寺田寅彦『柿の種』
短章 その一




 
   学  会

 
 いろいろの学会にはいっている。すすんで入会したのもあり、い
 
つのまにか入れられていたのもあり、また強いてはいらされたのも
 
ある。数にしたら二十近い会の会員になっている。
 
 学会にはそれぞれ例会や総会がある。それに一々出席していたら
 
きりがないからたいてい出ないことにしている。
 
 どうも日本人はいろいろな会をこしらえることの好きな国民では
 
ないかという気がする。


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