10日。東京大空襲。陸軍記念日と知ってアメリカがやったのでしょうか。


[2005/03/08〜10]  出張

東京2日と新居浜。


[2005/03/08]  道後独立運動

7日の愛媛新聞。「時代の轍(わだち)」という特集記事が印象に残りました。

戦時中の1944年に、道後温泉を擁し財政力豊かな道後湯之町が松山市に吸収されます。「戦力増強」のための国策合併でした。敗戦後3年経って合併に不満な道後の住民が独立運動を激しく展開しましたが、実現しませんでした。

記事の末尾に、「戦力増強」の意味を問う箇所があります。

道後在住の元県職員の答え。「国の意思が地方に通りやすくなりますよね。それと厳しい国家財政の効率化でしょう。」

有事における国家意思の貫徹と国家財政の効率化。国家の論理による自治の抹殺。平成の合併の本質も同じです。「有事」というファクターに要注意。

4年前に「平成の市町村合併に反対する国民会議」というホームページを立ち上げ、現在の「四国の星」に至っています。引き続き、平成の愚策・市町村合併問題を追い続けます。


[2005/03/07]  社会奉仕命令

コクド前会長・堤義明氏が実刑になるのかどうか、関心をよんでいます。

いわゆるホワイトカラー犯罪(政・財・官など社会において指導的地位にある人物が、その地位において行う犯罪)において、執行猶予が言い渡される例が数多くあり、不公平ではないかという批判が出ます。

かと言って、実刑というのも酷(むご)すぎるのではないかという気がする場合もあります。

実刑と執行猶予との間に天と地ほどの違いがあり、何故その違いが出たのかがよく分からないことに苛立(いらだ)ちを覚えます。

私は、社会奉仕命令という処分を正面から認めるべきだと思います。刑罰の一環として、社会奉仕活動を義務づけるのです。これは、少年犯罪には有効であると言われています。

刑務所や少年院に入っていたと言うこと自体が、社会復帰の重大な妨げになります。最初から自由な環境の中で社会奉仕をすることにより、前向きな更生が可能になる利点があります。

ホワイトカラー犯罪では、「この野郎」という社会の反発は強いものの、刑務所に入れたからどうということもありません。社会から隔離しないと他人に迷惑を掛けるという人物ではないのが一般であり、こういう場合は社会奉仕命令の方が有効であると思います。実刑か執行猶予かという断絶もなくなります。

ただし、社会の指導的立場にある人物としては、かなりの非難を加えられる必然性があり、応分の責任を自覚してもらわなければならないのですから、「社会奉仕」の程度も生半可なものでは困ります。

堤氏の場合であれば、残った財産のほとんどを社会に寄付し(常識的範囲内の老後資金を残す)、しかも一定期間奉仕活動を義務付けるというものを考えたいと思います。

意味合いからすれば、実刑よりきつい処分になります。本人に選ばせるのも一法です。


[2005/03/06]  倒産型合併

(朝日新聞のニュースより)

<合併協議9時間、「全国最速」で調印 佐世保と小佐々町>

長崎県佐世保市と小佐々(こさざ)町の合併調印式が5日、同市であった。2月18日に合併協議会を設立してから16日間。3回の協議、計9時間で決めた。合併特例法の期限を目前に別の合併話が破れた小佐々町が、市に救いを求めた。総務省合併推進課は「平成の大合併の中でも、おそらく全国最速だろう」と話す。合併期日は来年3月31日。

小佐々町は人口約7300人の漁業の町。05年度予算は基金12億円の半分近くを取り崩す見込みで、財政は危機的状況だ。隣町との合併協議を2年以上続けたが、新町名を巡って対立し、昨年12月に合併を断念。他の2町との合併が決まっていた佐世保市に今年1月、泣きついた。

市は当初「時間がない」と渋ったが、方針を転換。光武顕市長は「それぞれ別の合併協で協議した実績があり、短期間での合併も可能と判断した」と説明する。ある市議は「合併しても過疎債が使える小佐々町は魅力的。財政的に先細りの佐世保にも悪い話じゃなかった」。

「合併は編入方式」「町議は全員失職」など全33項目の話し合いは事務局案に沿って進んだ。小佐々町側の委員が異議を唱える場面はほとんどなかった。

久保田寛美町長は「行き場のなくなった我々を救ってもらい、本当にありがたい」と話した。

(コメント)

要は倒産。実質的な自治体倒産に伴う救済合併がこれからも行われるでしょう。

地方交付税が減少して、自治体財政はどこも火の車です。合併しか破綻回避の方法はないと判断する自治体がでてきても不思議はありません。

しかし、私はもう少しねばって欲しいと思います。自治体が存在することの意味を考えるべきです。屈服して「周辺部」になるのではなく、貧しくとも独自の自治を維持することはできないのかどうか。

首長の報酬を係長と同じにする。議員は無報酬。職員給与は半額・・・

これでも自治をやる意味はあります。その条件でもやろうという者が結集して、気概を持って取り組めば、自分達の自治を維持することの方が楽しいことに気付くはずです。

しくじって財政再建団体になってもいいじゃないか。この割り切りができれば、怖いものはありません。

鶏口となるも牛後となるなかれ。


[2005/03/05]  岡田克也・民主党代表来県

本日、岡田克也・民主党代表が来県します。

西条市2カ所(西条国際ホテルで集会、旧東予市の河原津干拓地視察と集会)を廻り、その後松山市で中村時広市長と懇談。

私は、午前中から西条市内を街宣し、午後集会に参加予定。4月予定の西条市議会議員選挙のテコ入れができればと思います。

代表が昨年の臨時党大会で全県を廻ると宣言したとき、物理的に無理ではないかとの声も聞かれました。しかし、ほぼ達成できる見込みが立ってきました。

今秋には、岡田代表あるいは党の大物を招いて県内(松山市?)で資金集めパーティーを行う予定です。

原則として政治活動報告をやらない方針の「一言」ですが、たまには広報に努めておきます。


[2005/03/04]  家憲

東京はなごり雪でした。

この間、コクド前会長・堤義明氏が証券取引法違反で逮捕されました。

彼が父親・堤康次郎氏から譲り受けた「家憲」に忠実であったことは有名です。時代の変遷の中で、家憲を遵守したことが堤家を没落させる原因となったのでしょう。

堤家の家憲が「制定」当初は合理的であったとしても、それはどうしても過去の時代的な背景を持つものであり、その限界を考慮した判断が求められるものだったはずです。

堤義明氏は人一倍経営に努力してきたのだと思います。しかし、コンプライアンス(法令遵守)の問題だけではなく、西武グループの中央集権システムの限界をも露呈した今回の事件は、彼の根本的なところでの思考停止が招いたものであるとも言えます。

国の憲法を考える上でも参考になる事案です。


[2005/03/01-2]  4日まで上京

この3日間に伯父と叔父を亡くしました。通夜、葬儀。


[2005/03/01]  あさかぜ

(毎日新聞のニュースより)

元祖ブルートレインとして一世を風靡(ふうび)した寝台特急「あさかぜ」の最終列車が28日午後7時、乗客370人と昭和の旅情を乗せてJR東京駅から本州最西端の下関駅に出発した。

3月1日のダイヤ改正に伴い、48年の歴史の幕を閉じる。東京駅10番ホームにはカメラ片手の鉄道ファンや、帰宅途中の会社員ら約1000人が詰めかけた。客車を4両増やし、13両編成となったかつての花形列車は「ありがとう」「さようなら」の声に見送られ、「ピーッ」と汽笛を響かせホームを離れた。

「あさかぜ」は1956年に東京と九州を結ぶ戦後初の寝台特急として登場した。豪華な設備と青く塗った20系客車をけん引したことからブルトレの愛称で親しまれ、高度経済成長を支えた。

約1時間前の午後6時3分には、2番目に古いブルトレ「さくら」が佐賀県鳥栖へ最後の旅路に出発した。車両を保有するJR西日本は電気機関車を除き、両列車とも解体処分する。

(コメント)

雑誌とつまみとビールを買って列車に乗り込む。寝台脇通路の座席で夜景を見ながらビールを飲む。

長い夜。寝台特急の旅は自分自身との対話の時間を提供してくれました。いつの間にか、そういう移動方法を忘れていました。

飛行機が当たり前になり、豊かな移動時間を楽しめなくなってしまいました。

所用で上京します。飛行機です。そう言えば、禁酒中だった。


玉井彰の一言 2005年3月 四国の星ホーム前月翌月