教育のツボ


教育雑感//1999/09/24≫
火の風――暴風警報発令、本日休校!?

 本日[1999年9月24日]、昨夜九州を直撃した台風18号が近畿圏に来襲。京都で気象警報が出されることは滅多にないのだが、今回は近畿各府県と横並びの状態で警報が発令された。九州に大きな被害を齎(もたら)した台風18号の来襲は、折しも台湾における大震災が報じられていた最中のことでもあった。自然の猛威の前には、依然、人間は為す術〔すべ〕もない。

 夏以降、大雨等による各地の被害がマスコミで報じられてきたが、私自身、夏の全国私学研究集会(7月27日〜29日、於・愛媛県道後温泉)に参加した折には隣県の高知の大雨に遭遇し、8月には広島における大雨被害で私の同級生の教え子(被災当時教員)が亡くなったと聞いた。

 今夜の巨人−ヤクルト戦のベンチレポートでは、レポーターが沖縄出身選手に実家へ安否の確認をしたのかと問うたところ、(沖縄では)いつものことだから連絡はしていないという答えが返ってきた旨、伝えられていた。

 中1の国語教科書[東京書籍版]に、早坂暁「火の風」というエッセイが収載〔しゅうさい〕されている。沖縄の台風を取材した折のことを記したものだが、雑誌発表は1990年代ながら実際の取材は沖縄返還以前であるため、ひょっとすると現在の実情と異なる点はあるかも知れない。

 そのエッセイによれば、沖縄では水の調達を台風が運んでくる雨水に頼っており、家や木の倒壊や農作物の被害といったマイナス面よりも、飲み水の獲得というプラス面で現地の人々は台風の来襲を渇仰しているという。台風は海水をも巻き込んで吹き荒れるから、台風の過ぎ去った後は島中の緑が赤褐色に塩焼けする。ゆえに沖縄の人々は、台風を≪ピーカジー≫すなわち≪火風≫とも称するそうである。

 そうせざるを得ない環境下にいるとはいえ、天災というマイナスをプラス要素として捉え返す人智は確かにしたたかなものである。しかし、それにしても、人間や人間の作り出した機械の能力を越える自然の力は凄い…などと現地を離れた後に感慨を書き記すのは簡単だが、今夜もなおリアルタイムで台風18号の影響下にある地域の人々にとっては、無論、そんな暢気なことは言っておられまい。心よりご無事を祈っている。


総目次 授業実践記録 教科・学級通信 教育のツボ 私の本棚
読者のぶりぶり通信 掲示板 ほっこりリンク集 自己紹介 ホーム

アクセス解析&SEM/SEO講座&ブログ for オンラインショップ開業