玉井彰の一言 2006年2月 四国の星ホーム前月翌月

[2006/02/28]  金縛り

テレビ番組に登場する民主党国会議員の発言は、歯切れの悪いものになっています。

ここで痛烈な執行部批判をすると、待ってましたとばかり、「やはり、まとまりのない民主党。恒例のお家騒動が始まった。」とマスコミに突っ込まれることが予想されるからです。

挙党一致で難局を乗り切っていくというのが、これまでの経験から学んだ党内的なコンセンサスなのでしょう。

しかし、堀江メール問題がこれほどの大問題になったのは、前原代表の言動があったからです。確度の高い情報であると永田氏の質問を裏書きし、楽しみにして欲しいと党首討論に期待を持たせ、挙げ句の果てに国民を失望させた責任は、永田氏より重いのではないでしょうか。

永田氏の謝罪と党内処分、野田氏の国対委員長辞任、では収まらないでしょう。火を付けた責任は永田氏にあるとしても、「延焼部分」の責任は前原代表にあります。

ここが明確にされないと、「挙党一致」で沈んでしまうことになります。前原氏も、残任期間を党首として過ごすだけになってしまい、発言に重みのない政治家で終わってしまいます。(もちろん、国会会期中に小泉政権を総辞職に追い込む大技を決めることができれば帳消しですが、難しいでしょう。)

民主党議員の皆さんには、金縛り状態から抜け出し、国民が納得するけじめを付けることを期待します。危機をやり過ごすのではなく、自己切開する決意が必要です。


[2006/02/27]  うっかり八兵衛だった

民主党が28日に謝罪会見するというニュース。これで逆風がおさまるかどうか。

永田議員は、うっかり八兵衛でした。これが「水戸黄門」なら、八兵衛がしくじっても助さんや格さんがなんとかしてくれるのですが、民主党幹部はフォローできませんでした。

永田議員の問題だけなら、彼が頭を丸めて謝罪すればよかったのです。この間の幹部の対応が傷を大きくし、禍根を残しました。

ダブルエラー、トリプルエラーをやってしまった。


[2006/02/26]  堀江メールの出所は自民党?

TBS系の「時事放談(爺放談?)」に、自民党元幹事長・野中広務氏、民主党元代表代行・藤井裕久氏が出演。前半部分を視聴。

国政調査権行使について、細川政権崩壊の引き金となった佐川急便からの借入問題と今回のメール問題とを対比して論じられていましました(細川内閣では国政調査権が発動されました)。

野中氏は前原代表に同情的であり、むしろメールの出所が自民党筋ではないかという推測もされていました。

この問題については、自民党の方がよく知っているようなのが不思議です。そして、個々の問題については答えないのが通例である検察が、メールについては把握していないというコメントを素早く出したことの不自然さもあります。

そういうことからすれば、民主党だけに批判の嵐が巻き起こるのは不条理です。しかし、この主張が通用するのならば、昨年の馬鹿げた解散劇で自民党が圧勝することはなかったはずであり、民主党はこういう現実から考えていくべきです。

道が開けてくるとすれば、近々予定されている100余りの小選挙区での候補者公募で志願者が殺到する場合です。やる気のある人が集まってくれば上げ潮になります。むしろ国政を担っていこうという気概ある人物なら、こういう秋(とき)こそ自分の出番だと腕を鳴らさなければなりません。


[2006/02/25]  6月に総選挙をやるとどうなるか

民主党の追求が不発となり、政治不信(民主党不信)だけが残ったとき、コイズミが「改革続行!」を旗印に、「もう1期やる」と総選挙を打った場合にどうなるか。これは、シミュレーションしておく価値があります。

総選挙を打つことへの批判。民主党への不信感。そして、小泉劇場への期待。これらの関数によって決まります。

ポスト小泉は小泉だった。民主党は潰れた。こういう最悪の可能性を見据えた、政党の危機管理能力が問われる局面です。


[2006/02/24]  ノルマ

ここで民主党が出直しをしなかったら、当分の間民主党への信頼は戻りません。このまま4点セット(ライブドア事件、米国産牛肉再禁輸、耐震強度偽装問題、防衛施設庁談合事件)が幕引きということになれば、「八百長」という批判は免れません。

「メール」で突き進んでかなりの成果を挙げる。あるいは、3ヶ月以内に小泉の首を取る。これが現執行部に課せられるノルマです。これができれば、結果オーライ。


[2006/02/23]  出直し

永田氏は議員辞職。前原氏は代表辞任。野田氏も国対委員長辞任。これが一番いいと思います。早いほうが傷が少ないでしょう。

素早く出直して、小泉政権の大失政を追及すべきです。そうでないと、民主党がいくら政府を追及しても、国民の支持を得られません。今なら、体勢を立て直して、小泉政権を総辞職に追い込むことが可能です。

昨日の党首討論で、たとえ躓いたとしても、ライブドア一本で攻める気概が党首に欲しかった。永田氏の失策よりも、楽しみにしてくれと言っておいて、党首討論で戦わなかったことの方が問題です。

前原氏が代表になったこと自体は、民主党にとって悪くない選択だったと思います。問題は執行部の形成方法。選挙の責任を明確にしない人選には失望しました。仲良しグループでやろうとすると、失敗したときは悲惨です。


[2006/02/22]  心証は黒だが・・

前原・小泉の党首討論。ホリエモン・メールについて、口座を明確にすることとセットで国政調査権行使を要求する前原氏。「国家権力の行使は極めて注意深く慎重にしなければならない」と述べる小泉氏。

45分間の討論の残り9分でライブドア問題というのは、まずかったのではないでしょうか。押し問答、水掛け論と言われても、ライブドア一本で行った方が面白かったと思います。

「国家権力の行使は極めて注意深く慎重にしなければならない」と言うのなら、イラク問題では国家権力の行使が慎重になされたのかどうか。ここを攻める方法もあったでしょう。

心証としては、ホリエモンから武部氏側にお金が渡ったことは確実であると思われるだけに、「メールの真実性」にとらわれることなく、ライブドア問題に切り込むべきです。

ドロー狙いでは、消化不良になります。


[2006/02/21]  うっかり八兵衛か桃太郎侍か

「ひとーつ 人の世の生血を啜り ふたーつ 不埒な悪行三昧 みっーつ 醜い浮世の鬼を 退治てくれよう  桃太郎・・・」 

と、悪代官・コイズミをやっつけてくれると期待していたら、ひょっとして「うっかり八兵衛」になるのではとの危惧も芽生えつつある昨今です。ホリエモン振込依頼メール問題。民主党が苦しんでいます。

国政調査権を行使すれば真相に迫れる可能性があるにもかかわらず、権力のガードマンと化したマスコミが、民主党の挙証責任の問題にしてしまっています。

このことで、民主党の能力に対する不信感が出てくると困ります。自民党なら、二世だ、三世だの世界で、そう賢くなくてもなんとかなるのですが、民主党が「三手先」を読めないというのは痛手です。

「次の一手」は、どうなるでしょうか。

「ガセネタでイラクを攻撃した米国をすぐさま支持し、憲法9条をものともせず自衛隊をイラクに派遣した小泉首相が、国政調査権の行使には哲学者のような態度を取るのはどうしてか?」と突っ込むか。明かなダブルスタンダードですが・・


[2006/02/20]  日本橋の景観

20日の読売社説で、日本橋の景観問題が取り上げられています。

<・・・江戸時代初期に架けられた日本橋は、五街道の起点となり、周辺には日本銀行の前身となる鋳造所や呉服屋、魚河岸などが栄えた。いわば日本の繁栄の歴史的シンボルでもある。

現在の橋は、1911年に架け替えられた。美しいアーチの石橋で、国の重要文化財に指定されている。橋中央に国道の起点となる日本国道路元標がある。

周辺の歴史的建造物や川の景観を生かしながら、東京の顔としてふさわしい街づくりを進めるべきだろう。

“日本橋の再生”は、全国各地の都市の景観についても考え直す契機となるに違いない。・・・>

読売新聞はこのように述べ、前向きな議論をすべしという立場を取っています。

私もこの意見に賛成です。

問題は、首都高速を移転して日本橋の都市景観を整えるために数千億円の費用が掛かることです。この費用を超える価値があるかどうか。

それだけの価値はあると思います。東京が世界を代表する都市になるためには、品格ある都市景観を形成する必要があります。超一流の都市になるための投資です。

地方都市においても、同様の発想が求められます。


[2006/02/19]  情報提供者

ホリエモンの3000万円振込依頼メールの真実性について、自民党が執拗に攻撃しています。これに対し、民主党が受け身の印象を与えているのは、情報提供者に対する配慮があるからです。

国政調査権を発動すれば真偽が解明されるのですから、自民党も応じればよさそうなものですが、強硬路線を取っているのは、ここに防衛ラインを引かざるを得ない事情があるのでしょう。

それにしても自民党の対応は、情報提供者に対して、「お前、死ぬ勇気があるのか」と脅しているようで、小泉自民党のヤクザ化を象徴しているような気がします。

前原・民主党代表は、このインチキ政権を打倒するためにこう言い切るべきです。「『メール』が真実でなければ私は党首を辞任する。小泉さん、『ガセネタ』でなければ内閣総辞職でしょうね」と。


[2006/02/18]  伊方町長、逮捕される

伊方町長が、収賄容疑で愛媛県警に逮捕されました。

町長が賄賂を受け取ったことに驚く町民は少ないと思われます。驚いたとすれば、収賄で捕まったことに対してでしょう。

原発があって町財政が豊かです。選挙ともなると、業者が死に物狂いで選挙に励みます。負けた側の業者は干乾し。

税金にたかる地方自治を絵に描いたような図式が当てはまる町。選挙も買収型であることが容易に推測されます。

町長が、町民を代表して逮捕されたということです。


[2006/02/17]  首を賭けろ

(共同通信)

民主党の藤村修国対委員長代理は17日夜、ライブドア側から武部勤自民党幹事長の二男への金銭振り込み疑惑で、18日にも振り込み指示メールの実物コピーを公表する方向で準備していることを明らかにした。ライブドアが送金に使ったとみられる銀行口座を特定しているとも言明した。国会内で記者団に語った。

藤村氏は、与党側がメール内容の信ぴょう性を疑問視していることを踏まえ「メールはできるだけ早い時期に、できれば18日に出すべく準備している」と述べた。17日の衆院予算委員会集中審議で配布できなかったことについては「(情報提供者に対して)脅迫があった」と指摘し、あらためて情報提供者の理解を得るように努力しているとした。

(コメント)

ホリエモンによる武部幹事長次男への金銭振込指示メールがあるとする民主党。「ガセネタ」だという小泉首相。

自民、民主のトップと幹事長とが首を賭けるべきでしょう。真剣勝負を期待します。


[2006/02/16]  級長

愛媛新聞によると、松山市の小学校の7割で学級委員(級長)が廃止されているそうです。児童全員が代表であり、主役であるという意識を子供らに持たせるという理由が示されています。

教育がそこまでゆるくなっていることに驚きました。リーダーのいない社会はありません。子供のときから、代表者を選びそれを支える訓練と、リーダーとして組織を統率する訓練とが必要です。

皆平等などという虚構を前提とした教育は、学校を平和にはするでしょうが、社会を衰退させることにつながると思います。


[2006/02/15]  陣地の構築

平成の市町村合併は、広域で自治をやれば効率的であり、人口減少社会に対応することが可能であるという発想が背景にあります。

しかし逆に、合併によって行政サービスが低下し、自治への関わり合いも希薄になっていくことで、住民が定住する条件が乏しくなっていきます。

人口減少社会に真っ向から立ち向かうには、陣地の構築が必要です。それが、都市機能を集約した小さな街区です。

街区は、小さくて密度が濃ければ濃いほど有効な陣地になります。


[2006/02/14]  小さな村の小さな街区

市町村合併で中心地になれなかった自治体は寂れます。

漠然とした地域経営では、衰退に拍車が掛かります。それを防ぐには、地域の小さな中心街区をつくる必要があります。せいぜい半径数十メートル。その地域に必要とされる都市機能を全て集約します。

そうすることで地域経営が合理化され、人口減少が進んでも地域の活力を温存できます。


[2006/02/13]  小さな都市に未来あり

三位一体改革という国家詐欺の下で、地方は疲弊しています。そうであればこそ、「まちづくり」=地域防衛が大切になってきます。

これまで民主党で活動してきたせいで、時局・政局を論じ勝ちにはなりますが、このHPで地域づくりに光を当てていきたいと思っています。

小都市に未来あり。こう言えるようにしたいものです。


[2006/02/12]  「往復書簡」

きっこのブログ」で、「自殺」した野口英昭氏の御家族との往復書簡が公開されています。

警察とマスコミによる「幕引き」に対する家族の不信感には、合理性があります。この手の事件には、必ずと言っていいほど「自殺者」が登場します。そして、消化不良のまま事件が風化していきます。

2月7日に紹介した「世に倦む日々」や「きっこのブログ」等、ブログジャーナリズムの時代を予感させる雰囲気が出てきました。

北朝鮮の民衆は(戦前の日本でも一部知識人は)、報道の行間を読むと言われます。これからの日本でも、「行間」を読むためにブログが必須アイテムになりそうです。

先日のテレ朝・朝まで生テレビで、9.11選挙と(テレビ)報道について議論されていました。そこでの議論はもっともらしく聞こえるものの、生煮えでした。「政治評論家・森田実氏は、何故テレビに出られなくなったの?」(明確な反小泉は排除されているのではないか?)という質問をしたくなりました。


[2006/02/11]  退行現象

困難な状況に遭遇したとき、精神発達上より未熟で幼稚な段階の行動を示すことを、心理学で「退行」と言うそうです。

社民党大会での「宣言」は、政党における退行現象であると思われます。従来の常識や知識にとらわれない発想で国家の窮地を打開しなければならない政党の責任を回避し、安易な原理主義に立ち返ってしまいました。

「左中間」が広く空いている民主党・前原路線の隙をつく発想もなく、却ってレフトライン際に守備位置を取ったことで、民主党を楽にしました。

前原氏は心の中で、「福島さん、ありがとう」と手を合わせていることでしょう。[2006/02/10]  名誉党首

(毎日新聞より)

社民党は10日、村山富市元首相と土井たか子元衆院議長の両党首経験者を「名誉党首」に内定した。12日の党大会最終日に正式決定する。

旧社会党からの党名変更から今年で10周年となるのにあたり、同党は「党に多大な貢献をした」(又市征治幹事長)両氏に名誉党首就任を求めることを決めた。

(コメント)

気は確かか、と言いたいところです。

土井氏は、まあいいでしょう。しかし村山氏は、野に下り崩壊しかけていた自民党を「自社連立」で救った人物です。心ある旧社会党員なら、村山氏は社会党を潰したA級戦犯であると断言するでしょう。自民党の名誉党首なら納得ですが。

病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)


[2006/02/09]  靖国神社合祀

靖国神社参拝問題については、繰り返し繰り返し述べておきたいと思います。

靖国神社には、戦死者が祀られています。ここに戦死者でない者を混ぜていいのかどうか。「A級戦犯」達は、戦死者ではありません。

問題なのは、「生きて虜囚の辱めを受けるな」と命じられて散っていった兵士達と、生きて虜囚の辱めを受けた戦犯達を同じ靖国に祀ることが、兵士達を冒涜するものだということです。

兵士達が死ななければならなかった原因は、国家のリーダー達が国策を誤ったことにあります。

2月6日の愛媛新聞。終戦の年の2月に、元首相・東条英機が天皇陛下の前で、「特攻隊で対抗すべし」との強硬論を述べていたことが紹介されています。この人物と特攻隊で死んだ若者とを一緒に祀れという残酷な主張ができるものかどうか。

外交問題ではありません。占領軍が裁いたからどうこうではありません。どうして惨憺たる敗北を喫することになったのか。根本的な総括が必要であるし、それがまだできていないことを問題にすべきだと思います。


[2006/02/08]  天皇家の意志

紀子様ご懐妊のニュースが、政治を揺さぶる結果となっています。常識的には、男系か女系かといった論争は、しばらく凍結されることになります。

このご懐妊は、皇室、少なくとも秋篠宮家が、現行法に則った皇室制度の維持が必要であるという意志を持っているということの表れです。

昨今の男系だ女系だという議論の背景にあるのは、皇室は体制側の権力維持装置であり、激烈な革命を防止する機能を有するという考え方であり、もっと言えば、皇室は道具であるという発想です。そこには、皇室の意志はありません。

今回の秋篠宮家の「意志」から想像される事態。皇太子家の皇室離脱です。


[2006/02/07]  野口英昭氏の「自殺」

沖縄県警が「自殺」と発表した元ホリエモンの側近、野口英昭氏。週刊文春のスクープ記事以降、他殺説が沸騰してきたため、テレビでも報道されています。最近の論調は、「やはり自殺」説です。

これがどうも腑に落ちない。ライブドアと闇社会との接点に野口氏がいたのではないか。沖縄行きが常に偽名。「マイル」を貯める趣味の野口氏が「マイル」を放棄。文春の取材に対しカプセルホテル経営者が、「警察の判断を覆すようなことはできないんです。小さな地域です。私たちが生きていけなくなります」と土下座したこと・・・

人気ブログ「世に倦む日日」では、この問題に力を入れています。
http://critic2.exblog.jp/2690430


[2006/02/06]  立地規制

(共同通信)

政府は6日、郊外でスーパーなど大型店の立地を規制する一方、中心市街地に大型店を呼び戻すため「まちづくり三法」のうち都市計画法などの改正案と、新しい住宅政策の憲法となる住生活基本法案を閣議決定した。

立地規制は、郊外の市街化調整区域や土地の用途を決めていない「白地地域」で、延べ床面積1万平方メートル超の大型店などの立地を禁じる内容。規制区域のある市町村が大型店の立地を認める場合は、都道府県を通じ周辺市町村とも合意を図ることなどを新たに義務付けた。

一方、大型店を呼び戻すための中心市街地活性化法改正案では、大型店撤退後の空き地、空き店舗があり再活性化を急ぐ地域を都道府県が「特例区域」に指定。新しい大型店が進出する際の手続きを簡素化する。

(コメント)

歯止めのない郊外化は、それに都市基盤整備が追いつかず、国や自治体の財政悪化に拍車を掛けます。

中心市街地の衰退を防ぎ、高齢社会対応型の歩いて暮らせる街をつくるためにも、コンパクトシティーを追求すべきです。

郊外の「白地地域」に、資本の論理で、「疾風(はやて)のように現れて、疾風のように去っていく」大型店。トータルでどれだけ地域に貢献することになるのかを、冷静に判断する必要があります。

都市中心部の核施設として、大型店に活躍していただきたいと思います。


[2006/02/05]  結果の不平等+機会の不平等

日曜朝のNHK・討論番組で、「格差社会」の問題が取り上げられていました。

野党側が、結果の不平等だけでなく機会の平等も奪われているところに問題があると指摘していました。同感。

民主党・原口一博氏が、<「小泉改革の光と影」という言い方は正しくない。「陰と闇」である(だったかな)>と発言されていたのには、座布団2枚。


[2006/02/04]  天皇制の維持

女性天皇はいいが、女系天皇は否定すべし。連綿として続いてきた男系の歴史を断絶させるべきではない。Y染色体が重要だ、という男系論者。

皇族を離れた男子を呼び戻すことになれば、天皇としての素養を身につける時間がない。女系であるか否かではなく、長子を皇位継承者にすれば皇位継承者が早めに決まり、制度の安定性が保たれる。男女平等の理想にもかなう。こう考えれば、女系天皇容認論。

しかし、どちらにも無理があるように思います(女系論では、愛子様の結婚問題が大変な問題になります。男系論では、皇室に戻された皇位継承者に国民の尊敬が得られるかどうかの問題もあります)。皇室の意思を尊重し、天皇およびその御家族がその地位を離れることも許されると考えるべきです。

雅子様の御病気が物語るように、現行天皇制には無理があります。天皇制の維持を絶対の前提条件と考えるところから考え直すべきではないでしょうか。天皇制の議論にあらゆる可能性を残しておくべきです。

因みに、私は現天皇家の品格に尊敬の念を持つ者です。


[2006/02/03]  金正日が拉致を指示

(時事通信)

北朝鮮による大阪の原敕晁さん=失跡当時(43)=拉致に絡み国際手配されている工作員・辛光洙容疑者(76)が韓国捜査当局の調べに、「金正日(現総書記)から直接指示された」と供述していたことが3日、分かった。韓国の情報機関国家安全企画部(現国家情報院)の元捜査員が同日、取材に対し、事実関係を認めた。

同部の当時の資料にも同様の内容が記載されていることが判明した。

(コメント)

金正日の仕業であることは誰もが知っているというか、想像しているところです。しかし、金正日は部下がやったことだと逃げを打ってきました。

こうした証拠を橋頭堡として、日本政府は犯罪者・金正日を厳しく問いつめ、拉致問題の全面解決に向けた態勢をつくるべきです。

支持率が落ちてきた小泉政権が、人気取りのために北朝鮮とつまらない裏取引をしないよう、国民が監視しなければなりません。


[2006/02/02]  嗚呼、社民党

(日経新聞より)

社民党は2日午前の常任幹事会で、1112日の党大会で採択する「社会民主党宣言」の最終案を決めた。最終案は「明らかに違憲状態にある自衛隊は縮小を図り、非武装の日本を目指す」と明記、平和憲法を堅持する姿勢を鮮明にした。旧社会党時代の1994年に「自衛隊は憲法の枠内」とした基本方針を見直すもので、2007年夏の参院選に向けて一段と独自色を強める狙い。

(コメント)

要するに、「ブティック」として一定のシェアを確保して生き残ろうというものです。その意味では、「たしかな野党」と同じ路線です。

民主党が、センターレフトの菅路線ではなく、右にシフトする前原路線であることで「左中間」が広く空いているのですから、当然予想される戦略です。

政権交代よりも生き残りを策するということが大局的に見てどうなのかが冷静に判断できなくなったということです。「政治音痴国」日本が当分の間アメリカに搾取され続ける構図から抜け出せない方向に社民党が舵を切ったということです。


[2006/02/01]  前原路線と政権交代

民主党・前原代表は、民主党が政権党となるためには、安全保障政策で政権交代後も自民党政権との継続性があることを明示し、国民が安心して政権交代の決断ができる前提をつくる必要があると考えているようです。

しかし、この安全保障政策の継続性が政権交代の必要条件となるのかどうかは不明です。

国民が政権交代の決断をするときというのは、自民党政治への憤激が一定以上の高まりを見せる場合か、自民党の政治とは全く異なるビジョンが提示され、それに対する期待感が高まった場合ではないでしょうか。その場合には、安全保障政策は争点にはなりにくいと思われます。

民主党がまとまれる条件を、安全保障政策の一致に求めることは、却って自ら政権交代を困難にすることになります。

ただし、前原路線が党内でそれなりの評価を受ける状態になれば、良いことが一つあります。財界に対して、「金を出せ」「保険を掛けろ」と強く出ることが可能になります。政治資金を潤沢にすることが政権交代の近道であるということは、政治をリアルに見た場合の真実であると思います。


玉井彰の一言 2006年2月 四国の星ホーム前月翌月