萩原朔太郎
『月に吠える』より

   
   白い共同椅子


 
森の中の小径にそうて、
 
まつ白い共同椅子がならんでゐる、
 
そこらはさむしい山の中で、
 
たいそう緑のかげがふかい、
 
あちらの森をすかしてみると、
 
そこにもさみしい木立がみえて、
 
上品な、まつしろな椅子の足がそろつてゐる。