スズメバチ属

           スズメバチ科 スズメバチ属


オオスズメバチ

体長約3p〜4.5pでスズメバチの仲間では世界最大を誇る巨大なハチです。         主に自然豊かな昆虫の種類や生息数の多い山間部の明るい林に好んで生息しクヌギやケヤキ等の落葉広葉樹の樹液を特に好んで飲んでいる姿に遭遇する事が多い。           生息数は比較的多く山間部では最も普通に見られる。                      働き蜂の最も多く見られる時期は9月から10月に掛けてで、特に幼虫に与える餌の不足する時期には他の種類のスズメバチの巣を集団で襲ったりする事も多く見かける ミツバチの巣箱を襲う事も知られていて養蜂家にとっては最大の天敵とされている。                    近年では開発による自然破壊や巣の乱獲により生息数は確実に減少しているがオオスズメバチは昆虫界に於いての生態系の頂点に位置する存在である為に、絶対に絶滅の危機は避けなければならない非常に大切な存在のハチである事は事実。
初冬の11月頃の午前中に巣穴付近に数多くの他の巣から飛来して来たオス蜂が飛び交い壮絶な交尾合戦が開始される。



 オオスズメバチの巣は地中に作る事がほとんどである為、殆ど巣を目にする事は不可能であり地中以外の巣でも倒木のうろの中や大木のうろの中等の暗闇の中に巣を作る性質の為に巣の発見は困難な為に知らぬ内に巣に接近していて突然に襲われる事例が多く発生している。    営巣期間は長くて5月から巣作りは開始され巨大な巣を営み12月初旬頃まで働き蜂が活動している事も普通だが中旬を過ぎると廃巣となる。                          営巣場所には特徴があり、主に見透視の良い山間の山道に沿った南向きの明るい法面の地中に作られる事が多いので特に山歩きの時には十分な注意が必要である。
巣の入り口付近には目新しい砂が山の様に積まれている事が多いので不自然な砂山を見つけたら要注意
巣盤の数は普通4段から6段で直径70pに達する巣も決して少なくはない。




ヒメスズメバチ

 オオスズメバチに次いで巨大なスズメバチであり 体長約3p前後で見た目は大きくオオスズメバチと間違えられる場合が特に多いが、一番の違いは腹部の先端部の色の違いで見分けは非常に簡単である。                   オオスズメバチの腹部先端は黄色であるのに対してヒメスズメバチの場合は例外無く黒色なので、これさえ覚えていると誰にでも簡単に種類の特定は可能だ。                   体の大きさの割には特に温和な性質のハチであって、このハチに刺された例は未だ聞いた事は無い程だ。                      主な生息地は山間部全般だが市街地にも適応性が有って街中でも比較的姿を見かける事は出来る。
その理由は植生に有り、主食にはアシナガバチ類の巣を襲って中の幼虫や蛹の体液を吸って自分の幼虫に与える性質の為に例え街中であってもアシナガバチの巣さえ有れば育児が出来る為に生息範囲は広い。
巣の規模も極度に小さい為に働き蜂の生息数も限られるのも特徴で街中生息適応性も他の種に比べて特に高いと言える。


 巣は主に地中に作られる事が殆どだが規模は非常に小さい為に巣の発見は特に困難であり木のうろの中や民家の壁の中や床下にも巣を作る事が多い 極稀に軒下等の明るい場所にも巣を作る事もあるが殆どの場合で暗い空間を好んで営巣を行う。                   体の大きさの割には巣の規模は極度に小さく主食であるアシナガバチの巣の成長に合わせた営巣形態である為に営巣開始時期はアシナガバチの巣に於いての蛹に成長する6月頃からの営巣開始となり早くも9月下旬頃には巣は子育てを全て終えて廃巣となる。            巣盤の数も特に少なくて普通3段以内


コガタスズメバチ


 オオスズメバチに酷似するスズメバチであり体長約2.5p前後で見た目も大きくオオスズメバチと間違えられる場合が多いが、一番の違いは腹部の黄色の帯の配置と配分により見慣れれば区別は簡単に出来るが直ぐには分かりづらい。  生息地も広くて比較的街中でも見受けられ一般にスズメバチと言えばこの種の事を指さす事が多い様だ。                      比較的温和な性質であり育児中の巣外の場所で発見しても人が近寄ると直ぐに逃げてしまうので観察にはそっと近寄らなければならない    花の蜜が好物で庭先の樹木や花々に蜜を吸いに来る姿を見る事が街中に住んでいても見る事が出来るので見た事のある方も多いだろう   好みの獲物には特徴があり、特に黒色の昆虫やクモ等に興味がある様で目の前に現れた黒色の獲物には直ぐにも飛びついて餌とする姿が多く目撃される


 巣は主に比較的未透視の良い明るい場所に作る事が殆どで特に樹木の小枝の入り組んだ場所に巣を作る事が多く民家の軒下等にも多く作られる 暗い場所に巣を作る事は殆ど無く地上からの高さも足元位の低位置から高くても3m以内に巣を作る事が殆どで目にする事も多いと思われる。                     この種の初期の巣は特に特記すべく特徴があり、初期の巣は徳利を逆さにした様な面白い形状をしており、下向きの長いパイプ状の出入り口を作る事が特徴です ※但し、働き蜂の産まれてくるまでであって働き蜂が生まれてくるとパイプ状のものは壊されて完全に無くなる ※女王蜂単独の時期は外出中の他の生き物からの巣の内部に関わる侵入を防ぐ為に長いパイプ状の出入り口を設けると考えられ、働き蜂が生まれてくると常に見張り役が居る為に不要となったと考えられる。 
巣の営み期間は比較的長期で5月から11月下旬頃までだが巣の規模は小さくて巣盤数も普通4段以下で
巣の直径も20cm位が殆ど 比較的温和な性質だが巣に振動を与えると刺す事もあるので植木の剪定時には特に注意が必要で、必ず剪定の前には予め巣の有無を確認する事が重要です。

キイロスズメバチ



 スズメバチ属の中に於いては最も小さな体のスズメバチです 体長約2p前後、女王約3p  何と言っても主な特徴は、その名の通りで体全体が黄色っぽくて他の種との区別は最も容易である事で、他にも短い体毛に覆われている事も目に付くので分かりやすい。            他の種に比較し最も好奇心が旺盛なのか人にまとわりつく事も多く、山登りや河原でのバーベキュー時にも頻繁に様子を見に飛んで来る事も多いが何もしなければ絶対にハチから人を刺す事は皆無なので決して手で払ったりしないように注意が必要です 彼女達は食性が特に広い為に肉や魚介類の匂いに敏感に反応する為で肉等を少し離れた場所で与えてやると必ず同じ場所を往復する習性があるので以後は来なくなりますのでお試しを!  野山のあらゆる樹木等の受粉に大いに貢献する種であるので決してむやみに駆除する事は避けて頂きたい 自然界の生態系維持に関するとても大切なハチである


 巣は主に特に巨大化するので誰もが一度は見た事があると思われます 田舎へ行けば民家の軒下等の目立つ場所に巨大な巣をぶら下げていて大変目に付くはずです。            そんな巨大な巣ではあっても最初から軒下等に巣を作る事は皆無に等しいのです 初期の巣は4月頃に女王蜂単独により主に地中の閉鎖的空間に作られその後働き蜂を育て、その数が50匹程度までに増す頃に予め新地である民家の軒下等に数匹の働き蜂達により新居が作られ同時に地中の巣に居る女王蜂に知らせると引っ越しを初めてその後に巨大な巣と変貌するのであり決して最初から軒下に巣を作ったのではありませんが、最初に屋根裏等の空間に巣を作り始めたものでは例外で、そのまま引っ越しを行う事無く巣を大きくするので特別に巨大な巣になる事も多い ※巣盤の数も多くて普通6段から8段で巣盤直径も40pクラスのものも見られる ※最盛期の働き蜂数は約800匹以内であり1000匹を超える事は無い
大げさにテレビ等では1000匹以上と叫んでる人間がいるがオス蜂や新女王蜂の数も加えられている。

モンスズメバチ



 体長約2.5pでコガタスズメバチとキイロスズメバチの中間位の大きさだが女王蜂のみは特に大きくて3pを超える 大変に美しいスズメバチであり胸部前方には赤色が入る事と何と言っても名前の由来である腹部の黄色の帯は直線で無く窪みのある波模様となる為に他の種類との区別は簡単に出来る。                  主な生息地は他のスズメバチと比較し明らかに山間部での生息に傾き自然破壊の進んだ地域には生息しない。 主にセミ類を主食とし特に好んで餌とする為、生息環境もセミの生息数の多い山間部に集中する ※近年特に大型種のクマゼミの増加が報告されているが獲物には大き過ぎるので対象とならない。
全てのズメバチの仲間は夜間の飛行は不可能であり、その為夜間は巣に戻って休んでいる事が当たり前だが
このモンスズメバチだけに限っては夜間でも飛行する能力を持ち例え深夜でも樹液の出るクヌギ林と巣とを往復飛行する姿を観察する事が出来る。 ※昼間のクヌギ林は天敵であるオオスズメバチがテリトリーを持つ事が殆どで、安全な夜間に樹液を吸う為の特殊な能力を身につけたものと想像される。


 巣は主に大木等の暗いうろの中に作られる事が最も多いが、地中や民家の屋根裏や壁面の中等に作られる事も多く、圧倒的に暗い場所を好んで巣を作る事が多い。            初期の巣の多くは大抵は地中の閉鎖的空間に作る事が殆どだが働き蜂が多く生まれ手狭になると引っ越しして暗くて広い空間へ巨大な巣を作る事が多い 他の種のスズメバチの巣とは形状は異なり巣の周囲に作られる外被は下部は大きく解放されていて育児室の様子が丸見えとなる事が大きな特徴である。            巣盤数は大きな巣のものでは10段以上も普通に見られ大変迫力ある綺麗な巣を作る    営巣期間は比較的短くて4月下旬頃より巣作りは開始されるが巣の終了期は少し早くて普通10月から11月頃までには既に廃巣となる事が殆どで、この事は主食であるセミの終了期にも大きく関連する者とも考えられる。