竹久夢二「夢のふるさと」


   
  加藤清正


     よろひ  きよまさ
 紙の鎧の清正は
 
 虎を退治の竹の槍。
 
 屋根のうへにて眠りゐし
 
 猫をめがけてつきければ
 
 虎は屋根よりころげおち
 
 縁のしたへとかくれけり。
          たけ  きよまさ
 さすがに猛き清正も
 
 虎のゆくへの気にかゝり
 
 夜な夜なこはき夢をみき。