玉井彰の一言 2007年12月 四国の星ホーム一言目次前月翌月

2007/12/31(月) 回顧2007・・少年老い易く

あっと言う間の1年間です。

昨年大晦日のブログに何を書いたのか見てみたら、

  少年老い易く学成り難し
  一寸の光陰軽んずべからず
  未だ覚めず池塘春草の夢
  階前の梧葉已に秋声

の詩を載せていました。

そこで誓ったことを実現しようと努力してきたつもりです。1日30分以内での更新という目標は、半ば実現。テーマ設定をどうするのか迷う日がありますが、なんとか毎日更新を続けてきました。国語力のなさを痛感する日々です。来年も、時間を合理的に使いながら、ブログを継続していきたいと考えています。

このブログとその前身である「四国の星HP」をまだお会いしたことのないS氏が「四国の星保存版」としてまとめてくださっています。毎日新しいブログを追加してくださいます。今年も大変お世話になりました。


昨年暮れはフセイン・元イラク大統領処刑。今年の暮れは、ブット・元パキスタン首相暗殺事件。世界中の人々が平和と安全を享受できる日は何時来るのでしょうか。

世界平和を祈念して、今年の締めくくりとします。よいお年をお迎えください。


2007/12/30(日) 防衛汚職の解明・・・利権としての「日米同盟」

部下にはインド洋やイラクで命懸けの活動を命じながら、自らは家族ぐるみで山田洋行にたかっていた元次官。

人に愛国心を強要したり、特攻を命じたりする人間は、往々にして自らには甘いという特色があります。

【政界工作用か裏金25万ドル、山田洋行→防衛族団体専務】(読売)
防衛専門商社「山田洋行」幹部が昨年10月、防衛族議員らが理事を務める社団法人「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀専務理事(58)に、海外事業で捻出(ねんしゅつ)した裏金約25万ドル(約2900万円)を渡していたことが分かった。

山田洋行は、同社から独立した元専務・宮崎元伸被告(69)との商権争いに直面しており、現職の防衛長官だった久間章生衆院議員(自民)に支援を要請する文書も秋山氏に渡していた。東京地検特捜部は、同社が政界と日米防衛関連企業の「パイプ役」とされる秋山氏に政界工作を依頼するため裏金を渡した可能性もあるとみて、資金の流れを調べている。

秋山氏は来月8日、参院外交防衛委員会に参考人招致されることが決まっており、山田洋行からの資金提供が焦点となりそうだ。

関係者によると、山田洋行が約25万ドルを秋山氏に提供したのは、宮崎被告が新会社「日本ミライズ」を設立した約1か月後の昨年10月ごろ。山田洋行幹部が米国内で秋山氏に直接、現金で手渡したという。

約25万ドルは、同社の米国現地法人「ヤマダインターナショナルコーポレーション」が、シリア・ゴラン高原での国連平和維持活動(PKO)に参加した自衛隊の生活物資の調達業務を請け負った際、国から支払われた報酬の一部をプールした裏金で、米国現地法人の金庫に保管されていた。

宮崎被告は独立後、防衛次官だった守屋武昌被告(63)に働きかけ、航空自衛隊の次期輸送機(CX)エンジンなどの製造元の米ゼネラル・エレクトリック(GE)の販売代理権を山田洋行から奪おうとしていた。

山田洋行は対抗策を講じる必要に迫られ、秋山氏への資金提供後、さらに、久間氏あての支援要請文書も秋山氏に渡したという。文書は、GEなどの商権をミライズに奪われないよう、支援を求める内容だった。

また、秋山氏に約25万ドルを手渡した山田洋行幹部は、その前後に開かれた社内の会議で、「このままでは日本ミライズに代理権を持って行かれてしまう。久間先生に頼んでみてはどうか」などと提案したという。久間氏は日米平和・文化交流協会の理事を務めている。

山田洋行から秋山氏側への資金提供では、旧防衛庁発注の毒ガス弾処理事業に絡み、約1億円が支払われたことも判明している。特捜部は既に同協会を捜索、山田洋行関係者から秋山氏側への資金提供について聴取を続けている。

約25万ドルの資金提供について、秋山氏の代理人は読売新聞の取材に対し、「本人は『そんな事実は絶対にない』と強く否定している」としている。久間氏は事務所を通じ、「そのような要請文は一切受け取っていないし、要請を受けた事実もない。秋山氏経由で献金を受けたこともない」としている。

【コメント】
防衛汚職が本格的に解明されれば、政界に波及することは必至です。来年そういう展開になることが期待されます。

「日米同盟」が日本にとって絶対の条件であるかのように論じてきた方々は、真に愛国心からものを言ってきたのでしょうか。

「日米同盟」は、アメリカが日本に不当に高い買い物をさせたり、格安のサービス提供を受けたりするための呪文として唱えられてきたのではないか。

防衛汚職の解明が、そうした「利権としての日米同盟」にまで踏み込んで行われることはないと思われますが、利権とそれに群がる政治家達の有り様が赤裸々になっていけば、国民が「日米同盟」を客観視する条件ができてきます。

「日米同盟」の呪文とマインドコントロールから我が国民が解き放たれ、主体的に国防を考えることができる2008年になってもらいたいものです。


2007/12/29(土) 派遣労働者321万人とワーキングプア

厚生労働省の発表では、2006年度の派遣労働者が321万人になっています。

急速な伸び率です。派遣料金は上昇傾向であるにもかかわらず。派遣されている労働者の賃金は伸びず、むしろ日雇いなど短期派遣の場合は賃金が低下しています。

【派遣労働者:06年度は最多の321万人 人件費圧縮映す】(毎日)
厚生労働省が28日公表した06年度労働者派遣事業報告で、派遣労働者として働いた人が過去最多の約321万人(前年度比26%増)に上ったことが分かった。また、派遣料金が上がっても労働者の賃金は下がる傾向にある。日雇い派遣労働者などの不安定な雇用のあり方が社会問題化する中、企業が人件費圧縮などのため派遣労働者を積極的に使う現状が浮き彫りになった。

報告は労働者派遣を行った事業所の報告書をもとに集計した。派遣労働者は統計を取り始めた86年度以降増え続け、99年度には100万人を超えた。02年度には200万を超え、04年度にいったん減少したが、05年度から増加に転じ、06年度に初めて300万人を超えた。

派遣を行う事業所数は事務や軽作業などの「一般派遣」が1万8028所(前年度比22.7%増)、通訳など専門職の「特定派遣」が2万3938所(同43.6%増)だった。派遣を受ける派遣先も約86万件(30.4%増)と広がった。

労働者は、1年に近い長期の契約を継続している常用雇用労働者が64万5767人(同41.7%増)、日雇い派遣など期間が短い登録者が234万3967人(同21.2%増)、特定派遣の労働者が22万734人(同40.7%増)となり、いずれも大幅に増えた。

派遣会社の年間売り上げは5兆4189億円(同34.3%増)となった。一方、一般派遣の料金は平均で前年度比2.1%増の1日1万5577円なのに対し、賃金は0.5%と微増の1万571円にとどまった。日雇い派遣が多い建築物清掃の仕事では、料金は2.6%増の1万1303円に対し、賃金は8.7%減の6995円に下がっている。

労働者派遣法を巡っては不安定で低賃金の日雇い派遣労働の規制が検討されている。派遣労働者を組織する派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「特に日雇い派遣の多い分野で、派遣料金が上がり賃金が下がっている。会社が取るマージンの規制が必要だ」と話している。

【コメント】
総務省統計局による今年11月の労働力調査(速報)によると、我が国の就業者は6433万人(労働力人口は6679万人)。内、自営業主・家族従業者が841万人(前年同月比43万人減)、雇用者が5561万人(前年同月比67万人増)となっています。

雇用者中、321万人が派遣労働者です(時期的ずれあり)。派遣の伸び率には驚かされます。日雇い派遣など期間が短い登録者が234万人という数字も深刻です。使い捨て労働が横行している実態が浮き彫りになっています。

大手企業がどんどん儲かる仕組みが出来上がり、雇用は益々不安定化します。最低限度の生活を維持しかねるワーキングプアの増大は社会の安定を損ない、それが犯罪の増加や社会保障費の増大を招くとすれば、社会的なコストは増大します。

郊外型大型店でもそうなのですが、企業は儲かるがそれに対応する社会的コストは応分に負担せず、結果として国や自治体の負担を増加させると共に、地域社会を疲弊させる要因にもなっています。企業が栄えるが、国や地域、そして底辺の方々の生活が脅かされています。

各企業(個人)にとっては合理的な行動であっても、総合の誤謬に陥っている状況を是正するのが政治です。政治がこの問題をどう考えるのか。


2007/12/28(金) 愛媛の労組組織率と連合愛媛・・・民主党の基盤たりうるか

愛媛新聞によれば、県内労働組合の推定組織率(6月末現在)は15.5%で、前年を0.3%下回り、8年連続で過去最低を更新しています。組合数で10組合減の639組合。組合員数で884人減、組合員数が85,944人となっています(県の発表による)。県内労組の推定組織率のピークは1965年で、38%。

連合愛媛は、305組合(2組合減)、44,054人。

これらの数字は、労組の責任というより、産業構造や雇用形態の変化、そして勤労者の意識が変化したことが主な原因であろうと思われます。

勤労者の側から眺めると、組合費に見合う恩恵を受けていれば組合を支持するが、そうでなければ組合などない方がいい、ということになるのでしょう。加えて、政治運動や選挙に駆り出される苦痛を考えると、気持ちが消極的になってしまというのが本音であろうと思われます。

連合愛媛だけの組織率をはじき出すと、7.9%にしかなりません。そうした状況下で、労組が存在感を示せるのが政治ということになります。

連合愛媛が民主党県連を支配したいという欲求も分からなくはありません。連合愛媛内部の勢力争いという側面から見ても、執行部の力量を示すために民主党への影響力を誇示する必要があるのでしょう。

短期的には、こうした手法は有効です。しかし長期的に見れば、労組への組合員の離反を招き、低迷に拍車を掛けることになるであろうと予想されます。

勤労者の身近な要求に耳を貸し、政治的には市民団体のひとつとして、他の団体と歩調を合わせた行動を取りつつ政治参加をするというやり方が穏やかであり、かつ加入者の裾野を広げることにつながると思います。

民主党県連としても、有力支援者としての連合愛媛との友好関係を大切にしつつ、あくまで支援組織のひとつであるとの理解を求め、多くの市民や団体の意見を集約できる国民政党であることを示していかなければなりません。そうでなければ、小選挙区で勝つことは困難です。

少なくとも、勤労者の8%弱しか捕捉できていない団体に依拠しすぎることのリスクについて考えるべきです。

民主党県連所属の議員(候補者)が、連合愛媛に屈服している情けない現状を克服する。それを最低限の目標としていただかないと、「政権交代」の旗印が泣くだろうと思います。


2007/12/27(木) 自治労の品格を問う・・・愛媛県議会議員への抗議

民主党の菅秀二郎県議が県職員の給与引き上げに県議会で1人だけ反対したことに対し、自治労愛媛県本部が抗議したとの記事がありました(12月14日、愛媛新聞)。

このことについて、12月15日ブログの≪独言≫で紹介し、コメントしました。

説明不足の感があるので、再度論じてみます。

≪独言≫ (四国の星ブログh.19.12.15)
14日の愛媛新聞で、民主党の菅秀二郎県議が県人事委員会勧告完全実施に伴う県職員の給与引き上げ議案に反対したことに対し、自治労県本部が民主党県連に抗議したとの記事が出ていました。

菅氏の主張は、「県財政が厳しい中での給与引き上げは県民の理解を得られない」というもの。

自治労は、「2006年度から4年間で総額150億円がカットされ、給与が民間の平均を下回っている」と主張。

上記本文の記載(<注>ブログタイトル「公務員の給与を引き上げを」)に反するようではありますが、菅氏の行動を評価します。全議員で菅氏だけが反対。まず、その勇気を讃えたい。

自治労の「給与が民間の平均を下回っているという」主張はどうでしょうか。「だったら、民間に鞍替えするか」と問われて、「そうしたい」と答える県職員はごく少数であろう思われます。

自治労に問いたいのは、それでは県職員の労働密度は民間の平均を上回っているのか、ということです。「そうだ」と断定できるのかどうか。

自治労はこうも述べています。「自治労は連合愛媛の傘下にあり、各選挙で民主党にも協力してきたが、菅氏の行動は信頼関係を破壊する」。

これは脅迫です。こういう軽薄な労組との「信頼関係」が民主党にとって必要なものとは思えません。長期的には有害です。

菅氏には引き続き、15%の労組組織率から漏れている、もの言えぬ県民への目線を大切にしていただきたいと思います。

【コメント】
自治労の抗議自体は、立場上当然です。

問題は、「自治労は連合愛媛の傘下にあり、各選挙で民主党にも協力してきたが、菅氏の行動は信頼関係を破壊する」という部分。

真の協力者が、選挙で協力してきたことをこのようにあからさまに、しかも新聞ネタになるような形で持ち出してくるものでしょうか。

「我々は選挙で応援しているのだから、議員は我々の言う通り行動するのが当然である。言うことを聞かないのなら、次回の選挙では応援しない」と受け取れる内容です。

こういう視野の狭い労組が、結局は国民の支持を失い、孤立してしまうのです。国労然り。

私は、公務員の給与引き上げ問題については、菅氏と立場を異にします。しかし、民間の苦しみを考えたとき、難しい問題であることは認めざるを得ません。県民の目線、取り分け中小零細企業や未組織労働者への配慮は必要です。

労組が大所高所から見て民主党の議員に任せたのなら、「選挙云々」などという下品なことを言わずに見守るべきです。労組としての立場もあるでしょうが、抗議するに止めるべきです。

労組が市民の代表として政治に関わるという視点を失い、政党を意のままに操ろうとすれば、結果として国民の反発を買い、影響力を失っていくことになります。労組は、部分利益の代表者であると同時に、健全な市民・国民の一翼を担う存在であるということを絶えず意識し、政治に関わるべきです。

愛媛においては、連合愛媛の専横ぶりが目立ちます。民主党県連に事務局員を常任幹事として派遣して睨みを利かす。政党の自主性を尊重しないやり方です。そうした連合愛媛の顔色を窺う議員が多い中で、菅氏には骨があると思います。

(参照)
【特集】民主党愛媛県連と連合愛媛の問題
1月25日:【問題あり、民主党・・・民主党愛媛県連と連合愛媛との関係は異常である
1月26日:【「泥船」ではいけない・・・民主愛媛県連代表問題
1月27日:【私が見た連合愛媛・・「業者」と見下す感覚に疑問
1月28日:【私が見た連合愛媛(2)・・・選挙結果を客観的に分析できない幹部

3月26日:連合愛媛の驕(おご)り・・・県議選への対応


2007/12/26(水) 議員報酬日当制・・・矢祭町の試み

「合併しない宣言」の町、福島県・矢祭町。根本良一町長退任の後も頑張っているようです。

その矢祭町が議員報酬日当制を導入のニュース。全国の地方議員が、恐る恐る行く末を見守ることになるでしょう。

【福島・矢祭町、議員報酬「日当制」に…活動分だけ支給】(朝日)
2001年に「合併しない宣言」を出した福島県矢祭町議会が、25日に開かれた特別調査委員会で、議員報酬の日当制を導入する方針を決めた。

28日の臨時議会で改正条例案が可決される見通し。全国町村議会議長会では「議員報酬の日当制は聞いたことがない」としている。

同議会では「実費支給のため透明度が高く、議員の活動状況も分かりやすい上、金目当てで議員になる人もいなくなる」として、日当制導入を検討する特別調査委員会を設置していた。

現在、町議の報酬は月額20万8000円で、期末手当を含めると、年額約329万円。これを日当3万円とし、期末手当も廃止する。定例会や臨時議会、公式行事など年間30日の議員活動をした場合、報酬は年額90万円になる。全体では年間約2500万円の削減が見込まれる。現議員の任期満了翌日の来年3月31日から適用される予定。

同町議会では、02年に議員定数を18から10に減らしたほか、議員の政務調査費もなく、自宅から議会への交通費も03年度に廃止している。

【コメント】
大賛成。これが全国に波及すれば、地方自治は大きく前進します。

志なき「田舎のオッサン」が地縁・血縁と金で地位を得る。それが、これまでの市町村議会の実態です。

ボランティア精神の旺盛な人がもっともっと議会に出てくれば、地方自治における住民自治の要素が拡大します。

選挙に掛ける労力が無駄とは言いません。しかし現行制度では、禁止されているはずの事前運動で全てが決まっており、訴えかけの内容で有権者が判断するというよりも、候補者がどれだけ頭を上げたかの競争になってしまいます(きれいな部分だけを見ても)。

それだったら、報酬を少なくして不純な動機での出馬をなくすようにした方が、「良貨」が駆逐されなくてすむだけ、議会の質が高くなります。

その分定数を増やし、議員へのハードルを下げれば、もっと議会はよくなります。

少なくとも、住民の常識に近い判断ができるようになります。「議会の常識は世間の非常識」というのが、地方議会の現状なのですから。


2007/12/25(火) 「日米同盟」は利権である・・薬害肝炎、UFO、防衛省疑惑など

薬害肝炎について、遅きに失する政治決断。UFOについて、防衛という観点が欠如した閣僚のお茶目なコメント。部下には厳格な規律を求めながら、家族で業者にたかった元防衛省次官とそれに関わる政治家。

これらの事象を見ると、自民党政権には国民の命と暮らしを守るのが政治であるという基本哲学が欠如していることが分かります。

日本の安全保障のためには「日米同盟」が不可欠であり、かつ絶対条件であるかのようにまくし立てる自民党の政治家が、真に国民の命と暮らしを守るために安全保障を考えているのかどうか。この部分に極めて怪しいものを感じます。

国民の命より官僚の論理的整合性を重視する。未確認の存在に対して防衛上の視点から情報収集を行うという観点がなく、映画の話題のように扱う。

そういう彼らが、「日米同盟」となると目の色が変わるのは、ぶったくりとも思えるアメリカの要求に唯々諾々と従い、そのおこぼれに与りたいという卑しい性根があるからなのではないでしょうか。

「日米同盟」とは、アメリカが日本を守ってやるという絵空事を国民に信じさせることによって、一部の者達が国防に関わる膨大な利益を山分けするための虚構であり、利権の構造である。このように定義するのが実態に即しています。

「日米同盟」を声高に連呼する政治家の品格。どうなんでしょうか。


2007/12/24(月) 薬害肝炎政治決断・・支持率を落とせば何でも決断してくれる

行政の責任を問うことなく、災害の救済というような感覚で政治決断をするのであれば、支持率回復のためという不純な動機によるものとしか言いようがありません。

とは言え、被害者が救済されるのですから、喜ぶべき話ではあります。

【薬害肝炎一律救済、野党も協力姿勢…決断の遅さに批判も】(読売) 
福田首相が23日に表明した、薬害C型肝炎訴訟で原告が求める一律救済を実現する議員立法に対し、野党各党も被害者救済の観点から、基本的には協力する姿勢を示している。

ただ、首相の決断の遅さや議員立法での対応を批判する声があり、法案の内容は調整が必要になりそうだ。

民主党の鳩山幹事長は23日、「首相が一律救済にカジを切ったことは評価する。民主党も(議員立法に)乗るべきだ。政府の責任をきちんと書き込むよう求めていく」と語った。共産党の穀田恵二国会対策委員長も「国と製薬会社の責任を明らかにしたうえで、原告や被害者が望む全員一律救済の実現のために全力を尽くしたい」と述べた。

一方で、「本来は最初に首相が決断すれば済むことだ」(山岡賢次・民主党国対委員長)という批判もある。社民党の福島党首も記者会見で、「首相が『議員立法でやれ』と言うのは三権分立の観点からおかしい。自分でやるべきだ」と述べた。国民新党の亀井久興幹事長は「首相が決断したのは、内閣支持率低下の要因になって政権運営が難しくなると判断したからではないか」と指摘した。

法案の内容については、民主党から「国の責任、真相究明、再発防止の3点を盛り込まないと、十分な法案にならない。本当に一律救済の内容になるのか見極めなければ評価できない」(「次の内閣」厚労副担当の山井和則衆院議員)という指摘が出ている。こうした点が与野党協議のテーマになりそうだ。

与党は「低下傾向にある内閣支持率の回復につながるのではないか」と首相の決断を歓迎している。

自民党の伊吹幹事長は「野党とも協議し、共同の成案を得られれば望ましい」とする談話を発表した。公明党の斉藤政調会長も都内で記者団に、「一律の救済を訴えてきた。決断を大変評価している」と語った。

谷垣・自民、斉藤・公明の両党政調会長は23日、電話で「今国会で法案の成立を目指す」とする方針を確認した。年内に骨子をまとめ、野党に提示する考えだ。25日に与党幹部が改めて協議し、進め方を決めることにしている。ただ、政府の当初の対応が批判されて方針転換した形になったことで、「どうせ政治決断するなら、もう少し早くすべきだった」(自民党幹部)という声も上がっている。

【コメント】
政権が危なくなってきたので、やっと決断した。そんな感じです。国民が自民党政権に何かをやってもらうには、支持率を落とすに限るということです。

参院選で地方と都市部との格差が問題になったため、地方重視の方向に若干政策が転換され、予算上の配慮も盛り込まれつつあります。

つい先頃まで、民主党の政策を「バラマキ」と批判していた自民党。その批判を自分自身に向けることはないのでしょうか。

薬害肝炎の問題にしても、地方と都市部との格差の問題にしても、その解決手法を見ると、支持率の上下に関心があるだけで、要は政権維持のためなら何でもやるという薄っぺらな考えしか透けて見えません。

政治とはどうあるべきか。そうした哲学なき政権政党がこれ以上存続することは、国家にとって有害です。


2007/12/23(日) 人材圧殺組織としての官僚機構

官僚は優秀でなければならないか?

昨日の問題提起です。

私は、公務員に要求される最大の資質は誠実さであると考えています。

いや、能力がなければ・・

そういう反論があり得ます。しかし、現実の官僚機構は、人材圧殺組織としてしか機能していません。

何故天下りがあるのかといえば、30年間官僚機構に所属することによって、人材が無能力化するからであると言わざるを得ません。

常に新しいことに取り組み、失敗を恐れず提言をする姿勢を貫いていれば、50歳、60歳になっても活き活きとした頭の働きが期待できるし、むしろ経験と知識が加わることで、無敵の人材になっているはずです。

それができていないということは、組織が人材を殺す働きしかできていないということになります。

県においても、有為の人材が圧殺され、本庁には要領のいい奴しか残らないということが起こっているのではないかと懸念されます。

国、県、市町村全体を「ガラガラポン」して、人材を蘇生させなければなりません。そのためには、国主導の地方統治合理化策である道州制ではなく、地方主権型の道州制を実現し、人材の交流を促進する必要があります。

国、県の職員を基礎自治体がドラフトに掛け、必要な人材をスカウトする制度の実現を期待します。


2007/12/22(土) 官僚は優秀でなければならないか?

官僚は優秀でなければならない。

だから。という論理で、高級官僚の高額の所得・退職金が是認され、天下りの問題が議論される傾向があります。

天下り問題などを性急に解決しようとすると、優秀な人材が集まらなくなり、大きな国家的損失を生じることになる。そうした懸念を抱く人も多いだろうと思われます。

しかし、とびきり優秀な人材が中央官庁に必要なのでしょうか。

少なくとも、これまで霞ヶ関の官僚がやってきたことは、先進国のコピーをする程度のことにすぎません。しかも問題なのは、霞ヶ関の方針に忠実に従った分野は衰退し、それに逆らった分野が繁栄しているということです。農林省に従った農業は衰退。通産省に逆らった自動車等の製造業は繁栄。

霞ヶ関にさほどの実績はなく、「優秀神話」だけが一人歩きしているのではないでしょうか。

公務員に必要な資質は、優秀さではなく、誠実さです。薬害肝炎訴訟などの例を引くまでもなく、厚生労働省の国民の命や健康を守ろうとすることへの誠意のなさは目に余ります。防衛省の腐敗ぶりも論外です。

「優秀さ」を強調する背景には、中央集権の論理があります。中央の「スーパーコンピューター」(霞ヶ関)が地方を統治するという発想です。この発想自体を克服し、地方主権の社会(パソコンによるネット社会のイメージ)に変えていかないと、国家が立ち行かなくなってきているということを認識すべき段階に来ています。

さらに附言すれば、真に「優秀」ならば、「市場原理」に耐えるはずです。ところが、省庁の口利きで天下り先を探さないと満足いく就職ができないというのが高級官僚の実態です。官僚が真に優秀なら、分野を問わず民間が放ってはおくはずがありません。

公務員には、国民に忠実で、誠意あふれる人材を募集すべきです。


2007/12/21(金) 福田政権支持率急落・・安倍内閣はパニックに陥り自爆したが

5月末、安倍内閣の支持率が突如下落しました。相次ぐ大臣の不祥事と失言の連鎖に加えて、「消えた年金問題」が直撃したものです。参院選は与党若干有利と見られていた情勢が、一気に混迷しました。

安倍内閣はパニックに陥り、強行採決路線をひた走る一方、労組や菅直人・元厚生大臣に責任を転嫁するなど、大人げない態度に終始しました。その結果、自爆。参院選大敗。

【内閣支持31%に急落、不支持48% 本社世論調査】(朝日)
朝日新聞社が19、20の両日実施した全国世論調査(電話)によると、福田内閣の支持率は31%と今月1、2日の前回調査の44%から急落し、不支持率は48%(前回36%)と半数近くに増えた。福田内閣で不支持が支持を上回るのは初めて。「いま総選挙の投票をするとしたら」として聞いた比例区の投票先は民主が38%(同32%)で、自民の23%(同32%)に大差をつけた。これほどの差は安倍内閣当時もない。年金記録問題への対応などをめぐって政府や自民党に逆風が強まっている姿が浮き彫りになった。 

福田内閣の支持率は発足当初は53%で、歴代内閣でも比較的高い水準だった。その後も4割台を維持していたが、発足3カ月で安倍内閣末期の水準にまで落ちた。不支持の理由では「政策の面」が57%と際立って高い。 

年金記録問題では、宙に浮いた5000万件のうち照合困難な記録が約2000万件にのぼることが明らかになった。このことについて「公約違反だと思う」は60%で、「そうは思わない」の30%を大きく上回った。年金記録問題への福田内閣の取り組みを「評価する」は36%にとどまり、「評価しない」は46%。福田内閣のもとで国民の年金への不信が解消に向かうと期待できるか、と聞くと、「期待できない」が72%に達し、「期待できる」は17%にすぎない。 

発足当初の調査では、福田内閣の年金問題への取り組みに「期待する」は67%と高かったが、実際の取り組みや今後への期待について有権者の見方は厳しく、内閣の実行力に疑問符をつけているといえそうだ。 

こうした状況で、総選挙の時期などをめぐる見方にも変化が出ている。「早く実施すべきだ」は39%(前回34%)とやや増え、「急ぐ必要はない」は48%(同55%)だった。民主支持層は「早く実施すべきだ」が69%、自民支持層は「急ぐ必要はない」が71%と対照的だった。望ましい政権の形は「民主中心」が41%(同36%)に増え、「自民中心」は28%(同37%)に減った。福田内閣発足後は両者互角だったのが「民主中心」に振れた形だ。 

政党支持率は自民27%(同31%)に対し、民主25%(同23%)。そのほかの政党は公明3%、共産2%、社民1%など。 

【コメント】
安倍内閣当時を振り返ると、5月末の支持率急落の後、不支持率がさらに上昇しました。共同通信が6月下旬に発表した世論調査で、不支持率が5月末の急落時より9%も伸びました。

安倍内閣は当初、支持率急落の原因を国民の不安感の表れと見て、対策を打てば支持率回復可能と判断していました。それが、その後の不手際もあり、安倍内閣自体への不信感であることが明確になってきました。

6月下旬共同通信調査での不支持率が58%。今回朝日調査での不支持率が48%。不支持率の動向を注視したいと思います。

政権への不信感がこれ以上増してくると、どのような手を打っても無駄になってしまう可能性があります。


2007/12/20(木) 選挙カー燃料費不正請求問題・・私の場合

昨日の愛媛新聞1面を見て、昨今県内で話題になっていた選挙カー燃料費の問題が、2005年の衆議院選挙にまで波及するのだということを始めて知りました。

選挙カーの走行を偽り、過大な請求を選挙管理員会に挙げて不正な請求をする行為が横行していたようです。

【衆・参院選でも過大請求 選挙カー燃料費】(愛媛新聞) 
県議選などで相次ぎ発覚した選挙カーの公費負担燃料費不正請求問題で、2005年9月の衆院選と今年7月の参院選でも、県内選挙区に立候補した計8陣営が上限や上限に極めて近い額を請求していたことが18日分かった。このうち現職の自民党衆院議員4人と民主党系会派所属の友近聡朗参院議員の事務所は過大請求を認め、全額または過大分を返還する意向を示した。 
 
公職選挙法施行令での衆院選の請求上限は12日間で計8万8200円、参院選は17日間で計12万4950円。 
 
愛媛新聞社が県に行った情報公開請求によると、陣営と請求額は【衆院愛媛1区】自民現職塩崎恭久氏=上限額【同2区】同村上誠一郎氏=同▽民主候補斉藤政光氏=同【同3区】自民現職小野晋也氏=同▽民主候補高橋剛氏=上限額の98・6%の8万7000円【同4区】自民現職山本公一氏=上限額▽民主候補浜口金也氏=同【参院愛媛選挙区】友近氏=上限額の99・9%の12万4848円―。 
 
8陣営の請求内訳書はいずれも毎日一定の給油量を記載。さらに4陣営は、燃料の小売単価と給油量が全く同じだった。

【コメント】
私の名前はありませんでした。候補者として頑張るので精一杯のため、経理の責任者に丸投げしていたので事実関係が全く分からず、問われても説明できないので、当時の経理責任者に尋ねたところ、馬鹿正直な請求をしたために周囲からは奇異な目で見られたという返事が返ってきました。

上限まで予算措置が為されているのだから、上限いっぱい請求すればいいのだという「業界の常識」があったのだろうと推測されます。

この問題を考えていたら、テレビ朝日のスーパーモーニングで、県警不正経理疑惑を現職のまま実名告発した仙波敏郎氏のことが取り上げられていました。私が松山駅前で街宣していたとき、仙波氏から声を掛けられたことがありました。そのときはどなたか存じませんでしたが、その直後彼が実名告発に踏み切り、新聞で写真を見て驚いた記憶があります。

大半の職員が文書偽造・横領行為に手を染めている警察組織の中で、孤立を恐れず戦っている仙波氏の姿には、感銘を覚えます。

このこととの関連で、ガソリン代の不正請求を考えてみました。

私の場合でも、2003年に遡るとどうなっているのか不明です。2005年の場合は私が総支部長として任命した者が経理をやっていましたが、2003年の場合は党が用意した組織に乗っかって候補者をやっていただけなので、ほとんど何も知らないというのが本当のところです。2005年の場合も、私が不正をしなかったというより、担当者がしっかりしていたという以外に言いようがありません。

そもそも私自身が、どこから掛かってきても大丈夫であるというような聖人君子ではないと思っています。むしろ政治においては、善悪が併存している普通の人間が、普通の感覚で批判できるということが必要です。そうでなければ、社会における矛盾を誰も指摘できなくなるだけでなく、誰も政治に関われなくなってしまいます。

県警の場合でも、多くの警察官が「共犯者」の立場に置かれていることが、結果として「鉄の団結」を生む要因になっています。この「鉄の団結」を崩すためには、「共犯者」が一市民の感覚で立ち上がらなければなりません。その際、その人の不正に関することが指摘されて立ち往生するようなことになってはならないでしょう。

ガソリン代請求で不正と認定されている候補者(現職)についても、それ自体で「レッドカード」というようなものではないだけに、けじめを付けた後は、「それはそれ、これはこれ」ということで、社会の不正に対して矛先が鈍らないようにしていただきたいと思います。


2007/12/19(水) UFOはいるか・・政府答弁の問題点

閑話。ではありません。政治の姿勢が問われる問題です。

UFO=「未確認飛行物体」が「確認」されたらUFOではなくなるから「確認していない」と答弁しているわけでもないと思われます。

【UFO:「確認していない」と閣議決定 政府、初の公式見解】(毎日) 
政府は18日、未確認飛行物体(UFO)について「存在を確認していない」とする答弁書を閣議決定した。山根隆治参院議員(民主)への答弁。UFOに関する政府の公式見解は初めてという。

UFOを巡っては、仏国立研究機関が今年3月、ウェブサイトで目撃情報を公開したほか、米航空宇宙局(NASA)は65年の「墜落説」に関する部内文書の存在調査に乗り出している。

山根氏が「近年、目撃情報が後を絶たない。我が国の安全上の観点からも、情報収集は喫緊の課題だ」とただしたのに対し、答弁書は「特段の情報収集や外国との情報交換、研究はしていない」「わが国に飛来した場合の対応も、検討していない」などと、つれない回答に終始した。

◇町村官房長官は「絶対いる」

ただ、町村信孝官房長官は記者会見で「個人的には絶対いると思う」と述べ、公式見解と「対立」する見方を披露した。

【コメント】
あってはならないことは、ないことにする。これが我が国における官僚政治の真髄です。

目の前にある「現実」だけを相手にする。これが真の政治でしょうか?

目の前にない事象を予知し、その本質を見極めて対応を考える。そのことがなければ、国民の安全を護ることはできません。

人類や国民に降りかかる悲劇は、ときとして、UFO的な形で現れます。ワイマール憲法下、UFO的に出現したナチスの本質を見極めることができなかったことが、第二次世界大戦の惨劇を生む原因になりました。

UFOを、ほんわかした宇宙の浪漫を誘う話題と考えるのは間違いです。

防衛上の観点から本質を理解し、対策を講じる。こういう姿勢を持っていないことを政府が明言したことは重要です。そして、官房長官が「個人的に」別の意見を言う、無責任政治。

「日米同盟」にあぐらをかき、「防衛」についての思考を停止させている売国的自民党政治を象徴する話として、深刻に受け止めなければなりません。


2007/12/18(火) 国民は「誤解」していたのか・・年金記録問題で支持率大幅減

「国民に誤解を与えた」と福田首相は言っています。

言葉は、(表現者の真意)→(表現)→(受け手の解釈)という順序で伝わります。

福田首相は、「真意」は正しかったが、「表現」が不適切であり、従って国民は「誤解」したと考えていることになります。これでいいのでしょうか。

【前政権の年金問題対応、「誤解招いた」と首相陳謝】(読売) 
福田首相は17日夕、年金記録問題に関する安倍政権当時の政府・与党の説明ぶりについて、「(自民)党の(参院選の)ビラなどで誤解を招く表現があったのは事実で、おわびしなければいけない」と述べ、改めて陳謝した。

首相官邸で記者団の質問に答えた。

年金記録問題を巡っては、今年6月作成の自民党参院選ビラで、「政府・与党は今後1年間ですべての統合を完了させる」と約束していたほか、7月の政府・与党合意では「最後の1人までチェックして年金を支払う」と明記していた。

首相はさらに、「来年3月までに(該当者不明の記録の)名寄せなどの作業をしていく。一つ一つ根気よくやることで、年金制度をきちんと建て直さないといけない」と述べ、対応に全力を挙げる姿勢を強調した。

【コメント】
国民はごく普通に理解しています。

参院選での自民党のビラ、そして当時の安倍首相は、分かりやすく「最後の1人までチェックして年金を支払う」と述べていました。「誤解」の要素はどこにもありません。

そうだとすると、問われなければならないのは、「真意」の部分です。ここに問題がある場合、表現行為は「欺罔行為」という範疇に属します。

より分かりやすく言えば、「嘘」を付いたということです。

嘘であったということを率直に認め、国民に謝罪しなければならないのに、この期に及んでまだ「国民が誤解した」と言っている勘違い男。

支持率急降下。国民の「気の迷い」だと思っているのでしょうか。


2007/12/17(月) 群馬・民主党の動向(2)・・・党本部は柿沼氏に説明を!

どうも、群馬3区の民主党候補について、党本部は知名度のある候補者に傾きつつあるように見えます。

しかし、公認内定者がいる以上、候補者差し替えには余程の理由が必要です。柿沼氏においてはそうした理由があるようには見えません。あるとすれば、群馬県連の内紛。しかも非は旧社会党系の一派にあります。

このあたりをしっかり見据えておかないと、党本部の権威が大きく傷つくことになります。

民主党の弱い地域は、弱いなりの理由を抱えています。県連の恥部を見て見ぬ振りをする「お利口な」候補者だけが生き残り、正義感の強い候補者は、「差し替え制度」で悪質党員に足下をすくわれる。こうしたことを党本部が是認する結果にだけはして欲しくありません。

加えて、知名度のない候補者は何時でも知名度のある候補者に取って代わられる。このやり方は、巨人軍の選手補強のやり方と同じです。「即戦力の外国人選手(あるいは他チームの4番バッター)」で目先の勝利を目指す。この手法が巨人軍の衰退を招きました。

これでは、「この一戦」に負ければ、当分の間勝てなくなります。こつこつやるタイプの新人は、「何時でも差し替え」の恐怖におののきながらの活動になります。真面目で正義感ある人物が民主党に集まらなくなってしまいます。

民主党本部には、柿沼氏と選対委員長(もしくは党首or幹事長)との会談を用意して、状況説明を行う責任があります。それも、本来なら事前に。

私が候補者だった頃、「選対委員長と『さし』で話がしたい」と党本部に申し入れました。党本部に中長期的な地域経営の発想がないように思えたからです。徳島の仙谷議員と事務局の方が出てくれましたが、選対委員長とは会えず、時間も限られていたので、愛媛からわざわざ上京した意味がありませんでした。

都市部で候補者が決まらないのは、声の大きい議員経験者に翻弄されているのであろうと思われます。これに対し、声を挙げない新人候補者は埒外に置かれる。政権を担おうとする政党としては、ちょっと情けない状況です。

選挙の責任者というのは、ある意味で「首切り浅右衛門」の覚悟が必要です。その覚悟なく、当該の地位に就くべきではありません。民主党の責任者に胆力がないのではないか。

≪独言≫
内閣支持率が、ガタ落ちしそうです、共同通信の支持率調査では、10ポイント以上の支持率低下。こういう時期であればこそ、次期政権政党として、堂々たる態度を示していただきたいものです。

候補者は「駒」です。しかし、「駒」への愛情なき「棋士」は、「名人」たり得ない。


2007/12/16(日) 群馬・民主党の動向・・・「カッキーのブログ」を読む

衆議院群馬3区の民主党公認候補(内定)の柿沼正明氏を別の候補に差し替えるというニュースが、群馬県で大きく取り上げられています。

柿沼氏は頑張っている候補だと思います。「別の候補」というのが、太田市長・清水聖義氏。この人には、太田市を視察したときにお会いしたことがあります。立派な市長です。

この背景に、群馬民主党の対立構図があります。

このブログで、過去に群馬のことは取り上げています。

下記参照。
頑張れ、群馬の民主党・・・群馬は民主党の先進地である(2007/5/21) 

【民主党が清水市長に打診?  2007年12月15日】(カッキーのブログ) 

「柿沼さん、もう出なくなったの」
きょうの上毛新聞一面トップ記事を読んでの、
大泉町の支援者のご婦人からの電話だ。

まるで候補者差し替えが決まったような記事だ。
こう取られてもおかしくはない内容だ。


【2007年12月15日付上毛新聞記事より引用】
●清水氏(太田市長)次期衆院選出馬へ調整

 太田市長の清水聖義氏(66)は十四日、次期衆院選に向け民主党の鳩山由紀夫幹事長らと十三日に会談し、同党公認で群馬3区から出馬の打診を受けたことを明らかにした。上毛新聞社の取材に答えた。清水氏は「慎重に検討したい」としている。太田市がある群馬3区は柿沼正明氏(42)が同党公認候補に内定しているが、小沢一郎代表は周辺に知名度の高い清水氏への関心を伝えており、党本部は候補者差し替えに向けて本格的な調整に入った。

 清水氏は「太田から衆院議員を出したいという思いはある。慎重に検討したい」と話した。十三日に、鳩山幹事長、赤松広隆選挙対策委員長と都内で会ったという。

 夏の参院選で第一党になった民主党は九月、政権交代がかかる次期衆院選に向け、現職議員と公認候補者に対し「当選に程遠いと判断した場合は候補者差し替えもあり得る」との異例の通達を出し、勝てる候補を最優先する方針を示していた。

 党本部はこの方針の下、改革派市長として全国的に知名度の高い清水氏に早くから関心を示していた。
 3区の柿沼氏は二〇〇三年の衆院選で広島1区から初出馬し落選。〇五年の衆院選で群馬3区にくら替えし、次点に終わった。〇六年に3区の公認候補として内定していた。

 清水氏は、自民党所属で県議を三期務めた後、一九九三年の衆院選旧群馬2区に日本新党から立候補し落選。九五年に太田市長選に初当選し、旧同市長を三期、現在合併後の同市長を一期目。同市では、九九年に故中島洋次郎衆院議員が辞職後、地元代議士待望論があり、自民党候補としても度々名前が浮上した。

 ただ、清水氏周辺では清水氏の衆院選出馬に理解を示す支援者がいる一方、自民党員である清水氏が民主党から出馬することに異論を唱える支援者もいる。


きょうの記事にはさすがにびっくりしている。
民主党サイドから清水市長にアプローチしている、と書いてあるからだ。

これ、本当なの?

会ったっていうが、どちらがアポイントをとったのか、
エスコートした人はいたのか、打診はどういう言葉で行われたのか、
大事なことは何もわからない。

現在の公認内定候補である小生にはまだ一言もないうちに、
別の人に鳩山幹事長が「出馬を打診」したというのだから、
失礼な話だし、侮辱した話だ。

鳩山幹事長は先週の4日の候補者研修会でも会っていて、
「候補者差し換え」の話は一切なかった。

党本部からは、話ここに至るまで何の連絡もない。
一生懸命民主党のために活動を続けている候補者に何の連絡もなく、
ひっそりと別の人に会い、出馬を打診するなんてことが有り得るのだろうか。
いや、有り得ていいのだろうか。

公認候補者がいない選挙区ではないのだ。

にわかには信じられない記事である。
それと記事中に、
「当選に程遠いと判断した場合は候補者差し替えもあり得る」との
異例の通達を出し、勝てる候補を最優先する方針を示していた、
とわざわざ引用を入れているが、
まるで「当選に程遠い候補者だった」ように読める少し悪意を感じさせるような内容だ。

本当に「当選に程遠かったのか」。
つい先週までの毎日の活動の中で、手ごたえを感じることは実に多かったのだ。

また、
かなり前から接触していたと書いてあるが、いつから接触していたのか、
今回の打診にいたるまで、どういう経過で打診に至ったのか、
党本部の説明を待ちたいところだ。

いま、スタッフ、支援者、家族、親族ほか
応援していただいているすべての支援者が心配していると思うと、
本当に心が痛む。

不正疑惑は追及したが、不正を働いたことはない。
活動も停滞していたわけではない。

ともかく、
真実を知りたいというのが、
まっとうに活動を続ける一候補者の「偽らざる声」なのだ。

変な策謀ではないことだけを祈る。

カッキーのブログ 
http://blog.goo.ne.jp/masaakikakinuma

柿沼正明氏のHP
http://www.kakinuma.org/

【コメント】
総額2500万円の政治献金を政治資金収支報告書に記載しなかった疑惑をもたれ、参院副議長を引責辞任した角田義一参議院議員の地元が群馬県です。

県連内の不正経理問題から、県連事務局長が自殺するということまであり、県連内の対立として注目されました。旧社会党系にまつわる疑惑が渦巻いています。

柿沼氏をはじめ民主党県連を刷新しようとするグループに対抗する守旧派勢力が、柿沼氏の失脚を狙っているという構図が見え隠れしています。

民主党本部がどのような対応をするのかが見物です。

柿沼氏には頑張ってもらいたいと思います。

このことに関連して、一般論を交えて、明日のブログで展開します。

本日は問題提起まで。


2007/12/15(土) 公務員の給与引き上げを・・ただし、厳しい条件付きで

愛媛県職員の給与は、相当程度減額されています。中堅どころの年収が、100万円以上下がっているのではないでしょうか。市町村の職員も同様であろうと思われます。

公務員の厚遇が問題視され、公務員叩きが票になる御時世ですが、私は公務員の給与を引き上げるべきだと思います。

愛媛のような県では、公務員の給与が地域経済を牽引する役割を担っています。公務員の給与を引き上げることにより、地域経済を活性化させることを考えるべきです。

反対意見が多いと思います。民間の苦しみを考えれば、公務員の賃上げは慎むべきであるという意見もあるでしょう。

公務員の皆さんも考えてみる必要があります。「不徳の致すところ」という面があるのではないでしょうか。

公務員の意識改革を条件として賃上げを認める。ここら当たりが落としどころだと思います。というよりも、本来あるべき姿が、「24時間型市民」としての公務員です。

24時間型市民としての公務員が、地域経済のために戦略的に消費する。地域にお金が循環するような消費行動を取る。もちろん地域のために、私生活においても献身的な努力をする。こういった態度が必要です。

≪独言≫
14日の愛媛新聞で、民主党の菅秀二郎県議が県人事委員会勧告完全実施に伴う県職員の給与引き上げ議案に反対したことに対し、自治労県本部が民主党県連に抗議したとの記事が出ていました。

菅氏の主張は、「県財政が厳しい中での給与引き上げは県民の理解を得られない」というもの。

自治労は、「2006年度から4年間で総額150億円がカットされ、給与が民間の平均を下回っている」と主張。

上記本文の記載に反するようではありますが、菅氏の行動を評価します。全議員で菅氏だけが反対。まず、その勇気を讃えたい。

自治労の「給与が民間の平均を下回っているという」主張はどうでしょうか。「だったら、民間に鞍替えするか」と問われて、「そうしたい」と答える県職員はごく少数であろう思われます。

自治労に問いたいのは、それでは県職員の労働密度は民間の平均を上回っているのか、ということです。「そうだ」と断定できるのかどうか。

自治労はこうも述べています。「自治労は連合愛媛の傘下にあり、各選挙で民主党にも協力してきたが、菅氏の行動は信頼関係を破壊する」。

これは脅迫です。こういう軽薄な労組との「信頼関係」が民主党にとって必要なものとは思えません。長期的には有害です。

菅氏には引き続き、15%の労組組織率から漏れている、もの言えぬ県民への目線を大切にしていただきたいと思います。


2007/12/14(金) 「縮めて言ってしまった」・・自民党マニフェストの読み方

自民党に政権担当能力があるのか。この点に大きな疑問符が付いています。

消えた年金問題について、すべて特定して支払うという選挙公約がどうなったのかと問われ、「選挙なので縮めて言ってしまった」という官房長官の発言、「スローガンだった」という舛添厚労相の発言などは、政府の責任、選挙公約の意義が全く分かっていないと言われても仕方がありません。

彼らに政権を委ねていいのでしょうか、という話です。

【「公約違反」「つたない説明で」…年金公約で与野党応酬】(読売) 
該当者不明の年金記録に関し、すべての持ち主を特定する政府の公約達成が困難となった問題を巡り、野党は13日、政府を改めて批判した。

民主党の輿石東参院議員会長は13日の記者会見で、福田首相が「公約違反というほど大げさなものか」と語ったことに触れ、「一国の首相の発言はこんなに軽くなってしまったのか。誠に恥ずかしく思う」と強調した。

また、同党の簗瀬進参院国会対策委員長は13日、国会内で自民党の鈴木政二参院国対委員長と会談し、「国会を再延長するなら、参院予算委員会で年金記録漏れ問題に関する集中審議を行うべきだ」と要求した。

7月の参院選で、当時の安倍首相が「最後の1人まで記録をチェックして年金を支払う」と説明したことについて、町村官房長官が「選挙中だから簡素化して言った」と語ったことにも批判が出ている。

野党は、公約違反の責任を追及すると共に、首相や町村氏、舛添厚生労働相らの発言についても国会で問いただしていく方針だ。

一方、町村長官は13日の自民党町村派の総会で、「つたない説明で迷惑をかけていることをおわび申し上げる」と陳謝した。

自民党の伊吹幹事長は伊吹派総会で、町村、舛添両氏らを念頭に、「バラエティー番組に出るような調子で答弁してもらっては困る」と注文を付けた。

また、津島派の津島雄二会長は同派総会で、「大部分の年金受給者に対しては、きちんと年金を払っているし、これから年金を受ける人にも責任ある対応をしている。いかにも年金制度全体がおかしくなったという議論に飛躍させるのは間違いだ」と指摘した。

【コメント】
福田総理は、参院選での自民党の公約を知らなかったのか、覚えていないのか、不得要領な答弁しかできません。

福田氏の記憶力、自民党総裁としての自覚はさておき、自民党にとって選挙公約とはどういうののなのかを、まざまざと見せつけられる一連の発言です。

自民党が選挙で、「最低保障年金を一律月額10万円、必ず支払います」とマニフェストに書いた場合、有権者としては割り引いた解釈が必要です。

「最低保障年金を一律月額10万円、必ず支払います(という決意ですが、やってみないと何とも言えませんし、『ないものはない』ということになるかもしれません」と読み込まないといけません。

それができない有権者は、不注意だったということになります。


2007/12/13(木) 「偽」の1年・・・最大の「偽」は自民党

年末恒例の「今年の漢字」。「偽」という字が選ばれました。

これには異論が少ないだろうと思われます。

【「偽」まみれ、この1年 今年の漢字、食品や年金で】(共同) 
2007年の世相を漢字1つで表す年末恒例の「今年の漢字」に「偽」が選ばれ、日本漢字能力検定協会(京都市)が12日、京都市東山区の清水寺で発表した。

募集した協会によると、応募総数9万816通のうち、「偽」が1万6550通(18%)を集めた。

ミートホープや「白い恋人」の石屋製菓、さらに不二家、赤福、船場吉兆など大手や老舗で相次いだ食品をめぐる偽装を反映。また、政治資金や年金記録不備の問題も理由に挙げられている。

2位は「食」(2444通)、3位は「嘘(うそ)」(1921通)。以下「疑」「謝」「変」「政」と続いた。

午後2時すぎ、詰め掛けた参拝客らを前に、森清範貫主が縦1・5メートル、横1・3メートルの特大の和紙に「偽」を黒々と揮毫。奉納の儀式後、森貫主は「こういう字が選ばれるのは本当に恥ずかしく、悲憤に堪えない。己の利のためには人をだましてもいい、という嘆かわしい社会だ」と述べた。

【コメント】
「食」に関する偽装が相次いだこの1年。賞味期限切れ、消費期限切れ、産地偽装等々。

社会全体が「嘘」で塗り固められているのではないかとの「疑」いをもってしまいます。

各企業や団体の「謝」罪会見のニュースを見飽きる昨今、政府は消えた年金記録の照合を年度内に終えるという参院選での公約を破りながら、舛添厚労相は「ないものはない」と開き直っています。

「変」化を求める国民の期待を民主党に受け止めていただき、来年こそは「政」治が大きく変わる年であって欲しいと思います。

最大の「偽」は、自民党政権です。東西冷戦終結時に「賞味期限」が切れた自民党政権。賞味期限切れ後20年近く経ちました。腐臭漂う状態になっています。これ以上食べると、毒素が国全体に回ってしまいます。


2007/12/12(水) 権利の過剰主張と国家権力の発動・・ビラ配り有罪判決

マンションの敷地には見知らぬ人に入って欲しくない。それは分かります。

それが刑法(住居侵入罪)に違反するということになると穏やかではありません。目的の如何を問わず住居の平穏の方が重視されることが正しいのかどうか。

【政党ビラ配りで逆転有罪 1審無罪の僧侶に罰金5万】(共同) 
共産党のビラを配るため2004年、東京都葛飾区のマンションに立ち入ったとして住居侵入罪に問われた僧侶荒川庸生被告(60)の控訴審判決で東京高裁は11日、無罪(求刑罰金10万円)とした1審判決を破棄、罰金5万円を言い渡した。

弁護側は「目的は政治的意見表明という憲法で保障された正当なものである上、ビラ配布は短時間にすぎない」と無罪を主張したが、池田修裁判長は「マンション管理組合の理事会は部外者の立ち入りを禁止し、住民の総意に沿っている」として住居侵入罪の成立を認定した。

その上で「表現の自由は無制限に保障されたものではなく、他人の権利を不当に害することは許されない」と述べた。

判決によると、荒川被告は04年12月23日午後、共産党の「区議団だより」などを配布するため、葛飾区のマンションに侵入。各戸のドアポストに投函したが、住民に通報され、現行犯逮捕された。

【コメント】
住居の平穏が住居侵入罪の保護法益です。ビラ配りで住居の平穏が害されたということなのでしょうか。

ビラ配りの目的は、政治的な意見表明です。民主主義社会では、この自由が保障されなければなりません。それと住居の平穏とが対立する利益ということになります。対立する利益の調整が問題となる場面です。

マンションの敷地内で騒いだり、マイクで演説したりしたわけではありません。ただ、ビラをドアポストに投函しただけです。短時間の行為。

神経質な住民の側に立ってみても、せいぜい迷惑行為。刑法が登場する場面ではありません。

刑法犯の処罰には国家権力が行使されるのですから、警察→検察→裁判所という流れの中で、相当な費用が掛かっています。人件費だけを考えてもかなりのものです(公務員1人、時給3千円〜4千円で計算することをお薦めします)。それを公が負担してでも法益を守らなければならないものかどうかが吟味される必要があります。

この事件は、過剰な権利主張に司法が迎合したものですが、それだけでしょうか。

迷惑な行為があっても、警察はなかなか動いてくれません。「微罪」で奔走することは、現在の司法の人員では無理であるということもあります。

その司法が、ビラ配りには目くじらを立てるということは、神経質なマンション住民の「平穏」を守りたかったのではなく、ビラ配りをする人たちを取り締まりたかったのだと見るのが妥当です。

不当逮捕→不当起訴→不当判決の連鎖で、国民の政治的自由を弾圧する目的で刑事司法が動いたものだと思われます。

住民の権利主張を認める形でなされた弾圧行為。


2007/12/11(火) 「国益」の中味はなにか・・・新テロ特措法案

新テロ特措法案について慌ただしい動きになっています。

政府・与党は、「国益」をキーワードにして国民を説得したいという考えで行動しています。

しかし、「国益」の中味はなんなのか、吟味する必要があります。

【テロ法案再可決、「適切」43%「適切でない」は44%】(読売)
読売新聞社が8、9の両日に実施した全国世論調査(面接方式)で、インド洋における海上自衛隊の給油活動を再開する新テロ対策特別措置法案を参院が否決した場合、衆院が与党の3分の2の多数で再可決することを「適切だ」と思う人は43%で、「適切ではない」は44%だった。

新テロ特措法案については「賛成」45%、「反対」43%だった。「賛成」と答えた人のうち、再可決を「適切だ」と思う人は66%で、「適切ではない」は26%だった。「反対」と答えた人では「適切ではない」が69%に上ったが、「適切だ」も25%となった。

海自による給油活動継続について「賛成」は48%、「反対」は41%で、10月調査以降、「賛成」がほぼ5割、「反対」が4割前後となっている。 

【コメント】
国論二分。「国益」を叫んでいるが故に政府側やや有利の展開というところでしょうか。

しかし、この「国益」が曲者(くせもの)です。様々な外交案件の中で、たったひとつの事象で我が国が世界の孤児になったりするのかどうか。限りなく嘘くさい話です。

満州事変から太平洋戦争にかけての歴史、さらには日英同盟解消後の歴史から振り返っても、一直線に奈落の底に落ちたのではありません。

たったひとつの出来事で地獄が待っているようなことを言い立てるのは、詐欺師の手法です。こういうことを言う人物は、一般的には信用されません。

「国益」の中味を突き詰めると、総理大臣の政治生命であったり、与党関係者に対するアメリカの信頼低下という面が大きく、国民の利益という観点からの議論とは程遠いものがあります。

66年前の12月8日に真珠湾を攻撃したのは、国益のためではなく、政府や軍の幹部が組織を抑えきれず、自分自身の地位を保全するためであったということを想起すべきです。


2007/12/10(月) 都市再生機構の民営化・・民営化は正義か

独立行政法人の民営化が叫ばれています。「民間でできることは民間で」ということで、渡辺行革相が連日テレビで「正義の味方」を演じています。

確かに、「民間でできること」は民間でやった方が効率的であろうと思われます。しかし、「民間ではできないこと」は何かを考え、それを行政の課題として取り組むという姿勢も必要です。

【渡辺行革担当相、多摩ニュータウンを訪問「民営化でサービス向上する」】(産経)
渡辺喜美行政改革担当相は9日午後、独立行政法人の整理合理化に関連し、都市再生機構(国土交通省所管)が管理する東京都多摩市の多摩ニュータウンを訪問し、昭和40年代に建てられた集合住宅を視察した。機構の民営化を提案している渡辺氏に対し、住民から反対の声が寄せられた。

住民は「民間では一人暮らしの高齢者を入居させてくれない」「今は安心して住めるが、民営化されればどうなるのか」と不安を訴えた。渡辺氏は「民営化すればサービスは向上し、家賃も下がる。(住民に)出て行ってもらうようなことは全く考えていない」として理解を求めた。


【コメント】
何が問題なのかということを置き去りにした民営化論議では、真に国民のニーズに応えることはできません。

「民間では一人暮らしの高齢者を入居させてくれない」「今は安心して住めるが、民営化されればどうなるのか」

この不安に渡辺行革相が正面から答えているようには見えません。

ひとつの解決策として、高齢者の入居拒否を非合法化することが考えられます。あるいは、一定率以上の高齢者がいなければならない旨の法律上の規制も考えられます。超高齢社会を迎えた今、その程度の法整備をした後に民営化を論ずるべきだと思います。

公団住宅の管理についての手直しも急務です。改築を禁ずるのではなく、快適な住環境を積極的に追求できるように入居者の自由を拡大すれば、民間にはないサービスが提供可能です。

わざと不便にしておいて民営化を叫ぶという、似非正義の味方には要注意。


2007/12/9(日) 生活保護費の引き下げと庶民感覚・・貸付と物的支給を

厚生労働省の検討会が生活保護基準引き下げを容認する報告書をまとめたことが波紋を呼んでいます。

貧困層の生命維持が危ぶまれる水準に低下するのか、生活保護を受けていない一般庶民の感情に配慮したことになるのか等々、考えてみるべき要素が多々あります。

【<生活保護引き下げ>受給者、悲鳴と不安】(毎日)
厚生労働省の検討会が生活保護基準(生活保護費の水準)引き下げを容認する報告書をまとめた。国が基準引き下げに踏み切るかどうかは未定だが、物価上昇が目立ち始めた今、「基準を引き下げられたら生きていけない」と訴える生活保護受給者も多い。7日に開かれた市民集会「生活扶助基準に関するもう一つの検討会」には当事者や学者ら約150人が参加、報告書への批判が相次いだ。【市川明代、東海林智、柴田朗】

◇現状でも命維持のみ

「生活保護は現状でも命を維持するだけの制度にとどまっている」

生活保護を受けている70歳以上の人に支給されていた「老齢加算」が06年に廃止された後の高齢者397人の生活実態を調査した全日本民主医療機関連合会の斉藤江美子さんは、強い口調で訴えた。

下着を含む衣類などの年間購入頻度では、82.5%が「3回以下」と回答し、「ゼロ」は40%。廃止で一番不足したのは食費(53.9%)で、「白いご飯だとおかずが欲しくなるのでパンで済ます」「1合のご飯を3回に分けて食べる」など、切り詰めた生活が浮かんだ。7割以上が地域行事や冠婚葬祭への参加を控えていた。斉藤さんは「孤立化した状態だ。これで健康で文化的な生活と言えるのか」と疑問を投げかけた。

生活保護を受けるシングルマザーの女性は「何度就職しても解雇され、わずかな児童扶養手当に救われた。今も失職中だが、19歳の長男の稼ぎでやっと生きている」と窮状を訴えた。

事故で足や手の指を切断し、視覚障害もある男性は「おにぎり252円、納豆99円……」など細かく記した家計簿を公開した。仕事はできないが、小学校などで自らの体験を語っている。「新しいコートがほしくて食費を削っている。生活保護を利用しながらでも社会参加し、生きていたいという思いは間違っているでしょうか」と声をからした。

集会では、生活保護を受けていない人からも、基準の引き下げが他の手当に影響するのでは、との不安の意見が相次いだ。

◇厚労省「低所得世帯より生活費高い」

検討会は厚労省社会・援護局長が設置。座長の樋口美雄・慶応大教授ら委員5人が先月30日、食費、光熱費など生活費について、低所得世帯の支出額と保護世帯の受給額を比べ、保護世帯の方が高い、との結論を出し、引き下げを容認した。

昨年度廃止された「老齢加算」(月約1万6000円)や09年度に全廃の「母子加算」(月約2万1000円)の廃止決定の時も同じような比較がされた。

社会保障審議会福祉部会が03年、「低所得の60〜69歳」と「70歳以上」、母子の「低所得世帯」と「保護世帯」の消費支出をそれぞれ比べた。その結果、「70歳以上で支出が増えることはないので老齢加算は不要」「母子では保護世帯の受給額が低所得世帯の支出額より高い」と指摘。それから間もなく減額・廃止が決まった。

いずれも当事者へのヒアリングは行われなかった。生活保護基準は、厚労相の告示で定められるため、今後いつでも裁量一つで基準を引き下げられる。

老齢加算の対象者は約30万人、母子加算は約9万人だが、今回は全受給者約150万人にかかわる。基準引き下げで保護から外されると、ケースによって免除されていた地方税、国民年金保険料などの支払い義務が生じ、厳しい生活に追い打ちをかける。

保護世帯以外の低所得世帯にも大きな影響を及ぼす。自治体の低所得者向け生活福祉資金(低利貸付制度)や就学援助などは、収入が「生活保護基準の1・2倍以内の世帯が対象」などと保護基準と連動させているものが多い。引き下げはこうした制度の利用世帯も直撃する。

改正最低賃金法には、最低賃金は生活保護との整合性に配慮するよう明記され、基準引き下げは最低賃金の上げ幅にもマイナスの影響を与える。

◇小泉内閣以来の路線

生活扶助の引き下げは政府の既定路線だ。04年の年金、05年の介護、06年の医療と、給付減額を伴う制度見直しを続けた。

昨年7月に閣議決定された小泉内閣最後の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(骨太の方針06)には、社会保障費を5年で1.1兆円削減する方針が盛り込まれた見直し対象に生活扶助などが列挙され、「08年度には確実に実施する」と期限も切られた。

骨太策定時の議論は「削減ありき」で進み、後に達成手法へ移った。その際、かぜなど低額な医療費の全額自己負担化や、介護保険の自己負担を1割から2割にアップすることも検討されたが、選挙への影響を恐れた与党が退け、結局「抵抗勢力」が少ない生活保護が残った。

高齢者医療費の負担増凍結を打ち出した福田康夫首相も、生活保護には音なしの構えだ。一方、検討会の報告書が公表された後、民主、公明党が相次いで勉強会を開催。民主党の部門会議では厚労省保護課長のほか、保護受給者と支援する市民グループメンバーらを招いてヒアリングが行われ、出席した議員から引き下げを疑問視する質問、意見が相次いだ。

▽生活保護費 飲食費、衣料費、光熱費など日常生活にかかる生活扶助が基本。必要に応じて支給される住宅費(家賃)、医療費などを足した総額が最低生活費認定額となる。勤労、年金などの収入がある場合は、その分を差し引いて支給される。最低生活費は、地域の物価差などで異なる。例えば3人世帯(33歳の夫、29歳の妻、4歳の子供)では、最も高い東京都区部などで月額16万7170円、最も低い地方は13万680円。06年度の調査では、受給者の50.2%が60歳以上。

【コメント】
私が以前から主張しているのは、生活保護費を貸し付ける制度の創設です。

加えて、生命を維持するための最低限度の物的要素(食事と緊急医療など)については、可能な限り物的な支給でまかなうことにするということです。

国や社会が貧しい人に対して返済を強制しない形で貸し付けることにすれば、自主自立への道が開かれやすくなります。

不幸にして貧困な状態におかれた場合に、社会が救済することでもう一度チャレンジすることが可能になります。そのための要件を厳格にしすぎることは妥当ではありません。

しかし、安易に生活保護に頼ることが低所得労働者に与える心理的な影響を無視するわけにはいきません。

かつてのように頑張る人が少なくなってきました。簡単に土俵を割る人が増えることは、社会全体の力をそぐことになります。

失敗したら助けるけれども、それは貸付であって、後日返済するんですよ。強制はしませんが、頑張って再チャレンジし、成功したら返してください。この程度のメッセージを国家や社会が発してもいいのではないでしょうか。

貨幣経済を無条件に取り入れ、全てを金銭に見積もるのではなく、可能な限り現物を支給するシステムを開発すべきです。ものの再利用でまかなうことも考えてしかるべきです。コミュニティーの助け合いで救済することもあっていいと思います。

医療については、医療機関への未払い問題が深刻です。患者にお金を与えるのではなく、医療機関への支払いをもって生活保護費の支給とみなすべきだと思います。


2007/12/8(土) 民主党の中国訪問・・・野党外交の必要性

会期中に大挙中国を訪問した民主党。野党第一党としての存在を内外にアピールすることは、政権戦略として重要です。

中国という難しい国に対して、小沢氏は長年友好関係を深めるために訪問を繰り返しています。政権奪取に先駆けて布石を打った形です。

【胡主席と小沢代表が会談、日中協力強化で一致】(読売) 
民主党の小沢代表は7日、北京市内の人民大会堂で胡錦濤・中国国家主席と会談し、北朝鮮の核問題や安全保障、環境、経済など各分野で、日中両国間の協力を強化していくべきだとの考えで一致した。

会談の中で、胡主席は「日中関係はここ数年、改善、発展している。両国の政府・政党間の交流を大切にしたい。互恵関係の強化は、環境やエネルギーなどグローバルな挑戦に協力して向かっていくのに役立つ。安全保障、防衛面でも対話が進み、朝鮮半島、核問題について、日中間で強く連携が進んでいる」と述べ、安倍前政権以来の日中関係改善を評価した。

そのうえで、「アジアや世界で日中は、平和を擁護し、繁栄し、発展を進めるうえで共同の責任を負っている。和すればメリットがあり、戦えば共に損するということだ」と強調した。

これに対し、小沢氏は「アジアはそれぞれの国で政治システムや経済の発展段階が違い、互いに努力していかないと繁栄と平和は得られない。アジアで要になるのが日中関係であり、日中関係を本当の信頼関係にしなくてはならない」と応じた。

小沢氏は会談後の記者会見で、今回の訪中について、「日本にとって日米、日中(関係)は二つの大きな柱だから、民主党がそれなりにちゃんと関係を築き、(外交を)こなしているということで、民主党に対する(国民の)信頼感が生まれてくればいい。早く政権を担い、日米でも日中でも対等のパートナーとなるようにしないといけない」と述べた。

小沢氏と胡主席の会談は昨年7月以来。会談は約30分行われ、民主党の菅代表代行、山岡賢次国会対策委員長らのほか、中国側の要請で中国訪問中だった田中真紀子・元外相も同席した。


【コメント】
国会会期中であることから、与党関係者からは批判もあるようです。しかし、政府外交、与党外交とは別の角度で行われる野党外交、取り分け政権獲得可能性のある野党第一党が諸外国にその存在と見識を披露することは、国全体の外交力を高めるためには必要です。

何者か分からない野党が政権を取って急に外交方針を転換し、諸外国に衝撃を与えるということでは、外交の継続性を否定することになります。

日本の外交が今後どうなるのかについての予見可能性を与える意味では、野党外交が積極的に推進される必要があります。

国と国との関係は重層的であることが平和維持にとって重要です。法案審議と両立するのであれば、相手国の都合もあることですから、会期中の外国訪問を否定する必要はありません。政府・与党の外交についても同様です。


2007/12/7(金) 「たしかな野党」から、したたかな野党へ・・共産党の路線転換

全選挙区での候補者擁立という非現実路線から現実路線に転換した共産党。

比例区で躍進するためには、野党としての存在感と国民の共感とが必要になります。

【共産、協調路線で存在感 選挙戦術転換も影響】(朝日)
「たしかな野党」からの脱却――。共産党が独自路線を転換しようとしている。反対政党のイメージを抑えつつ、逆転国会を舞台に自民、民主両党間の橋渡し役に名乗り出るなど、協調路線に踏み込んだ。政権交代が現実味を帯びる中、国会、選挙戦術を通じて党の存在感を高める「たしかな答え」を探しはじめている。 

「国民要求の実現のための役割を果たす。世論を獲得しないと政治は動かせない。政党間の働きかけもやっていく」。志位委員長は10月、逆転国会での与野党の「法案つぶし合い」に懸念を示し、「橋渡し役」が今国会のテーマの一つとの見方を示した。 

その成果の一つと自認するのが、11月に成立した改正被災者生活再建支援法だ。共産党が「一歩でも二歩でも前に進める」(志位氏)として、早い段階から与野党協議を各党に要請していた。実際には、与党と民主党が協議して共同提案にこぎつけたが、民主党幹部は「共産党に先を越された」と共産党の果たした役割も評価した。 

政治資金の透明化論議でも「協議の中で合理的な一致点が確認できればいい」(志位氏)と政党間協議に積極的に参加。最終的に合意内容には反対したが、決着することは妨げなかった。 

「協調」を加味した「ニュー独自路線」を模索するのは、危機感の表れでもある。衆院の議席は、小選挙区制が始まった96年の26議席から9議席に減少。国会で存在感を示すことができないと、次の総選挙も苦戦は避けられない。 

国会に先立ち、選挙戦術で手を打った。9月、財政事情を理由に「全小選挙区で擁立」という基本方針を転換し、候補者数を絞ることを決定。今のところ小選挙区の立候補予定者は115人で、志位氏は6日の会見で「擁立の計画は140ぐらい」と述べた。 

それが、埋没回避にも効果を生んでいる。空白区での共産票の行方に注目が集まり、「結果的に民主、自民に影響力を行使できる」(党幹部)。国会運営で配慮を引き出せるというわけだ。 

額賀財務相の証人喚問の中止をめぐっては、議決賛成を「間違いだった」と自己批判。「選挙のこともある。共産党の言うことに耳を傾けなくてはいけない」(民主党国対幹部)と、結果的に民主党に引導を渡した格好になった。 

共産党の振る舞いが政局を左右する可能性もある。市田忠義書記局長は「民主党が反自公の姿勢を示す限り一致点では協力する」と語り、野党共闘に軸を置く姿勢を崩していない。総選挙で民主党が過半数に満たない第一党になった場合を想定して、民主党内からは「共産党の閣外協力」を期待する声も出ている。 

【コメント】
総選挙の度に供託金没収や選挙費用で数億円以上(10億円〜20億円か?)の「損失」を出していた共産党が現実路線に転換し、国会でも柔軟路線を模索中です。

共産党は活動家の高齢化が顕著で、このままでは衰退・消滅への道を辿るというところまで追い詰められました。

追い詰められた中での路線転換ですが、積極的な展開をすれば、比例区での生き残りは十分可能です。

共産党が活躍していない地方議会は沈滞します。その意味では貴重な政党です。なんとか生き残って欲しい政党です。

柔軟路線をうまく展開して「左の公明党」になれば、国政でも重要な役割を果たすでしょう。


2007/12/6(木) 国政選挙で電子投票・・効率は上がるが

一部地域で実施されてきた電子投票が、国政選挙で実施されることになりそうです。

効率は上がります。経費節減になります。

【国政選挙で電子投票、自公民が合意…来年導入可能に】(【読売) 
自民、公明両党と民主党は5日、電子投票を国政選挙に導入するための公職選挙法特例法改正案を今国会中に成立させることで合意した。

7日の衆院政治倫理確立・公選法改正特別委員会で採決し、11日の本会議で可決、参院に送る運びだ。現在、電子投票は一部の地方選挙で実施されている。与野党は電子投票を国政選挙に広げることで、開票時間の大幅な短縮や、無効票の解消などを図りたい考えだ。改正案の施行日は2008年1月1日。次の衆院選では一部の自治体で電子投票が実施される可能性がある。

電子投票は、有権者が投票用紙に候補者の名前を書く「自書式」の代わりに、投票所に置かれたタッチパネル式などの電子投票機を操作し、画面に表示された候補者名などを選んで投票する仕組み。

コンピューターが集計するため、開票時間が飛躍的に短縮できるほか、自治体が職員を大量に動員して手作業で行ってきた開票事務が軽減される。

改正案は、自民、公明両党が6月の通常国会に提出したが、国会終盤の与野党対決などで継続審議となっていた。

今国会での成立を目指す自民党の衆院政治倫理確立・公選法改正特委理事が民主党理事と協議し、「電子投票は地方選挙で実績を重ねており、国政選挙で実施できるようにすべきだ」との考えで一致。社民党も改正案に賛成する見通しだ。

今回の改正案は、国政選挙のほか、衆院選時に行われる最高裁判所裁判官国民審査にも適用される。

電子投票を実施するには、地方選挙の場合と同様に、選挙事務を担当する市町村が条例を制定する必要がある。電子投票機購入などの費用の一部は、国が交付金で措置することを盛り込んでいる。

自民、民主両党は、同改正案が参院に送られれば、参院政治倫理・選挙制度特別委員会で14日に採決することで基本合意している。15日までの会期中の成立はほぼ確実な情勢だ。

電子投票は、01年11月に成立した地方自治体電子投票特例法で地方選挙に導入され、02年6月の岡山県新見市長・市議選で初めて実施された。総務省によると、電子投票は今年8月の福島県大玉村議選まで計16回行われている。

【コメント】
もちろん、賛成しないわけにはいきません。

全ての国民が選挙に参加できるようにするためには、「文字」の壁も克服する必要があります。

とは言え、国民の重大な意思決定です。

タッチパネル式のお手軽な決断はして欲しくありません。ある団体の選挙運動がやりやすくなっただけということにならないことを祈ります。


2007/12/5(水) 「埋蔵金」はある・・・地方の活性化にもなる

与党内で「埋蔵金」論争が勃発しています。

中川秀直氏の主張は、国の特別会計にある積立金や余剰金が念頭にあると思われますが、それも含め、中央集権システムにメスを入れれば、大幅な歳出削減の余地があります。

【「埋蔵金」ある? 与党内で論争 歳出削減で財源捻出】(朝日)
霞が関に「埋蔵金」はあるのか――。政府・与党内でそんな論争が続いている。きっかけは自民党内の財政再建重視派が、歳出削減で財源を捻出(ねんしゅつ)するとした民主党の参院選公約を「根拠のない『埋蔵金伝説』」と批判したこと。これに自民党内の成長重視派が「埋蔵金はある」と反論。福田首相は4日、「埋蔵金あればいいけどね。それはその時のお楽しみ」と記者団をけむに巻いた。 

最初に「伝説」という表現を使ったのは、財政再建派の与謝野馨前官房長官が会長を務める党財政改革研究会の11月の中間取りまとめ。「国の財政には歳出削減の余地があり、増税せずに財政再建が可能だ」などとする民主党の主張を「具体的な根拠がなく、『霞が関埋蔵金伝説』の域を出ない」と皮肉った。 

だが、成長重視派の中川秀直元幹事長は1日の講演で、国の特別会計にある積立金や余剰金を念頭に「40兆〜50兆円の埋蔵金がある」と指摘。これにすぐさま財政再建派の谷垣禎一政調会長が「どこにそれだけの埋蔵金があるのか。社会保障の財源は一過性のものではだめだ」と強く反発した。 

これに対し、首相は4日、記者団に「埋蔵金を探しに行きましょうか、一緒に」「(埋蔵金が)あるかないかという議論をする前にムダを削ることに全力をあげる方がいい」と語った。 

【コメント】
自公政権内でこうした論争が起きるのは、民主党に追い詰められたからです。

「埋蔵金」は、霞ヶ関の「聖域」に属するものであり、時の権力をもってしても「発掘」困難なものです。少なくとも、現政権下での「発掘」は無理です。

やはり、政権交代が必要。これまで臆病だった国民が、「埋蔵金」発掘のために決起しなければなりません。

「現物」も発掘されるでしょうし、さらに、国の補助金を全廃し、地方に財源を与え、自由に使ってもらうことにすれば、大きな変化が生じます。

100億円掛かるプロジェクトが、規制を撤廃して地方の実情に合わせて行えば、10億円で済むとすれば、90億円の「埋蔵金」発掘と同じ財政上の効果があります。

例えば、道路。幅12mだ、18mだという規制をなくし、「車が効率よく通行できればよい」という「地域ニーズ」に忠実にやるだけのことです。

補助金に関わる中央の官僚が「失業」します。補助金メニューを「検索」することを仕事だと思っていた地方公務員も別の創造的業務に集中できます。

当然ながら、地方の活性化にもプラスです。


2007/12/4(火) 政権交代の機が熟しつつある・・朝日世論調査

いま衆議院解散なら、比例区において、自民・民主は互角であるとの世論調査結果が出ています。朝日新聞の全国世論調査です。

【自・民、互角32% 衆院選比例いま投票なら 本社調べ】(朝日)
朝日新聞社が1、2の両日実施した全国世論調査(電話)によると、「仮に、いま総選挙の投票をするとしたら」として聞いた比例区の投票先は、自民党と民主党がともに32%で並んだ。望ましい政権の形でも「自民中心」37%、「民主中心」36%と互角だった。 
開会中の臨時国会で焦点となっている補給支援特措法案を巡る問題では、インド洋での自衛隊の活動再開が「必要だ」と「必要ではない」はともに44%で並び、11月の前回調査(43%対41%)に続いて拮抗(きっこう)した。補給支援特措法案に「賛成」は36%(前回35%)、「反対」は43%(同43%)だった。 

一方、この法案が参院で否決された場合、政府や自民党は衆院で再議決し、3分の2以上の賛成で成立させることを検討しているが、再議決について「妥当だ」が46%で「妥当ではない」の37%を上回った。 

法案の賛否では「反対」が上回るのに対し、衆院での再議決は「妥当だ」との見方が上回る。法案に反対の人でも27%は「妥当だ」としており、憲法に定められた手続きとして是認する姿勢がうかがえる。 

この法案の処理を巡っては衆院解散にからむ発言も少なくないが、総選挙の時期については「できるだけ早く」34%、「急ぐ必要はない」55%で、有権者は比較的冷静に見ているようだ。 

衆院で与党が、参院で野党が多数を占めるねじれ国会を背景に自民党と民主党が連立政権をつくることについては、「賛成」30%に対し、「反対」が55%と半数を超えた。福田首相が11月下旬の党首会談で、民主党の小沢代表に安全保障や社会保障の政策協議を呼びかけ、小沢代表が応じなかったことで、どちらの姿勢を評価するか聞くと「福田首相」33%、「小沢代表」48%だった。 

防衛省をめぐる疑惑の問題では、政府・与党の対応が「適切ではない」は65%にのぼり、「適切だ」は22%。参院でいったん決まった額賀財務相の証人喚問が中止になったことについては「よくなかった」65%、「よかった」19%だった。 

福田内閣の支持率は44%(前回45%)、不支持率は36%(同34%)で横ばい。政党支持率は自民31%(同31%)、民主23%(同24%)などだった。 


【コメント】
なかなか面白い調査結果だと思います。与野党の態度や判断に対し、国民が是々非々で臨んでいる様子が分かります。

比例区についてではありますが、自民・民主が互角であるということは「平時」では考えにくいことです。

一般に野党に関する情報量は政府・与党に比して圧倒的に少なく、その結果、通常の野党支持率は低い状態で推移し、選挙が近くなると情報量が多くなるので与党に接近することになります。

参議院で多数を占める野党。中心にいる民主党についての情報量が多くなっており、野党であるといっても忘れられにくい状況になってきています。

有権者の意識の面でも、政権交代に向けた意識の変化が醸成されつつあります。

保守王国・愛媛においても、「民主党が一度政権を取ったらどうだ」という声が、保守層から聞こえてくる昨今です。


2007/12/3(月) 地方法人2税の再配分・・根本的な対策ではない

地方自治体間での税収格差をどう是正するかが問題になっています。

ひとつの解答が、大都市に偏る地方法人2税(事業税、住民税)の再配分です。

【都市から地方へ4000億円 事業税を暫定的に再配分】 
2008年度税制改正の焦点となっている地方自治体間の税収格差是正のため、地方法人2税のうち、法人事業税を都市部から地方に再配分する方向で政府・与党が最終調整していることが2日、明らかになった。東京都から3000億円程度の再配分が固まり、さらに愛知県、大阪府、神奈川県などとも調整中で、最終的に4000億円前後に上積みを目指している。

自民党税制調査会などで協議し、13日をめどに決定する与党税制改正大綱に盛り込む。

総務省は、税収が都市部に偏る地方法人2税(ほかに法人住民税)を国税の消費税と一部交換し、偏りが小さい地方消費税を増やすことで、格差是正を図る案を提唱していた。しかし、福田康夫首相が消費税率引き上げを09年度以降に先送りする考えを示したため、08年度は暫定的に事業税を再配分し、地方消費税の拡充は税率引き上げ論議の中で将来検討することにした。


【コメント】
地方での税収が上がるような改革こそ真の格差是正になるのですが、自民党の案は常に対症療法的なものになります。

とにかく、地方の自由度がなさ過ぎます。政府主導の「地方分権」は、両手両足を縛っておいて「自由形」で泳ぎなさいと言っているようなものです。

中央集権を排して「地方主権」まで踏み込まないと、地方が浮かび上がることはあり得ません。

その前提として、これまで中央集権下で生じたハンデを解消する必要があります。地方の「立ち上がり資金」ないしは「自立資金」をいくら積むかということが真剣に考えられなければなりません。


2007/12/2(日) 「衆院選後の大連立」は欺瞞

衆院選後に大連立ということを与党関係者が口にするようになっています。

これは、衆院選では「ねじれ」が解消しないことを前提とする議論です。中曽根氏は、公約に入れろという主張までしています。

【中曽根元首相:「総選挙公約に大連立を」】 
中曽根康弘元首相は1日、東京都内の青山学院大学で講演し、自民党と民主党を含めた大連立の時期について「解散・総選挙の後に必要」と主張した。そのうえで「(衆院選の)公約に『情勢によっては国益を中心に両党の協力関係を構築することもある』という程度のことを入れ、国民の了承をある程度得るのが適当だ」との考えを示した。

【コメント】
衆院選では、自民も民主もすんなり勝てる情勢ではありません。衆院選で「ねじれ」が解消しなかった場合、大連立を自民党が仕掛けてくることは間違いないでしょう。

しかし、来る衆院選では政権交代こそがメインテーマとなるべきであって、「引き分け」を前提とした議論は、そのテーマをぼかそうという意図が働いているものと言わざるを得ません。

中曽根氏の発言で問題なのは、「国益」という概念のとらえ方です。彼が考えているのは、対米公約実現ということです。対米公約実現=国益であるということは、日本が従属国家であるということを裏から認めることに他なりません。

こうした「国益」が正論調で語られる状況を克服することが、我が国最大の政治的テーマでなければなりません。

「ねじれ」というのは政権側の見方であって、憲法がよって立つ権力分立の考え方からすると衆議院と参議院とで多数を占める政治勢力が異なることは想定内の事柄です。それを前提とした政治が困難であるというのであれば、それは国会議員の政治的資質が不十分であるということになります。

私は、一定条件での大連立を否定しない立場ですが、政権補強型の安直な連立志向は、真の国益=国民益を損なうものであると考えます。


2007/12/1(土) 選挙権の行使<買い物の楽しさ、なのか?・・イオンが投票所

買い物ついでに選挙を。結構な話だとは思いますが、選挙権の行使とはそんなに軽いものなのかという疑問も湧いてきます。

とは言え、ショッピングセンターに投票所があることは、便利には違いありません。

【イオン:全国の店舗を選挙投票所に 総務省も了承】(毎日) 
イオンは30日、全国各地のショッピングセンター(SC)を、選挙の投票所として無料で開放する方針を明らかにした。実現すれば全国初となる。既に総務省から了承を得ており、各自治体との調整に入る。イオンのSCは週末1日あたり全国1000万人の集客力があり、「買い物ついで」の投票が可能になることで、投票率向上に期待がかかる。

公職選挙法は、投票所の設置について「市役所、町村役場または市町村選管の指定した場所に設ける」と規定している。イオンは11月27日に総務省に、SC内の投票所設置の意向を伝え、投票の秘密や公平性の確保など「ルールが守られていれば問題ない」との見解を得た。

イオンは全国のSCのうち、外部からの自由な出入りが遮断できる設備を備えた34のSCを主な対象として、自治体と調整を進める。自治体の要望があれば、国政選挙、地方選挙を問わず、投票所として開放する方針だ。

イオンはこれまで、期日前投票でSCを活用した実績がある。今年7月の参院選では、秋田市内のショッピングセンターに投票所を設置。8日間で1万693人が投票に訪れ、全国で最高を記録した同県の期日前投票率に貢献した。

投票日当日の投票所は、期日前とは異なり投票区が限られるものの、イオンは「SCの利用が多い若年層の投票率上昇に貢献できる」とみている。また、総務省選挙部も「最終的な判断は各市町村選管に委ねるが、投票率向上は望ましいこと」と期待を寄せている。


【コメント】
現在の投票率は、民主主義を維持するという観点からすると低すぎます。少なくとも、70%以上の有権者が、自分の将来、家族の将来、社会の将来を真摯に見つめて1票を投じるということが民主政治の基礎になければならないと思います。都市部首長選挙の投票率を見ると、自治が崩壊しているのではないかという気すらします。

そこでイオン登場ということですが、この企業は各地の都市で中心部の空洞化を招いた「A級戦犯」でもあります。

「疾風のように現れて、疾風のように去ってゆく。」

「月光仮面」の主題歌の一節です。正義の味方が悪党をやっつけて、というストーリーなら分かりますが、大型店が突如現れて、新たな立地を確保するとあっと言う間にいなくなる。自治体や近隣住民の悲鳴をよそに、資本の論理を貫徹してきた企業がイオンです。

一度根を下ろした地域に対する企業としての責任を自覚する。そこを原点として、便利さも追求してもらいたいものです。

有権者としても、選挙権の行使の重みを自覚した1票を投じるべきだと思います。買い物より軽い決断であってはならないでしょう。


玉井彰の一言 2007年12月 四国の星ホーム一言目次前月翌月