玉井彰の一言 2008年2月 四国の星ホーム一言目次前月翌月

2008/2/29(金) 「ロス疑惑」と国家主権、二重の危険、正義の実現

サイパンで逮捕された三浦和義氏についての報道が過熱しています。

日本では無罪が確定している事件。この事件を他国が審理し刑罰権を行使できるのかどうかは、人権問題として検討しておくべきです。

日本国憲法第39条は、「何人も、・・・既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」と定めています。 

これを大陸法的な「一事不再理」を定めたものなのか、英米法的な「二重の危険」禁止を定めたものなのか議論がありますが、日本国と日本国民との間で考える限り、大きな差はありません。

ところが、日本で無罪となった行為がアメリカで、となると、人権を守るという観点からは、「二重の危険」にさらされているのではないかとの疑問を生じます。

これを国家刑罰権という視点で考えると、アメリカはアメリカで日本とは別個に刑罰権を行使しうるのだから、日本での無罪判決はアメリカの刑罰権行使に影響しないということになります。

仮に立場を置き換えて、我が国で起きた事件が他国で裁かれたが無罪であった場合どうでしょうか。我が国の治安は侵害されていますし、我が国における国家刑罰権は発生しています。これが他国で刑事裁判があった時点(あるいは「危険」が発生した時点)で、国家刑罰権を行使できなくなるのでしょうか。

もし他国の裁判がいい加減であるとの印象を多くの国民が持った場合、正義の観点から許せないとの声も出るでしょう。

(1)二重の危険=人権、(2)国家刑罰権=国家主権、(3)正義の実現、との相克が問題になります。私は、国家主権を前提としても、他国で無罪判決があった場合は、その国の法制度への信頼を前提として、国家刑罰権行使を自粛ないしは自制すべきではないかと思います。

ただし、殺人などの重大犯罪であって、正義の実現の要請が極めて強い場合、無罪判決を出した国の反対がなければ、国家刑罰権の行使が許容されてしかるべきです。

「ロス疑惑」において、日本国が反対しなければ、米国での国家刑罰権行使は許容されると考えます。


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2008/2/28(木) 組織改革ではなく組織の解散が必要・・防衛省、厚労省等々

国民の命・健康と労働環境、そして暮らしを守ることが任務である厚労省。この役所がその任務に向いていない組織であることが、この1年間で明確になりました。

舛添大臣が訓辞中に感極まって涙を流したことがテレビニュースになっていました。

【「族議員への働きかけ、許さぬ」舛添厚労相、職員に訓示】(朝日)
舛添厚生労働相は27日、昨年8月の大臣就任から半年となるのを機に職員に対して行った訓示で、「役人が族議員に働きかけ、その圧力で大臣に政策変更を迫ることは断じて許されない」と言い渡した。C型肝炎訴訟問題や診療報酬改定などでみられた厚労官僚と政治家、業界団体との癒着体質を批判したものと見られ、意識改革を強く求めた。 

肝炎訴訟では、和解交渉を急ぐ大臣の意に反して、職員は当初抵抗。診療報酬改定でも、与党議員が日本医師会と足並みをそろえ、開業医の再診料引き下げを阻止した。 

舛添氏はこうした具体事例に言及しなかったが、「厚労行政の最高指導者は大臣だ。大臣の方針に従わないのは国民主権の原則に反し、公務員として失格だ」と厳しく批判した。 
年金記録問題についても「積年の病弊が生み出した一大不祥事。職員が使命感や責任感を欠くと国家の危機にまで拡大する」と話した。 

厚労省改革のため、内部告発を含めた職員による提案を大臣あての直通メールで集めることにした。広報体制も強化、各部局に広報担当者を置くという。 

【コメント】
残念ながら、組織の「改革」では追い付かないのではないでしょうか。

厚生労働行政に不向きな厚労省、防衛に不向きな防衛省、外交に不向きな外務省等々。

組織を解散して出直す。この決意を政治が持たなければ、およそどうにもならない段階にあるとの認識が必要です。

これまでの組織を維持して、いくら熱心に「改革」を唱えても、「あの大臣は何時辞めるのだろうか」ということを考える程度の人間しかいないという現実を見る必要があります。

解散・出直し。これが切り札だと思います。


2008/2/27(水) 新銀行東京の経営責任・・・石原都知事は腹を切れ!

都議会混乱の様子をテレビで見ました。石原知事は責任回避の姿勢ですが、これは問題です。

「銀行は出鱈目だ!」語気荒く演説をし都民をその気にさせておいて、400億円もの追加出資を求めるのに「発案者として責任を痛感している」の一言で済むものかどうか。

【石原知事「発案者として責任痛感」 経営難の新銀行東京」(朝日)
東京都が1000億円を出資し、経営難に陥っている新銀行東京に対し、400億円の追加出資案を都議会に提出した石原慎太郎都知事は26日、都議会で「発案者として責任を痛感している」と語った。追加出資は清算より負担が小さいとの見方を示し、「ほかに選択肢がない」と述べた。 

議会からは「追加出資は現状では認められない。条件は再建計画の信頼性」(公明)、「経営悪化を旧経営陣に責任転嫁している。知事の責任は?」(民主)、「私財を投げ打ってでも責任を取るべきだ」(共産)と、与野党から厳しい指摘が相次いだ。知事は「まことに残念無念で、歯ぎしりする思い。慚愧(ざんき)に堪えない」と釈明を重ねた。 

知事は(1)清算(2)預金保険法に基づく破綻(はたん)処理(3)追加出資――を検討したと表明。(1)や(2)では「融資先1万3000社に甚大な負担を与え、都民にも膨大な負担を求める」とした。しかし、具体的な算定額は示さなかった。 

追加出資について、都産業労働局長は「事業展開のうえで避けられないリスクに対応する資本を確保する」と述べた。年度末に累積赤字が約1000億円に上る見込みで、資本金を補充しなければ再建計画に盛り込んだ融資が実行できないという。経営再建に「金融ノウハウを有する銀行などとの連携を視野に入れ、事業の充実を図る」とした。 

【コメント】
「男子」たることに尋常以上の誇りを持つ石原都知事。今こそ日本男児として、腹を括るべきときだと思います。

何故、新東京銀行が失敗したのか。

民間で出来ることを行政がやったからではないでしょうか。発案そのものは悪くなかったのです。しかし、民間の銀行がニーズをうまくつかまえて融資を行い、新東京銀行がリスクの高い融資をせざるを得なかったことで、経営悪化を招きました。

素早く縮小・撤退の決断をすべきでした。その決断が遅きに失したことが400億円につながっています。

共産党の言う「私財を投げ打って」という言葉に、妙な説得力があります。中小零細企業なら、当然そうなるのですから。

私財を守りたいのなら、腹を切る(=辞任)べきでしょう。それが嫌なら、大言壮語はやめるべきです。


2008/2/26(火) 内閣支持率28.7%、不支持率52.2%・・フジ・産経グループ調査

福田内閣の支持率が30%を割り込みました。中国の餃子事件、イージス艦の事故などが相次いだという事情もあるでしょうが、かなり深刻な内訳になっています。

【高齢者・女性が「福田離れ」 舛添氏は72%「評価」】(産経より抜粋)
・・
今回の合同世論調査で、福田内閣の支持率が低迷している背景を探ると、これまで支持率を支えていた高齢者や女性の福田離れが進んでいることに加え、政策面でも経済政策を中心に厳しい評価が目立ったことが挙げられる。「ねじれ国会」の政権運営の困難さは理解されているものの、福田康夫首相のリーダーシップが国民に見えないことへの不安が数字に表れた格好だ。

 60歳以上の高齢者の福田内閣に対する支持率は35・6%、女性の支持率は31・1%で、どちらも昨年9月の福田政権発足以降、初めて3割台に落ち込んだ。特に60歳以上の女性は、これまで他の年代・性別の支持が低迷する中、一貫して5割以上の支持率を維持してきたが、今回の調査で39・2%にまで急落した。年金記録問題や中国製ギョーザ中毒事件など生活に密着した問題への対応のまずさが原因のようだ。
・・

【コメント】
高齢者と女性の支持率がこれだけ低いと、選挙にはなりません。福田内閣での解散は不可能です。特に、女性に愛想を尽かされると、支持率回復は難しいと言われています。

自民党としては、福田内閣で行けるところまで行き、内閣総辞職後に「新風」を吹かせる作戦しかないと思われます。

ここで問題となるのが政策。ガソリン1リットル当たり25円は余分に暫定税率で支払わされているということが、多くの国民の脳裏に焼き付いてしまいました。このことの重大性に政権側がまだ気付いていないように見受けられます。

ガソリンが1リットル20円以上値下がりしない限り、「道路だ」「一般財源化だ」とキャンペーンを張っても、「安い方がいい」という庶民感覚には勝てないでしょう。

「年金基礎部分を全額税法式とし、暫定税率部分を財源に充てる」とでも言えば、風向きが変わるのではないでしょうか。

かつての自民党は、こうした芸当がお手のものだったのですが、今は財務省主導から脱却できないため、「財源の裏付け」で抵抗できない状態に陥っています。


2008/2/25(月) 防衛大臣の「責任」とはなにか・・辞任より前にすべきこと

イージス艦と漁船との衝突事故で野党は辞任要求を突きつけましたが、辞任する前になすべきことが山積しているように思われます。

一例が事故時の伝達態勢。

【イージス事故、内局職員が速報怠る】(産経)
石破茂防衛相へのイージス艦衝突事故の第一報が遅れた問題で、発生時に統合幕僚監部のオペレーションルームに当直勤務していた内局(背広組)職員が、同ルーム責任者の制服組(自衛官)幹部から石破氏に速報するよう指示されたにもかかわらず、防衛相秘書官への連絡を怠っていたことが24日、分かった。

防衛省には「重大な事故・事件は各幕僚監部が(内局を経由せず)防衛相秘書官に1時間以内に速報する」とした事務次官通達があり、今回は統幕か海幕が石破氏に直接速報すべきだった。しかし、統幕、海幕両オペレーションルームの責任者も通達を認識しておらず、石破氏への連絡が発生から約1時間半後になった。

石破氏は今回の事態を受け、各幕僚長が防衛相に直接速報する仕組みに通達を改めたが、さらに内局と各幕の情報伝達のあり方を見直す方針だ。

防衛省の調査では、統幕、海幕の両オペレーションルームが第一報を受けたのは、事故発生の41分後の19日午前4時48分。それぞれの幕僚長には発生後1時間前後で第一報が伝わった。

これを受け斎藤隆統幕長が「防衛相と内局に報告せよ」と指示。しかし、統幕オペレーションルーム責任者は直接速報せず、同ルームで当直していた内局職員に連絡するよう指示した。

同職員は直ちに運用企画局訓練企画室長に伝えたが、防衛相秘書官には連絡しなかった。このため石破氏に内局経由で第一報が届いたのは5時40分、福田康夫首相への連絡は6時5分だった。

【コメント】
ひょっとして、「たかが漁船と衝突したくらいで」と考えたのではないかと疑いたくなるほど、海上自衛隊内の伝達態勢が弛緩しています。

防衛に不向きな体質ではないか。

一言で言えば、そういうことになります。国家における危機管理専門部署が自衛隊です。それがこの体たらく。

およそ、防衛など語る資格がない組織です。防衛大臣は辞任する前に、防衛できる組織になるよう基礎固めをすべきです。そして、然るべき時期に責任を取る。これが本来のあり方です。

いきなり辞任を求める野党は、政治センスに問題あり。こんな組織を引き継いでも、国家防衛などできるはずがありません。「前政権」にお尻は拭いておいてもらうべきです。


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2008/2/24(日) 政権交代への機運が熟しつつある・・読売調査

政権交代へのアレルギーは、確実になくなってきています。時々政権交代があった方がいいという、民主主義国としては極めて真っ当な感覚になっていることに対応する、野党・民主党の舵取りが重要になってきます。

【「時々は政権交代を」63%が望む…読売世論調査】(読売)
3人に2人は今の政党や政治家に不信を抱き、選挙で投じた一票が現実の政治に反映されないことに不満を感じている――。読売新聞社の年間連続調査「日本人」から、政治の現状にいらだつ有権者のこんな「政治意識」が浮き彫りになった。

時々は与野党の政権交代があることを望む人は全体の6割強、今の与党支持層でも4割に上り、もたつく政治に大きな変化を期待する意識の広がりも読み取れる。

調査は「政治意識」をテーマとして16〜17日に面接方式で実施した。

今の日本の政党や政治家を「信頼している」と答えた人は「大いに」「多少は」を合わせて30%にとどまり、「あまり」「全く」を合わせて68%が「信頼していない」と回答した。国民が選挙で投じた一票が現実の政治に「反映している」と答えた人は29%で、「反映していない」が67%を占めた。

「一般的に言って、時々、与党から野党へ政権が交代する方がよいと思うか」と聞いたところ、「する方がよい」は63%で、「しない方がよい」の27%を大きく上回った。これを支持政党別に見ると、自民支持層は「しない方がよい」が過半数の53%だったが、「する方がよい」も40%に上った。民主支持層は91%が「する方がよい」を選んだ。

政権交代を容認する人に理由を三つまであげてもらったところ、「政治の腐敗が起こりにくくなる」の55%が最も多く、「政策の方向性が変わる」の49%、「政党間の政策論争が活発になる」の44%が続いた。

しかし、「近い将来、与党から野党への政権交代が起きると思うか」との問いに「そう思う」と答えた人は41%で、「そうは思わない」の50%より少なかった。政権交代をする方がよいと答えた人でも、近い将来の与野党政権交代を予想する人は54%にとどまり、40%は実現に悲観的だった。

また、これからの日本の政治について、「良い方向に進む」と答えた人は「どちらかと言えば」を含めて計46%で、「悪い方向に進む」の計45%と拮抗(きっこう)した。衆院と参院で第1党が異なる「ねじれ国会」での混迷が、今の日本人に政治の先行きについての方向感を失わせているためと見られる。

【コメント】
かつて、社会党に政権担当能力がないことは、常識ある社会人なら分かっていました。しかも、中選挙区制度の下で社会党自身が過半数を制する候補者擁立が出来ない事情を抱えていました。

小選挙区制度が定着して政権選択の選挙であることが理解されてきたことに加え、野党・民主党に人材が集まってきたことで、政権を委ねてもいいのではないかという感覚になってきたということです。


「古い上衣よ さようなら さみしい夢よ さようなら・・」(青い山脈)


政権担当能力に疑問符の着く自民党ではなく、新たな国民政党・民主党に賭けてみよう。田舎の方でもそうした意見を言う人が確実に増えてきています。

もっとも、情勢は民主党が確実に勝てるところまで進んでいません。政権交代に臆病だった国民がやっと目覚めてきたという段階です。民主党には、国会で懐の深い信頼の置ける対応を期待します。


2008/2/23(土) 皇太子殿下誕生日と東宮家への報道・・プライバシーとの関係

東宮家への無用な報道が相次いでいます。先日は宮内庁長官の「苦言」が注目を浴びました。

【皇太子さま48歳に、長官苦言には「家族内の事柄」】(読売) 
皇太子さまは23日に48歳の誕生日を迎え、これに先立って記者会見された。宮内庁の羽毛田(はけた)信吾長官が定例会見で異例の苦言を呈したことから発言が注目されたが、御所を訪ねる参内について「できる限り心掛けて参りたい」と述べるにとどめ、「家族のプライベートな事柄」としてそれ以上の発言を控えられた。

皇太子さまは、羽毛田長官の苦言について「両陛下の愛子に対する心配りは常にありがたく感謝申し上げております。御所に参内する頻度についてもできる限り心掛けて参りたい」とし、参内が少ない理由などの質問には「家族内の事柄ですので、こういった場所での発言は差し控えたいと思っております」と繰り返された。

一方、この一年で印象に残ることとして、食の安全や年金、社会格差などの問題を挙げ、「食の安全は生活の基本であり、関係者の努力により問題が解決に向かうことを願っております」と話された。

長期静養が続く雅子さまについては「公私を問わず心の触れ合いを大切にしながら、活動の幅を広げることが治療のために必要。長い目で見守って頂きたくお願い申し上げます」。4月から学習院初等科に進学する愛子さまに関しては「手を洗っている時、水を出しっぱなしにして注意された」とのエピソードを披露し、天皇陛下の公務の見直しに対しては「ゆっくりしていただくことを考える必要がある」との考えを示された。

水問題に意欲 ご自身の公務については「水の問題も国際社会が一体となって取り組んでいかなければならない最重要課題の一つ」とし、「国連『水と衛生に関する諮問委員会』の名誉総裁の立場で、様々な活動に取り組んでいきたい」と意欲をみせられた。

【コメント】
皇太子殿下の「プライベートな事柄」とのコメントは適切です。これに尽きます。

皇室は開かれたものでなければならず、また皇室の一挙手一投足が国民の関心事であることも事実です。

しかし、生身の人間(とその一族)が国民総意の下に日本国と日本国民統合の象徴として存在していることへの敬意と、そのご苦労へのいたわりの気持ちを忘れてはなりません。そういう意味でのプライバシーは尊重されるべきだと思います。

言論の自由とは、そうした配慮をすることと矛盾しないと思います。むしろ問題なのは、皇室報道以外のタブーが多すぎるということです。

官僚支配とそれに癒着する記者クラブ制度下の報道の多くが「大本営発表」であることこそが、民主主義の下で問題視されるべきです。


2008/2/22(金) 道路特定財源の使い方・・車社会の弊害除去に使えないのか

道路特定財源の使い方が怪しい。

このことが最近の報道で明らかになっています。道路ではなく、箱ものに使われている事例が報告されています。まちづくり交付金においては、道路整備を伴うことを条件に箱ものにも補助金が下ります。

まちづくり交付金自体は意義のあるものです。そして、まちづくりを行う上で市街地の道路整備も避けては通れません。

だから道路特定財源・・ という論理でいいかどうかは、きちんと考えてみるべきです。

道路特定財源維持を前提とした議論であることをお断りした上で、こういう考え方もあると思います。即ち、道路建設にはプラスの効果とマイナスの効果があります。マイナスの効果を除去するための支出も車のユーザーが負担してもいいのではないでしょうか。

これまでの道路整備は、結果として都市の無秩序な拡散(スプロール化)を招きました。道路建設が都市の魅力を損ない、車のユーザーに便利なだけの環境をつくってしまうことにより、高齢者など車社会に適応できない方々の利便性を大きく損なうことになりました。

そうであるとするならば、これからは道路特定財源を行き過ぎた車社会の弊害除去に使ってもおかしくはないと思います。

道路からまちづくりに。

超高齢社会対応型の地域づくりのために、これまで地域破壊を促進する結果をもたらした道路特定財源を活用する。車のユーザーにはそれを甘受していただく。

こういう発想はおかしいでしょうか。あくまで、道路特定財源維持を前提としたお話。


2008/2/21(木) 海上自衛隊は誰を守るのか・・組織防衛・自己防衛が起きている

イージス艦「あたご」の衝突事故について、事実の隠蔽が組織的になされようとした、あるいは、組織的になされようとしているのではないかとの疑念が生じます。

事故を起こしたことより、そのことの方が問題です。

【衝突12分前に「清徳丸」視認、レーダー員に伝えず】
館山湾内で台船に載せられる「清徳丸」(読売ヘリから) 千葉県房総半島沖で、海上自衛隊のイージス艦「あたご」(基準排水量7750トン)と漁船「清徳丸」(全長16メートル、7・3トン)が衝突した事故で、あたごの見張り員は、事故の12分前に漁船2隻の灯火を視認していたことが20日、防衛省の調査でわかった。

同省では、うち1隻を清徳丸のものとみている。

一方、レーダー担当の乗組員は衝突まで清徳丸の存在を認識していなかったことも判明。同省はこれまで、事故の1分前に視認していたと説明していたが、実際には当直員間の連携の悪さから適切な回避行動を取らず、衝突を招いた可能性が濃厚になった。

記者会見した河野克俊・海幕防衛部長によると、あたごの艦橋にいた見張り員が前方に漁船の灯火を確認したのは19日午前3時55分。同省幹部によると、漁船は2隻で、このうち1隻が清徳丸とみられ、灯火は「赤」と「白」だったという。

赤と白の灯火は、それぞれ左舷と中央マストの灯火を意味するため、この時点で相手の船を右側方向にみていたあたご側に衝突の回避義務が生じていたことになる。

その後、同4時5分に同じ見張り員が右方向に今度は緑色の灯火を視認。その約1分後、この灯火が速度を増して動き出したため漁船であると認識した。

あたごはこの直後に自動操舵(そうだ)を手動操舵に切り替えて、当直士官の指示で急制動をかけたが、すでに漁船との衝突を回避できない「傘型危険界」まで接近し、同4時7分に衝突した。

見張り員が灯火を確認したことが当直士官らに伝えられたかどうかについて、河野部長は「確認していない」とした。あたごは衝突前、速度約10ノット(時速18キロ)で航行していたため、最初に視認した灯火との距離は数キロ離れていたとみられる。

あたごはその後、約10分間にわたり自動操舵を続けていた。河野部長は「一般論として、最初に視認した時点で回避行動を取れば十分に回避できた。自動操舵のままにしておくのはおかしい」と述べ、あたごの行動が不適切だった可能性を示唆した。

一方、あたごでは事故当時、当直の乗組員約10人が艦橋や甲板などで見張りにあたっていた。目視による見張り員3人のほか、艦橋内には水上レーダーの画面も映し出されていたが、事故が発生するまで、レーダーを担当していた乗組員は、清徳丸と接近していることには気づかなかったことも判明。もし12分前に見張り員が視認した情報がレーダー員に伝わっていれば、適切な回避行動ができた可能性もある。

石破防衛相は19日の自民党国防部会で、あたごの乗組員が清徳丸を確認し、回避行動として急制動をかけたのは事故1分前で、間に合わずに衝突したと説明していた。

【コメント】
警察においてもそうですが、国民を守るはずの組織が、まず自分を守ることに奔走する。

当人達は、組織防衛のつもりなのでしょう。しかし実態は、自己防衛、ないしは自己保身でしかありません。

霞ヶ関の官僚機構において然り。国家財政を犠牲にして自己防衛に終始する様は、余りにも醜悪です。

この国の官僚組織が、倫理的な退廃を起こし、自分たちだけが安逸を貪る共同体となって国民から遊離した存在になっているということが明らかです。

処方箋は、政権交代。民主党が頼りになろうとなるまいと、権力の移動を行い、官僚組織を揺さぶる必要があります。国民にその決意無くして、個々の事実に対して憤るだけでは、問題は解決しません。

太平洋戦争開始前の状況に似ています。国益を全く無視して、巨大なアメリカに向かって突進した軍部。組織防衛・自己防衛に明け暮れて、それを回避し得なかった政府、文武の官僚達。総無責任体質になっています。


2008/2/20(水) 菅vs東国原・公開討論・・知事が国の手先になっている

道路特定財源をどうするか。道路特定財源を廃止すると、地方における道路の問題はどうなるのか。地方の人間にとっては重大な関心事です。

菅・民主党代表代行と東国原・宮崎県知事との公開討論が行われました。

【東国原知事と民主・菅氏、道路めぐり公開討論】(朝日)
道路特定財源など道路問題をめぐり、民主党の菅直人代表代行と宮崎県の東国原英夫知事らが19日午前、東京都内のホテルで公開討論に臨んだ。

菅氏の申し入れで実現した。両氏のほか、全国知事会長の麻生渡・福岡県知事、元北海道ニセコ町長の逢坂誠二・民主党衆院議員が参加した。 

菅氏は「道路特定財源は国交省と道路族が力によって配分していて公平公正なルールがない。地方の道路の必要性は感じている。透明性を持って決めるルールを一緒になって考えたい」。東国原氏は「宮崎は高速道路の空白地帯。県外の企業に来て頂こうとしても『交通のインフラはどうですか』と言われる。交通基盤の整備を平等にやってほしい。地方間競争はそこからだ」と訴えた。 

民主党が主張する道路特定財源の一般財源化について、菅氏が「地方分権化のために必要」と主張したが、東国原氏は「まず安定した財源の確保だ。暫定税率が廃止されると予算が組みづらくなる」と訴えた。 

【コメント】
道路建設についての決定権を地方が持つべきだと主張する菅氏。安定した財源が欲しいという東国原氏。

東国原氏に代表される各県知事の態度は、「蜘蛛の糸」の主人公・カンダタのように見えます。オレだけがこの蜘蛛の糸をよじ登って地獄から這い上がる・・

そして、上から蜘蛛の糸を垂らしているのは、天国の神様ならぬ国土交通省。

こうした図式の中で、国に踊らされているのが東国原氏です。国の手先をうまく演ずれば、宮崎県に春が来る。そうなるかもしれません。

しかし、中央にコントロールされる形で道路ができても、地方発の発想がなければ、中央からの「おこぼれ頂戴型自治」を卒業することは難しく、結果として「中央への隷属型自治」の継続しかありません。

地方に頭脳がなければ、地方の道路は中央や大都市への脱出路でしかありません。地方に頭脳ができ、決定権を獲得できれば、地方から富を生みだし、地方に人を呼び込む血管としての道路になるのだという展望を持たなければなりません。


2008/2/19(火) 天下り法人の駐車場経営・・赤字でも役員報酬増額

民主党・前原誠司氏の質問で、国交省役人の天下り先法人が経営する駐車場の問題が指摘されました。道路特定財源が使われていることだけではなく、財団法人が経営する必要があるのかどうかも疑問です。

【「ガラガラ」の天下り法人駐車場、民間化検討 国交相】(朝日)
国土交通省が道路特定財源を使って全国14カ所の国道の地下に整備した駐車場の利用が低迷している問題で、冬柴国交相は18日、衆院予算委員会で一部について「民間でやれるかどうか検討したい」との考えを示した。 

これらの駐車場は、同省の天下り先でもある財団法人「駐車場整備推進機構」が管理・運営している。冬柴氏は、民主党の前原誠司副代表から「財団法人でやる必要があるのか。民間でできるのではないか」とただされ、「私もそう思う」「『ガラガラだ』と指摘のあった駐車場はどういう所なのか調査しないといけない」と答えた。 

【コメント】
ガラガラの駐車場を経営する財団法人。そこに天下っている国交省OBが高額所得を確保し、赤字であっても役員報酬を増額する。そこに道路特定財源が使用されている。

これは、国交省ぐるみの背任行為ではないでしょうか。

社会保障費が増大し、国家財政が逼迫しているので消費税値上げが必要云々の議論が、あたかも正論の如く取り上げられています

それにもかかわらず、役人天国の実態は変わりません。これを是正しようとする意気込みに欠けるのが現政権です。国交省の事例はその一部に過ぎません。

国家の経営権を野党に譲り、より簡素な国家経営をしてもらうべきです。


2008/2/18(月) 日経調査で、内閣支持率40%・・政治センスの欠如

内閣支持率が高めに出る傾向がある日経調査で、福田内閣支持率が40%、不支持率が48%。不支持の内、「指導力がない」が安倍内閣末期よりも多いという結果が出ています。

【内閣支持率40%に低下、不支持48%・日経世論調査】(日経)
日本経済新聞社が15―17日に実施した世論調査で、福田内閣の支持率は40%と1月の前回調査から2ポイント低下した。不支持率は48%と2ポイント上昇し、3回連続で支持率を上回った。福田康夫首相の指導力が不足しているとの見方が強まっているうえ、道路特定財源問題や経済活性策への評価が低いことなどが原因だ。

内閣を支持しない理由を複数回答で尋ねると「指導力がない」が57%でトップ。福田内閣発足後は最高で、安倍前内閣末期の昨年8月の54%も上回った。「政策が悪い」が31%で続き「安定感がない」が25%。支持する理由は「人柄が信頼できる」が43%だった。

【コメント】
私が地方で実感する景気は、昨年秋以降一段と悪くなっています。政策ミスという印象が顕著です。

景気が減速する中で、道路特定財源にこだわる政治センスにも問題があります。

(1)地方における道路建設は必要

(2)不当に高いガソリン代を安くする必要がある

この連立方程式を解くことが、政治に求められているということが自覚されなければなりません。

政府の解答に国民が納得していないことが、内閣支持率を通して浮き彫りになっています。民主党案に政府が歩み寄る形での解決が必要です。


2008/2/17(日) 民主党愛媛県連、自立への第一歩・・連合支配からの脱却

本日の愛媛新聞記事を、民主党県連がやっと連合愛媛への隷属状態から脱却したのだなと、感慨深く読みました。

連合愛媛が事務局幹部を常任幹事として県連に送り込んで睨みを利かし、県連の独自性を奪ってきました。私が1区総支部長時代には、当時の代表と幹事長がそれを阻止してきましたが、私の退任後は連合の言いなりでした。

横山・新幹事長他、県連の新役員に期待します。ただし、期待できない人物がひとり。県連代表の土居一豊氏です。本日の記事によれば、土居氏が県連大会で衆院選愛媛1区の候補として中村時広・松山市長に出馬を打診したと発言して波紋を呼んでいます。

これを県連幹部が否定するコメントを出しているところを見ると、極秘事項を漏らしたものと思われます。私も過去に、土居氏の秘密保持力のなさに泣かされた経験があります。中村市長も困惑されているでしょう。

この発言で、愛媛1区は中村氏が出馬しない限り候補者が立てられず、出ても「代打」であることが明らかな候補者ということになりました。もっとも、瓢箪から駒で、中村氏の出馬が促される結果になる可能性はあります。

県連の新役員は、土居氏の口にチャックをする仕組みをつくるか、代表を辞めていただくか、何らかの措置を求められるでしょう。


2008/2/16(土) 延命中止・・・尊厳ある死でありたい

人生の終末が苦しみに満ちたものであっていいか。死に際しても人間としての尊厳が守られるべきではないか。

人生最期のあり方については、前もって考えておくべきではないでしょうか。

【延命中止:本人の意思「推定」も認める 学術会議が報告書】(毎日) 
日本学術会議の終末期医療分科会(垣添忠生委員長)は15日、がんなどの終末期において、患者本人の意思がわからない場合、家族による患者の意思の推定に基づき治療中止も選択できるなどとする報告書を公表した。

今回の報告は尊厳死を容認した94年の報告とほぼ同じだが、94年以降も終末期医療をめぐる問題が相次ぎ、厚生労働省などが指針を公表したことを受け改めて作成された。

報告は、がんなどで余命6カ月以内と予測される患者が対象。リビング・ウイル(生前の意思表示)も含め、患者本人の意思が確認できる場合、緩和医療が十分に提供されていても、本人が延命治療を拒否すれば中止する。

本人意思が確認できない場合、94年報告では近親者の「証言」に限ったが、今回は家族による「推定」も認めた。治療方針決定の手続きとして▽家族意思の繰り返しの確認▽治療中止を求める場合の理由の確認▽多職種による医療チームの判断▽記録の保持−−などを求めている。

治療中止の対象は94年報告を踏襲し、人工呼吸器、栄養補給などとした。一方、尊厳死やリビング・ウイルの法制化については、国民の合意が得られておらず「現時点で結論は出し難い」とした。

垣添委員長は「過去の終末期医療の問題は、緩和医療が充実していれば起こらなかった。遠回りに見えても、治療中止の条件作りより、終末期医療の質の向上、格差是正を進めることが本来の姿だ」と強調した。

【コメント】
尊厳死を望むかどうかについて、予め意思表示する機会を制度として設けておくべきです。住民票に尊厳死欄を設け、尊厳死を望む場合のみ、その旨を記載すればいいのです。

これで人生がかなり楽になります。人生の最期がチューブだらけでいいとは思えません。近親者必死の看護も、3ヶ月が限度であると言われています。本人は苦しみ悶え、家族は崩壊する。こうした悲劇を生むのでは、何のための人生であったかということにもなります。

緩和治療が充実すれば尊厳死を否定してもいいということにはなりません。人生最期のあり方は、自己決定権のひとつとして大切に扱われるべきものです。

もちろん、尊厳死を拒む権利も保障されるべきです。最期まで敢闘精神をもって人生を閉じるのも意味ある生き方だと思います。


2008/2/15(金) 議員宿舎は必要か・・参議院宿舎建設問題

参議院の議員宿舎の移転計画に反対していた東京都が一転。緑が残される案が提示されたとして賛成に回るようです。

こうした各論の問題ではなく、そもそも議員宿舎が必要であるのかどうかが国会で議論されなければなりません。

【参議員宿舎:都が一転建設容認へ 国の緑残す案を評価】(毎日)
参議院清水谷議員宿舎(東京都千代田区)の移転計画について、緑が失われるとして反対を表明していた都が、一転して建設を認める方向で国と協議に入ることが分かった。風致地区に指定されている予定地に緑を残す案を国が示し、都側がこれに一定の評価をしたとみられる。

予定地は、現宿舎から東に約100メートル離れた宮内庁所有地で、広さ4527平方メートル。紀州藩の藩邸跡で、都心では数少ない豊かな雑木林が一面に広がる。

国は当初、地上16階、地下2階建て、高さ56メートルの新宿舎を建設するとしていた。

しかし1月末、移転を推進する都議会自民党が都に、参議院が作成した新たな縮小案を説明した。建物の高さを大幅に低くし、建築後に残す緑地も、当初予定の約5割から約6割に増やす内容。都側も緑地率の上昇などの改善を評価した。

国は昨年5月、都に建設を申し入れ。条例で建物の高さは15メートル以下に制限されているが、公共性があれば適用外となり、同7月にも着工する予定だった。

しかし、近隣住民が6月、石原慎太郎知事を相手取り、建築許可を出さないよう求めて東京地裁に提訴。都は慎重姿勢に転じた。さらに、猪瀬直樹副知事の働きかけもあり、石原知事が9月、予定地を訪れ「貴重な緑が残っており、ここをつぶすのは反対」と発言していた。

【コメント】
国家経営が厳しい折から、消費税の値上げが幾度となく議論されています。そうした中で議員宿舎が果たして必要なのかどうかが議論されなければなりません。

議員宿舎の建設費と維持費。これと住居が必要な議員に対する住宅手当のどちらが安く付くか。この視点も重要です。

平和な時代を前提とすれば、一般サラリーマン以上の特権を付与する必要はないという結論が出てきます。

しかし、私は議員宿舎は必要であり、都内に住居がある者でも、必要性があれば入居可能とすべきだと思います。

平和な時代だけではないからです。憲法は議員特権を認めています。議会や議員に対する不当な圧迫から議会・議員の活動を護るためです。戦前における我が国の暗殺の歴史を忘れてはなりません。政財界や官界への暗殺がどれだけ国の進路を歪めたか。

私が賛成するのはセキュリティーの観点からだけです。それ以外に擁護する論拠はありません。それだけに、議員各位には真剣な活動を展開していただきたいし、国民を裏切る汚職については、より一層の厳罰化が必要であると考えます。


2008/2/14(木) 米兵婦女暴行・・・優越的な同盟の帰結

何年かに1回は必ず、沖縄で米兵の婦女暴行事件が発生します。少々の対策や「遺憾の意表明」などでなくなるものではありません。

【在日米軍、行動規律厳格化へ 米兵少女暴行事件】(朝日)
シーファー駐日米大使は13日、外務省で高村外相と会談し、在沖縄米海兵隊員が女子中学生を暴行したとされる事件を受け、在日米軍の行動規律を全面的に見直し、厳格化すると表明した。陸海空・海兵隊の4軍が個別に策定している研修や事件防止策を見直し、米兵、軍属、家族を対象に外出制限の強化などを早急に検討する。容疑者が基地外に住んでいたことから、基地外への居住許可の厳格化などが柱になるとみられる。

シーファー大使は高村外相に見直しの概要を説明した。会談後、記者団に「性的ハラスメントや性暴力に対して私たちがとってきた措置を見直し、さらに強化していく」と語った。「あらゆる点」を対象に「海兵隊だけでなく(陸海空の)ほかの軍の行動規律も見直す」とした。 

米大使館当局者によると、国防総省が海外駐留米兵に対して定めている一般的な行動規律とは別に、在日米軍(4軍)を対象にした行動規律をさらに厳格化する。同省との協議などを踏まえた見直しの実施時期については「未定だが、最優先事項になる」という。 

見直し・厳格化は、在日米軍関係者による性犯罪が後を絶たず、従来の防止策に問題があると判断したためだ。ただ、具体的な厳格化の内容は固まっておらず、実効性のある見直し案を打ち出せるかどうかが焦点になる。 

現在の在日米軍の防止策は陸軍、海軍、空軍、海兵隊ごとにつくられ(1)教育プログラム(研修)(2)事件・事故の防止措置――に大別される。研修では、単身で着任した1等軍曹以下の米兵(海兵隊は全員)に対し、部隊配属前に日米地位協定や沖縄の文化に関する講習を行う。 

防止措置には、若手の米兵を対象に色別のカードを発行して基地外への夜間外出を制限する「リバティーカード制度」、トラブルが頻発する特定地域や店への出入りを一時的に禁止する「オフリミッツ」措置などがある。自由時間での飲酒絡みの事件や事故を防ぐために、単身で赴任期間が1年未満の2等軍曹以下には私有車の所有・運

【コメント】
「日米同盟」がアメリカの優越的な同盟であり、日本が植民地的な立場であることの帰結として、沖縄で婦女暴行事件が繰り返されているのだという認識が必要です。

いや、しかし。と「日米同盟」を擁護するのであれば、それなりのルール遵守を前提として議論されなければなりません。

我が国の国民の安全がアメリカの手によって脅かされているということ、そしてそれは、アメリカの手による「日米同盟」破壊行為であるという理解をした上で、有効な対策を考えるべきです。

私は、今回のような行為が行われた場合は、日本政府による「思いやり予算」の1年間凍結および次年度以降の減額措置というような強硬措置を取るべきだと考えます。

年間2千億円を超える「思いやり予算」。そうした配慮をする前提を覆す行為であり、当然の報復です。アメリカに優越的な意識があることが問題の根本に横たわっています。我が国が主権国家なら、このくらいの意地は見せるべきだと思います。


2008/2/13(水) 産む権利が危ない・・産科医を救え!

産科医の不足が深刻になっています。過疎地で子供を産むことが困難な状況になっています。益々の少子化→過疎化。

【離職・赤字回避対策、厚労省が産科医の人件費助成へ】(読売) 
各地で産科医の不足が深刻化していることから、厚生労働省は来年度、不採算で閉鎖や縮小の危機にある産科医療機関を対象に、医師らの人件費を助成する異例の対策を始める。

出産を扱う医療機関の減少に対しては、これまで産科の診療報酬の増額などで対処してきたが、医師らの待遇改善が必要と判断した。政府は来年度予算案に人件費などとして12億5000万円を計上している。

出産を扱う医療機関は、1996年に約4000か所あったが、2005年には2900か所に減った。中でも北海道、東北地方など医師の少ない地域での減少が著しい。産科医不足に対し、同省はこれまで、出産件数が少ない病院や診療所は、閉鎖したり妊婦検診だけに切り替えたりすることで、産科の医師や設備を地域の基幹病院に集中させる対策を進めてきた。

しかし、地方では〈1〉出産を扱う医療機関が地域全体で少ない〈2〉基幹病院への通院に1時間以上かかる〈3〉出産件数が少なく、経営が赤字で、医師の給与も低く医師の退職を招いている――などの場合もあり、不採算施設への支援も行う必要があると判断。人件費の助成を行うことになった。

助成の対象は、診療所と病院を含む全国約100施設。産科医や助産師の人件費として、1施設に約1500万円(うち半分は都道府県が負担)を補助する。

このほか、分娩(ぶんべん)台など医療機器の購入費も1施設あたり約860万円を補助。分娩室などの増改築費用補助も14施設に行う。

産科医療機関ばかりでなく、産科医も全国で約1万人と、過去10年間に1割以上減っている。

背景には、少子化のほか、出産に伴う事故による訴訟の増加や、高齢出産や未熟児の増加で高度医療が必要な場合が多くなり、時間外の勤務が増えて医師の過労が問題化していることなどがあげられている。

同省は、産科について医療保険の診療報酬を引き上げるなどしてきた。ただ、正常な出産は保険のきかない自費診療で、地方の公的病院などでは出産費用が低く抑えられているうえ、出産による病院の収入は直接、産科医の給与には反映していないケースがほとんどだった。

【コメント】
それぞれの自治体で、子供を産む側の産む権利が保障されなければなりません。

「需要に対する供給」などと言っていては駄目です。「供給に対応する需要」を創るのだという決意が国や自治体になければ、少子化を克服することは不可能です。

3人目からは国や自治体が子育て費用に責任を持つ。2人産んだ人は3人目を産んで欲しい。・・・これくらいのメッセージを発すべきときです。

4人目以降は資産課税を緩和する・・これでもか、というくらいの対策が必要になっています。産める人に産んでもらうしかありません。

現状では、産むことにかなりのリスクがあります。当然の帰結としての少子化が進んでいます。産科医への優遇策は当然です。

訴訟リスクについては、「出産紛争調停制度」とでもいうべきものを創設し、医師側の負担を軽減するとともに、出産側も簡便に利用できる制度とすべきです。医師の軽過失は公的負担にする必要があります。

とにかく、産める環境を。


2008/2/12(火) 迷惑メールに罰金3000万円・・規制すべきもの、すべきでないもの

迷惑メールに罰金3000万円・・規制すべきもの、すべきでないもの

インターネットは便利です。しかし、インターネットの利便性を損なう外敵がいます。

コンピューターウィルスと迷惑メールです。

【迷惑メールに罰金3000万円、上限30倍に法改正へ】(読売) 
迷惑メールへの規制を強化する特定電子メール送信適正化法改正案の全容が10日、明らかになった。

送り先の同意なしに広告・宣伝のメールを送りつけた業者に対する罰金上限を、現行の100万円から30倍の3000万円に引き上げることが盛り込まれた。罰則強化で増え続ける迷惑メールに歯止めをかける狙いだ。

総務省は2月中にも今国会に提出し、2008年中の施行を目指す。

改正法案では、メールアドレスを通知されている場合や取引関係にある場合などを除き、送り先から同意を得なければ広告・宣伝メールの送信を禁止する。いったん受信の同意を得ても、途中で受信を断られれば、それ以後の送信も禁止する。

さらに、送信者に氏名・名称、連絡先メールアドレスをメールに明示するよう義務付け、送り先からどういう形で同意を得たかの記録を保存することも求める。現行法では適用外となっている海外発の迷惑メールも、国内発のメールと同様に規制対象にする。

アドレスなどを偽装してメールを送った場合、同意を得ない送信などで総務省から改善命令を出されても従わなかった場合の罰金が最高3000万円となる。

【コメント】
こうした領域の規制はどんどん行うべきです。3000万円といわず、3億円でもいいと思います。

刑事司法の分野で問題なのは、規制すべきでない事柄に多くの労力を割き、規制すべき事象に手が回っていないということです。

ストーカー被害などで被害に遭う女性のニュースには事欠きません。当該警察署の怠慢という見方をされる場合が多いのですが、ストーカー対策に向けられる余力が確保されていないということも考えられます。

迷惑メールやコンピューターウィルスは、ネット時代に対する重大な挑戦と受け止めて、徹底的に取り締まる。しかし、ビラ配りなどの表現の自由に対しては規制から外し、警察力を合理的に行使すべきです。

権力の合理的行使ができないのは、自民党政権が古い思想・発想に囚われているからです。


2008/2/11(月) 自治が利権に負けた・・岩国の敗北

岩国市民苦悩の選択というべきなのでしょう。札束は強い。

【岩国市長選、艦載機移駐容認派の福田氏が初当選】
米海兵隊岩国基地への空母艦載機移駐の是非を争点とした山口県岩国市長選は10日、投開票され、移駐容認派が推す前自民党衆院議員の新人・福田良彦氏(37)(無所属)が、再選を目指した前市長・井原勝介氏(57)(同)を破り、初当選した。

難航していた艦載機移駐は進展する見通しで、政府は、米軍再編を受け入れる自治体へ配分する米軍再編交付金の支給検討に入る。こうした動きは、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場移設など、在日米軍再編全体の流れを加速しそうだ。

市長選は井原氏が昨年12月に任期途中で辞職したことに伴うもので、移駐問題をめぐって市民の賛否が問われたのは3回目。福田氏の勝利で、市民が「現実的な対応」を望んだ結果が反映された形となった。

市長選で、福田氏は企業誘致や岩国基地での民間空港早期再開を強調し、生活に密着した政策を掲げて支持を広げた。移駐については、防音対策など、国が具体策を示して対応するよう求めた。井原氏が移駐反対を貫く中、市の借金が1065億円に達するなど財政は悪化。井原氏を支持していた市民からも「移駐を容認して国の支援を求めるべきだ」との声が上がり、井原氏支持層が福田氏に流れたとみられる。

両氏とも政党の支援を受けない「市民党」の立場で選挙戦を展開。水面下では自民、公明両党が福田氏を支援したのに対し、民主、共産党などは井原氏側につき、福田氏の議員辞職に伴う衆院山口2区補選(4月27日投開票)をにらんだ与野党対決の前哨戦ともなった。福田氏の任期は10日から4年間。

投票率は76・26%で、激戦を反映して2006年の前回(65・09%)を大幅に上回った。

【コメント】
市民が自由な立場で選択した結果ということができるのでしょうか。

地方の実情は厳しく、札束でほっぺたをひっぱたかれると脆い状況にあります。痩せ我慢をして交付金を断念するか。身を売る覚悟で交付金に頭を下げるかの決断。

気まずい選挙です。

どうして道理を尽くした説得ができないのでしょうか。「日米同盟」が利権の固まりだからです。

自治が利権に負けたということです。

(参照)
【「日米同盟」は利権である・・薬害肝炎、UFO、防衛省疑惑など】(2007.12.25・ブログ)


2008/2/10(日) 国の出先機関の統廃合・・・分権には資するが

地方分権を進めると、当然のことながら国の出先機関をどう考えるのかという問題に突き当たります。知事会が国の出先機関の統廃合を要求することになりました。

市町村から見た風景は?

【国の出先2770機関の統廃合、知事会が要求へ】(読売) 
全国知事会(会長=麻生渡・福岡県知事)は8日、地方分権推進特別委員会を開き、国の権限と事務を地方へ移譲することで、国土交通省など7府省の地方出先機関の8割にあたる2770機関の廃止・統合を政府に求めることを決定した。

近く、政府の地方分権改革推進委員会(委員長=丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長)に報告する。分権改革委は見直し作業を本格化させ、夏に中間報告を福田首相に提出する。府省側は激しく反対しており、与党の反発も予想される。

全面的な統廃合の対象にするのは▽厚生労働省の地方厚生局、労働局、労基署、職業安定所(計966機関)▽経済産業省の経産局(14機関)▽農水省の地方農政局(309機関)――など。国交省については、地方運輸局を統廃合し、道路行政など都道府県と重なることの多い地方整備局は災害復旧、高速道路、複数県にまたがる河川管理などに限定して大幅な縮小を求める。

これにより計9・6万人の国家公務員を約2万人に縮減し、合理化して約5・5万人を地方自治体へ移す。

ただし、地方側にとっては新たな事業費として約2・6兆円のほか、合理化しても人件費が約0・5兆円必要と試算し、政府には税源移譲などの財源措置を絶対条件にした。県境を越える業務も出るため、都道府県の広域連合を検討し、住民生活に密接にかかわる仕事は市町村で行う方向で考える。

今回の検討は昨年6月、国の出先機関の整理を掲げる地方分権改革推進委員会から、地方の意見を出すよう要請されて実施した。


【コメント】
末端の自治体から見ると、県より国の方が物わかりがいいような気がすることがあります。

各種補助金を申請する場合、県が負担することは少なく、国がもっぱら負担してくれるパターンが多いので、国にどう理解してもらえるのかが重要になってきます。

私なりの経験からすると、国の方がよく勉強されており、所管事項についての熱心さが伝わってきます。

しかし。

中央集権の寿命は尽きており、地方が自ら考える仕組みに移行しなければなりません。

国の職員を地方がドラフトで獲得するというようなことを含め、大胆な改革が必要になってきます。今の知事さん達がどう考えているのか分かりませんが、現在の地方自治をもう少し磨き上げていかないと、末端自治体が悲鳴を上げるだけになる可能性もあります。


2008/2/9(土) 暫定税率廃止で地方はどうなるのか・・民主党の案

暫定税率を廃止すると地方は困るのではないか。そうした宣伝が与党サイドから繰り返されています。

地方の発展のルートは、自民党の案(霞ヶ関の案)しかないのでしょうか。

【「道路整備」1・7兆円に半減…民主の暫定税率廃止法案】(読売) 
民主党が今国会に提出を検討している、道路特定財源の暫定税率を廃止する法案の骨子が6日、明らかになった。

ガソリンにかかる国税の揮発油税などに本来の税率に上乗せしている暫定税率を定めた租税特別措置法の規定を廃止し、税収の使い道を道路整備に限らない一般財源とすることを明記している。

この法案が成立すれば、国と地方を合わせた道路整備事業費を現在の約3・4兆円から約1・7兆円に半減する。ただ、民主党は、財源を地方に手厚く配分するため、地方独自の道路整備に支障は出ないと強調している。

また、暫定税率を廃止すると、地方は税収などの歳入が約1兆円以上減るが、骨子はその対策として、〈1〉国直轄の公共事業で事業費の一部を地方が負担している制度(国直轄事業負担金)を廃止する〈2〉揮発油税について、税収の一部を地方に配分する「地方道路整備臨時交付金」の配分割合を4分の1から2分の1に倍増する――ことを盛り込み、地方の財源確保に配慮した。

民主党は、暫定税率の廃止などにより国の道路整備は「スピードが低下する」と認めているが、コスト削減や優先順位の見直しなどにより、必要な道路は着実に整備できるとしている。

民主党は今後、法案提出に向けて党内調整を進めるが、道路特定財源を巡る与野党の「修正協議」の行方を見極めるべきだとの慎重論もある。

【コメント】
地方に住んでいるので、道路整備の必要性は分かります。しかし、大方の整備は既に出来ています。

むしろ考えなければならないのは、「渋滞解消」のために「バイパス」ができれば、その周辺にロードサイド店が進出し、新たな渋滞が発生するという現実です。こうしたことを繰り返すことへの反省なしに、「道路、道路」と連呼するのはいかがなものでしょうか。

人口減少時代・超高齢社会を念頭に置いた真っ当な都市計画を作成し、それに見合った道路整備を考えるのであれば、従来型の予算は必要ありません。

民主党の案はそれなりによくできていると思います。<霞ヶ関支配の道具としての道路特定財源>という視点がなければ、与野党攻防の意味がよく分からないのではないでしょうか。


2008/2/8(金) 基礎年金の全額税法式・・・麻生太郎氏の論文

現行年金制度が破綻することは目に見えています。先日も福田首相が全額税法式の可能性に言及していましたが、今度は次期総理有力候補と目されている麻生氏が月刊誌に全額税法式を提案する論文を発表するというニュースが流れています。

【基礎年金の全額税方式を提案…麻生氏、中央公論に論文】(読売) 
自民党の麻生太郎・前幹事長は9日発売の中央公論3月号で、基礎年金を全額税方式とする年金改革案を示し、その財源として消費税率を10%に引き上げる考えを盛り込んだ論文を発表する。

「ポスト福田」の有力候補との見方もある麻生氏が、民主党などと同様に基礎年金の全額税方式を提案したことは、党内外の反響を呼びそうだ。

論文は「これが安心を取り戻す麻生プランだ」と題して、「政府がどんなに『100年安心』をうたっても、もはや信用する人は誰もいない。抜本改革しか国民の信頼を取り戻すすべはない」と強調。基礎年金の全額税負担と消費税率を10%に引き上げる必要があるとした。厚生年金については、事業主による保険料の半額負担をなくし、企業の負担軽減分は賃上げに回すよう求めている。

また、基礎年金を全額税負担に変更しても、保険料を負担してきた人と未納の人の不公平が生じないよう、保険料を納めてきた人には「プラスアルファ分の支給」を提案している。

消費税率引き上げの影響については、月額1万4000円程度の国民年金の保険料負担がなくなることで、「消費が大きく冷え込むことはない」との見方を示している。麻生氏はこれまで大幅な消費税増税には慎重だったが、「責任ある政治をするため、安心できる社会をつくるためには避けて通れない」と強調している。


【コメント】
「政府がどんなに『100年安心』をうたっても、もはや信用する人は誰もいない」という麻生氏の言。与党の中心的人物の発言だけに重みがあります。

厚生年金については、事業主による保険料の半額負担をなくすことを提案しています。経済界の要請に応えたものと思われます。

零細企業経営者としては、極めて魅力的な案です。実際上、厚生年金や健康保険の企業負担分は、かなり重い税金として機能しています。この部分がなんとかならないかというのが、零細企業経営者の願いです。

財源を安易に消費税に求めるのはどうかと思いますが、仮に消費税を引き上げたとしても、食品への課税が抑えられるなら、あり得る考え方として検討すべきだと思います。


2008/2/7(木) 取り調べの可視化・・捜査能力との兼ね合い

警察や検察での取り調べの全過程を録画することを義務付ける刑事訴訟法改正案が民主党から提案されています。

日弁連が署名活動を始めました。

【取り調べ可視化:日弁連が要求、30万目標に署名集め】(毎日) 
警察や検察での取り調べの全過程を録画する「取り調べの可視化」を主張している日本弁護士連合会は「可視化の実現を求める国会請願」の署名集めを始めた。全国の弁護士会や日弁連ホームページを通じ、5月までに30万人分を目標に集める。可視化を義務付ける刑事訴訟法改正案が国会に民主党から提出されており、世論も可視化を支持していることを示す狙い。署名用紙はホームページで公開している。

【コメント】
犯罪者からきちんとした供述を取るのは大変だろうと思います。しかし、自白が任意でなされたのかどうかが法廷で争われることも多く、その場合には何らかの強制があったのではないかという疑問符が付くことにもなります。

正々堂々と捜査し、誰が見ても問題ないという取り調べによって有罪を宣告すべきです。

捜査は犯罪・犯罪者との戦いです。手強い犯罪者、特に暴力団関係者に対する取り調べが軟弱化することで、犯罪者優位の状況をつくることにならないか心配です。

そうだとしても、無実の者が強圧的な環境下で自白を強いられる不幸だけは無くさなければなりません。操作技術、取り調べ技術の向上が求められます。従来が取り調べ側に甘すぎたのだという反省の下に、適正な捜査活動を行うことを第一義に掲げなければなりません。

捜査機関の人員が現状のままでいいかどうか。この点も含めた議論が必要です。


2008/2/6(水) 「飛び込み出産」を考える・・人命救助と位置付けるべき

出産間際の妊婦が救急車で運ばれたが、たらい回しの挙げ句流産したということが、昨年大きなニュースになりました。

これを医療のモラルの問題と考えるだけでは、問題の解決にはなりません。

【「飛び込み出産」300人、経済苦で健診受けられず】(読売)
妊娠中に定期的な健診を受けず、産まれそうになってから病院に駆け込む「飛び込み出産」をした未受診妊婦が、全国の主な病院で、昨年1年間に計301人いたことが、読売新聞社の調査で明らかになった。

最大の原因が経済苦であることもわかった。飛び込み出産について全国の実態が明らかになるのは初めて。

調査は、高度な産科機能を持つ総合周産期母子医療センターとして指定されている医療機関と、今後指定される予定の医療機関計73か所に対して郵送で行い、67か所から回答を得た。

回答によると、昨年1年間に「飛び込み出産」をした未受診妊婦は計301人に上った。未受診の理由は「経済的困難(費用負担ができない)」が最も多く146人と49%を占めた。「健診が不要と考えていた」妊婦も42人いた。

実際、98人(33%)が、出産にともなう医療費を一部もしくは全額払わなかった。また、107人(36%)は未婚だった。

「未受診妊婦が以前よりも増えた」とした医療機関は20か所あった。10人以上の未受診妊婦が飛び込み出産した医療機関は、首都圏を中心に11か所あった。

今回の調査結果について、未受診妊婦の問題に詳しい独協医大の渡辺博教授は「未受診妊婦が増えているということは医師の間で言われていたが、実際に301人もいたことが明らかになった意義は大きい。飛び込み出産は母子にとって危険が高く、放置できる問題ではない。経済的困難が最大の原因ということからも、妊婦健診の公費負担を増額することが、最も現実的な対策だろう」と話している。

昨年、奈良県などで妊婦の受け入れ拒否が発覚したが、拒否された要因の一つが未受診だった。このため、未受診で飛び込み出産をする妊婦の存在が、産科医療の混乱に拍車をかけているとして問題視されるようになった。しかし、地域や医療機関レベルの調査はあっても、全国の実態は調査されてこなかった。

【コメント】
冬山で遭難すれば、大規模な救助隊が編成され人命救助に当たります。出産間際の妊婦を救助するのも、人命救助(母と子)という点では同じではないでしょうか。

出産後、医療費未払いのままになるケースが多いようです。医療機関に不払いのリスクを負わせるべきではありません。

公的機関が人命救助の費用を立て替え、後日、本人に求償するシステムにすべきです。

妊婦に限らず、緊急事態の医療については、「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条1項)を国が維持する義務の一環として対策を講じるべきだと思います。


2008/2/5(火) 頑張れ地方自治!・・岩国市長選挙

「日米同盟」を振りかざす国の論理が勝つか。それとも、地方の自主性を叫ぶ井原前市長が勝つか。激しい戦いになっています。

【岩国市長選、横一線で競り合う…読売情勢調査】(読売) 
読売新聞社は10日投開票の山口県岩国市長選について、世論調査と取材を基に情勢を分析した。新人で前自民党衆院議員の福田良彦氏(37)と、再選を目指す前市長の井原勝介氏(57)(ともに無所属)が、横一線で激しく競り合っている。

有権者の4人に1人は態度を決めておらず、情勢は流動的だ。

市長選は在日米軍再編に伴う米海兵隊岩国基地への空母艦載機部隊移駐受け入れに反対する井原氏の辞職に伴うものだ。受け入れに柔軟姿勢を示す福田氏との一騎打ちとなっている。

福田氏は自民支持層の6割、公明支持層の6割強を固めた。井原氏は、実質支援する民主支持層で6割強の支持を得ている。支持政党のない無党派層では井原氏支持が4割強、福田氏が2割強となっている。

移駐計画の日米合意案については「賛成」が15%、「地元の意見を反映して修正すれば賛成」が31%、「反対」が47%だった。「賛成」と答えた人の7割強は福田氏を支持した。「修正すれば賛成」では福田氏が6割弱、井原氏が2割弱の支持を得た。「反対」は井原氏支持が6割で、2割弱が福田氏を支持した。

選挙の争点として特に重視したい問題(複数回答)は、〈1〉「基地や米軍再編の問題」(67%)〈2〉「市の行財政改革」(48%)〈3〉「地元経済の活性化」「医療や福祉の充実」(ともに47%)――などの順だった。

調査は市長選告示の3日午後から4日にかけて、岩国市の有権者を対象に、無作為に作成した番号に電話をかける方法で実施した。有権者在住が判明した1251世帯のうち815人から回答を得た(回答率65%)。

【コメント】
自公政権側は、札束で住民の顔を叩けば折れるはずだと踏んでいます。財政面での優遇策で懐柔してきました。卑怯なアメとムチ政策。

それに対し、基地の問題であっても住民が決めるべきだと考える流れが勝利できるかどうか。地方自治の真価が問われます。

国家とは、地方から成り立っています。地方の集合体が国家であると考えるべきです。そうだとすれば、それぞれの地方の決断を国家の論理で押しつぶすやり方を取るべきではありません。

住民の安心と安全を確保できるかどうか。頑張れ地方自治!

井原前市長の勝利を祈念します。


2008/2/4(月) 超高齢社会対応型地域の研究

高齢化率が20%を超えている我が国では、高齢者にとって住みやすい地域をつくるための研究が不可欠です。

【高齢化対応モデル地域作り、東大が千葉県柏市と共同で】(読売) 
東京大学は、高齢者が安心して暮らせる「モデル社会」作りに取り組む。

舞台は千葉県柏市で、様々な分野の英知を集め、同市との共同プロジェクトとして始動、健康福祉計画に反映させる。大学の新たな地域貢献として注目されそうだ。

研究に取り組むのは、ジェロントロジー(老年学)研究部門の秋山弘子教授ら。医学、看護、工学、法律、経済、心理、教育など18人の教授、准教授が参加している。柏市は東大のキャンパスがあり、農地、商業地、住宅地が混在、モデル作りに適した場所として選ばれた。

目的は、〈1〉元気な高齢者が活躍できる場〈2〉認知症などの高齢者を地域で看護するシステム〈3〉最新の科学技術を活用した高齢者向け機器とシステム――を作ること。まず、退職して家に引きこもりがちな男性の地域参加に取り組む。24時間の訪問介護の経済性の分析や、高齢者向けの大学なども計画している。一人乗り車両を使った安全な移動システムの研究も進める。

【コメント】
現在の高齢者は、「予習」不足で高齢者になった方が多いように見受けられます。

誰しも高齢者になることは初体験です。戸惑いがあります。しかし、豊富な人生経験を経ての舞台ですから、様々なシミュレーションをしておくべき問題です。

職場・職域での権力や権限とは無関係の世界が広がっています。考えようによっては、面白いフロンティアです。

個人のあり方、地域社会との関わり合い方、地域づくり・まちづくりへの参加など、考えるべきテーマは数多くあります。

自治体行政においても、ハード面、ソフト面からのアプローチを経て、高齢社会最適地を目指した取り組みが必要です。


2008/2/3(日) 開けなかった日教組の全体集会・・民主主義の根幹に関わる

日教組の教研集会の全体集会が、右翼の街宣活動などを理由にホテルから拒否され、開催できませんでした。司法の判断をも無視しての、ホテル側の拒否。

【日教組の教研集会で初、全体集会なし】(読売) 
日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会(教研集会)が2日午後、東京都内で開幕した。

同日午前に開催されるはずだった全体集会は、「グランドプリンスホテル新高輪」(東京都港区)が、右翼団体の街宣活動などを理由に、裁判所の決定を無視して会場の使用を拒否したため、1951年の第1回以来初めて全体集会なしという異例のスタートとなった。

「法に従わないなんて理解できない」。全国から集まった教師たちからは、同ホテルの判断に不満が相次いだ。

教研集会は4日までの3日間、全国から延べ約1万2000人が参加。今年は教育格差や学力問題などのテーマについて、24分科会と2つの特別分科会で約800の報告が行われる。

日教組は今月1日に全体集会の中止を決めた後、全国の教職員組合に中止を伝え、2日朝から混乱を防ぐため同ホテルに専従職員を待機させたが、目立ったトラブルはなかった。

午後から都内の13会場で始まった各分科会では、全体集会の中止について責任者が説明。分科会「子どもの安全・安心と学習権保障」では冒頭、女性司会者が経緯を話し始めると、約150人の参加者全員が押し黙ったまま、じっと聞き入っていた。

教研集会に10回以上参加している北海道の小学校の男性教諭(60)は「教研集会は、学校現場で私たちが取り組んでいる実践例を持ち寄って議論する場。何とか全体集会を開いてほしかった」。

別の分科会に参加した福岡県の男性中学教師(58)も「全体集会は、同じ志を持った仲間がこんなにいるんだという熱気を肌で感じることができる数少ない機会だった。法律に従わないという感覚が理解できない」と憤った。

【コメント】
昨日の新聞には、茨城県つくばみらい市が開催を予定していたドメスティックバイオレンス(DV)被害者支援の講演会が、これに反対する者の街宣活動などを理由に中止されたとの記事もありました。この場合は市の判断。

民主主義社会ですから、ある主張に対しては反対意見が存在します。それぞれの主張が発信され、それを市民が判断して自らの意見を持つという過程が必要です。

集会や講演会が、一部の者の街宣活動によって中止に追い込まれるという事態は、民主主義を破壊する暴挙であり、決して許されてはなりません。

街宣活動に屈したつくばみらい市、司法の判断まで無視したホテル。これらに対しては、非難だけではなく、重い制裁も科す必要があります。具体的には、民事制裁の制度を創設し、民主主義破壊行為への加担として、かなり高額の制裁金を科すべきです。

右翼等の街宣活動が表現の自由として認められるにしても、特定の集会、講演会を阻止するための行動である場合には、自由の限界を超える行為として、制裁が加えられるべきであると考えます。


2008/2/2(土) 「利権顔」ってなんだ・・菅直人氏の発言

民主党・菅直人代表代行がテレビで、自民党の古賀氏、二階氏を指して「顔を見るからに、この利権だけは放さないという決意が表れている」として批判したことに対して、自民党が反発しています。

【<自民党>菅氏の「利権顔」発言に反発 謝罪と訂正要求】(毎日)
「利権顔」発言をめぐって1日、自民、民主両党間で新たな舌戦が勃発(ぼっぱつ)した。

発端は民主党の菅直人代表代行が1月30日のテレビ朝日番組でした発言。「自民党の道路族議員、国土交通省にとって巨大利権ですからね。古賀さんとか二階さんとか、顔を見るからに、この利権だけは放さないという決意が表れている」。道路財源問題に絡み、自民党の古賀誠選対委員長と二階俊博総務会長を痛烈に批判した。

これに黙っていなかった二階氏は1日の記者会見で「明らかに名誉棄損だ。法的措置も考える」と指摘。さらに自民党は「党を代表する顔に泥を塗られた」として対応を引き取り、菅氏に謝罪と訂正を求めた。

菅氏は先にも二階氏が民主党参院議員の選挙を支援した可能性に言及、二階氏が「言いがかりだ」と反発した経緯がある。自民党はこの発言も含めて菅氏に謝罪を求めている。 

【コメント】
「利権顔」というものがあるとすれば、これまでの自民党有力者の顔が浮かんできます。古賀、二階両氏もそうした雰囲気は漂わせています。

しかし、これを事実と絡めて露骨に表現すれば、名誉毀損や侮辱といった話になってきます。

「自民党の道路族議員、国土交通省にとって巨大利権ですからね。古賀さんとか二階さんとか、顔を見るからに、この利権だけは放さないという決意が表れている」

この表現をどう解釈すべきでしょうか。あまりにも的確であるが故に問題になり得ます。

(1)「巨大利権」の存否、(2)「巨大利権」と古賀・二階両氏との関連、(3)「顔を見るからに云々」の表現。これらがポイントになります。

(3)について侮辱的表現という見方も可能ですが、政治家同士のやり取りが名誉毀損、侮辱ギリギリで行われていることは日常茶飯であり、過剰に神経を尖らせるのはどうかと思います。

(1)、(2)について断固間違いだというのであれば、これは徹底的に争うべきでしょう。


2008/2/1(金) 暫定税率廃止に全首長が反対・・国土交通省のご威光

暫定税率廃止についての世論調査では、大半の国民が廃止に賛成しています。地方の一般的な家庭では、暫定税率廃止によって家計が年間数万円助かる計算になります。

そうであるにもかかわらず、自治体の首長が口をを揃えて暫定税率廃止に反対するという異様な状態になっています。

独裁国家の大統領が選挙で、100%の得票率で「当選」する光景に似ています。流れに逆らった首長の自治体がどのような仕打ちを受けるのかは、容易に想像できます。

国土交通省のご威光が如実に明らかになりました。それに抗するだけの権限が地方にないという見方もできます。

依然として中央集権。名ばかりの「分権」しか進んでいないのです。


ずーっと輝こうライブ in 町家】(私が「管理人」です)


玉井彰の一言 2008年2月 四国の星ホーム一言目次前月翌月