玉井彰の一言 2007年9月 四国の星ホーム一言目次前月翌月

2007/9/30(日) 国交省の簡易型インターチェンジ案・・・便利にはなるが

5キロ毎にインターチェンジができる。便利にはなります。ただし、ETC専用の簡易型インターチェンジ。

設置費用が従来型の30億円〜60億円に対し、3億円〜8億円に抑えられ、無人化により維持管理費も減らせます。

【5キロおきに高速道インター 低費用の簡易型増設】(共同通信)
国土交通省は29日、ノンストップ料金収受システム(ETC)専用で整備費用が安い簡易型インターチェンジ(IC)を大幅に増設する方針を決めた。高速道路のICは全国平均で約10キロおきに設置されているが、間隔を将来的に欧米並みの約5キロにまで短縮したい考えだ。

ICが増えれば高速道路を利用しやすくなり、工場や商業施設の誘致による地域活性化や、短距離利用者の増加で周辺の一般道の混雑解消を期待できる。

国交省は、2008年度から簡易型ICの開設費用の一部を負担している地方自治体に対し、負担を軽減する支援事業を創設し、設置ペースを上げる。

簡易型ICは、既存IC間にあるサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)への物資搬入道路を拡幅するなどして設置する。建設費は用地買収から始まる通常型の30億−60億円に比べ3億−8億円に抑えられる。無人なので維持管理費も少なくて済む。

【コメント】
民主党がマニフェストに掲げていた高速道路無料化が遠のくような話です。何が何でも有料化で押し通したい。その延長線上で出てくるアイデアです。

今日の交通体系を考えれば、高速道路は全国を結ぶ「国道ゼロ号線」と考え、地方における車での移動コストを軽減することによって地方活性化の武器にすべきです。

都市部での無料化は交通渋滞を招くのみなので、有料で行かざるを得ないと思います。その点での不都合は、高速道路の利用料金を税の控除対象にするなどのやり方で是正可能です。

永久有料化路線の中での構想。幕末の「公武合体論」を思い出しました。


2007/9/29(土) 地方都市間航空路線の廃止・・中央集権の結末

地方都市の間を結ぶ航空路線が採算割れのため廃止になるケースが目立ちます。

人口がそれほど多くない地域同士の結びつきを維持するのは難しい、と言ってしまえばそれまでですが、やり方はあると思います。

【全日空の福岡―新潟便廃止、国交省が地元との協議継続指導】(読売)
国土交通省は28日、福岡―新潟線の廃止届を同日付で提出した全日本空輸に対し、地元自治体などと協議を継続するよう文書で指導した。

路線廃止は届け出制で航空会社の判断に任されており、国交省が文書で指導するのは異例だ。路線継続を求める地元に配慮したものだが、強制力はない。

全日空が同日、廃止を届け出たのは、福岡―新潟のほか、福岡―富山、新千歳―松山など計7路線。利用者に配慮して、廃止する区間を別の路線で乗り継いで行く際に、割引料金制度の導入を決めている。しかし、福岡―新潟線については地元自治体や経済界が継続を強く求めており、全日空と協議を続けている。

全日空は「引き続き地元との協議を続けたい」としている。

【コメント】
24日から26日まで、格安ツアーで北海道(函館、小樽、札幌)に行ってきました。

行きは、松山から羽田経由で札幌(千歳)。帰りは札幌から松山。帰り便は満席でした。その松山・札幌ルートの廃止が決まっています。松山・札幌便は団体客の利用が大きいので、利用の割には利益が出ないということのようです。

結局、全ての航路は羽田に通ず、ということになるのでしょうか。巨大な人口を有する関東圏(羽田)を中心に航路を組めば、間接的に地方間の移動は可能になります。

これは、中央集権の政治体制をそのまま描いたものに過ぎません。地方間の直接的な経済の繋がりが断ち切られ、全てが東京経由でしか進まないというあり方は、我が国の発展にとって好ましい事態ではありません。

地方ブロックが独自の産業政策を持ち、地域国家的な自立を果たす。地域ブロック間の関係は外交に類似したものとし、相互の連携が外国同士の経済交流と同様の経済効果をもたらす関係になっていくべきです。

諸悪の根元としての中央集権体制。中央集権の桎梏から解き放たれることが地方経済の活性化策になります。


2007/9/28(金) 官僚の能力を開花させるには、中央集権体制をぶち壊す必要がある

我が国の中央集権体制は、とっくの昔に賞味期限が切れ、時代遅れになっているにもかかわらず、政治システムの不備・未熟によって存続し続けています。

先進国に追い付くための中央集権。追い付いた後は、それぞれの地域の歴史や文化を見直し、各ブロック毎に産業政策を樹立して経済的な自立を目指し、各地域ごとに福祉のあり方を追求していく必要があります。

それを怠った付けが、1000兆円にも及ぶ国と地方の負債です。中央集権を維持する経費だったというべきか、自民党政治を維持するための経費だったというべきか、無駄な出費が繰り返されました。

霞ヶ関が地方統治を行うための補助金システムは、無駄な経費の代表格です。地方の実情に合わない補助システムを霞ヶ関の机上で起案し、地方の役人達はどうせ役に立たないことを知りながら補助制度を調べて国から金を引き出します。効果の程は疑問であって、なんでこんなものが出来るのか首を傾げるような公共事業の連続でした。

中央集権のシステム解体は、地方のためのものでもありますが、見方を変えると、これまでくだらない仕事で封印されてきた官僚達の能力開花のチャンスでもあります。

現行システムにぶら下がるしか能のない人は別として、ある程度以上の能力がある人なら、現行システムをぶち壊してしまった方が、国や地方での活躍の場が広がってきます。

戦争に負ければ地獄が待っていると思っていた太平洋戦争時代。ところが、敗戦後にはあらゆることが可能に見える青空が広がっていました。それと同じように、現行システムしか生きる道がないと思いこんでいる官僚諸君には、それをぶち壊してしまうことことで青空が広がってくるということを是非とも理解して欲しいと思います。


2007/9/27(木) 「美しい国」の破綻と「うわばみ政治」の復活

安倍・前首相が掲げた「美しい国」。概念が漠然としており、政治が指し示す理念としては大いに問題がありました。戦前回帰型の発想という以外に言いようがありませんでした。

促成栽培された政治家の稚拙なスローガンを実行するために、内閣の編成も偏ったものになりました。昨年9月27日のブログを再掲します。

【落日の始まり・・・安倍政権誕生】(平成18年9月27日ブログ) 

気心の知れた仲間で内閣を組織するのも悪くないと思います。仲の良いメンバーを閣僚に据えた内閣が発足しました。安倍晋三氏にとって人生最良の日。そして、落日の始まりです。

官邸主導型の内閣を意識した布陣が敷かれています。これが逆に、安倍氏の自信のなさを表現しているように見えます。重圧を感じながらの人事であったことが分かります。下手をすると「引きこもり内閣」になり、外部に敵をつくりながらの政権運営に終始する可能性もあります。小泉政権のように「チャンバラ」をすることにもならないと思います。

霞ヶ関の省庁や諸外国との無用の摩擦を起こす懸念もあります。小泉氏のように孤独かつ強運の勝負師であればともかく、「促成栽培」の安倍氏にはきつい展開になるでしょう。

組閣人事を見る限りでは、ブレーキを踏める人物がいるのかどうかが分かりません。ブレーキ役がいれば、上記の懸念はなくなります。そのような人物がいなければ、ブレーキの利かない暴走内閣になる可能性があります。

涎を垂らして集まってきたメンバーがどこまでやるのか。52歳の総理大臣。実力があれば、もしくは実力を付ければ、大きく飛躍するでしょう。しかし、足らざる所を補う心掛けがなければ、内閣が短命に終わるだけでなく、政治家として転落の始まりになる可能性があります。私は、後者だと思っています。

涎を垂らして近寄った方々が、ハンカチで口を拭いながら立ち去っていく近未来の光景が目に浮かびます。「人気がある」ことが人気の源泉である安倍晋三氏。つくられた人気が崩壊する日が近づいています。


【コメント】
あれから1年、安倍政権は崩壊しました。

「美しい国」に関して言えば、全く違う観点から、基準ないしは指標を明確にして打ち出せば、面白い政治になったと思います。

第一に、美しい景観(自然景観と都市景観)を有する国・日本をつくる。

第二に、責任ある立場の人間が、美しい出処進退のあり方を自ら示す、志高き国・日本をつくる。

以上。

庶民に美しい心を求め、高位高官の者は責任を取らない国が戦前の日本でした。安倍氏は、そうした戦前の日本に美しさを求め、挫折しました。

さて、福田内閣。丸飲み型・うわばみ型の自民党政治が復活しようとしています。民主党の若手が単線型の発想で臨むと、丸飲みされてしまうことにもなりかねません。


2007/9/26(水) 案外支持率が高い福田内閣・・空気を読む必要あり

福田内閣の支持率は最高50%と予測していたのですが、世論調査では案外高い支持率が出ています。

このところの自民党総裁選報道によるところも大きいでしょう。総理大臣のキャラクターが大きく変わったことでの安心感、地方重視、格差是正の路線に転換してくれるのではないかとの期待感もあるように思われます。

【福田内閣支持率57・5%、発足直後で4位…読売世論調査】(読売)
福田内閣の発足を受け、読売新聞社は25日夜から26日にかけて、緊急全国世論調査(電話方式)を実施した。

新内閣の支持率は57・5%で、不支持率は27・3%だった。支持理由では「安定感」を挙げる人が最も多かった。

新内閣が当面する最大の課題となるインド洋での海上自衛隊の給油活動継続については、「賛成」が47%で、「反対」の40%を上回った。調査で浮かび上がった民意は、民主党が参院第1党となった「ねじれ国会」での与野党攻防に影響を与えそうだ。

福田内閣の支持率は、発足直後の調査(大平内閣以降)では、小泉内閣の87・1%(電話方式)、細川内閣の71・9%(面接方式)、安倍内閣の70・3%(電話方式)に次いで4番目の高さとなった。

支持政党別に見ると、自民支持層は83・0%、公明支持層は約7割に上った。支持政党がない無党派層も支持(42・2%)が不支持(32・0%)を上回った。

支持する理由(一つ選択)では、「首相に安定感がある」(50%)が「政策に期待できる」(13%)「自民党と公明党の連立政権だから」(12%)などを引き離した。「お友達内閣」と言われ、若さや未熟さを指摘された安倍内閣の反動もあり、福田首相の安定感が支持率に結び付いたようだ。

新内閣では、安倍改造内閣の閣僚の大半が再任されたが、この首相の判断を「適切だった」と思う人は67%で、「そうは思わない」は21%だった。自民党4役にいずれも派閥の領袖(りょうしゅう)が起用されたことについては「好ましくない」(56%)が、「好ましい」(30%)を上回った。

海自の給油活動の継続については、「賛成」(47%)が多数派となった。調査方法や質問が違うため、単純には比較できないが、9月8、9日に実施した全国世論調査(面接方式)では「反対」(39%)が「賛成」(29%)を上回っており、活動継続の必要性が国民に浸透しつつあることがうかがえた。

この問題では国連安全保障理事会が対テロ作戦への「謝意」決議を採択したが、民主党は海自の給油活動を認める根拠にはならないとして、活動継続に反対している。こうした民主党の対応については「納得できない」(47%)が「納得できる」(38%)を上回った。

衆院の解散・総選挙の時期については「できるだけ早く行う」は35%で、「急ぐ必要はない」は58%。9月15、16日に行った自民党総裁選告示直後の調査(電話方式)に比べて「できるだけ早く」は16ポイント減少した。

【コメント】
KY(空気読めない)と言われた安倍氏の代わりに登場したのが、空気が読めそうな福田氏。

自民党総裁選の報道が、政治的熱気に水を差して平穏な空気を醸成したという面も否定できません。

民主党が押せ押せムードを続けていいのかどうか、難しい局面です。年金問題や格差の問題、そしてテロ特措法の問題について、精密に議論を積み重ねていく。その結果として福田政権が追い込まれていくという方向があるべき路線だと思います。

下手とすると、民主党がKYの汚名を着せられる恐れがあります。世論の気まぐれというのも読み筋に入れておく必要がありそうです。


2007/9/25(火) 札幌にて

昨日より、2泊3日の格安ツアーで北海道に来ています。昨日は函館。夜景が素晴らしいとは聞いていましたが、百聞は一見にしかず。感嘆しました。函館、神戸、長崎が日本の三大夜景。ナポリ、香港、函館が世界の三大夜景だとガイドさんが言っていました。

函館のホテルはインターネットなし。札幌でやっとネット接続ができました。

札幌に来たからには、何が何でもとラーメンを食べに出ました。ガイドブックを頼りに名店を探訪。おいしかった。本日はこれまで。


2007/9/24(月) 吹き出してきたマグマを沈静化できるか・・福田政権の舵取り

福田政権が25日に成立します。参議院は小沢一郎氏を指名するので、衆議院(2005年9月の国民意思)を代表する政権ということになります。

参院選での自民党惨敗は、保守の反乱によるところが大きく、この部分への手当をしないと政権を維持できないという認識を福田氏は持っていると思います。

変化球主体でかわすピッチングということになりますが、それでかわし切れる情勢かと言えば、そうとも言い切れません。

新政権発足後しばらくは落ち着いた様相を呈するでしょうが、国民生活の様々な部分が亀裂を生じているので、そこから生じる不満のマグマを沈静化することは難しいと思われます。

民主党の主張を丸飲みするという決断をすれば活路が開けてくるかもしれません。しかし、それで内部が持つかどうか。


2007/9/23(日) 視聴率が上がらない総裁選・・・妥協型政権にならざるを得ない

テレビが躍起になって盛り上げようとしている自民党総裁選ですが、最初から結果が見えているせいか、視聴率が上がらないようです。

そのことで思い出されるのは、昨年の総裁選で安倍氏が登場すると他の2候補のときより視聴率が下がる傾向があったことです。その情報をインターネットで見て、安倍人気がつくられたものであることが分かりました。

今回の総裁選が盛り上がらない原因は、結果が決まりだということだけではないようです。国民(取り分け自民党員)から見て、違いがよく分からない、候補者が何をしたいのかが分からないということだと思います。

個々の討論を聞いていると、それぞれに考えに違いがあることが分かります。しかし、少し引いたところから見ても違いが分かるというほど輪郭がはっきりしていません。

そうしたところから見て、福田政権の支持率は最大50%程度で、漸減していく傾向だろうと思われます。

富の分配がうまくいっている時代なら悠々と政権運営ができるでしょうが、「格差」が問題になっている現在の状況下では、かなり危うい状態での政権運営になります。

妥協型政権にならぜるを得ません。守りに徹し、変幻自在に妥協を繰り返す形で凌ぐということになります。衆議院選挙も争点が絞りにくくなる可能性があります。


2007/9/22(土) インド洋上の給油はアフガン向けか、それともイラク向けか

「インド洋上のガソリンスタンド」が「国際公約」であるという前提で押し切ろうとする自民党。これが、アフガニスタンでのテロ活動に対抗するものではなく、イラクでの活動に充てられているのであれば、国民に対する背任ないしは横領行為になります。

【海自給油:防衛省、給油量の食い違い認める】(毎日)
03年のテロ特措法による米艦船への海上自衛隊の給油量について、市民団体が米海軍から入手した公文書と政府答弁が食い違っている問題で、防衛省は21日、公文書通り答弁の約4倍の燃料を給油したと認めた。同省は「データの入力ミス」とし、団体が指摘している対イラク作戦への転用については否定した。

同省によると、イラク戦争開戦を控えた03年2月25日、インド洋上で、海上自衛隊の補給艦が米補給艦に約80万ガロンの燃料を給油。米補給艦は同日中にほぼ同量をイラクに向かっていた米空母に給油した。同省内で、データを整理、コンピューター入力する際、この補給活動の直後に補給した別の外国艦船への補給量約20万ガロンを誤って入力したという。

同法はテロ掃討作戦などに従事する艦艇に給油先を限るため、同年5月、米空母への給油が目的外使用にあたるのではないかと野党側が指摘。この際、政府側は給油量を入力データに基づき20万ガロンとし、「空母が1日で使う量」と答弁していた。

【コメント】
「入力ミス」だとすれば、防衛省が社保庁並みの杜撰な組織だということになります。イラクでの活動を支援するためにテロ特措法が利用されているのでないか。そうした疑問を払拭することができません。

自民党とマスコミとが共同歩調を取り、テロ特措法に基づく給油活動が国際社会に対する責務であるという世論誘導を行っている気配があります。

事実をきちんと詰めていかないと、大局的な判断を誤ります。参議院での野党による国政調査権発動への期待が高まります。

衆参両議院を自民党が押さえていた状態は、国会がザル同然の無能組織であったということを反面から教えてくれています。


2007/9/21(金) 民主党は勝てるか・・小沢主義の徹底と「決め球」

「打ち頃の速球」を投げる安倍投手が突如降板。替わって登板しそうなのが、のらくら投法の技巧派投手。打てそうで打てない展開となり、追加点を取れないまま終盤を迎え逆転を許す。

野球ではそういう試合が多いのですが、さて政権交代への戦いはどういう道筋を辿るのでしょうか。

【民主若手、地元回りに熱 総選挙へ「小沢戦略」】(朝日)
自民党が総裁選に忙しいさなかに、民主党の当選1、2回の若手衆院議員が地元回りに励んでいる。足場を固めろという小沢代表の意向を反映したもので、次の総選挙に向け地力強化を狙う。安倍首相の辞任表明で生じた国会空転を契機に、ベテランは東京で政策の「弾込め」を進め、選挙の足腰が弱い若手は身軽にして地元回りを徹底させる――。次の総選挙に政権交代をかける小沢氏の戦略だ。 

民主党は8月末からの一連の人事で、若手は極力ポストに就けず、地元に戻りやすい布陣とした。首相辞任表明の翌13日、安住淳国対委員長代理はさっそく「こんな状況だから地元に帰れ。選挙区優先。とにかく通らないとダメだ。国会対策も今はベテランに任せておけ」と若手らの尻をたたいた。 

その夜、地元入りした三日月大造衆院議員(滋賀3区、当選2回)は14日朝、JR草津駅東口の駅前で「あれ、国会中なのに三日月おるやないか。そうなんです。首相が敵前逃亡、職務放棄で国会が空転してしまった。急きょ、報告に戻って参りました」。 

「ボク、辞める……は無責任の極み」と首相批判のビラも用意。「早く総選挙をやりましょう。民主党が政権をとり、二世三世の坊ちゃん政治、特権政治を改めます」と声を張り上げた。19日に上京したが、21日には地元に戻る「ピンポン生活」だ。 

ほかの若手も同じだ。05年に比例東京ブロックで復活当選した長島昭久衆院議員(当選2回)も20日早朝、地元のJR立川駅前で「誰が自民党総裁になっても同じ。自民党政治の行き詰まりは明白だ。次は我々に政権を任せて」と訴えた。 

19日夜、岡田克也、前原誠司両副代表らとの会合で「次の衆院選も政治生命をかける」と決意表明した小沢氏自身も、参院選のお礼回りを兼ねた地方行脚を10月中旬から再開する。若手の動きには、そんな小沢氏が力説する「日常活動」の効果を実感した影響も大きいようだ。地元回りを重ねる若手の一人は、こう指摘する。 

「浮足だった05年の郵政選挙の二の舞いを演じたくない。1人区を中心に大勝した参院選で、みんな地道な活動が重要だと悟った」 


【コメント】
足で稼ぐという小沢主義を徹底することは、自民党の議員にとっては脅威です。近年、自民党の議員も「不在地主」化しているので、防御には不安を抱えています。

自民党が崩壊過程に入っているので、「押し相撲」一点張りで勝てそうな気もします。しかしそこは自民党。数十年権力の座にいる底力を馬鹿にすると、大怪我をします。

徳川幕府末期にも様々な揺り戻しがありました。そうしたことを考えると、「小沢主義」+衆院選での「決め球」が必要になってくると思われます。

参院選の目玉だった農家への個別補償も研究されてくるでしょうから、保守系有権者の心にストンと入っていく分かりやすい目玉政策が必要になってくるでしょう。


2007/9/20(木) 「小泉新党」の意味するもの

政局の節目節目に「小泉新党」なる構想が浮上してきます。

これは、自民党が「改革の陰の部分」を手当てすることが出来ず、国政選挙を勝ちきることが困難になってきたことを受けて、「構造改革路線」の生き残りを策する企画と見ることが出来ます。

都市型政党としての小泉新党と地方重視型の旧来型自民党。この両者が棲み分けして戦えば、都市の票も地方の票も取り込めるという皮算用が成り立ちます。

究極のペテン政治です。両者が「連立」を組むとしたら、都市有権者か地方有権者か、どちらかが(あるいは両方が)裏切られます。

ただし、この構想には盲点があります。2年前の郵政選挙は、日米合作の大芝居であり、マスコミも動員されての大キャンペーンがありました。こうした芝居を再度「上演」することは不可能に近い作業です。

また、「小泉神話」にも賞味期限があります。「小泉再登板」には一定の衝撃がありますが、格差の根元を辿れば小泉政治の欺瞞に行き着きます。これ以上有権者を騙すことは不可能です。

小泉氏がペテン師ではなく「英雄」であったとしても、再登板後の彼を待ち受けるのは、「ワーテルローの戦い」です。幽閉されていたエルバ島から脱出したナポレオン1世は、再度登板。しかし、ワーテルローで敗れ、セントヘレナ島に流され、客死。100日天下と言われました。


2007/9/19(水) 「新たな国連決議」・・山崎拓氏の発言

自民党・山崎拓氏は、テロ特措法に関して、海上自衛隊のインド洋上の給油活動について政府が新たな国連決議を求めるべきだと発言しました。

こうした柔軟な発想が出てくれば、テロ特措法問題はそれほど難しい問題ではなくなります。少なくとも、国内問題としては。

【海自給油活動:「新たな国連決議を求めるべきだ」山崎拓氏】(毎日) 
自民党の山崎拓前副総裁(テロ特措法に関する与党プロジェクトチーム座長)は18日、東京都内で講演し、海上自衛隊のインド洋での給油活動について、政府が新たな国連決議を求めるべきだとの考えを示した。活動継続に向けた新法案提出に関しては「内容についてあらかじめ民主党と話し合う必要がある」と述べ、国連決議が民主党を説得する材料になるとの見方も示した。

また北朝鮮を取り巻く国際情勢に触れ、「核問題は日本以外の国と北朝鮮の間で、解決に一気に走っている。日本は一挙に追いつかなければならない」と対北強硬路線を取った安倍政権を批判。福田康夫元官房長官の首相就任を前提に「来年の今ごろには(日朝国交正常化が)実現しているのではないか。それを成就させるための新しい政権だ」と述べた。

【コメント】
山崎氏の発言は、外交問題としても充分クリアできるものだと思います。

アメリカに対して、真っ正直な単線の発想から脱却し、多彩な変化球を投げ分ける外交路線に転ずる必要があります。「国際公約」などと言ってしまって、自縄自縛に陥る必要など全くありません。

そのために、野党の存在を利用すればいいのです。

所詮は、インド洋上の「ガソリンスタンド」の問題です。困るのはアメリカ。

そういう割り切りの下で、アメリカに国連決議の提案を求めるのです。国連決議は、インド洋上での給油活動が「国際世論」なのだとしたら、簡単に可決されます。


2007/9/18(火) 自民党に可能なのは、「心優しい中央集権」か「冷たい中央集権」かのどちらかである

小泉政権を5年半継続させたことが、我が国を蝕み、自民党を「ぶっ壊す」ことになりました。

この部分を斜に構えて言った麻生氏は、「大本命」の地位を失いました。福田、麻生両氏とも、「構造改革の継続」を言わざるを得ない状況で総裁選を戦っています。

何をどう改革するのか、全く分からずに「改革」してきた小泉氏。そして痛みが地方と弱者、若者に集中してきた結果としての参院選での自公政権大敗。

「改革の陰の部分」への修正を図るとすれば、小泉流の「冷たい中央集権」から「心優しい中央集権」への転換しかありません。しかしそれでは、バラマキ型の福祉であって国家財政を歪めるだけに終わります。

民主党の政策、特に農家への所得補償についても、バラマキとの批判があります。しかしこの批判は、従来の自民党のバラマキ政策が「中間搾取団体」経由のものであったことを忘却しています。格差是正を真剣に考えるならば、所得補償が最も効果的です。

生産性の乏しい産業や付加価値生産能力無き個人(弱者)を保護・助成することはバラマキだと定義するならば、民主党の政策はバラマキです。しかしそれこそが政治本来の課題だったはずです。

生産性なき産業は去れ。弱者は生きていくな。この発想の延長線上には、優生思想に基づくナチズムがあります。

現時点で特に問題なのは、農業が生産性だけで語られようとしていることです。「農」が国家の基盤であることが忘れられています。この部分を忘れて生産性だけで国家を論じようとすると、農業を捨てた我が国は防衛ラインを我が国への農作物輸出国を「防衛する」ところまで拡大せざるを得ないことになります。結果、「七つの海を支配せよ」ということになります。現実政治は「平和な国際分業」ということに収斂することにはなりにくいと思います。

さて、「心優しい中央集権」では国家財政を破綻させることになるとすれば、「解」は地方主権に求めざるを得ません。地方間の競争です。それも基本政策を地方が策定しその優劣を競うのです。

議員定数まで「地方自治法」で国に決めてもらう甘えた地方自治ではなく、真剣勝負の地方主権型社会です。そこに進む分岐点が、霞ヶ関による地方統治手段である補助金の廃止です。

ここは絶対に自民党にはできないところです。


2007/9/17(月) 消去法で自民党総裁が決まる・・福田氏優勢

安倍総理の投げ出し辞任による自民党総裁選。

本命と見られた麻生氏の失速は、彼独特の物言いが悪く作用した面が大きいと思います。

「2日前に総理から辞任する旨告げられました。懸命に本意を促しましたが果たせなかった。残念無念だ。」と言って涙のひとつも流しておけば、それほどの反発を買うこともなかったのではないでしょうか。ふと、「因幡の白ウサギ」の話を思い出してしまいました。

それと、幹事長就任時の挨拶。「小泉さんにぶっ壊された後の党をどう立て直すかが使命だ。」と述べ、わざわざ小泉氏を怒らせています。口は災いの元。

そうした「本命」の失速の裏返しとして急速に福田氏が候補者として台頭。ほぼ、総裁→首相の座を手中にしています。

「キャラが立ちすぎて古い自民党の方々にあんまり評判がよくない」と語る麻生氏に対して、キャラを立てずに消去法的に選ばれようとしているのが福田氏です。

「守りの首相」、ということになるでしょう。


2007/9/16(日) 我がダイエット記・・体重計による方法

最近、岡田斗司夫氏著「いつまでもデブと思うなよ」という本が売れているそうです。1年で50kg減量したというのですから、大したものです。

私も最近ダイエットに取り組み、4ヶ月で9kg減量しました。お陰で、はくのを諦めていたジーンズが合うようになりました。

5月中旬に78.0kgから9月16日現在で69.1kg(身長175cm)。8月18日のブログで「メタボ侍の死」について書いたときに71kgでしたが、それから約2kg減量したことになります。

本当は、73kgで減量を止め、あとは運動をして体調を整える予定でした。ところが、妻が私の腹をつまんで、まだ太ってるなどと言うのでムッとして、70kgを切るところまで減量することにしました。

私の場合、民主党時代不整脈で苦しんだので、毎朝体重と血圧を記録することにしています。それが数年間継続しています。朝トイレに行った後、体重を量り記録します。

体重を記録すること。嫌な現実から目を背けず直視すること。これができれば、3分の1くらいの要件を満たします。残り3分の2は、やはり決意ないしは強い動機だと思います。

5月頃から、人生100年ということを強く意識し始めました。最近のニュースで100歳以上が日本に3万人いると報じられています。しかも、2、30年前と比べて100歳の人がしっかりしています。

人生後半を楽しく有意義に過ごすために、人生を100年と設定してそれに相応しい体を作っておこうと決意しました。

さてダイエットですが、カロリー云々がやかましく論じられますが、それは面倒なので体重計一本を頼りにした方がいいと思っています。企業会計で言えば、損益計算書は無視して貸借対照表だけを基準にすることになります。

少なくとも、寝る前と起床時に体重を量ります。記録するのは朝だけでいいのですが、寝る前に量るとその日の食生活を反省する材料になります。私の場合、寝る前の体重から0.3kg引いたものが朝の体重になります。

体重を測定していると、大体どの程度食べるとどの程度の体重で1日が終了するのかが分かってきます。体重の推移をゲーム感覚で楽しむことが出来るようになると、ダイエットが本格化します。毎日0.1kg(100g)減量すれば、1年で36.5kg減量できます。

ゲーム化するためには、100g単位のデジタル体重計がお薦め。数字がはっきり出るからです。50g単位ならもっといいでしょうが、値段が高いのと、誤差を考えると、100g単位でいいと思います。3回乗って一番少ない数字を記録するのが楽しいやり方です。

運動はどうするのかと言えば、運動で痩せるのは、運動の習慣がない人には難行苦行だと思います。運動は、体を覚醒させ体質改善の契機にするというくらいの位置付けがいいと思われます。

運動によるカロリー消費で体重を減少させるのか、食事制限により体重を減少させるのか、その折衷によるのか、いろいろ方法はあるでしょうが、太っている人間が運動をするのは苦しいだけで効果には疑問があります。下手をすると、命懸けになります。

と、ダラダラ書いてきましたが、最も重要なことは、リバウンドを予防することです。5年前に同様のダイエットを試み減量に成功しましたが、緊張の糸が切れた途端にリバウンドの過程を辿りました。

今回はその轍を踏まず、70kgを限界ラインに設定して、リバウンドを防止することに主眼を置いています。体重が一定水準に達したので、運動もやりやすくなりました。78kgではできなかった懸垂もやれるようになりました。これからは運動量を増やし、その分食事制限を緩和する予定です。

この4ヶ月は、毎日の記録が3勝1敗のペースでしたが、これからは3勝2敗程度でいいと思っています

この要領で、人生100年プロジェクトを推進します。


2007/9/15(土) 「平成の角福戦争」との見方があるが・・「地方主権vs中央集権」が決定的な違い

「平成の角福戦争」との見方があるが・・「地方主権vs中央集権」が決定的な違い

福田赳夫氏の息子が総理になり、田中角栄氏の秘蔵っ子だった小沢一郎氏が政権交代を狙う野党の党首として対決。田中角栄vs福田赳夫の「角福戦争平成版」ではないかとの見方も出てくる余地があります。

しかしここは、「違いの分かる男(女)」でなければならないと思います。

【平成の角福戦争へ 自民VS民主】(産経)
23日投開票の自民党総裁選で福田康夫元官房長官が選出される見通しとなったことを受け、民主党内は“福田首相”の誕生を前提に対決機運が高まっている。

民主党の鳩山由紀夫、社民党の又市征治、国民新党の亀井久興の3幹事長は14日朝、都内のホテルで会談し、「どのような首相でも、国政選挙を経ていないから民意を反映していない。選挙管理内閣だ」(鳩山氏)と“福田内閣”に解散・総選挙を迫っていくことで一致した。

また、年金流用禁止法案や政治資金規正法改正案、イラク復興支援特措法廃止法案、障害者自立支援法改正案などでの協力を確認。3党の選挙協力を提案し、協議を進めることになった。

民主党の安住淳国対委員長代理はメールマガジンで「小沢民主党と福田自民党の対決は、(昭和40年代の)角福戦争を思い起こさせるだろう。その末裔(まつえい)が今度は、2大政党の党首として再び対決する。何か因縁めいている」と指摘した。

野党は、臨時国会での攻防や衆院解散・総選挙を意識し、早くも“福田内閣”のイメージダウンに乗り出している。

鳩山氏は14日の会見で「昔の自民党の姿がよみがえってきた。派閥次元の談合が続いている」と強調し、又市氏も「政策は全く関係なしに、派閥談合で固まっている」と批判した。

民主党国対幹部は「福田氏なんて選挙の顔にならない。何しろ地味だ。爆発的人気が出るとは思えない」と指摘。さらに「1週間くらいは支持率が上がるかもしれないが、じり貧だろう。明治維新のさなかに、将軍に政権を戻すようなものだ」と、民主党有利の見方を示した。

ただ、安倍晋三首相に比べ、リベラル色の強い福田氏の登場で民主党内に戸惑いが出始めているのも事実だ。

幹部の1人は「(国会で与党との)差別化がしにくくなるのは確か」との懸念を示し、別の幹部は「福田政権が『選挙管理内閣』なのか、衆院選をやる首相までの『つなぎ内閣』なのか、まだ読み切れない」と語る。

このため、民主党は参院選の公約を粛々と法案化する従来の方針を堅持する方針。さらに、「税金の無駄遣い」について「福田氏が首相になろうと、見直しは無理」(幹部)とみて徹底追及する構えだ。

【コメント】
自民党と民主党のどちらが政権を取っても大きな違いはなく、かつての自民党の派閥間抗争が政党間の対立に姿を変えただけだという見方をする人もいます。

しかしそのような見方は、我が国が何故行き詰まってきたのかという根本問題から目を背け、政治を対立抗争劇以上のものとは見ない発想に基づくものです。

先進国へのキャッチアップの段階を終え、とっくの昔に卒業しなければならなかった中央集権体制から脱却できなかったことが、我が国の政治・経済混迷の大きな原因です。

官僚主導・中央集権の自民党体制から、地方主権型社会を目指す民主党への政権交代がなければ、国家全体が衰弱してしまうという認識が必要です。

年金問題を始め多くの福祉政策については、自民党の妥協ということがあり得ます(国家財政を犠牲にして)。しかし、中央集権の構造を変革するということについては、「狂言」以上のものを自民党から期待することは困難です。

彼らの「解答」は、言葉だけの「地方分権」であり、それは「心優しい中央集権」よりも地方にとっては怖い政策になります(地方切り捨て)。そのことを地方は実感しつつあります。

中央官庁による地方統治の手段である補助金を原則として廃止する。これが、これからの政治の「肝」であるということを是非理解しなければなりません。


2007/9/14(金) 安倍総理の病気とストレス、孤独、生い立ち・・

辞任表明翌日入院した安倍総理。病名は、「機能性胃腸症」。原因はストレスということなのでしょう。最大のストレス要因は、参院選の惨敗だと思われます。

先進諸国で激増中の病気です。

【ストレス社会で「激増」=見えない病気−機能性胃腸症】(時事通信) 
「機能性胃腸症」と診断され、入院した安倍晋三首相。目に見える異常がない消化管の機能障害のことで、ストレスなど心理的要因が関与していると考えられている。専門家の間では、先進国を中心に患者が激増しているとの指摘がある。
 
機能性胃腸症は「機能性ディスペプシア」とも呼ばれ、胃もたれや胸焼けなどの症状があるのに、かいようやがんなど器質的な病気がないのが特徴。検査しても異常がないため、「思い込み」などと片付けられてしまうこともある。 


【コメント】
呼び出しが力士の名を呼び、塩をまいて四股を踏んで、「いざ立ち会い」という段階で横綱が土俵を去っていった感じであると、森・元総理が評していましたが、全くその通り。

歴史に残る無様な退陣劇でした。これが当初大本命と見られていた麻生氏に、「連帯責任者」として不利に作用しているようです。毎日新聞では、「福田総裁」の見出しが躍(おど)っています。

ストレスとどう向き合うか。これが現代社会における課題です。総理大臣の退陣劇が、ストレスとの関わり方を考える題材を提供してくれた形です。

しかし、「病気」が安倍氏退陣の主たる原因かと言えば、そうではないように思えます。首相官邸での孤独に耐えられなかったということです。ある意味で全く情報から遮断された空間にいる総理大臣は、確固たる哲学ないしは独自の世界を持っていない限り、ブレることのない決断をし続けることが困難です。

ストレスに負け、自分に負けた。そういうことだろうと思います。遠因を探れば、子供の頃からエスカレーター式に学園生活や社会生活を送り、入学試験にチャレンジして苦労するということもなく、全てがお膳立てされた人生を送ってきたことに求められます。

その点で、世襲政治家とは言え、福田氏は若干持ち味が違うようです。民主党との戦いという観点からは、「負けにくい総理大臣」が出て来そうだということです。

さて、どうなるか。


2007/9/13(木) 政治家として終わった・・安倍辞任

党首会談を申し入れたが断られた・・

そんな「理由」が語られること自体が異常です。「職を賭す」と発言した直後に敵前逃亡。「国際公約」と言いながら、道筋を付けずに政権投げ出し。まともな政治家の行動パターンではありません。健康問題やスキャンダルも取りざたされていますが、それを前提としても不可解です。

総理としての資質を欠く人物が1年間総理大臣をやっていた。そんな虚しい事実が残っただけでした。

世襲政治家の弱さを体現した政治家として、記録と記憶に残るでしょう。政治家・安倍晋三は終わってしまいました。

そもそも参院選での惨敗は、将棋で言えば「玉」の頭に「金」を打たれた状態であり、詰んでいたのですが、それでも将棋を指そうとし、やっと今になって詰んでいることに気が付いたということです。


2007/9/12(水) 愛媛県警不正経理・・実名告発の仙波敏郎氏勝訴

愛媛県警の現職警察官が県警の不正経理について実名告発をしたというのは、衝撃的でした。

慌てた県警は、即座に人目に触れない部署に配置転換。この不当性・違法性が争われていました。

【違法配転、本部長が関与 愛媛の警官訴訟で地裁】(共同通信) 
捜査費の不正支出を内部告発した後に異動させられた愛媛県警巡査部長仙波敏郎さん(58)の主張を認め、県に100万円の支払いを命じた11日の松山地裁(高橋正裁判長)判決は、告発の記者会見をやめさせる説得工作と配置転換に粟野友介県警本部長(当時)の関与があったと認定した。

判決後に松山市内で記者会見した仙波さんは「わたしの言葉が真実と認められた。本部長の関与、裏金に触れた判決に感謝している」と話した。

判決によると、会見をするとの情報を知った当時の地域課長が、仙波さんの同期の警察官2人とともに、県警本部で深夜近くまで「県警は1年間は立ち直れない」と中止するよう説得。さらに会見当日の朝に自宅を訪れたり、携帯電話で連絡を取ろうとしたりした。

高橋裁判長は、説得は本部長らの指示だったと認定した上で、「犯罪を取り締まる警察内部の不正の告発という内容の公益性に照らせば、説得行為は程度を超えていた」と指摘した。


【コメント】
各地で警官の不祥事が続発しています。その根幹には、警察の組織が腐りきっているという事情が横たわっています。ここに目を向けずして、個人の不祥事にのみ目を奪われるべきではありません。

犯罪を取り締まるべき警察が、率先して詐欺・文書偽造(領収書の捏造)を奨励して裏金をつくる。警察の組織的な体質を顕著に現しているのが、裏金問題です。

泥棒が泥棒を取り締まる話なので、内部告発などすればどんな目に遭わされるか分かりません。そういう状況下で内部告発に踏み切った仙波氏の決断は特筆されるべきものです。

彼については様々な噂・風聞が流されており、特殊な性格の人物が世の中や県警の組織を歪んだ目で眺めているという図式にしたいようです。

仮に百歩(否、百万歩)譲って仙波氏の個人的な事情に目を向けたとしても、県警の不正が免責されるものでは決してありません。

仙波氏の巨大組織に立ち向かう勇気には大きな拍手を送りたいと思います。様々な誹謗中傷にもかかわらず、信念を貫く姿勢に共感します。


2007/9/11(火) 内閣支持率29%・・「テロ特措法」を争点としての解散はあるか

昨日の報道番組で、安倍氏の「職を賭す」発言は、解散する可能性を臭わせたものであるとの論評がありました。

小泉流の単一争点型総選挙という手も考えられないではありません。しかし、支持率の低い首相のアピールが国民に届くかどうか、難しいように思います。

【内閣支持率29%、改造の期待感しぼむ…読売世論調査】(読売)
読売新聞社が8、9の両日に実施した全国世論調査(面接方式)で、安倍内閣の支持率は29・0%、不支持率は60・7%だった。参院選後の8月初めの前月調査(同)と比べ、支持率は1・8ポイント増え、不支持率は3・0ポイント減ったが、支持率は2か月連続で3割を切る低水準となった。

安倍首相は8月末の内閣改造で、派閥の長などを入閣させる重厚な布陣を敷いた。改造直後の電話による世論調査では、こうした点への期待感から、支持率は44・2%と不支持率(36・1%)を上回った。調査方法が異なるため、直接比較はできないが、今月調査では遠藤武彦・前農相の辞任・交代などが影響して改造による期待感が急速にしぼんだと見られる。

支持しない理由(複数回答)では、「安定感がない」を挙げた人が45%で最も多く、前月と比べても11ポイント増えた。内閣に優先的に取り組んでほしい課題(同)では、「年金や医療など社会保障制度改革」63%、「景気・雇用対策」47%に次いで、「政治とカネの問題」40%が多かった。

遠藤・前農相の辞任・交代が政権に与えた印象については、「悪くなった」、「変わらない」が各47%、「良くなった」は3%だった。

ただ、政党支持率は、自民党が29・3%(8月調査比3・5ポイント増)で、民主党が20・9%(同6・0ポイント減)となった。前回調査では初めて民主党が自民党を上回ったが、今回は自民党の支持が回復した。

【コメント】
相次ぐ失策で、内閣支持率は急落に転じました。

自民党支持率は回復してきているので、安倍氏の資質には幻滅しているが、なお自民党に期待している人が多いということでしょう。

「保守の反乱」は生活に起因するところが多かったのですから、テロ特措法は争点としては成り立ちにくい面があります。それが成り立ちうるのは、首相に人気がある場合です。

民主党としては、イラク特措法での単一争点化を防ぎつつ、「生活」から出発して与党の政策の矛盾を突いて行き、政権交代への展望を開くのが常道だろうと思います。


2007/9/10(月) 「辞任カード」に手を付けた安倍発言

政治家としての羅針盤を失ってしまったか。行き詰まりを打開するために総辞職をちらつかせた安倍総理。

「いじめられ辞任」ということで同情を買おうとするのであれば、一国の総理としてはいささか軽過ぎるのではないでしょうか。

【「給油継続」だめなら内閣総辞職も、首相が示唆】(読売) 
【シドニー=松永宏朗】安倍首相は9日夕(日本時間9日夕)、シドニー市内のホテルで記者会見を開き、11月1日に期限を迎えるテロ対策特別措置法の延長問題で、「民主党はじめ野党の皆様のご理解をいただくため、私は最大限の努力を払わねばならないと考えている。そのために全力を尽くし、職を賭(と)していく考えで理解を得ていく」と強調した。そのうえで、「すべての力を振り絞って職責を果たしていかなければならない。そこで私の職責にしがみつくということはない」と強調し、インド洋における海上自衛隊の給油活動が継続できなくなった場合、内閣総辞職もあり得るとの考えを示唆した。

首相はまた、この問題で民主党の小沢代表に党首会談を呼びかける考えも表明した。

首相は、臨時国会に現在のテロ特措法の改正案か、民主党などの主張をとりいれた新法のいずれを提出するのかについては明言しなかった。

記者会見は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の終了にあたって開かれた。

【コメント】
テロ特措法を「国際公約」にまで高め、辞任カードで特措法の延長を実現する。成熟した政治家のパフォーマンスではないように思われます。

「自分を取るか小沢氏を取るか」と訴えて国民に拒否され、参院選に惨敗しても責任を取らなかった総理の言動を、そのまま受け取ることができるのかどうかという疑問もあります。

テロ特措法がそれほどのものなのかという疑問も含め、何故参院選に惨敗しても辞任しないのかの説得的な説明もないまま、総辞職と引き替えに「懸案」を処理しようとする姿勢には首を傾げます。

器量不足という感想しか出てきません。


2007/9/9(日) 比例に徹すれば共産党は生き残れる・・小選挙区での「新思考」

2、3年前から、小選挙区での供託金没収に絡めて、共産党が全選挙区に候補者を立てることを改めるのではないかという空気が醸成されてきていました。

今回、そのことが明示されることになりました。

【共産党、選挙区候補を半減 2大政党化の影響】(朝日)
共産党は8日の第5回中央委員会総会で、次期衆院選の小選挙区について、擁立する候補者を大幅に絞り込む方針を明らかにした。新たな基準を適用すると、候補は前回衆院選から半減し、130前後にとどまる計算になる。参院で民主党が第1党になるなど2大政党化の流れが加速するなかで、全300小選挙区での擁立を目指してきた従来の方針の転換を強いられた形だ。 

志位委員長が同日、党本部で講演し、(1)参院選比例区での同党の得票率が8%以上の小選挙区に絞る(2)ただし、各都道府県ごとに最低1人以上は擁立する――との新基準を公表。その理由について「従来の方針のままでは、多額の供託金没収による財政圧迫など、マイナスが大きい」と説明した。得票率が10%未満だと、供託金が没収されるためだ。今後は比例区をより重視し、参院選に続いて650万票の目標を掲げるという。 

共産党は03年衆院選では全小選挙区に、05年は275小選挙区に候補者を立てたが、いずれも全敗だった。公明、社民、国民新各党は一部の小選挙区でしか候補者を出しておらず、共産党の方針転換で、自民、民主両党の候補者の一騎打ちになる小選挙区が増える見通しだ。 

05年衆院選では、民主、共産両党候補の得票を足せば、当選した与党候補の得票を上回る小選挙区が約40あった。共産党の候補絞り込みは、民主党への追い風になるとの見方もあるが、共産党側は「選挙での野党共闘を想定した決定ではない」としている。 

【コメント】
私が共産党幹部なら、各小選挙区の自民、民主の候補者に面談を求めます。その結果として、候補者擁立の是非を検討します。

その際、基準は明確にしません。政策協定などせず、「大所高所から判断する」ということにすれば、自民党も民主党も困ります。有権者からすれば、共産党がある意味で「応援団」に見えます。「新思考」は、共産党の柔軟性という良好な評価を生むことにもなります。

そうなってくると、共産党が候補者を立てるにせよ立てないにせよ、共産党からの何らかのメッセージを読みとることが可能になり、選挙に興趣を添えることになります。確実に、党のイメージアップにつながります。

「二大政党」の現実を受け入れ、比例区で生き残る。それが現状でベストの選択です。


2007/9/8(土) テロ特措法が延長されなければどうなるか

秋の臨時国会のメインテーマの1つは、テロ特措法の延長問題です。

この問題になると、あるいは政権担当能力の問題であると言ってみたり、国際社会での信用問題であると言ってみたりして、我が日本は国際社会において優等生で居続けない限り存立が不可能であるかのような言説が、「大前提」として語られます。

しかし、それは本当なのでしょうか。インド洋での給油活動を日本がやらなければどうなるか。他国がそれをやるだけの話です。やる国がなければ、アメリカが自分でやるだけのことです。

これに対してアメリカが激怒するとすれば、彼の国には歴史を思い出していただかなければなりません。第一次大戦後、アメリカ大統領ウィルソンは世界平和のために国際連盟を提唱。ところが、そのアメリカは加盟しませんでした。議会の反対があったからです。

政府が賛成でも議会が反対するとできない。これは立憲民主主義を採用する限り、当然予期できることです。少なくとも、先進国と言われている国なら理解可能な話です。

我が国は何時までも、国際社会の片隅で小心に震えている必要はありません。もっと堂々と国益を考え、存在感あるパフォーマンスを展開すべきです。日本が「イエス」と言えば頼もしいが、「ノー」と言えばさらに重みがある。そうしたことが可能な政治・外交を目指すべきであり、国際社会が一目置く政治家を輩出すべき時期だと思います。

少なくとも、アメリカのエージェント達に振り回され、自らを見失うような議論をすべきではありません。テロ特措法延長拒否がもたらす具体的不利益を冷静に予測しつつ、正確な判断をすべきです。


2007/9/7(金) 「道」、「州」は、「国」の縮小である。「県」の拡大ではない。

これから「道州制」が地方にとって大きなテーマになってくるでしょう。国がこれを仕掛けてくることが予想されます。

多くの方々は、「道」や「州」は「県」の拡大ないしは「合併」というイメージを抱くでしょう。しかしこれは、地方特に過疎地域を不幸にするアイデアです。

「道」「州」は、「国」が縮小して身近なものになるのだというイメージを持つべきです。即ち、「国」の権限を地方が奪うのです。「国」は外交防衛と総合調整機能を有する存在として、地方をバックアップすることになります。

日本に幾つかの「国」ができてお互いに切磋琢磨して発展していくイメージを共有したいものです。「国」が違えば、違う制度を採用してその優劣を競うことも可能です。


2007/9/6(木) 内閣がみすぼらしくなった・・小泉政権の後遺症

かつての自民党には、錚々(そうそう)たるメンバーいるように見えました。「永久政権」・自民党には官界等から人材補給ができる環境が整っていました。

それとともに、「人事異動」が頻繁になされたので、ボンクラでも一定期間大臣に据えておくと、「馬子にも衣装」という感じで立派に見えたものでした。

小泉政権で「一内閣一閣僚」が宣言され、「人事異動」が遅くなったため、多くの「その他議員」が脚光を浴びられなくなりました。そのために生じた「人材不足」感が現政権になって顕著に表れています。

もちろん、政権交代への期待感から民主党に人材が集まってきているということも見逃せない事実です。また、「政治とカネ」のキャンペーンで、カネでのし上がってきた政治家が謹慎状態にあります。

「自民党に人なし」という状況をつくり、1人だけがスターになった小泉政権の後遺症に自民党が泣いています。それでも、「延命装置」として小泉氏にすがったのですから、文句の言いようはないはずです。


2007/9/5(水) 平沼氏復党はフリーパス・・「郵政選挙」とは何だったのか

麻生幹事長になって、自民党人事に変化が生じています。小泉政権で行ってきたことの否定という面があるようです。

そうなると、現在の衆議院で与党が有する議席の正当性にもかかわってきます。

【<自民党>平沼氏復党に条件つけない…麻生幹事長】(毎日)
自民党の麻生太郎幹事長は4日の記者会見で、郵政民営化反対議員のうち復党が実現していない平沼赳夫元経済産業相(無所属)の処遇について、「基本的に私自身は(復党に)異存はない」と述べた。さらに「誓約書を取ってうんぬんするつもりはない」と明言、復党に条件を付ける考えがないことを強調した。平沼氏は民営化に賛成する誓約書の提出を拒み、復党の障害になっている。
 
これに関連し、平沼氏周辺は「安倍晋三首相から三顧の礼で迎えられたら戻るかもしれないが、平沼氏は次の衆院選を保守系無所属で戦うと決めている」と語り、早期復党に否定的な見方を示した 

【コメント】
昨年復党した議員は、正に「土下座」でした。それでも、郵政民営化を争点とした選挙で争った議員を復党させることには世論の反発がありました。

それが今度は、「A級戦犯」の無条件復党容認。そうなると、あの選挙は一大政治ショーであって、「与党内八百長」だったということになります。

そうだとすれば、「欺罔行為」によって得た衆議院の議席には正当性がないことになります。そして、正当性のない議席で安倍政権が強行採決の連続で重大な政策変更を行ってきたことが、正義の観点から容認できるのかということにもなります。

徹頭徹尾出鱈目だ。これが自民党だ。ここまで開き直らない限り説明不能です。昨今話題の「政治とカネ」の問題も含めて。


2007/9/4(火) マスコミ、特にフジサンケイグループの「促成栽培」が安倍政権失敗の遠因

自民党内で、安倍首相の下で衆院選を戦いたいと願っている議員はほとんどいないと思われます。

これほど無惨に政権が失敗したことの遠因は、マスコミ、特にフジサンケイルグープによる安倍氏の「促成栽培」にあると考えます。

安倍氏が小泉政権下で頭角を現し始めた頃から、テレビに頻繁に安倍氏を登場させ、安倍氏の得意分野の質問を集中し、安倍氏がこれに答えるというスタイルの政治番組が放送されました。

これにより安倍氏の認知度は高まり、拉致問題での「活躍」も相俟って、人気が上昇しました(これも、つくられた人気でした)。

安倍氏の登場するテレビ番組を検討すると、変化球に弱いバッターに「直球」だけを投げて快音を響かせ、「スラッガー」ぶりを強調してみせるという手法であり、まだ実力の伴っていない安倍氏をことさら大きく見せるものでした。

このやり方で「促成栽培」され、総理の座を手中にした安倍氏でしたが、地位と実力との格差を是正することが出来ませんでした。この「格差」に側近達が泣いたであろう、泣いているであろうことは、想像に難くありません。

遠藤農水相等の辞任は、安倍首相抜きで麻生・与謝野ラインが主導したとの報道がありました。さもありなん、という事態です。


2007/9/3(月) 農水相の辞任・・フォアボール連発の安倍政権

お話にならない状態です。政治活動費多重計上の坂本外務政務次官も辞任。

ここは絶対にフォアボールを出してはいけないという場面で、またもフォアボール連発。普通であれば、投手(党首)交代の局面です。もっとも、交代時期が遅きに失しているので、もっと打たれてからということになるでしょう。

【遠藤農相きょう辞任、補助金不正で引責】(読売)
遠藤武彦農相(68)は2日、自らが組合長を務めていた農業共済組合が国から補助金を不正受給していた問題の責任を取り、辞任する意向を固めた。

3日午前、安倍首相に辞表を提出する。首相も受理する考えだ。

また、坂本由紀子外務政務官(58)も自らが支部長を務める自民党支部が政治活動費を多重に計上していた問題で引責辞任する。

人心一新を掲げ先月27日に発足した安倍改造内閣での閣僚と政務官の辞任は、再出発を期した首相にとって大きな打撃になることは必至だ。

農相が辞任の意向を固めたのは、10日召集の臨時国会で野党側が農相の問責決議案を提出する構えを見せていることを受け、政府・与党内に農相交代により国会の混乱を回避すべきだとの判断が強まったためだ。

公明党の太田代表は2日、NHKの番組で「次から次とこういう問題が出ることは情けない。会計検査院から指摘を受けて、3年間も放置しておいた国や県のあり方も含め、国民から何をやっているんだということになる」と述べ、農相を厳しく批判した。自民党の麻生幹事長も同じ番組で「農相は1日に自分できちんと説明していたが、その説明が世間で通用する内容なのかどうかが、これから一番大事な所だ」と指摘した。

一方、民主党の菅代表代行は同番組で「必要なら証人喚問とか関係者に聞いた上で、疑念が晴れない場合は問責も出てくる」と述べ、臨時国会で農相の問責決議案提出の方針を明言した。

こうした情勢を受け、与謝野官房長官は同日午後、都内のホテルで麻生氏、大島理森・自民党国会対策委員長と会談し、対応を協議した。与謝野氏は同日夜、都内の別のホテルで農相と会い、事情を再聴取するとともに与党内の情勢を伝えた。与謝野氏と農相の会談後、政府関係者は「(厳しい情勢は)農相も感じているのではないか」と述べた。

与謝野氏は同日、坂本外務政務官からも事情聴取を行っており、引責辞任を促したものと見られる。坂本氏をめぐっては、同氏が支部長を務める自民党支部や、同氏の後援会が同一の領収書を流用し、架空の会議費を政治資金収支報告書に多重計上していたことが明らかになっている。

農相の後任には、自民党の武部勤・元幹事長、中川昭一・前政調会長、保利耕輔・元文相らの名前が挙がっている。安倍政権では昨年9月の発足以降、佐田玄一郎行政改革相、松岡利勝農相、久間章生防衛相、赤城徳彦農相(肩書はいずれも当時)の4人が内閣改造とは別に交代した。今回の農相と坂本外務政務官の辞任で、安倍首相は厳しい立場に置かれそうだ。

【コメント】
「身体検査」に合格する人がなかなか見つからないのでしょう。

小泉政権との比較をする人がいますが、小泉政権時代とは「政治とカネ」に関する報道のあり方や国民の見る目が違ってきているので、単純には論じられないと思います。

このところの不祥事は、既に公開されている情報によるものですから、それを把握できないこと自体、国民の生命安全を護るべき政府としての情報収集能力や危機管理能力に問題があることを示すものです。

それにつけても人材不足。国民に信を問える状況にないのですから、この際、政権を野党に譲り、政党として出直すのが本来の政党政治のあり方です。

しかし、野党になると存在し得ない「翼賛会」という本質を有する自民党には、「下野」という概念は「辞書」にないのです。


2007/9/2(日) 【年金受給額or勤労所得<生活保護費】をどう見るか

「真面目に働いた人より、生活保護受給者の方が多く給付を受けているのはおかしい。」

こうした議論をよく聞きます。真面目に年金保険料を納めた人が受け取る年金額より、年金保険料を支払わずに年を取って生活保護を受けている人の保護費の方が多かったり、最低賃金ぎりぎりの時給で働いても生活保護費に満たない給与しか得られないという事態が起こっています。

このブログでは繰り返し取り上げている問題です。

年金受給権や給与所得は正々堂々たる正面玄関からの権利です。生活保護は勝手口からの権利です。どちらも権利ではありますが、勝手口から入るのはプライドが傷つき、肩身の狭い思いをしなければなりません。しかも、実際上門戸は狭められています。これらの権利を同列に比較することは困難です。

比較は可能だということで譲歩したとしても、生活保護費を完全に与えきっていいのかという議論は必要です。

私は、生活保護費は「貸付」にすべきであるという意見です。返してもらうことを前提に貸し付けるのであれば、年金や給与より多くても問題にはなりません。

「返済プラン」は提出してもらいます。「返済」は多様な形で行えるようにします。社会奉仕活動を一定基準で金銭評価する方法もあり得ます。母子家庭で生活保護を受けた場合、きちんと教育を受けた子供が返済することが可能であれば、家族のプライドを保持することができるし、そのことを目標として一家が頑張るというストーリーもできます。

生活保護も正面からの権利。人生色々であり、「明日は我が身」ということも踏まえて、不遇なときを支える貸付資金という考え方で再構成すべきではないでしょうか。

年額200万円×150万人とすれば年間予算3兆円。1割の3000億円が返還されるものと見積もります。これを甘いとみるかどうか。国民の資質向上を図る必要があります。そして、「返還率」をもって国民のレベルを図るバロメーターと考えていくべきだろうと思います。

生活保護は社会の安定装置であり、個人の尊厳を維持するための基礎的な権利であるということを再確認しておくべきです。


2007/9/1(土) 「日米同盟」のコストと「反米」・・要は「配球」の問題

我が国には、反米の空気が徐々に形成されてくる兆しがあります。参院選における保守の反乱も、当事者の意識しない反米運動であると見ることが可能です。

「日米同盟」の優等生たらんと欲すれば、アメリカ資本の活動を保障することに対応して、国際化した大企業を擁護し、国内型産業やそれに従事する人々、そして地方の住民を置き去りにすることになります。

利益がアメリカ資本に還元されることと併行して、我が国にも一定の「配当」を確保しようとすれば、国土を効率よく活用して生産性を上げるということになります。結果、生産性阻害要因(地方や国内型産業、弱者)は淘汰されるべきであるという結論が出てきます。市場原理主義の帰結です。

そうであるとしても、「反米」を露骨に標榜するということは、我が国にとって極めてリスクの高い選択になります。一歩踏み止まって、現実政治との調和が図られなければなりません。

冷戦時代における自民党政治家の処世術が参考になります。彼らは社会党が伸びれば日本は東側陣営に行くんだよとアメリカを暗に脅しながら政治をやっていました。その結果、極めて安い「家賃」で経済活動を展開することができました。

その枠組みが壊れた今、アメリカをのけ反らせる「インコース高めボール気味の速球」は「反米」です。この「球」を効果的に使いながら「日米同盟」のレトリックで国際関係をまとめ、日本の自己実現を図るべきだろうと思います。それを演じることができる「役者」を国民が雇わなければなりません。政権担当者とはそういう存在です。

一部の政治家のように「日米同盟」を信じてしまうと、我が国は「安全牌国家」になってしまい、アメリカにしゃぶり尽くされるだけになります。

「日米同盟」のコストが高すぎることにもっと目を向けて欲しいと思います。政治の「配球」如何によっては、もっともっと「日米同盟」のコストダウンが可能です。洗練された「反米主義」を道具として活用すべきです。


玉井彰の一言 2007年9月 四国の星ホーム一言目次前月翌月