八木重吉
「秋の瞳」

     たいぼく
   大木を たたく


 
 ふがいなさに ふがいなさに
 
 大木をたたくのだ、
 
 なんにも わかりやしない ああ
 
 このわたしの いやに安物のぎやまんみたいな
 
 『真理よ 出てこいよ
 
 出てきてくれよ』
 
 わたしは 木を たたくのだ
 
 わたしは さびしいなあ



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