竹久夢二「青い小径」


    読本


 
 A
 
 とわたしがいへば
 
 A
 
 とあなたがいふ
 
 B
 
 といへば
 
 B
 
 といつた。
  ふたり
 二人がかうして
  とくほん        とき
 読本をよんだ時は
      す
 もう過ぎた。
 
 ユニオンリーダアの
   はゝ  さいご              とき
 「母が最後のキス」をよむ時
                しば/゛\
 あなたはいかに屡々
           て  なみだ
 わたしの手へ涙をかけたらう。
 

  とき   ふたり
 時は二人を
  とほ  お
 遠く追ひやつた。
 
 わたしが
 
 Cといへば
 
 あなたもあるひは
 
 Cといふだららう
 
 またまるつきり
 
 Dといふだらう。
 
 どちらにしても
         ふたり
 もはや二人で
  とくほん      とき
 読本をよむ時は
  す
 過ぎました。



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