竹久夢二「夢のふるさと」


 
  芝居事


 
 雪のふる夜のつれ/゛\に
 
 姉の小袖をそとかつぎ
 
 ……でんちうぢやはりひじぢや
 
 しまさんこんさんなかのりさん……
 
 をどりくたびれ袖萩の
 
 肩に小袖をうちかけて
                 しばゐ ごと
 なみだながらの芝居事
 
 「さむからうとてきせまする」
 
 このまあつもる雪わいの。