閑吟集

『閑吟集』より(参考:岩波文庫,小学館「日本古典文学全集」)

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誰が袖ふれし梅が香ぞ……(8)
梅花は雨に……(10)
世間はちろりに過ぐる……(49)
何せうぞ くすんで……(55)
我が恋は……(59)
人買ひ舟は沖を漕ぐ……(131)
世間は霰よなう……(231)
あまりの言葉のかけたさに……(235)
薄の契りや……(245)
人の心は知られずや……(255)
今結うた髪が……(274)
来し方より……(295)
花見れば袖濡れぬ……(305)
花籠に月を入れて……(310)

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ひとりごと
 『閑吟集』の存在は、多分、中学生の頃に読んだマンガで初めて知ったのだと思います。あらすじも覚えていないので、何と言うこともない恋愛コメディだったと思うのですが、そのマンガの中に「来し方より 今の世まで 絶えせぬものは 恋といへる曲者 げに恋は曲者曲者かな 身はさらさらさら さらさらさら 更に恋こそ寝られね」という歌が引いてあって、それが妙に強く印象に残ったのでした。どんな節がついて歌われるのかしら、と色々想像して楽しんだものです。
 『閑吟集』全部を読んだのは大学時代です。『梁塵秘抄』を読んだ後、それ以後の日本の歌謡はどうなって行ったのかが知りたくて、図書館で探して読んでみました。全般に軽みというのか、江戸時代の小唄に通じるような粋な雰囲気が面白く、しっかりと愛読書のひとつになって現在に至ります。歌一つ一つも面白いですが、春夏秋冬と、めぐる季節に合わせるように歌が並べられている編集方法が、とても興味深く思われます。全部通して一つの恋愛の物語にもなりそうな所も面白いですね。宴会や大道芸に付随する歌謡曲ですから、内容的にも文章的にもたわいない物が多いのですが、元気になりたい時に手に取る一冊になっています。
 何処が良いのかをうまく説明するのは難しいので、参考までに、好きな歌をいくつか、感想を交えて載せてみました。古文なので、一応、大意を付けてはおきましたが、あまり参考にしないでください。ここに載せたのは、あくまでも、私というフィルターを通した『閑吟集』です。原文は、現在の歌謡曲の詞と同じで、字面の意味以上のものが言葉のひとつひとつに含まれています。出来るだけ原文で味わって頂けると嬉しく思います。


『閑吟集』について
  • 室町後期の歌謡集。全1巻で編者は未詳ですが、連歌師の宗長(1448〜1532)が編集したという説もあります。1518年に成立。
  • 室町時代に流行した「小歌(民間の卑俗な歌で、軽く肩のこらない娯楽的なもの)」226種の他、「吟詩句(漢詩)」「猿楽(謡曲)」「狂言歌謡」「放下歌(ほうかうた:「放下」は中世・近世に行われた芸能の一つで、小切子(こきりこ)を打ちながら行う歌舞)」「早歌(そうか:別名「宴曲」とも言う、鎌倉末期から室町時代にかけて、武家を中心に貴族、僧侶などの間に流行した宴席のうたいもの)」などを合わせて、311首が収録されています。内容的には、恋愛を中心として当時の民衆の生活や感情を表現したものが多く、江戸歌謡の基礎ともなりました。
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