竹久夢二「夢のふるさと」


 
  雀の子


 
 とこどんどこぴいひやらひやあ
 
 麦の畑を風がふく。
 
 役者の群をはぐれたる
 
 子供心のはかなさは
            うら
 ……うちの裏のちさの木に
 
    雀が三羽とうまつて
 
    一羽の雀がいふことにや
 
    ゆうべござつた花嫁御
 
    なにがかなしゆてお泣きやるぞ
 
    おなきやるぞ
 

 
 ゆうべの芝居のその唄が
 
 いまのわが身につまされて
 
 ほろり/\とないてゆく。