3 直線から曲線へ

 一応理屈はこういうことですが、この逆となると、案外と難しそうです。まるで落下と反対で上昇のようなものですから、エネルギーが必要です。しかし、掛け算が出来るのに、割り算が出来ないとは理屈に合いません。弧にも比例関係は必ずあるはずです。とは言ってもいきなり曲線にはいるわけにはいかないので、幅跳びの助走のように、直線の等分からはじめることにしました。図は直線の等分の方法ですが、これは中学のころに習った覚えがあります。子ども心に分かった時には得意になって興奮していたことを今でも懐かしい記憶として残っています。
 直線と曲線との間の違いは共通点は、を考えます。それが分かればこの問題も乗り越えられるのではないか、そう考えたからです。直線とは、二つの点を結ぶ最短の線と定義されますが。ここで問題にしたいのはそれは点の集まりなのか連続なのかです。連続なら無限に分割することが出来ますから現実的に等分は不可能ということもあり得るでしょう。もし点の集まりなら、自然の原理において足し算引き算が行われていないなら、すべて倍数ですから分割することが出来るはずです。ですからこの考察は、こうしたことへの期待がかかっているのです。

図c.a

  そこで直線o,aが与えられ、oから斜め上に補助線を引き、適当にb1、b2、b と等分点を取ります。その点から直線o,aに平行線で等分点を決めます。これが等分であることはコンパスを2回まわすことで確かめられます。さて、図の角度は適当にとったものですが、これからの考察を分かりやすくするために、「45度の二等辺三角形」で行います。下の図がそれです。なぜなら45度以下ということが重要だからです。角の三等分と言う洞穴に落ち込んでから、定規を引きコンパスを回したこと何百回になります。ひょっとすると千回を越えているかもしれません。その成果が弧の角度は45度以下ということです。これはかなり厳しい制限ですが、この制限が角の考察において重要であることがだんだんと明らかになってきました。
図c.b

  次にb1、c1 そしてb2、c2 と横に平行線を引きますと、a,bの辺にも等分点があらわれました。三角形全部の辺が等分されたことになります。この三角形の場合、a、b辺はともに等辺ですから当然ですが、底辺であるc辺も三等分されました。 しかしこれでは、三角形とひし形が混ざっています。o,bの辺には三角形がありますが、他の辺にはひし形しかありません。これでは比例関係は見えません。そこで、a,cに向かっても平行線を引くことにしました。そこで、比例関係が見えるように、そのうちの向きが同じ6個の三角に色を塗りました。
図c.c

 この三角形の各辺を等分しているのは、平行線もそうですが、実は三角形の中にできた小さな三角形ではないでしょうか。「三角形は三角形の集まりで比例関係が出来ている。」三角形は2次元です。ですからスケールにおいても次元を合わせた方がよいのではないかと考えたのです。これは物理単位の原理でもあります。もしそうなら、この原理を拡張した弧(扇)にも適用できるのではないか。「扇は扇の集まりで比例関係が成り立つ。」こう考えました。
 下の図は、上の図に1r、2r、3rに3本の弧を入れただけですが、何かヒントを引き出すためにじっと眺めていました。三角形なら平行線でよいかも知れません。しかし、弧にした場合、平行線ではどうしようもありません。別の線を考えなければなりません。
図c.d

 弧はやはり原点oから広がっているものです。扇は多くの軸からなっていますが、それを束ねるところに集めます。そのように弧は原点oに基点があるはずですからそこに集めます。そこでこの図にそれを試みることにしました。扇の底辺はみな、原点oに向かっており、oから発射されています。三角から扇への移行はどのようにして可能なのか、それを示す作図をしましたのが下の図です。

図c.e

 点c1、c2では、平行線と放射線が交わっています。平行線は三等分になっていますが弧は等分されているでしょうか。そこで放射線が弧に到達した点をc'1、c'2 として、c'2 が a、c'1 間の中心になっているかどうかをコンパス2回回転で調べれることにします。ところがこれがなかなか難しのです。

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