山村暮鳥
「風は草木にささやいた」



  
 よい日の詩


 
どこをみても木木の芽は赤らみ
 
すつかり赤らみ
 
枯葉の下から草も青青と
 
そしてしつとり濡れた木の下枝では
                              ヽ ヽ ヽ
どこからともなく集つてきた鶸やのじこが囀つてゐる
 
何といふ善い日であらう
 
友達の花嫁のまめまめしい働きぶりをみてきた私の目のかはゆらしさよ
 
何がそんなにうれしいのか
  てんとうさま
お太陽様もみてゐらつしやる通り
 
此の山みちで
 
私はすこし酔つてをります