竹久夢二「夢のふるさと」


 
  絵草紙店


 
 春だといふのに雪がふる。
 
 黒門町の絵草紙屋の娘の
  で きごゝろ
 出来心な夢を
 
 そつとのぞきこむ
 
 浮気な春の雪。
 

 
 ちらりほらり
 
 歌麿の女の脛へ
 
 春の淡雪。