第一相互館の屋上で夜の銀座をながめていたら、突然停電で屋上 はまっ闇になり、同時に銀座の両側の街燈も消えたが、街壁を飾る ネオンサインはみんな平気でともっていた。しばらくして、街燈が 一度にともったが、自分らのいる屋上はまだまっ暗であった。そう して楼下の町でまずばっと明るさが増して、しばらくしてからやつ ちゅうぶう と屋上が点燈した。人間の中風のメカニズムを想い出すのであった。