山村暮鳥
「風は草木にささやいた」



  
 或る日の詩


 
ひとりは寂しい
 
群衆の中はさらに寂しい
 
自分ばかりか
 

 
おお寂しい人間よ
     いのち
かくも生はさぴしいものか
 
此の真実に生きよと
 
木の葉はちる
 
はらはらとちる
 
秋の黄昏
 
みよ、いま世界は黄金色に夕焼けして
 
此の一日を終るところだ
 
はらはらとちる木の葉つぱ