竹久夢二「青い小径」


    


        ふたり  へだ
 はじめ二人を隔てたのは
        ちひ   かは
 ほんに小さい川だつた
        ふたり    く
 それを二人は苦にもせずに
 りやうほう  きし  ある
 両方の岸を歩いてゐた
         ま     かは  おほ
 いつの間にか川は大きくなつた
                こ         で き
 そしてたうたう越すことの出来ない
  おほ    かは  へだ
 大きな川を隔てた
        ふたり          ふね  はし  いま
 もはや二人のための舟も橋も今はない
           みづ  とびこ
 どちらかゞ水へ飛込まねば
  ふたり   あ   とき  えいきう
 二人が逢ふ時は永久にない。



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