竹久夢二「夢のふるさと」


   
  雨へ


 
 お墓のうへに雨がふる。
 
 あめ/\ふるな雨ふらば
 
 五重の塔に巣をかけた
 
 かはい小鳥がぬれようもの。
 
 松の梢を風がふく。
 
 かぜ/\ふくな風ふくな
       す
 けふ巣だちした鳶の子が
 
 路をわすれてなかうもの。