玉井彰の一言 2005年10月 | 四国の星ホーム/前月|翌月 |
[2005/10/31] 上に政策あれば、下に対策あり
中国には、「上に政策あれば、下に対策あり」という諺(ことわざ)があると言われます。
中国の人民は、歴代の専制政治のなかで、ときには反乱を起こしましたが、平時においては現実的な対応をして生き残ってきました。
国家が政策を出したとき、人民や企業はその政策に文字通り違背することはせず、知恵を使って実質的にその政策による影響を受けないようにします。
自公政権による圧政がしばらく続きますが、国民の皆さんには来るべき日まで、よりよい「対策」でしのいでいただきたいと思います。
とりわけ、切り捨てられていくことが確実な地方において、現場の「対策」が極めて重要になってきます。
「対策」では無理だとなったら、決断をしていただかなければなりません。
[2005/10/30] 王シフト
王貞治ソフトバンク監督、即ち巨人の王選手の一本足打法に対抗して、相手チームが「王シフト」を敷いたことを御記憶の方も多いでしょう。
左バッター王貞治の打球がセンターラインより右に飛ぶことがほとんどであることを前提に、左翼を大きく開ける戦術を採用したのです。
左に流せばヒットの確立が極めて高かったのですが、王という不世出の大打者は自己の打撃スタイルを押し通し、右翼の頭上を越える打球(ホームラン)を打ち続けました。
さて現在の政局。前原民主党がセンターラインより右にシフトを取ると、左翼に大きな隙間が生じます。
「左翼」は漸減すると読むのか、第三極を構築する余地が出てきたと読むのか。
王シフト状態の布陣で政権交代が可能なのかどうか。格差拡大型社会が到来する中で、時代のニーズはセンターレフトではないのでしょうか。
「左中間」が空いています。
[2005/10/29] 連合茨城の定期大会
(ニュース・朝日新聞地方版より)
結果として連合の組織丸抱えになっている――28日に開かれた連合茨城の定期大会で、石井武会長が民主党県連の総選挙について厳しい発言をした。民主党は県内では小選挙区で1議席獲得のみとなり、石井会長は支持基盤強化と連合からの自立を求めたが、民主党県連の長谷川修平幹事長は「今後とも一緒に」と連帯を強調した。
石井会長は「国政選挙だけでなく、県内のあらゆる議会選挙で結果を恐れず候補者を擁立することは、支持基盤を広げるために絶対必要」と指摘。民主党の前原代表が労組に対し「是々非々」の姿勢を強調していることを「こだわらない。民主党がもっと広く多くの国民へ支持拡大を図るなら労組依存を改めなければ」と語った。
これに対し、長谷川氏は「前原代表になって『脱労組宣言』のようなことを報道されているが、私どもはそうは考えていない。県連はこれからも連合茨城と議論し、一緒に行動していきたい」とあいさつした。(コメント)
一瞬、あべこべかと思い、読み直しました。
連合茨城の石井会長の言われるとおりです。民主党が自立した政党になれるかどうか、ここが問われています。
[2005/10/28] 地方議員の年金
(朝日新聞より)
市議と町村議が加入している年金共済会の積立金が、どちらも08年度に枯渇する見通しであることが明らかになった。都道府県議会、市議会、町村議会の3議員共済会による研究会が報告書をまとめた。合併などで議員の定数が減る一方、年金受給者が増えたためで、このままだと制度が破綻(はたん)する。国会議員の年金は来春に廃止する方向が固まったが、地方議員の年金制度改革を担当する総務省の検討会は、掛け金率の引き上げなど制度存続を前提に対策を検討している。
地方議員の年金制度は都道府県議、市議、町村議の3共済会に分かれて運営されている。いずれも1962年に地方公務員共済組合法に基づいて強制加入の共済会となり、72年に自治体による公費負担を導入した。
在任12年で年金の受給資格が得られ、原則65歳から支給。3年以上12年未満だと退職一時金が支払われる。年金の原資に占める公費負担の割合は現在、3共済会とも約4割となっている。
研究会のまとめによると、都道府県議と町村議の共済会は95年度から、市議の共済会は99年度から単年度赤字が続き、積立金を取り崩して穴埋めしてきた。
市議の共済会は遺族年金も含めた受給者(04年度)が3万7890人で、制度の支え手である現職議員の1.6倍。町村議は5万2892人で現職議員の1.9倍。3445人で現職議員の1.2倍の都道府県議よりどちらも支え手の割合が少なく、市町村議の共済会の積立金は現行制度のままだと3年後に枯渇する見通しだ。都道府県議も14年後に枯渇する。
90年代後半から自治体の行革に合わせて議員定数の削減が進み、高齢化で受給者が増加したほか、低金利で各共済会の資金の運用益も減少。さらに平成の大合併が財政悪化に拍車をかけた。
合併が進んだ04年度、町村議は03年度より8726人減ったが、受給者は2094人しか減らなかった。合併で市になった旧町村の議員が市議の共済会に移ったため、市議は4287人増えたが、受給者も7683人増えた。合併がピークを迎えた05年度はこの差がさらに開く。市議の共済会の05年度収支は、04年度の約3.5倍に当たる約211億円の赤字となり、その後数年間は赤字幅が膨らみ続ける見通しだ。
こうした見通しをふまえ、研究会の報告書では、掛け金率の引き上げ▽受給者への給付額の引き下げ▽地方議員年金の一元的な運用――などの検討が必要だと指摘している。
共済会の関係者からは「国会議員年金の廃止の流れが出てきた今、地方議員の年金の存続がどれだけ世間の理解を得られるか心配だ」という声もあがっている。
(コメント)
国会議員と同様、廃止せよとの世論がでてくるでしょう。
それはそれで、議員が「不当利得」を得ていないことをアピールすることで、地方自治における住民の「たかり根性」を撲滅する布石にはなります。
存続を前提として、提案。3期で辞めれば一定額の年金を支給します。それを超えると、1期続ける毎に支給額2割削減。6期務めると、年金額が約半分になります。
議員の新陳代謝が進む可能性がでて、自治が活性化します。
[2005/10/27] 「まちづくり3法」改正案を了承・自民調査会
(ニュース)
自民党中心市街地再活性化調査会(中曽根弘文会長)は27日昼の会合で、中心市街地の衰退を防ぐ「まちづくり3法」改正案の骨格を了承しました。大型商業施設の郊外への出店規制や、病院や福祉施設の立地を許可制に改めることなどが柱となっています。急速な高齢化や人口減少を受け、中心市街地に都市機能を集約することで活性化を促します。同調査会は11月末にも最終案をとりまとめ、来年の通常国会での成立を目指すことを確認しました。
(コメント)
都市の拡大は、都市の魅力を拡散し、利便性を損なうとともに、余分な行政上の経費が掛かります。都市機能を集約して、密度の濃い都市をつくる必要があります。
地方小都市であれば、半径300m以内に都市機能を集約し、高齢社会対応型の歩いて暮らせるまちづくりを推進する必要があります。
周辺地域住民を納得させることが政治的には困難ですけれども、これをやり切り、キラリと光る魅力ある街区をつくることで、定住人口の減少を食い止め、交流人口を増やし、産業振興にもつなげていくべきです。
[2005/10/26] 福島県の商業まちづくり条例
(13日のニュースより)
大型店の出店規制につながる全国初の県条例「商業まちづくり条例」案が13日、福島県議会で全会一致で可決されました。来年10月1日施行。中心市街地の空洞化に歯止めをかけるため、県が、郊外への出店を計画する大型店(売り場面積6000平方メートル以上)について、市町村などの意見を聴き、地域の商店街に影響がある場合、計画見直しを求めるという内容です。
中心市街地の衰退は全国の地方都市共通の悩み。条例案には他県からの問い合わせが相次いでいますが、小売業界などは「規制緩和の動きに反する」と反発しています。
提案した佐藤栄佐久知事は青年会議所出身。県内各地で進む中心市街地の空洞化を憂え、2001年、条例づくりに着手しました。
1998年以降、相次いで施行された「まちづくり3法」(大規模小売店舗立地法、改正都市計画法、中心市街地活性化法)は、用途地域を定めることで中心地への出店を規制する手法を導入し、郊外への出店に拍車をかける結果になりました。2000年に約200件だった全国の大型店(1000平方メートル超)の新設届け出件数は年々増加、03、04年はいずれも700件を超えています。
佐藤知事は「法に問題があって身動きできずにいたが、今後は積極的に動ける。出店するなら中心市街地にして欲しい。憲法違反などの批判もあるが、専門家の意見を聴いており、条例に法的問題はない」と話しています。
出店規制の動きに、業界は反発。「憲法違反のおそれがある。国の経済にもいい影響はない」。スーパー最大手イオンの岡田元也社長は4日、都内で開かれた中間決算発表の席で不快感をあらわにしました。
60年代に急成長した総合スーパー(GMS)は小規模小売店の脅威だとして74年から大規模小売店舗法(大店法)の規制を受け、イオンは90年までの新規開店が年平均7店ほどに落ち込みました。
その間、大店法対象外の衣料品や家電の専門店が幹線道路沿いに拡大。品ぞろえを充実させて台頭し、相対的にGMSの売り上げは落ち込みました。ダイエーは9月末までに全国で55店舗を閉鎖することを公表。イトーヨーカ堂も09年までに30店強を閉鎖する方針です。
こうした中で大手スーパーは郊外志向をさらに強めています。イトーヨーカ堂が千葉市に今春開業させたショッピングセンター(SC)は店舗面積3万4000平方メートルと国内最大級。イオンら大手はSCを建設するディベロッパー事業も手がけて高収益を上げています。
自治体の反発もあります。イオンの系列店が出店を計画する福島県伊達町の冨田健一郎町長は「郊外型の大型店を規制したら中心市街地に活気が戻るなんて夢物語。仙台や東京に流れる客を引き留めるためにも魅力ある店が必要だ」と語ります。
規制緩和を進めてきた経済産業省の幹部は、条例について「地域の特性に合わせて街づくりを進めるための動きとしては評価するが、一律に規制を強めるなら問題があるのでは」と話しています。
ただ中心部の空洞化は問題視しており、経産省などは審議会の場で「まちづくり3法」の見直しを進めています。人口減少が進むなか、中心部に商業施設や福祉施設を集中させてコンパクトな街づくりが進められるよう、中心市街地活性化法を改正する方針です。
(コメント)
車で移動できる人にとって、郊外型総合スーパーは大変便利な存在です。消費者がこれを支持していると言ってもいいでしょう。
しかし、それが未来に大きな負担を残すことになるという意味では、気持ちよくエアコンを使うことが環境破壊の原因になるのと似ています。
一度手にした便利な生活スタイルを抑制するのは大変なことですが、持続可能な繁栄のための社会的な合意と考えるべきだと思います。
[2005/10/25] 机と椅子
少子高齢社会においては、60歳から75歳までの方々を「現役」として戦力化する必要があります。「ボランティア公務員」として社会に役立ってもらいたいと思います。
そこで必要とされるのは、机と椅子です。朝起きて、現役世代と同じように「出勤」する場所、即ち、居場所が必要となります。
社会に役立っているという満足感とプライド、それが活力の素になります。街中に場所を提供できれば、街中の賑わいも出てきます。
[2005/10/24] 地力
参院神奈川選挙区補選で自公が勝利。投票率32.75%。川口氏(自公)115万票対牧山氏(民主)77万票。
これが双方の地力だと思います。そして、真面目な有権者が3人に1人。
戸別訪問の解禁、選挙期間中のインターネット利用の合法化と選挙期間の延長が必要です。手も足も縛る選挙制度には大きな問題があります。
[2005/10/23] 民主党リストラ案
(毎日新聞ニュース)
民主党は21日、党本部から各選挙区支部に支給する現職議員への活動費について、来年度から2割削減する方向で検討に入った。あわせて党職員の給与に能力給を導入することも検討対象とする。衆院選惨敗で政党交付金が大幅減となることを受けたリストラ策の一環だが、党内の反発も予想される。
同党の来年の政党交付金は約20億円減の約120億円になる見通し。現在、現職議員のいる支部には年間1000万円を支給しているが、「背に腹は代えられない」(幹部)と削減検討に着手。次期衆院選の立候補予定者を抱える支部への交付金(月額最高100万円)の減額も検討する。
(コメント)
リストラは必要です。落選者の総支部を合併させ、それぞれの候補内定者(総支部長)が互いの補佐役として頑張れば、活動費は半額以下になります。大都市部の総支部は、10程度の総支部を合併させても充分活動できます。
それよりも考えなければならないのは、自民党の強い地域を攻略するための地域戦略です。次回は大都市部で挽回できるでしょうが、民主党が勝ちやすい所は自民党も勝ちやすいのです。
自民党の岩盤をくり抜く作業が必要です。
[2005/10/22] 除名
(ニュース)
自民党党紀委員会は21日、通常国会で郵政民営化法案に反対票を投じた衆参両院議員59人のうち国民新党、新党日本に移った綿貫民輔前衆院議長、亀井静香元政調会長ら9人の離党届を受理せず、同日付で除名処分にすることを決めました。残り50人の処分は28日に決定。
党則上、処分は(1)除名(2)離党勧告(3)党員資格停止(4)選挙での非公認(5)国会・政府の役職の辞任勧告(6)党の役職停止(7)戒告(8)党則順守勧告があります。
除名や離党勧告を受けても、党則上は党紀委員会の審査を経れば復党することもできます。除名処分を受けて復党した国会議員は89年以降13人おり、うち現職は6人いるということです。
森山真弓党紀委員長は21日の記者会見で、残りの50人の処分について、特別国会に再提出された郵政法案への対応を勘案するとの見通しを示しました。
処分を受けた国民新党の綿貫代表は記者団に「自民党という政党には潤いも何もない。戦国時代みたいに殺し合い、またこのように罪人扱い。良識ある国民がどう判断するか」と述べています。
(コメント)
近代政党としては当たり前の処分です。2003年総選挙の公約に銘記した「郵政民営化」であり、小泉総裁の唯一とも言える政策に反対しておいて、緩やかな処分を期待する方が間違っています。
多くの方が違和感を持つのは、従来の自民党がある種のフランチャイズであり、「個別資本」が「商号使用権」を取得して「地域内営業」をするスタイルでやってきたからです。
中選挙区時代には、「保守系無所属候補」が公認候補を破り、当選後正式に「入党」する形で新陳代謝が行われていました。
また、党本部の公約とは正反対の公約を個別候補が叫んでも、自民党が政権を維持するための方便として許されてきました。今回の処分は、小選挙区制度の下、党本部の力が絶対化したことを象徴する出来事です。
ただし中長期的に見て、後々「除名」が勲章になることもあり得るのが政治の世界です。
[2005/10/21] 杉村太蔵衆議院議員
「料亭に行きたい」などの迷言で一躍有名になった自民党衆議院議員(比例南関東ブロック)・杉村太蔵氏。
彼を追いかけるマスコミのレベルは論外ですが、当選の努力をせず、偶然に国会議員になるということは決して悪いことではないと思います。
いっそのこと、検察審査員のように抽選で国会議員を選任した方が、国会に社会の常識を吹き込み、「プロ国会議員」を監視する意味合いが出ていいのではないでしょうか。
杉村氏がこれからの任期をどうすごすか分かりませんが、ある意味で活躍が期待される議員です。
[2005/10/20] 総理大臣が自らの人権を主張
民主党・前原代表と小泉総理との党首討論。靖国参拝問題について小泉氏は、「靖国神社の参拝は憲法で保障されている……。『思想及び良心の自由は、これを侵してはならない』と憲法19条に書いてある。総理大臣である小泉純一郎が、一国民として参拝する。それがどうしていけないのか。私は理解できない」と発言しました。
個人の自由を念頭に置いた発言ですが、総理大臣の公用車を使い、SPを配置して、テレビの前で行った参拝は個人のものではありません。憲法を持ち出すのなら、20条3項の政教分離を念頭に置く必要があります。バランスを失した言動です。
総理大臣は公人中の公人であり、公私の区別が難しいということはさておいても、権力者が自らの人権を声高に語る時点で政治家失格です。
もし小泉氏が報道機関に内緒で、タクシーを拾って、たった1人で賽銭を投げてお参りしたのなら、私は見て見ぬふりをしたいと思います。
[2005/10/19] 「確かな野党」
「確かな野党」を掲げた共産党が今回の総選挙で踏みとどまりました。同党は肯定的な総括をしています。
一定数の不満分子を糾合(きゅうごう)する意味では有効なスローガンですが、建設的な意味合いはありません。かつて「民主連合政府」を目指していたことからすると大きな後退です。
現実的な対応という面はあります。しかし、政権を取って国民を幸せにすることが政党の存在意義であり、それが現実的に不可能であるのなら、戦略の抜本的な見直しが必要です。
同党を支える良心的な方々の思いとは裏腹に、政権交代を困難にするハードルの役割しか果たしていないことを残念に思います。
[2005/10/18] 権力者が美しく見える病気
独裁政権やカルト宗教では、大衆に異常心理が働くようです。権力者を崇め、権力者の行動を美化していく作業が加速していきます。果ては、権力者の美点だけが強調され、権力者に気に入られるための競争がおこります。
権力者が美しく見える病気です。現在のマスコミがこの病に侵(おか)されています。治りにくい病気のようです。治ったときに生じる後悔の念も甚だしいようです。
戦前・戦中の体験から学んだはずですが、60年の歳月とはそういうものなのでしょうか。
[2005/10/17] 靖国参拝
小泉総理の靖国参拝。馬鹿馬鹿しいという領域を超えています。
靖国問題は国内問題です。しかし、他国を巻き込んだ過去の不幸な歴史を真摯に振り返るならば、軽率な参拝は百害あって一利なしと考えるべきです。地下の英霊達が喜ぶこともないでしょう。
自虐だ、外国の反発だという前に、内省的歴史認識を持った判断が必要です。「日韓併合」の歴史や日中戦争があったことすら知らない人が多くなった昨今、ファシズムが新たな装いでやってくる雰囲気が生まれています。マスコミが権力迎合路線、政治家の転向が相次ぐ状況。
内閣総理大臣が自分の美意識だけで行動することの弊害を認識すべきです。ヒトラーが自己の美意識のために国民を犠牲にしたのと同じような風景に見えます。
この馬鹿には、何を言っても無駄でしょうが。
[2005/10/16] 対案よりカウンターパンチ
前原民主党の「対案路線」に対して党内から批判の声が上がっているようです。
巨大与党の前で対案を出しても無力であることはさておいても、「対案」に要するエネルギーを別の方向に使う方が合理的だと思います。9月29日の「一言」でも述べたように、「対案がない」という挑発に乗るべきではないと思います。
「対案」となると、更地に家を建てる作業になりますが、これは官僚が情報を独占している現状では徒労に近い作業になる可能性があります。細目にわたる検討が必要な事項については、大綱を明示すれば足りるはずです。
野党は、与党提案の矛盾を鋭く指摘して国民の前に示すのが仕事です。立ち往生した政府が「対案を示せ」という台詞を吐いたとき、与党とは違う枠組みを提示すればそれでいいのではないでしょうか。そこから先は、政権を取ってからの宿題です。
前原民主党が小泉政権に強力なカウンターパンチを見舞うシーンを期待します。
[2005/10/15] 「ヒトラー最期の12日間」
ドイツ映画・「ヒトラー最期の12日間」を見ました。
敗戦確実の情況下でのヒトラーおよびその周辺の人間模様が秘書の目を通してリアルに描かれています。
ゲッペルスとヒトラーがそれぞれ、悲惨な状態にある国民に同情する必要を認めず、この状況は誰が強制したのでもなく、(ナチス政権を)国民が選択したことの結果であるという主旨の発言をしていたことが印象的でした。
今回の総選挙では、「コイズミ」に熱狂した有権者が「痛み」という配当を手にするでしょう。ナチスドイツの場合と相似形をなす話だと思います。
[2004/10/14] 5イニングの野球
総選挙直後新聞に掲載された、なだいなだ氏の論評になるほどと思い当たりました。
野球は9回あるから終盤にドラマがあるが、5回の野球ではドラマが起こりにくい。国の将来を左右する選挙の期間をもっと長くすれば、「郵政」だけで押し切ることは難しくなり、それ以外の論点についても議論せざるを得なくなったはずであり、ドラマがあり得た。こういう概要だったと記憶しています。
私の経験でも、衆院選12日間(参院選は17日)では短いと思います。1ヶ月くらいでどうでしょうか。
資金がもたんかな。いや、事前に金が掛かるから同じかな?
[2005/10/13] 「団塊党」
<菅直人氏のHP(10/13)より>
「団塊党」の結成を考えている。「党」といっても通常の政党ではなく、一種の社会運動体だ。戦後ベビーブーム時代に毎年200万人近く生まれた団塊世代も還暦間近。大量退職の時期を迎えているが、その潜在的エネルギーは極めて大きい。この団塊世代を中心に、各種の社会活動に参加する場を創る社会運動として「団塊党」を構想している。
(コメント)
この構想に興味があります。この年代の経験とパワーを活かすことにより、社会が活気あるものになるのではないでしょうか。
堺屋太一著「エキスペリエンツ 団塊の7人」(日本経済新聞社)を読んでいます。団塊の世代が商店街再生に取り組むお話。
[2005/10/12] 地方における教育の重要性
高度成長期に地方は、都市部に人材を供出しました。親が財産分けの代わりに教育を受けさせた次男、三男達が都市部に定住しました。
そして今回の総選挙で、次男三男達(の子供達)が「地方への仕送り」を拒否する投票行動に出ました。過去の人材供出の対価として地方重視策を求めることが政治的に難しくなってきました。
これまでの地方は、それほど勉強していない親世代、祖父母世代が地方重視政策のお陰で安定した人生を過ごすことができる状態にありました。しかし、これからの子供達はそうはいかないのではないでしょうか。
地方では都市部より、教育に力を入れていかなければなりません。「月月火水木金金」というくらいで、やっと都市部に対抗できると考えるべきです。
嫌なことを言う奴だとお思いでしょうが。
[2005/10/11] 勘違い
村上龍氏が発行しているメルマガ・JMM、9月19日号で「今回の総選挙の結果は、日本経済にどういう影響を与えるのでしょうか。」という問が発せられ、専門家諸氏が回答されていました。その中で、山崎元氏(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)の回答が目を引きました。一部抜粋します。
<・・・今回の選挙結果は、国民による、現在の官僚機構への信任を通じた、「現状維持」の選択であり、従って日本経済もさしたる影響を受けないという大局認識で良いと考えます。「官僚機構を信任したつもりなどない」と思う有権者が多いでしょうが、自民党圧勝の実質的な効果はそういうことだと思います。
開票当日のある選挙報道番組に寄せられた視聴者の女性のメールが記憶に残っています。「私は、郵政民営化には賛成なので今回は小泉さんの自民党に投票しましたが、年金問題やイラク問題、拉致問題などについて、小泉さんの政策を支持している訳ではありません。小泉さんには、この大勝で全てが支持されたという勘違いをしないで欲しいと思います」という内容でした。
しかし、読者もお気づきでしょうが、「勘違い」をしたのは、この女性のような有権者の方でしょう。郵政民営化とその他の諸問題について、後者が重要だと思うなら、投票行動自体をもっと考えるべきだったということです。「これが争点だ」と言われたものを本当に争点だと思わなければいけないと信じるようでは、人間らしい判断力を発揮しているとはいえません。・・・>(コメント)
我が国の民主主義が発展する過程で経験しなければならなかった選挙だったと思います。「自分はそんなつもりではなかった」などという甘い考えは捨てるべきです。
中央集権の政治、霞ヶ関主導の政治が承認され、個人間、地域間での格差拡大が是認された選挙でもありました。「勝ち組」が勝ち続ける仕組みが整備されていきます。
もちろん野党がいます。民主党も票を減らしたわけではありません。有権者の「真意」を推し量り、政権与党に対峙するのが野党です。
[2005/10/10] 飲酒解禁
「政権交代まで禁酒」を宣言しておりましたが、今回の総選挙を契機として飲酒解禁ということにいたしました。
妻の前で解禁ということに決めていました。勝利の美酒でもないのに、2年ぶりの酒はうまかった。
理由は後日(詳しくは語りませんけれども)。
[2005/10/09] ストック
今回の総選挙では、大都市部では地方斬り捨て路線が支持され、地方でもその路線に異議なしとの選挙結果になってしまいました。
地方でも、高知県のような気風の所では、地方切り捨てへの不満の声がある程度の票になって出ていました。しかし、愛媛の場合はそれほどの不満票が出ませんでした。
これまでの経済活動によるストックが地方にはあります。まだまだ現体制にしがみつく方がリスクが小さいと判断されるのだろうと思います。
[2005/10/08] 民主党のリストラ
大幅に議席を減らした民主党は、リストラが必至の状況です。
まず、総支部体制の変更。複数の「総支部」(=国政選挙立候補予定者の支部)を統合し、各総支部長(予定候補)が事務所の共同経営を行い、お互いに秘書の役目を背負い合うシステムを構築すべきです。大都市部の場合であれば、10〜20の総支部の共同オフィスで十分です。
県連のあり方。民主党の場合、「県連」とは総支部の上に立つ組織ではなく、総支部の連合体を意味します。総支部が欠け、あるいは統合されるとすれば、県連がこれまで以上の負担を背負わなければなりません。県連職員については、希望退職を募りスリム化した上で、将来国政あるいは地方政治を担える人材に職場を提供する仕組みに切り替える必要があります。
[2005/10/07] 大勝の付け
自民党が大勝したことで、自民党にとって「郵政後」が難しくなってきました。「改革」が幻想だったと分かったときの反動がどうなるのかを計算しておく必要があります。大きな「付け」が残ったということです。
その点で、前原民主党が「改革競争」を訴えるのは適切であると思います。「改革」で後ろから煽り、従来やれなかったことをやらせる。小泉流「改革」に大きな壁があることが分かれば、それが政権交代の根拠となります。
小沢一郎氏は自民党との違いを明確に出した方がいいという意見のようです。ある段階からは、「違い」を明確に出して行くべきでしょうが、現段階では前原代表の路線でいいと思います。
[2005/10/06] 社民・共産の生き残り
今回の総選挙で自民党の大勝、民主党の惨敗がクローズアップされていますが、社民・共産が現状維持を果たしたということが後々大きな意味を持ってくるでしょう。
自民と民主の関係は、小選挙区制度を採用する限り想定の範囲内の話です。しかし、二大政党制が現実化すれば議席消滅の可能性もあった両党が生き残ったことで、政権交代が難しい構造が継続することになりました。
本来なら根本的に戦略を転換しなければならないはずの両党ですが、「国民の支持が得られた」と総括することで、問題の先送りが可能になりました。
民主党が郵政民営化の土俵に乗り自民党と対決しなかったことが原因です。
[2005/10/05] 地域競争型社会
分権国家を前提として、各地域(ブロック)が政治・政策を競うことにより、よりよい政治・政策が生き残り、それが他の地域を引っ張って国全体が発展する仕組みが必要です。
国(霞ヶ関)が政策を立案して補助制度をつくり、国の政策カタログから地方が必要なものを選んで申し込むという方法では、大きな無駄が発生します。霞ヶ関への陳情、与党政治家の仲介を経て補助金を獲得できたとして、地域にとって有効な施策とはならないケースが大半です。
地方が権限と財源を持ち、自らが練り上げた施策を実施する。そして他の地域との競争により、その優劣を競う形にして、客観的な評価が下るようにすればいいのです。
霞ヶ関のカタログ販売からの脱却と地域間競争。これが地方発展のための決め手です。
[2005/10/04] 中央集権では均衡ある発展は無理
「国土の均衡ある発展」は、中央集権のシステムの中で達成されていました。しかし、国家財政が危機に瀕した今、地方を重視する施策は困難となりました。
中央集権国家と対峙する「分権国家」を目指すことにより、国土の均衡ある発展を実現する必要があります。
即ち、権限・財源・人材を地方が獲得して、地方が自らグランドデザインを描くことができるシステムを構築すべきです。
[2005/10/03] 国土の均衡ある発展
かつて自民党は、「国土の均衡ある発展」の理念を掲げた地方重視の政党でした。即ち、この国のどの地域にいても、等しく豊かさを享受することができる政治を目指していました。
近年実質的にこの理念を放棄していた自民党でしたが、「小泉自民党」は、明確にこの理念を放棄し、大都市中心の政治を行うことにしました。そのことの表現が「郵政民営化」であり、「改革を止めるな」という選挙スローガンでした。
[2005/10/02] 単純小選挙区制
比例復活はおかしいという声が強くなっているようです。世論誘導のにおいもします。国会議員の定数削減にむけての道筋を付けたいということなのでしょう。
単純小選挙区制という話も出てくる可能性があります。公明党は反対するでしょうが、民主党は反対しづらいので成立することになります。
自公の融合合体ぶりからすると不可能な話のようですけれども、自民・民主の大連立による憲法改正という構想を含めて、政治が大きく動く可能性を秘めています。
[2005/10/01] 侮り
小泉純一郎氏への侮り。これが民主党にあったと思います。私もそうでした。四文字熟語を覚えて連呼するのが精一杯。政策は分からない・・・
この人物にやられたわけです。「政局」ないしは権力闘争に特化した政治家。その背景には、周到な広報戦略もあったということが月刊現代11月号で明らかにされています。
従来の総理大臣は、演出不足で実力相応の評価を得られなかったという面があると思います。今回だけが特殊であると考えると大怪我をします。
猿でも演出すれば、「総理」の風格を漂わすことが可能です。様々な演出を駆使して、次期リーダーが選挙を行ってくるでしょう。
頭の良いリーダーより喧嘩(選挙)に強いリーダーが選ばれたことで、日本の政治の流れも変わってくるでしょう。望ましいかどうかは別として。
玉井彰の一言 2005年10月 | 四国の星ホーム/前月|翌月 |