玉井彰の一言 2005年11月 四国の星ホーム前月翌月

[2005/11/30]  「勝てる候補」

9月17日に落選候補を含む民主党の集会が東京で行われました。そのとき、もの凄い罵声を執行部に浴びせかける人物がいました。あとで考えると、翌日捕まった覚醒剤男のようでした。

選挙後の逮捕者3人。選挙違反で4人目の不祥事も出てきます。これはただごとではありません。各紙の社説も批判しているように、党本部が甘いと思います。

選挙において、「勝てる候補」ということが言われます。その最たるものが現職であることは言うまでもありません。現職を含む有力者に対しては党本部の審査が甘くなっていることの結果として、不祥事が続いています。

大問題に発展する前に風聞・風説が執行部に聞こえているはずです。そのときに当事者を呼びつけて膝詰めで事情聴取をし、厳しい質問をし、場合によっては処分するという毅然とした態度が必要です。

「勝てる候補」である前に、有権者が信頼できる人物でなければなりません。大変ですけれども、有力議員であっても、わがままは許さない迫力が執行部に求められます。


[2005/11/29]  政治にかかる金

民主党・西村真悟議員、弁護士法違反容疑で逮捕されました。政治活動にお金がかかる結果としての犯罪です。

自民党の場合は、構造的に資金が集まる仕組みができています。そうでない野党の場合、資金捻出の手段がチマチマした犯罪になってしまい、「法の網の目」に引っかかってしまいます。

もし民主党の新人に年間2000万円の資金が集まれば、自民党の候補とほぼ互角に戦うでしょう(「金は時なり」)。ところが、それができる人は一握りです。

現職の場合その線はクリアできますが、今度は落選の恐怖と戦うことになります。落選の恐怖から逃れようとすると、金はいくらあっても充分ということにはなりません。際限のない自転車操業が待っています。

志を維持しつつ選挙にも勝つ。至難の業というべきです。自民党が野党に転落した場合は、地獄だろうと思います。


[2005/11/28]  「テレビのお陰」

サンデープロジェクト(テレビ朝日系)にビデオ出演した宮沢元総理。9.11総選挙での自民党の勝因を聞かれ、「テレビのお陰でしょう」とのお答え。

大分年を取られた印象ですが、評論家としては一流です。テレビ政治への警鐘を鳴らしたいとの意思を感じました。

選挙が終わると「公正中立」に戻り、選挙が近くなると政府広報機関になってしまう危険が、今のマスコミにはあります。

しかし、選挙後も「小泉チルドレン」を追い回し、杉村太蔵議員をスター扱いしているところを見ると、完全に「たが」が外れた感があります。


[2005/11/27]  自転車の賠償責任

(ニュース)

自転車に背後から衝突され重い障害が残ったとして、元看護師の女性が、乗っていた当時高校生の女性と父親に計約5700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(井上薫裁判官)は25日、女性に約5000万円の支払いを命じました。

判決理由で井上裁判官は「被告女性は携帯電話に気を取られ、前方に注意を欠いたまま進行した。原告の後遺障害との因果関係も認められる」としています。

原告側は自転車を買い与えた父親にも賠償責任があると主張しましたが、井上裁判官は「被告の女性は高校生で、判断能力に欠ける点はなかった」と退けました。

(コメント)
自転車は凶器です。このことを自覚しない人が多すぎるように思います。特に中学・高校生。運動神経で歩行者をかわそうとする傾向が強いように見受けます。電話をしながらの走行も目立ちます。

5000万円という賠償額は、被害者救済ということからすれば当然です。しかし自動車と違い、損保が普及していないので、損保に加入していない加害者にとっては酷な話ではあります。

これからは、自転車にも保険加入を義務づけ、被害者救済に万全を期すべきです。

なお、本日朝の民放番組で、ある都市の「北京通り」と呼ばれている自転車が密集する場所が取り上げられ、自転車が猛スピードで走る危険性が指摘されていました。

とにかく、自転車は危ない。人が前を歩いていたら自転車から降りる、ということを基本にしたいものです。


[2005/11/26]  「誹謗・中傷」?

<民主党群馬県第4区総支部長・中島政希氏のホームページ、今週の主張(10月25日)より>
http://homepage2.nifty.com/seiyu/monthly132.html

総選挙の結果について 

今回の総選挙は歴史的といってもよい自民党の圧勝に終わった。当事者の一人だったこともあり、私はこれほど極端な結果に終わるとは、予想しなかった。

ことの善し悪しは別として、国民の多くは郵政民営化をシンボルとする「小泉改革」を支持した。10%近い投票率の上昇は近年にない現象であり、これまで投票所に足を運ぶこともなかった人々の政治的動員に成功した小泉氏の政治戦略は、まことに見事であったというほかはないだろう。しかしこの歴史的な自民党勝利はポピュリズム政治の弊害と紙一重のものであり、自民党が本来の保守政党として守るべきものを失った結果であるように思える。

民主党の惨敗はその改革姿勢に疑念をもたれたことにある。「民主党は労組に遠慮して郵政民営化に反対しているのだ、労組依存の民主党には改革はできない」という自民党からの批判は、実に効果的に作用した。私は単純な郵政民営化には反対の立場をとってきたし、それは労組に影響されてのことではない。しかし私が一人でいくらそう主張しても世間の大勢はそんな言い訳は聞いてくれなかった。

だから民主党大敗の後、公然と「労組依存からの脱却」を主張した前原新代表が登場したのは自然の流れといっても良いだろう。しかしこれは党内の軋轢、とくに労組基盤に強く依存する地方の民主党に深刻な内部対立を招来せずには措かない。むしろ前原執行部はこうした軋轢を高めることで、民主党の「自立」と「改革」を達成しようとしているかに見える。公務員給与削減を目指す給与法改正案を党内の反対派を押し切って今国会に提出したのはその現われだろう。民主党が連合と一体であることを望む人たちと、それを望まない人たちとの対立が、すでに中央でも地方でも生じている。群馬民主党もそうした趨勢の渦中にある。

さて、私自身や群馬県の選挙について語らなくてはならない。私の選挙について言えば、得票は過去最高に伸ばしたものの惨敗に終わった。敗因はマクロ的な要素も大きいが、ミクロ的な要因から言えば準備不足が大方といってよい。

私や他の保守系候補擁立にいたる群馬民主党内のドタバタ劇はいずれ詳しく公表するが、今回の群馬の五選挙区に立ったメンバーについては、すでに昨年九月の段階で名前が出揃っていた。ところが新左翼系人物の突然の乱入やそれに便乗した守旧派の妨害などがあり、4区の公認決定は解散の前日になってしまった。

事務所を開き、印刷物を発注し、各地に選対を作り、事務局スタッフをそろえたところで、もう公示になっていた。表敬訪問も名簿集めの余裕もなく、要するに有権者への個別の働きかけが(それは選挙の基本なのだが)、ほとんどできなかった。惨敗だったが、組織的にも知名度的にも全国有数の強敵を相手の逆風下の短期決戦という条件を考慮し、運動量と結果を計れば上出来の得票だったといえなくもない。

今回の選挙戦の意義は、群馬4区の民主党が、政党としての自立性を確立し、それを有権者の前に鮮明に示せた、ということだろう。平成八年の民主党結党以来、過去三回の総選挙があったが、いずれも社民党と連合推薦での選挙であり、民主党としての姿や集票能力の独自性が不鮮明なままにきた。「労組の傀儡」「社会党の看板の架け替え」という批判が付きまとってきた。だが今回は、連合や社民党の推薦を得ることなく、しかも過去最高の得票数を達成したことで、こうしたマイナスイメージは完全に払拭された。

群馬4区の選挙戦では、従来からボランティア・後援会中心の保守系選対と、旧社会党以来の労組選対が並立し、しばしばその軋轢が表面化した。県連内では、それは4区総支部や私個人のキャラクターによるもののように受け取られていたが、今回他の選挙区でも保守系候補が立ったことで、こうした軋轢が4区固有のものではないことが改めて明らかになった。それは、群馬の民主党に特徴的であった労組請負型選挙を今後どう克服していくかという課題と直結している。

労組請負型選挙とは、総合選対という名のもとに、労組主軸の選対を形成し、そこに活動資金を供給して、選挙活動の全部または一部を請け負わせる形態の選挙方式を言う。五十五年体制下では有効であった労組請負型選挙も、小選挙区制下ではその有効性は失われている。またそれがどんなに有効だとしても、公選法上大きな疑義があり、長くは続けられない。実際今回も全国で労組役員が逮捕されているし、群馬でも昨年の参議院選挙時に某地区で内偵捜査の対象とされたと仄聞する。

群馬4区では今回連合が「選挙態勢を取る時間的余裕がない」とのことで推薦を見送ったことから、幸いにも労せずして、労組請負型選挙から完全に脱却する好機を得た。そして、ボランティアを主軸とする選挙戦で、一定の成果を挙げることに成功した。4区民主党の歴史からすると画期的なことであり、今後も旧態が復辟するようなことはないであろう。また、いずれ他の小選挙区総支部でもこうした結末に至ることとは不可避の趨勢であろう。

私は、今回の選挙を通じて、自らの当選を期すことはもとよりだが、私が創立した群馬の民主党を、しっかりした保守改革路線に立つ若い人材に引き継いでいくことを、大きな目標としていた。私が後継者として嘱望した二人の後輩同志、2区の石関貴史氏が比例区で当選を果たし、5区の田島國彦氏が予想をはるかに超える善戦だったことは、今次衆議院選における大きな成果だったと喜んでいる。

深夜の開票速報を見つつ、群馬と日本の政治改革を主張し行動してきたこの二十年の政治生活を振り返っていた。敗戦後の心境からすると、改革を主唱するにはいささか薹が立ってきたのかな、との思いも去来していた。

そのとき携帯電話が鳴り、石関貴史氏から比例当選の報告と合わせて「政策担当秘書に就任してほしい」との思いもかけぬ申し出を受けた。それは私を政策秘書に迎えることの政治的意味合いをよく承知したうえでのことのようだった。私は熟慮の上、鳩山由紀夫氏の了承を得て、これをお受けすることとした。「士は己を知る者のために死す」は、私の行動理念でもあるからだ。

今後しばらくは石関氏と田島氏の政治活動を助けつつ、民主党群馬4区総支部の更なる基盤強化のために微力を尽くしたいと考えているところである。(平成17年10月23日)

<中日新聞・群馬版より>
連合が民主支援凍結  「中島氏がHPで中傷」

九月に行われた衆院選で、群馬4区から出馬した民主党の中島政希氏(落選)が自身のホームページ(HP)に掲載した文章が誹謗(ひぼう)・中傷に当たるとして、連合群馬が民主党県連に公式見解を求める質問状を出し、民主との関係を一切凍結すると通知していたことが分かった。

中島氏は衆院選の総括を先月下旬にHPに掲載。連合群馬が4区で推薦を見送ったことについて、「労組請負型選挙から完全に脱却する好機を得た」「(民主は)労組の傀儡(かいらい)」などとしている。

中島氏は「当然のことを書いたまで。連合側の曲解、過剰反応ではないか」などと話している。連合群馬の清村宗一事務局長は「公党の支部長が代表者として掲載する文章なのか疑問。党県連の見解をただしたい」などと反発を強めている。

同県連は富岡由紀夫会長が中島氏から事情を聴き、十九日の常任幹事会でも経過報告した。県連は今後、五役会議を開いて協議し、年内にも県連の議論をまとめたい意向。黒沢孝行県連幹事長は「労組と政党という互いの立場で、今後もいい関係を保ちたいと思っている」と話している。

(コメント)
中島氏の文章のどこが「誹謗・中傷」なのか分かりません。

ホームページを見ると、中島氏はなかなかの見識を持った人物であると思います。

文中に登場する石関貴史衆議院議員。9月17日にあった党の集会で名刺交換をさせていただきました。私の発言後、向こうからやってこられました。御活躍を期待しています。 


[2005/11/25]  小選挙区制度で勝つこと

<日経新聞より 「民主の落選組、厳しい冬」 >

9月の衆院選で大敗した民主党。180人近い落選者は再起に向けた支援者回りに加え、収入減で生活の立て直しも大変だ。厳しい冬を迎えている。

「毎朝7時から駅頭を順番に回り、おわびと政策を訴えている」。松下政経塾出身で、若手リーダー格の1人と目されていた樽床伸二氏(大阪12区)は「ボーッとしてたら再起はない」と危機感いっぱいだ。

民主党が小選挙区で全敗した神奈川でも「どぶ板作戦」が主流。中塚一宏氏(12区)は「1日50軒」の戸別訪問と若年層を対象にした集会を繰り返す。

生活費稼ぎも大変だ。もともとは経済評論家だった海江田万里氏(東京1区)は講演を増やした。北海道など「現職時代は断っていた遠方」にも出向く。

泉房穂氏(兵庫2区)は弁護士活動。民主党は22日に次期衆院選の一次公認を発表したが、「考えさせてほしい」と公認を受けなかった。

(コメント)
ここに紹介されている方々は、普通にやっていれば次回当選です。民主党の実力は、衆院議席数で150〜190。問題はそこから先です。170の小選挙区で勝たないと過半数になりません。

自公が融合合体している情況下で民主党が勝つのは至難のわざのようではありますが、自民党サイドから眺めると、これも結構大変です。従来の支持基盤はガタガタ。9.11選挙で禁じ手まで使いきった感があります。

人間の寿命が尽きる直前に、不思議なほど元気になる瞬間があります。結党50年の自民党。最期の輝きが現在なのかもしれません。どちらの側から見ても、小選挙区制度で勝つのは簡単ではありません。


[2005/11/24]  9.11選挙の本質

構造計算書が偽造され、耐震性がないということが分かったマンション住人に同情の声が上がっています。

それに負けず劣らず不幸なのが、この国の国民であり、取り分け地方住民と経済的弱者です。

構造的な欠陥をかかえた「改革」が承認されたため、金利暴騰・国債暴落といった国民経済の破綻や、長期的な国力衰退、地方・地域の崩壊が、もはや政治では阻止できない領域に追いやられた感があります。政権交代を待っても、手遅れかもしれません。

倒壊可能性が高いマンション住民と同じ立場に国民があることを自覚し、倒壊後の対策を練っておくべき段階に至ったと考えています。

残念なのは、トヨタをはじめとした我が国の巨大企業が、国益よりも企業利益を優先し、国際競争に勝ち抜き企業利益を最大化するために、格差拡大型社会を積極的に推進する決断をしたということです。そして、マスコミや言論人もこの渦に巻き込まれました(いや、積極的に加担しました)。

米国からの「年次改革要望書」に添う、植民地としての日本が誕生しました。我が国支配層が国を捨てた。これが9.11選挙の本質です。


[2005/11/23]  この男達が見ているものは

このところ取材に答えていないようですが、構造計算書偽造問題で姉歯建築士がインタビューを受けていた場面は強烈でした。

まるで第三者。姉歯氏は、検査会社・イーホームズの検査が杜撰であることを指摘していました。その先を語らせれば、このような馬鹿なシステムを国がつくるからそうなるのだ、ということまで言いそうな感じでした。

こういう雰囲気を醸し出す人物に思い至りました。小泉純一郎氏。国家の命運を決する政策が、彼にとっては権力闘争の道具でしかありません。後々、悪政の付けを支払わされる国民が怨嗟の声を挙げても、国民の多数がこの路線を熱狂的に支持したではないかと開き直るでしょう。

国政における「改革詐欺」の「構造計算書」偽造担当者は、竹中平蔵氏。悪魔と取引した男達。国民の貴重な財産(郵貯、簡保の資金)を、米国からの「年次改革要望書」に添って米国資本に提供することで自らの地位保全を図る構図です。

彼等の視線の先にあるのは、大いなる虚無のような気がします。時代が生んだ無責任男。昭和の無責任男・「植木等」の持っていた明るさは、そこにはありません。


[2005/11/22]  民間開放における構造的欠陥

マンション等の偽造構造計算書問題。

小さな政府を志向するのはいいとしても、構造的な汚職が起こる仕組みが内包される形での民間開放は危険です。

審査会社が営利に走ったときにどうなるのか。審査会社と審査される側(ディベロッパー、建設会社、設計事務所等)との癒着構造が起こらないことを制度的に担保できているかどうか・・・

「民間対民間」ですますには、問題が大きすぎると思います。購入者には、構造計算書が明示されることもなく、明示されたとしても、それを解読する知識がありません。

最終担保責任が国にないと、関係企業が潰れたらどうにもならなくなります。購入者が細心の注意を払っても回避できない被害を被るケースは、今回の場合以外にもあり得ます。

従来の国家賠償とは違う意味合いでの被害救済策が、制度として必要です。


[2005/11/21]  IT選挙

(共同通信ニュースより)

自民党は20日までに、現在は禁止されているインターネットを利用した選挙運動の解禁に向けて公職選挙法を改正する方向で調整に入った。2007年夏の参院選からの解禁を念頭に、来年の通常国会での改正案成立を目指す。

民主党は情報技術(IT)選挙の解禁に意欲的で過去3回にわたり独自に改正案を提出、近くこの問題についての調査会も設置する。自民党が解禁を正式決定すれば与野党による議員立法となり議論が加速する可能性も出てきた。

公選法は規定されたビラやはがきなどを除く「文書図画」の頒布を禁止。明確な規定はないが、候補者名や政党名を記載したホームページやブログ(日記風サイト)、電子メールなどは禁止対象とされ選挙運動で利用できない。

(コメント)
自民党と民主党が同じ資金力で戦ったら、民主党が勝つでしょう。しかし現実の選挙では、資金力が大きくものを言います。民主党でも、選挙に強い方々は豊富な資金力があります。資金力を含めて政治家の実力であるというのが、政治の現実です。

資金力がない者が勝つためには、戸別訪問と安価な広報手段であるITの解禁が必要です。

ただし、豊富な資金力を背景にして、より魅力的なコンテンツ(内容、中身)を自民党が開発してくるでしょうから、簡単な話ではないと思います。敵に塩を送るような生やさしい政党ではありませんから。

絶対にまねのできないコンテンツを開発できるかどうか。


[2005/11/20]  速い、安い、危ない

首都圏のマンションなどの建築確認に、偽造した構造計算書が使われた問題。

建築確認をした民間の検査機関イーホームズは、国土交通省の省令通りの手続きをしていませんでした。審査を省略する場合に必要な書類が添付されていないのに、計算過程の審査を省いており、同省は同社の審査が不適切だったとして建築基準法に基づいて処分する方針です。

構造計算書は、地震などに対する建物の強度を調べるものであり、国交省の省令では、国交相認定のコンピュータープログラムを使ったことを証明する「大臣認定書」などが添付されていれば、計算が合っているかどうかの点検を省略できます。

イーホームズ側は、「適正なプログラム使用の証拠となる『利用者証明書』という別の書類が添付されていたので省略していいと思った。認定番号の印字がないからといって不正ではない」と説明。「手口は巧妙であり、通常なら気づかない」と強調し、自社の責任を否定しています。

マンションの構造計算を姉歯建築設計事務所に発注していた建築設計事務所6社が東京都の調査に、「仕事が速い」「建築主の指示」などと回答しています。イーホームズも民間企業として、検査を迅速に行うことによって仕事を増やすことを考えたであろうことは容易に推測できます。

<施主→元請け設計業者−(構造計算書)→(下請け)姉歯建築設計事務所→(民間の検査機関)イーホームズ→施工業者・・・・→購入者・入居者>  という図式の中で、誰がどう損害を負担するのか、極めて困難な問題が生じます。

国は、民間と民間の問題であるとの立場のようですが、国民にとって重要な財産についての生命に関する危険が問題になる場面であり、この点での検査を民間の機関に委ねた結果生じた問題について、「民間と民間の問題」と言いきれるのかどうか疑問です。

公がどの範囲を受け持つべきか、慎重な配慮が必要です。ある分野を民間に開放するとしても、最終的な責任を国や自治体が負担すべきかどうかまで、充分な検討が加えられるべきだと思います。

姉歯事務所は仕事が速かった。イーホームズも仕事が速かった。建物は安かった。結果、危険だった。という話です。

通常の警戒心では防げなかった被害について、加害者側の責任追及ではラチがあかない場合にどうすればいいのか。

「ミンミン」と蝉の鳴き声のような答を出すだけでは、納得しにくい気がします。もちろん、被害が出ればどんな場合でも国が責任を持つという分けにはいきません。

合理的な線の引き方を考える必要があります。


[2005/11/19]  幸せって?

<産経新聞記事

「最も幸せな日本人像は 30代、都会暮らし、専業主婦」

−高齢者ほど「不幸」 阪大教授ら概念数値化− より>

男性よりも女性、高齢層よりも若年層のほうが幸せを感じているが、所得の高さと幸せは必ずしも比例しない−。大阪大学社会経済学研究所が全国の六千人を対象に行ったアンケートで、日本人の考えるこんな「幸福感」が浮かび上がった。「幸せ」というあいまいな概念を経済学的、社会学的な観点から数値化した極めて珍しい研究結果。調査データをもとに「日本で最も幸せな人物像」も浮かび上がらせており、同研究所では「一部のデータは国民の幸福を追求する政策にも生かせるのでは」としている。さて、あなたは今、幸せですか?

調査は、同研究所の筒井義郎教授(経済学)らが昨年二月から、無作為に選んだ全国の二十−六十五歳までの六千人を対象に実施。訪問してアンケートを配布、回収する方法で約四千二百人(70・4%)から回答があった。

アンケートでは、幸福感について、「非常に幸福」を十点、「非常に不幸」を〇点として、「あなたは何点になると思うか」という「幸福度」をたずねた。この結果、五点が最も多く25%。続いて七点が20%、八点が18%、十点も5・5%おり、全体としては幸福と考えている人が多いことが分かった。一方で、四点以下は13%にとどまった。

この結果を約三十項目にわたって分析したところ、性別では、女性の「幸福度」の平均値が六・五一点に対し、男性は六・二七点で、女性の方がより幸せと考えている人が多かった。

年齢別では三十代(平均値六・六点)が最も高く、次に二十代(六・四)が続いたが、四十代以降は加齢とともに不幸になり、六十代では六・二点に落ち込んだ。この結果は、海外の大学が行った調査と比べると逆の現象。アメリカやイギリス、ドイツでは三十歳代が最低で加齢とともに幸福度が増しており、若者に甘く高齢者に厳しい日本社会の傾向を表したともいえる。

職業別では学生(六・九)▽管理職(六・八)▽専門技術職(六・七)▽事務職(六・五)−などの順。主婦も高かったが、専業主婦(六・七)とパート主婦(六・一)で差が開いた。

学歴では、高学歴になるほど数値が上がっていたが、大学文系卒(六・九)に比べ、大学理系卒(六・八)はやや低く、短大卒とほぼ同じ。サンプル数は少なかったが、小中学校卒(五・七)と大学院修了(七・一)では一・四点の差が出た。一方で、所得(世帯全体)をめぐっては年収千五百万円までは所得が上がるにつれて幸福度も上昇したが、千七百万円以上になると逆に低下するという皮肉な結果も出た。

居住地域では、政令都市などの大規模都市になるほど上がり、特に近畿と関東が高かった。これは、都市部のほうが高所得者が多いことに加え、利便性なども背景にあるとみられる。ノルウェーでは都市部と田舎での幸福度は変わらないという報告もあるという。

また、非喫煙者と喫煙者では非喫煙者、ギャンブルをする人としない人では、しない人のほうが幸福度が高かったが、飲酒習慣で比べると大差はなかった。宗教心のある人とない人では、ある人のほうが、他人の生活水準が気になる人と気にならない人では、気にならない人のほうが高いという結果も出た。

筒井教授は「何をもって『幸せ』と考えるかは人それぞれ。ただ、そうした主観的な幸福感を調べ、経済学に取り入れることで、机上の経済理論が現実社会により近づけるのではないか」と話している。

(コメント)
現在の政治情勢を裏付けているような気がします。

まだまだ、政治を娯楽として消費できるゆとりが国民にあるということです。このことを抜きにいくら気張っても、政権交代には結びつきません。より幸せになれる社会とはこうなんだという提案が必要です。

もっとも、「高速道路無料化」を掲げても、「ただより高いものはない」という反論があると、「そうだな」と納得してしまう、統治しやすい国民ですから、よくよく「幸せ」の中身を検証していかなければ、効果的なメッセージを発することは難しいと思います。

ただし、小泉総理が「国民投票」と位置付けた9.11総選挙の結果が、「自公」対「非自公」で後者がわずかに上回っており、「否決」だったことを忘れてはいけません。


[2005/11/18]  たばこ税

<日経社説 「安すぎないか日本のたばこ」より>

たばこが健康をむしばむのは、もはや医学の常識。・・・

「二次喫煙」の健康被害も考えるなら、政府は喫煙者を減らす方向へ誘導すべきだろう。

禁煙誘導の有力な手段は増税による価格の引き上げである。財務省はこれに慎重だが、与党内で、たばこ税増税論が浮上してきた。真剣に検討してほしいものである。

日本のたばこ税は欧米に比べ低くそのため小売価格は著しく安い。20本入りのたばこ一箱にかかるたばこ税は日本では157円で、標準的な製品の小売価格(マイルドセブン)は270円。これに対し英国はたばこ税が611円で、日本の消費税にあたる付加価値税も17.5%と高いので小売価格は約1000円になる。日本の約4倍だ。ニューヨーク市はたばこ税が370円で価格が735円。ドイツ、フランスも日本より税金、価格とも高い(財務省調べ、今年1月現在)。・・・

仮にたばこ税を英国並みの水準まで増税し、当面は消費量が減らないとすれば国と地方のたばこ税収2兆2000億円弱は8兆8000億円になる。マイルドセブンは約740円となるが英国より200円以上安い。家計への影響が大きいので一気にそこまで増税するのは無理としても、毎年の増税規模全体をみながら、例えば年々数千億円程度ずつ増税するような方針を決めるべきではないか。・・・

(コメント)
低所得層の人の方がたばこをよく吸っている印象なので、そこだけが気になりますが、たばこの害(他人への害。本人は自業自得)を考えると、ペナルティーという意味合いを込めた税であると認識していくべきだろうと思います。

私は学生時代にたばこを吸っていました。しかし、家計簿を付けてみたら1ヶ月数千円の支出があることが分かり、他方専門書が3千円前後することから考えて、自己投資を優先すべきであるとの結論に達しました。

(と言うとかっこいいのですが、忘れ物の多い体質で、たばこを持っていても行く先々で忘れるので、これはかなわんということでもありました。)


[2005/11/17]  政党のホームページ

何気なく、各政党のホームページの表紙を見てみました。

民主党のホームページは、実につまらん。事務連絡じゃないか。しかも、肝腎な選挙総括がどこにあるのか分からない。江田五月氏のホームページには表紙に見出しを掲げられているので、ここで確認しました。ということは、実務的な機能も充分ではないということです。

自民党の方が少し興味をそそられる感じがしますが、これも五十歩百歩。共産党のものが分かりやすそうな気がします。社民党については、語らない方が無難だと思います。

政党のホームページは、政治に関心を持つ人にとっての窓口ですから、面白さ、取っつきやすさが大切です。もちろん、情報検索も簡易に行えるよう配慮すべきです。

私のホームページも拙劣なものではあります。リニューアルの予定が、金欠病によって延期になり続けています(陳謝)。


[2005/11/16]  中央集権の自民党

(毎日新聞ニュースより)

自民党の武部勤幹事長は15日、郵政法案反対組を衆院選で支援した8府県連のうち、5府県連の役員を党本部に呼び事情を聴いた。このうち、徳島、佐賀、大分に対し「党本部が擁立した公認候補への選挙妨害が明らか」として県連会長の辞任を含む体制一新を要求。しかし、大分の岩屋毅会長は辞任を拒否し、党による処分を求めるなど対決姿勢をあらわにした。

岩屋氏は約40分間の話し合いの後、記者団に「地域の事情をあまりにも理解していない強権的なやり方」と語った。同様に体制一新を求められた徳島、佐賀は持ち帰って対応を協議するが、徳島の北岡秀二会長も「党本部と県連との関係で、トップダウンとボトムアップのバランスをいかに図るべきか、今後の課題としてほしいと伝えた」と不満をにじませた。

(コメント)
これまで地方組織主体で運営されてきた自民党が、急速に中央集権化してきています。

自民党王国・愛媛から眺めると、自民党というのは政党ではなく大政翼賛会に近い組織です。

自民党といっても、全国各地で有り様が異なるようです。小泉氏や武部氏が見ている自民党と私が見ている自民党とは、そのイメージが大きく異なっているのではないかと思います。

現在の自民党の路線には大賛成。このまま自民党が近代政党として純化してくれると、大政翼賛会的な重圧から愛媛が解放されることにつながります。


[2005/11/15]  閉村奨励策

平成の合併に次ぐ国策は、閉村奨励策だろうと予想しています。

これから集落の消滅が相次ぎます。しかも加速度が付きます。消滅一歩手前の段階にある集落に対して補助金を出し、集落の全員が街に移転するのです。

道路等の社会基盤の整備にかかる負担を抑制して、合理的な地域経営を行うということです。

拠点集落を定め、そこから半径300m以内に集約居住をするように誘導し、高齢社会対応型の歩いて暮らせる地域づくりを進めます。

私は、合併の前に集約居住を進める方が地域住民にとって幸せであると考えてきました。行政サービス提供者の論理で押し進められた平成の合併。その延長線上でのさらなる合理化策としての閉村奨励は、自治体(役場)を失った集落にとって、より過酷なことになるのではないか心配です。

これは、あくまで予想。しかし、論理的にはそうなります。


[2005/11/14]  候補者選定

(NHKニュースより)

民主党は、先の衆議院選挙で大敗したことを受け、小選挙区で勝てる候補者を擁立したいとして、小選挙区の場合、新人は60歳未満、元議員は65歳未満とする年齢制限を設けたのをはじめ、新人の場合は連続2回、元議員の場合は連続3回、小選挙区で当選できなかった場合、原則、公認しないとした候補者選定基準を決めました。

これについて、落選した候補者からは「この基準を適用すれば、全国で80人もの候補者を差し替えることになるのに、何の説明もなく決めたのは一方的なやり方だ」などと反発が出ています。

これに対して、党執行部は、基準はあくまでも目安であり、柔軟に対応したいとして理解を求める方針ですが、党内からは「厳格に適用しない基準では、何の意味もない」という声も出ており、今後の公認候補を決める調整は難航することも予想されます。

(コメント)
繰り返しますが、「基準」ではなく、「差し」でやるべきです。

公認の決定は、立候補予定者の人生を決めるものでもあり、難しい要素が多々あります。有力者に働きかけて、「例外」を認めてもらおうとする動きもあるようです。

これが通用するようだと、民主党が批判しなければならない不透明な「裁量行政」の党内版になってしまいます。

そもそも、「土壌分析」もしない候補者選別は無意味です。結局、「例外」の部分で判断せざるを得ません。

加えて、選挙費用の追加支援と幹部の度重なる応援とを得たのに落選した候補と、何の支援も得られず孤立無援の戦いを強いられた(小選挙区は無理だから惜敗率で上がってこいということでしょう)候補とを、単純に惜敗率で比較できるのかということも問題になります。

総選挙の時期を見誤り、そのために準備不足になったことから、多くの候補者が不完全燃焼の気分でいることも、不満が噴出する原因になっています。

こうした情況下で発表されている「基準」で誰も納得しないことは、幹部自身が一番よく分かっているはずです。単純ではないものを単純にやろうとするから、無理がいくのです。個別判断でやらざるをえないのです。

(実は、声高に幹部をなじっている落選候補者ほど、過分な支援を党から受けていたりすることが、9月17日に東京で行われた候補者の会合で明らかになりました。多くの候補者は、そんなにまでしてもらって、よくもまあ幹部を悪し様に言えるものだと思ったことでしょう。)


[2005/11/13]  「基準」の適用

民主党落選者のホームページを見ると、幹部から「あなたは基準を充たしていないけれども大丈夫です」と言われたなどという記載があります。

「基準」が適用されないケースがあるのなら、「例外」の場合の基準が必要なはずです。

これまで述べてきたように、わずか数十人から百名余の話であり、「差し」で理解を求めるべきです。


[2005/11/12]  民主党の選挙戦略(4)

私の見立てでは、どう頑張っても次回の総選挙での(小選挙区)当選は難しいと思われる選挙区が約50あります(30と見る人もいれば、100と見る人もいるでしょう。一応、50という前提にします)。

自民党の基盤が強固なところは、長期戦略で「屯田兵」を駐在させるという発想が必要です。そして、1つか2つでいいですからモデル選挙区をつくり、重点支援をします。

1〜2ヶ月に1回程度、名のある大物がやって来て講演会を開催するなど、地域に衝撃が走るようなやり方を取ります。若手の強力な現職、あるいは、今回惜敗した衆議院議員経験者を「国替え」して候補者に据えるというやり方もあります(神奈川11区で小泉首相に挑戦した斎藤勁(つよし)氏の試みは立派でした)。

力ずくで自民党の「岩盤」を打ち破るのです。地方切り捨て政治の中で不満は鬱積(うっせき)しているので、この方法は有効だと確信しています(これを「黒船戦略」と命名しています)。

近々、「第1次公認内定者」の発表があるようですが、そういうところではなく、困難な地域を先に確定するくらいの配慮が必要です。

毎回「御破算で願いましては」とやっていて不思議に思わないセンスでは、政権取りは無理。現職ですら組織が固まってなかったという反省の弁が出る民主党が、組織力で遙かに上回る自公連合軍に、「ハンデ50」の戦いで過半数を制することが可能かどうか。「風」に頼るのでなければ、「難関」での長期戦略が優先課題になると思います(優良選挙区では、いくらでも候補者がいます。しかも、複数選挙区を「合併」させれば、財政面での負担も少なくできます)。

「難問」を解いてみようじゃないですか。


[2005/11/11]  民主党の選挙戦略(3)

2005年総選挙で、自民党は限られた資源を有効活用し、マスコミと勝ち組企業の総動員体制で都市部を制圧しました。地方ではストックが残っており、予算が減少することで逆に、政権側の求心力が増してくる形になっています(反乱は起きません)。

300小選挙区を抽象的にとらえ、「種」(候補者)の選別に汲汲としている現在のやり方では、政権交代は困難であると考えます。

「土壌」(選挙区)がよければ、「種」を選別し水(資金と党の重点支援)をやれば、「当選」という果実が得られる確率が高いわけですから、現在のやり方で結構です。そういう選挙区が、大雑把に言って250あります。残り50の選挙区は、そういう手法で勝ちきることは困難です(たった50と無視できればいいのですが)。

岡田体制の下では、偏差値秀才的な手法が採用されました。即ち、300問解く必要はない、170問解ければ「合格」だ(170小選挙区で勝てば、比例復活と併せて250議席が取れ、単独政権が可能である)というものでした。

ところが、そうは問屋が卸しませんでした。民主党が勝ちやすい選挙区は、自民党も勝ちやすいのです(民主党で本当に強い議員は、元自民党の方がほとんどです)。


[2005/11/10]  民主党の選挙戦略(2)

公認の「基準」なるものを現執行部は立てていますが、要するに、面倒な10人〜20人にお引き取り願う方便にしているだけだろうと思います。

候補者が何千人もいるわけではありません。せいぜい、百数十人の処遇の問題です。絞り込めば数十人です。何故、「差し」でやれないのか。

昨年来、馬鹿な幹部が報道機関に「総支部長差し替え」を繰り返しリークして、記事にさせました(結果、差し替え2名)。怠慢な候補者には直接(電話・メールでも可)「しっかりやれ」と指導すれば足りる話なのに、「記事」にした結果どういうことが起きたか。副作用の方が甚大でした。

地方議員や党関係者が、総支部長(衆院候補内定者)は取り替え可能な部品であると軽信し、自分達の個利個略で総支部長差し替えを策し、果ては党本部に「御注進」に及ぶ者まで出る状態になりました。民主党組織の弱いところほどそうなるのです。

小泉総理(自民党総裁)が唯一立派だと思ったのは、パフォーマンスとはいえ、自ら出向いて中曽根康弘氏に引導を渡したことです。

民主党の選挙責任者は、「基準」を立てたり、「報道」を使ったりせず、「差し」で勝負すべきです。人間力で勝負すべきです。

「俺は首切り朝右衛門だ」という強い気持ちで候補者(志望者)に臨み、「これまでの御貢献に感謝いたしますが、政権交代を成し遂げるためには、貴方に代わる候補者擁立が不可避です。どうか引退して下さい。」と、真摯に話すべきです。

理由が合理的なら、民主党の同志諸君は言うことを聞くだろうと思います。「基準」に該当したかどうかという、薄っぺらな理由では駄目です。


[2005/11/09]  民主党の選挙戦略

民主党の衆院選総括と次期衆院選の公認基準が報じられています。

これを見て、民主党には本当に国政選挙が分かる人材がいないのだということが分かりました(自民党にもいませんが、勝てば官軍ですので大きな問題にはなりません)。

読売の記事によると、党本部の総括は、

<「深い反省と再生への決意」と題する総括文書は、衆院選の結果を「歴史的敗北」と位置づけ、「選挙戦の重大な反省」として「準備が不十分」「争点設定の失敗」「過去の国政選での成功体験への過信」など5点を挙げた。

このほか、「日本をあきらめない」というキャッチコピーを「閉塞感を打ち破るメッセージを求めた有権者に、表現がミスマッチだった」と評するなど、キャンペーンなどについても、細部まで“反省”する内容となっている。>

ということですが、前選対委員長が幹事長代理という人事で、「深い反省」があったと感じる党員がどれだけいるか疑問です。

公認基準については、それほど関心はありません。基準を立てるのは結構ですが、当てはめは各候補者(志望者)と面談して、差しでやらなければならないでしょう。

300小選挙区を抽象的に同一と見立て、戦績を全て候補者の優劣に置き換える手法しかとれないというのは、詳細な選挙分析ができていないということです。各選挙区の「土壌」調査をせず、「種」だけの格付けしかしていません。各地域毎の長期戦略も明確ではありません(従来の経緯からすれば、出さないのでしょう)。

党本部の基準なるものが、各候補者と差しで面談して当該選挙区ではどうすれば当選できるのかを議論できない気の弱さの表れだとしたら、情けない気がします(大都市部の落選前職の声が大きいのはよく分かりますが)。続けていただきたいのに、「基準」不該当の方がいるものですから、声を大にしておきます。

小選挙区制度ですので、揺れ戻しがあれば、次回の選挙で勝つ確率は一定程度ありますが・・・


[2005/11/08]  財団法人・日本遺族会

「日本遺族会は、英霊の顕彰、戦没者の遺族の福祉の増進、慰藉救済の道を開くとともに、道義の昂揚、品性の涵養に努め、平和日本の建設に貢献することを目的とする。」

これが、日本遺族会の目的とされるものです。そして、この遺族会の政治的な影響力があって、政治家の靖国神社参拝が行われています。

もし私が遺族会の一員であったなら、亡国の政治家達が合祀されている神社への参拝は、屈辱的なものであると考えるであろうと思います。何故自分の家族が、彼等を死地に追いやった連中と一緒に祀られなければならないか・・・

彼の戦争は聖戦であったと強弁する以外には、合理化の方法がありません。「極東軍事裁判は不当である。俺は生涯反米だ」というわけでもないのでしょう。

聖戦などではなく、政治家の無能故の戦争。合理的な国家意思形成ができなくなった結果としての戦争。そしてその犠牲者。彼等・英霊が、戦争回避ができなかった無能な政治家達と合祀されている現実。そしてその無能政治家達は、戦死したわけでもない。「生きて虜囚の辱めを受けるな」と檄を飛ばしたのは誰だったのか。

死に際しての無念。死して後の無念。英霊達の想いを遺族すら分からないということが、我が国における最大の悲劇であると思います。

私も靖国神社に参拝したいと思います。「その前に東條達をどけろ」と叫びたい気持ちです。


[2005/11/07]  プロ編入

花村元司という剛腕のプロ棋士がいました(九段、故人)。東海きっての「真剣師」(博打の将棋指し)として有名だった花村氏は、1944年に五段でプロに編入されました。

61年後、将棋のアマチュア強豪の瀬川晶司さん(35)がフリークラス編入試験6番勝負の第5局に臨み、高野秀行五段に勝って通算成績を3勝2敗として合格、プロ棋士(四段)となりました。

将棋は登竜門である奨励会を通過しないとプロにはなれません。26歳まで奨励会にいてプロになれなかった瀬川氏がプロになったことには、大きな意義があります。

26歳という年齢制限は、将棋プロを目指して果たせなかったときに人生が取り返しのつかないことになるということを考えた、親心からの制限でしょう。加えて、若くして才能が開花しなければプロとしてやっていくことは不可能であるとの判断があるのでしょう。

しかし人生100年時代。様々な体験を経て職業を選択するのも悪くありません。将棋界も、純粋培養だけでは骨太な団体にはなれないと思います。


[2005/11/06]  「自粛を」

(朝日新聞ニュースより)

公明党の神崎代表は5日の全国代表者会議で、靖国神社参拝について「政権の中枢にある首相、外相、官房長官は参拝を自粛すべきだ。今後も自粛を求めていく」と述べた。神崎氏は小泉首相の参拝自粛を再三求めてきたが、麻生外相や安倍官房長官の参拝自粛まで求めたのは初めてだ。

神崎氏の発言は、中国の王毅(ワン・イー)駐日大使らが、首相と外相、官房長官は参拝しないという「紳士協定」が日中両政府間であったと指摘していることを念頭に置いたものだ。また、麻生、安倍両氏が今後、参拝する可能性があると見て、牽制(けんせい)した面もある。

(コメント)
「きつく言っときましたよ、創価学会の皆さん」というところでしょうか。

良心的な学会の皆さんのお考えを、一度聞いてみたいものです。


[2005/11/05]  国籍取得と試験

数日前のテレビニュースで、英国籍取得を希望する移民に対して、イギリス文化などについての常識や教養を問う試験制度が始まったということが報じられていました。

国の文化を護り、無用のトラブルを回避するためには、試験制度も有効であると考えます。

昔、運転免許を取得するための試験を受けたとき、何故会場で正解を公表して知識を確実にしてもらう場にしないのか、不思議に思った記憶があります。通った人も落ちた人もそこで勉強できれば、交通安全の知識が定着して、交通安全に資することになります。

試験はふるいに掛けるためのものという固定観念を外し、知識定着のためのシステムとしても位置付けるべきです。

そういう試験であることを前提として、選挙においても、国や地方の将来を決定づけるための最低限度の知識は要求すべきだと思います。毎回行い、答を公表して広く「追試合格」を認めればいいのです。


[2005/11/04]  女性天皇への異論

三笠宮寛仁様(59)が、女性・女系天皇を容認することについて、異議を唱える趣旨の随筆を自ら会長を務める福祉団体「柏朋会」の機関誌に寄稿していたことが物議を醸(かも)しています。

総理の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は、女系・女性天皇を容認する方針を固めていますが、この方向性に疑問を唱える形となっています。

「近況雑感」と題された随筆で、「皇統が貴重な理由は、神話の時代から連綿として一度の例外も無く、『男系』で今上陛下迄(まで)続いているという厳然たる事実」と指摘し、「古代より国民が『万世一系の天子様』の存在を大切にして来てくれた歴史上の事実とその伝統があるが故に、現在でも大多数の人々は、『日本国の中心』『最も古い家系』『日本人の原型』として、敬って下さっている」と述べられています。その上で、皇位継承の男系主義を崩すと「いつの日か、『天皇』はいらないという議論に迄発展する」と指摘されています。

皇族の政治的発言云々の問題はさておき、男系であるが故に敬われているとの論旨には違和感を感じます。女系であれ男系であれ、日本を代表する名門中の名門であり、古(いにしえ)の統治権力者であること、そして現在でも国民が敬愛するに足る知性と品格を保たれていることが、天皇制を実質的に支えている根拠だと思います。

女性天皇に異論を差し挟むとすれば、婿選びの困難さです。お妃様ですら難しいのに、「婿殿」は大変です。

愛子ちゃんは可愛いから、ではすまない気がします。


[2005/11/03]  アメリカ牛の輸入

(10月31日、読売新聞より)

内閣府・食品安全委員会のプリオン専門調査会は31日、政府が諮問している米国・カナダ産牛肉の輸入再開条件を容認する答申案をまとめた。

再開条件は、生後20か月以下の若い牛で、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位(SRM)を取り除いた牛肉と内臓。調査会は数日中に答申案を食品安全委に提出する。

食品安全委は一般からの意見募集を経て、12月初旬にも政府に答申し、政府は年内に輸入を再開する方針だ。

この日の調査会は、再開条件を満たした米国・カナダ産牛のBSE(牛海綿状脳症)汚染リスク(危険)に関して「国産牛との差は非常に小さい」とする答申案を了承した。

ただ、米国などでの食肉処理の実態などが不明なため、リスクが国産牛と同等かどうかについては「科学的に評価することは困難」として、判断を示さなかった

(コメント)
全頭検査を行わなくても、国産牛と同等の安全性が確保できるのかは極めて疑問です。

(1)牛の月齢の偽りはないのか、(2)脳や脊髄などの除去が完全に行われているのか、(3)米国での牛の肉骨粉飼料の規制の不備が指摘されているがその点はどうなのか等々。

佐藤栄作首相が提唱した日本政府の基本方針、非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとする日本政府の基本方針)を思い出しました。

「持ち込ませず」の部分は、ひらすら米政府への信頼で成り立っていました。「米政府が持ち込んでいないと言っているんだから、持ち込んでいないんだ・・・」

BSE対策の実効性確保は、厚労省や農水省など行政機関の役割になります。「米国が大丈夫だと言っているんだから大丈夫だ」ということになりはしないか。

さて、本日のニュース。

ジョハンズ米農務長官は2日、牛海綿状脳症(BSE)の検査なしで対日輸出が可能になる対象が生後20カ月以下の牛肉に限られることについて、月齢制限を国際基準とされる30カ月以下に引き上げるよう日本に求める方針を表明。


[2005/11/02]  シンクタンク

(朝日新聞ニュースより)

民主党は、党独自のシンクタンクを「公共政策プラットフォーム(略称プラトン)」と名付けて近く法人登記し、都内に事務所を置くことを決めた。総選挙での大敗で政党交付金が減り、党の台所は苦しいが、政策立案への投資は予定通り行うことにした。

地方分権、教育、財政、外交・安全保障など、「中長期的な視野で、外部の意見も借りて党としての考え方、理念をまとめる」(前原代表)ことが目的。金融機関などのシンクタンクとは異なり、専属の研究者中心ではなく、テーマごとに専門家を集めるネットワーク型組織とする。

設立時は仙谷由人前政調会長が代表理事を務めるが、党とは別組織とし、職員も党人事体系から切り離す。将来は寄付など独自資金を集められる組織を目指している。

12月10日に、設立記念シンポジウムを開催し、活動を本格的にスタートさせる予定だ。

(コメント)
官僚依存の政治を打破するためには、独自のシンクタンクは必要です。

ただし、個々の候補者(予定者)が自分の頭で考えなければ、有権者の説得は困難です。

300小選挙区にセールスマンを置けば政権が取れるというほど甘いものではないと思います。


[2005/11/01]  ここ20年で、誰が一番いい総理だったか

景気回復という活字が踊りますが、その実感を感じられずにいます。誰が、不景気大魔王・コイズミを支持しているのでしょうか。

リストラで費用節減ができた大企業、勝ち組グループの大手マスコミ、ストックがある間は政治的リスクが取れない地方住民、労働者としてのメンタリティーがない都市部サラリーマン、「中流」への嫉妬を感じる「下流」・・・

ここ20年で誰がいい総理大臣だったか。小渕恵三の名が浮かんでくるのですが・・・


玉井彰の一言 2005年11月 四国の星ホーム前月翌月