竹久夢二「夢のふるさと」


 
  浦の菜園


                じつ
 わたしの親は実の親
 
 ついぞわたしを憎まねど
 
 なぜかわたしは気がすまぬ。
       さ ゑん
 浦の菜園にでゝみれば
 
 今日も今日とてから/\と
 
 さいかちの実のなりいづる
  どくけしうり
 毒芥売のすゑの娘が
 
 赤い袋をやるといふ
 
 それもおほかたうそであろ。
 
 菜園のすみにころげたる
 
 ふたまた大根のろくでなし。