6 角の3等分不可能論

 数学の世界では3等分が不可能であることが論じられていますが、このことを矢野健太郎著「角の三等分」から少し見ることにします。この本は文庫本で222ページに及びますのですべてを網羅することはしません。その核心的な部分だけを持ってきました。まず、角の3等分は、x3-3x-a=0 を満たす作図であると言われます。これは「角の3等分の式」とも言われます。たとえば90度の場合、上の式の a=0 とした場合 x=√3 で満たしますので、90度の場合は可能です。ところが60度の場合、a=1 となります。簡単に言えばこうして上の式を満たすことが出来ず、90度以外は作図不可能と言われています。

図f.a 図f.b


 しかし、これは克服不可能ではありません。大げさに言えば相対性理論の発想を借用すればこれは可能です。アインシュタインは絶対空間絶対時間の座標の固定を外しました。すると時間も空間もフレシクブルになっていわばどうにでもなります。こうして重力と時間や空間との関係を合わせることが出来るようになります。そこで常に、a=0 にするためにはどうすればよいかを考えます。90度の場合 3等分は別のことを考えなければなりませんから 2等分から行います。2等分の場合 2rまでの座標を与えます。そしてそれを60にちょうど合うまで座標を押しつぶします。
図f.c 図f.d


 先のダイヤモンドのところでお示ししましたが、45度を超えると中心線を与えなければなりません。するとこの中心線が実質的にx軸、弧がy軸となります。でもちょっとややこしいです。考え方としては45度の弧を2つ重ねたことになります。60度の場合、30度の弧を2つ重ねたことになります。
図f.e 図f.f


 普通、座標はx軸とy軸は直行しています。これをフレシキブルにすることによっていろいろな角度(これにも制限があると思いますけれど)に対応することが可能となりました。自然は相対性であるということが何となく分かるような気がします。見てわかりますように、キーは最初の扇です。ここまでに45度、90度、60度の角度を扱ってきましたが、いずれも1r、2r、3rと径を増やしていきます。でも最初の扇がそのまま平行移動や回転移動します。このように最初の扇はいつもそのままです。この最初の扇の形を変えてはならないのです。
 ある教科書に「作図の完全解は、解析、作図、証明、吟味の四つの事項を具備しなければならない。解析は作図題が解決したとして、その求めるものが与えられた既知のものとどのような関係にあるかを追求して、作図の手段を見出すこと、これが作図題解決のキーポイントになる。それによって作った作図は、論理的に誤りがないものであるかを、定理を用いて証明するのが証明である。」とありました。この文章に出合い、次学期の登録する単位は「解析」であることが決まりました。

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