竹久夢二「青い小径」 あいさつ この本の詩の大部分は、「少女画報」「女学世界」「淑女画報」等へ 載せたもので、大方はあなたがたが御覧になつたものでせう。 ペーヂの都合で、とりおきの「ゆび きり」といふ詩集もこれに加へ ることにしました。これにはそれ/\好い楽譜が附いてゐて、中には もう皆様も御覧じの「待宵草」も入つてゐます。 それから「歌時計」と「どんたく」の中からも、この本にふさはしい 小曲を持つて来て題を「美しき病」としたのですが、「病」はいけな いといふ人があるので「恋の細道」としたら「恋」もいけないといふ ので、とどのつまり「青い小径」にしました。 悩ましい春の日が過ぎ、青金の月が木の間がくれに忍びよる青い通ひ 路に、とりおとした夢のかず/\がこの小曲です。 人は一度この小径をゆけば、もはや再び帰らないだらう。 |
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